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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030072
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】セラミド含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20220210BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 31/164 20060101ALI20220210BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A61K8/42
A61Q19/00
A61K8/86
A61K47/10
A61K31/164
A61P17/00
A61K8/34
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133819
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】村井 将紀
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝治
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC18
4C076EE23F
4C076FF43
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD042
4C083BB04
4C083CC03
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
4C206AA01
4C206AA10
4C206GA03
4C206GA25
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA83
4C206NA02
4C206NA03
4C206ZA89
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い透明性かつ低温安定性に優れており、塗布時のべたつきが少ない、セラミド含有組成物の提供。
【解決手段】セラミド含有組成物は、成分(A)を0.1~10質量%、成分(B)を15~50質量%、成分(C)を1~20質量%、および成分(D)を25~75質量%を含有する。(A)セラミド類(B)式(1)の非イオン性界面活性剤R-O-(AO)a-[(PO)b/(EO)c]-H・・・(1)(Rはアルキル基を示し、AOはオキシアルキレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、EOはオキシエチレン基であり、1≦a≦40、1≦b≦40、1≦c≦80、(a+b+c)≧20である。)(C)式(2)の非イオン性界面活性剤R-O-(PO)d-(EO)e-H・・・(2)(Rはアルキル基、1≦d≦80、1≦e≦40である。)(D)多価アルコール
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)を0.1~10質量%、成分(B)を15~50質量%、成分(C)を1~20質量%、および成分(D)を25~75質量%を含有することを特徴とする、セラミド含有組成物。

(A) セラミド類

(B) 下記式(1)の非イオン性界面活性剤

-O-(AO)a-[(PO)b/(EO)c]-H ・・・(1)

(式(1)中、
は炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、
AOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
a、b及びcはそれぞれ前記オキシアルキレン基AO、前記オキシプロピレン基POおよび前記オキシエチレン基EOの1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦a≦40、1≦b≦40、1≦c≦80、(a+b+c)≧20であり、
[(PO)b/(EO)c]は前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOとがランダム状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示し、
ランダム率xが0.1≦x<1である。)

(C) 下記の式(2)の非イオン性界面活性剤
-O-(PO)d-(EO)e-H ・・・(2)

(式(2)中、
は炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
d及びeはそれぞれ前記オキシプロピレン基POおよび前記オキシエチレン基EOの1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦d≦80、1≦e≦40であり、
(PO)d-(EO)eは前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレンEO基がブロック状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示す。)

(D) 多価アルコール
【請求項2】
更に以下の成分(E)を5~40質量%含有することを特徴とする、請求項1記載のセラミド含有組成物。

(E)下記式(3)のアルキレンオキシド誘導体

-{O(PO)f(EO)g-(BO)hH}i・・・(3)

(式(3)中、
は、1~4個の水酸基を有する化合物からすべての前記水酸基を除いた残基であり、
iは1~4であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、
f、gおよびhは、それぞれ、前記オキシプロピレン基PO、前記オキシエチレン基EOおよび炭素数4の前記オキシアルキレン基BOの平均付加モル数であって、1≦f≦40、0≦g≦40、0≦h≦3かつ(f+g+h)×i≧8であり、
前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOの合計量を100質量部としたとき、前記オキシプロピレン基POの質量割合は、25~100質量部であり、gが1以上の場合、前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOはランダム状に結合している。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミドの水系製剤に対する分散性を向上できるため、容易にセミラドを可溶化でき、該組成物を含有する化粧料は高い透明性かつ低温安定性に優れ、塗布時のべたつき及び充填時の泡立ちが少ないセラミド含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミドは皮膚の角層の細胞間脂質に含有されており、皮膚バリア能及び保湿機能に寄与している。そのような特性を利用した機能性成分として化粧品への応用が広く試みられているが、セラミドは溶剤への溶解性が非常に低く、融点も高いため、化粧水などの水系製剤に透明性を保ちながら、安定性に優れた製剤を調製することは難しいという問題点があった。
【0003】
そのような背景から、特許文献1では、非イオン性界面活性剤、多価アルコールを組み合わせることで、セラミド類の安定性に優れた可溶化方法及びセラミド類を透明に可溶化した皮膚外用剤配合用組成物を提供している。特許文献2では、高級アルコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコールを組み合わせることで、皮膚外用剤として好適な、液晶構造を有する製剤及びその製造法を提供している。また、特許文献3では、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、油剤、多価アルコールを組み合わせることで、セラミドを安定に含有して結晶析出が無い透明液状組成物を提供し、かつセラミド本来の保湿効果を発揮しうる化粧料を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-338459号公報
【特許文献2】特開2004-331594号公報
【特許文献3】特開2011-073992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、省エネルギーやコスト削減の観点から、短時間かつホモミキサーなどを使用しない弱い撹拌力で可溶化でき、製造可能な化粧料が求められている。しかしながら、従来の技術では、セラミドが配合された化粧料の透明性は優れているものの、水への分散性が悪く、可溶化するための製造時間が長くなる場合や強い撹拌力が必要になる場合があった。また、セラミドを可溶化する界面活性剤によって、容器への充填時や運搬時において泡立ちが生じる場合がある。製剤を容量の小さい容器に充填する際には、充填量を精密にコントロールする必要があるが、泡により液量がずれてしまうという問題があり、この充填時の泡立ちを抑制するため、充填速度を遅くする場合や消泡するまで充填時間を延長する必要があった。そのため、水への分散性が優れ、短時間かつ弱い撹拌力で容易に可溶化でき、充填時の泡立ちが少ないものが求められており、更に高い透明性かつ低温安定性に優れ、塗布時のべたつきが少ない良好な使用感を両立できるものは提案されていなかった。
【0006】
本発明は、セラミドの水系製剤に対する分散性を向上できるため、容易にセミラドを可溶化でき、該組成物を含有する化粧料は高い透明性かつ低温安定性に優れ、塗布時のべたつき及び充填時の泡立ちが少ないセラミド含有組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記事項に鑑みて鋭意検討した結果、セラミド類、特定の非イオン性界面活性剤及び多価アルコールなどを用いることで上記目的を達成できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のものである。
(1) 下記の成分(A)を0.1~10質量%、成分(B)を15~50質量%、成分(C)を1~20質量%、および成分(D)を25~75質量%を含有することを特徴とする、セラミド含有組成物。

(A) セラミド類

(B) 下記式(1)の非イオン性界面活性剤

-O-(AO)a-[(PO)b/(EO)c]-H ・・・(1)

(式(1)中、
は炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、
AOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
a、b及びcはそれぞれ前記オキシアルキレン基AO、前記オキシプロピレン基POおよび前記オキシエチレン基EOの1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦a≦40、1≦b≦40、1≦c≦80、(a+b+c)≧20であり、
[(PO)b/(EO)c]は前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOとがランダム状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示し、
ランダム率xが0.1≦x<1である。)

(C) 下記の式(2)の非イオン性界面活性剤
-O-(PO)d-(EO)e-H ・・・(2)

(式(2)中、
は炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
d及びeはそれぞれ前記オキシプロピレン基POおよび前記オキシエチレン基EOの1分子あたりの平均付加モル数であり、1≦d≦80、1≦e≦40であり、
(PO)d-(EO)eは前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOがブロック状に結合してなるポリオキシアルキレン基を示す。)

(D) 多価アルコール
【0009】
(2) 更に以下の成分(E)を5~40質量%含有することを特徴とする、(1)のセラミド含有組成物。

(E)下記式(3)のアルキレンオキシド誘導体

-{O(PO)f(EO)g-(BO)hH}i・・・(3)

(式(3)中、
は、1~4個の水酸基を有する化合物からすべての前記水酸基を除いた残基であり、
iは1~4であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、
f、gおよびhは、それぞれ、前記オキシプロピレン基PO、前記オキシエチレン基EOおよび炭素数4の前記オキシアルキレン基BOの平均付加モル数であって、1≦f≦40、0≦g≦40、0≦h≦3かつ(f+g+h)×i≧8であり、
前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOの合計量を100質量部としたとき、前記オキシプロピレン基POの質量割合は、25~100質量部であり、gが1以上の場合、前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOはランダム状に結合している。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セラミドの水系製剤に対する分散性を向上できるため、容易にセミラドを可溶化でき、該組成物を含有する化粧料は高い透明性かつ低温安定性に優れ、塗布時のべたつき及び充填時の泡立ちが少ないセラミド含有組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のセラミド含有組成物を構成する各成分について述べる。
<成分(A):セラミド類>
本発明は、成分(A)としてセラミド類を使用することを特徴の一つとする。
【0012】
本発明におけるセラミド類は、セラミド及びその誘導体を包含する。天然抽出物であっても、合成物であってもよい。本発明におけるセラミド類とは、通常、化粧料等に使用できる物であれば限定されないが、以下のものとして定義することができる。
本発明におけるセラミド類とは、分子中に1個以上の長鎖の直鎖及び/若しくは分岐アルキル又はアルケニル基、更に、少なくとも2個以上の水酸基、1個以上のアミド基(及び/又はアミノ基)を有する非イオン系両親媒性物質、或いは当該非イオン系両親媒性物質の水酸基にフォスファチジルコリン残基、又は糖残基が結合した誘導体として表現される一連のセラミド類である。例えば、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン及びそれらの長鎖脂肪酸アミドであるセラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド3B、セラミド4、セラミド5、セラミド6、セラミド6I、セラミド6II等の天然セラミド類;スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンのリン脂質誘導体であるスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質;それらの配糖体であるセレブロシドやガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質及びフィトスフィンゴ糖脂質等である。その中ではセラミド2、N-ステアロイルジヒドロキシスフィンゴシンが特に好ましい。
【0013】
本発明組成物における成分(A)の含有量は0.1~10質量%である。透明性及び低温安定性の観点から、0.5~5質量%が好ましく、1~3質量%が特に好ましい。ただし、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)の質量の合計値を100質量%とする。
【0014】
<成分(B)非イオン性界面活性剤>
成分(B)は、下記の式(1)のアルキレンオキシド誘導体である。成分(B)は1種類のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

-O-(AO)a-[(PO)b/(EO)c]-H ・・・(1)
【0015】
式(1)中のRは、炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。Rの炭素数が12未満であると、組成物の透明性が低下することがあるので、12以上とするが、18以上が好ましく、20以上が特に好ましい。Rの炭素数が36を超えると、塗布時のべたつきが生じる可能性があるので、36以下とするが、32以下が好ましく、26以下が特に好ましい。
【0016】
式(1)のアルキレンオキシド誘導体は、通常、アルコールを用いて製造され、式(1)中のRは、式(1)のアルキレンオキシド誘導体の製造時に用いられるアルコール(ROH)に由来する。かかるアルコールは、炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルコールである。
【0017】
上記アルコール(ROH)としては、例えば、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコサノール、ヘキサトリアコサノール等の直鎖アルコール;イソトリデカノール、1-メチルヘプタデカノール、2-オクチルデカノール、2-デシルテトラデカノール、2-テトラデシルオクタデカノール、2-ヘキサデシルエイコサノール等の分岐アルコール等が挙げられる。式(1)のアルキレンオキシド誘導体の製造時に、これらのアルコールの1種又は2種以上を用いることができる。
これらのアルコールの中で塗布時のべたつき及び透明性の観点から、分岐アルコールが好ましく、イソトリデカノール、1-メチルヘプタデカノール、2-オクチルデカノール、2-デシルテトラデカノールが特に好ましい。
【0018】
式(1)中のAOは炭素数3又は4のオキシアルキレン基であり、オキシプロピレン基、オキシイソブチレン基、オキシ1-エチルエチレン基、オキシ2-ブチレン基、オキシテトラメチレン基が例示できる。AOはオキシプロピレン基が好ましい。AOの平均付加モル数aが2以上の場合、2以上のAOは同種の基であっても、異種の基であってもよい。AOが2種以上の異種の基である場合は、ランダム状付加でもブロック状付加のいずれでもよい。
【0019】
式(1)中のPOはオキシプロピレン基であり、EOはオキシエチレン基である。式(1)中のa、b、cは、それぞれ、AO、PO、EOの1分子あたりの平均付加モル数である。
【0020】
aは1~40の数である。aの上限は、30が好ましく、20が特に好ましく、10がさらに好ましい。aの下限は、2が好ましく、3が特に好ましく、4がさらに好ましい。aが小さすぎたり、大きすぎたりすると、外観の透明性が低下することがある。
【0021】
bは1~40の数である。bの上限は、30が好ましく、20が特に好ましく、10がさらに好ましい。bの下限は、2が好ましく、3が特に好ましく、4がさらに好ましい。bが小さすぎたり、大きすぎたりすると、水への分散性が低下することがある。
【0022】
cは1~80の数である。cの上限は、60が好ましく、40が特に好ましく、30がさらに好ましい。cの下限は、5が好ましく、10が特に好ましく、20が特に好ましい。cが小さすぎたり、大きすぎたりすると、塗布時のべたつきが生じる可能性がある。
【0023】
上記a、b及びcの総和(a+b+c)は20以上であり、好ましくは30以上、特に好ましくは35以上である。(a+b+c)が小さすぎると、透明性及び低温安定性が低下することがある。また、取り扱い易さの点から、(a+b+c)は好ましくは100以下であり、80以下が特に好ましく、50以下がさらに好ましく、40以下がより好ましい。
【0024】
式(I)におけるEOおよびPOの結合部分は[(PO)b/(EO)c] と記載され、この記載は、本発明において、bモルのPOとcモルのEOが、ブロック状ではなく、ランダム状に結合していることを示す。EO及びPOがブロック状に結合していると透明性が低下し、塗布時のべたつき、充填時の泡立ちが生じる可能性がある。
【0025】
また、Rの炭素数をnとしたとき、y=(2n+a)で表されるy値は30≦y≦100であることが好ましく、更に好ましくは30≦y≦80、特に好ましくは35≦y≦80、さらに好ましくは40≦y≦60である。
【0026】
式(1)のアルキレンオキシド誘導体は、ランダム率をxとすると、0.1≦x<1であり、好ましくは0.3≦x≦0.97、特に好ましくは0.5≦x≦0.9、さらに好ましくは0.6≦x≦0.85、より好ましくは0.7≦x≦0.8である。ランダム率xが小さすぎると、透明性及び低温安定性が低下することがある。
【0027】
式(1)のアルキレンオキシド誘導体中のランダム率は、式(1)中のAO、EO、POの1分子あたりの各平均付加モル数a、b、cから下記の式(4)により求めることができる。

x=(b+c)/(a+b+c)・・・(4)
【0028】
式(1)のアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、炭素数が12~36である直鎖又は分岐鎖のアルキルアルコールに、アルカリ触媒下、50~160℃、0.5MPa(ゲージ圧)以下にてアルキレンオキシドを付加重合した後に、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物を付加重合し、塩酸、リン酸、酢酸などの酸にて中和し、さらに水分及び中和塩を除去することで式(I)のアルキレンオキシド誘導体を得ることができる。
【0029】
成分(B)の含有量は15~50質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎる場合は透明性及び低温安定性が悪くなり、多すぎる場合は塗布時のべたつきが生じ、分散性が悪くなる可能性がある。この観点から、成分(B)の含有量は20~45質量%が好ましく、25~45質量%が特に好ましい。ただし、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)の質量の合計値を100質量%とする。
【0030】
<成分(C):非イオン性界面活性剤>
成分(C)は下記の式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体である。成分(C)は1種類のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。

-O-(PO)d-(EO)e-H ・・・(2)
【0031】
式(2)中のRは、炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。Rの炭素数が12未満であると、組成物の透明性及び低温安定性が低下することがあるので、12以上とするが、18以上が好ましく、20以上が特に好ましい。Rの炭素数が36を超えると、塗布時のべたつきが生じる可能性があるので、36以下とするが、32以下が好ましく、26以下が特に好ましい。
【0032】
式(2)のアルキレンオキシド誘導体は、通常、アルコールを用いて製造され、式(2)中のRは、式(2)のアルキレンオキシド誘導体の製造時に用いられるアルコール(ROH)に由来する。かかるアルコールは、炭素数12~36の直鎖又は分岐鎖のアルコールである。
【0033】
上記アルコール(ROH)としては、例えば、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコサノール、ヘキサトリアコサノール等の直鎖アルコール;イソトリデカノール、1-メチルヘプタデカノール、2-オクチルデカノール、2-デシルテトラデカノール、2-テトラデシルオクタデカノール、2-ヘキサデシルエイコサノール等の分岐アルコール等が挙げられる。これらの中でも分岐アルコールが好ましく、2-デシルテトラデカノールがより好ましい。式(2)のアルキレンオキシド誘導体の製造時に、これらのアルコールの1種又は2種以上を用いることができる。
【0034】
POはオキシプロピレン基であり、EOはオキシエチレン基である。式(2)中のd、eは、それぞれPO、EOの1分子あたりの平均付加モル数である。
【0035】
dは1~80の数である。dの上限は、50が好ましく、40が特に好ましく、30がさらに好ましい。dの下限は、3が好ましく、5が特に好ましく、8がさらに好ましい。dが小さすぎたり、大きすぎたりすると、透明性及び低温安定性が低下することがある。
【0036】
eは1~40の数である。eの上限は、35が好ましく、25が特に好ましく、15がさらに好ましい。eの下限は、2が好ましく、3が特に好ましく、5がさらに好ましい。eが小さすぎると、透明性及び低温安定性が低下し、大きすぎると、塗布時のべたつきが生じる可能性がある。
【0037】
式(2)におけるEOおよびPOの結合部分は(PO)d-(EO)eと記載され、この記載は本発明においてdモルのPOとeモルのEOが、ブロック状に結合していることを示す。
【0038】
式(2)で示される非イオン性界面活性剤のHLB(hydrophile・lipophile・balance)は水への分散しやすさ及び塗布時のべたつきの観点から、4~10が好ましく、5~8が特に好ましい。HLBは有機概念図におけるIOB×10で示される。前記有機概念図におけるIOBとは、前記有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、即ち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。
前記有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は、“Pharmaceutical Bulletin”, 1954, vol.2, 2, pp.163-173;「化学の領域」,
1957, vol.11, 10, pp.719-725などで説明されている。
【0039】
式(2)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、炭素数が12~36個である直鎖又は分岐鎖のアルキルアルコールに、アルカリ触媒下、50~160℃、0.5MPa(ゲージ圧) 以下にてプロピレンオキシドを付加重合した後に、エチレンオキシドを付加重合し、塩酸、リン酸、酢酸などの酸にて中和し、さらに水分及び中和塩を除去することで、式(2)のアルキレンオキシド誘導体を得ることができる。
【0040】
成分(C)の含有量は1~20質量%である。成分(C)の含有量が少なすぎる場合は、透明性及び低温安定性が悪くなり、多すぎる場合は塗布時のべたつきが生じる可能性がある。この観点から、2~15質量%が好ましく、5~12質量%が特に好ましい。
【0041】
<成分(D):多価アルコール>
本発明は、成分(D)として多価アルコールを使用することを特徴の一つとする。
【0042】
具体的な多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、グルコース、マルトース、ソルビトールなどが挙げられる。好ましくはジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールであり、特に好ましくはジプロピレングリコール、ペンチレングリコールである。これらの成分(D)は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を適宜組み合わせで用いても良い。
【0043】
成分(D)の含有量は25~75質量%である。成分(D)の含有量が少なすぎる場合は水へに分散性が悪くなり、多すぎる場合は塗布時のべたつきが生じる可能性がある。30~70質量%が好ましく、33~68質量%が特に好ましい。
【0044】
<成分(E):アルキレンオキシド誘導体>
本発明の組成物は、成分(E)として、下記の式(3)で表されるアルキレンオキシド誘導体を5~40質量%含有することで、透明性及び低温安定性を向上させ、塗布時のべたつきが無い良好な使用感とすることができる。

-{O(PO)f(EO)g-(BO)hH}i ・・・(3)
【0045】
前記の式(3)において、Rは、炭素数1以上で1~4個の水酸基を有する化合物から前記水酸基をすべて除いた残基である。iは、Rの化合物の水酸基の数であり、1~4である。つまり、前記した1~4個の水酸基を有する化合物の化学式は、R(OH)iとなる。
【0046】
1~9個の水酸基を有する化合物R(OH)iとしては、i=1であればメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、i=2であればエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、i=3であればグリセリン、トリメチロールプロパン、i=4であればエリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、アルキルグルコシド等が挙げられる。また、これらを混合して用いても良い。この中で、好ましくはブタノール、グリセリン、アルキルグルコシドであり、更に好ましくはグリセリンである。
【0047】
fはPOの平均付加モル数であり、塗布時のべたつきの観点から1≦f≦40であり、好ましくは1≦f≦20で、より好ましくは1≦f≦5である。
【0048】
gはEOの平均付加モル数であり、透明性及び低温安定性の観点の観点から、0≦g≦40であり、好ましくは2≦g≦20、より好ましくは2≦g≦10である。
【0049】
POとEOの合計量を100質量部としたとき、POの質量割合は、25~100質量%する。塗布時のべたつきの観点から、POの質量割合を25質量%以上とするが、30質量%以上とすることが好ましく、40質量%以上とすることが更に好ましい。また、POの質量割合は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
【0050】
塗布時のべたつきの観点から、EOの平均付加モル数mが0より大きいときには、POとEOはランダム状に結合している必要がある。
【0051】
BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシ(1-エチルエチレン)基、オキシ(1,1-ジメチルエチレン)基、オキシ(1,2-ジメチルエチレン)基である。BOは、特に好ましくは1,2-ブチレンオキシド由来のオキシ(1-エチルエチレン)基である。
【0052】
hは、BOの平均付加モル数であり、0≦h≦3である。透明性及び低温安定性の観点から、hを3以下とするが、2以下とすることが更に好ましい。また、hは好ましくは1以上である。式(1)においては、hが0でない場合には、(BO)hが末端水素原子に結合していることが必要である。
【0053】
EO、PO、BOの各付加モル数は、(f+g+h)×i≧8の関係を満足する。((f+g+h)×iは、EO、PO、BOの総付加モル数に相当する。(f+g+h)×iは塗布時のべたつきの観点から、8~150であることが好ましく、8~80であることが更に好ましい。
【0054】
前記の式(3)で示されるアルキレンオキシド誘導体は、公知の方法で製造することができる。例えば、1個以上の水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合した後、炭素数4のアルキレンオキシドを反応させることによって得られる。ただしBOは、EO、POの付加重合後に反応させる必要がある。
【0055】
本発明組成物が成分(E)を含有する場合には、成分(E)の含有量は5~40質量%が好ましい。透明性及び低温安定性及び塗布時のべたつきの観点から、10~35質量%が好ましく、15~35質量%が更に好ましく、15~30質量%が特に好ましい。ただし、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、および成分(E)の質量の合計値を100質量%とする。
【0056】
成分(B)の質量の成分(C)の質量に対する比率((B)/(C))を1~10とすることによって、透明性及び低温安定性に優れたセラミド含有組成物を得られやすくなる。この観点から、(B)/(C)は1~7が好ましく、2~5とすることが更に好ましく、3~4とすることが特に好ましい。
【0057】
(他の添加剤)
本発明の化粧料は、本発明のセラミド含有組成物に加えて、必要に応じて化粧料に常用されている添加剤を適宜配合することができる。前記添加剤としては、本発明の目的を妨げない限り特に限定されないが、例えば油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色材、アルコール類、紫外線防御剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素等が挙げられる。
【実施例0058】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例中の配合量は「質量%」単位である。
【0059】
<成分(A)>
成分(A):セラミド2
【0060】
<合成例1:成分(B-1)の合成>
イソトリデカノール100gと触媒としての水酸化カリウム2.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を溶解した。引続き、120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置によりプロピレンオキシド232gを滴下し、3時間撹拌した。続いて120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧) にて滴下装置よりエチレンオキシド528g、プロピレンオキシド145gの混合物を滴下させ、2時間撹拌した。その後、オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために減圧-0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。更に、処理後に生成した塩を除去するために濾過を行い、成分(B-1)を得た。
また、JIS K1557-1に準じた水酸基価測定によって得られる水酸基価からエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の数平均分子量を求め、その数平均分子量から式(1)におけるa、b、cの値を特定し、更にランダム率xを算出した。
【0061】
<合成例2:成分(B-2)~(B-3)、(B’-1)、(B’-2)の合成>
出発原料ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各付加量を変更したこと以外は、合成例1と同様の合成方法にて、成分(B-2)~(B-3)、(B’-1)~(B’-2)を得た。
【0062】
成分(B-1)~(B-3)、(B’-1)~(B’-2)について、出発原料、アルキレンオキシドの種類、アルキレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各平均付加モル数(a、b、c)、各平均付加モル数の合計(a+b+c)、y、b/cならびにランダム率xを表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
<合成例3:成分(C-1)の合成>
ラウリルアルコール250gと触媒としての水酸化カリウム2.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を溶解した。引続き、120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置によりプロピレンオキシド468gを滴下し、3時間撹拌した。続いて120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧) にて滴下装置よりエチレンオキシド295gを滴下させ、2時間撹拌した。その後、オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために減圧-0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。更に、処理後に生成した塩を除去するために濾過を行い、成分(C-1)を得た。
また、JIS K1557-1に準じた水酸基価測定によって得られる水酸基価からエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の数平均分子量を求め、その数平均分子量から式(2)におけるd、eの値を特定した。
【0065】
<合成例4:成分(C-2)、(C-3)、(C-4)の合成>
出発原料ならびにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各付加量を変更したこと以外は、合成例3と同様の合成方法にて、成分(C-2)、(C-3)、(C-4)を得た。
【0066】
<合成例5:成分(C’-1)の合成>
ラウリルアルコール250gと触媒としての水酸化カリウム2.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を溶解した。引続き、120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置によりプロピレンオキシド468gを滴下し、3時間撹拌した。その後、オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために減圧-0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。更に、処理後に生成した塩を除去するために濾過を行い、成分(C’-1)を得た。
また、JIS K1557-1に準じた水酸基価測定によって得られる水酸基価からプロピレンオキシド付加物の数平均分子量を求め、その数平均分子量からdの値を特定した。
【0067】
<合成例6:成分(C’-2)の合成>
2-デシルテトラデカノール300gと触媒としての水酸化カリウム2.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を溶解した。引続き、120℃、0.2~0.5MPa(ゲージ圧)にて、エチレンオキシド298g、プロピレンオキシド736gの混合物を滴下させ、2時間撹拌した。その後、オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために減圧-0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。更に、処理後に生成した塩を除去するために濾過を行い、成分(C’-2)を得た。
また、JIS K1557-1に準じた水酸基価測定によって得られる水酸基価からエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の数平均分子量を求め、その数平均分子量からd、eの値を特定した。
【0068】
成分(C-1)~(C-4)、(C‘-1)、(C’-2)について、出発原料、アルキレンオキシドの種類、アルキレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの各平均付加モル数(d、e)を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
<成分(D)>
成分(D-1):1,3-ブチレングリコール
成分(D-2):ジプロピレングリコール
成分(D-3):ペンチレングリコール
【0071】
<合成例7:成分(E-1)の合成>
1-ブタノール74gと触媒として水酸化カリウム4gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド396gとプロピレンオキシド580gの混合物を滴下させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸でpHを中性とし、含有する水分を除去するため減圧-0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、成分(E-1)を得た。
【0072】
<合成例8:成分(E-2)の合成>
グリセリン92gと触媒として水酸化カリウム6gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド308gとプロピレンオキシド290gの混合物を滴下させ、2時間撹拌した。さらに滴下装置によりブチレンオキシド216gを滴下させ、2時間撹拌し反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するため減圧-0.095MPa(ゲージ圧)、100℃で1時間処理した。さらに処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、成分(E-2)を得た。
【0073】
合成例8と同様に、表3に示す成分((E)-3)の合成を行った。出発原料、アルキレンオキシドの種類、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの各平均付加モル数(f、g、h)を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
<実施例1~13>
表4、表5に記載した組成で、下記の製法によってセラミド含有組成物及びセラミド含有組成物の水希釈溶液を調製した。そして、水への分散しやすさ、透明性及び低温安定性、塗布時のべたつき、泡立ちの少なさを評価し、その結果を表4、表5に記載した。
【0076】
<比較例1~9>
表6に記載した組成で、下記の製法によってセラミド含有組成物及びセラミド含有組成物の水希釈溶液を調製した。そして、水への分散しやすさ、透明性及び低温安定性、塗布時のべたつき、泡立ちの少なさを評価し、その結果を表6に記載した。
【0077】
<調製法>
工程I:各表中の成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)をビーカーに投入し、80℃で均一になるまで撹拌を行い、セラミド含有組成物を得た。
工程II:80℃の水をスクリュー管(口内径×胴径×全長:φ20.3×φ40×120mm)に計り取り、スターラー(φ8×25mm)を用いて、300rpmで撹拌しながら、工程Iで調製したセラミド含有組成物を規定量添加し、均一になるまで撹拌を行った。目視により沈殿物や浮遊物が無くなるまで撹拌を行った。撹拌をしながら、室温まで冷却し、セラミド含有組成物の水希釈液を調製した。
【0078】
<水への分散しやすさ>
工程IIに示した方法を用いて、セラミド含有組成物の水希釈液を調製する際に、目視により沈殿物や浮遊物が確認できなくなった場合を均一であると判断し、均一となるまでの撹拌時間を測定し、下記基準で水への分散しやすさを判定した。

◎: セラミド含有組成物の添加後、すぐに分散し、均一となった。
○: セラミド含有組成物の添加後、1分以上5分以下の時間がかかり、均一となった。
△: セラミド含有組成物の添加後、5分以上の時間がかかり、均一となった。もしくは均一とならずに、沈殿物や浮遊物が残存した。
【0079】
<透明性>
調製したセラミド含有組成物の水希釈液50mLを100ccのガラス容器に充填し、調製直後の試料の外観を確認した。試料を入れたガラス容器を通して、5cm離れた距離にある文字(「あ」:大きさ1cm四方:MSゴシック体)の判読容易性で評価を行った。

◎: 透明性があり、はっきりと判読できる
○: 曇りがあるが、判読できる
△: 文字の存在が確認できず、乳濁している
【0080】
<低温安定性>
調製したセラミド含有組成物の水希釈液50mLを透明ガラス容器に入れて密封し、0℃で1ヶ月間保存した。1ヵ月後に、それぞれの温度で保存した試料の外観を観察して、下記基準で判定した。

○:保存後の試料の外観変化が無かった
×:保存後の試料の外観に分離等の変化があった
【0081】
<塗布時のべたつき>
パネラー10名の前腕に調製したセラミド含有組成物の水希釈液を0.5g塗布し、下記の基準で試料のべたつきの官能評価を行った。

3点: パネラーがべたつきを殆ど感じず、良好な感触であった。
2点: パネラーがべたつきをやや感じた。
1点: パネラーがべたつきを強く感じた。

更に、パネラー10名の評価の合計点を、下記基準で判定した。

◎: 25点以上
○: 20点以上、25点未満
△: 20点未満
【0082】
<泡立ちの少なさ>
充填時における泡立ちの少なさは、ボルテックスミキサー(サイエンティフィックインダストリーズ社)を用いて評価を行った。セラミド含有組成物の水希釈液50mLを100mLスクリュー管(口内径×胴径×全長:φ20.3×φ40×120mm)に計量し、3000rpmで10秒間撹拌を行った。攪拌直後及び30秒後の泡の高さを観察し、下記基準で判定した。

(攪拌直後の泡の高さ)
◎:落下直後において泡が8mm未満
〇:落下直後において泡が15mm未満
△:落下直後において泡が15mm以上

(攪拌30秒後の泡の高さ)
◎:落下30秒後において泡が8mm未満
〇:落下30秒後において泡が15mm未満
△:落下30秒後において泡が15mm以上
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
本発明の組成に則った実施例1~13のセラミド含有組成物では、水への分散性に優れており、水に希釈した際の透明性及び低温安定性に優れ、塗布時のべたつきが無く、良好な感触を有しており、泡立ちが少ないものであった。
【0087】
本発明の組成と異なる組成である比較例1~9のセラミド含有組成物は、水への分散性、水に希釈した際の透明性及び低温安定性、塗布時のべたつき、泡立ちのいずれかが、実施例1~13のセラミド含有組成物に比べて劣っていた。
【0088】
すなわち、比較例1では、成分(B)の含有量が少ないが、低温安定性、透明性が低い。
比較例2、3では、成分(B)を用いていないが、透明性、低温安定性が低い。
比較例4では、成分(B)の含有量が多いが、塗布時のべたつき、泡立ちが見られた。
比較例5では、成分(B)を用いていないが、水への分散性が低く、塗布時のべたつき、泡立ちが見られた。
比較例6、7、8では、成分(C)を用いていないが、低温安定性、透明性等が低い。
比較例9では、成分(B)、(C)を用いていないが、水への分散性が低く、塗布時のべたつき、泡立ちが見られた。