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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030286
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】草刈装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/84 20060101AFI20220210BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A01D34/84
A01D34/64 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134176
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100102015
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA17
2B083CA03
2B083CA09
2B083CA28
2B083DA02
2B083HA03
2B083HA52
2B083HA53
2B083HA59
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構造で草刈装置の位置合わせを容易に行うことが可能な草刈装置を提供する。
【解決手段】第1基部材111と、該第1基部材111に一端側を回動自在に設け、作業面に対して平行方向に回動可能な平行リンク機構Bと、該平行リンク機構Bの他端側に設けるとともに、前記平行リンク機構Bを介して前記第1基部材111に対して水平移動可能な第2基部材112と、該第2基部材112に設け、作業面と交差する方向に向けた旋回軸12と、該旋回軸12を軸に旋回可能に設け、前記作業面に存在する障害物Wに接することが可能な第1作業アーム21と、前記第1作業アーム21とは別体に設け、且つ、前記第1作業アーム21とは独立して前記旋回軸12を軸に回動可能に設け、障害物Wに接したとき前記障害物Wを挟んで前記第1作業アーム21と対向配置した第2作業アーム31と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基部材と、
該第1基部材に一端側を回動自在に設け、作業面に対して平行方向に回動可能な平行リンク機構と、
該平行リンク機構の他端側に設けるとともに、前記平行リンク機構を介して前記第1基部材に対して水平移動可能な第2基部材と、
該第2基部材に設け、作業面と交差する方向に向けた旋回軸と、
該旋回軸を軸に旋回可能に設け、前記作業面に存在する障害物に接することが可能な第1作業アームと、
前記第1作業アームとは別体に設け、且つ、前記第1作業アームとは独立して前記旋回軸を軸に回動可能に設け、障害物に接したとき前記障害物を挟んで前記第1作業アームと対向配置した第2作業アームと、
を備えたことを特徴とする草刈装置。
【請求項2】
前記平行リンク機構は、作業アームが障害物に接触時に接触する障害物に近い側の前アームと障害物から離れた側の後アームとからなり、前記旋回軸は、前記第2基部材に取り付ける前記前アームの取り付け位置の方が、前記第2基部材に取り付ける前記後アームの取り付け位置よりも、近い、草刈装置。
【請求項3】
前記平行リンク機構は、展開位置と退避位置とに位置変更が可能であるとともに、前記第2基部材を前記第1基部材に対して前記展開位置側に常時付勢する第1弾性体と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の草刈装置。
【請求項4】
前記第1作業アームは、前記第1作業アームの回動を駆動するアクチュエータと、を備え、
前記第2作業アームは、第1作業アーム及び第2作業アームに架け渡して連結し、前記第2作業アームを前記第1作業アーム側に回動する側に常時付勢する第2弾性体と、
前記第2基部材に当接可能であるとともに回動を規制するストッパと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の草刈装置。
【請求項5】
前記平行リンク機構は、前記退避位置において、前記展開位置側に移動することを阻止することが可能な固定具と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の草刈装置。
【請求項6】
前記第2作業アームには、障害物を前記第1アーム側に相対移動させることができる案内部材と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の草刈装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、草刈装置に係る。
【背景技術】
【0002】
道路の路肩に存在する支柱等の障害物の周囲に植生している植物を刈る装置が、特許文献1「MOWING MACHINE」によって提案されている。
この装置は、車両等に接続された複数のブームからなるブーム体、このブーム体の先端に取り付けた第1および第2のアームからなる。第1および第2のアームのそれぞれには草刈機構が備えられていて、車両等から遠方に配置した第1および第2のアームによって障害物を挟み込むよう位置させ、垂直軸回りに旋回させることで、障害物の周囲に存在する植物を切断していくものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国公開特許2006/0026938A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1「MOWING MACHINE」に記載の装置では、障害物を第1および第2のアームで挟み込むために、適正な位置に合わせる必要がある。このため、第1および第2のアームをブーム体によって位置調整するために、作業者が目視操作する必要がある。第1および第2のアームは作業者から離れた遠方に位置させるために、これらを適正な位置に合わせることは困難となっている。さらに、この装置は車両に装着しているため、作業者は車両の操縦操作と、草刈装置の操作も併せて行う必要があり、操作が複雑になる課題がある。
また、ブーム体を有する草刈装置を装着した車両の重量バランスは、適正な範囲内に収めた方が良く、ブーム体の遠方の先端側に掛かる荷重は極力少なくすることが求められている。
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、簡易な構造で草刈装置の位置合わせを容易に行うことが可能な草刈装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、
第1基部材と、
該第1基部材に一端側を回動自在に設け、作業面に対して平行方向に回動可能な平行リンク機構と、
該平行リンク機構の他端側に設けるとともに、前記平行リンク機構を介して前記第1基部材に対して水平移動可能な第2基部材と、
該第2基部材に設け、作業面と交差する方向に向けた旋回軸と、
該旋回軸を軸に旋回可能に設け、前記作業面に存在する障害物に接することが可能な第1作業アームと、
前記第1作業アームとは別体に設け、且つ、前記第1作業アームとは独立して前記旋回軸を軸に回動可能に設け、障害物に接したとき前記障害物を挟んで前記第1作業アームと対向配置した第2作業アームと、
を備えたことを特徴とする草刈装置、
に係る。
【0006】
この発明は、更に、
前記平行リンク機構は、作業アームが障害物に接触時に接触する障害物に近い側の前アームと障害物から離れた側の後アームとからなり、前記旋回軸は、前記第2基部材に取り付ける前記前アームの取り付け位置の方が、前記第2基部材に取り付ける前記後アームの取り付け位置よりも、近い、草刈装置、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記平行リンク機構は、展開位置と退避位置とに位置変更が可能であるとともに、前記第2基部材を前記第1基部材に対して前記展開位置側に常時付勢する第1弾性体と、
をさらに備えたことを特徴とする草刈装置、
に係る。
【0008】
この発明は、更に、
前記第1作業アームは、前記第1作業アームの回動を駆動するアクチュエータと、を備え、
前記第2作業アームは、第1作業アーム及び第2作業アームに架け渡して連結し、前記第2作業アームを前記第1作業アーム側に回動する側に常時付勢する第2弾性体と、
前記第2基部材に当接可能であるとともに回動を規制するストッパと、
をさらに備えたことを特徴とする草刈装置、
に係る。
【0009】
この発明は、更に、
前記平行リンク機構は、前記退避位置において、前記展開位置側に移動することを阻止することが可能な固定具と、
をさらに備えたことを特徴とする草刈装置、
に係る。
【0010】
この発明は、更に、
前記第2作業アームには、障害物を前記第1アーム側に相対移動させることができる案内部材と、
をさらに備えたことを特徴とする草刈装置、
に係る。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、簡易な構造で草刈装置の位置合わせを容易に行うことが可能な草刈装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の第1実施例に係る草刈装置の平面図である。第1作業アーム、第2作業アームが受入可能姿勢を示す。図中左が進行方向前方、図中上が進行方向右側であり、走行機体側である。
図2】この発明の第1実施例に係る草刈装置の側面図である。図中奥が進行方向前方、図中上が進行方向右側であり走行機体側である。
図3】この発明の第1実施例に係る草刈装置の断面図である。図1のAA断面図である。
図4】この発明の第1実施例に係る草刈装置の平行リンク機構が展開位置を示した平面図である。説明上、第1基部材、第2基部材を断面であらわす。
図5】この発明の第1実施例に係る草刈装置の平行リンク機構が展開位置から退避位置に移行する途中を示した平面図である。説明上、第1基部材、第2基部材を断面であらわす。
図6】この発明の第1実施例に係る草刈装置の平行リンク機構が展開位置から退避位置に移行する途中であり、第1作業アームが第2作業アームに対し相対的に回動した途中の状態を示した平面図である。説明上、第1基部材、第2基部材を断面であらわす。
図7】この発明の第1実施例に係る草刈装置の平行リンク機構が展開位置から退避位置に移行する途中であり、第1作業アーム及び第2作業アームがともに第2基部材に対して回動した状態を示した平面図である。一部図示省略してある。
図8】この発明の第1実施例に係る草刈装置の平行リンク機構を完全に退避位置に移行させ、第1作業アーム及び第2作業アームが受入可能姿勢の状態を示した平面図である。一部図示省略してある。
図9】この発明の第1実施例に係る草刈装置を走行機体に装着する作業機に連結した状態をあらわす平面図である。
図10】この発明の第2実施例に係る草刈装置の平面図である。案内部材を第2作業アームに取り付けている。
図11】この発明の第3実施例に係る草刈装置を採用した平行リンクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
Aは、作業機Sとしての草刈装置である。草刈装置Aは、図9に図示するように1又は複数の草刈装置取付け用アームUにより、トラクタ等からなる走行機体Tに取り付けられる。
草刈装置Aは、ブーム装置等に連結される。ブーム装置(伸縮手段)は、特願2019-194694「作業機」、特願2020-14070「作業機」等と同様で、特願2020-84471「着脱機構及び着脱機構を備えた作業機」の連結機構によって連結する。なお、本願草刈装置Aが連結するのは、先願の特開2019-187386(特願2018-087440)「草刈装置」の図示と同様、例示のブーム装置(伸縮手段)だけとは限らない。
【0014】
草刈装置Aにおいて、11は基部材である。基部材11は、第1基部材111、第2基部材112からなる。21は第1作業アーム、31は第2作業アームである。Bは、平行リンク機構である。
第1作業アーム21及び第2作業アーム31は、複数の部材である、ブーム装置とも呼ばれる草刈装置取付け用アームUを介してトラクタ等からなる走行機体Tに装着し、草刈装置Aは走行機体Tの前方又は後方又は側方に位置して作業する。草刈装置取付け用アームUに取り付ける場合は、第1基部材111上に設けた連結部61によって、草刈装置取付け用アームUの先端部に連結する。
【0015】
草刈装置Aは、複数の草刈装置取付け用アームUを介して走行機体Tの側方に位置させて装着する場合、あるいは、走行機体Tの左右に移動可能な草刈装置取付け用アームUを介して走行機体Tの後方及び側方に位置させて装着する場合、あるいは、左右に移動可能な草刈装置取付け用アームUを介して走行機体Tの後方及び側方に位置させて装着する場合の選択が可能である。さらには、草刈装置取付け用アームUを介せずに、走行機体Tあるいは走行機体Tが有する3点リンク昇降装置等に直接、草刈装置Aを装着してもよい。
草刈装置Aは、鋏状に回動可能に設けた第1作業アーム21及び第2作業アーム31の間に、障害物Wを挟むことが可能であるとともに、第1作業アーム21及び第2作業アーム31のそれぞれが回動して作業を行うことが可能である。鋏状となった第1作業アーム21及び第2作業アーム31の回動支点軸から離れた先端側は進行方向に向けられる。例示する第1作業アーム21及び第2作業アーム31の先端側は円弧状に湾曲している。
【0016】
基部材11は、草刈装置Aに設ける。第1基部材111(11)は、平行リンク機構Bの走行機体T側に取り付ける。第2基部材112(11)は、平行リンク機構Bの先端側の一端に設ける。第2基部材112(11)は、平行リンク機構Bを介して平行リンク機構Bの他端側に設けた第1基部材111(11)に対して水平移動可能である。
【0017】
12は、旋回軸である。旋回軸12は、第2基部材112に設け、作業面と交差する方向に向けた鉛直方向の軸からなる。第1作業アーム21及び第2作業アーム31のそれぞれは、旋回軸12を支点軸にして水平回動が可能である。また、第1作業アーム21及び第2作業アーム31の回動の姿勢状態に応じて、受入可能姿勢及び排出可能姿勢を設ける。これらの姿勢についての説明は後述する。
15は、ストッパである。ストッパ15は、第2作業アーム31に備える。
16は第1金具、17は第2金具である。第1金具16、第2金具17は、互いに連結させるとともに旋回軸12の周囲の第2基部材112(11)と第1作業アーム21を連結するように取り付ける。第1金具16及び第2金具17は、第1作業アーム21の旋回軸12を軸にした回動に伴い、それぞれ連結しながら旋回軸12の周囲近傍で回動する。
【0018】
旋回軸12は、第2基部材112(11)に取り付ける後アーム13Bの取り付け位置よりも、第2基部材112(11)に取り付ける前アーム13Aの取り付け位置の近くに設ける。すなわち、旋回軸12は第2基部材112(11)に対する前方側に位置するので、旋回軸12に連結する第1作業アーム21及び第2作業アーム31の先端部は、より前方側に位置させることができる。
したがって、図9に示す第1実施例のように、走行機体Tの後方に装着した草刈装置取付け用アームUの先端部に草刈装置Aを装着した場合、第1作業アーム21及び第2作業アーム31の先端部は、より前方側に位置する。このため、草刈装置Aの先端部を、走行機体Tに搭乗して草刈装置Aを操作する作業者に対して、進行方向に対する幅方向の側方に位置させることが可能となる。作業者Pは、障害物Wと第1作業アーム21及び第2作業アーム31との相対的な位置関係が把握のために後方を振り向くことがないため、位置合わせが容易となる。
また、図6に示すように、第1作業アーム21及び第2作業アーム31の間に位置し、且つ、支点軸12の近傍に位置に二点鎖線で示す障害物Wがある状態でも、作業者から障害物Wが第2基部材112(11)や平行リンク機構Bに妨げられずに視認でき、作業中でも障害物Wの草刈装置Aに対する位置関係の把握が容易である。
【0019】
平行リンク機構Bの平行リンクは、作業アームが障害物に接触時に接触する障害物Wに近い側の前アーム13Aと、障害物Wから離れた側の後アーム13Bとからなる。平行リンク機構Bは、第1基部材111(11)に一端側を、他端側を第2基部材112(11)に回動自在に設け、作業面に対して平行方向に回動可能である。すなわち、第2基部材112(11)は、第1基部材111(11)に対して平行移動が可能である。平行リンク機構Bは、前アーム13A及び後アーム13Bの回動位置によって、展開位置あるいは退避位置を有する。これらの位置についての説明は後述する。
【0020】
平行リンク機構Bは、後述する展開位置において、第1基部材111(11)から進行方向に対する左右の外側に向けられている。これにより、障害物Wに第1作業アーム21及び第2作業アーム31が接触した場合、第1作業アーム21及び第2作業アーム31は障害物Wを第1作業アーム21と第2作業アーム31の間で挟むように、後方及び進行方向に対する幅方向の内側である走行機体T側に、受動的に水平移動または地面に対して平行移動することができる。
【0021】
第1作業アーム21及び第2作業アーム31の向き等の姿勢における受入可能姿勢とは、図1に実線であらわす第1作業アーム21および第2作業アーム31のように、また、図7に2点鎖線であらわす第1作業アーム21および第2作業アーム31のように、障害物Wに接触せずに第1作業アーム21及び第2作業アーム31の先端部が前方を向いている姿勢のことをいう。受入可能姿勢における平行リンクBの姿勢状態である、後述する展開位置あるいは退避位置のそれぞれの位置の状態は問わない。
第1作業アーム21及び第2作業アーム31の向き等の姿勢における排出可能姿勢とは、第1作業アーム21及び第2作業アーム31が障害物Wと接触し、受入可能姿勢から水平方向に反転回動している姿勢のことをいう。
【0022】
排出可能姿勢は、図7に2点鎖線であらわす第1作業アーム21及び第2作業アーム31の受入可能姿勢以外の、第1作業アーム21及び第2作業アーム31が完全に後方に向くまでの間の姿勢状態をいう。図6に示すように第1作業アーム21のみが進行方向に対する後方側に回動した状態も排出可能姿勢である。排出可能姿勢における平行リンクBの姿勢状態である、後述する展開位置あるいは退避位置のそれぞれの位置の状態は問わない。
【0023】
平行リンク機構Bの展開位置とは、平行リンク機構Bが備える第1作業アーム21及び第2作業アーム31のアームを進行方向に対する幅方向の外側側方に展開させた状態であり、すなわち、図1図4図7にあらわす状態をいう。
平行リンク機構Bの退避位置とは展開位置から第1作業アーム21及び第2作業アーム31を進行方向に対する幅方向の内側に移動した状態であり、図5図6図8にあらわす状態をいう。
【0024】
第1実施例の場合、展開位置における第2基部材112(11)と連結する平行リンク機構B他端である第1基部材111(11)は、平行リンク機構B回動支点である旋回軸12一端側より、進行方向に対する幅方向の側方、且つ、やや後方側に位置している。具体的に述べると、展開位置での前アーム13A及び後アーム13Bは、進行方向に対する左右に対して、後方へ20度角乃至30度角程度に傾斜させて配置している。
障害物Wと作業アーム(第1作業アーム21及び第2作業アーム31)が接触した初期段階では、後方に移動する成分が大きくなるように設けている。
障害物Wと作業アーム(第1作業アーム21及び第2作業アーム31)の接触後、平行リンク機構Bの円運動によって、幅方向に移動する成分を大きくするように設ける。
平行リンク機構Bの展開位置から待避位置に移動する限界位置である格納位置での前アーム13A及び後アーム13Bは、進行方向に対する左右に対して、後方へ70度角乃至80度角程度まで傾斜することができる。したがって、第1作業アーム21及び第2作業アーム31は、平行リンク機構Bによって展開位置から格納位置まで第1基部材に対して平行移動が自在である。
【0025】
第1作業アーム21及び第2作業アーム31が障害物Wと接触開始時の衝撃を、平行リンク機構Bが後方に移動する退避位置に移行することで、緩和する。第1基部材111(11)、引いては、これに連結する草刈装置Aに、障害物Wと接触開始時、第1作業アーム21及び第2作業アーム31に衝撃を与えることがない。
また、平行リンク機構Bの後方移動によって、障害物Wは第2作業アーム31に走行機体Tの進行に伴う強制的な押圧を回避できる。その結果、障害物W、第2作業アーム31を含む作業機S全体の保護ができる。
【0026】
13A1は、孔である。孔13A1は、前アーム13Aの中間部に設ける。
13B1は、孔である。孔13B1は、後アーム13Bの第1基部材111(11)付近に設ける。
【0027】
図8に図示する43は、固定具である。固定具43はピン状部材であり、平行リンク機構Bに備える。
第1実施例の場合、平行リンク機構Bを構成する前アーム13Aと後アーム13Bとを接触させ、後アーム13Bの回動支点部に設けた孔13B1と、前アーム13Aの長手方向の中間位置に設けた孔13A1を合わせて、固定具43を差し込むことで、第2基部材112(11)を最も走行機体T側に寄せた退避位置での固定が完了する。平行リンク機構Bの退避位置の内、固定具43で平行リンク機構Bの移動を固定した位置を格納位置と呼ぶ。
【0028】
固定具43は、平行リンク機構Bが退避位置の内、格納位置をとるときにおいて、展開位置側に移動することを阻止することが可能である。
平行リンク機構Bが備える固定具43によって、平行リンク機構Bを退避位置の内の格納位置で固定することができる。これにより、平行リンク機構Bは退避位置から展開位置に移動せず、幅方向への長さを短縮できるので、草刈装置Aは作業時以外の移動走行時に邪魔にならない。
【0029】
41は、第1弾性体である。第1弾性体41は、平行リンク機構Bの後アーム13Bの側部に設ける。
第1弾性体41はガススプリング、コイルバネ等からなり、第1実施例においてはガススプリングを採用している。第1弾性体41は、図1以下に図示するように、両端を第1基部材111(11)と後アーム13Bの第2基部材112(11)側とに取り付ける。
【0030】
第1弾性体41は、平行リンク機構Bを、展開位置と退避位置とに位置変更が可能であるとともに、第2基部材112(11)を第1基部材111(11)に対して展開位置側に常時付勢する。
第1弾性体41によって、平行リンク機構Bは常時、進行方向に対する前方及び外側側方に付勢されている。障害物W等に接触していない状態の平行リンク機構Bは、展開位置に復帰して、進行と共に接近する障害物Wを待ち構えることができる。
【0031】
第1弾性体41は回動軸12の後方側に配置するので、前進に伴って接近する障害物等に直接接触しない。
42は、第2弾性体である。第2弾性体42はガススプリング、コイルバネ等からなり、第1実施例においてはガススプリングを採用している。第2弾性体42は、第1作業アーム21及び第2作業アーム31に架け渡して連結し、第2作業アーム31を第1作業アーム21側に回動する側に常時付勢する。
【0032】
すなわち、第2弾性体42は、第1作業アーム21及び第2作業アーム31が互いに接近する方向に常時付勢している。そのため、第1作業アーム21及び第2作業アーム31が、障害物Wに接触しながら草刈作業をすることができ、障害物W周囲の植物を確実に刈ることができる。
第2弾性体42は、障害物Wが第1作業アーム21と第2作業アーム31で挟まれる内側ではない、第2作業アーム31の外側に設ける。このため、第1作業アーム21と第2作業アーム31で障害物Wを挟んで作業を行う場合において、第2弾性体42が障害物と接触することがない。
【0033】
第1作業アーム21、第2作業アーム31は、それぞれ略板状体からなる。
第1作業アーム21、第2作業アーム31は、図2図3に図示するように、積層して、基部材112(11)に取り付けた旋回軸12を軸として水平方向に旋回可能に、第2基部材112(11)に取り付ける。第1作業アーム21及び第2作業アーム31は、それぞれ先端側に刈刃用モータ242,342で回転駆動する第1刈刃部24及び第2刈刃部34を設けている。第1作業アーム21、第2作業アーム31は、作業面に存在する障害物Wに接しながら第1刈刃部24及び第2刈刃部34で草刈り作業をすることが可能である。
第2作業アーム31は、第1作業アーム21とは別体に設け、且つ、第1作業アーム21とは独立して旋回軸12を軸に回動可能に設け、障害物Wに接したとき障害物Wを挟んで第1作業アーム21と対向配置する。
【0034】
第1作業アーム21は、第1作業アーム21の回動を駆動する動作手段である動作手段(アクチュエータ、シリンダ)14を備える。
動作手段14は、この実施例ではアクチュエータ、油圧シリンダからなる。動作手段14は、基部材11に取り付ける。第1実施例において、動作手段14は第2基部材112の後方部に取り付けている。141は、動作手段14先端に設けるロッドである。ロッド141は、油圧シリンダである動作手段14により伸縮する。動作手段14は、第1作業アーム21を旋回駆動する。
【0035】
動作手段(アクチュエータ、シリンダ)14は、ロッド141を伸縮して、第1金具16および第2金具17を介することによって、第1作業アーム21を回動させる。
第1作業アーム21は、旋回軸12を軸に旋回可能に設けているので、作業面に存在する障害物Wに接することによって旋回動作が可能である。
【0036】
第2作業アーム31に備えるストッパ15は、動作手段14で回動駆動する第1作業アーム21に接触した第2作業アーム31の回動を規制する。
ストッパ15は、受入可能姿勢における第1作業アーム21及び第2作業アーム31の位置を安定的に維持することができ、作業者が障害物Wと第2作業アーム31との接触位置を適正位置に調整することが容易である。
ストッパ15は、第2基部材112(11)に当接可能であるとともに回動を規制する。図1図4図5乃至図8に示すように、ストッパ15は、第2基部材112(11)の前端部に当接して、第2作業アーム31が第1作業アーム21から離反を図る方向である、走行機体T側への移動を規制するので、受入可能姿勢を維持可能である。
【0037】
油圧シリンダにより伸縮する動作手段14のロッド141による作動は、ストッパ15で規制されるまでの移動可能な範囲に、第1作業アーム21及び前記第2作業アーム31の作動を規制する。
ストッパ15は、受入可能姿勢及び受入可能姿勢時の第1作業アーム21と第2作業アーム31との開口角度を鋭角に保つので、草刈装置Aの作業域が不必要に広がることがなく、円滑に草刈作業を行うことができる。
【0038】
23は、当接部である。当接部23は、第1作業アーム21の旋回軸12と作業部である第1刈刃部24との間に設ける。当接部23は、凹状に設ける。当接部23に到達した障害物Wは、当接部23を押圧することによって、第1作業アーム21を後方側に回動させる。
24は、第1刈刃部である。第1刈刃部24は、刈刃あるいは刈刃部あるいは作業部である。第1刈刃部24は、第1作業アーム21の下部に取り付ける。第1作業アーム21は、1つ以上の刈刃部を下部に有する。
【0039】
第2作業アーム31は、1つ以上の刈刃部を下部に有する。この実施例では、第2刈刃部34を第2作業アーム31下部に有する。第2刈刃部34は、第2作業アーム31の旋回軸12近くに設ける。
第2刈刃部34は、刈刃あるいは刈刃部あるいは作業部である。
【0040】
第1作業アーム21、第2作業アーム31は、旋回軸12を軸として水平方向に旋回可能に第2基部材112(11)に取り付けており、第1刈刃部24及び第2刈刃部34は、水平移動可能である。
そのため、第1作業アーム21と第2作業アーム31の、それぞれ対向する内側で障害物Wを挟みながら、第1刈刃部24及び第2刈刃部34によって、障害物Wの全周囲の草を刈る。
【0041】
第2作業アーム31には、第2作業アーム案内部を設けてもよい。第2作業アーム案内部は、第2作業アーム31の先端部から第1作業アーム21側に沿った辺の下面に設ける。障害物Wと接触するため、辺を補強している。第2作業アーム案内部は、第1作業アーム21側に設けられた第1作業アーム案内部26に対向させて設ける。
第2作業アーム案内部は、進行方向に対して後方で前記第1作業アーム21側に傾斜させて障害物Wを当接部23に誘導する。
第1作業アーム21と第2作業アーム31は取り付け端である旋回軸12で重ねて取り付けている。そのため、第1作業アーム21に取り付けた第1作業アーム案内部と、第2作業アームに取り付けた第2作業アーム案内部は、上下に配置させている。
【0042】
241、341は、それぞれ刈刃である。刈刃241は第1刈刃部24の回転軸に、刈刃341は第2刈刃部34の回転軸に等間隔に4個ずつ設ける。なお、第1刈刃部24及び第2刈刃部34が有する刈刃241,341の個数に限定はない。
図1及び図2に図示するように、進行方向から見た第1刈刃部24、第2刈刃部34に設けたそれぞれの刈刃241、刈刃341は、水平方向に回転する。
【0043】
242、342は、油圧モータである。油圧モータ242は、第1作業アーム21が備えるモータ基部の、第1刈刃部24の回転中心軸上に取り付ける。
油圧モータ342は、第2作業アーム31が備えるモータ基部の、第2刈刃部34の回転中心軸上にそれぞれに設ける。
油圧モータ242、油圧モータ342は、第1刈刃部24、第2刈刃部34にそれぞれに設けた、刈刃241、刈刃341を回転する。
【0044】
5は検知部である。検知部5は、作業部である第1刈刃部24に近接して設けるともに、図1以下に図示するように、作業部である第1刈刃部24の側方に突出するように位置させ、側部が障害物Wに接触することによって、障害物を検知することが可能である。
51は、センサアームである。センサアーム51は、検知部5に設ける。センサアーム51は、接触センサであって、第1作業アーム21の前方外周に沿って設ける。
【0045】
センサアーム51は、第1センサアーム511と、第2センサアーム512とからなる。検知部5を構成する第1センサアーム511と、第2センサアーム512は、水平回動可能に設ける。
図1図4乃至図8図10図11に図示するように、第1センサアーム511は、一端は第1作業アーム21の進行方向左側である外側に取り付ける。第2センサアーム512は、一端は第1センサアームの第1作業アーム21への取り付端より第1作業アーム21の障害物Wが通過する側である内側に取り付ける。
【0046】
第1センサアーム511と、第2センサアーム512は、一部重複して設置する。第1センサアーム511は、進行方向左側である外側端部に設けた回動支点軸511aで、第2センサアーム512は進行方向左側である外側端部に設けた回動支点軸512aによって、それぞれ水平方向に回動自在である。
図1に示すように、障害物Wを非検知状態のセンサアーム51である第1センサアーム511、第2センサアーム512は、平面視において、作業部である第1刈刃部24から外側に突出した状態である。
【0047】
検知部5のセンサアーム51を、第1センサアーム511、第2センサアーム512の複数で構成することによって、第1センサアーム511の回動支点軸511aから離れた先端部と作業部である第1刈刃部24との離間距離を一定以内に保ちながら、検出精度を向上させることができる。
センサアーム51の先端部は、作業部である第1刈刃部24と一定の距離以内に保てるので、作業部である第1刈刃部24から一定の距離内で障害物を検知することができる。
【0048】
スイッチ52は、第1センサアーム511の回動支点軸511aの近傍に設ける当接片53に接触可能に検知部5に設ける。
スイッチ52は当接片53に接触することで、センサアーム51が回動したか否かの信号を発することが可能である。
センサアーム51が備える当接片53は、所謂カム片からなる。当接片53は、第1センサアーム511と共に、回動自在であり、スイッチ52に接触可能である。
【0049】
54は、付勢体である。付勢体54は、検知部5に設ける。付勢体54は、センサアーム51を、作業部である第1刈刃部24の回転軸に対する放射方向外側の側方に向けて付勢する。
55は、連結部である。連結部55は、摺動部551と、ピン552とからなる。摺動部551は、一方のセンサアームである第1センサアーム511に長孔状に形成する。
【0050】
連結部55は、センサアーム51である第1センサアーム511の一端部を、第2センサアーム512の中間部に連結する。連結部55によって、第1センサアーム511の一端部と、第2センサアーム512の中間部を連結する。
ピン552は、摺動部551に向けて突出させるように他方のセンサアームである第2センサアーム512に設け、摺動部551に嵌合する。ピン552は、摺動部551に設けた長孔の範囲で、摺動部551に対して摺動可能である。
【0051】
摺動部551は長孔状であり、第1センサアーム511に設ける。摺動部551は長径方向に向かうにつれて、第1センサアーム511の回動支点軸511aから遠くなるように設ける。他のセンサアームである第2センサアーム512に設けたピン552は、摺動部551の長孔内周を摺動することによって、互いのセンサアーム511、512の回動を連動させることができる。なお、摺動部551の形状や、摺動部551及びピン552の位置は、検知感度や作業部である第1刈刃部24の形状等を勘案し、自由に設定ができる。
【0052】
56は、湾曲部である。湾曲部56は、作業部である第1刈刃部24に沿って湾曲するように、センサアーム51に形成する。
湾曲部56の外側の側面は、前記検知部5が検知状態の平面視において、作業部である第1刈刃部24の側面の外周縁に大略一致するように位置するように設ける。または、作業部である第1刈刃部24の側面の外周縁より内側に位置するように設ける。
【0053】
平面視における、第1作業アーム21の先端部は第1刈刃部24を覆うように設けているため、第1刈刃部24は第1作業アーム21から突出することがなく、障害物Wに第1刈刃部24が接触することがない。実施例の場合、第1作業アーム21の先端部は円弧状に湾曲しているので、第1作業アーム21の外周縁が障害物Wに接触しながら回動することで、障害物Wをスムーズに当接部23へ案内できる。
【0054】
障害物Wがセンサアーム51に接触且つ押圧した検知状態のとき、第1作業アーム21の外周縁と一致あるいは作業部である第1刈刃部24の側面の外周縁より内側に位置する。すなわち、第1刈刃部24が障害物Wに可能な限り接近した位置で作業をすることができる。また、第1作業アーム21と第2作業アーム31で挟まれて当接部23に向かう障害物Wが作業部である第1刈刃部24の側方を通過する場合において、検知状態のセンサアーム51が作業部から側方に突出しないので、作業部の障害物Wへの可及的な接近を阻害しない。したがって、センサアーム51が邪魔をすることなく、障害物Wの周囲に生える草を障害物Wに可能な限り近接させて刈ることができる。
【0055】
第1実施例の第1作業アーム21において、当接部23に向かう障害物Wが作業部である第1刈刃部24の側方を通過するときに、障害物Wへ接触するのは第1作業アーム21のみ、あるいは、第1作業アーム21及びセンサアーム51である。このため、障害物Wを、第1作業アーム21の外周に沿って、当接部23に案内できる。
【0056】
水平回動するセンサアーム51に湾曲部34を備えているので、センサアーム51が取り付けられている第1作業アーム21の外周縁が湾曲した状態でも、この湾曲に沿ってセンサアーム51を配置できる。また、検知状態の平面視において、作業部である第1刈刃部24の端縁にほほ一致するように配置させることができるので、センサアーム51が作業部である第1刈刃部24から障害物W方向に突出することがなく、センサアーム51及び障害物Wに過大な押圧力が加わることを防止できる。
複数のセンサアームで構成したセンサアーム51の回動支点から離れた先端において、1つのセンサアームのみで構成したときに比べ、大きく外側に突出することがないので、設置する場所が小さくて済む。スペースを有効的に活用でき、適正な部品配置をすることができる。
【0057】
センサアーム51に障害物Wが接触すると、センサアーム51が後方に回動する。すると、センサアーム51後方に設置しているスイッチは、当接片を介して押され、スイッチオン状態とする。
センサアーム51は、この実施例では、第1作業アーム21の前方外周に沿って設けたが、第2作業アーム31の前方外周に沿うように併せて設けて、同様の作用を行っても良い。
【0058】
検知部5のセンサアーム51は、第1センサアーム511、第2センサアーム512の複数で構成する。しかし、互いのセンサアーム51である第1センサアーム511、第2センサアーム512は連結構造を取っているため、信号を発するスイッチは1個のみの配置で済む。そのため、信号を送る配線や回路、及び、この信号を処理する制御部の内部プログラムを簡素化できる。
また、複数のセンサアーム51の連結により、センサアームの先端部の回動に係る移動距離が短縮できる。障害物Wが接触・押圧して各センサアーム51が回動した場合に、各回動支点部511a,512aから障害物Wが押圧した位置までの距離の差によって生じるスイッチの検精度のばらつきを、可能な限り小さくでき、障害物Wの検出の確実性を向上させる。
【0059】
第1センサアーム511の回動は、連結部55を介することによって、他のセンサアームである第2センサアーム512に連動して伝達され、他のセンサアームである第2センサアーム512も同様に同方向に回動する。また、他のセンサアームである第2センサアーム512に障害物Wが押圧して第2センサアーム512が回動する場合は、連結部55を介することによって、他のセンサアームである第2センサアーム512の回動が第1センサアーム511に伝達され、第1センサアーム511も同様に同方向に回動し、スイッチを作動させる。
【0060】
各センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)の回動は水平方向に回動し、且つ、水平方向に互いの一部を重複させながら重ねて複数配置している。センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)同士の水平方向の隙間や段差がなくなるため、障害物Wが挟まったり、引っ掛かったりすることがない。
本願発明第1実施例は、センサアーム51に対し、障害物Wが水平方向に摺動しながら作業をするため、この点は重要である。
【0061】
第1作業アーム21及び第2作業アーム31を受入可能姿勢から排出可能姿勢あるいは排出可能姿勢から受入可能姿勢に旋回させるためには、動作手段14のロッド141を伸縮動作させる。このようなロッド141の作動の制御に、センサアーム51を使用する。
動作手段14のロッド141の伸縮によって、第1作業アーム21ひいては第2作業アーム31を障害物Wの周囲で回転動作させて、障害物Wへのアーム衝突による損傷を防ぐ。
センサアーム51は障害物Wに対して装置側が能動的に旋回する為の感知機構となる。
【0062】
草刈装置Aの作動を説明する。図1乃至図9に図示するように、草刈装置Aは、走行機体Tに進行方向前方側に押されあるいは引っ張られて駆動され草刈りをする。作業中には、障害物Wが存在する場合がある。
第1弾性体41は、第2作業アーム31を第1作業アーム21に寄せる方向に付勢しているため、第1作業アーム21と第2作業アーム31とは近接され、両者間の先端部は閉鎖されている。また、第1作業アーム21は動作手14によって先端部を前方に向けられる。同時に第2作業アーム31は、第1作業アーム21に押されるので第2弾性体42の付勢力に抗して前方に向けられる。したがって、第1作業アーム21及び第2作業アーム31は、受入可能姿勢を取っている状態である。
【0063】
通常の草刈作業状態では、図1図4に図示するように、第2作業アーム31を第1作業アーム21に寄せる方向に付勢する第1弾性体41は伸びている。このとき、動作手段14のロッド141は、伸状態を取っている。
センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)は、障害物Wに接触しておらず、障害物Wを感知していない。
第1作業アーム21、第2作業アーム31、センサアーム51は、このような状態をとって受入可能姿勢となり、走行機体Tは、草刈装置Aを進行方向前方に移動させる。
【0064】
草刈装置Aは、進行中に障害物Wがあると、図4乃至図8に図示するように障害物Wが第2作業アーム31に当接する。
【0065】
この発明の第1実施例に係る草刈装置Aの平面図である図4では、平行リンク機構Bが通常状態であり、障害物Wと第2作業アーム31が当接した瞬間をあらわしている。障害物Wは、適正な位置でない位置に当接している。図4に例示する第1実施例の場合、障害物Wは第1作業アーム21の刈刃241回転軸上に配置した油圧モータ242と、第2作業アーム31の刈刃341回転軸上に配置した油圧モータ342の間であって、且つ、第2作業アーム31の先端部に当接した状態を示している。
【0066】
図4に図示する状態から、走行機体Tが進行速度を維持したまま走行すると、この発明の第1実施例に係る草刈装置の平面図である図5に図示する状態となる。図5は、障害物Wと第2作業アーム31が当接し、その後、平行リンク機構Bが平行移動して退避状態に移行する途中の状態である。
平行リンク機構Bは、障害物Wが第2作業アーム31を相対的な後方側に押圧することによって、第2基部材112(11)側が、進行方向後方に移動し、展開状態から退避状態に移動する。障害物Wの接触に伴う平行リンク機構Bの作動によって、障害物Wに対して第2作業アーム31が相対的に左右方向の一側に受動的に移動し、障害物Wが第1作業アーム21と第2作業アーム31の間に位置する。
【0067】
図5に図示するように、走行機体Tは、進行速度を維持したままであるので、第1基部材111(11)は、走行機体Tと共に前進を続行する。平行リンク機構Bの他端部は、第2基部材112(11)と共に、第1基部材111(11)に対して、行方向の後方且つ内側に平行移動しながら、第1作業アーム21、第2作業アーム31の略中間の位置に障害物Wを位置させる。
第1弾性体41は、常時第2基部材112(11)を前進及び左方向である展開位置に戻す向きに付勢しているので、障害物Wは、第1作業アーム21又は第2作業アーム31に接触させることができ、刈刃241、刈刃341で障害物Wの周囲の植物を刈ることができる。
障害物Wが第1作業アーム21に当接するとともに、障害物Wがセンサアーム51に接触して感知し、センサアーム51が後方に回動する。センサアーム51後方に設置しているスイッチ52を押し、スイッチオン状態とする。
【0068】
スイッチ52がオン状態をとると、動作手段14の油圧制御バルブの電磁弁を作動させて動作手段14のロッド141を短縮させる。以下ロッド141を短縮までの一連の作動の制御に、センサアーム51を使用する。
【0069】
図5に図示する状態から、走行機体Tが進行速度を維持したまま走行すると、図6に図示する状態となる。
図6に実線で図示する状態では、走行機体Tの進行による障害物Wの押圧によって、第1作業アーム21を外側に開き、障害物Wが第1作業アーム21と第2作業アーム31との間に位置した状態となる。図6に2点鎖線であらわす障害物Wは、走行機体Tの進行が進み、更に相対移動した位置である。図6に2点鎖線であらわす第1作業アーム21は、受入可能姿勢の位置である元の第1作業アーム21の位置である。
【0070】
障害物Wが、第1作業アーム21と第2作業アーム31の間に入り込むと、障害物Wによってスイッチ52がオン状態となり、動作手段14のロッド141を短縮させる。すると、図6に2点鎖線に示す状態から実線で図示するように、第1作業アーム21は、旋回軸12を旋回中心として第2作業アーム21から離れる方向に旋回する。
この時、第2弾性体42は短縮動作をするため、受入可能姿勢のときに比較して、反発力をさらに増加させた状態となる。図6に示すように、障害物Wが当接部23付近に相対移動すると、第2作業アーム31は第2弾性体42によって、実線で示す第1作業アーム21側に旋回移動する。
動作手段14のロッド141の短縮によって、第1作業アーム21、第1作業アーム21に連結する第2作業アーム31、を障害物Wの周囲で回転動作させて、障害物Wへのアーム衝突による損傷を防ぐ。
【0071】
図6に図示するように、第2弾性体42で、障害物Wを第1作業アーム21と第2作業アーム31の間に接触させるので、刈刃241、刈刃341で障害物Wの周囲の限りなく近い位置を刈ることができる。
障害物Wが、第1作業アーム21と第2作業アーム31の刈刃241、刈刃341の間を通過中は、第1弾性体41で第1作業アーム21と第2作業アーム31を障害物Wに対して前方に押し出す。第1弾性体41の展開位置側への付勢と走行機体Tの進行方向への進行の継続によって、障害物Wを当接部23あるいは旋回軸12付近に効率的に送り込むことができる。
その後、第1作業アーム21と第2作業アーム31の回動支点である旋回軸12側に障害物Wを相対移動させる。
【0072】
図6に図示するように、草刈装置Aは、第1作業アーム21と第2作業アーム31との間で障害物Wを挟んで更に進行する。すると、障害物Wが当接部23、センサアーム51(第1センサアーム511、第2センサアーム512)に当接する。同時に、障害物Wは旋回軸12側への移動を継続したのち、当接部23を押圧する。センサアーム51の押圧によって、スイッチ52がスイッチオン状態となって、第1作業アーム21が旋回軸12を回転中心として回転する。第1作業アーム21に連結する第2作業アーム31も、第2弾性体42の増加した反発力によって第1作業アーム21に連動して回転することができる。
【0073】
走行機体T、草刈装置Aは、更に進行する。走行機体Tの進行と共に、動作手段14のロッド141が更に縮むと、旋回軸12を回転中心として更に第1作業アーム21は、後方側に回転する。
第2作業アーム31は、旋回駆動可能となった第1作業アーム21に連結するので、第1作業アーム21に連動して旋回する。また、第2作業アーム31は、第1作業アーム21とは別に旋回自在であるが、第2弾性体42により第1作業アーム21側に付勢されているので、障害物Wを旋回軸12及び当接部23付近で挟みながら旋回する。
すると、障害物Wに接触した草刈装置Aの第1作業アーム21及び第2作業アーム31の先端部は、後方側を向く。
【0074】
図6に図示する状態から、走行機体Tが進行速度を維持したまま走行すると、図7に図示する状態となる。図7に実線で図示するのは、平行リンク機構Bを完全に展開側に復元した展開位置であり、第1作業アーム21及び第2作業アーム31が排出可能姿勢をあらわす。図7に2点鎖線であらわす第1作業アーム21及び第2作業アーム31は、受入可能姿勢をあらわす。
【0075】
図7に実線で図示するように、走行機体Tに進行に伴って相対的に障害物Wが、後方側を向いた当接部23を離れ、後方を向いた第1作業アーム21及び第2作業アーム31の先端部に向かう。
第1弾性体41は、第1作業アーム21及び第2作業アーム31に挟まれるとともに、旋回軸12及び当接部23付近に位置する障害物Wの相対位置に応じて、受動的に動作する平行リンク機構Bの動作によって、伸縮を行う。排出可能姿勢を、図7のように平行リンク機構Bが展開位置にあるものとして例示したが、平行リンク機構Bが展開位置にあるとは限らない。すなわち、平行リンク機構Bの位置によらずに、排出可能姿勢を形成することができる。
【0076】
排出可能姿勢において、走行機体Tの進行と共に、障害物Wは、第1作業アーム21及び第2作業アーム31から離脱する。離脱時において、障害物Wは、第2作業アーム31を押し退けて後方側に相対移動する。第2作業アーム31は第2弾性体42で付勢されているので、障害物Wが第2作業アーム31を押し退けた後は、再度第1作業アーム21側に回動する。
【0077】
障害物Wが、第1作業アーム21及び第2作業アーム31から離脱すると、センサアーム51は、障害物Wと接触しないため、障害物Wを感知しない。
センサアーム51で障害物Wを感知しなくなると、スイッチ52がオフ状態をとり、動作手段14のロッド141伸長させる。すると、第1作業アーム21は先端部を前方に向けた元の位置に復帰する。
第2作業アーム31は第2弾性体42の弾性力で、回転移動する第1作業アーム21に付随して第2作業アーム21も移動する。
【0078】
図8に図示するのは、平行リンク機構Bを完全に退避した時の退避位置である。固定具43で平行リンク機構Bを固定した完全退避状態(格納状態)では、固定具43によって、平行リンク機構Bの移動を規制するので、平行リンク機構Bが展開位置に復帰することはない。
【0079】
本発明の第1実施例では、第1作業アーム21、第2作業アーム31の回動支点軸である旋回軸12は同一軸で足る。
本願発明では、ロッド141の伸縮に合わせて第1作業アーム21を旋回させる。
第2作業アーム31は、あくまで第1作業アーム21に付随して第2弾性体42によって緩衝しながら旋回する。
図4のように、第2作業アーム31に障害物Wが当接することで平行リンク機構Bが可動するものとして説明したが、第1作業アームに障害物Wが当接しても平行リンク機構Bは同様に可動する。
第1作業アーム21及び第2作業アーム31の障害物Wへの進行方向左右に対する位置合わせは、第1作業アーム21及び第2作業アーム31への接触に伴う、平行リンク機構Bによる平行移動によって受動的に行われる。
【0080】
本発明の第1実施例の当接部23の前方側は第1作業アーム21及び第2作業アーム31が閉じられ閉鎖した閉鎖部Cを形成することができる。
走行機体Tを進行させながら動作手段14のロッド141の伸縮によって、第1作業アーム21ひいては第2作業アーム31を閉鎖部C内に位置する障害物Wの周囲で回転動作させて、障害物Wへのアーム衝突による損傷を防ぐ。
説明した実施例において、センサアーム51は第1センサアーム511、第2センサアーム512の2つで構成したが、さらに3つ以上のセンサアームを連結させて構成してもよい。この場合、各センサアームの先端部の回動に係る移動距離が短縮できるので、スイッチの検出精度のさらなる向上が期待できる。
【0081】
本発明の第1実施例では、ブーム装置Uの先端に位置する草刈装置Aが単独で、草刈装置Aが備える平行リンク機構Bによって、受動的に水平移動(または、作業面に対する平行移動)して、適正位置に位置合わせを行う。これによって、伸縮手段であるブーム装置Uを操作せずとも、草刈装置が単独且つ受動的に位置合わせを行うので、作業者は操作に係る負担が減り、軽労化につながる。
【0082】
本発明の第1実施例では、平行リンク機構Bによって、作業部を障害物Wに対する位置合わせのための駆動装置は省略できるので、位置合わせに係る構造を簡略化できるとともに、駆動装置等に係る重量を削減できる。結果として、草刈装置全体の重量を削減できるので、特に、伸縮手段に連結し、さらに車両に装着した際の、車両の重量バランスを良好に保つことができる。
【0083】
図10に図示するこの発明の第2実施例に係る草刈装置では、32は、案内部材である。案内部材32は、第2作業アーム31に設ける。案内部材32は、障害物Wを第1作業アーム21側に相対移動させることができる。
図10に平面図をあらわす第2実施例では、案内部材32によって、作業アーム(第1作業アーム21、第2作業アーム31)から右側に大きくずれた位置に障害物Wがあっても、障害物を第1作業アーム21と第2作業アーム31の間に案内することができる。
【0084】
第2作業アーム31に設ける案内部材32は、第2作業アーム31の前方に突出しているので、第2作業アーム近傍に障害物Wが位置する前に、障害物Wに対して予め、第1作業アーム21及び第2作業アーム31を適正な位置にさせる。案内部材32によって、左右の位置合わせを確実に行うことができる。図10に示す案内部材32の前端部は、作業部である第2刈刃部34の回転中心軸より、外側である走行機体T側の側方へ突出させている。この側方への突出量に限定はなく、必要に応じて自由に設定ができる。また、案内部材32は第1作業アーム21の前端部に設けていてもよい。
【0085】
図11に図示する、第3実施例では、13Dは右アーム、13Cは左アームである。第3実施例では、左右に大きく揺動可能なので、障害物Wの進入範囲を大きくとることができる。更に、第2実施例の案内部材32を組み合わせると障害物Wの進入範囲をより大きくできる。
【0086】
第2実施例のように、平行リンク機構Bを、第1基部材111(11)に対して、後方に向かうにつれて進行方向幅方向外側に傾斜(後方斜め45度角乃至25度角)させて配置した場合は、第1作業アーム21及び第2作業アーム31を左右に大きく平行移動させることができる。これにより、障害物Wが左右方向に大きくずれている場合でも、障害物Wが確実に適正な位置になるように平行移動ができる。
【符号の説明】
【0087】
11 基部材
111 第1基部材
112 第2基部材
12 旋回軸
13 アーム
13A 前アーム
13B 後アーム
14 動作手段(アクチュエータ、シリンダ)
15 ストッパ
21 第1作業アーム
22 旋回規制手段ガイド(旋回規制手段)
23 当接部
24 第1刈刃部(刈刃、刈刃部、作業部)
31 第2作業アーム
32 旋回規制突起(旋回規制手段)
34 第2刈刃部(刈刃、刈刃部、作業部)
41 第1弾性体
42 第2弾性体
5 検知部
51 センサアーム
511 第1センサアーム
511a 第1センサアームの回動支点軸
512 第2センサアーム
512a 第2センサアームの回動支点軸
52 スイッチ
53 当接片
54 付勢体
55 連結部
551 摺動部
552 ピン
56 湾曲部
61 連結部
A 草刈装置
S 作業機
T 走行機体
W 障害物

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11