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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030049
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】マスク用補助具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220210BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220210BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20220210BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
A44B99/00 601Z
A44B99/00 611B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133779
(22)【出願日】2020-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】520296897
【氏名又は名称】寺田 豊子
(71)【出願人】
【識別番号】520297366
【氏名又は名称】石川 武
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 豊子
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】マスク本体の左右方向の長さに応じて調整することができるとともに、マスク本体に対して確実に取り付けることができるマスク用補助具を提供する。
【解決手段】マスク本体31の内面側に沿って配置されるガード体2と、ガード体2の左右方向両端部に取り付けられるクリップ3とを有し、ガード体2が保型性を有する帯状の第一ガード部4と第二ガード部5とから構成され、第一ガード部4と第二ガード部5との重ね合わせ部をスライド可能に保持する保持部11が、第一環状部11aおよび第二環状部11bとから構成され、第一環状部11aは第一ガード部4が内部に固定された状態で、第二ガード部5が挿通されており、第二環状部11bは第二ガード部5が内部に固定された状態で、第一ガード部4が挿通されており、第一環状部11aおよび第二環状部11bとで第一ガード部4と第二ガード部5の間に摺動抵抗を付与している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の耳掛け部に支持され、使用者の口を覆うマスク本体の前記使用者の口側に取り付けられるマスク用補助具であって、
前記マスク本体の前記使用者の口側に配置され、前記マスク本体の左右方向に沿って延びるガード体と、前記ガード体の左右方向両側部に取り付けられるクリップとを有し、
前記ガード体は、前記マスク本体の左右方向に沿って延びる第一ガード部および第二ガード部と、前記第一ガード部および第二ガード部をその左右方向内側部分を重ね合わせた状態でスライド可能に保持する保持部とを有し、
前記クリップが前記第一ガード部および第二ガード部の左右方向外側部に取り付けられており、前記保持部が前記第一ガード部と第二ガード部との間に摺動抵抗を付与するものであるマスク用補助具。
【請求項2】
前記保持部は、前記第一ガード部および第二ガード部の左右方向内側部分が内部に配置されている第一環状部と第二環状部とから構成されており、
前記第一環状部が前記第一ガード部の左右方向内端部に固定され、前記第一環状部は、前記第二ガード部を前記第一ガード部に押し付ける状態で、前記第二ガード部をスライド可能に保持しているものであり、
前記第二環状部が前記第二ガード部の左右方向内端部に固定され、前記第二環状部は、前記第一ガード部を前記第二ガード部に押し付ける状態で、前記第一ガード部をスライド可能に保持しているものである請求項1に記載のマスク用補助具。
【請求項3】
前記クリップが、環状の反転ばね部と前記反転ばね部の内周縁の左右方向外側部分から左右方向内向きに延びる受け片部とを有し、
前記受け片部が前記第一ガード部および前記第二ガード部の左右方向外端部に取り付けられており、
前記反転ばね部は、左右方向に前記使用者の頬に沿って湾曲する閉状態と、左右方向に前記使用者の頬に向かって突き出すように湾曲する開状態とを採るものであり、前記閉状態の前記反転ばね部の左右方向内側部分が、前記受け片部の左右方向内側部分に押し付ける状態となり、
前記開状態の前記反転ばね部の左右方向内側部分が、前記受け片部の左右方向内側部分から離間する状態となる請求項2に記載のマスク用補助具。
【請求項4】
前記第一ガード部の左右方向外端部が、前記第一ガード部に対して直交する方向に設けられた第一規制部を有し、前記第二ガード部の左右方向外端部が、前記第二ガード部に対して直交する方向に設けられた第二規制部を有し、
前記第一ガード部および第二ガード部の左右方向外端部が、前記受け片部の前側に位置し、前記第一規制部および第二規制部が前記受け片部の前側から前記反転ばね部の後側へ延び出す状態となっている請求項3に記載のマスク用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスク本体内に取り付けられ、マスク本体と使用者の口元との間隔を広げるためのマスク用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者がくしゃみや咳などをしたときの飛沫の飛散やウィルスの感染防止用、あるいは、屋外での埃や花粉、冬場の乾燥した冷気などの吸い込み防止に、マスクが使用されている。このマスクは、マスク本体の左右両端部に設けられた耳掛け部を使用者の耳にかけることによって、この使用者の口と鼻を覆う状態で装着される。この装着時に、使用者の口とマスクの内面が接触すると、マスクを付けた状態での会話に支障が出たり、使用者が息苦しさを感じたりする原因となる問題が生じる。
【0003】
この問題を解決するために、例えば、特許文献1に記載されるマスク用補助具が提案されている。このマスク用補助具は、長円支持板と長円支持板の両端部から中央寄りの二箇所に取り付けられた仮止め具とを有するものである。長円支持板はポリプロピレンの薄板から形成されたものである。仮止め具は、面ファスナのループを有する面部とフックを有する面部のうち、フックを有する面部から構成されている。
【0004】
このマスク用補助具は、不織布からなるマスク本体に左右方向に延びる複数のプリーツを有するマスクに使用される。長円支持板がマスク本体の内面側の上下方向中央付近に配置されている。長円支持板はその両端部がプリーツの左右方向両端部にそれぞれ差し込まれた状態で保持される。この保持状態で、仮止め具はマスク本体の不織布を構成する繊維に引っ掛かり、マスク用補助具がマスク本体に対して保持されている。
【0005】
マスク本体に保持されるマスク用補助具は、長円支持板をマスク本体とともに湾曲させることにより、マスク本体が長円支持板により口元から離れる方向に膨らみ、使用者の口元にマスク本体が貼り付くのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-93528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般に、マスクは、例えば、大人用または子供用など、マスク本体の大きさを変更した様々なサイズが展開されている。しかしながら、特許文献1に記載されたマスク用補助具は、展開されるサイズのマスク本体の左右方向の長さに対応して、長円支持板の長さを調整することができない。
【0008】
また、特許文献1に記載されたマスク用補助具は、マスク本体のプリーツが大きく開かれた状態で使用すると長円支持板が安定せず、その長円支持板をマスク本体に確実に保持させることができない。
【0009】
そこで、この発明の課題は、マスク本体の左右方向の長さに応じて調整することができるとともに、マスク本体に対して確実に取り付けることができるマスク用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明に係るマスク用補助具は、
左右一対の耳掛け部に支持され、使用者の口を覆うマスク本体の前記使用者の口側に取り付けられるマスク用補助具であって、前記マスク本体の前記使用者の口側に配置され、前記マスク本体の左右方向に沿って延びるガード体と、前記ガード体の左右方向両側部に取り付けられるクリップとを有し、前記ガード体は、前記マスク本体の左右方向に沿って延びる第一ガード部および第二ガード部と、前記第一ガード部および第二ガード部をその左右方向内側部分を重ね合わせた状態でスライド可能に保持する保持部とを有し、前記クリップが前記第一ガード部および第二ガード部の左右方向外側部に取り付けられており、前記保持部が前記第一ガード部と第二ガード部との間に摺動抵抗を付与するものである構成を採用することができる。
【0011】
ここで、「左」および「右」とは、このマスク用補助具の使用者の「左」および「右」を意味する。また、このマスク用補助具の使用者の顔面に対して、マスク本体へ向かう方向を「前」とし、マスク本体に対して、このマスク用補助具の使用者の顔面へ向かう方向を「後」とする。さらに、「内面」とは、このマスク用補助具の使用者の顔面側の面を意味し、「外面」とは、このマスク用補助具の使用者の顔面側の面と反対側の面を意味する。
【0012】
この構成のガード体をマスク本体の内面側に配置し、クリップをマスク本体の左右方向両側の外端部に固定する。その後、マスク本体を椀状に膨らませて、ガード体をマスク本体に沿う状態に、第一ガード部と第二ガード部をそれぞれ左右方向外向きにスライドさせる。このとき、保持部により、第一ガード部と第二ガード部との間に摺動抵抗が付与されている。この摺動抵抗に抗して、第一ガード部と第二ガード部とを左右方向外向きまたは内向きにスライドさせる必要がある。
【0013】
前記保持部は、前記第一ガード部および第二ガード部の左右方向内側部分が内部に配置されている第一環状部と第二環状部とから構成されており、前記第一環状部が前記第一ガード部の左右方向内端部に固定され、前記第一環状部は、前記第二ガード部を前記第一ガード部に押し付ける状態で、前記第二ガード部をスライド可能に保持しているものであり、前記第二環状部が前記第二ガード部の左右方向内端部に固定され、前記第二環状部は、前記第一ガード部を前記第二ガード部に押し付ける状態で、前記第一ガード部をスライド可能に保持しているものである構成を採用することができる。
【0014】
この構成では、第一ガード部と第二ガード部は、それぞれ左右方向外向きにスライドしたとき、第一環状部と第二環状部とが突き当たる状態となる。このため、第一ガード部と第二ガード部とが分離しない。
【0015】
前記クリップが、環状の反転ばね部と前記反転ばね部の内周縁の左右方向外側部分から左右方向内向きに延びる受け片部とを有し、前記受け片部が前記第一ガード部および前記第二ガード部の左右方向外端部に取り付けられており、前記反転ばね部は、左右方向に前記使用者の頬に沿って湾曲する閉状態と、左右方向に前記使用者の頬に向かって突き出すように湾曲する開状態とを採るものであり、前記閉状態の前記反転ばね部の左右方向内側部分が、前記受け片部の左右方向内側部分に押し付ける状態となり、前記開状態の前記反転ばね部の左右方向内側部分が、前記受け片部の左右方向内側部分から離間する状態となる構成を採用することができる。
【0016】
この構成によると、開状態の反転ばね部と受け片部との間に形成されるすき間に、マスク本体の左右方向外側縁部が差し込まれる。そして、反転ばね部を開状態から閉状態に反転させることにより、反転ばね部の左右方向内側部分がマスク本体の左右方向外側縁部を受け片部の左右方向内側部分に押し付ける。
【0017】
前記第一ガード部の左右方向外端部が、前記第一ガード部に対して直交する方向に設けられた第一規制部を有し、前記第二ガード部の左右方向外端部が、前記第二ガード部に対して直交する方向に設けられた第二規制部を有し、前記第一ガード部および第二ガード部の左右方向外端部が、前記受け片部の前側に位置し、前記第一規制部および第二規制部が前記受け片部の前側から前記反転ばね部の後側へ延び出す状態となっている構成を採用することができる。
【0018】
この構成では、前記反転ばね部が開状態にあるとき、第一規制部によって、第一ガード部の左右方向外端部に対して、クリップの揺動が規制される。また、第二規制部によって、第二ガード部の左右方向外端部に対して、クリップの揺動が規制される。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係るマスク用補助具は、マスク本体の左右方向の長さに応じて、ガード体の第一ガード部及び第二ガード部の重なり合う部分の長さを調整することができる。また、保持部によって、ガード体の第一ガード部及び第二ガード部の重なり合う部分の長さを維持することができるので、マスク本体をガード体で受けている状態を維持することができる。このため、使用者の吸気によって、マスク本体が凹んで使用者の口元にマスク本体が貼り付くことを防止することができる。さらに、クリップをマスク本体の左右方向外縁部に固定することにより、ガード体の位置を安定させて、ガード体を確実にマスク本体の後側の表面に位置させることができる。また、この発明に係るマスク用補助具は、使用後に消毒液などを含ませた布帛等で各部品を拭き取り、再度、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)この発明の実施形態に係るマスク用補助具を示す正面図、(b)同上のマスク用補助具を示す背面図
図2】同上のマスク用補助具のクリップを示す背面図
図3図2中のA-A線における断面図
図4】同上のマスク用補助具のクリップの開状態を示す断面図
図5】同上のマスク用補助具のクリップの一部切り欠き分解平面図
図6】(a)同上の第一ガード部と第二ガード部との重ね合わせ部分を示す斜視図、(b)同上の第一ガード部と第二ガード部との重ね合わせ部分の長さを調整した状態を示す斜視図
図7】(a)同上のマスク用補助具のマスク本体への固定状態を示す正面図、(b)同上のマスク用補助具の左右方向の長さが小さいマスク本体への固定状態を示す正面図
図8】同上のマスク用補助具のマスク本体の内面側への固定状態を示す斜視図
図9】同上のマスク用補助具の使用状態を示す斜視図
図10】同上のマスク用補助具の使用状態を示す一部切り欠き側面図
図11】同上のマスク用補助具の使用状態を示す一部切り欠き平面図
図12】同上のマスク用補助具の他の形態のマスク本体への固定状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。この発明の実施形態に係るマスク用補助具1を図1~5に示す。マスク用補助具1は、例えば、図7に示すようなマスク30に使用される。マスク30は、使用者の口元を覆うマスク本体31と、マスク本体31の左右方向両側端部に取り付けられる左右一対の耳掛け部32とを有する。
【0022】
マスク本体31は、マスク30の未使用状態において、正面視で横長の長方形状をなしている。マスク本体31は、埃や花粉などの微粒子やウィルスの通過を阻止するフィルタ機能を有する不織布から構成され、左右方向に延びる複数のプリーツ33を有している。マスク本体31の上端部内には、そのマスク本体31の幅方向に沿って、ノーズワイヤ34が設けられている。マスク30の使用時、ノーズワイヤ34を使用者の鼻に押し当てて、その鼻の形状に合うように変形させる。これにより、マスク30が使用者の顔面からずり落ちるのを防止している。
【0023】
また、左右一対の耳掛け部32は、使用者の耳に掛けるゴム製の紐状部材である。耳掛け部32の両端部が、マスク本体31の右側端部および左側端部の上部と下部のそれぞれ
に連結されている。
【0024】
このようなマスク30に使用されるマスク用補助具1は、図7に示すように、マスク本体31の左右方向に沿って延びるガード体2と、ガード体2の左右方向両端部に取り付けられたクリップ3とを有する。
【0025】
図1(a)、(b)に示すように、ガード体2は、同じ幅寸法を有する第一ガード部4および第二ガード部5を有する。図6に示すように、第一ガード部4および第二ガード部5は、柔軟な帯状部材から形成されており、内部に芯金6が設けられている。芯金6は、針金であって、第一ガード部4および第二ガード部5の幅方向中央に全長に配置されている。第一ガード部4および第二ガード部5は、芯金6により保型性を有するものとなっている。
【0026】
図5に示すように、第一ガード部4は、左右方向外端部に固定される第一規制片部4aと、第一規制片部4aよりも左右方向内寄りに設けられる取り付け孔4bとを有する。第一規制片部4aは、第一ガード部4と同じ素材から形成され、内部に芯金6が設けられている(図2参照)。第一規制片部4aは、第一ガード部4の長さ方向に対して直交する方向に配置されている。第一ガード部4の左右方向外端部にクリップ3が取り付けられている。
【0027】
クリップ3は、ばね弾性を有する金属板から形成されている。クリップ3は、環状の反転ばね部7と、反転ばね部7の左右方向の外側部分7aの内周縁から左右方向内向きに延びる受け片部8とを有する。
【0028】
反転ばね部7は、その湾曲する向きによって、その左右方向の内側部分7bの付勢方向が反転する反転ばねとなっている。すなわち、反転ばね部7は、図3に示すように、平面視において、反転ばね部7が受け片部8から離れる向き(前向き)に湾曲する状態(閉状態)で、反転ばね部7の内側部分7bを受け片部8に押し付ける向きに付勢するものである。また、反転ばね部7は、図4に示すように、平面視において、反転ばね部7が受け片部8へ向かう向き(後向き)に湾曲する状態(開状態)で、反転ばね部7の内側部分7bを受け片部8から離れる向きに付勢するものである。
【0029】
受け片部8は、その長さ方向(左右方向)に沿って設けられる長孔状の取り付け孔8aと、長さ方向途中位置に形成されている湾曲部8bとを有する。図4に示すように、取り付け孔8aと第一ガード部4の取り付け孔4bとにピン体9が挿通され、そのピン体9に受け具10が嵌め合わされている。この嵌め合わせにより、第一ガード部4に受け片部8が回転可能に連結されて、第一ガード部4にクリップ3が取り付けられる。受け片部8の湾曲部8bは前向きに湾曲しており、湾曲部8bにより受け片部8に対して前後方向への弾性が付与されている。
【0030】
図2に示すように、反転ばね部7と受け片部8との間には、第一ガード部4の第一規制片部4aが設けられている。第一規制片部4aは、受け片部8の前側に位置する第一ガード部4から反転ばね部7に向かって、反転ばね部7の後側の両方向へ延び出す状態となっている。第一規制片部4aにより、第一ガード部4の左右方向外端部に対して、クリップ3の揺動が規制される。このため、反転ばね部7が開状態にあるとき、反転ばね部7の内側部分7bと受け片部8との間にマスク本体31を差し込むことが可能となる。
【0031】
図2~5に示すように、第二ガード部5は、左右方向外端部に固定される第二規制片部5aと、第二規制片部5aよりも左右方向内寄りに設けられる取り付け孔5bとを有する。第二ガード部5は、第一ガード部4と同じ素材から形成され、内部に芯金6が設けられている。第二ガード部5においては、クリップ3に対する取り付け構造が第一ガード部4と同じ構造となっているため、その説明を省略する。
【0032】
図6(a)、(b)に示すように、ガード体2は、第一ガード部4および第二ガード部5の左右方向内側部分を重ね合わせた状態で、保持部11によりスライド可能に保持されている。保持部11は、第一ガード部4および第二ガード部5の左右方向内側部分が内部に配置されている第一環状部11aと第二環状部11bとから構成されている。
【0033】
第一環状部11aが第一ガード部4の左右方向内端部に固定されている。第一環状部11aは、第二ガード部5を第一ガード部4に押し付ける状態で、第二ガード部5をスライド可能に保持しているものである。第二環状部11bが第二ガード部5の左右方向内端部に固定されている。第二環状部11bは、第一ガード部4を第二ガード部5に押し付ける状態で、第一ガード部4をスライド可能に保持しているものである。第一環状部11aおよび第二環状部11bは、第一ガード部4と第二ガード部5との間に摺動抵抗を付与するものである。
【0034】
この発明の実施形態に係るマスク用補助具1は、以上のように構成される。この実施形態のマスク用補助具1は、図7(a)に示すように、マスク30のマスク本体31の内面側に取り付けられる。
【0035】
次に、マスク用補助具1のマスク本体31への取り付けを説明する。まず、左右一対のクリップ3の反転ばね部7を受け片部8に向かって湾曲するように変形させて、反転ばね部7を開状態とする。続いて、マスク本体31に沿う状態であって、マスク本体31の左右方向の長さに合わせて、ガード体2の長さを調整する。ガード体2の長さ調整は、第一ガード部4および第二ガード部5を左右方向外向き、または内向きにスライドさせることにより行うことができる。
【0036】
ガード体2の長さの調整後、マスク用補助具1をマスク本体31の内面側の上下方向中央付近に位置させる。そして、左右一対のクリップ3の開状態の反転ばね部7と受け片部8との間にマスク本体31の左右方向両縁部に差し込む。その後、クリップ3の反転ばね部7を受け片部8に向かって湾曲するように変形させて、反転ばね部7を閉状態とする。この閉状態の反転ばね部7がマスク本体31の左右方向両縁部を受け片部8に押し付けて、反転ばね部7と受け片部8との間にマスク本体31の左右方向両縁部が挟まれた状態となる。これにより、マスク本体31の左右方向両縁部にクリップ3が着脱可能に取り付けられる。
【0037】
最後に、マスク本体31の上下方向両縁部をそれぞれ上下方向に移動させて、複数のプリーツ33を広げる。このようにして、図8に示すように、マスク用補助具1が左右一対のクリップ3によって、マスク30に取り付けられる。
【0038】
図9に示すように、使用者は、マスク用補助具1が取り付けられたマスク30の左右一対の耳掛け部32を両耳に掛けて、マスク30を装着する。マスク30を装着すると、図10に示すように、使用者の口元の前方には、マスク用補助具1のガード体2が配置される状態となっている。この状態では、ガード体2により、使用者の口元とマスク本体31との間にすき間が形成されている。このすき間が形成されることにより、使用者の呼吸によりマスク本体31が使用者の口元に貼り付くことを防止することができる。
【0039】
また、使用者の呼吸によるマスク本体31の変形に伴ってガード体2に使用者の顔面に向かって外力が作用することがある。ここで、ガード体2は、第一環状部11aおよび第二環状部11bにより第一ガード部4と第二ガード部5との重ね合わせ部において摺動抵抗が生じている。この摺動抵抗に抗して、第一ガード部4と第二ガード部5とを左右方向にスライドさせる必要がある。このため、ガード体2に上記外力が作用しても、容易に第一ガード部4と第二ガード部5の左右方向内向きへのスライドを防止することができる。
【0040】
図11に示すように、クリップ3の閉状態の反転ばね部7は使用者の頬Hに沿った状態となっている。このため、マスク30を装着した状態で、マスク本体31の左右方向両縁部と頬Hとのすき間を小さくすることができる。
【0041】
さらに、この実施形態のマスク用補助具1は、ガード体2の長さを調整することが可能となっている。このため、例えば、図7(b)に示すように、大人用のマスク30と比較してマスク本体31の左右方向の長さが小さい子供用のマスク30にも、取り付けることができる。また、このマスク用補助具1は、マスク30への使用後に、消毒液などを含ませた布帛等で各部品を拭き取り、使用者が交換した他のマスク30に再度、使用することができる。
【0042】
この実施形態のマスク用補助具1は、図12に示すように、椀状の立体形状となるように不職布を継ぎ合わせた立体マスク40に使用することができる。立体マスク40は、使用者の顔の中央位置を上下方向に延びる継ぎ目を介して、マスク本体41の右半分を構成する右側の不職布シートと、マスク本体41の左半分を構成する左側の不職布シートとを継ぎ合わせたものである。マスク本体41の右側および左側の不職布シートには、左右方向外側に耳掛け部42が一体に形成されている。
【0043】
この立体マスク40のマスク本体41の左右方向両端部にマスク用補助具1のクリップ3を取り付ける。この取り付けは、上述したマスク30の場合と同様である。マスク用補助具1のガード体2により、使用者の口元と立体マスク40のマスク本体41との間にすき間が形成される。このすき間により、使用者の呼吸によってマスク本体41が使用者の口元に貼り付くことを防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 マスク用補助具
2 ガード体
3 クリップ
4 第一ガード部
4a 第一規制片部
4b 取り付け孔
5 第二ガード部
5a 第二規制片部
5b 取り付け孔
6 芯金
7 反転ばね部
7a 外側部分
7b 内側部分
8 受け片部
8a 取り付け孔
8b 湾曲部
9 ピン体
10 受け具
11 保持部
11a 第一環状部
11b 第二環状部
30 マスク
31 マスク本体
32 耳掛け部
33 プリーツ
34 ノーズワイヤ
40 立体マスク
41 マスク本体
42 耳掛け部
H 頬
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12