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  • 特開-卵殻粉含有食器 図1
  • 特開-卵殻粉含有食器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030184
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】卵殻粉含有食器
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/00 20060101AFI20220210BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A47G19/00 A
B29C43/18
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020133990
(22)【出願日】2020-08-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】392020266
【氏名又は名称】関東プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】大橋 和男
【テーマコード(参考)】
3B001
4F204
【Fターム(参考)】
3B001AA01
3B001AA11
3B001CC37
4F204AA38
4F204AB11
4F204AB19
4F204AB24
4F204AD05
4F204AD20
4F204AG03
4F204AG24
4F204AH52
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB12
4F204FF05
4F204FG02
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
(57)【要約】
【課題】卵殻粉を含んだメラミン樹脂製の食器を製造できるようにして、石油資源の枯渇の抑止に寄与するとともに、石油由来のプラスチック材料の一つであるメラミン樹脂の生成に係るCO2量を削減できる食器を得る。
【解決手段】卵殻粉含有食器1を、卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている器外方側素地部3と、メラミン樹脂からなる器内方側素地部2とが積層されているものとした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている器外方側素地部と、メラミン樹脂からなる器内方側素地部とが積層されていることを特徴とする卵殻粉含有食器。
【請求項2】
器外方側素地部をグレーズコーティング層で覆って卵殻粉を外方に非表出にした請求項1に記載の卵殻粉含有食器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂のメラミン樹脂を用いて圧縮成形してなる卵殻粉含有食器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年においては、特許文献1に示されているように、石油由来の化学合成樹脂の製品について、その製品の廃棄時の焼却処理や埋め立て処理が地球温暖化や土壌汚染の要因として挙げられ、環境に対する意識の高まりが述べられている。
【0003】
そして、特許文献1では、卵殻もしくは貝殻を高温焼成し加水を施した水酸化カルシウム微粉末と、卵殻もしくは貝殻の炭酸カルシウム微粉末、或いは木片、紙などの繊維質素材微粉末を所定の比率で、樹脂組成物(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)に混合混練して、粉末含有樹脂組成物を生成する点が示されていて、この粉末含有樹脂組成物を材料として箸やスプーンなどの抗菌性食品を製造する点が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-062579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献1で挙げられている熱硬化性樹脂の一つとしてメラミン樹脂があり、従来からこのメラミン樹脂を素地にした圧縮成形で食器類が多く生産されて流通し、多く使用されている。
そして、メラミン樹脂と上記天然由来の素材との混合物を成形材料として食器類を製造すれば、石油資源の枯渇を抑止する面で有用であるとともに、石油系材料を製造する際に生じるCO2を削減したり焼却処分時のCO2発生量を削減する上で有効である。
【0006】
本発明者にあっては、鶏卵が食品材料として利用されている現在において、処分すべき卵殻が日々多く生じているとともに、卵殻を粉砕した卵殻粉(卵殻カルシウム)が食品添加物として利用されている点に着目した。そして、卵殻粉とメラミン樹脂とにより食器類を製造することを検討して、本発明に至ったものである。
【0007】
そこで、本発明は、卵殻粉を含んだメラミン樹脂製の食器を製造できるようにすることを課題とし、上述した石油資源の枯渇の抑止に寄与するとともに、石油由来のプラスチック材料の一つであるメラミン樹脂の生成に係るCO2量を削減した食器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている器外方側素地部と、メラミン樹脂からなる器内方側素地部とが積層されていることを特徴とする卵殻粉含有食器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0009】
(請求項2の発明)
そして、本発明は、器外方側素地部をグレーズコーティング層で覆って卵殻粉を外方に非表出にしたことが良好である。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、器外方側素地部に含まれる卵殻粉を器の盛り側の空間に対して非表出となる。即ち、食材などを盛る側に卵殻粉が直接的に表出しないようになる。そして、器内方側をメラミン樹脂の素地からなるものとしているので、メラミン樹脂以外の素地素材が存在することによる強度低下や耐熱性の低下を生じさせないという優れた効果を奏するものである。
【0011】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、器外方側素地部をグレーズコーティング層で覆って卵殻粉を外方に非表出にしているので、器外面に手を触れる際の感触に卵殻粉が影響を及ぼさない。そのため、器外方側素地部で卵殻粉を含める割合の設定が自由に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る卵殻粉含有食器の一例を示す説明図である。
図2】一例の一部断面を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに本発明を図1図2に示す実施の形態に基づいて説明する。図中1は小皿の形態を呈した卵殻粉含有食器である。この卵殻粉含有食器1は、器内方側素地部2の外面側に器外方側素地部3を積層した構造を有している。
【0014】
卵殻粉含有食器1は、メラミン樹脂を成形素材として器内方側素地部2を圧縮成形している。そして、先成形された器内方側素地部2を金型に配置し、後述の成形素材を器内方側素地部2の所要位置に配置した状態で圧縮成形を行なっている。よって、器内方側素地部2の外面側に器外方側素地部3が積層した状態にして器内方側素地2と器外方側素地部3とが一体となった食器素地4が成形されている。
【0015】
さらに食器素地4を成形した後に、器外方側素地部3の外面側の所要位置にグレーズコーティング材を投入し、金型の型締め及び所要の加熱を行なってグレーズコーティング層5を形成している。このグレーズコーティング層5は器外方側素地部3の外表面を覆っている。
【0016】
卵殻粉含有食器1の内方にはフォイル6が配置されている。フォイル6は絵付け用のフォイルであり、器内方側素地部2を成形する際、この器内方側素地部2を成形する金型に、器内方側素地部2の内表面側となるようにしてフォイル6を配置する。そして、上述したように成形素材のメラミン樹脂を前記金型の所要位置に配置してから圧縮成形する。この圧縮成形によってフォイル6を一体にした器内方側素地部2を得ている。
【0017】
器内方側素地部2の成形素材はメラミン樹脂材料を約10割としているのに対して、器外方側素地部3の成形素材は、卵殻粉とメラミン樹脂とを混合した材料である。そしてこの混合材料を成形素材として器外方側素地部3を圧縮成形している。
【0018】
なお、器内方側素地部3は白色としており、白色顔料が含まれているが、白色顔料は成形素材中のメラミン樹脂の配合割合を大幅に減じるものではない。通常のメラミン樹脂材料を成形材料とする圧縮成形品と同様の配合の割合にしている。
【0019】
器内方側素地部2のメラミン樹脂配合割合に対して、器外方側素地部3の成形材料が卵殻粉とメラミン樹脂との混合材料であり、バイオプラスチックとなっていることから、器外方側素地部3ではメラミン樹脂配合割合が減じられている。
【0020】
卵殻粉自体が白色の顔料の役割を果たすことができる。そのため、器外方側素地部3の色を白色とする場合には、他の白色顔料を用いる必要はない。
【0021】
上述したように器外方側素地部3の外表面がグレーズコーティング層5で覆われている。そのため、グレーズコーティング層5は器外方側素地部3に含まれる卵殻粉を外方に対して非表出にしている。
【0022】
器外方側素地部3に含まれる卵殻粉がグレーズコーティング層5によって覆われているため、卵殻粉のカルシウム分は、卵殻粉含有食器1に食器洗いなどでの水分が付着しても変質しない。
【0023】
なお、器内方側素地部2についてもグレーズコーティング層5によって覆われている。器内方側素地部2での器内表面側となる面にグレーズコーティング材を施してグレーズコーティング層を設ける点は、上記フォイル6を一体にした後や、器外方側素地部3に対してグレーズコーティング層5を設けるときの前後などに行なうようにすればよい。
【0024】
上述したように卵殻粉を含んでなる器外方側素地部3はバイオプラスチック(バイオマスプラスチックbiomass-based plastic)として構成されている部分である。よって、卵殻粉含有食器1は、石油由来のプラスチックにて製造した食器に比べて、材料生成に係るCO2量が減じられた食器となっており、廃棄処理した場合でのCO2排出量を低減して、環境温暖化の防止に寄与する食器としているものである。
【符号の説明】
【0025】
1…卵殻粉含有食器
2…器内方側素地部
3…器外方側素地部
4…食器素地
5…グレーズコーティング層
6…フォイル
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2020-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている器外方側素地部(3)と、メラミン樹脂からなる器内方側素地部(2)とが積層され
卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている前記器外方側素地部(3)での器の盛り側に、メラミン樹脂からなる前記器内方側素地部(2)が位置し、
メラミン樹脂からなる前記器内方側素地部(2)での器内表面側の面にグレーズコーティング層(5)が設けられて、
卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている前記器外方側素地部(3)に対し、この器外方側素地部(3)での器の盛り側に、前記グレーズコーティング層(5)とメラミン樹脂からなる前記器内方側素地部(2)との二つの層が重なって位置していることを特徴とする卵殻粉含有食器。
【請求項2】
器外方側素地部(3)の外表面をグレーズコーティング層(5)で覆って卵殻粉を外方に非表出にした請求項1に記載の卵殻粉含有食器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている器外方側素地部(3)と、メラミン樹脂からなる器内方側素地部(2)とが積層され
卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている前記器外方側素地部(3)での器の盛り側に、メラミン樹脂からなる前記器内方側素地部(2)が位置し、
メラミン樹脂からなる前記器内方側素地部(2)での器内表面側の面にグレーズコーティング層(5)が設けられて、
卵殻粉とメラミン樹脂とを混合してメラミン樹脂配合割合を減じている前記器外方側素地部(3)に対し、この器外方側素地部(3)での器の盛り側に、前記グレーズコーティング層(5)とメラミン樹脂からなる前記器内方側素地部(2)との二つの層が重なって位置していることを特徴とする卵殻粉含有食器を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(請求項2の発明)
そして、本発明は、器外方側素地部(3)の外表面をグレーズコーティング層(5)で覆って卵殻粉を外方に非表出にしたことが良好である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
さらに食器素地4を成形した後に、器外方側素地部3の外面側の所要位置にグレーズコーティング材を投入し、金型の型締め及び所要の加熱を行なってグレーズコーティング層5を形成している。このグレーズコーティング層5は図2に示すように器外方側素地部3の外表面を覆っている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
なお、器内方側素地部2についてもグレーズコーティング層5によって覆われている。器内方側素地部2での器内表面側となる面にグレーズコーティング材を施してグレーズコーティング層を設ける点は、上記フォイル6を一体にした後や、器外方側素地部3に対してグレーズコーティング層5を設けるときの前後などに行なうようにすればよい。よって図2に示すように器外方側素地部3に対してこの器外方側素地部3での器の盛り側に、前記グレーズコーティング層5と前記器内方側素地部2との二つの層が重ねられている。