(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030106
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】油圧モータ用制御装置
(51)【国際特許分類】
F03C 2/08 20060101AFI20220210BHJP
F16K 11/22 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F03C2/08
F16K11/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133880
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤中 恵太
【テーマコード(参考)】
3H067
3H084
【Fターム(参考)】
3H067AA17
3H067AA32
3H067BB03
3H067BB05
3H067BB14
3H067CC44
3H067DD33
3H067EC09
3H067ED10
3H067ED15
3H067FF11
3H067GG15
3H067GG22
3H084AA21
3H084AA45
3H084BB12
3H084BB13
3H084CC49
3H084CC58
(57)【要約】
【課題】油圧モータの動作モードの自動切換を実現可能な油圧モータ用制御装置を提供する。
【解決手段】油圧モータ用の制御装置10であって、高圧油入口及び戻り油出口と、油圧モータに連通する複数のモータ通路21、22、23、24と、高圧油入口及び複数のモータ通路21、22、23、24に連通する第1ボア30と、を含むハウジング50と、第1ボア30内に配置され、油圧モータを第1速度で作動させる第1速度位置と、油圧モータを第2速度で作動させる第2速度位置との間で移動可能に構成された速度弁32と、油圧モータの動作モードを変更する動作モード変更手段と、を含み、動作モード変更手段は、速度弁32を第1速度位置に維持する第1モードと、速度弁を油圧モータの負荷に応じて第1速度位置と第2速度位置との間で自動的に移動させる第2モードとを有している制御装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧モータ用の制御装置であって、
高圧油入口及び戻り油出口と、前記油圧モータに連通する複数のモータ通路と、
前記高圧油入口及び前記複数のモータ通路に連通する第1ボアと、を含むハウジングと、
前記第1ボア内に配置され、前記油圧モータを第1速度で作動させる第1速度位置と、前記油圧モータを第2速度で作動させる第2速度位置との間で移動可能に構成された速度弁と、
前記油圧モータの動作モードを変更する動作モード変更手段と、を含み、
前記動作モード変更手段は、前記速度弁を前記第1速度位置に維持する第1モードと、前記速度弁を前記油圧モータの負荷に応じて前記第1速度位置と前記第2速度位置との間で自動的に移動させる第2モードとを有している、制御装置。
【請求項2】
前記速度弁は、第1端と該第1端から前記速度弁の長手軸線方向に沿って離間した第2端とを含み、
前記第1ボアは、前記速度弁の第1端及び第2端の少なくともいずれか一方に隣接するように形成された圧力室を含み、
前記動作モード変更手段は、前記第2モードにおいて、前記油圧モータの負荷に応じて前記速度弁の圧力室に前記高圧油入口からの高圧油を導入することにより、前記速度弁を前記第1速度位置から前記第2速度位置に移動させるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記高圧油入口と前記速度弁の圧力室を連通する連絡通路と、
該連絡通路の中間に形成された第2ボアと、をさらに含み、
前記動作モード変更手段は、
前記第2ボア内に配置された開閉弁を含み、
前記開閉弁は、前記高圧油入口から前記連絡通路を介した前記速度弁の圧力室への流体連通を閉止する第1位置と、前記高圧油入口から前記連絡通路を介した前記速度弁の圧力室への流体連通を開放する第2位置との間で移動可能に構成され、
前記動作モード変更手段は、前記第1モードにおいて、前記開閉弁が該開閉弁の第1位置をとり、前記第2モードにおいて、前記開閉弁が前記油圧モータの負荷に応じて前記開閉弁の第1位置と第2位置との間を自動的に移動するように構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、
パイロットポートと、
前記高圧油入口及び前記パイロットポートに連通する第3ボアと、をさらに含み、
前記動作モード変更手段は、
前記パイロットポートと、
前記第3ボア内に配置された動作モード変更弁と、をさらに含み、
前記動作モード変更弁は、第1端と該第1端から前記動作モード変更弁の長手軸線方向に沿って離間した第2端とを含み、
前記第3ボアは、前記動作モード変更弁の第1端及び第2端にそれぞれ隣接するように形成された第1圧力室及び第2圧力室を含み、前記動作モード変更弁の第1圧力室は、前記高圧油入口に連通しており、
前記動作モード変更弁は、前記パイロットポートと前記動作モード変更弁の第2圧力室との間の流体連通を閉止する第1位置と、前記パイロットポートと前記動作モード変更弁の第2圧力室との間の流体連通を開放する第2位置との間で移動可能に構成され、
前記開閉弁は、第1端と該第1端から前記開閉弁の長手軸線方向に沿って離間した第2端とを含み、
前記第2ボアは、前記開閉弁の第2端に隣接するように形成された圧力室を含み、該圧力室は、前記動作モード変更弁の第2圧力室と連通しており、
前記動作モード変更手段は、前記第2ボア内の前記開閉弁の第1端に隣接させて配置され、前記開閉弁をその長手軸線に沿って第2端側に付勢する開閉弁バネをさらに含み、
前記動作モード変更手段は、前記パイロットポートからの加圧が無いときに前記第1モードとなり、前記パイロットポートからの加圧が有るときに前記第2モードとなり、
前記開閉弁は、前記動作モード変更弁が該動作モード変更弁の第2位置をとるとき、前記動作モード変更弁の第2圧力室を介して前記開閉弁の圧力室に導入されるパイロットポートからの圧力によって前記開閉弁の第2端に印加される力が、前記開閉弁バネによって前記開閉弁の第1端に印加される付勢力よりも大きい場合、前記開閉弁の第2位置をとるように構成される、ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記動作モード変更弁が該動作モード変更弁の第1位置にあるとき、前記動作モード変更弁の第2圧力室から油を抜き取るためのドレインポートをさらに含む、ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記動作モード変更手段は、
前記第3ボア内の前記動作モード変更弁の第2端に隣接させて配置され、前記動作モード変更弁をその長手軸線に沿って第1端側に付勢する動作モード変更弁バネをさらに含んでおり、
前記第2モードにおいて、第1位置にある前記動作モード変更弁は、該動作モード変更弁の第1圧力室に導入される高圧油によって前記動作モード変更弁の第1端に印加される力が、前記動作モード変更弁バネによって前記動作モード変更弁の第2端に印加される付勢力よりも小さいとき、前記動作モード変更弁の第2位置に移動し、
第2位置にある前記動作モード変更弁は、該動作モード変更弁の第1圧力室に導入される高圧油によって前記動作モード変更弁の第1端に印加される力が、前記動作モード変更弁バネによって前記動作モード変更弁の第2端に印加される付勢力と前記動作モード変更弁の第2圧力室に導入されるパイロットポートからの圧力によって前記動作モード変更弁の第2端に印加される力との和よりも大きいとき、前記動作モード変更弁の第1位置に移動するように構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記複数のモータ通路は、4つのモータ通路を含み、
前記速度弁が前記第1速度位置にあるとき、4つの前記モータ通路のうちの2つは高圧油を前記油圧モータに向かわせ、4つの前記モータ通路のうちの別の2つは前記油圧モータからの戻り油を受け入れ、
前記速度弁が前記第2速度位置にあるとき、4つの前記モータ通路のうちの3つは、高圧油を前記油圧モータに向かわせ、4つの前記モータ通路のうちの別の1つは前記油圧モータからの戻り油を受け入れるように構成されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記高圧油入口及び前記戻り油出口として選択的に使用可能な第1主ポート及び第2主ポートを含み、
前記制御装置は、前記第1主ポート及び前記第2主ポートをそれぞれ前記高圧油入口及び前記戻り油出口として使用する場合、前記油圧モータを第1方向に動作させ、前記第1主ポート及び前記第2主ポートをそれぞれ前記戻り油出口及び前記高圧油入口として使用する場合、前記油圧モータを前記第1方向とは反対の第2方向に動作させるように構成されており、
前記速度弁の圧力室は、前記速度弁の第1端及び第2端にそれぞれに隣接するように形成された第1圧力室及び第2圧力室を含み、
前記制御装置は、
前記第1ボア内の前記速度弁の第1端に隣接するように配置され、前記速度弁をその長手軸線に沿って第2端側に付勢する第1速度弁バネと、前記第1ボア内の前記速度弁の第2端に隣接するように配置され、前記速度弁をその長手軸線に沿って第1端側に付勢する第2速度弁バネとをさらに含み、
前記連絡通路は、前記第1主ポートと前記速度弁の第1圧力室を連通する第1連絡通路と、前記第2主ポートと前記速度弁の第2圧力室を連通する第2連絡通路と、を含み、
前記第2ボアは、第1連絡通路の中間に形成された第1主ポート側第2ボアと、第2連絡通路の中間に形成された第2主ポート側第2ボアとを含み、
前記開閉弁は、前記第1主ポート側第2ボア内に配置された第1開閉弁と、前記第2主ポート側第2ボア内に配置された第2開閉弁とを含み、
前記速度弁の前記第1速度位置は、前記第1速度弁バネの付勢力と前記第2速度弁バネの付勢力との均衡により達成される前記速度弁の長手軸線に沿った中立位置であり、前記第2速度位置は、前記油圧モータが前記第1方向に動作しているとき、前記速度弁の第1圧力室に前記第1連絡通路を介して高圧油が導入されることにより、前記速度弁がその長手軸線に沿って第2端側に移動した位置と、前記油圧モータが前記第2方向に動作しているとき、前記速度弁の第2圧力室に前記第2連絡通路を介して高圧油が導入されることにより、前記速度弁がその長手軸線に沿って第1端側に移動した位置と、を含む、ことを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、第4ボアをさらに含み、
前記制御装置は、前記第4ボア内に配置された方向弁をさらに含んでおり、
前記方向弁は、第1方向位置と第2方向位置との間で移動可能に構成され、
前記制御装置は、前記方向弁が前記第1方向位置をとるとき、前記油圧モータを前記第1方向に動作させ、前記方向弁が前記第2方向位置をとるとき、前記油圧モータを前記第2方向に動作させるように構成されている、ことを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧モータ用制御装置に関し、特に、油圧モータの動作状態を制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧モータは、油圧をトルクに変換する機械的アクチュエータであり、例えば、産業用の各種重機、車両等の駆動用モータまたは走行用モータとして広く使用されている。一般に、このような油圧モータは、油圧モータの動作状態を制御するための制御装置とともに使用される。多くの場合、動作状態には、油圧モータを低速・高トルクで動作させる状態と高速・低トルクで動作させる状態との2つの動作状態が含まれる。従来、この種の油圧モータ用制御装置として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-177656号公報(
図4、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の油圧モータ用制御装置は、油圧モータの低速・高トルクでの動作と高速・低トルクでの動作の切換を手動で行うものである。このため、油圧モータを備える重機、車両等の運転者は、油圧モータの動作態様をその負荷に応じて適切に切り替える必要があり、それによって運転者の操作の負担が増大するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、油圧モータの動作モードの自動切換を実現可能な油圧モータ用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。これは、本発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定するものではない。本発明は、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ解釈されるものであり、その解釈に従い、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)油圧モータ用の制御装置であって、高圧油入口及び戻り油出口と、前記油圧モータに連通する複数のモータ通路と、前記高圧油入口及び前記複数のモータ通路に連通する第1ボアと、を含むハウジングと、前記第1ボア内に配置され、前記油圧モータを第1速度で動作させる第1速度位置と、前記油圧モータを第2速度で動作させる第2速度位置との間で移動可能に構成された速度弁と、前記油圧モータの動作モードを変更する動作モード変更手段と、を含み、前記動作モード変更手段は、前記速度弁を前記第1速度位置に維持する第1モードと、前記速度弁を前記油圧モータの負荷に応じて前記第1速度位置と前記第2速度位置との間で自動的に移動させる第2モードとを有している、制御装置。
【0008】
(2)(1)項に記載の制御装置において、前記速度弁は、第1端と該第1端から前記速度弁の長手軸線方向に沿って離間した第2端とを含み、前記第1ボアは、前記速度弁の第1端及び第2端の少なくともいずれか一方に隣接するように形成された圧力室を含み、前記動作モード変更手段は、前記第2モードにおいて、前記油圧モータの負荷に応じて前記速度弁の圧力室に前記高圧油入口からの高圧油を導入することにより、前記速度弁を前記第1速度位置から前記第2速度位置に移動させるように構成されている、ことを特徴とする制御装置。
【0009】
(3)(2)項に記載の制御装置において、前記ハウジングは、前記高圧油入口と前記速度弁の圧力室を連通する連絡通路と、該連絡通路の中間に形成された第2ボアと、をさらに含み、前記動作モード変更手段は、前記第2ボア内に配置された開閉弁を含み、前記開閉弁は、前記高圧油入口から前記連絡通路を介した前記速度弁の圧力室への流体連通を閉止する第1位置と、前記高圧油入口から前記連絡通路を介した前記速度弁の圧力室への流体連通を開放する第2位置との間で移動可能に構成され、前記動作モード変更手段は、前記第1モードにおいて、前記開閉弁が該開閉弁の第1位置をとり、前記第2モードにおいて、前記開閉弁が前記油圧モータの負荷に応じて前記開閉弁の第1位置と第2位置との間を自動的に移動するように構成されている、ことを特徴とする制御装置。
【0010】
(4)(3)項に記載の制御装置において、前記ハウジングは、パイロットポートと、前記高圧油入口及び前記パイロットポートに連通する第3ボアと、をさらに含み、前記動作モード変更手段は、前記パイロットポートと、前記第3ボア内に配置された動作モード変更弁と、をさらに含み、前記動作モード変更弁は、第1端と該第1端から前記動作モード変更弁の長手軸線方向に沿って離間した第2端とを含み、前記第3ボアは、前記動作モード変更弁の第1端及び第2端にそれぞれ隣接するように形成された第1圧力室及び第2圧力室を含み、前記動作モード変更弁の第1圧力室は、前記高圧油入口に連通しており、前記動作モード変更弁は、前記パイロットポートと前記動作モード変更弁の第2圧力室との間の流体連通を閉止する第1位置と、前記パイロットポートと前記動作モード変更弁の第2圧力室との間の流体連通を開放する第2位置との間で移動可能に構成され、前記開閉弁は、第1端と該第1端から前記開閉弁の長手軸線方向に沿って離間した第2端とを含み、前記第2ボアは、前記開閉弁の第2端に隣接するように形成された圧力室を含み、該圧力室は、前記動作モード変更弁の第2圧力室と連通しており、前記動作モード変更手段は、前記第2ボア内の前記開閉弁の第1端に隣接させて配置され、前記開閉弁をその長手軸線に沿って第2端側に付勢する開閉弁バネをさらに含み、前記動作モード変更手段は、前記パイロットポートからの加圧が無いときに前記第1モードとなり、前記パイロットポートからの加圧が有るときに前記第2モードとなり、前記開閉弁は、前記動作モード変更弁が該動作モード変更弁の第2位置をとるとき、前記動作モード変更弁の第2圧力室を介して前記開閉弁の圧力室に導入されるパイロットポートからの圧力によって前記開閉弁の第2端に印加される力が、前記開閉弁バネによって前記開閉弁の第1端に印加される付勢力よりも大きい場合、前記開閉弁の第2位置をとるように構成される、ことを特徴とする制御装置。
【0011】
(5)(4)項に記載の制御装置において、前記ハウジングは、前記動作モード変更弁が該動作モード変更弁の第1位置にあるとき、前記動作モード変更弁の第2圧力室から油を抜き取るためのドレインポートをさらに含む、ことを特徴とする制御装置。
【0012】
(6)(5)項に記載の制御装置において、前記動作モード変更手段は、前記第3ボア内の前記動作モード変更弁の第2端に隣接させて配置され、前記動作モード変更弁をその長手軸線に沿って第1端側に付勢する動作モード変更弁バネをさらに含んでおり、前記第2モードにおいて、第1位置にある前記動作モード変更弁は、該動作モード変更弁の第1圧力室に導入される高圧油によって前記動作モード変更弁の第1端に印加される力が、前記動作モード変更弁バネによって前記動作モード変更弁の第2端に印加される付勢力よりも小さいとき、前記動作モード変更弁の第2位置に移動し、第2位置にある前記動作モード変更弁は、該動作モード変更弁の第1圧力室に導入される高圧油によって前記動作モード変更弁の第1端に印加される力が、前記動作モード変更弁バネによって前記動作モード変更弁の第2端に印加される付勢力と前記動作モード変更弁の第2圧力室に導入されるパイロットポートからの圧力によって前記動作モード変更弁の第2端に印加される力との和よりも大きいとき、前記動作モード変更弁の第1位置に移動するように構成されている、ことを特徴とする制御装置。
【0013】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載の制御装置において、前記複数のモータ通路は、4つのモータ通路を含み、前記速度弁が前記第1速度位置にあるとき、4つの前記モータ通路のうちの2つは高圧油を前記油圧モータに向かわせ、4つの前記モータ通路のうちの別の2つは前記油圧モータからの戻り油を受け入れ、前記速度弁が前記第2速度位置にあるとき、4つの前記モータ通路のうちの3つは、高圧油を前記油圧モータに向かわせ、4つの前記モータ通路のうちの別の1つは前記油圧モータからの戻り油を受け入れるように構成されている、ことを特徴とする制御装置。
【0014】
(8)(3)から(7)のいずれか1項に記載の制御装置において、前記ハウジングは、前記高圧油入口及び前記戻り油出口として選択的に使用可能な第1主ポート及び第2主ポートを含み、前記制御装置は、前記第1主ポート及び前記第2主ポートをそれぞれ前記高圧油入口及び前記戻り油出口として使用する場合、前記油圧モータを第1方向に動作させ、前記第1主ポート及び前記第2主ポートをそれぞれ前記戻り油出口及び前記高圧油入口として使用する場合、前記油圧モータを前記第1方向とは反対の第2方向に動作させるように構成されており、前記速度弁の圧力室は、前記速度弁の第1端及び第2端にそれぞれに隣接するように形成された第1圧力室及び第2圧力室を含み、前記制御装置は、前記第1ボア内の前記速度弁の第1端に隣接するように配置され、前記速度弁をその長手軸線に沿って第2端側に付勢する第1速度弁バネと、前記第1ボア内の前記速度弁の第2端に隣接するように配置され、前記速度弁をその長手軸線に沿って第1端側に付勢する第2速度弁バネとをさらに含み、前記連絡通路は、前記第1主ポートと前記速度弁の第1圧力室を連通する第1連絡通路と、前記第2主ポートと前記速度弁の第2圧力室を連通する第2連絡通路と、を含み、前記第2ボアは、第1連絡通路の中間に形成された第1主ポート側第2ボアと、第2連絡通路の中間に形成された第2主ポート側第2ボアとを含み、前記開閉弁は、前記第1主ポート側第2ボア内に配置された第1開閉弁と、前記第2主ポート側第2ボア内に配置された第2開閉弁とを含み、前記速度弁の前記第1速度位置は、前記第1速度弁バネの付勢力と前記第2速度弁バネの付勢力との均衡により達成される前記速度弁の長手軸線に沿った中立位置であり、前記第2速度位置は、前記油圧モータが前記第1方向に動作しているとき、前記速度弁の第1圧力室に前記第1連絡通路を介して高圧油が導入されることにより、前記速度弁がその長手軸線に沿って第2端側に移動した位置と、前記油圧モータが前記第2方向に動作しているとき、前記速度弁の第2圧力室に前記第2連絡通路を介して高圧油が導入されることにより、前記速度弁がその長手軸線に沿って第1端側に移動した位置と、を含む、ことを特徴とする制御装置。
【0015】
(9)(8)項に記載の制御装置において、前記ハウジングは、第4ボアをさらに含み、前記制御装置は、前記第4ボア内に配置された方向弁をさらに含んでおり、前記方向弁は、第1方向位置と第2方向位置との間で移動可能に構成され、前記制御装置は、前記方向弁が前記第1方向位置をとるとき、前記油圧モータを前記第1方向に動作させ、前記方向弁が前記第2方向位置をとるとき、前記油圧モータを前記第2方向に動作させるように構成されている、ことを特徴とする制御装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、油圧モータを第1速度と第2速度の2速度で動作させる油圧モータ用制御装置において、油圧モータの負荷に応じた第1速度と第2速度の自動的な切換を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における制御装置を速度弁が第1速度位置にある状態で示す図であり、(a)は、制御装置の要部を模式的に示された油圧モータとともに示す断面図、(b)は、(a)のX-X断面図、(C)は、(a)のY-Y断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態における制御装置を速度弁が第2速度位置にある状態で示す図であり、(a)は、制御装置の要部を示す断面図、(b)は、(a)のX-X断面図、(C)は、(a)のY-Y断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態において、動作モード変更弁の動作を説明するため図であり、(a)は、動作モード変更弁を第1位置で示す図、(b)は、動作モード変更弁を第2位置で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の一実施形態における制御装置10が示されている。制御装置10は、ハウジング50を含み、ハウジング50は、第1主ポート12、第2主ポート14、第1モータ通路21、第2モータ通路22、第3モータ通路23、第4モータ通路24、及び第1ボア30を含む。制御装置10において、第1ボア30は、好ましくは円筒状に形成され、第1ボア30内には、速度弁32が配置されている。第1ボア30は、両端の速度弁プラグ52、54によりその長手軸方向に密封されている。
【0019】
ここで、制御装置10は、油圧モータ200に結合され、この油圧モータ200を制御するように構成される。この際、油圧モータ200は、制御装置10から高圧の作動油(高圧油)を受け入れ、高圧油の流れをトルク(例えば、出力軸の回転運動)に変換する。それによって、作動油の圧力は減少し、このように圧力が減少した作動油が戻り油として制御装置10に戻される。この際、制御装置10から油圧モータへの油の出入は、第1、第2、第3、及び第4モータ通路21、22、23、24を介して実施される。
【0020】
制御装置10において、第1主ポート12及び第2主ポート14は、高圧油入口及び戻り油出口として使用可能なものである。例えば、制御装置10は、第1主ポート12及び第2主ポート14をそれぞれ高圧油入口及び戻り油出口として使用する場合、油圧モータ200を第1方向(例えば、前進方向及び/または時計回り方向。例えば、矢印a方向)に動作させ、第1主ポート12及び前記第2主ポート14をそれぞれ戻り油出口及び高圧油入口として使用する場合、油圧モータ200を第1方向とは反対の第2方向(例えば、後退方向及び/または反時計回り方向)に動作させるように構成されている。
図1及び
図2には、第1主ポート12を高圧油入口、第2主ポート14を戻り油出口として使用した例が示されている。以下の説明では、高圧油入口及び戻り油出口に対して、それぞれ第1主ポート12及び第2主ポート14と同様の符号を付して参照する。
【0021】
速度弁32は、第1端33と第1端33から速度弁の長手軸線L1方向に沿って離間した第2端35とを含む。第1ボア30は、速度弁32の第1端33及び第2端35にそれぞれに隣接するように形成された第1圧力室34及び第2圧力室36を含む。制御装置10は、さらに第1速度弁バネ38と第2速度弁バネ40を含んでいる。第1速度弁バネ38は、第1ボア30内の速度弁の第1端33に隣接するように配置され、速度弁32をその長手軸線L1に沿って第2端35側(
図1(a)、
図2(a)に示す、矢印A方向)に付勢する。第2速度弁バネ40は、第1ボア30内の速度弁32の第2端35に隣接するように配置され、速度弁32をその長手軸線L1に沿って第1端33側(
図1(a)、
図2(a)に示す、矢印B方向)に付勢する。
【0022】
速度弁32は、第1速度位置と第2速度位置の間で移動可能である。速度弁32の第1速度位置は、
図1(a)に示すように、第1速度弁バネ38の付勢力と第2速度弁バネ40の付勢力との均衡により達成される長手軸線L1に沿った中立位置である。第2速度位置は、油圧モータ200が第1方向に動作しているとき、
図2(a)に示すように、速度弁32がその長手軸線L1に沿って第2端35側(
図2(a)に示す、矢印A方向)に移動した位置である。このような移動は、後述するように、速度弁32の第1圧力室34に高圧油が導入されることにより、高圧油の圧力によって速度弁32の第1端33に印加される力が、第2速度弁バネ40の付勢力に対抗して速度弁32を移動させることにより発生する。また、図示は省略するが、油圧モータ200が第2方向に動作しているとき、速度弁32の第2位置は、速度弁32がその長手軸線L1に沿って第1端33側(
図2(a)に示す、矢印B方向)に移動した位置となる。
【0023】
第1速度位置は、油圧モータ200を第1速度で動作させるように構成され、第2速度位置は、油圧モータ200を第2速度で動作させるように構成される。本実施形態において、第1速度は、低速(高トルク)に対応し、第2速度は、高速(低トルク)に対応する。
【0024】
ハウジング50は、第4ボア100をさらに含む。第4ボア100は、好ましくは円筒状に形成され、第4ボア100内には、方向弁102が配置されている。第4ボア100は、両端の方向弁プラグ116,118によりその長手軸方向に密封されている。この方向弁102は、いわゆるカウンターバランス弁の機能を含むものである。
【0025】
方向弁102は、第1方向位置と第2方向位置との間で移動可能に構成される。制御装置10は、方向弁102が第1方向位置をとるとき、油圧モータ200を第1方向に動作させ、方向弁102が第2方向位置をとるとき、油圧モータ200を第2方向に動作させるように構成されている。
図1(a)及び
図2(a)に示す例は、方向弁102が第1方向位置にある状態で示されている。
【0026】
方向弁102は、第1端103と第1端103から方向弁の長手軸L4方向に沿って離間した第2端105とを含む。第4ボア100は、方向弁102の第1端103及び第2端105にそれぞれに隣接するように形成された第1圧力室108及び第2圧力室110を含む。制御装置10は、第1方向弁バネ104と第2方向弁バネ106を含んでいる。第1方向弁バネ104は、第4ボア100内に方向弁102の第1端103に隣接するように配置され、方向弁102をその長手軸線L4に沿って第2端105側(
図1(a)、
図2(a)に示す、矢印C方向)に付勢する。第2方向弁バネ106は、第4ボア100内に方向弁102の第2端105に隣接するように配置され、方向弁102をその長手軸線L4に沿って第1端103側(
図1(a)、
図2(a)に示す、矢印D方向)に付勢する。
【0027】
方向弁102は、さらに、方向弁102の第1端103に隣接して配置された第1チェック弁112と、方向弁102の第2端105に隣接した配置された第2チェック弁114とを含む。第1及び第2チェック弁112、114は、方向弁102が第1方向位置と第2方向位置との間を移動するとき、方向弁102内の流路を開閉するように動作する。
【0028】
制御装置10は、さらに油圧モータ200の動作モードを変更する動作モード変更手段を含む。動作モード変更手段は、油圧モータ200を第1速度で動作させる第1モードと、油圧モータ200を、油圧モータ200の負荷に応じて第1速度と第2速度との間で自動的に切り替えつつ動作させる第2モードを有している。言い換えれば、動作モード変更手段は、第1モードにおいて、速度弁32を第1速度位置に維持し、第2モードにおいて、速度弁32を油圧モータ200の負荷に応じて第1速度位置と第2速度位置との間で自動的に移動させるように構成されている。
【0029】
動作モード変更手段は、第2モードにおいて、油圧モータ200の負荷に応じて速度弁32の第1圧力室34または第2圧力室36(
図2に示す例では、第1圧力室34)に高圧油入口からの高圧油を導入することにより、速度弁32を第1速度位置から第2速度位置に移動させるように構成されている。以下、速度弁32の第1圧力室34に高圧油が導入される場合を例として、本実施形態における速度モード変更手段について詳述する。
【0030】
ハウジング50は、
図1(c)及び
図2(c)に示すように、高圧油入口12と速度弁の第1圧力室34を連通する連絡通路68と、連絡通路68の中間に形成された第2ボア60と、をさらに含む。制御装置10において、第2ボア60は、好ましくは円筒状に形成され、第2ボア60内には、開閉弁62(例えば、パイロット作動式ポペット弁)が配置されている。
【0031】
ハウジング50は、
図1(b)、
図2(b)、及び
図3に示すように、パイロットポート92と、高圧油入口12及びパイロットポート92に連通する第3ボア80と、をさらに含む。制御装置10において、第3ボア80は、好ましくは円筒状に形成され、第3ボア80内には、動作モード変更弁82(例えば、スプール弁)が配置されている。
【0032】
本実施形態における動作モード変更手段は、パイロットポート92、動作モード変更弁82、及び開閉弁62をその主要な構成要素として構成される。
【0033】
パイロットポート92には、外部の圧力源(図示は省略する)に接続されており、流入される加圧制御油による加圧の有無が切り替えられるように構成される。この切り替えは、典型的には、油圧モータ200を備える重機、車両等の運転者によって実行される。後述するように、本実施形態において、動作モード変更手段は、パイロットポート92からの加圧が無いときに第1モードとなり、パイロットポート92からの加圧が有るときに第2モードとなるものである。
【0034】
開閉弁62は、第1端63とその長手軸線L2に沿って反対側の第2端65とを含む。第2ボア60は、開閉弁62の第2端65に隣接するように形成された圧力室66を含む。制御装置10は、さらに開閉弁バネ64を含んでいる。開閉弁バネ64は、第2ボア60内の開閉弁62の第1端63に隣接するように配置され、開閉弁62をその長手軸線L2に沿って第2端65側(
図1(c)、
図2(c)に示す、矢印E方向)に付勢する。第2ボア60の開閉弁62の第2端65側は、開閉弁プラグ72により密封されている。
【0035】
開閉弁62は、高圧油入口12から連絡通路68を介した速度弁32の第1圧力室34への流体連通を閉止する第1位置(
図1(c))と、高圧油入口12から連絡通路68を介した速度弁32の第1圧力室34への流体連通を開放する第2位置(
図2(c))との間で移動可能に構成される。
【0036】
動作モード変更弁82は、第1端83と第1端83から動作モード変更弁82の長手軸線L3方向に沿って離間した第2端85とを含む。第3ボア80は、動作モード変更弁82の第1端83及び第2端85にそれぞれ隣接するように形成された第1圧力室86及び第2圧力室88を含む。動作モード変更弁82の第1圧力室86は、高圧油入口12に連通する。動作モード変更弁82は、パイロットポート92と動作モード変更弁82の第2圧力室88との間の流体連通を閉止する第1位置(
図3(a))と、パイロットポート92と動作モード変更弁82の第2圧力室88との間の流体連通を開放する第2位置(
図3(b))との間で移動可能に構成される。また、動作モード変更弁82の第2圧力室88は、開閉弁62の圧力室66と連通している。
【0037】
動作モード変更手段は、第3ボア80内に配置された動作モード変更弁バネ84をさらに含む。動作モード変更弁バネ84は、動作モード変更弁82の第2端85に隣接させて配置され、動作モード変更弁82をその長手軸線L3に沿って第1端83側(
図1(b)、
図2(b)、
図3の矢印H方向)に付勢する。さらに、本実施形態において、動作モード変更手段は、第3ボア80内に配置されたピストン87を含む。ピストン87は、動作モード変更弁82の第1端83に隣接して配置され、第1圧力室86の圧力に応じて、動作モード変更弁82をその長手軸線L3に沿って第2端85側(
図1(b)、
図2(b)、
図3の矢印G方向)に押圧する。また、ハウジング50は、動作モード変更弁82が第1位置にあるとき、動作モード変更弁82の第2圧力室88から油を抜き取るためのドレインポート94をさらに含んでいる。
【0038】
次に、
図1、
図2とともに
図3を参照して、動作モード変更手段の動作について説明すれば、次の通りである。
まず、パイロットポート92からの加圧が無いとき、動作モード変更手段は第1モードとなる。この場合、動作モード変更弁82の位置に関わらず、開閉弁62の圧力室66にパイロットポート92から伝達される圧力は無いため、開閉弁62は第1位置(
図1(c))をとり、したがって、高圧油入口12から連絡通路68を介した速度弁32の第1圧力室34への流体連通は阻止される。これによって、速度弁32は、
図1に示すように、第1速度位置に維持されることになる。
【0039】
次に、パイロットポート92からの加圧があるとき、動作モード変更手段は第2モードとなる。ここで、動作モード変更手段が第1モードから第2モードに切り替わった時点で、油圧モータ200の負荷が低く、動作モード変更弁82の第1圧力室86に導入される高圧油の圧力は、次の条件を満たしていたものとする。
Pa×Sa<Fs・・・・(1)
ここで、Paは、動作モード変更弁82の第1圧力室86に導入された高圧油の圧力、Saは、Paが作用するピストン87の面積である。したがって、Pa×Saは、ピストン87を介する形で、第1圧力室86に導入される高圧油によって動作モード変更弁82の第1端83に印加される力となる。Fsは、動作モード変更弁バネ84の付勢力である。
【0040】
このとき、動作モード変更弁82は、
図3(b)に示すような第2位置をとっており、パイロットポート92と動作モード変更弁82の第2圧力室88との間の流体連通は、一般には動作モード変更弁に設けられた穴、溝等を通じて、開放されている。したがって、パイロットポート92からの加圧は、動作モード変更弁82の第2圧力室88に伝達され、ひいては、この第2圧力室88に連通する開閉弁62の圧力室66に伝達される。
【0041】
これによって、開閉弁62の圧力室66に導入されるパイロットポート92からの圧力により開閉弁62の第2端65に印加される力が、開閉弁バネ64によって開閉弁62の第1端63に印加される付勢力よりも大きくなり、開閉弁62は、
図2(c)に示す矢印F方向に移動し、第2位置をとる。
【0042】
これによって、高圧油入口12から連絡通路68を介した速度弁32の第1圧力室34への流体連通が開放され、速度弁32の第1圧力室34に高圧油入口12からの高圧油が導入される。これによって、
図2(a)に示すように、速度弁32は、矢印A方向に移動し、第2速度位置をとることになる。
【0043】
また、この状態において、動作モード変更弁82の第1端83及び第2端85に作用する力は、次の条件を満たしている。
Pa×Sa<Fs+Pp×Sp・・・・(2)
ここで、Pa、Sa、Fsは、(1)と同一、Ppは動作モード変更弁82の第2圧力室88に導入されたパイロット圧、Spは、動作モード変更弁82の第2端85のPpが作用する面積である。動作モード変更手段の第2モードにおいて、(2)式で示す条件が満たされている間、動作モード変更弁82は、第2位置に維持され、速度弁32は、第2速度位置に維持される。
【0044】
次に、この状態において、油圧モータ200の負荷が増大し、したがって、高圧油入口12からの高圧油の圧力Paが増大して、
Pa×Sa>Fs+Pp×Sp・・・・(3)
となる状態が発生したとする。
【0045】
このとき、第2位置(
図3(b))にある動作モード変更弁82は、
図3(b)に示す矢印G方向に移動し、第1位置をとることになる。言い換えれば、第2位置にある動作モード変更弁82は、動作モード変更弁82の第1圧力室86に導入される高圧油によって(本実施形態では、ピストン87を介して)動作モード変更弁82の第1端83に印加される力が、動作モード変更弁バネ84によって動作モード変更弁82の第2端85に印加される付勢力と動作モード変更弁82の第2圧力室88に導入されるパイロットポート92からの圧力によって動作モード変更弁82の第2端85に印加される力との和よりも大きいため、動作モード変更弁82の第1位置に移動する。
【0046】
このとき、パイロットポート92と動作モード変更弁82の第2圧力室88との間の流体連通は、動作モード変更弁82によって閉止され、第2圧力室88に導入されたパイロットポート92からの加圧制御油は、ドレインポート94から排出される。
【0047】
これによって、開閉弁62の圧力室66に導入されるパイロットポート92からの圧力によって開閉弁62の第2端65に印加される力もなくなり、開閉弁62は、開閉弁バネ64の付勢力によって、
図1(c)に示す矢印E方向に移動し、第1位置をとる。
【0048】
これによって、高圧油入口12から連絡通路68を介した速度弁32の第1圧力室34への流体連通が閉止されることにより、速度弁32は、第1速度位置をとることになる(
図1(a))。
【0049】
また、この状態において、動作モード変更弁82の第1端及び第2端に作用する力は、次の条件を満たしている。
Pa×Sa>Fs・・・・(3)
ここで、Pa、Sa、Fsは、(1)と同一である。この状態では、動作モード変更弁82の第2圧力室88にパイロットポート92からの圧力は伝達されないことに留意されたい。動作モード変更手段の第2モードにおいて、(3)式で示す条件が満たされている間、動作モード変更弁82は、第1位置に維持され、速度弁32は、第1速度位置に維持される。
【0050】
そして、この状態において、油圧モータ200の負荷が減少し、したがって、高圧油入口12からの高圧油の圧力Paが減少して、
Pa×Sa<Fs・・・・(4)
となる状態が発生したとする。
【0051】
このとき、第1位置(
図3(a))にある動作モード変更弁は、
図3(a)に示す矢印H方向に移動し、
図3(b)に示す第2位置をとることになる。言い換えれば、第1位置にある動作モード変更弁82は、動作モード変更弁82の第1圧力室86に導入される高圧油によって(本実施形態では、ピストン87を介して)動作モード変更弁82の第1端83に印加される力が、動作モード変更弁バネ84によって動作モード変更弁82の第2端85に印加される付勢力よりも小さいとき、動作モード変更弁82の第2位置に移動する。
【0052】
これによって、再び、パイロットポート92と動作モード変更弁82の第2圧力室88との間の流体連通が開放され、上述した動作が繰り返される。
【0053】
このように、本実施形態における制御装置10では、第1モードにおいて、開閉弁62が第1位置をとり、第2モードにおいて、開閉弁62が油圧モータ200の負荷に応じて開閉弁62の第1位置と第2位置との間を自動的に移動するように構成されており、それによって、第2モードにおいて、速度弁32の第1速度位置と第2速度位置との間での自動的な移動を実現するものである。
【0054】
また、本実施形態における制御装置10では、第2モードにおいて、第1速度から第2速度への切り替えは、上記(4)の条件を満たす状態が発生したときに起こり、第2速度から第1速度への切り替えは、上記(3)の条件を満たす状態が発生したときに起こるものである。言い換えれば、第1速度から第2速度への切り替えが起こるときの高圧油の圧力の方が、第2速度から第1速度への切り替えが起こるときの高圧油の圧力よりも低いというように、切り替えのしきい値である高圧油の圧力にヒステリシスが設けられているものである。
【0055】
ここで、速度弁32は、その長手軸線L1方向に沿って中央部分に、中央隔壁31を含んでいる。中央隔壁31は、第1、第2、第3、第4モータ通路21、22、23、24を油圧モータ200への供給通路と油圧モータ200からの受け入れ通路に隔離するものである。具体的には、
図1に示すように、速度弁32が第1位置にあるとき、第1モータ通路21及び第2モータ通路22は、高圧油を油圧モータ200に向かわせ、第3モータ23通路及び第4モータ通路24は、油圧モータ200からの戻り油を受け入れるものとなる。このとき、油圧モータ200は、一般に、押しのけ容積の大きい、低速・高トルクモードで動作する。また、速度弁32が
図2に示すような第2速度位置にあるとき、第1モータ通路21、第2モータ通路22、及び第3モータ通路23は、高圧油を油圧モータ200に向かわせ、第4モータ通路24は、油圧モータからの戻り油を受け入れるものとなる。このとき、油圧モータ200は、押しのけ容積の小さい、高速・低トルクモードで動作する。
【0056】
ここで、以上の説明では、制御装置10において、第1主ポート12を高圧油入口、第2主ポート14を戻り油出口としたが、本実施形態における制御装置10は、上述したように、第1主ポート12を戻り油出口、第2主ポート14を高圧油入口としても使用可能なものである。その際、制御装置10のハウジング50は、図示は省略するが、第2主ポート14と速度弁32の第2圧力室36を連通する連絡通路(第2連絡通路)と、その連絡通路の中間に形成された第2ボア(第2主ポート側第2ボア)とを含み、動作モード変更手段は、この第2ボア内に配置された開閉弁(第2開閉弁)を含むものである。制御装置10において、第1主ポート12を戻り油出口、第2主ポート14を高圧油入口として使用した場合の、第2開閉弁を含む動作モード変更手段の動作は、上述した動作モード変更手段の動作と同様のものであるため、その説明は省略する。
【0057】
本実施形態における制御装置10は、以上のように構成されているため、油圧モータ200を第1速度と第2速度の2速度で動作させる油圧モータ用制御装置において、油圧モータ200の負荷に応じた第1速度と第2速度の自動的な切換を実施することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態における制御装置10によれば、パイロットポートの加圧に関する手動操作により開閉弁を直接開閉させる従来の油圧モータ用制御装置に対して、大幅な変更を要することなく、このような自動切換を実施可能な制御装置を実現することが可能となる。
【0059】
さらに、本実施形態における制御装置10によれば、速度モード変更手段の第2モードにおいて、第1速度と第2速度との自動切り替えのしきい値となる高圧油の圧力にヒステリシスが設けられているため、油圧モータ200の押しのけ容積の変化による圧力振動を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
10:制御装置、12:第1主ポート、14:第2主ポート、30:第1ボア、32:速度弁、50:ハウジング、60:第2ボア、62:開閉弁、80:第3ボア、82:動作モード変更弁