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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030155
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/60 20210101AFI20220210BHJP
   H01M 50/183 20210101ALI20220210BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20220210BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220210BHJP
【FI】
H01M2/36 101A
H01M2/08 Z
H01M10/04 Z
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133945
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 夕紀
(72)【発明者】
【氏名】磯村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】井上 正樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓也
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011FF03
5H011GG01
5H023AA03
5H023AA09
5H023AS07
5H023CC01
5H023DD10
5H028AA08
5H028BB03
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC19
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029BJ12
5H029BJ17
5H029CJ13
5H029DJ03
5H029DJ14
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】電解液の含浸むらを抑制する。
【解決手段】スペーサ50は、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体32と負極集電体との間に配置される。積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体32及び負極集電体と、スペーサ50と、は空間を区画形成する。スペーサ50は、積層方向Zから見た平面視において四角枠状であるとともに、第1縁部51、第2縁部52、及び第3縁部53を備える。スペーサ50は、空間から空間の外部に向かって延びる開口部60を備える。開口部60は、第1開口部61、第2開口部62、及び第3開口部63を備える。第1開口部61は、第1方向Xに沿って第1縁部51を貫通する。第2開口部62は、第2方向Yに沿って第2縁部52を貫通する。第3開口部63は、第1方向Xに沿って第3縁部53を貫通する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に複数積層する集電体と、
前記積層方向における前記集電体の一方面である第1面に配置される正極活物質層と、
前記積層方向における前記集電体の他方面である第2面に配置される負極活物質層と、
前記積層方向において隣り合う2つの前記集電体の間に配置されるとともに、前記正極活物質層及び前記負極活物質層を囲むスペーサと、を備える蓄電装置であって、
前記スペーサは、前記積層方向から見た平面視において四角枠状であるとともに、前記正極活物質層及び前記負極活物質層に対して、前記積層方向と交差する第1方向における一方に配置される第1縁部と、前記積層方向及び前記第1方向の両方向と交差する第2方向における一方に配置される第2縁部と、前記第1方向において前記第1縁部と対向する第3縁部と、前記積層方向において隣り合う2つの前記集電体及び前記スペーサによって区画形成される空間から前記空間の外部に向かって延びる開口部と、を備え、
前記開口部は、
前記第1方向に沿って前記第1縁部を貫通する第1開口部と、
前記第2方向に沿って前記第2縁部を貫通する第2開口部と、
前記第1方向に沿って前記第3縁部を貫通する第3開口部と、を備えることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、
前記第2開口部及び前記第3開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口である請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、
前記第3開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であり、
前記第1開口部及び前記第3開口部は、前記第1方向において互いに対向する請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、
前記第2開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であり、
前記第2開口部は、前記第2縁部のうち、前記第1縁部との接続端部よりも前記第3縁部との接続端部に近い位置に配置される請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記スペーサは、前記第2方向において前記第2縁部と対向する第4縁部を備え、
前記開口部は、前記第4縁部に配置される第4開口部を備える請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、
前記第2開口部及び前記第4開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口である請求項5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記第2開口部及び前記第4開口部は、前記第2方向において互いに対向する請求項6に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、
前記第4開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であり、
前記第4開口部は、前記第4縁部のうち、前記第1縁部との接続端部よりも前記第3縁部との接続端部に近い位置に配置される請求項5~請求項7のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置としては、複数積層する集電体と、正極活物質層と、負極活物質層と、スペーサと、を備えたものが知られている。正極活物質層は、集電体の積層方向における集電体の一方面に配置されている。負極活物質層は、積層方向における集電体の他方面に配置されている。スペーサは、積層方向において隣り合う2つの集電体の間に配置されるとともに、正極活物質層及び負極活物質層を囲んでいる。積層方向において隣り合う2つの集電体及びスペーサによって、蓄電装置の内部に空間が区画形成されている。この空間は電解液で満たされている。
【0003】
また、特許文献1に記載の蓄電装置では、電極活物質層が配置される蓄電装置の内部空間を挟んで、互いに対向する一対の開口部がスペーサに形成されている。一方の開口部を電解液に浸しつつ、他方の開口部から電解液を吸い上げることで、内部空間に配置された電極活物質層への電解液の含浸が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-95653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の蓄電装置において、電解液の含浸時に生じる内部空間での電解液の流れは、一方の開口部から他方の開口部へ向けた一方向の直線的な流れが支配的となる。そのため、蓄電装置内部の空間のうち、電解液の流れ方向と交差する方向における電極活物質層の端部にまで電解液が十分に行きわたらずに、電極活物質層に電解液の含浸むらが生じるおそれがある。電解液の含浸むらの発生は、蓄電装置における電池性能の低下を招くおそれがあるため好ましくない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電解液の含浸むらを抑制できる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する蓄電装置は、積層方向に複数積層する集電体と、前記積層方向における前記集電体の一方面である第1面に配置される正極活物質層と、前記積層方向における前記集電体の他方面である第2面に配置される負極活物質層と、前記積層方向において隣り合う2つの前記集電体の間に配置されるとともに、前記正極活物質層及び前記負極活物質層を囲むスペーサと、を備える蓄電装置であって、前記スペーサは、前記積層方向から見た平面視において四角枠状であるとともに、前記正極活物質層及び前記負極活物質層に対して、前記積層方向と交差する第1方向における一方に配置される第1縁部と、前記積層方向及び前記第1方向の両方向と交差する第2方向における一方に配置される第2縁部と、前記第1方向において前記第1縁部と対向する第3縁部と、前記積層方向において隣り合う2つの前記集電体及び前記スペーサによって区画形成される空間から前記空間の外部に向かって延びる開口部と、を備え、前記開口部は、前記第1方向に沿って前記第1縁部を貫通する第1開口部と、前記第2方向に沿って前記第2縁部を貫通する第2開口部と、前記第1方向に沿って前記第3縁部を貫通する第3開口部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、第1開口部、第2開口部、及び第3開口部のうち、一部の開口部を蓄電装置内部の空間に電解液を注入するための注入口として用いるとともに、その他の開口部を空間から電解液を排出するための排出口として用いることにより、正極活物質層及び負極活物質層への電解液の含浸を行うことができる。第1開口部、第2開口部、及び第3開口部のそれぞれは、スペーサの異なる縁部に配置されている。排出口から電解液を排出させながら、注入口を介して空間に電解液を注入することにより、スペーサの3つの縁部付近の空間に電解液を流すことができる。注入口から空間に流入した直後の電解液は、注入口として用いる開口部のスペーサへの貫通方向に沿って流れる。排出口に至る直前の電解液は、排出口として用いる開口部のスペーサへの貫通方向に沿って流れる。第1方向と第2方向とは互いに交差している。そのため、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層及び負極活物質層の端部にまで電解液が行きわたる。したがって、電解液の含浸むらを抑制できる。
【0009】
蓄電装置において、前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、前記第2開口部及び前記第3開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、第2開口部及び第3開口部に向けて第1開口部から電解液が流れることにより、第2縁部及び第3縁部に向けて電解液を流すことができる。ここで、第1縁部は、正極活物質層及び負極活物質層に対して第1方向における一方に配置されている。第2縁部は、正極活物質層及び負極活物質層に対して第2方向における一方に配置されている。そのため、第1開口部から第2開口部に向けた電解液の流れは、第1縁部から第2縁部に向けた流れとなる。この電解液の流れによって、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層及び負極活物質層の端部に電解液を含浸できる。その一方で、第3縁部は、第1方向において第1縁部と対向している。そのため、第1開口部から第3開口部に向けた電解液の流れは、第1縁部から第3縁部に向けた直線的な流れとなる。この電解液の直線的な流れによって、電解液の流入方向における正極活物質層及び負極活物質層の端部に電解液を含浸できる。したがって、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層及び負極活物質層の端部と、電解液の流入方向における正極活物質層及び負極活物質層の端部と、の各端部に電解液を含浸できるため、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0011】
蓄電装置において、前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、前記第3開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であり、前記第1開口部及び前記第3開口部は、前記第1方向において互いに対向することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第1開口部及び第3開口部が第1方向において対向しない場合と比較して、第1開口部から第3開口部に向けて流れる電解液の経路が短くなる。したがって、電解液が第1開口部から第3開口部に至るまでに要する時間を短縮できるため、電解液の含浸に係る作業時間を短縮できる。
【0013】
蓄電装置において、前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、前記第2開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であり、前記第2開口部は、前記第2縁部のうち、前記第1縁部との接続端部よりも前記第3縁部との接続端部に近い位置に配置されることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、第1開口部から第2開口部へ向けて流れる電解液は、第3縁部に近い空間部分を通って流れるようになる。そのため、第2縁部のうちで第3縁部との接続端部よりも第1縁部との接続端部に近い位置に第2開口部が配置される場合と比較して、第1方向において電解液が流れる空間の範囲を大きくできる。したがって、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0015】
蓄電装置において、前記スペーサは、前記第2方向において前記第2縁部と対向する第4縁部を備え、前記開口部は、前記第4縁部に配置される第4開口部を備えることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、第1開口部、第2開口部、第3開口部、及び第4開口部のうち、一部の開口部を注入口として用いるとともに、その他の開口部を排出口として用いることにより、正極活物質層及び負極活物質層への電解液の含浸を行うことができる。第1開口部、第2開口部、第3開口部、及び第4開口部のそれぞれは、スペーサの異なる縁部に配置されている。注入口から排出口に向けて電解液が流れることで、スペーサの4つの縁部付近の空間に電解液を流すことができる。したがって、スペーサの3つの縁部のみに開口部を配置させる場合と比較して、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0017】
蓄電装置において、前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、前記第2開口部及び前記第4開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、第2開口部及び第4開口部に向けて第1開口部から電解液が流れることにより、第2縁部及び第4縁部に向けて電解液を流すことができる。ここで、第2縁部は、正極活物質層及び負極活物質層に対して第2方向における一方に配置されている。第4縁部は、第2方向において第2縁部と対向している。そのため、第1開口部から第2開口部及び第4開口部へと電解液が流れることにより、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層及び負極活物質層の両端部に電解液を含浸できる。したがって、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0019】
蓄電装置において、前記第2開口部及び前記第4開口部は、前記第2方向において互いに対向することが好ましい。
仮に、第2開口部と第4開口部とが第2方向において互いに対向しない場合、第1開口部から第2開口部に向けて流れる電解液の経路と、第1開口部から第4開口部に向けて流れる電解液の経路と、で経路長さが異なることになる。第2開口部及び第4開口部の両方から電解液の排出を行いつつ、第1開口部から電解液の注入を行うと、短い経路に多くの電解液が流れることにより、第2縁部及び第4縁部のいずれか付近の空間に電解液が偏って流入してしまう。なお、第2開口部と第4開口部とで電解液の排出を行うタイミングをずらせば、経路差による電解液量の偏りを避けることはできる。しかしながら、電解液の含浸に係る作業時間の短縮を図るためには、第2開口部及び第4開口部の両方から電解液の排出を行いつつ、電解液の含浸を行うことが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、第2開口部及び第4開口部が第2方向において互いに対向している。そのため、第1開口部から第2開口部に向けて流れる電解液の経路と、第1開口部から第4開口部に向けて流れる電解液の経路と、が同じ経路長さになる。したがって、第2開口部及び第4開口部の両方から電解液の排出を行いつつ電解液の含浸を行うことができるため、電解液の含浸に係る作業時間を短縮できる。
【0021】
蓄電装置において、前記第1開口部は、前記空間に電解液を注入するための注入口であり、前記第4開口部は、前記空間から前記電解液を排出させるための排出口であり、前記第4開口部は、前記第4縁部のうち、前記第1縁部との接続端部よりも前記第3縁部との接続端部に近い位置に配置されることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第1開口部から第4開口部へ向けて流れる電解液は、第3縁部に近い空間部分を通って流れるようになる。そのため、第4縁部のうちで第3縁部との接続端部よりも第1縁部との接続端部に近い位置に第4開口部が配置される場合と比較して、第1方向において電解液が流れる空間の範囲を大きくできるため、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、電解液の含浸むらを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】蓄電装置を示す断面図。
図2】セルスタックを構成する前の状態の蓄電セルを示す断面図。
図3】蓄電セルを示す断面斜視図。
図4】スペーサ及び開口部を示す断面図。
図5】空間への電解液の注入を第1開口部及び第3開口部を用いて行う場合について説明するための断面図。
図6】空間への電解液の注入を第1開口部、第2開口部、及び第4開口部を用いて行う場合について説明するための断面図。
図7】空間への電解液の注入を第1開口部及び第5開口部を用いて行う場合について説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、蓄電装置を具体化した実施形態について、図1図7を用いて説明する。なお、蓄電装置は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる蓄電モジュールである。本実施形態の蓄電装置はリチウムイオン二次電池である。
【0026】
図1に示すように、蓄電装置10は、セルスタック11と、正極通電板12bと、負極通電板12aと、を備える。正極通電板12b及び負極通電板12aは、セルスタック11を挟んで互いに対向している。正極通電板12b及び負極通電板12aは、金属製の良導電性材料で構成されている。セルスタック11、正極通電板12b、及び負極通電板12aは、積層方向Zに積層している。積層方向Zは、正極通電板12b及び負極通電板12aにおける外面のうち、セルスタック11と隣接する外面に垂直をなす方向である。セルスタック11は、複数の蓄電セル20が積層方向Zに積層された積層体である。
【0027】
正極通電板12b及び負極通電板12aは、それぞれセルスタック11と電気的に接続している。図示は省略しているが、正極通電板12b及び負極通電板12aの各々には端子が接続されている。この端子を通じて蓄電装置10の充放電が行われる。
【0028】
セルスタック11、正極通電板12b、及び負極通電板12aは、積層方向Zにおける両側から拘束ユニット等によって積層方向Zに拘束されている。これにより、積層方向Zにおける拘束荷重がセルスタック11、正極通電板12b、及び負極通電板12aに付与されている。
【0029】
各蓄電セル20は、正極31と、負極21と、セパレータ40と、スペーサ50と、を備える。正極31は、正極集電体32と、正極集電体32の一方面である正極表面32aに配置される正極活物質層33と、を備える。負極21は、負極集電体22と、負極集電体22の一方面である負極表面22aに配置される負極活物質層23と、を備える。正極集電体32は、正極表面32aの裏面である正極裏面32bに正極活物質層33を有さない。負極集電体22は、負極表面22aの裏面である負極裏面22bに負極活物質層23を有さない。
【0030】
図2に示すように、本実施形態において、正極集電体32及び負極集電体22は、積層方向Zから見た平面視で長方形状をなす。正極活物質層33は、積層方向Zから見た平面視で、正極集電体32よりも小さい矩形状をなす。負極活物質層23は、積層方向Zから見た平面視で、負極集電体22よりも小さく、且つ正極活物質層33よりも大きい矩形状をなす。
【0031】
図3に示すように、正極集電体32の長辺が延びる方向を第1方向Xといい、正極集電体32の短辺が延びる方向を第2方向Yという。図3において図示は省略しているが、負極集電体22の長辺は第1方向Xに沿って延びており、負極集電体22の短辺は第2方向Yに沿って延びている。第1方向Xは積層方向Zと直交する方向である。第2方向Yは積層方向Z及び第1方向Xの両方向と直交する方向である。
【0032】
図1に示すように、セパレータ40は、基材層40aと、基材層40aの積層方向Zにおける両面に設けられた接着層40bと、を有する。セパレータ40は、積層方向Zにおける正極活物質層33と負極活物質層23との間に位置する。基材層40aの一方面に設けられた接着層40bは、積層方向Zにおいて正極活物質層33と対向している。基材層40aの他方面に設けられた接着層40bは、積層方向Zにおいて負極活物質層23と対向している。第1方向Xにおけるセパレータ40の縁部であるセパレータ縁部40cでは、接着層40bは負極集電体22に接着されている。
【0033】
セパレータ40は、積層方向Zにおける正極活物質層33と負極活物質層23との間に位置することにより、正極31と負極21とを隔離する。セパレータ40は、正極31及び負極21の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。
【0034】
セパレータ40を介して、正極活物質層33と負極活物質層23とは積層方向Zに対向している。積層方向Zから見た平面視で、正極活物質層33の全体が負極活物質層23と重なっている。積層方向Zから見た平面視で、セパレータ40は、正極活物質層33及び負極活物質層23よりも大きい長方形状をなすとともに、中央部分が正極活物質層33及び負極活物質層23の各々の全体と重なっている。セパレータ40の長辺は第1方向Xに沿って延びているとともに、セパレータ40の短辺は第2方向Yに沿って延びている。
【0035】
スペーサ50は、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体32と負極集電体22との間に配置されている。スペーサ50は、正極集電体32及び負極集電体22に接合又は固定される。スペーサ50は、絶縁材料を含み、正極集電体32と負極集電体22との間を絶縁することによって、それら両集電体間の短絡を防止する。なお、スペーサ50を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリプロピレン(変性PP)、及びアクリロニトリルスチレン(AS)樹脂等の種々の樹脂材料が挙げられる。
【0036】
図3に示すように、スペーサ50は、積層方向Zから見た平面視において四角枠状である。スペーサ50は、4つの縁部55として、第1縁部51、第2縁部52、第3縁部53、及び第4縁部54を備えている。第1縁部51と第3縁部53とは、第1方向Xにおいて互いに対向している。第2縁部52と第4縁部54とは、第2方向Yにおいて互いに対向している。
【0037】
図1に示すように、蓄電セル20の内部には、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体32及び負極集電体22と、スペーサ50と、によって空間Sが区画形成されている。空間Sには、正極活物質層33、負極活物質層23、セパレータ40、及び電解液が収容されている。
【0038】
スペーサ50は、セパレータ縁部40cにおける接着層40bに接着される。セパレータ縁部40cは、スペーサ50と負極集電体22との間に挟まれた状態で、スペーサ50に埋め込まれている。
【0039】
また、正極31、負極21、セパレータ40及びスペーサ50を積層して蓄電セル20を構成し、空間Sに電解液を注入した状態において、ホットプレス等の公知の手法により蓄電セル20に加圧することで、セパレータ40の接着層40bの接着を行う。
【0040】
図1及び図3に示すように、スペーサ50は開口部60を備える。本実施形態の開口部60は、樹脂製の筒部材である。開口部60の軸方向は、スペーサ50を貫通して、空間Sから空間Sの外部に向かって延びる方向に一致している。開口部60を軸方向に沿って外側から見た軸方向視において、開口部60は積層方向Zにおける寸法が、積層方向Z及び軸方向に交差する幅方向の寸法よりも小さい偏平形状である。開口部60は、例えば、2枚のフィルムの幅方向端部を貼り合わせ、幅方向中央に軸方向に沿った中空部分を設けることで形成される。開口部60は、スペーサ50と負極集電体22(セパレータ40)との間に挟まれた状態で、スペーサ50によって固定されている。
【0041】
開口部60の両端部のうち、空間S寄りの一方の第1端部60aは開口しているとともに、他方の空間Sの外側寄りの第2端部60bは開口を塞ぐ閉塞部60cとなっている。すなわち、スペーサ50は、開口部60の空間Sの外側寄りの開口を塞ぐ閉塞部60cを備える。閉塞部60cは、開口部60の壁部同士が溶着等によって接合されることで形成されている。
【0042】
開口部60の各々の第1端部60aの開口端は、スペーサ本体56よりも空間Sの内側に突出している。これにより、閉塞部60cが設けられる前の開口部60の各々は、蓄電セル20の内部の空間Sと、空間Sの外側とを連通している。開口部60の各々の第2端部60bは、スペーサ50の内部からスペーサ50の外部に突出している。
【0043】
図3及び図4に示すように、本実施形態の開口部60は、第1開口部61、第2開口部62、第3開口部63、第4開口部64、及び第5開口部65を備える。第1開口部61は第1縁部51に配置される。第2開口部62は第2縁部52に配置される。第3開口部63は第3縁部53に配置される。第4開口部64は第4縁部54に配置される。第5開口部65は第2縁部52及び第4縁部54に配置される。
【0044】
第1開口部61は、第1方向Xに沿って第1縁部51を貫通する。第1開口部61は、第1縁部51に3つ配置される。1つの第1開口部61は第2方向Yにおける中間部分に位置するとともに、この第1開口部61を第2方向Yにおいて挟むように2つの第1開口部61が位置している。第1縁部51において、第2方向Yにおいて隣り合う第1開口部61同士の第2方向Yにおける間隔は等しい。
【0045】
第3開口部63は、第1方向Xに沿って第3縁部53を貫通する。第3開口部63は、第3縁部53に3つ配置される。1つの第3開口部63は第2方向Yにおける中間部分に位置するとともに、この第3開口部63を第2方向Yにおいて挟むように2つの第3開口部63が位置している。第3縁部53において、第2方向Yにおいて隣り合う第3開口部63同士の第2方向Yにおける間隔は等しい。
【0046】
3つの第1開口部61と3つの第3開口部63とは、第1方向Xにおいて互いに対向する。
第2開口部62は、第2方向Yに沿って第2縁部52を貫通する。第2開口部62は、第2縁部52における第1縁部51との接続端部よりも第3縁部53との接続端部に近い位置に配置される。
【0047】
第4開口部64は、第2方向Yに沿って第4縁部54を貫通する。第4開口部64は、第4縁部54における第1縁部51との接続端部よりも第3縁部53との接続端部に近い位置に配置される。
【0048】
それぞれの第5開口部65は、第2方向Yに沿って第2縁部52及び第4縁部54を貫通する。第5開口部65は、第2縁部52及び第4縁部54のそれぞれにおいて、第3縁部53との接続端部よりも第1縁部51との接続端部に近い位置に配置される。
【0049】
第2開口部62及び第4開口部64は第2方向Yにおいて互いに対向する。第2縁部52に配置される第5開口部65と、第4縁部54に配置される第5開口部65とが、第2方向Yにおいて互いに対向する。
【0050】
なお、本実施形態において、2つの開口部60が互いに対向する状態とは、第1方向Xから見たときに、互いに対向する2つの開口部60の開口面同士が少なくとも一部重なっている状態をいう。また、本実施形態では、第1開口部61は、そのほかの開口部60の各々よりも、幅方向の寸法が大きい。そのため、第1開口部61の開口面積は、そのほかの開口部60の各々よりも大きい。
【0051】
次に、積層されてセルスタック11を構成する前の蓄電セル20について、スペーサ50及び開口部60の構成を中心にさらに詳しく説明する。
図2に示すように、スペーサ50における縁部55の各々は、スペーサ本体56及びスペーサ端部57を備える。スペーサ本体56は、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体32の正極表面32aと負極集電体22の負極表面22aと、の間に配置されている。第1縁部51及び第3縁部53において、スペーサ端部57は、スペーサ本体56から第1方向Xにおける正極集電体32及び負極集電体22よりも外側に延びている。図示は省略しているが、第2縁部52及び第4縁部54において、スペーサ端部57は、スペーサ本体56から第2方向Yにおける正極集電体32と負極集電体22よりも外側に延びている。スペーサ50は、4つの縁部55によって正極活物質層33及び負極活物質層23を囲んでいる。
【0052】
なお、閉塞部60cは、正極活物質層33及び負極活物質層23への電解液の含浸が完了した後に、開口部60の各々に形成される。空間Sへの電解液の注入は、開口部60の各々において、第2端部60bの開口が閉塞部60cによって閉塞されていない状態で行う。
【0053】
蓄電セル20の内部の空間Sに電解液を注入する際、3つの第1開口部61は空間Sに電解液を注入するための注入口として利用される。第1開口部61以外の開口部60は、空間Sから電解液を排出させるための排出口として利用される。空間Sへの電解液の注入は、例えば、3つの第1開口部61の第2端部60bから図示しない注液ノズルを挿入し、該注液ノズルを通じて電解液を注入しつつ、吸引装置によって第1開口部61以外の開口部60から電解液を吸引することで行うことができる。
【0054】
蓄電セル20のそれぞれにおいて、空間Sへの電解液の含浸が完了した後、全ての開口部60に閉塞部60cが形成される。閉塞部60cによって全ての開口部60の開口が閉塞した状態で、蓄電セル20が複数積層されてセルスタック11を構成している。
【0055】
次に、積層されてセルスタック11を構成した状態で、蓄電セル20の構成について、さらに詳しく説明する。
図1に示すように、積層方向Zに隣り合う2つの蓄電セル20のうち、一方の蓄電セル20の正極裏面32bと、他方の蓄電セル20の負極裏面22bと、が互いに接する。これにより、積層方向Zに隣り合う2つの蓄電セル20において、一方の蓄電セル20の正極31と他方の蓄電セル20の負極21とが接している。
【0056】
互いに接する正極31及び負極21によって疑似的なバイポーラ電極25が形成されている。互いに接する正極集電体32及び負極集電体22が、バイポーラ電極25の電極体として機能する。1つのバイポーラ電極25は、積層方向Zにおいて互いに接する正極集電体32及び負極集電体22と、正極活物質層33及び負極活物質層23と、を含む。バイポーラ電極25は、積層方向Zにおいてセパレータ40と交互に積層されている。
【0057】
1つのバイポーラ電極25を構成する正極集電体32及び負極集電体22の組を、1つの集電体26という。集電体26は、積層方向Zに複数積層する。正極表面32aは、積層方向Zにおける集電体26の一方面である。負極表面22aは、積層方向Zにおける集電体26の他方面である。以下では、正極表面32aを集電体26の第1面26bともいい、負極表面22aを集電体26の第2面26aともいう。正極活物質層33は、積層方向Zにおける集電体26の第1面26bに配置されるといえる。負極活物質層23は、積層方向Zにおける集電体26の第2面26aに配置されるといえる。
【0058】
蓄電装置10は、積層方向Zにおける一端に正極31を備えるとともに、積層方向Zにおける他端に負極21を備える。正極通電板12bは、積層方向Zにおける一端に位置する正極31の正極集電体32に電気的に接続される。負極通電板12aは、積層方向Zにおける他端に位置する負極21の負極集電体22に電気的に接続される。
【0059】
積層方向Zに隣り合う蓄電セル20において、スペーサ50のスペーサ端部57同士が接合されて一体化している。積層方向Zにおいて積層する全ての蓄電セル20のスペーサ端部57が一体化している。一体化されたスペーサ端部57を封止体57aという。
【0060】
封止体57aは、正極集電体32及び負極集電体22の周縁部を覆っている。第1縁部51及び第3縁部53において、封止体57aは、正極集電体32の短縁部及び負極集電体22の短縁部に沿って延びている。図1において図示は省略しているが、第2縁部52及び第4縁部54において、封止体57aは、正極集電体32の長縁部及び負極集電体22の長縁部に沿って延びている。
【0061】
封止体57aは、積層方向Zにおいてセルスタック11の一端に配置された正極集電体32から、積層方向Zにおいてセルスタック11の他端に配置された負極集電体22まで延びている。なお、接合方法としては、例えば、熱溶着、超音波溶着、及び赤外線溶着等が挙げられる。
【0062】
スペーサ50は、正極31と負極21との間の空間Sを封止する封止部としても機能する。スペーサ50は、空間Sに収容された電解液が蓄電装置10の外部に漏れることを防止し得る。スペーサ50は、蓄電装置10の外部から空間Sへと水分が侵入することを防止し得る。さらに、スペーサ50は、例えば充放電反応等により正極31又は負極21から発生したガスが蓄電装置10の外部に漏れることを防止し得る。
【0063】
なお、正極集電体32及び負極集電体22は、化学的に不活性な電気伝導体である。正極集電体32及び負極集電体22を構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、及び導電性無機材料等を用いることができる。導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。正極集電体32及び負極集電体22は、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。
【0064】
正極集電体32の表面及び負極集電体22の表面に、メッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法により被覆層を形成してもよい。正極集電体32及び負極集電体22は、例えば、板状、箔状、シート状、フィルム状、及びメッシュ状等の形態に形成されていてもよい。
【0065】
正極集電体32及び負極集電体22を金属箔とする場合、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等を用いることができる。正極集電体32及び負極集電体22としてステンレス鋼箔を用いた場合、正極集電体32及び負極集電体22の機械的強度を確保することができる。ステンレス鋼箔としては、例えばJISG4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301、及びSUS304等が挙げられる。正極集電体32及び負極集電体22は、上記金属の合金箔又はクラッド箔であってもよい。箔状の正極集電体32及び負極集電体22を用いる場合、その厚みは、例えば、1~100μmとしてもよい。
【0066】
正極通電板12bを構成する材料には、正極集電体32を構成する材料と同じ材料を用いることができる。負極通電板12aを構成する材料には、負極集電体22を構成する材料と同じ材料を用いることができる。正極通電板12b及び負極通電板12aは、正極集電体32及び負極集電体22よりも厚い金属板で構成してもよい。
【0067】
正極活物質層33は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、及びポリアニオン系化合物等、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。
【0068】
負極活物質層23は、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金、又は化合物であれば、特に限定はなく使用可能である。例えば、負極活物質としては、Li、炭素、金属化合物、及びリチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等が挙げられる。炭素としては、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)、及びソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)を挙げることができる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、シリコン(ケイ素)及びスズが挙げられる。
【0069】
正極活物質層33及び負極活物質層23を単に活物質層ともいう。活物質層は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、及びイオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層に含まれる成分、当該成分の配合比、及び活物質層の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。活物質層の厚みは、例えば2~150μmである。集電体26の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いてもよい。正極31及び負極21の熱安定性を向上させるために、集電体26の第1面26b及び第2面26aの少なくとも一方、又は活物質層の表面に、耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでもよい。
【0070】
導電助剤は、正極31又は負極21の導電性を高めるために添加される。導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、及びグラファイト等である。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
【0071】
基材層40aは、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。基材層40aを構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、及びポリエステルなどが挙げられる。基材層40aは、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。基材層40aには、電解質が含浸されてもよく、基材層40a自体を高分子電解質又は無機型電解質等の電解質で構成してもよい。
【0072】
基材層40aに含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質である電解液、又はポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質等が挙げられる。
【0073】
基材層40aに電解液が含浸される場合、その電解質塩として、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、及びエーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
【0074】
本実施形態における正極集電体32はアルミニウム箔である。本実施形態における負極集電体22は銅箔である。本実施形態における正極活物質層33は、複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含む。本実施形態における負極活物質層23は、炭素系材料としての黒鉛を含む。本実施形態において、基材層40aには電解液が含浸されている。
【0075】
次に、蓄電セル20の空間Sへの電解液の注入方法について説明する。
蓄電セル20の空間Sへの電解液の注入は、積層してセルスタック11を構成する前の蓄電セル20に対して行う。電解液が注入されるときの蓄電セル20は、第2端部60bの開口が閉塞部60cによって閉塞されていない状態である。本実施形態では、第1開口部61を空間Sに電解液を注入する注入口として用いるとともに、その他の開口部60を空間Sから電解液を排出させる排出口として用いる。第3開口部63、第2開口部62及び第4開口部64、第5開口部65の順で、電解液の吸引を行う開口部60を変更していく。これにより、排出口として用いる開口部60を順次変更していく。
【0076】
図5に示すように、まずは、3つの第1開口部61を注入口として用いるとともに、3つの第3開口部63を排出口として用いる。この場合、第3開口部63の各々において、図5に一点鎖線の矢印で示すように、第2端部60bから電解液が吸引される。これにより、電解液は、図5に二点鎖線の矢印で示すように、3つの第1開口部61の内部を通って第1開口部61それぞれの第1端部60aから空間Sに流れる。空間Sでは、3つの第1開口部61から3つの第3開口部63へと向けて電解液が流れるようになる。電解液が第3開口部63の各々にまで至ると、第3開口部63の各々を介して電解液が空間Sから排出される。
【0077】
つづいて、図6に示すように、3つの第1開口部61を引き続き注入口として用いるとともに、排出口として用いる開口部60を、第3開口部63から第2開口部62及び第4開口部64に変更する。この場合、第3開口部63の各々からの電解液の吸引を停止する。さらに、第2開口部62及び第4開口部64において、図6に一点鎖線の矢印で示すように、第2端部60bから電解液が吸引される。これにより、電解液は、図6に二点鎖線で示すように、空間Sにおいて、3つの第1開口部61から第2開口部62及び第4開口部64のそれぞれへと向けて電解液が流れるようになる。電解液が第2開口部62及び第4開口部64の各々にまで至ると、第2開口部62及び第4開口部64の各々を介して電解液が空間Sから排出される。
【0078】
なお、第2開口部62には、第2縁部52に最も近い位置で第1縁部51に配置される第1開口部61と、第1方向Xにおいて第1縁部51の中間位置に配置される第1開口部61と、から多くの電解液が流れる。第2縁部52に最も近い位置で第1縁部51に配置される第1開口部61から、第2開口部62へと向けて流れる電解液の経路を、第1経路R1という。第1方向Xにおいて第1縁部51の中間位置に配置される第1開口部61から、第2開口部62へと向けて流れる電解液の経路を、第2経路R2という。図6には、第1経路R1及び第2経路R2を二点鎖線の矢印でそれぞれ模式的に示している。
【0079】
第4開口部64には、第4縁部54に最も近い位置で第1縁部51に配置される第1開口部61と、第1方向Xにおいて第1縁部51の中間位置に配置される第1開口部61と、から多くの電解液が流れる。第4縁部54に最も近い位置で第1縁部51に配置される第1開口部61から、第4開口部64へと向けて流れる電解液の経路を、第3経路R3という。第1方向Xにおいて第1縁部51の中間位置に配置される第1開口部61から、第4開口部64へと向けて流れる電解液の経路を、第4経路R4という。図6には、第3経路R3及び第4経路R4を二点鎖線の矢印でそれぞれ模式的に示している。
【0080】
ここで、第2開口部62と第4開口部64とは第2方向Yにおいて互いに対向している。そのため、第1経路R1と第3経路R3とが同じ長さになるとともに、第2経路R2と第4経路R4とが同じ長さになる。これにより、第1開口部61から第2開口部62に向けて流れる電解液の経路と、第1開口部61から第4開口部64に向けて流れる電解液の経路と、が同じ経路長さになるといえる。
【0081】
つづいて、図7に示すように、3つの第1開口部61を引き続き注入口として用いるとともに、排出口として用いる開口部60を、第2開口部62及び第4開口部64から2つの第5開口部65に変更する。この場合、第2開口部62及び第4開口部64からの電解液の吸引を停止する。さらに、第5開口部65の各々において、図7に一点鎖線で示すように、第2端部60bから電解液が吸引される。これにより、電解液は、図7に二点鎖線で示すように、空間Sにおいて、3つの第1開口部61から第5開口部65のそれぞれへと向けて電解液が流れるようになる。電解液が第5開口部65の各々にまで至ると、第5開口部65の各々を介して電解液が空間Sから排出される。
【0082】
そして、第1開口部61を介した電解液の注入と、第5開口部65を介した電解液の吸引と、を停止する。これにより、蓄電セル20の空間Sへの電解液の含浸が完了する。空間Sへの電解液の含浸が完了すると、蓄電セル20における全ての開口部60に閉塞部60cを形成することで、全ての開口部60における第2端部60bの開口を閉塞する。そして、蓄電セル20を複数積層してセルスタック11を形成する。
【0083】
次に、本実施形態の作用について説明する。
第1開口部61を空間Sに電解液を注入するための注入口として用いるとともに、第2開口部62及び第3開口部63を空間Sから電解液を排出するための排出口として用いることにより、正極活物質層33及び負極活物質層23への電解液の含浸を行うことができる。第1開口部61、第2開口部62、及び第3開口部63のそれぞれは、スペーサ50の異なる縁部55に配置されている。第2開口部62及び第3開口部63から電解液を排出させながら、第1開口部61を介して空間Sに電解液を注入することにより、スペーサ50の3つの縁部55付近の空間Sに電解液を流すことができる。第1開口部61から空間Sに流入した直後の電解液は、第1開口部61のスペーサ50への貫通方向である第1方向Xに沿って流れる。第2開口部62に至る直前の電解液は、第2開口部62のスペーサ50への貫通方向である第2方向Yに沿って流れる。第3開口部63に至る直前の電解液は、第3開口部63のスペーサ50への貫通方向である第1方向Xに沿って流れる。第1方向Xと第2方向Yとは互いに交差している。そのため、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の端部にまで電解液が行きわたる。
【0084】
上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)第1開口部61を空間Sに電解液を注入するための注入口として用いるとともに、第2開口部62及び第3開口部63を空間Sから電解液を排出するための排出口として用いている。これにより、第1開口部61、第2開口部62、及び第3開口部63のそれぞれは、スペーサ50の異なる縁部55に配置されている。したがって、3つの縁部55付近の空間Sに電解液を流すことができるため、電解液の含浸むらを抑制できる。
【0085】
(2)第2開口部62及び第3開口部63に向けて第1開口部61から電解液を流している。これにより、第2縁部52及び第3縁部53に向けて電解液を流すことができる。ここで、第1縁部51は、正極活物質層33及び負極活物質層23に対して第1方向Xにおける一方に配置されている。第2縁部52は、正極活物質層33及び負極活物質層23に対して第2方向Yにおける一方に配置されている。そのため、第1開口部61から第2開口部62に向けた電解液の流れは、第1縁部51から第2縁部52に向けた流れとなる。この電解液の流れによって、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の端部に電解液を含浸できる。その一方で、第3縁部53は、第1方向Xにおいて第1縁部51と対向している。そのため、第1開口部61から第3開口部63に向けた電解液の流れは、第1縁部51から第3縁部53に向けた直線的な流れとなる。この電解液の直線的な流れによって、電解液の流入方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の端部に電解液を含浸できる。したがって、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の端部と、電解液の流入方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の端部と、の各端部に電解液を含浸できるため、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0086】
(3)第1開口部61及び第3開口部63は、第1方向Xにおいて互いに対向している。そのため、第1開口部61及び第3開口部63が第1方向Xにおいて対向しない場合と比較して、第1開口部61から第3開口部63に向けて流れる電解液の経路が短くなる。したがって、電解液が第1開口部61から第3開口部63に至るまでに要する時間を短縮できるため、電解液の含浸に係る作業時間を短縮できる。
【0087】
(4)第2開口部62は、第2縁部52のうち、第1縁部51との接続端部よりも第3縁部53との接続端部に近い位置に配置されている。この場合、第1開口部61から第2開口部62へ向けて流れる電解液は、第3縁部53に近い空間Sの部分を通って流れるようになる。そのため、第2縁部52のうちで第3縁部53との接続端部よりも第1縁部51との接続端部に近い位置に第2開口部62が配置される場合と比較して、第1方向Xにおいて電解液が流れる空間Sの範囲を大きくできる。したがって、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0088】
(5)第1開口部61、第2開口部62、第3開口部63、及び第4開口部64のうち、一部の開口部60である第1開口部61を注入口として用いるとともに、その他の開口部60である第2開口部62、第3開口部63、及び第4開口部64を排出口として用いている。これにより、正極活物質層33及び負極活物質層23への電解液の含浸を行っている。第1開口部61、第2開口部62、第3開口部63、及び第4開口部64のそれぞれは、スペーサ50の異なる縁部55に配置されている。第1開口部61から第2開口部62、第3開口部63、及び第4開口部64に向けて電解液が流れることで、4つの縁部55付近の空間Sに電解液を流すことができる。したがって、スペーサ50の3つの縁部55のみに開口部60を配置させる場合と比較して、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0089】
(6)第2開口部62及び第4開口部64に向けて第1開口部61から電解液を流している。これにより、第2縁部52及び第4縁部54に向けて電解液を流すことができる。ここで、第2縁部52は、正極活物質層33及び負極活物質層23に対して第2方向Yにおける一方に配置されている。第4縁部54は、第2方向Yにおいて第2縁部52と対向している。そのため、第1開口部61から第2開口部62及び第4開口部64へと電解液が流れることにより、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の両端部に電解液を含浸できる。したがって、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0090】
(7)第2開口部62及び第4開口部64は、第2方向Yにおいて互いに対向している。そのため、第1開口部61から第2開口部62に向けて流れる電解液の経路と、第1開口部61から第4開口部64に向けて流れる電解液の経路と、が同じ経路長さになる。したがって、第2開口部62及び第4開口部64の両方から電解液の排出を行いつつ電解液の含浸を行うことができるため、電解液の含浸に係る作業時間を短縮できる。
【0091】
(8)第4開口部64は、第4縁部54のうち、第1縁部51との接続端部よりも第3縁部53との接続端部に近い位置に配置されている。この場合、第1開口部61から第4開口部64へ向けて流れる電解液は、第3縁部53に近い空間Sの部分を通って流れるようになる。そのため、第4縁部54のうちで第3縁部53との接続端部よりも第1縁部51との接続端部に近い位置に第4開口部64が配置される場合と比較して、第1方向Xにおいて電解液が流れる空間Sの範囲を大きくできるため、電解液の含浸むらをさらに抑制できる。
【0092】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記の各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0093】
○ 第1開口部61及び第3開口部63のスペーサ50への貫通方向である第1方向Xと、第2開口部62及び第4開口部64のスペーサ50への貫通方向である第2方向Yと、は互いに直交しなくてもよく、互いに交差していればよい。また、これら第1方向X及び第2方向Yは、積層方向Zに対して直交しなくてもよく、交差していればよい。この場合も、電解液の流入方向と交差する方向における正極活物質層33及び負極活物質層23の端部に電解液を含浸できるため、電解液の含浸むらを抑制できる。
【0094】
○ 第2開口部62を空間Sに電解液を注入するための注入口として用いるとともに、第1開口部61を空間Sから電解液を排出させるための排出口として用いてもよい。また、第1開口部61及び第2開口部62の一方が注入口であり、且つ他方が排出口であれば、その他の開口部60は注入口及び排出口のどちらであってもよい。
【0095】
○ 複数の開口部60から電解液を注入してもよい。この場合、例えば、第1縁部51と第2縁部52に設けられた開口部60から電解液を注入し、第3縁部53と第4縁部54に設けられた開口部60から電解液を排するように、異なる貫通方向を有する複数の開口部60から注入及び排出を行うことが好ましい。
【0096】
○ 注入口として用いる開口部60の幅方向の寸法は、排出口として用いる開口部60の幅方向の寸法よりも大きくてもよいし、排出口として用いる開口部60の幅方向の寸法以下であってもよい。注入口として用いるか排出口として用いるかによらず、開口部60の各々で幅方向の寸法を異ならせてもよい。
【0097】
○ 注入口として用いる開口部60の積層方向Zと一致する厚み方向の寸法は、排出口として用いる開口部60の厚み方向の寸法よりも大きくてもよいし、排出口として用いる開口部60の厚み方向の寸法以下であってもよい。注入口として用いるか排出口として用いるかによらず、開口部60の各々で厚み方向の寸法を異ならせてもよい。
【0098】
○ 空間Sに電解液を注入する際に、排出口として用いる開口部60の変更順は、上記実施形態の変更順に限らず変更可能である。
○ 第2開口部62及び第4開口部64の電解液の吸引タイミングをずらすことにより、第2開口部62を排出口として用いた電解液の注入と、第4開口部64を排出口として用いた電解液の注入と、を別のタイミングで行ってもよい。
【0099】
○ 閉塞部60cは、開口部60の壁部同士を接合すること以外で開口部60に設けられてもよい。例えば、閉塞部60cは、開口部60とは別体の蓋部材であってもよい。この場合、開口部60の第2端部60bに閉塞部60cを取り付けることにより、第2端部60bにおける開口を閉塞部60cによって塞ぐことができる。
【0100】
○ 開口部60の一部又は全ては、2枚のフィルムの幅方向端部を貼り合わせて形成されるものに限らない。例えば、スペーサ50の縁部55に貫通孔を形成するとともに、この貫通孔を開口部60としてもよい。この場合、電解液を噴射するノズルを貫通孔に挿入することにより、空間Sに電解液を注入するための注入口として開口部60を用いることができる。また、スペーサ50における貫通孔の外側の端部には、閉塞部が設けられてもよい。この場合も、貫通孔と閉塞部とによって、開口部は全体としてスペーサを貫通している。
【0101】
○ 2つの第5開口部65の一方又は両方をスペーサ50から省略してもよい。
○ 第2開口部62及び第4開口部64は第2方向Yにおいて互いに対向しなくてもよい。
【0102】
○ 第2縁部52への第2開口部62の配置位置は、第2縁部52のうち、第3縁部53との接続端部よりも第1縁部51との接続端部に近い位置、又は第3縁部53との接続端部と第1縁部51との接続端部との中間位置であってもよい。
【0103】
○ 第4縁部54への第4開口部64の配置位置は、第4縁部54のうち、第3縁部53との接続端部よりも第1縁部51との接続端部に近い位置、又は第3縁部53との接続端部と第1縁部51との接続端部との中間位置であってもよい。
【0104】
○ 第2縁部52への第2開口部62の配置数は2つ以上であってもよい。第4縁部54への第4開口部64の配置数は2つ以上であってもよい。第2縁部52への第2開口部62の配置数と、第4縁部54への第4開口部64の配置数とが異なってもよい。
【0105】
○ 第4開口部64をスペーサ50から省略してもよい。
○ 第1縁部51への第1開口部61の配置数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。第3縁部53への第3開口部63の配置数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。第1縁部51への第1開口部61の配置数と、第3縁部53への第3開口部63の配置数とが異なってもよい。
【0106】
○ 第1開口部61及び第3開口部63は第1方向Xにおいて互いに対向しなくてもよい。なお、第1縁部51への第1開口部61の配置数と、第3縁部53への第3開口部63の配置数と、がそれぞれ複数である場合、一部の第1開口部61と一部の第3開口部63とが第1方向Xにおいて互いに対向してもよいし、全ての第1開口部61と全ての第3開口部63とが互いに対向しなくてもよい。
【0107】
○ 積層方向Zから見た平面視において、正極集電体32及び負極集電体22の形状は長方形状に限らない。例えば、積層方向Zから見た平面視で、正極集電体32及び負極集電体22は正方形状であってもよい。この場合、第1縁部51及び第3縁部53は、正極集電体32の第2方向Yに延びる一対の縁部と、負極集電体22の第2方向Yに延びる一対の縁部と、に沿って延びる。第2縁部52及び第4縁部54は、正極集電体32の第1方向Xに延びる一対の縁部と、負極集電体22の第1方向Xに延びる一対の縁部と、に沿って延びている。
【0108】
○ スペーサ50の4つの縁部55の一部又は全てが別体であってもよい。この場合、4つの縁部55を正極活物質層33及び負極活物質層23を囲むように配置することで、積層方向Zから見た平面視においてスペーサ50が四角枠状をなすものにできる。
【0109】
○ 第1縁部51及び第3縁部53の一方又は両方が、第2方向Yに沿って不連続に配置されてもよい。第2縁部52及び第4縁部54の一方又は両方が、第1方向Xに沿って不連続に配置されてもよい。
【0110】
○ バイポーラ電極25の集電体26は、上記実施形態のような正極集電体32及び負極集電体22の二つの部材からなるものに限らない。例えば、集電体26は一つの部材からなるものであってもよい。この場合、積層方向Zにおける集電体26の一方面が正極活物質層33を有する第1面26bとなる。積層方向Zにおける集電体26の他方面が負極活物質層23を有する第2面26aとなる。
【0111】
○ 蓄電装置10は、例えばニッケル水素二次電池等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池であってもよい。蓄電装置10は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。
【符号の説明】
【0112】
S…空間、10…蓄電装置、22…負極集電体、23…負極活物質層、26…集電体、26a…第2面、26b…第1面、32…正極集電体、33…正極活物質層、50…スペーサ、51…第1縁部、52…第2縁部、53…第3縁部、54…第4縁部、55…縁部、60…開口部、61…第1開口部、62…第2開口部、63…第3開口部、64…第4開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7