(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030138
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】静電容量式タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220210BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 450
G06F3/044 128
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133923
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】赤星 周二
(72)【発明者】
【氏名】小池 俊二
(72)【発明者】
【氏名】中越 雅也
(72)【発明者】
【氏名】望月 敏嗣
(72)【発明者】
【氏名】山内 要介
(57)【要約】
【課題】より狭額縁化された静電容量式タッチパネルを提供する。
【解決手段】静電容量式タッチパネルは、ユーザによるタッチ操作を検出するように構成されている。この静電容量式タッチパネルは、電極フィルム部と、第1外部コネクタと、第2外部コネクタとを備える。電極フィルム部は、各々がタッチ位置の検出に用いられる第1透明電極及び第2透明電極を含む。電極フィルム部の平面視における形状は矩形である。第1外部コネクタは、電極フィルム部の第1辺において第1透明電極に電気的に接続されている。第2外部コネクタは、電極フィルム部の第2辺において第2透明電極に電気的に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるタッチ操作を検出するように構成された静電容量式タッチパネルであって、
各々がタッチ位置の検出に用いられる第1透明電極及び第2透明電極を含む電極フィルム部と、
第1外部コネクタと、
第2外部コネクタとを備え、
前記電極フィルム部の平面視における形状は略矩形であり、
前記第1外部コネクタは、前記電極フィルム部の第1辺において前記第1透明電極に電気的に接続されており、
前記第2外部コネクタは、前記電極フィルム部の第2辺において前記第2透明電極に電気的に接続されている、静電容量式タッチパネル。
【請求項2】
前記第1外部コネクタのうち、前記第1透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、前記第1辺のうち前記第1透明電極が形成されている領域の長さの100%以上であり、
前記第2外部コネクタのうち、前記第2透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、前記第2辺のうち前記第2透明電極が形成されている領域の長さの100%以上である、請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項3】
前記第1外部コネクタのうち、前記第1透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、
前記第1外部コネクタと前記電極フィルム部とは、前記切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされており、
前記第2外部コネクタのうち、前記第2透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、
前記第2外部コネクタと前記電極フィルム部とは、前記切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされている、請求項1又は請求項2に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項4】
前記第1外部コネクタ及び前記第2外部コネクタの各々には配線が形成されており、
前記配線が曲がっている位置において、前記配線によって形成される角度は、90°よりも大きい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項5】
前記電極フィルム部は、前記第1透明電極を含む第1電極フィルムと、前記第2透明電極を含む第2電極フィルムとを含み、
前記第1電極フィルムの上面において、前記第1外部コネクタが前記第1透明電極に接続され、
前記第2電極フィルムの上面において、前記第2外部コネクタが前記第2透明電極に接続され、
前記第1電極フィルムは、前記第2電極フィルムの上方に配置され、
前記第2電極フィルムの面積は、前記第1電極フィルムの面積よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-58058号公報(特許文献1)は、タッチパネルを開示する。このタッチパネルは、第1電極フィルムと、第2電極フィルムとを含んでいる。このタッチパネルにおいては、第1電極フィルムの引回し配線が、スルーホールを通じて第2電極フィルムに接続されている。これにより、タッチパネルの狭額縁化が実現されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術によっては、必ずしもタッチパネルの狭額縁化の要求を満足できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、より狭額縁化された静電容量式タッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従う静電容量式タッチパネルは、ユーザによるタッチ操作を検出するように構成されている。この静電容量式タッチパネルは、電極フィルム部と、第1外部コネクタと、第2外部コネクタとを備える。電極フィルム部は、各々がタッチ位置の検出に用いられる第1透明電極及び第2透明電極を含む。電極フィルム部の平面視における形状は略矩形である。第1外部コネクタは、電極フィルム部の第1辺において第1透明電極に電気的に接続されている。第2外部コネクタは、電極フィルム部の第2辺において第2透明電極に電気的に接続されている。
【0007】
この静電容量式タッチパネルにおいて、第1外部コネクタは、電極フィルム部の第1辺において第1透明電極に電気的に接続されており、第2外部コネクタは、電極フィルム部の第2辺において第2透明電極に電気的に接続されている。したがって、この静電容量式タッチパネルによれば、各透明電極の配線が一辺だけに集約されず、配線の引回しが複雑にならないため、狭額縁化をより容易に実現することができる。
【0008】
上記静電容量式タッチパネルにおいて、第1外部コネクタのうち、第1透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、上記第1辺のうち第1透明電極が形成されている領域の長さの100%以上であり、第2外部コネクタのうち、第2透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、第2辺のうち第2透明電極が形成されている領域の長さの100%以上であってもよい。
【0009】
この静電容量式タッチパネルによれば、各透明電極の配線を各辺における狭い領域に集約する必要がなく、配線の引回しが複雑にならないため、狭額縁化をより容易に実現することができる。
【0010】
上記静電容量式タッチパネルにおいて、第1外部コネクタのうち、第1透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、第1外部コネクタと電極フィルム部とは、切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされており、第2外部コネクタのうち、第2透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、第2外部コネクタと電極フィルム部とは、切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされていてもよい。
【0011】
この静電容量式タッチパネルにおいて、第1外部コネクタと電極フィルム部とは、切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされており、第2外部コネクタと電極フィルム部とは、切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされている。したがって、この静電容量式タッチパネルによれば、ヒートシールする領域に隣接して切欠きが存在するため、直接的にヒートシールしていない領域における熱硬化の発生を抑制することができる。
【0012】
上記静電容量式タッチパネルにおいて、第1外部コネクタ及び第2外部コネクタの各々には配線が形成されており、配線が曲がっている位置において、配線によって形成される角度は、90°よりも大きくてもよい。
【0013】
この静電容量式タッチパネルにおいては、配線が曲がっている位置において、配線によって形成される角度が90°よりも大きい。したがって、この静電容量式タッチパネルによれば、各外部コネクタにおいて配線の曲がりが急ではないため、レーザ加工によって容易に配線を形成することができる。
【0014】
上記静電容量式タッチパネルにおいて、電極フィルム部は、第1透明電極を含む第1電極フィルムと、第2透明電極を含む第2電極フィルムとを含み、第1電極フィルムの上面において、第1外部コネクタが第1透明電極に接続され、第2電極フィルムの上面において、第2外部コネクタが第2透明電極に接続され、第1電極フィルムは、第2電極フィルムの上方に配置され、第2電極フィルムの面積は、第1電極フィルムの面積よりも大きくてもよい。
【0015】
したがって、この静電容量式タッチパネルによれば、各電極フィルムの外部に露出した部分に各外部コネクタを接続することができるため、各外部コネクタの接続耐久性を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より狭額縁化された静電容量式タッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】タッチパネル本体の一部の断面を模式的に示す図である。
【
図3】第1電極フィルム、第2電極フィルム及び粘着層が積層された状態の平面を模式的に示す図である。
【
図5】タッチパネルの製造手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図5のステップS100の詳細を説明するための図である。
【
図7】
図5のステップS110の詳細を説明するための図である。
【
図8】
図5のステップS120の詳細を説明するための図である。
【
図9】
図5のステップS130の詳細を説明するための図である。
【
図10】
図5のステップS140の詳細を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
[1.タッチパネルの構成]
図1は、本実施の形態に従うタッチパネル10の平面図である。なお、
図1における手前側をタッチパネル10の上面側とも称し、
図1における奥側をタッチパネル10の下面側とも称する。タッチパネル10は、静電容量式のタッチパネルであり、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ上に取り付けられる。
【0020】
図1に示されるように、タッチパネル10は、タッチパネル本体100と、第1外部コネクタ200と、第2外部コネクタ300とを含んでいる。
【0021】
タッチパネル本体100は、ユーザのタッチ操作に応じた信号を出力するように構成されている。タッチパネル本体100の平面視における形状は、矩形であり、長辺と短辺とを有している。
【0022】
図2は、タッチパネル本体100の一部の断面を模式的に示す図である。
図2に示されるように、タッチパネル本体100は、複数の層を積層することによって構成されている。具体的には、タッチパネル本体100は、カバー部材110と、第1電極フィルム130と、第2電極フィルム150と、粘着層120,140とを含んでいる。すなわち、タッチパネル本体100は、カバー部材110と、第1電極フィルム130と、第2電極フィルム150とを、粘着層120,140を介して貼り合わせることによって製造されている。
【0023】
例えば、カバー部材110の厚みは0.7mmであり、粘着層120の厚みは0.125mmである。第1電極フィルム130の厚みは0.1mmであり、粘着層140の厚みは0.05mmである。第2電極フィルム150の厚みは0.1mmである。なお、各層の厚みはこれに限定されない。
【0024】
カバー部材110は、タッチパネル本体100においてユーザ側に露出する面に配置された基板である。カバー部材110は、例えば、ガラスによって構成されている。カバー部材110の平面視における形状は矩形である。
【0025】
第1電極フィルム130及び第2電極フィルム150の各々においては、タッチパネル10の上面側から順に透明電極、基材フィルムが積層されている。透明電極の主成分は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)である。なお、透明電極の主成分は、例えば、銀又は銅であってもよい。基材フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムによって構成されている。
【0026】
第1電極フィルム130は、矢印Y方向(タッチパネル本体100の長辺方向(
図1))におけるタッチ位置を検出するための複数の透明電極を含んでいる。第1電極フィルム130において、複数の透明電極の各々は矢印X方向(タッチパネル本体100の短辺方向)に延びており、複数の透明電極は矢印Y方向に並ぶように配置されている。
【0027】
第2電極フィルム150は、矢印X方向におけるタッチ位置を検出するための複数の透明電極を含んでいる。第2電極フィルム150において、複数の透明電極の各々は矢印Y方向に延びており、複数の透明電極は矢印X方向に並ぶように配置されている。第1電極フィルム130及び第2電極フィルム150の各々の平面視における形状は矩形である。なお、第1電極フィルム130においてタッチ位置が検出される方向と、第2電極フィルム150においてタッチ位置が検出される方向とは、完全に垂直である必要はなく、異なる方向であればよい。
【0028】
粘着層120,140は、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)で構成される。OCAは、フィルム状の光学粘着シートである。OCAの主成分は、例えば、アクリル系樹脂である。粘着層120,140の平面視における形状は矩形である。
【0029】
図3は、第1電極フィルム130、第2電極フィルム150及び粘着層120,140が積層された状態の平面を模式的に示す図である。
図3に示されるように、第1電極フィルム130、第2電極フィルム150及び粘着層120,140が積層された状態で、第1電極フィルム130及び第2電極フィルム150の各々の一部分は外部に露出している。この積層体の平面視における形状は、略矩形である。
【0030】
図3の例では、第2電極フィルム150の矢印X方向の両端部が第1電極フィルム130の矢印X方向の両端部と揃っている。しかしながら、第2電極フィルム150の矢印X方向の少なくとも一方の端部が第1電極フィルム130の矢印X方向の少なくとも一方の端部と揃っていなかったとしても、この積層体の平面視における形状は略矩形であるといえる。すなわち、第1電極フィルム130及び第2電極フィルム150の各々の平面視における形状が矩形状である限り、これらが積層された積層体の平面視における形状は略矩形である。
【0031】
タッチパネル10において、第2電極フィルム150の面積は、第1電極フィルム130の面積よりも大きい。第1電極フィルム130の面積と、粘着層140の面積とは同一である。第1電極フィルム130の面積は、粘着層120の面積よりも大きい。さらに、タッチパネル10において、第2電極フィルム150の長辺は第1電極フィルム130及び粘着層140の各々の長辺よりも長く、第1電極フィルム130の短辺は粘着層120の短辺よりも長い。
【0032】
第1電極フィルム130の露出している部分に第1外部コネクタ200が電気的に接続され、第2電極フィルム150の露出している部分に第2外部コネクタ300が電気的に接続される。第1電極フィルム130と第1外部コネクタ200との接続、及び、第2電極フィルム150と第2外部コネクタ300との接続の各々は、例えば、異方導電性フィルム(ACF)を介して行なわれる。
【0033】
再び
図1を参照して、第1外部コネクタ200は、タッチ位置を示す信号を不図示の検出回路に伝達する。第1外部コネクタ200は、例えば、FFC(Flexible Flat Cable)又はFPC(Flexible Printed Circuit)であり、タッチパネル10の下面側に折り曲げて検出回路と接続される。第1外部コネクタ200は、第1電極フィルム130の長辺に電気的に接続されている。第1外部コネクタ200は、基材210と、基材210上に形成された複数の配線220とを含んでいる。
【0034】
基材210は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムによって構成される。各配線220は、金属配線であり、例えば、レーザ加工によるパターニングを通じて基材210上に形成される。各配線220は、例えば、カーボン及び銀を含む導電性ペーストによって構成される。各配線220は、例えば、銅を含む導電性ペーストによって構成されてもよい。この場合には、銅が露出しないようにするために、銅の上方のうち必要な部分に樹脂等の保護層を形成することが好ましい。例えば、第1外部コネクタ200において、基材210の厚みは50μmであり、保護層としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの厚みは50μmであり、これらを接続するための粘着層の厚みは25μmである。このように、カバー部材110の浮きが生じないようにするために、粘着層120の厚みと、第1外部コネクタ200の厚みとが同程度であることが好ましい。
【0035】
各配線220には、第1電極フィルム130に形成された透明電極のいずれかが電気的に接続されている。すなわち、各配線220と各透明電極とは、一対一で接続されている。
【0036】
基材210のうち、第1電極フィルム130に接続されている辺には、複数の切欠きC1が形成されている。基材210と第1電極フィルム130とは、切欠きC1が存在しない複数箇所においてヒートシールすることによって接続されている。具体的には、基材210と第1電極フィルム130とは、領域T4-T7の各々においてヒートシールすることによって接続されている。タッチパネル10によれば、例えば、領域T4をヒートシールする場合に、領域T4に隣接して切欠きC1が存在するため、直接的にヒートシールしていない領域T5における熱硬化の発生を抑制することができる。
【0037】
また、基材210において、第1電極フィルム130に接続されている辺の長さは、第1電極フィルム130の長辺のうち透明電極が形成されている領域の長さの100%以上である。例えば、第1電極フィルム130の長辺の一部の領域(例えば、矢印Y方向における上半分)にしか透明電極が形成されていない場合には、基材210において、第1電極フィルム130に接続されている辺の長さは、第1電極フィルム130の長辺の長さの100%未満となってもよい。例えば、基材210において、第1電極フィルム130に接続されている辺の長さは、第1電極フィルム130の長辺の長さの80%以上、好ましくは第1電極フィルム130の長辺の長さの90%以上、さらに好ましくは第1電極フィルム130の長辺の長さの95%以上である。なお、基材210において、第1電極フィルム130に接続されている辺の長さは、矢印Y方向における一端から他端までの長さであり、切欠きC1が形成されている部分の矢印Y方向における長さも含んだ長さである。タッチパネル10によれば、第1電極フィルム130の各透明電極の配線を基材210の辺における狭い領域に集約する必要がなく、配線の引回しが複雑にならないため、タッチパネル10の狭額縁化をより容易に実現することができる。
【0038】
第2外部コネクタ300は、タッチ位置を示す信号を検出回路に伝達する。第2外部コネクタ300は、例えば、FFC又はFPCであり、タッチパネル10の下面側に折り曲げて検出回路と接続される。第2外部コネクタ300は、第2電極フィルム150の短辺に電気的に接続されている。このように、タッチパネル10においては、第1外部コネクタ200及び第2外部コネクタ300の各々がタッチパネル本体100の異なる辺に接続されている。したがって、タッチパネル10によれば、各透明電極の配線がタッチパネル本体100の一辺だけに集約されず、配線の引回しが複雑にならないため、タッチパネル10の狭額縁化をより容易に実現することができる。
【0039】
第2外部コネクタ300は、基材310と、複数の配線320とを含んでいる。基材310及び配線320は、それぞれ基材210及び配線220と同一の構成を有する。なお、基材310及び配線320は、それぞれ基材210及び配線220と異なる構成を有していてもよい。
【0040】
各配線320には、第2電極フィルム150に形成された透明電極のいずれかが電気的に接続されている。すなわち、各配線320と各透明電極とは、一対一で接続されている。
【0041】
基材310のうち、第2電極フィルム150に接続されている辺には、複数の切欠きC1が形成されている。基材310と第2電極フィルム150とは、切欠きC1が存在しない複数箇所においてヒートシールすることによって接続されている。具体的には、基材310と第2電極フィルム150とは、領域T1-T3の各々においてヒートシールすることによって接続されている。
【0042】
また、基材310において、第2電極フィルム150に接続されている辺の長さは、第2電極フィルム150の短辺のうち透明電極が形成されている領域の長さの100%以上である。例えば、第2電極フィルム150の短辺の一部の領域(例えば、矢印X方向における左半分)にしか透明電極が形成されていない場合には、基材310において、第2電極フィルム150に接続されている辺の長さは、第2電極フィルム150の短辺の長さの100%未満となってもよい。例えば、基材310において、第2電極フィルム150に接続されている辺の長さは、第2電極フィルム150の短辺の長さの80%以上、好ましくは第2電極フィルム150の短辺の長さの90%以上、さらに好ましくは第2電極フィルム150の短辺の長さの95%以上である。なお、基材310において、第2電極フィルム150に接続されている辺の長さは、矢印X方向における一端から他端までの長さであり、切欠きC1が形成されている部分の矢印X方向における長さも含んだ長さである。
【0043】
なお、タッチパネル10において、領域T1,T2,T4,T5,T6の各々の長さは同一である。一方、領域T3,T7の各々の長さは、領域T1,T2,T4,T5,T6の長さよりも短い。タッチパネル10においては、ヒートシール領域のうち通常よりも長さが短いものが、
図1における左上の領域に集約されている。このように、ヒートシール領域のうち通常よりも長さが短いものを特定の場所に集約することによって、ヒートシール装置におけるヘッド交換の頻度が低減され、製造手順が簡素化されている。
【0044】
図4は、
図1の部分P1の拡大図である。
図4に示されるように、第2外部コネクタ300においては、複数の配線320が形成されている。複数の配線320の各々は、部分的に曲がっている。各配線320が曲がっている位置において、各配線320によって形成される角度A1は、90°よりも大きい。また、角度A2も90°よりも大きい。タッチパネル10によれば、第2外部コネクタ300において配線320の曲がりが急ではないため、レーザ加工によって容易に配線320を形成することができる。なお、第1外部コネクタ200においても、各配線220が曲がっている位置において、各配線220によって形成される角度は、90°よりも大きい。
【0045】
[2.タッチパネルの製造手順]
図5は、タッチパネル10の製造手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される工程は、タッチパネル10の製造装置によって実行される。
【0046】
図5を参照して、製造装置は、第1電極フィルム130の両面に粘着層を貼り合わせる(ステップS100)。
【0047】
図6は、
図5のステップS100の詳細を説明するための図である。
図6に示されるように、第1電極フィルム130の上面には、第1透明電極131がパターニング形成されている。第1電極フィルム130が形成されている領域の面積は、粘着層120の面積よりも大きい。第1電極フィルム130の面積は、粘着層140の面積と同一である。
図5のステップS100において、製造装置は、第1透明電極131の上面に粘着層120を貼り合わせ、第1透明電極131の下面に粘着層140を貼り合わせる。なお、この例においては、2枚のタッチパネル10が製造される。
【0048】
再び
図5を参照して、製造装置は、ステップS100において形成された積層体をレーザーカットする(ステップS110)。
【0049】
図7は、
図5のステップS110の詳細を説明するための図である。
図7に示されるように、例えば、線L1,L2に沿って積層体をレーザーカットすることによって、粘着層120の端部と第1電極フィルム130の端部とが揃えられる。
【0050】
再び
図5を参照して、製造装置は、ステップS110におけるレーザーカット後の積層体の下面に第2電極フィルム150を貼り合わせる(ステップS120)。
【0051】
図8は、
図5のステップS120の詳細を説明するための図である。
図8に示されるように、第2電極フィルム150の上面には、第2透明電極151がパターニング形成されている。第2電極フィルム150において第2透明電極151が形成されている領域の面積は、第1電極フィルム130において第1透明電極131が形成されている領域の面積よりも大きい。
図5のステップS120において、製造装置は、ステップS110におけるレーザーカット後の積層体の下面に第2電極フィルム150を貼り合わせる。第2電極フィルム150が貼り合わせられた積層体においては、第1透明電極131の一部及び第2透明電極151の一部が外部に露出している。
【0052】
再び
図5を参照して、製造装置は、ステップS120において製造された積層体をレーザーカットすることによって所定の大きさにする(ステップS130)。
【0053】
図9は、
図5のステップS130の詳細を説明するための図である。
図9に示されるように、例えば、線L3に沿って積層体をレーザーカットすることによって、所定の大きさの積層体が製造される。この例においては、2つの積層体が製造される。
【0054】
再び
図5を参照して、製造装置は、ステップS130におけるレーザーカット後の積層体に第1外部コネクタ200及び第2外部コネクタ300を接続する(ステップS140)。
【0055】
図10は、
図5のステップS140の詳細を説明するための図である。
図10に示されるように、第1電極フィルム130の露出した部分(第1透明電極131)に第1外部コネクタ200がヒートシールされ、第2電極フィルム150の露出した部分(第2透明電極151)に第2外部コネクタ300がヒートシールされる。
【0056】
再び
図5を参照して、製造装置は、ステップS140において製造された積層体の上面にカバー部材110を貼り合わせる(ステップS150)。これにより、タッチパネル10が完成する。
【0057】
[3.特徴]
以上のように、タッチパネル10において、第1外部コネクタ200は、第1電極フィルム130の長辺において第1透明電極131に電気的に接続されており、第2外部コネクタ300は、第2電極フィルム150の短辺において第2透明電極151に電気的に接続されている。したがって、タッチパネル10によれば、各透明電極の配線が一辺だけに集約されず、配線の引回しが複雑にならないため、狭額縁化をより容易に実現することができる。
【0058】
なお、タッチパネル10は、本発明における「静電容量式タッチパネル」の一例である。第1透明電極131は本発明における「第1透明電極」の一例であり、第2透明電極151は本発明における「第2透明電極」の一例である。第1電極フィルム130及び第2電極フィルム150からなる構成は、本発明における「電極フィルム部」の一例である。第1外部コネクタ200は本発明における「第1外部コネクタ」の一例であり、第2外部コネクタ300は本発明における「第2外部コネクタ」の一例である。第1電極フィルム130は本発明における「第1電極フィルム」の一例であり、第2電極フィルム150は本発明における「第2電極フィルム」の一例である。
【0059】
[4.変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、変形例について説明する。
【0060】
<4-1>
上記実施の形態に従うタッチパネル10においては、第1電極フィルム130に第1透明電極131が形成され、第2電極フィルム150に第2透明電極151が形成されていた。しかしながら、第1透明電極131及び第2透明電極151は、必ずしも異なる電極フィルム上に形成されなくてもよい。例えば、第1透明電極131及び第2透明電極151は、同一の電極フィルム上に形成されてもよい。
【0061】
<4-2>
また、上記実施の形態に従うタッチパネル10においては、タッチパネル本体100の2辺に外部コネクタ(第1外部コネクタ200又は第2外部コネクタ300)が接続された。しかしながら、3辺以上の辺に外部コネクタが接続されてもよい。例えば、タッチ位置と外部コネクタとの距離が長くなると、タッチに起因する信号の検出が難しくなる。すなわち、タッチパネル10が大型になるほど、タッチに起因する信号の検出が難しくなる。そこで、例えば、向かい合う2辺に外部コネクタを接続し、各外部コネクタが、各外部コネクタからタッチパネルの半分の領域までのタッチ位置を検出するようにする。これによって、タッチ位置と外部コネクタとの距離が短くなるため、タッチに起因する信号の検出精度を向上させることができる。
【0062】
<4-3>
また、上記実施の形態に従うタッチパネル10においては、第1外部コネクタ200及び第2外部コネクタ300の各々に、複数の切欠きC1が形成された。しかしながら、これらの切欠きC1は必ずしも設けられなくてもよい。また、第1外部コネクタ200及び第2外部コネクタ300の各々のヒートシールによる接続は、必ずしも複数回に分けて行なわれる必要はなく、一度で行なわれてもよい。
【0063】
<4-4>
また、配線220,320が曲がっている位置において、配線220,320によって形成される角度は90°よりも大きかった。しかしながら、配線220,320によって形成される角度は、これに限定されず、例えば、90°であってもよいし、90°よりも小さくてもよい。
【0064】
<4-5>
また、上記実施の形態に従うタッチパネル10においては、第1電極フィルム130と第1外部コネクタ200との接続、及び、第2電極フィルム150と第2外部コネクタ300との接続の各々は、異方導電性フィルム(ACF)を介して行なわれた。しかしながら、第1電極フィルム130と第1外部コネクタ200とは必ずしも別体として形成される必要はなく、第2電極フィルム150と第2外部コネクタ300とも必ずしも別体として形成される必要はない。例えば、第1電極フィルム130と第1外部コネクタ200とは同一の基材フィルムで構成されてもよいし、第2電極フィルム150と第2外部コネクタ300とは同一の基材フィルムで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 タッチパネル、100 タッチパネル本体、110 カバー部材、120,140 粘着層、130 第1電極フィルム、131 第1透明電極、150 第2電極フィルム、151 第2透明電極、200 第1外部コネクタ、300 第2外部コネクタ、210,310 基材、220,320 配線、C1 切欠き、L1-L3 線、T1-T7 領域。
【手続補正書】
【提出日】2020-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるタッチ操作を検出するように構成された静電容量式タッチパネルであって、
各々がタッチ位置の検出に用いられる第1透明電極及び第2透明電極を含む電極フィルム部と、
第1外部コネクタと、
第2外部コネクタとを備え、
前記電極フィルム部の平面視における形状は略矩形であり、
前記第1外部コネクタは、前記電極フィルム部の第1辺において前記第1透明電極に電気的に接続されており、
前記第2外部コネクタは、前記電極フィルム部の第2辺において前記第2透明電極に電気的に接続されており、
前記第1外部コネクタ及び前記第2外部コネクタの各々には配線が形成されており、
前記配線の太さが変化する位置において、前記配線によって形成される角度は、90°よりも大きい、静電容量式タッチパネル。
【請求項2】
前記第1外部コネクタのうち、前記第1透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、前記第1辺のうち前記第1透明電極が形成されている領域の長さの100%以上であり、
前記第2外部コネクタのうち、前記第2透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、前記第2辺のうち前記第2透明電極が形成されている領域の長さの100%以上である、請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項3】
前記第1外部コネクタのうち、前記第1透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、
前記第1外部コネクタと前記電極フィルム部とは、前記切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされており、
前記第2外部コネクタのうち、前記第2透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、
前記第2外部コネクタと前記電極フィルム部とは、前記切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされている、請求項1又は請求項2に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項4】
前記配線が曲がっている位置において、前記配線によって形成される角度は、90°よりも大きい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項5】
前記電極フィルム部は、前記第1透明電極を含む第1電極フィルムと、前記第2透明電極を含む第2電極フィルムとを含み、
前記第1電極フィルムの上面において、前記第1外部コネクタが前記第1透明電極に接続され、
前記第2電極フィルムの上面において、前記第2外部コネクタが前記第2透明電極に接続され、
前記第1電極フィルムは、前記第2電極フィルムの上方に配置され、
前記第2電極フィルムの面積は、前記第1電極フィルムの面積よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。
【手続補正書】
【提出日】2021-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによるタッチ操作を検出するように構成された静電容量式タッチパネルであって、
各々がタッチ位置の検出に用いられる第1透明電極及び第2透明電極を含む電極フィルム部と、
第1外部コネクタと、
第2外部コネクタと、
を備え、
前記電極フィルム部の平面視における形状は略矩形であり、
前記第1外部コネクタは、前記電極フィルム部の第1辺において前記第1透明電極に電気的に接続されており、
前記第2外部コネクタは、前記電極フィルム部の第2辺において前記第2透明電極に電気的に接続されており、
前記第1外部コネクタ及び前記第2外部コネクタの各々には配線が形成されており、
前記配線の幅が細い部分から太い部分に変化する位置では、前記細い部分と前記太い部分とが一直線上に連結され、
前記配線の幅が細い部分から太い部分に変化する位置において、前記配線の外縁の両側に形成される角度は、90°よりも大きい、静電容量式タッチパネル。
【請求項2】
前記第1外部コネクタのうち、前記第1透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、前記第1辺のうち前記第1透明電極が形成されている領域の長さの100%以上であり、
前記第2外部コネクタのうち、前記第2透明電極に接続されている部分を含む辺の長さは、前記第2辺のうち前記第2透明電極が形成されている領域の長さの100%以上である、請求項1に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項3】
前記第1外部コネクタのうち、前記第1透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、
前記第1外部コネクタと前記電極フィルム部とは、前記切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされており、
前記第2外部コネクタのうち、前記第2透明電極に接続されている部分を含む辺には、1又は複数の切欠きが形成されており、
前記第2外部コネクタと前記電極フィルム部とは、前記切欠きが存在しない複数箇所においてヒートシールされている、請求項1又は請求項2に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項4】
前記配線が曲がっている位置において、前記配線によって形成される角度は、90°よりも大きい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。
【請求項5】
前記電極フィルム部は、前記第1透明電極を含む第1電極フィルムと、前記第2透明電極を含む第2電極フィルムとを含み、
前記第1電極フィルムの上面において、前記第1外部コネクタが前記第1透明電極に接続され、
前記第2電極フィルムの上面において、前記第2外部コネクタが前記第2透明電極に接続され、
前記第1電極フィルムは、前記第2電極フィルムの上方に配置され、
前記第2電極フィルムの面積は、前記第1電極フィルムの面積よりも大きい、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネル。