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特開2022-30216ロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030216
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/00 20060101AFI20220210BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20220210BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20220210BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H02G11/00
B60N2/06
B60N2/90
B60R16/02 620A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134051
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賀博
【テーマコード(参考)】
3B087
5G371
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB03
3B087DE09
5G371AA01
5G371BA01
5G371CA01
5G371CA03
(57)【要約】
【課題】車両用フロア側の電源からシートレールを介してロアレール内、さらにはアッパーレールより上方の車両用シートへ電気を送ることができるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造を提供する。
【解決手段】ロアレール11と、アッパーレール12とを有するシートレール10と、電源に連結されたロアレール用ワイヤハーネス21と、ロアレール11内に設けられる薄導体40と、ロアレール11の底面に設けられた貫通孔11fと、ロアレール用ワイヤハーネス21を固定するとともに、固定されたロアレール用ワイヤハーネス21の端子21aを貫通孔11fの底面側から露出させるようにロアレール11に固定可能なロア用ハーネス取付部材30と、薄導体40を固定するとともに、薄導体40の導通部48を貫通孔11fに対して上面側から配置可能にロアレール11に固定可能なロア用薄導体取付部材45と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用フロアに取り付けられるロアレールと、車両用シートが直接又は間接的に取り付けられるアッパーレールとを有するシートレールと、
電源に連結されたロアレール用ワイヤハーネスと、
前記ロアレール内に設けられる薄導体と、
前記ロアレールの底面に設けられた貫通孔と、
前記ロアレール用ワイヤハーネスを固定するとともに、固定された前記ロアレール用ワイヤハーネスの端子を前記貫通孔の底面側から露出させるように前記ロアレールに固定可能なロア用ハーネス取付部材と、
前記薄導体を固定するとともに、前記薄導体の導通部を貫通孔に対して上面側から配置可能に前記ロアレールに固定可能なロア用薄導体取付部材と、を備え、
前記ロア用ハーネス取付部材及び前記ロア用薄導体取付部材を前記ロアレールに取り付けた場合に、前記貫通孔を介して前記ロアレール用ワイヤハーネスの端子と前記薄導体の前記導通部が接触導通していることを特徴とするロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造。
【請求項2】
前記ロアレール用ワイヤハーネスの端子は、前記薄導体に向かって凸状に形成された平板であることを特徴とする請求項1に記載のロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造。
【請求項3】
前記ロア用ハーネス取付部材はカバー部材を有し、前記カバー部材を嵌め込むことで、前記ロアレール用ワイヤハーネスを前記ロア用ハーネス取付部材に固定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造。
【請求項4】
前記ロア用薄導体取付部材は、断面L字状に形成されており、前記ロアレールの底面及び側面に沿って取り付け可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造。
【請求項5】
前記薄導体の前記導通部は、前記ロア用薄導体取付部材の底面に貫通孔側に向くように取り付けられ、薄導体本体は底面から側面側に導かれ、前記ロアレールの側面と平行となるように屈曲配置され、前記ロア用薄導体取付部材の側方に延出するように取り付けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体側から車両用スライドシートに信号を送受信する装置として、車両用スライドシートに設けられた電子機器に一方の端末が接続された第1の電線と、車体側に配索された第2の電線と、前記第1の電線の他方の端末に接続された信号送信手段と、前記第2の電線の端末に接続され、前記信号送信手段から無線送信された信号を受信する信号受信手段と、を備えた信号送受信装置において、前記信号送信手段及び前記信号受信手段が、前記スライドシートの下方に配置されたレール内に配置され、かつ、前記信号送信手段が、前記スライドシートの下面に取り付けられるとともに前記レールにスライド自在に取り付けられたアッパーレールに直接または他部材を介して固定され、前記信号受信手段が前記レールの一端部に固定されて、前記信号送信手段及び前記信号受信手段が一直線上に対向配置されている信号送受信装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
かかる信号送受信装置によれば、信号受信手段が前記レールの一端部に固定されて、信号送信手段及び信号受信手段が一直線上に対向配置されているので、第1の電線にスライドシートがスライドする距離分の余長を設ける必要がなく、装置全体を簡素な構成とすることができる。また、既存の部品であるレールを利用して、無線送信された信号の受信感度低下を防止することができるという効果を有する。
【0004】
しかしながら、信号の送受信であれば無線送信でも問題ないが、車両用シートのリクライニングの動力や車両用シートのヒータとして使用される電気を車両用シートに送るには、有線にて送ることが要求される場合がある。
【0005】
こうした場合には、車両側に設けられた電源からワイヤハーネスを車両フロアから直接に車両用シートに引き込むと、車両用シートは前後にスライド移動することからワイヤハーネスをこの移動に追従する程度の長さを確保しなければならない上、車両用シートをスライド移動させる度にワイヤハーネスが移動するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-67322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、車両用フロア側の電源からシートレールを介してロアレール内、さらにはアッパーレールより上方の車両用シートへ電気を送ることができるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明にかかるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造は、
車両用フロアに取り付けられるロアレールと、車両用シートが直接又は間接的に取り付けられるアッパーレールとを有するシートレールと、
電源に連結されたロアレール用ワイヤハーネスと、
ロアレール内に設けられる薄導体と、
前記ロアレールの底面に設けられた貫通孔と、
前記ロアレール用ワイヤハーネスを固定するとともに、固定された前記ロアレール用ワイヤハーネスの端子を前記貫通孔の底面側から露出させるように前記ロアレールに固定可能なロア用ハーネス取付部材と、
前記薄導体を固定するとともに、前記薄導体の導通部を貫通孔に対して上面側から配置可能に前記ロアレールに固定可能なロア用薄導体取付部材と、を備え、
前記ロア用ハーネス取付部材及びロア用薄導体取付部材を前記ロアレールに取り付けた場合に、前記貫通孔を介して前記ロアレール用ワイヤハーネスの端子と前記薄導体の前記導通部が接触導通していることを特徴とする。
【0010】
かかる構成を採用することによって、車両本体側に設けられた電源からの電気をロアレールの底面からロアレール内に取り出すことができる。これにより、ロアレール内で電気を利用したり、さらに、ロアレール内に送電された薄導体からさらに上方の車両用シートに送ったりすることができる。
【0011】
また、本発明にかかるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造において、
前記ロアレール用ワイヤハーネスの端子は、前記薄導体に向かって凸状に形成された平板であることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
かかる構成を採用することによって、ロアレール用ワイヤハーネスと薄導体の接触導通を確実なものとすることができる。
【0013】
さらに、本発明にかかるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造において、
前記ロア用ハーネス取付部材はカバー部材を有し、前記カバー部材を嵌め込むことで、前記ロアレール用ワイヤハーネスを前記ロア用ハーネス取付部材に固定可能であることを特徴とするものであってもよい。
【0014】
かかる構成を採用することによって、ロアレール用ワイヤハーネスを容易にロア用ハーネス取付部材に取り付けることができ、サブアッシー状態とすることができ、ロアレールに容易にロアレール用ワイヤハーネスを取り付けることができる。
【0015】
さらに、本発明にかかるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造において、
前記ロア用薄導体取付部材は、断面L字状に形成されており、前記ロアレールの底面及び側面に沿って取り付け可能であることを特徴とするものであってもよい。
【0016】
かかる構成を採用することによって、アッパーレールがロアレール内を移動する際に、ロア用薄導体取付部材が邪魔になることを防止することができ、ロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造部においても、アッパーレールは問題なく移動することができる。
【0017】
さらに、本発明にかかるロアレールとロアレール用ワイヤハーネスの取付構造において、
前記薄導体の前記導通部は、前記ロア用薄導体取付部材の底面に貫通孔側に向くように取り付けられ、薄導体本体は底面から側面側に導かれ、前記ロアレールの側面と平行となるように屈曲配置され、前記ロア用薄導体取付部材の側方に延出するように取り付けられることを特徴とするものであってもよい。
【0018】
かかる構成を採用することによって、薄導体をロアレールの側面に沿って引き出すことができるため、アッパーレールの移動に際して、薄導体が邪魔になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明にかかるロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造を有するシートレール10の斜視図である。
図2図2は、本発明にかかるロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造を有するシートレール10の側面図及びA-A断面図である。
図3図3は、図2のB-B断面図である。
図4図4は、ロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造を示す一部拡大斜視図である。
図5図5は、ロア用薄導体取付部材45を示す斜視図である。
図6図6は、アッパー用ハーネス取付部材50を示す分解斜視図である。
図7図7は、ベース部材51と、このベース部材51とで薄導体40を挟み込んで固定可能な薄導体取付部材52と、薄導体40を示す斜視図である。
図8図8は、シートレール10と、ロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造及びアッパーレール12との取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態にかかるロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造に関して詳細に説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0021】
シートレール10とワイヤハーネス20の取付構造は、図1に示すように、主として、ロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造と、アッパーレール12とアッパーレール用ワイヤハーネス25との取付構造とを有し、それぞれの取付構造の間に設けられる薄導体40と、を有している。本発明は、車両本体に設けられた電源から得られる電気をロアレール11の底面側に取り付けられたロアレール用ワイヤハーネス21を通して、ロアレール11内に導かれる薄導体40に導通し、ロアレール11内から電気を取り出したり、さらに、アッパーレール12に取り付けられたアッパーレール用ワイヤハーネス25に導通することによって、アッパーレール用ワイヤハーネス25に電気を送ることができ、アッパーレール用ワイヤハーネス25から電力を取り出したりすることができる。そのため、アッパーレール用ワイヤハーネス25は、車両用シートの移動、すなわちアッパーレール12の移動に伴って移動するので、アッパーレール用ワイヤハーネス25は、アッパーレール12と車両用シートの電源供給位置までの距離に応じた長さにすることができ、移動による余分な長さを確保する必要がなくなる。
【0022】
シートレール10は、車両用シート(図示しない)を前後にスライドさせるためのレールであり、図1に示すように、主として、車両本体側に取り付けられるロアレール11と、車両用シートが直接に又は間接的に取り付けられるアッパーレール12と、を備えている。ロアレール11とアッパーレール12の構造には様々な形態のものが提案されており、ロアレール11とアッパーレール12が互いにスライドする機構を有するものであれば、その構造は特に限定するものではない。
【0023】
本実施形態においては、ロアレール11は、図1又は図3に示すように、底面11a、両側の側面11b、11cを有し、一方の側面11cは、上端から内側に向かって上面11dが形成され、この上面11dの端部から下方に垂直面部11eが形成されている。こうして作製されたロアレール11は、図3に示すように、底面11aと側面11bと垂直面部11eとで形成される領域αにアッパーレール12の本体12aがスライド自在に挿入される。また、底面11aと側面11cと上面11dと垂直面部11eとで囲まれた領域βには、アッパーレール12の車輪部12bが配置され、アッパーレール12のスムーズなスライドを確保している。
【0024】
アッパーレール12は、車両用シートが直接又は間接的に取り付けられる本体12aと、ロアレール11内でのスライドを確保する車輪部12bとを備えている。
【0025】
次に、ロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造について説明する。ロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付部には、図2又は図4に示すように、主として、ロアレール11と、ロアレール用ワイヤハーネス21と、ロアレール用ワイヤハーネス21をロアレール11に取り付けるためのロア用ハーネス取付部材30と、ロアレール用ワイヤハーネス21から電気を取り出すための薄導体40と、この薄導体40をロアレール11に取り付けるためのロア用薄導体取付部材45と、を備えている。なお、図4のロアレール11は、内部の視認性をよくするため、側面11cと上面11dと垂直面部11eが省略されている。
【0026】
ロアレール11のロアレール用ワイヤハーネス21の取付部には、貫通孔11fが設けられており、この貫通孔11fの上面側に薄導体40が配置され、貫通孔11fの底面側にロアレール用ワイヤハーネス21が配置され、後述するように、それぞれの端子が接触導通するように取り付けられることによって、ロアレール用ワイヤハーネス21から電気を薄導体40に取り出すことができる。また貫通孔11fの周囲には、ロア用ハーネス取付部材30及びロア用薄導体取付部材45を取り付けるための螺合部材用孔11gが設けられている。
【0027】
ロアレール用ワイヤハーネス21は、特に限定するものではなく、既知の種々のワイヤハーネスを採用することができる。ロアレール用ワイヤハーネス21の先端には、端子21aが設けられており、さらに、この端子21aを固定するとともに、ロア用ハーネス取付部材30に対して所定の位置に取り付けられる位置決め部材22が設けられている。なお、端子21aは、好ましくは薄導体40側に向かって凸状となるように形成された平板に形成するとよい。かかる構成にすることによって薄導体40に接触しやすくなり、接触不良を低減することができる。
【0028】
ロア用ハーネス取付部材30は、ロアレール用ワイヤハーネス21の位置決め部材22を所定の位置に取り付けた後、カバー部材31で覆うことによって端子21aを露出させた状態でロアレール用ワイヤハーネス21を固定することができる。ロア用ハーネス取付部材30は、ロアレール用ワイヤハーネス21が所定位置に固定された状態でロアレール11の底面側に端子21aがロアレール11の貫通孔11fに露出するように螺合部材用孔11gに螺合部材80で取り付けられる。
【0029】
薄導体40は、湾曲可能な平面帯状の導体であり、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)等が挙げられる。薄導体40は、ロアレール11内に湾曲配置可能であり、かつその湾曲状態を随時変更可能な程度の柔軟性を有する必要がある。
【0030】
ロア用薄導体取付部材45は、ロアレール11の底面11a及び側面11bに沿って配置することができるように、底面45a及び側面45bを有する断面L字型に形成されている。薄導体40は、図4及び図5に示すように、ロア用薄導体取付部材45の底面45aに、ロアレール用ワイヤハーネス21の端子21aと接触導通可能な導通部41が貫通孔11f側に向かうように設けられ、薄導体40の本体は側面45bの背面側に導かれ、屈曲させてロアレール11の長手方向と平行に配置されるようにロア用薄導体取付部材45の側方に延出するように取り付けられる。ロア用薄導体取付部材45の底面45a及び側面45bには、凹部45cが設けられており、薄導体40が取り付けられるように取付フック45dが設けられている。このような凹部45cを設けることによって、ロアレール11の底面11a及び側面11bに対して、ロア用薄導体取付部材45は隙間なく取り付けることができる。こうして薄導体40が取り付けられたロア用薄導体取付部材45は、ロアレール11の底面11aに対して上面側から導通部41が貫通孔11fに向かうように螺合部材用孔11gに螺合部材80で取り付けられ、ロアレール用ワイヤハーネス21の端子21aと接触し、導通可能に取り付けられる。
【0031】
こうして本発明にかかるロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造によれば、車両本体のフロア側にある電源とつながっているロアレール用ワイヤハーネス21を介してロアレール11内に配置されている薄導体40から電気を取ることができる。
【0032】
次に、アッパーレール12とアッパーレール用ワイヤハーネス25との取付構造について説明する。アッパーレール12とアッパーレール用ワイヤハーネス25との取付部には、図3及び図6に示すように、主として、アッパーレール12と、アッパーレール用ワイヤハーネス25と、アッパーレール用ワイヤハーネス25に電気を導通する薄導体40と、アッパーレール用ワイヤハーネス25及び薄導体40をアッパーレール12に取り付けるためのアッパー用ハーネス取付部材50と、を備えている。
【0033】
アッパーレール用ワイヤハーネス25は、特に限定するものではなく、既知のワイヤハーネスを採用することができる。アッパーレール用ワイヤハーネス25の先端には、フック26が設けられている。フック26は、図6に示すように、フック本体26aと、薄導体40の導通部48(図7参照)と電気的に接続できる金属製の端子26bと、を有し、金属製の端子26bがフック本体26aを押圧するように形成されており、このフック本体26aと金属製の端子26bとの間に薄導体40の導通部48を挿入することによって電気的に接続される。
【0034】
薄導体40は、ロア用薄導体取付部材45に取り付けられた薄導体40の端部の導通部41と反対側の端部(以下「アッパー側端部」という。)の導通部48がアッパー用ハーネス取付部材50に取り付けられる。薄導体40のアッパー側端部は、前述したようにフック本体26aと金属製の端子26bの間に挿入するので、挿入する際の剛性を確保するために、図7に示すように、導通部48を有するプラスチック等からなる補強フィルム49を設けてもよい。
【0035】
アッパー用ハーネス取付部材50は、図6に示すように、それぞれアッパーレール用ワイヤハーネス25と薄導体40とを電気的に導通可能な状態で組み付けることができ、これらを組み付けた状態でアッパーレール12に固定することができる。アッパー用ハーネス取付部材50は、主として、ベース部材51と、このベース部材51とで薄導体40を挟み込んで固定可能な薄導体取付部材52と、アッパーレール用ワイヤハーネス25を固定するハーネス固定部材54とを備えている。ベース部材51は、図7に示すように、薄導体取付部材52との間に薄導体40を挟み込んで固定する部材であり、特に形態は限定されるものではない。薄導体取付部材52は、ベース部材51と螺合部材90で薄導体40を挟持固定可能であるとともに、この螺合部材90でアッパーレール12にも同時に固定可能に形成されている。薄導体取付部材52は、薄導体40のアッパー側端部の導通部48が露出するように立設して取り付けられる。薄導体40の導通部48の背面には、導通部48を支持する背面支持板52aを有しており、薄導体40の立設状態を保持している。ベース部材51と薄導体取付部材52とで挟持固定されている薄導体40の部分と導通部48との間には取り付け誤差や寸法誤差によるばらつきを解消するために略U字状に湾曲した寸法ばらつき吸収部40cを有している。かかる寸法ばらつき吸収部40cを設けることによって、薄導体40の長さに誤差があってもU字の形態を調整しつつ確実に導通部48を薄導体取付部材52に取り付けることができる。こうして、導通部48が露出している薄導体40のアッパー側端部に、前述したアッパーレール用ワイヤハーネス25の先端に設けられたフック26を金属製の端子26bが導通部48に接触するようにしてフック本体26aと金属製の端子26bで導通部48及び背面支持板52aを挟み込むようにして取り付けることで、アッパーレール用ワイヤハーネス25と薄導体40が通電可能な状態に取り付けられる。この状態でアッパーレール用ワイヤハーネス25の先端に設けられたフック26が外れることがないようにハーネス固定部材54でフック26及び薄導体取付部材52を挟み込むようにして固定することで、アッパーレール用ワイヤハーネス25がアッパー用ハーネス取付部材50に固定される。
【0036】
以上のように作製されたアッパー用ハーネス取付部材50は、図3に示すように、螺合部材90によってアッパーレール12に取り付けられる。なお、アッパーレール12に取り付ける方法は、本実施形態に限定するものではなく、種々の手段を採用することができる。
【0037】
この際に薄導体40は、図8に示すように、アッパーレール12が主たる可動領域(車両用シートが着座領域にある場合)に位置する場合(図8の状態)に、ロア用薄導体取付部材45からアッパーレール12がある側と反対側に延設された後湾曲してUターンするようにしてアッパーレール12のアッパー用ハーネス取付部材50に取り付けられる。このように取り付けることで、アッパーレール12が移動すると、薄導体40の湾曲位置が移動しつつ、薄導体40がロアレール11の側面11bに並列するように移動するため、アッパーレール12が移動する際に、薄導体40が邪魔になることを防止することができる。なお、薄導体40が移動する際に、薄導体40がロアレール11内で底辺11a側に倒れ込み車体との締結ボルト96等へ引っかかることを防止するため、上面がボルト等の頭より高い位置に配置されている薄導体規制部材70が設けられている。
【0038】
こうして作製されたシートレール10とワイヤハーネス20との取付構造は、電源からの電気が、ロアレール11とロアレール用ワイヤハーネス21との取付構造部において、ロアレール用ワイヤハーネス21から薄導体40に導電され、薄導体40のアッパー側端部からアッパーレール用ワイヤハーネス25に導電されることになる。
【0039】
したがって、アッパーレール12に取り付けられたアッパーレール用ワイヤハーネス25を車両用シート内に配置することによって、車両用シートで必要な電源を確保することができる。また、こうして車両用シートにアッパーレール用ワイヤハーネス25が取り付けられた場合に、車両用シートがスライドしてもアッパーレール用ワイヤハーネス25がアッパーレール12の移動に伴って移動するので、車両用フロアから直接にアッパーレール用ワイヤハーネス25を取り付けた場合と比較して、スライド移動する際の余分な長さを確保する必要がないので、アッパーレール用ワイヤハーネス25の長さを短くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
上述した実施の形態で示すように、車両用シートの電源確保の手段として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…シートレール、11…ロアレール、11a…底面、11b、11c…側面、11d…上面、11e…垂直面部、11f…貫通孔、11g…螺合部材用孔、12…アッパーレール、12b…車輪部、12a…本体、20…ワイヤハーネス、21…ロアレール用ワイヤハーネス、21a…端子、22…位置決め部材、25…アッパーレール用ワイヤハーネス、26…フック、26a…フック本体、26b…金属製の端子、30…ロア用ハーネス取付部材、31…カバー部材、40…薄導体、40c…寸法ばらつき吸収部、41…導通部、45…ロア用薄導体取付部材、45a…底面、45b…側面、45c…凹部、45d…取付フック、48…導通部、49…補強フィルム、50…アッパー用ハーネス取付部材、51…ベース部材、52…薄導体取付部材、52a…背面支持板、54…ハーネス固定部材、80…螺合部材、90…螺合部材


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8