(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030099
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム、およびBtoBソリューションセールス用スコアリング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220210BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133871
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】502145368
【氏名又は名称】シンフォニーマーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】庭山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 富美男
(72)【発明者】
【氏名】丸山 直子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】BtoBソリューションセールスを経験したことのない被験者であっても、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出することのできるBtoBソリューションセールス用スコアリングシステムを提供する。
【解決手段】算出部10を備えるBtoBソリューションセールス用スコアリングシステムは、過去のセールスパーソンのアセスメント結果を記憶するアセスメント結果記憶部31と、過去のセールスパーソンのバックボーンを記憶するバックボーン記憶部32と、過去のセールスパーソンの実績データを記憶する実績データ記憶部33と、被験者のアセスメント結果とバックボーンとを算出部に入力する入力部3Aとをさらに備え、算出部10は過去のセールスパーソンのアセスメント結果とバックボーンと実績データと、被験者のアセスメント結果とバックボーンと、から被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する算出部を備えるBtoBソリューションセールス用スコアリングシステムであって、
過去のセールスパーソンのBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果を記憶するアセスメント結果記憶部と、
前記過去のセールスパーソンのバックボーンを記憶するバックボーン記憶部と、
前記過去のセールスパーソンが担当した営業案件の実績データを記憶する実績データ記憶部と、
被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果とバックボーンとを入力する入力部とをさらに備え、
前記算出部は、前記過去のセールスパーソンのアセスメント結果とバックボーンと実績データと、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンと、から前記被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する
BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム。
【請求項2】
前記算出部は、
前記過去のセールスパーソンのBtoBソリューションセールススキルの前記アセスメント結果と前記バックボーンと前記実績データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンとから前記被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する
請求項1に記載のBtoBソリューションセールス用スコアリングシステム。
【請求項3】
前記アセスメント結果は、被験者のアプローチ力、ヒアリング力、質問力、キャッチボール力、プレゼン力、提案力、クロージング力のうち少なくとも1つを含む
請求項1又は2に記載のBtoBソリューションセールス用スコアリングシステム。
【請求項4】
前記バックボーンは、被験者の過去において、一つの会社に最も長く勤めた年数、営業職としての就業年数、学生時代において所属した団体の運営を行う役職に就いた頻度、地域活動で委員になった頻度、イベントで祝辞や乾杯を依頼される頻度、のうち少なくとも1つを含む
請求項1~3のいずれか一項に記載のBtoBソリューションセールス用スコアリングシステム。
【請求項5】
前記実績データは、案件化率、受注率、受注金額、リードタイム、セールスパーソンの行動履歴とのうち少なくとも1つを含む
請求項1~4のいずれか一項に記載のBtoBソリューションセールス用スコアリングシステム。
【請求項6】
前記実績データは、前記過去のセールスパーソンが担当した営業案件の商材特性をさらに含み、
前記入力部は、被験者に担当させる予定の営業案件の商材特性をさらに入力し、
前記過去のセールスパーソンの前記アセスメント結果と前記バックボーンと前記実績データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンと、前記被験者に担当させる予定の営業案件の商材特性とから前記被験者が営業案件を担当したときに成約に至る確率を算出する成約確率算出部をさらに備える
請求項5に記載のBtoBソリューションセールス用スコアリングシステム。
【請求項7】
被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する算出手段を含むBtoBソリューションセールス用スコアリング方法であって、
過去のセールスパーソンのBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果を記憶するアセスメント結果記憶手段と、
前記過去のセールスパーソンのバックボーンを記憶するバックボーン記憶手段と、
前記過去のセールスパーソンが担当した営業案件の実績データを記憶する実績データ記憶手段と、
被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果とバックボーンとを入力する入力手段とをさらに備え、
前記算出手段は、前記過去のセールスパーソンのアセスメント結果とバックボーンと実績データと、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンと、から前記被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する
BtoBソリューションセールス用スコアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム、およびBtoBソリューションセールス用スコアリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、社内において新しいプロジェクトを行うとき、過去のプロジェクトにおける社員の評価をもとに新しいプロジェクトチームのメンバー構成を提示するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、コンピュータを用いた業務の自動化が進められた結果、自動化された業務をこれまで行っていた企業における余剰人員の発生が問題となっている。一方、コンピュータによる代替が難しい業務を行う人員の需要が高まっているため、企業内で発生した余剰人員を、コンピュータによる代替の難しい業務へと配置転換することが求められている。
【0005】
特にBtoB(Business to Business)における取引において、顧客が事業を進める上で抱えている問題やニーズを把握してその解決策を提供するソリューションセールスの分野は、対人のコミュニケーションが重要であり、コンピュータによる代替が難しい。
【0006】
ところで、企業が余剰人員のBtoBソリューションセールスへの配置転換を検討するとき、当該余剰人員にBtoBソリューションセールスの経験がない場合であっても、当該余剰人員がBtoBソリューションセールスに適しているか否かを判断する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、被験者がBtoBソリューションセールスを経験したことがない場合であっても、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出することのできるBtoBソリューションセールス用スコアリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのBtoBソリューションセールス用スコアリングシステムは被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する算出部を備えるBtoBソリューションセールス用スコアリングシステムであって、過去のセールスパーソンのBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果を記憶するアセスメント結果記憶部と、前記過去のセールスパーソンのバックボーンを記憶するバックボーン記憶部と、前記過去のセールスパーソンが担当した営業案件の実績データを記憶する実績データ記憶部と、被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果とバックボーンとを入力する入力部とをさらに備え、前記算出部は、前記過去のセールスパーソンのアセスメント結果とバックボーンと実績データと、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンと、から前記被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する。
【0009】
上記課題を解決するためのBtoBソリューションセールス用スコアリング方法は、被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する算出手段を含むBtoBソリューションセールス用スコアリング方法であって、過去のセールスパーソンのBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果を記憶するアセスメント結果記憶手段と、前記過去のセールスパーソンのバックボーンを記憶するバックボーン記憶手段と、前記過去のセールスパーソンが担当した営業案件の実績データを記憶する実績データ記憶手段と、被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果とバックボーンとを入力する入力手段とをさらに備え、前記算出手段は、前記過去のセールスパーソンのアセスメント結果とバックボーンと実績データと、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンと、から前記被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出する。
【0010】
上述した構成または方法によれば、被験者がBtoBソリューションセールスを経験したことがない場合であったとしても、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出することが可能となる。
【0011】
上記BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムにおいて、前記算出部は、過去のセールスパーソンにおけるBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果及びバックボーンと、前記過去のセールスパーソンにおける実営業活動の実績データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンとから前記被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を算出してもよい。
【0012】
上述した構成によれば、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を精度よく算出することが可能となる。
上記BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムにおいて、上記アセスメント結果は、被験者のアプローチ力、ヒアリング力、質問力、キャッチボール力、プレゼン力、提案力、クロージング力のうち少なくとも1つでもよい。
【0013】
上述した構成によれば、被験者のBtoBソリューションセールスに関するスキルの評価を基にして、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率をより正確に算出することも可能となる。
【0014】
上記BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムにおいて、上記バックボーンは、被験者の過去において、一つの会社に最も長く勤めた年数、営業職としての就業年数、学生時代において所属した団体の運営を行う役職に就いた頻度、地域活動で委員になった頻度、イベントで祝辞や乾杯を依頼される頻度、のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0015】
上述した構成によれば、被験者のバックボーンに関する具体的な情報を基にして、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率をより正確に算出することができる。
【0016】
上記BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムにおいて、前記実績データは、実績データは、案件化率、受注率、受注金額、リードタイム、セールスパーソンの行動履歴とのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
上述した構成によれば、過去にセールスパーソンが担当した営業案件について具体的な情報を基にして被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出することができる。
【0018】
上記BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムにおいて、前記実績データは、前記過去のセールスパーソンが担当した営業案件の商材特性をさらに含み、前記入力部は、被験者に担当させる予定の営業案件の商材特性をさらに入力し、前記過去のセールスパーソンの前記アセスメント結果と前記バックボーンと前記実績データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、前記被験者のアセスメント結果とバックボーンと、前記被験者に担当させる予定の営業案件の商材特性とから前記被験者が営業案件を担当したときに成約に至る確率を算出する成約確率算出部をさらに備えてもよい。
【0019】
上述した構成によれば、被験者に対して成約する確率の高い営業案件を優先して割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムの一実施形態における構成を示すブロック図。
【
図2】BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムの同実施形態において行われる情報処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1および
図2を参照して、BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム、およびBtoBソリューションセールス用スコアリング方法の一実施形態について説明する。
【0022】
図1に示すように、BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム1はシステムサーバ2を備える。システムサーバ2、使用者端末3、および複数の営業者端末4はネットワーク5を介して接続されている。
【0023】
使用者端末3は、例えば、BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム1の使用者によって利用されるデスクトップ型、ノート型またはタブレット型のコンピュータ端末であり、入力部3Aや出力部3Bを備える。入力部3Aは各種情報を入力するための手段であり、キーボードやポインティングデバイス、通信インターフェースなどにより構成される。また、出力部3Bは各種情報を出力するための手段であり、ディスプレイ、プリンタなどにより構成される。使用者端末3は、システムサーバ2や他のサーバ上に保存されて共有設定されたファイルなどを閲覧することができる。または、使用者端末3は当該ファイルをダウンロードして保存することができる。
【0024】
使用者は、BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム1を使用して、現在BtoBソリューションセールスに就業していない被験者がBtoBソリューションセールスに適合しているか否かを判断する。被験者は、企業内でBtoBソリューションセールス以外の職種に就業している者であってもよく、企業外で当該企業での就業を希望している者であってもよい。使用者は、例えば、企業の人事担当者、または、営業部門の管理者である。使用者は、使用者端末3を通じて、システムサーバ2に被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果とバックボーンとを入力する。
【0025】
営業者端末4は、例えば、BtoBソリューションセールスに従事するセールスパーソンによって利用されるデスクトップ型、ノート型またはタブレット型のコンピュータ端末であり、入力部4Aや出力部4Bを備える。入力部4Aは各種情報を入力するための手段であり、キーボードやポインティングデバイス、通信インターフェースなどにより構成される。また、出力部4Bは各種情報を出力するための手段であり、ディスプレイ、プリンタなどにより構成される。営業者端末4は、システムサーバ2や他のサーバ上に保存されて共有設定されたファイルなどを閲覧することができる。または、営業者端末4は当該ファイルをダウンロードして保存することができる。
【0026】
セールスパーソンは、営業者端末4を通じてシステムサーバ2に営業活動の進捗を入力する。入力される進捗は、定められたルールの通りに行動したか否かといった情報や、行動した結果として得られた顧客からの反応などである。顧客からの反応は、例えば、商談に出席した人数、出席した人の部署や役職、見積りの依頼を受けたか否か、受注に達したか否かなどである。
【0027】
システムサーバ2は、クラウドコンピューティングに使用されるクラウドサーバである。このシステムサーバ2は、算出部10、判断部20、および記憶部30を備える。
記憶部30は、アセスメント結果記憶部31、バックボーン記憶部32、および実績データ記憶部33を備える。アセスメント結果記憶部31は、被験者、およびセールスパーソンに対して行ったBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果が記憶される。バックボーン記憶部32は、被験者およびセールスパーソンから聞き取った来歴が記憶される。実績データ記憶部33は、セールスパーソンが入力した各営業案件の実績データが記憶される。算出部10は、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する。判断部20は、算出部10が算出したBtoBソリューションセールスに対する適合率をもとに、被験者をBtoBソリューションセールスに就業させるか否かを判断する。
【0028】
次に、記憶部30の詳細について説明する。
アセスメント結果記憶部31は、過去にBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果が記憶される。アセスメント結果は、BtoBソリューションセールスに関する技能を評価するためのアセスメントの結果である。アセスメントにおいては面談とロールプレイングとが実施され、BtoBソリューションセールススキルが評価される。アセスメントは、安定性評価と、変転性評価とを含む。安定性評価は、例えば、ヒアリング力、キャッチボール力を評価して点数化する。安定性評価は、顧客との間に構築した関係を保つために必要な能力である。変転性評価は、例えば、アプローチ力、質問力、提案力クロージング力を評価して点数化する。変転性評価は、顧客との関係を深め、顧客の抱える課題を解決に進めるために必要な能力である。例えば、すでに関係が構築された顧客との安定した取引を行う場合には、安定性評価が重視される。一方、新規の顧客との間で関係を深めて商談を成立させたい場合には、変転性評価が重視される。
【0029】
アプローチ力は、自社の商材への興味を顧客に持たせ、商談を開始するのに要する力である。ヒアリング力は、顧客が抱えている課題を聞き出す力である。質問力は、顧客から引き出した課題を受けて、課題の原因を探るための質問を的確に行う力である。提案力は、顧客が抱える課題とその原因を受けて、課題を解決する手段を提案する力である。キャッチボール力は、顧客の発言に対して的確な返答を行う力である。クロージング力は、商材の価格や納期について、商談を通して自社と顧客の希望をすり合わせて取引を成立させる力である。
【0030】
アセスメント結果は、被験者ごと、またはセールスパーソンごとに割り当てられた識別子に関連付けて記憶される。アセスメント結果は、使用者が使用者端末3からネットワーク5を介して入力する。
【0031】
バックボーン記憶部32は、過去にセールスパーソンから聞き取った来歴が記憶される。来歴は、例えば、職務履歴、学歴、職務や学業以外で取り組んだ活動の履歴、交友関係等を含む。職務履歴は、例えば、1つの会社で最も長く務めた年数や、営業職に就いていた年数を含む。学歴は、例えば、卒業した高等学校、大学、大学院の学校名や、各学校において所属していた学部名などである。職務や学業以外で取り組んだ活動の履歴は、例えば、学生時代において学生団体の運営を行う役職に就いた頻度や、地域活動で委員になった頻度を含む。交友関係は、例えば、イベントや祝辞において乾杯等を依頼される頻度を含む。
【0032】
実績データ記憶部33は、過去にセールスパーソンが担当した各営業案件の実績データが記憶される。営業案件の実績データは、動的データと、静的データを含む。動的データは、例えば、案件化率、受注率、リードタイムである。動的データは、時間経過に基づくデータの変化が基準を上回るかどうかを評価するためのデータである。静的データは、例えば、受注金額、セールスパーソンの行動履歴である。静的データは、データの絶対値が基準を上回るかどうかを評価するためのデータである。動的データは、各セールスパーソンの置かれた環境の違い、例えば、扱う商材特性の違い、顧客の違いといったものを考慮して実績を定量化することができる。また、静的データは、各セールスパーソンが有する能力の差を直接反映して定量化することができる。
【0033】
案件化率は、接触を開始した見込み客のうち、商談をするに至った割合である。受注率は、商談を行った顧客のうち、実際に商材の受注に至った割合である。リードタイムは、商談を開始してから商材の受注に至るまでに経過した時間である。行動履歴は、セールスパーソンが営業活動において定められたルール通りに行動したか否かの記録である。実績データは、セールスパーソンごとに割り当てられた識別子と、営業案件ごとに割り当てられた識別子とに関連付けて記憶される。実績データは、セールスパーソンが営業者端末4からネットワーク5を介して入力する。
【0034】
続いて、
図2を参照して、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する際に行う処理について説明する。
使用者は、BtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する対象である被験者について、BtoBソリューションセールススキルのアセスメントを行う(ステップS1)。使用者は、使用者端末3を通じて被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果を入力する(ステップS2)。また、使用者は、使用者端末3を通じて被験者から聞き取ったバックボーンを入力する(ステップS3)。
【0035】
算出部10は、アセスメント結果記憶部31から取得した被験者のアセスメント結果、バックボーン記憶部32から取得した被験者のバックボーンとから、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する(ステップS4)。
【0036】
算出部10は、アセスメント結果の各項目、バックボーンの各項目について予め決められた基準に応じて点数付けを行う。算出部10は、各項目の点数に応じてBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する。アセスメント結果の各項目とバックボーンの各項目について点数付けのために定められた基準は、アセスメント結果記憶部に記憶された過去のセールスパーソンのアセスメント結果と、バックボーン記憶部に記憶された過去のセールスパーソンのバックボーンと、実績データ記憶部に記憶された実績データとからアセスメント結果の各項目とバックボーンの各項目とが営業案件の実績に与える影響の相関性を分析した上で、アセスメント結果の各項目とバックボーンの各項目とに重みづけされることで設定される。
【0037】
判断部20は、算出部10において算出されたBtoBソリューションセールスに対する適合率を基に、被験者をBtoBソリューションセールスに就業させるか否かを判断する(ステップS5)。システムサーバ2は、判断の結果を使用者端末3に送信する。使用者端末3は、システムサーバ2から受信した判断の結果を出力部3Bによって出力する。
【0038】
使用者は、判断部20が被験者をBtoBソリューションセールスに就業させると判断したとき(ステップS5:YES)、被験者に営業案件を割り当てて(ステップS6)、BtoBソリューションセールスに就業させる。また、使用者は、判断部20が被験者をBtoBソリューションセールスに就業させないと判断したとき(ステップS5:NO)、被験者をBtoBソリューションセールス以外の他の職種へ就業させることを検討する(ステップS7)。
【0039】
以上、上述した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)算出部10は、被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果とバックボーンとに基づいて、BtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する。そのため、被験者がこれまで営業職に就業したことがなかったとしても、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出することが可能となる。
【0040】
(2)算出部10がBtoBソリューションセールスに対する適合率の算出に用いる被験者のアセスメント結果は、被験者のアプローチ力、ヒアリング力、質問力、キャッチボール力、プレゼン力、クロージング力である。そのため、被験者のBtoBソリューションセールスに関するスキルの評価を基にして、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率をより正確に算出することが可能ともなる。
【0041】
(3)算出部10がBtoBソリューションセールスに対する適合率の算出に用いるバックボーンは、被験者の過去において、一つの会社に最も長く務めた年数、営業職としての就業年数、学生時代において所属した団体の運営を行う役職に就いた頻度、地域活動で委員になった頻度、およびイベントで祝辞や乾杯を依頼される頻度である。そのため、被験者のバックボーンに関する具体的な情報を基にして、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率をより正確に算出することができる。
【0042】
(4)算出部10がBtoBソリューションセールスに対する適合率の算出に用いる実績データは、案件化率、受注率、受注金額、リードタイム、セールスパーソンの行動履歴である。そのため、過去のセールスパーソンが担当した営業案件における具体的な情報を基にして、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率をより正確に算出することができる。
【0043】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・算出部10は、過去のセールスパーソンにおけるBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果及びバックボーンと、過去にセールパーソンが行った営業活動の実績データとを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、被験者のアセスメント結果とバックボーンとから被験者のBtoBソリューションセールスへの適合率を予測することで算出してもよい。
【0044】
このとき、算出部10は、被験者のアセスメント結果とバックボーンとを予測モデルに入力することで被験者が達成するであろう営業活動の成約確率を予測した上で、過去のセールスパーソンの営業活動における成約確率と比較して、被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出する。
【0045】
上述した構成によれば、BtoBソリューションセールスに対する適合率を精度よく算出することが可能となる。
・システムサーバ2は、被験者が各営業案件を担当した場合に成約に至る確率を算出する成約確率算出部をさらに備えてもよい。成約確率算出部は、被験者のBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果およびバックボーンと、各営業案件の商材特性とを入力することで、被験者が各営業案件を担当した場合に成約に至る確率を算出する。商材特性は、例えば、リードタイム、ポジショニング、競合と比較した優位性、カスタマイズ性、営業の価格提示の容易さ、初年度取引金額、決裁者のポジション、承認プロセス、ターゲットの明確性などである。
【0046】
リードタイムは、顧客と過去に行った商談において、アプローチを開始してから取引が成立するまでに要した時間である。ポジショニングは、顧客から見た、競合する商材の中での自社の商材の評価、位置づけである。競合と比較した優位性は、商材が有する、競合する商材と比較したときに客観的に勝っている性質の有無、または、当該性質が競合する商材と比べて勝っている程度である。カスタマイズ性は、商材が有する、顧客の詳細なニーズに従って商材の内容の変更できる程度である。営業の価格提示の容易さは、自社と顧客とが合意できる商材の価格を容易に提示できることである。価格提示の容易さは、競合する商材の有無、商材を購入することで顧客が得られる利益を定量的に説明できるか否かなどによって決定される。初年度取引金額は、顧客とかつて初めて取引を行った年度における取引金額である。決裁者のポジションは、顧客の社内において取引の承認を担当する人の部署や役職である。承認プロセスは、アプローチを開始してから、最終的に決裁者が取引を承認するまでに顧客が社内で必要とする手続である。ターゲットの明確性は、商材の購入を希望すると予測される顧客の属性が明らかになっている程度である。
【0047】
成約確率算出部は、過去のセールスパーソンにおけるBtoBソリューションセールススキルのアセスメント結果およびバックボーンと、過去にセールパーソンが行った営業案件の実績データおよび商材特性とを教師データとして機械学習された予測モデルを用いて、被験者のアセスメント結果とバックボーンとから被験者が各営業案件を担当した際に成約に至る確率を予測することで成約確率を算出する。
【0048】
上述した構成によれば、被験者に対して成約する確率の高い営業案件を優先して割り当てることができる。
また、システムサーバ2は、成約確率算出部によって算出した成約確率に基づいて、複数の被験者のうちどの被験者にどの営業案件を担当させるかを判断する営業案件割当部をさらに備えてもよい。
【0049】
・算出部10がBtoBソリューションセールスに対する適合率の算出に用いる被験者のアセスメント結果は、被験者のアプローチ力、ヒアリング力、質問力、キャッチボール力、プレゼン力、クロージング力とのうち少なくとも1つを含む構成であれば、上記(2)に準じた効果を得ることは出来る。
【0050】
・算出部10がBtoBソリューションセールスに対する適合率の算出に用いるバックボーンは、被験者の過去において、一つの会社に最も長く務めた年数、営業職としての就業年数、学生時代において所属した団体の運営を行う役職に就いた頻度、地域活動で委員になった頻度、およびイベントで祝辞や乾杯を依頼される頻度とのうち少なくとも1つを含む構成であれば、上記(3)に準じた効果を得ることはできる。
【0051】
・算出部10がBtoBソリューションセールスに対する適合率の算出に用いる実績データは、案件化率、受注率、受注金額、リードタイム、セールスパーソンの行動履歴のうち少なくとも1つを含めばよい。上述した構成であったとしても上記(4)に準じた効果を得ることはできる。
【0052】
・システムサーバ2は、判断部20を備えなくともよい。すなわち、システムサーバ2は被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を算出して使用者端末3に出力する。使用者端末3は、システムサーバ2から受信した被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率を出力する。使用者は、出力された適合率をもとに被験者をBtoBソリューションセールスに就業させるか否かを判断する。
【0053】
・システムサーバ2は、クラウドサーバとする構成に限らず、BtoBソリューションセールス用スコアリングシステムの使用者によって管理されるサーバであってもよい。
・システムサーバ2は、入力されたセールスパーソンの実績データの変化に基づいて、実績データの変化に対応するセールスパーソンのBtoBソリューションセールススキルの評価を更新する更新部をさらに備えてもよい。
【0054】
例えば、一定期間ごとのセールスパーソンの案件化率を比較したとき、セールスパーソンの案件化率が上昇していた場合、更新部は、セールスパーソンのアプローチ力が高まっていると判断する。そして、更新部は、アセスメント結果記憶部31に記憶されたアセスメント結果のうち、当該セールスパーソンのアプローチ力の評価を更新する。
【0055】
上述した構成によれば、セールスパーソンのアセスメント結果の評価を常に更新することで、アセスメント結果が営業案件の実績に与える影響をより正確に分析することができる。結果として、BtoBソリューション被験者のBtoBソリューションセールスに対する適合率をより正確に算出することが可能ともなる。
【符号の説明】
【0056】
1…BtoBソリューションセールス用スコアリングシステム
2…システムサーバ
3…使用者端末
4…営業者端末
5…ネットワーク
10…算出部
20…判断部
30…記憶部
31…アセスメント結果記憶部
32…バックボーン記憶部
33…実績データ記憶部