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特開2022-30225缶成形装置の往復直線運動機構および缶成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030225
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】缶成形装置の往復直線運動機構および缶成形装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/02 20060101AFI20220210BHJP
   B21D 22/28 20060101ALI20220210BHJP
   B30B 1/26 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F16H19/02 M
B21D22/28 L
B30B1/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134065
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】ユニバーサル製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 元彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昭二
【テーマコード(参考)】
3J062
4E090
4E137
【Fターム(参考)】
3J062AA21
3J062AB06
3J062AC07
3J062BA12
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA02
4E090CD10
4E090EA01
4E090EB01
4E090EC01
4E090HA03
4E137AA26
4E137BA05
4E137BB01
4E137CA07
4E137CA09
4E137CA11
4E137CA24
4E137CA25
4E137CA26
4E137EA01
4E137GA02
4E137GB17
(57)【要約】
【課題】往復直線運動機構の外形を小さく抑えること。
【解決手段】内歯歯車16を有するハウジング15と、第1回転体21と、ハウジング15と第1回転体21とを第1中心軸C1回りに相対回転可能に連結する第1軸受31と、第1回転体21の軸方向一方側を向く面21dから軸方向他方側に窪み、第2中心軸C2を中心とする凹部28と、内歯歯車16と噛み合う外歯歯車23を有し、第1回転体21の軸方向一方側に配置される第2回転体22と、第2回転体22の軸方向他方側を向く面22eから軸方向他方側に突出し、凹部28に挿入される凸部29と、凸部29と凹部28とを、第2中心軸C2回りに相対回転可能に連結する第2軸受32と、第2回転体22に接続され、所定方向に沿って往復直線運動させられるラム軸連結部35と、を備え、第2中心軸C2と直交する第2径方向から見て、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29が、互いに重なる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中心軸を中心とする内歯歯車を有するハウジングと、
前記第1中心軸と直交する第1径方向において、前記ハウジングの内側に位置する第1回転体と、
前記ハウジングと前記第1回転体とを、前記第1中心軸回りに相対回転可能に連結する第1軸受と、
前記第1回転体の軸方向一方側を向く面から軸方向他方側に窪み、前記第1中心軸と平行な第2中心軸を中心とする凹部と、
前記第2中心軸を中心とし前記内歯歯車と噛み合う外歯歯車を有し、前記第1回転体の軸方向一方側に配置される第2回転体と、
前記第2回転体の軸方向他方側を向く面から軸方向他方側に突出し、前記凹部に挿入される凸部と、
前記凸部と前記凹部とを、前記第2中心軸回りに相対回転可能に連結する第2軸受と、
前記第2回転体に接続され、前記第1径方向のうち所定方向に沿って往復直線運動させられるラム軸連結部と、を備え、
前記第2中心軸と直交する第2径方向から見て、前記第1軸受、前記凹部、前記第2軸受および前記凸部が、互いに重なる、
缶成形装置の往復直線運動機構。
【請求項2】
前記内歯歯車および前記外歯歯車は、前記第1軸受、前記凹部、前記第2軸受および前記凸部の軸方向一方側に配置される、
請求項1に記載の缶成形装置の往復直線運動機構。
【請求項3】
前記内歯歯車および前記外歯歯車は、前記ハウジングの軸方向一方側の開口部に位置する、
請求項1または2に記載の缶成形装置の往復直線運動機構。
【請求項4】
軸方向から見て、前記外歯歯車の一部と前記第1軸受の一部とが、互いに重なる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の缶成形装置の往復直線運動機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の缶成形装置の往復直線運動機構と、
前記所定方向に延び、一端部に前記ラム軸連結部が連結されるラム軸と、
前記ラム軸の他端部に配置されるパンチと、
前記パンチが挿入される貫通孔を有するダイと、
前記ダイの前記貫通孔が開口する端面に押し付けられるカップホルダーと、を備える、
缶成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶成形装置の往復直線運動機構および缶成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有底筒状のDI(Drawing&Ironing)缶が知られている。DI缶は、アルミニウム合金製の円板状のブランクが、カッピング加工およびDI加工等を経ることにより製造される。カッピング加工では、ブランクを絞り加工してカップ状体とする。DI加工では、カップ状体をカップホルダーで押さえつつ、パンチとダイとの間で絞りしごき加工する。
【0003】
カップ状体にDI加工を施す缶成形装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この缶成形装置は、往復直線運動機構により、ラム軸を介してパンチを所定のストローク方向に往復直線運動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-54065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の缶成形装置は、往復直線運動機構の外形を小さく抑える点に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、往復直線運動機構の外形を小さく抑えることができる缶成形装置の往復直線運動機構、および缶成形装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の缶成形装置の往復直線運動機構の一つの態様は、第1中心軸を中心とする内歯歯車を有するハウジングと、前記第1中心軸と直交する第1径方向において、前記ハウジングの内側に位置する第1回転体と、前記ハウジングと前記第1回転体とを、前記第1中心軸回りに相対回転可能に連結する第1軸受と、前記第1回転体の軸方向一方側を向く面から軸方向他方側に窪み、前記第1中心軸と平行な第2中心軸を中心とする凹部と、前記第2中心軸を中心とし前記内歯歯車と噛み合う外歯歯車を有し、前記第1回転体の軸方向一方側に配置される第2回転体と、前記第2回転体の軸方向他方側を向く面から軸方向他方側に突出し、前記凹部に挿入される凸部と、前記凸部と前記凹部とを、前記第2中心軸回りに相対回転可能に連結する第2軸受と、前記第2回転体に接続され、前記第1径方向のうち所定方向に沿って往復直線運動させられるラム軸連結部と、を備え、前記第2中心軸と直交する第2径方向から見て、前記第1軸受、前記凹部、前記第2軸受および前記凸部が、互いに重なる。
また、本発明の缶成形装置の一つの態様は、上述の缶成形装置の往復直線運動機構と、前記所定方向に延び、一端部に前記ラム軸連結部が連結されるラム軸と、前記ラム軸の他端部に配置されるパンチと、前記パンチが挿入される貫通孔を有するダイと、前記ダイの前記貫通孔が開口する端面に押し付けられるカップホルダーと、を備える。
【0008】
本発明では、第1軸受、凹部、第2軸受および凸部の各軸方向位置が、互いに同じであるので、往復直線運動機構の軸方向寸法の嵩張りを抑えることができる。また外歯歯車および内歯歯車の各軸方向寸法についても、小さく抑えることが容易である。往復直線運動機構の少なくとも軸方向の外形を小さく抑えることができ、かつ構造を簡素化できる。
【0009】
上記缶成形装置の往復直線運動機構において、前記内歯歯車および前記外歯歯車は、前記第1軸受、前記凹部、前記第2軸受および前記凸部の軸方向一方側に配置されることが好ましい。
【0010】
この場合、往復直線運動機構の構造を簡素化しつつ、軸方向の外形をより小さく抑えることができる。
【0011】
上記缶成形装置の往復直線運動機構において、前記内歯歯車および前記外歯歯車は、前記ハウジングの軸方向一方側の開口部に位置することが好ましい。
【0012】
この場合、往復直線運動機構の構造を簡素化しつつ、軸方向の外形をより小さく抑えることができる。
【0013】
上記缶成形装置の往復直線運動機構は、軸方向から見て、前記外歯歯車の一部と前記第1軸受の一部とが、互いに重なることが好ましい。
【0014】
例えば第1軸受が、軸方向から見て外歯歯車と重ならずに、外歯歯車よりも第1径方向の外側に配置される場合と比べて、本発明の上記構成によれば、第1軸受の直径が小さく抑えられる分、往復直線運動機構の第1径方向の外形を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一つの態様の缶成形装置の往復直線運動機構、および缶成形装置によれば、往復直線運動機構の外形を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態の缶成形装置を模式的に示す概略図である。
図2図2は、本実施形態の缶成形装置の往復直線運動機構を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態の缶成形装置の往復直線運動機構を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態の缶成形装置1、および缶成形装置1の往復直線運動機構10(以下、単に往復直線運動機構10と呼ぶ場合がある)について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の缶成形装置1は、ワークであるカップ状体WにDI加工を施してDI缶100とする、DI缶製造装置である。
【0018】
まず、DI缶100について説明する。
DI缶100は、有底筒状である。DI缶100は、飲料等の内容物が充填、密封される2ピース缶やボトル缶等の缶体に用いられる。2ピース缶の場合、缶体は、DI缶100と、DI缶100の開口端部に巻き締められる円板状の缶蓋と、を備える。ボトル缶の場合、缶体は、DI缶100にネッキング加工およびねじ加工等が施されたボトル缶本体と、ボトル缶本体の開口端部に螺着されるキャップと、を備える。
【0019】
DI缶100は、アルミニウム合金製等の板材から打ち抜いた円板状のブランクに、カッピング工程(絞り工程)およびDI工程(絞りしごき工程)を施すことにより、有底筒状に形成される。具体的にDI缶100は、例えば2ピース缶の場合、板材打ち抜き工程、カッピング工程、DI工程、トリミング工程、印刷工程、塗装工程、ネッキング工程およびフランジング工程をこの順に経て、製造される。
【0020】
DI缶100を製造する過程では、ブランクをカッピングプレスによって絞り加工(カッピング加工)し、カップ状体Wに成形する。つまりカップ状体Wは、上記カッピング工程において、ブランクからDI缶100へ移行する過程で作製される成形中間体である。カップ状体Wは、DI缶100よりも周壁の高さ(缶軸方向に沿う長さ)が小さく、直径が大きい有底筒状である。
【0021】
次に、缶成形装置1について説明する。
缶成形装置1は、上記DI工程に用いられるものであり、カップ状体WにDI加工、すなわち絞り(再絞り)しごき加工を施して、カップ状体Wよりも周壁の高さが大きく、直径が小さいDI缶100に成形する。また缶成形装置1は、上記DI工程において、DI缶100の缶底をドーム形状に成形する。
【0022】
缶成形装置1は、往復直線運動機構10と、往復直線運動機構10の後述するラム軸連結部35が往復直線運動させられる所定方向(以下、ストローク方向Sと呼ぶ場合がある)に延び、一端部にラム軸連結部35が連結されるラム軸3と、ラム軸3の他端部に配置されるパンチ2と、ラム軸3の中心軸Oの軸方向に沿ってラム軸3を往復移動自在に支持するラム軸受5と、パンチ2が挿入される貫通孔7を有するダイ8と、ダイ8の貫通孔7が開口する端面9に押し付けられるカップホルダー6と、パンチ2との間でDI缶100の缶底を挟み込みドーム状に成形するドーマー11と、を備える。
ラム軸3、パンチ2、ラム軸受5、ダイ8の貫通孔7、カップホルダー6およびドーマー11の各中心軸Oは、互いに同軸に配置される。本実施形態では、これらの部材の共通軸である中心軸Oが、水平方向に延びる。
【0023】
また缶成形装置1は、ダイ8の端面9上にカップ状体Wを供給するカップフィーダー(図示省略)と、この端面9上にカップ状体Wを保持する受け座(図示省略)と、成形後のDI缶100を装置外部へ搬送する缶搬送機構(図示省略)と、パンチ2の先端面および外周面の少なくともいずれかに開口するエア吐出孔からエアを吐出し、パンチ2からDI缶100を離型させるエア吐出機構(図示省略)と、往復直線運動機構10に同期して駆動され、往復直線運動機構10のラム軸連結部35とは異なるストローク長でカップホルダー6を中心軸Oの軸方向に往復移動させるカップホルダー駆動機構(図示省略)と、駆動モータ等の駆動源(図示省略)と、を備える。
【0024】
往復直線運動機構10は、駆動源から入力される第1中心軸C1回りの回転駆動力を、中心軸Oに沿うストローク方向Sへの往復直線運動に変換して、ラム軸連結部35に出力する。往復直線運動機構10の具体的な構成については、別途後述する。
ラム軸3は、中心軸Oに沿って延びる軸状である。ラム軸3は、中心軸Oの軸方向において互いに離間して配置される一対のラム軸受5により、摺動自在に支持される。
パンチ2は、中心軸Oに沿って延びる円筒状または円柱状である。
【0025】
一対のラム軸受5は、中心軸Oの軸方向において、往復直線運動機構10とダイ8との間に配置される。一対のラム軸受5のうち、ダイ8に近い位置に配置される一方のラム軸受5は、前軸受5Fであり、往復直線運動機構10に近い位置に配置される他方のラム軸受5は、後軸受5Rである。前軸受5Fおよび後軸受5Rは、例えばハイドロスタティック軸受や静圧軸受等と呼ばれる流体軸受の構造を有する。
【0026】
ダイ8は、中心軸Oの軸方向に並んで複数設けられる。複数のダイ8はそれぞれ、ダイ8を中心軸Oの軸方向に貫通する断面円形の貫通孔7を有する。複数のダイ8は、1つの再絞りダイ8Aと、この再絞りダイ8Aよりもドーマー11側に位置する複数のアイアニングダイ(しごきダイ)8Bと、を有する。特に図示しないが、各アイアニングダイ8Bのドーマー11側には、それぞれパイロットリングが配置される。パイロットリングが設けられることにより、成形時にDI缶100が各アイアニングダイ8Bを外れた(通過した)ときの衝撃でパンチ2が各アイアニングダイ8Bに接触することが抑制される。
また、成形時において再絞りダイ8Aおよび各アイアニングダイ8Bには、潤滑と冷却のためクーラント液が供給される。
【0027】
カップホルダー6は、中心軸Oの軸方向に延びる円筒状のカップホルダースリーブ6aを有する。カップホルダースリーブ6aは、パンチ2の外側に嵌め合わされ、かつパンチ2に対して中心軸Oの軸方向にスライド移動可能である。カップホルダースリーブ6aは、再絞りダイ8Aの端面9に配置されたカップ状体Wの内部に挿入され、カップ状体Wの底壁を端面9に押圧して保持する。すなわちカップホルダー6は、ダイ8の往復直線運動機構10側を向く端面9に、カップ状体Wの底壁を押し付けて支持する。
特に図示しないが、カップホルダー駆動機構は、駆動源から往復直線運動機構10を介して伝達された回転駆動力を、中心軸Oの軸方向への往復運動に変換して、カップホルダー6を中心軸Oの軸方向に往復直線移動させる。
【0028】
ドーマー11は、DI缶100の缶底を成形する金型である。ドーマー11は、中心軸Oの軸方向に延びる略円筒状である。パンチ2がストローク方向Sの前進端位置に配置されたときに、ドーマー11は、中心軸Oの軸方向においてパンチ2と対向する。
【0029】
缶成形装置1によるカップ状体WへのDI加工は、下記のように行われる。
まず、ワークであるカップ状体Wが、カップ軸(缶軸)を水平方向に延ばし、その開口をパンチ2側へ向けた姿勢で、パンチ2と再絞りダイ8Aとの間に配置される。カップ状体Wの底壁は、再絞りダイ8Aの端面9と対向する。
【0030】
このカップ状体Wに対して、カップホルダー6およびパンチ2が中心軸Oの軸方向に前進移動させられる。すなわち、カップホルダー6およびパンチ2が、ストローク方向Sのうち、往復直線運動機構10からダイ8側つまり前側へ向けて移動する。そしてカップホルダー6が、再絞りダイ8Aの端面9にカップ状体Wの底壁を押し付けてカップ押し付け動作を行いつつ、パンチ2が、カップ状体Wを再絞りダイ8Aの貫通孔7内に押し込んでいくことにより、カップ状体Wに再絞り加工を施す。
【0031】
再絞り加工により、カップ状体Wは小径に成形され、かつカップ軸方向の長さが大きくなる。さらにこのカップ状体Wをパンチ2で押し込んでいき、複数のアイアニングダイ8Bの各貫通孔7を順次通過させつつしごき加工を施す。すなわち、カップ状体Wの周壁をしごいて延伸させ、周壁高さを高くするとともに周壁の厚さを薄くして、有底筒状のDI缶100の形状に成形する。DI缶100は、周壁がしごかれることで冷間加工硬化され、強度が高められる。
【0032】
しごき加工が施されたDI缶100は、パンチ2によりダイ8の貫通孔7からドーマー11側へと押し出される。そしてDI缶100の底部(缶底となる部分)が、パンチ2とドーマー11との間で挟まれ押圧されることにより、DI缶100の底部が、ドーム形状に成形される。
【0033】
次に、往復直線運動機構10について説明する。
図2および図3に示すように、往復直線運動機構10は、内歯歯車16を有するハウジング15と、第1回転体21と、第1軸受31と、凹部28と、内歯歯車16と噛み合う外歯歯車23を有する第2回転体22と、凸部29と、第2軸受32と、ラム軸連結部35と、錘部51と、軸体26と、を備える。
【0034】
ハウジング15およびその内歯歯車16、第1回転体21、第1軸受31ならびに軸体26は、第1中心軸C1を中心としており、つまり第1中心軸C1を共通軸として互いに同軸に配置される。凹部28、第2回転体22およびその外歯歯車23、凸部29ならびに第2軸受32は、第2中心軸C2を中心としており、つまり第2中心軸C2を共通軸として互いに同軸に配置される。
第1中心軸C1と第2中心軸C2とは、互いに平行であり、かつ互いに離れて配置される。本実施形態では、第1中心軸C1および第2中心軸C2が、水平方向に延びる。
【0035】
以下の説明では、第1中心軸C1が延びる方向および第2中心軸C2が延びる方向を、単に軸方向と呼ぶ。軸方向において、第1回転体21とラム軸連結部35とは、互いに異なる位置に配置される。軸方向のうち、第1回転体21からラム軸連結部35へ向かう方向を軸方向一方側と呼び、ラム軸連結部35から第1回転体21へ向かう方向を軸方向他方側と呼ぶ。なお、軸方向一方側を前側、軸方向他方側を後側と言い換えてもよい。
【0036】
第1中心軸C1と直交する方向を、第1径方向と呼ぶ。第1径方向のうち、第1中心軸C1に近づく向きを第1径方向の内側と呼び、第1中心軸C1から離れる向きを第1径方向の外側と呼ぶ。
第1中心軸C1回りに周回する方向を第1周方向と呼ぶ。第1周方向のうち、缶成形装置1の稼働時に、ハウジング15に対して第1回転体21が回転させられる向きを、第1回転方向T1と呼ぶ。
【0037】
第2中心軸C2と直交する方向を、第2径方向と呼ぶ。第2径方向のうち、第2中心軸C2に近づく向きを第2径方向の内側と呼び、第2中心軸C2から離れる向きを第2径方向の外側と呼ぶ。
第2中心軸C2回りに周回する方向を第2周方向と呼ぶ。第2周方向のうち、缶成形装置1の稼働時に、第1回転体21に対して第2回転体22が回転させられる向きを、第2回転方向T2と呼ぶ。
【0038】
ハウジング15は、第1中心軸C1を中心とする筒状である。ハウジング15は、内歯歯車16と、ハウジング本体17と、を有する。
【0039】
内歯歯車16は、第1中心軸C1を中心とする環状である。内歯歯車16は、円筒状であり、軸方向に延びる。内歯歯車16は、ハウジング15の軸方向一方側の端部に配置される。内歯歯車16は、ハウジング15の軸方向一方側の開口部に位置する。
【0040】
内歯歯車16は、内歯歯車16の内周部に、第1周方向に並ぶ複数の内歯16aを有する。本実施形態では内歯16aが、ハウジング15の軸方向一方側の開口を通して、往復直線運動機構10の外部に露出される。
【0041】
図3に示すように、ハウジング本体17は、第1中心軸C1を中心とする有底筒状である。ハウジング本体17の内部には、第1回転体21および第1軸受31が配置される。ハウジング本体17の軸方向一方側の端部には、内歯歯車16が固定される。
【0042】
ハウジング本体17は、周壁部17aと、底壁部17bと、を有する。
周壁部17aは、第1中心軸C1を中心とする略円筒状であり、軸方向に延びる。周壁部17aの軸方向一方側の端部には、内歯歯車16が固定される。周壁部17aの軸方向他方側の端部には、底壁部17bが接続される。
底壁部17bは、第1中心軸C1と垂直な方向に拡がる円環板状である。底壁部17bの外周部は、周壁部17aの軸方向他方側の端部と接続される。図示の例では周壁部17aと底壁部17bとが、一体に形成される。
【0043】
第1回転体21は、第1径方向において、ハウジング15の内側に位置する。第1回転体21は、ハウジング15と第1中心軸C1回りに相対回転可能に連結される。第1回転体21は、第1中心軸C1を中心とする円柱状である。第1回転体21は、ハウジング15内に収容される。
【0044】
第1軸受31は、例えばテーパーローラーベアリング等である。第1軸受31は、第1径方向からの荷重(ラジアル荷重)および軸方向からの荷重(アキシャル荷重)を支持可能である。第1軸受31は、第1中心軸C1を中心とする環状である。第1軸受31は、ハウジング15と第1回転体21とを、第1中心軸C1回りに相対回転可能に連結する。
特に図示しないが、第1軸受31の外輪は、ハウジング本体17の周壁部17aの内周面と固定される。第1軸受31の内輪は、第1回転体21の外周面と固定される。
【0045】
凹部28は、第1回転体21の軸方向一方側を向く面21dから軸方向他方側に窪み、軸方向に延びる。凹部28は、第2中心軸C2を中心とする円穴状である。つまり凹部28は、軸方向一方側に開口する。
【0046】
第2回転体22は、第1回転体21の軸方向一方側に配置される。第2回転体22は、第1回転体21と第2中心軸C2回りに相対回転可能に連結される。第2回転体22は、第2中心軸C2を中心とする略円柱状である。第2回転体22は、外歯歯車23と、頂壁部22bと、を有する。
【0047】
外歯歯車23は、第2中心軸C2を中心とする円柱状であり、軸方向に延びる。外歯歯車23の軸方向他方側を向く面22eの一部は、第1回転体21の軸方向一方側を向く面21dの一部と、軸方向に隙間をあけて対向する。外歯歯車23の軸方向他方側を向く面22eの他の一部は、第1軸受31の一部と、軸方向に隙間をあけて対向する。つまり軸方向から見て、外歯歯車23の一部と第1軸受31の一部とは、互いに重なる。外歯歯車23は、ハウジング15の軸方向一方側の開口部に位置する。
【0048】
外歯歯車23は、外歯歯車23の外周部に、第2周方向に並ぶ複数の外歯23aを有する。本実施形態では外歯23aが、ハウジング15の軸方向一方側の開口を通して、往復直線運動機構10の外部に露出される。
複数の外歯23aのうち少なくとも1つ以上と、複数の内歯16aのうち少なくとも1つ以上とは、互いに噛み合う。外歯歯車23の外歯23aのピッチ円直径は、内歯歯車16の内歯16aのピッチ円直径の1/2である。
【0049】
図2において、缶成形装置1の稼働時に、外歯歯車23は、内歯歯車16の内周部に沿って第1回転方向T1に回転(公転)移動しつつ、第2回転方向T2に回転(自転)する。本実施形態では、往復直線運動機構10を軸方向一方側から見て、つまり往復直線運動機構10の正面視で、第1回転方向T1は、第1中心軸C1を中心とする反時計回りの方向であり、第2回転方向T2は、第2中心軸C2を中心とする時計回りの方向である。ただしこれに限らず、往復直線運動機構10を軸方向一方側から見て、第1回転方向T1が、第1中心軸C1を中心とする時計回りの方向であり、第2回転方向T2が、第2中心軸C2を中心とする反時計回りの方向であってもよい。
【0050】
頂壁部22bは、外歯歯車23の軸方向一方側に配置される。頂壁部22bは、第2中心軸C2と垂直な方向に拡がる円板状である。図3に示すように、頂壁部22bは、外歯歯車23の軸方向一方側の端部およびラム軸連結部35の軸方向他方側の端部と接続される。つまり頂壁部22bは、外歯歯車23とラム軸連結部35とを接続する。
【0051】
凸部29は、第2回転体22の軸方向他方側を向く面22eから軸方向他方側に突出し、軸方向に延びる。凸部29は、第2中心軸C2を中心とする円柱状である。凸部29は、凹部28に挿入される。
【0052】
第2軸受32は、例えばテーパーローラーベアリング等である。第2軸受32は、第2径方向からの荷重(ラジアル荷重)および軸方向からの荷重(アキシャル荷重)を支持可能である。第2軸受32は、第2中心軸C2を中心とする環状である。第2軸受32は、凸部29と凹部28とを、第2中心軸C2回りに相対回転可能に連結する。
特に図示しないが、第2軸受32の外輪は、凹部28の内周面と固定される。第2軸受32の内輪は、凸部29の外周面と固定される。
【0053】
第2径方向から見て、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29は、互いに重なる。すなわち、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29はそれぞれ、軸方向において、互いに同じ位置に配置される部分を含む。図示の例では、第2径方向から見て、第2軸受32がその軸方向全長にわたって、第1軸受31と重なる。
内歯歯車16および外歯歯車23は、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29の軸方向一方側に配置される。
【0054】
ラム軸連結部35は、第2回転体22に接続され、第1径方向のうち所定方向(ストローク方向S)に沿って往復直線運動させられる。ラム軸連結部35は、例えば円柱状であり、軸方向に延びる。ラム軸連結部35は、頂壁部22bから軸方向一方側に突出する。ラム軸連結部35は、ハウジング15よりも軸方向一方側に位置する。ラム軸連結部35は、頂壁部22bから第2径方向の外側に突出する。
【0055】
ラム軸連結部35の第3中心軸C3は、第1中心軸C1と平行である。ラム軸連結部35の第3中心軸C3は、第2中心軸C2に対して平行かつ離れて配置される。第3中心軸C3と第2中心軸C2との間の第2径方向の距離は、第1中心軸C1と第2中心軸C2との間の第2径方向の距離と等しい。往復直線運動機構10を軸方向から見て、ラム軸連結部35の第3中心軸C3は、外歯歯車23の外歯23aのピッチ円直径上に位置する。
【0056】
図1において、ラム軸連結部35は、ラム軸連結部35の外周部に設けられる図示しない連結軸受を介して、ラム軸3と連結される。この連結軸受は、ラム軸連結部35と、ラム軸3の一端部に位置するコンロッドとを、第3中心軸C3回りに相対回転可能に連結する。
【0057】
図2および図3に示すように、錘部51は、第1回転体21に接続され、第1径方向において、第1中心軸C1を間に挟んで第2中心軸C2とは反対側に位置する。錘部51は、第1回転体21、凹部28、凸部29、第2軸受32、第2回転体22およびラム軸連結部35が第1中心軸C1回りに回転する際の、第1周方向の回転バランスを良好に維持するためのいわゆるカウンターウェイトとして機能する。錘部51は、第1回転体21の軸方向一方側に配置される。錘部51は、半円板状である。図示の例では、錘部51が、第1回転体21と一体に形成される。
【0058】
軸体26は、第1中心軸C1を中心とする円柱状であり、軸方向に延びる。軸体26は、第1回転体21の軸方向他方側に配置される。軸体26の外径は、第1回転体21の外径よりも小さい。軸体26の軸方向一方側の端部は、第1回転体21の軸方向他方側の端部と接続される。図示の例では、軸体26が、第1回転体21と一体に形成される。
【0059】
軸体26は、図示しない第3軸受により、第1中心軸C1回りに回転自在に支持される。軸体26には、図示しない駆動源から第1回転方向T1の回転駆動力が入力される。軸体26および第1回転体21は、駆動源の回転駆動力により、ハウジング15に対して第1回転方向T1に回転させられる。
【0060】
以上説明した本実施形態の往復直線運動機構10では、図示しない駆動源から軸体26および第1回転体21に第1中心軸C1回りの回転駆動力が伝達されると、ハウジング15に対して第1回転体21が、第1中心軸C1回りに回転させられる。第1回転体21が第1中心軸C1回りに回転させられると、第1回転体21に支持された第2回転体22も、第1中心軸C1回りに回転させられる。
【0061】
このとき、第2回転体22の外歯歯車23と、ハウジング15の内歯歯車16とが互いに噛み合っているため、第2回転体22は、第1中心軸C1回りに回転(公転)させられつつ、第2中心軸C2回りにも回転(自転)させられる。往復直線運動機構10を軸方向から見て、第2回転体22が第1中心軸C1回りに公転させられる第1回転方向T1と、第2回転体22が第2中心軸C2回りに自転させられる第2回転方向T2とは、互いに逆向きとなる。
【0062】
第2回転体22に接続されたラム軸連結部35は、第1径方向のうち所定方向つまりストローク方向Sに沿って、往復直線運動する。
このようにして、本実施形態の往復直線運動機構10は、第1回転体21に入力された回転駆動力を、ストローク方向Sへの往復直線運動に変換してラム軸連結部35に出力する。これにより、ラム軸連結部35にラム軸3を介して連結されたパンチ2がストローク方向Sに往復直線運動させられる。パンチ2、ダイ8、カップホルダー6等によりカップ状体WにDI加工を施すことが可能になり、カップ状体WをDI缶100に成形することができる。
【0063】
そして本実施形態によれば、第2径方向から見て、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29が、互いに重なって配置される。すなわち、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29の各軸方向位置が、互いに同じであるので、往復直線運動機構10の軸方向寸法の嵩張りを抑えることができる。また外歯歯車23および内歯歯車16の各軸方向寸法についても、小さく抑えることが容易である。往復直線運動機構10の少なくとも軸方向の外形を小さく抑えることができ、かつ構造を簡素化できる。
【0064】
また本実施形態では、内歯歯車16および外歯歯車23が、第1軸受31、凹部28、第2軸受32および凸部29の軸方向一方側に配置される。
この場合、往復直線運動機構10の構造を簡素化しつつ、軸方向の外形をより小さく抑えることができる。
【0065】
また本実施形態では、内歯歯車16および外歯歯車23が、ハウジング15の軸方向一方側の開口部に位置する。
この場合、往復直線運動機構10の構造を簡素化しつつ、軸方向の外形をより小さく抑えることができる。
【0066】
また本実施形態では、軸方向から見て、外歯歯車23の一部と第1軸受31の一部とが、互いに重なる。
例えば本実施形態と異なり、第1軸受31が、軸方向から見て外歯歯車23と重ならずに、外歯歯車23よりも第1径方向の外側に配置される場合と比べて、本実施形態の上記構成によれば、第1軸受31の直径が小さく抑えられる分、往復直線運動機構10の第1径方向の外形を小さく抑えることができる。
【0067】
また本実施形態では、第2径方向から見て、第2軸受32がその軸方向全長にわたって、第1軸受31と重なって配置される。
この場合、第2軸受32の軸方向寸法が大きく確保されるため、第2軸受32に第2径方向から作用する荷重が分散されやすくなり、荷重が第2軸受32の軸方向の各位置で大きくばらつくことが抑制される。第2軸受32への負荷が軸方向において均等化されるため、第2軸受32の機能が良好に維持され、メンテナンス等の頻度を少なくすることができる。
【0068】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0069】
錘部51の形状は、前述の実施形態で説明した形状に限らない。
また特に図示しないが、錘部(第1錘部)51以外に、第2回転体22の頂壁部22bに接続される第2錘部が設けられてもよい。この場合、第2錘部は、第2径方向において、第2中心軸C2を間に挟んでラム軸連結部35とは反対側に位置する。第2錘部は、第2回転体22、凸部29およびラム軸連結部35が第2中心軸C2回りに回転する際の、第2周方向の回転バランスを良好に維持するためのいわゆるカウンターウェイトとして機能する。
【0070】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の缶成形装置の往復直線運動機構、および缶成形装置によれば、往復直線運動機構の外形を小さく抑えることができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0072】
1…缶成形装置、2…パンチ、3…ラム軸、6…カップホルダー、7…貫通孔、8…ダイ、9…端面、10…往復直線運動機構、15…ハウジング、16…内歯歯車、21…第1回転体、21d…第1回転体の軸方向一方側を向く面、22…第2回転体、22e…第2回転体の軸方向他方側を向く面、23…外歯歯車、28…凹部、29…凸部、31…第1軸受、32…第2軸受、35…ラム軸連結部、C1…第1中心軸、C2…第2中心軸
図1
図2
図3