(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030083
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置
(51)【国際特許分類】
A47G 23/08 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133835
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】390010319
【氏名又は名称】株式会社石野製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】松下 哲大
(72)【発明者】
【氏名】新村 武史
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA29
3B115CA01
3B115CB07
3B115DB13
3B115DC16
(57)【要約】
【課題】本発明は、搬送路が客席から覆い隠されても購買意欲を高めることを可能にすることを解決課題とする。
【解決手段】本発明は、飲食物の搬送路沿いに設置される飲食物搬送装置用自動扉であって、搬送路と搬送路沿いにある客席との間で扉を開閉させる自動扉本体と、少なくとも飲食店で取り扱う飲食物を扉に表示させることが可能な表示装置と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物の搬送路沿いに設置される飲食物搬送装置用自動扉であって、
前記搬送路と前記搬送路沿いにある客席との間で扉を開閉させる自動扉本体と、
少なくとも前記飲食店で取り扱う飲食物を前記扉に表示させることが可能な表示装置と、を備える、
飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項2】
前記自動扉本体は、
前記搬送路と前記搬送路沿いにある客席との間で垂下する、前記扉となる垂れ幕と、
前記垂れ幕の上部で前記垂れ幕を上下方向に巻き取り可能な電動式の巻き取り装置と、
前記客席への飲食物の到着に連動して前記巻き取り装置を作動させる制御装置と、を有する、
請求項1に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項3】
前記表示装置は、前記扉に投影可能なプロジェクターである、
請求項1又は2に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項4】
前記表示装置は、前記自動扉本体が前記扉を開く際は表示を停止する、
請求項1から3の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉。
【請求項5】
飲食物を搬送する飲食物搬送装置であって、
複数の客席沿いに前記搬送路を形成する搬送機構と、
前記搬送路沿いの各客席部分に設けられる請求項1から4の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉と、を備える、
飲食物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店においては、搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲食物を機械で搬送する仕組みとしては、例えば、厨房から客席へ至るベルトコンベアに飲食物の皿を載せて搬送するものや、厨房と客席との間を往復する台車に飲食物の皿を載せて搬送するもの、店内を循環する循環搬送路に飲食物の皿を載せて搬送するものがある。しかし、何れの仕組みも複数の客席沿いに設けられた搬送路で飲食物を搬送するので、搬送路がカバー等で覆われていない場合、搬送途中の注文飲食物を他の客が誤って取る可能性がある。そこで、特許文献1に開示されているような自動開閉式のゲートを客席付近に設置し、搬送途中の注文飲食物を他の客が誤って取るのを防ぐ手段を講ずることが考えられる。
【0005】
ところが、このようなゲートを使う場合、客席側の空間と搬送路側の空間との間を遮断することができない。よって、例えば、審美性の観点や、飛沫等の飛散防止といった衛生上の観点から搬送路を客席から覆い隠したい場合に、このようなゲートを採用することはできない。そこで、このようなゲートに代わり、例えば、スライド式の扉を設けた壁体等で搬送路を客席から覆い隠すことが考えられる。しかし、搬送路が客席から覆い隠されると、搬送路の飲食物を客に見せることができないため、購買意欲が損なわれる恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、搬送路が客席から覆い隠されても購買意欲を高めることを可能にすることを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、搬送路と搬送路沿いにある客席との間で扉を開閉させる自動扉本体に、少なくとも飲食店で取り扱う飲食物を表示させることにした。
【0008】
詳細には、本発明は、飲食物の搬送路沿いに設置される飲食物搬送装置用自動扉であって、搬送路と搬送路沿いにある客席との間で扉を開閉させる自動扉本体と、少なくとも飲食店で取り扱う飲食物を扉に表示させることが可能な表示装置と、を備える。
【0009】
搬送路を流れる商品が客席の客に与える訴求力は、客席側の空間と搬送路側の空間との間を遮断する扉を設けると失われることになる。そこで、扉を設けることによって失われる訴求力を補うために、飲食店で取り扱う飲食物を表示装置類で表示させることが考えられる。飲食店で取り扱う飲食物が表示装置類に表示されれば、搬送路で搬送される飲食物が有していた訴求力を補うことができる。しかし、このような表示装置類は、通常、客席付近であっても飲食の邪魔にならないような場所に設置されることになる。このような場
所に設置されると、搬送路を流れていた飲食物が有していたのと同等の訴求力を当該表示装置類に発揮させることは難しい。
【0010】
そこで、本発明は、客席側の空間と搬送路側の空間との間を遮断する扉に、少なくとも飲食店で取り扱う飲食物を表示させることで、搬送路を流れる商品が客席の客に与えていたのと同等の訴求力を発揮できるようにしたものである。通常、このような扉は、開閉されるが故に、表示面として活用することに想到することは難しい。本発明は、このような固定概念から離れ、当該扉を表示面として活用することにより、このような扉が無い場合に搬送路の商品が客に与えていたのと同等の訴求力を与えることが可能となることを見出したものである。
【0011】
なお、自動扉本体は、搬送路と搬送路沿いにある客席との間で垂下する、扉となる垂れ幕と、垂れ幕の上部で垂れ幕を上下方向に巻き取り可能な電動式の巻き取り装置と、客席への飲食物の到着に連動して巻き取り装置を作動させる制御装置と、を有するものであってもよい。これによれば、例えば、スライド式の扉のように開いた扉を収納する戸袋やスライド機構の設置スペースが不要である。よって、限られたスペースであっても大開口の扉を客席と搬送路との間に設置することが可能となる。
【0012】
また、表示装置は、扉に投影可能なプロジェクターであってもよい。これによれば、扉自体が表示装置を内蔵する必要が無い。
【0013】
また、表示装置は、自動扉本体が扉を開く際は表示を停止するものであってもよい。これによれば、扉が開いた状態においては表示が停止されるので、客に違和感を与えない。
【0014】
また、本発明は、飲食物搬送装置の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、飲食物を搬送する飲食物搬送装置であって、複数の客席沿いに搬送路を形成する搬送機構と、搬送路沿いの各客席部分に設けられる請求項1から4の何れか一項に記載の飲食物搬送装置用自動扉と、を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記の飲食物搬送装置用自動扉および飲食物搬送装置であれば、搬送路が客席から覆い隠されても購買意欲を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置の全体構成図である。
【
図3】
図3は、自動扉の内部構造を示した図である。
【
図4】
図4は、飲食物の搬送状態を示した図である。
【
図5】
図5は、垂れ幕を巻き取り棒から取り外す様子を示した図である。
【
図6】
図6は、垂れ幕に映像を投影した様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。以下に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷら、焼肉といった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0018】
図1は、実施形態に係る注文飲食物搬送装置1の全体構成図である。注文飲食物搬送装置1は、客の注文を受けて用意された飲食物Fを飲食店の厨房5から客席3へ搬送する装置であり、
図1に示すように、客が飲食する客席3付近に配置されている。そして、注文
飲食物搬送装置1は、飲食店の厨房5側から客席3へ至るベルトコンベア11により、飲食物Fを搬送する。なお、
図1では、厨房5側から客席3へ至る搬送路が1本のベルトコンベア11で形成されているが、当該搬送路は、複数のベルトコンベアの組合せにより形成されていてもよい。搬送路が複数のベルトコンベアの組合せにより形成される場合、厨房5側のベルトコンベアは、飲食物Fが下流側のベルトコンベアへ乗り移った時点で停止するようにすれば、下流側のベルトコンベアが作動している状態であっても次に搬送する飲食物Fを載せることが可能な状態になる。また、搬送路は、直線状に形成される形態に限定されるものではなく、例えば、複数のベルトコンベア同士の組合せによりコーナー部分等を有するものであってもよい。また、
図1では、ベルトコンベア11は、食器を載せたトレーの飲食物Fを載せることが横幅を有しているが、寿司皿等の小さい皿を載せることが可能な横幅の小さいものであってもよい。また、注文飲食物搬送装置1は、ベルトコンベア11を並列に複数設けたものであってもよい。
【0019】
ベルトコンベア11は、飲食物Fを搭載可能な横幅を有する。ベルトコンベア11には、回転制御可能な駆動モータや支持用のローラ、センサ等が設けられている。そして、駆動モータは、図示しない制御装置に繋がっており、操作パネルに入力された操作内容や各センサからの信号に基づいて制御される。
【0020】
また、注文飲食物搬送装置1には、自動扉2が設けられている。自動扉2は、ベルトコンベア11が形成する搬送路と各客席3との間に立設されている。ベルトコンベア11は、ベルトコンベア11が形成する搬送路と客席3との間を扉で遮る装置であり、注文飲食物搬送装置1の制御装置に連動して扉を自動開閉する。
【0021】
図2は、客席3付近を拡大した図である。
図2を見ると判るように、自動扉2は、ベルトコンベア11が形成する搬送路と各客席3との間に配置されている。そして、注文飲食物搬送装置1は、客席3に設置された注文端末等を介して注文が受け付けられ、厨房5で用意された飲食物Fをベルトコンベア11で搬送すると、客席3の客が飲食物Fをベルトコンベア11から取り出す際に手を出し入れするための取出し部分に設置されている自動扉2を作動させて扉を自動開閉させる。
【0022】
なお、
図2では、湯呑みや調味料、お品書き等を乗せる棚板4が自動扉2の上側に図示されているが、注文飲食物搬送装置1は、このような形態に限定されるものではない。注文飲食物搬送装置1は、棚板4を省略したものであってもよい。また、
図2では、ボックス席タイプの客席3が図示されているが、客席3は、例えば、カウンター席タイプであってもよい。
【0023】
図3は、自動扉2の内部構造を示した図である。自動扉2は、
図3に示されるように、扉を構成する垂れ幕21と、垂れ幕21の下端に装着される下端錘22と、垂れ幕21を巻き取る巻き取り棒23、巻き取り棒23から垂れ下がる垂れ幕21の垂れ下がり位置を規定するためのローラ24と、垂れ幕21の下端が前後に振れないように下端錘22の長手方向両端部をガイドするガイドレール25と、巻き取り棒23を回転させるためのモータ26及び駆動ベルト27とを有する。垂れ幕21は、着脱ファスナー28を介して巻き取り棒23に繋がっている。
【0024】
垂れ幕21は、後述するように当該垂れ幕21へ各種の映像を投影可能な非透明なシートで構成される。
【0025】
下端錘22は、垂れ幕21の横幅よりもやや長い金属製の棒材である。下端錘22は、垂れ幕21を構成するシートの下端を折り返して溶着することにより形成された筒状部に挿入される。また、下端錘22の両端は、ガイドレール25に嵌っている。よって、垂れ
幕21の下端は、自動扉2の前後方向には揺れない。そして、垂れ幕21の下端を自重で重力方向に引っ張ることにより、垂れ幕21の下端が揺れるのを防ぐ。また、垂れ幕21が下りる際に垂れ幕21が捲れ上がるのを防ぐ。
【0026】
巻き取り棒23は、垂れ幕21を巻き取るための丸棒であり、自動扉2に要求される開閉速度をモータ26で満たすことが可能な程度の外径を有する。巻き取り棒23は、長手方向の一端に設けられたプーリーへ駆動ベルト27を介して伝達されるモータ26の回転力により回転される。
【0027】
ガイドレール25は、自動扉2が開閉する開口部の両側において、上下方向に延在する直線状のガイドである。ガイドレール25は、断面視コの字型の部材により、下端錘22の両端部を自動扉2の手前側と奥側の両方から囲むように係合している。これにより、下端錘22の端部は、ガイドレール25が形成する上下方向の案内経路に沿った移動範囲に制限される。また、下端錘22の端部が接触するガイドレール25の摺動面は、平滑性に優れる低摩擦係数の樹脂で形成されている。このため、自動扉2が開閉する際、下端錘22の端部がガイドレール25に接触する接触音や摺動音はほとんど発生しない。
【0028】
図4は、飲食物Fの搬送状態を示した図である。
図4(A)に示されるように、厨房5において注文飲食物搬送装置1のベルトコンベア11に飲食物Fが置かれて搬送開始操作が行われると、ベルトコンベア11が作動する。ベルトコンベア11が作動すると、
図4(B)に示されるように、ベルトコンベア11に置かれた飲食物Fが厨房5から客席3の方へ移動を開始する。そして、
図4(C)に示されるように、指定の搬送先の客席3に飲食物Fが到着すると、自動扉2が作動して扉の開動作が行われる。そして、客席3の客が飲食物Fをベルトコンベア11から取り除くと、自動扉2が作動して扉の閉動作が行われる。注文飲食物搬送装置1におけるこれらの動作は、注文飲食物搬送装置1に設けられた図示しない光学式センサ等からの信号に基づいて制御信号を発する注文飲食物搬送装置1の制御装置が、注文飲食物搬送装置1に備わるモータやソレノイド等の各種電動部品を作動させることによって実現される。注文飲食物搬送装置1は、飲食物Fが指定の搬送先へ到着して自動扉2を開く際、例えば、飲食物Fの到着を音や光で客に知らせるようにしてもよい。
【0029】
このような自動扉2を注文飲食物搬送装置1に設けておけば、客席3側の空間とベルトコンベア11が形成する搬送路側の空間との間を垂れ幕21で遮断することができる。よって、例えば、審美性の観点や衛生上の観点に基づき、ベルトコンベア11の搬送路を客席3から覆い隠すことが可能となる。また、垂れ幕21を上部の巻き取り棒23で巻き取る自動扉2であれば、例えば、スライド式の扉のように開いた扉を格納するための戸袋やスライド機構の設置スペースを確保する必要が無いため、店舗内の限られたスペースに客席3を適切に配置する際の障害とならない。よって、このような自動扉2であれば、限られたスペースであっても大開口の扉を客席3とベルトコンベア11の搬送路との間に設置することが可能となる。また、自動扉2の開口の大きさは、垂れ幕21の横幅や巻き取り棒23の長さを適宜設計変更するだけで変更できるため、店舗ごとに様々な大きさの開口の自動扉2を製作することも容易である。
【0030】
また、上記の自動扉2では、垂れ幕21が下端錘22の自重で垂れ下がる機構を採用しているため、仮に客席3の客が手を扉に挟んだ場合であっても、垂れ幕21の下端は手の上に載った状態で止まる。よって、例えば、スライド式の扉のように、挟まった手がモータの動力を受け続ける可能性や、剛構造の扉の重量が手に集中することが無い。
【0031】
なお、上記実施形態は、注文飲食物をベルトコンベア11で搬送する注文飲食物搬送装置1に自動扉2を設置する形態となっていたが、自動扉2は、例えば、クレセントチェー
ンを使った循環搬送方式の飲食物搬送装置や、ベルトコンベアの代わりに搬送路を走行する台車で飲食物を搬送する装置に設置されてもよい。循環搬送方式の飲食物搬送装置に自動扉2が設置される場合、当該自動扉2は、注文飲食物が指定の搬送先に到着した時点で自動扉2を開く形態であってもよいし、或いは、注文品ではない飲食物が近づいてきたことを知った客席3の客がボタン操作等により自動扉2を開く形態であってもよい。自動扉2は、既設の注文飲食物搬送装置1に追加で設置することも可能である。
【0032】
ところで、上記実施形態の垂れ幕21は、以下のようにメンテナンスすることができる。
図5は、垂れ幕21を巻き取り棒23から取り外す様子を示した図である。垂れ幕21は、着脱ファスナー28を介して巻き取り棒23に繋がっている。よって、垂れ幕21の清掃や交換を行いたい場合、着脱ファスナー28で垂れ幕21を巻き取り棒23から外すことができる。垂れ幕21を巻き取り棒23から外したい場合は、最初に、
図5(A)に示すように、垂れ幕21を下げて自動扉2を閉じた状態にする。次に、
図5(B)に示すように、着脱ファスナー28をスライドさせて着脱ファスナー28を開き、垂れ幕21の上端部分を巻き取り棒23から外す。次に、
図5(C)に示すように、下端錘22の一端を上げて下端錘22を傾け、下端錘22をガイドレール25から取り外す。そして、
図5(D)に示すように、垂れ幕21の下端の筒状部から下端錘22を引き抜く。これにより、垂れ幕21の取り外しが完了する。垂れ幕21を取り付ける場合は、一連の工程を逆の順序で行う。なお、下端錘22の端部には、指を掛けるための孔が設けられていると、引き抜きが容易である。
【0033】
自動扉2は、このように、垂れ幕21を着脱ファスナー28で容易に取り外すことができる。このため、垂れ幕21が例えば飲食物等により汚れた場合であっても、当該垂れ幕21の清掃や交換といったメンテナンスを容易に行うことができる。なお、着脱ファスナー28の代わりに、例えば、面ファスナーやスナップボタン、その他各種の着脱手段を適用してもよい。
【0034】
ところで、上記実施形態の垂れ幕21は、各種の映像を投影するスクリーンとして利用される。
図6は、垂れ幕21に映像を投影した様子を示した図である。垂れ幕21を白いシートで構成し、垂れ幕21に映像を投影可能な位置にプロジェクター6を設置すれば、垂れ幕21にプロジェクター6で映像を映し出すことができる。プロジェクター6は、
図6では客席3の上方に設置されているが、例えば、自動扉2の上部に設けられていてもよい。垂れ幕21に映像を映し出すプロジェクター6が客席3の上方や自動扉2の上部に設置されていれば、投影方向的に、カウンターやテーブルに置かれたがり、醤油、箸などが障害物にならない。この場合、プロジェクター6は、短焦点型のプロジェクターであることが好ましい。このようなプロジェクター6で垂れ幕21に映像が投影されれば、客席3にいる客は、注文した飲食物Fが客席3に到着するまでの待ち時間や、飲食を終了してから会計を行うまでの待ち時間、或いは、客同士の会話中といった各シーンにおいて、映像を通じた話題の提供、娯楽の提供、商品の紹介による購買意欲の向上等を図ることが可能となる。
【0035】
垂れ幕21にプロジェクター6で表示する映像には、例えば、飲食店で取り扱っている商品が含まれる。このような商品が垂れ幕21に表示されれば、ベルトコンベア11の搬送路を流れる商品が客席3の客に従来与えていた、自動扉2の設置によって失われる商品の訴求力を、垂れ幕21に映し出される商品の映像で補うことができる。また、プロジェクター6は、例えば、客席3の客が自身のスマートフォンから転送した映像を垂れ幕21に表示可能なようにしてもよい。これによれば、客は、例えば、自身のスマートフォンで再生している映像等のコンテンツを大画面で楽しむことができる。
【0036】
ところで、自動扉2は、注文飲食物搬送装置1が搬送する飲食物Fが客席3に到着する
度に垂れ幕21を自動開閉する。よって、垂れ幕21に映像が投影され続けていると、自動扉2が垂れ幕21を開いた際、プロジェクター6が放つ映像の光がベルトコンベア11や飲食物Fに照射されることになる。プロジェクター6が放つ光が飲食物Fに照射されると、飲食物F本来の色が失われて変色したように見えてしまう。飲食物Fが変色したように見えると、客席3にいる客の食欲に影響を与える可能性がある。そこで、垂れ幕21にプロジェクター6で映像を投影する場合、注文飲食物搬送装置1の制御装置は、自動扉2に垂れ幕21を開閉させるための制御信号を送ると同時に、プロジェクター6に投影を一時停止させる制御信号をプロジェクター6へ送るようにしてもよい。
【0037】
自動扉2の開閉に連動してプロジェクター6の投影を一時停止する場合、プロジェクター6が投影する映像の内容を自動扉2の開閉に連動させるようにしてもよい。例えば、自動扉2が飲食物Fを厨房5から客席3へ向けて搬送している間、飲食物Fが近づいてくることを想起させるような映像をプロジェクター6が垂れ幕21に投影する。そして、自動扉2が開く直前に飲食物Fが到着したことを想起させるような映像をプロジェクター6が垂れ幕21に投影した後、自動扉2が開くような演出を行うようにしてもよい。
【0038】
なお、本実施形態や各変形例では、垂れ幕21を使った自動扉2を例示していたが、自動扉2は、このような形態に限定されるものではない。自動扉2は、映像を表示可能な扉であれば如何なる形態であってもよく、例えば、剛構造の板材を左右にスライドさせるスライド式の扉であってもよいし、その他の形態の扉であってもよい。剛構造の板材をスライドさせる形態の扉であれば、プロジェクター6に代えて、例えば、液晶パネル等の表示手段を扉に採用し、表示手段自体を開閉させる形態にすることができる。
【符号の説明】
【0039】
F・・飲食物
1・・注文飲食物搬送装置
2・・自動扉
3・・客席
4・・棚板
5・・厨房
6・・プロジェクター
11・・ベルトコンベア
21・・垂れ幕
22・・下端錘
23・・巻き取り棒
24・・ローラ
25・・ガイドレール
26・・モータ
27・・駆動ベルト
28・・着脱ファスナー