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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030307
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/675 20180101AFI20220210BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20220210BHJP
   F21S 41/26 20180101ALI20220210BHJP
   F21S 41/33 20180101ALI20220210BHJP
   F21S 41/365 20180101ALI20220210BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20220210BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20220210BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20220210BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20220210BHJP
   F21V 14/04 20060101ALI20220210BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20220210BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20220210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220210BHJP
【FI】
F21S41/675
F21S41/147
F21S41/26
F21S41/33
F21S41/365
F21S41/37
F21V7/09 200
F21V7/09 510
F21V7/24
F21V7/28
F21V14/04
F21W102:135
F21W103:60
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134220
(22)【出願日】2020-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆芳
(72)【発明者】
【氏名】本多 貴彦
(57)【要約】
【課題】回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、安価な構成で描画用配光パターンを形成可能とする。
【解決手段】回転式リフレクタ20として、6つの反射面22aを備えたリフレクタ本体22とこれを回転させるアクチュエータ30とを備えた構成とする。その上で、6つの反射面22aのうちいずれか1つを反射制御位置に選択的に配置することにより、その反射面22aからの反射光によって描画用配光パターンが形成される構成とする。その際、リフレクタ本体22として、6つの反射面22aの有効反射領域22a1~22a6の形状が互いに異なる構成とする。そして、リフレクタ本体22を60°ずつ回転させることにより、有効反射領域22a1~22a6の形状に応じた6種類の描画用配光パターンが形成されるようにする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、
上記回転式リフレクタは、複数の反射面を備えたリフレクタ本体と、上記リフレクタ本体を回転させるアクチュエータとを備えており、
上記リフレクタ本体は、上記アクチュエータの駆動により、上記複数の反射面のうちいずれか1つの反射面が、上記光源ユニットからの光を上記投影レンズへ向けて反射させる反射制御位置に選択的に配置され得るように構成されており、
上記リフレクタ本体は、上記複数の反射面として有効反射領域の形状が互いに異なる少なくとも2つの反射面を備えている、ことを特徴とする灯具ユニット。
【請求項2】
上記有効反射領域は、上記反射面の一部領域に鏡面処理を施すことにより形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の灯具ユニット。
【請求項3】
上記リフレクタ本体は、透明部材で構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の灯具ユニット。
【請求項4】
上記光源ユニットは、上記反射制御位置に対して上記投影レンズの光軸から外れたユニット前方側の位置から光を入射させるように構成されており、
上記リフレクタ本体は、上記反射制御位置に配置された反射面の有効反射領域が、上記光軸と直交する平面に対して上記光源ユニット側に傾斜するように形成されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の灯具ユニット。
【請求項5】
上記有効反射領域は、互いに間隔をおいて配置された複数の反射素子で構成されており、上記複数の反射素子は、上記光軸と直交する平面上において上記光源ユニット側に傾斜した状態で形成されている、ことを特徴とする請求項4記載の灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用の灯具ユニットとして、例えば「特許文献1」に記載されているように、空間光変調器で反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成されたものや、例えば「特許文献2」に記載されているように、回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」に記載された灯具ユニットは、空間光変調器において反射光の空間的な分布を制御することにより、車両前方路面等に描画用配光パターン(すなわち文字や記号等の描画を行うための配光パターン)を形成し得る構成となっている。
【0004】
また「特許文献2」に記載された灯具ユニットは、回転式リフレクタを回転させた状態で光源ユニットの点消灯制御を行うことにより、描画用配光パターンを形成し得る構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-91976号公報
【特許文献2】特開2014-216049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載された灯具ユニットのように空間光変調器を用いた構成とすれば、描画用配光パターンを精度良く形成することが可能となるが、高価な構成となってしまう。
【0007】
一方、上記「特許文献2」に記載された灯具ユニットのように回転式リフレクタを備えた構成とすれば、比較的安価な構成で描画用配光パターンを形成することが可能となるが、光源ユニットの点消灯制御が必要となるので、さらなる低コスト化を図ることは困難である。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、安価な構成で描画用配光パターンを形成することができる灯具ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、回転式リフレクタを採用した上で、その構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る灯具ユニットは、
回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、
上記回転式リフレクタは、複数の反射面を備えたリフレクタ本体と、上記リフレクタ本体を回転させるアクチュエータとを備えており、
上記リフレクタ本体は、上記アクチュエータの駆動により、上記複数の反射面のうちいずれか1つの反射面が、上記光源ユニットからの光を上記投影レンズへ向けて反射させる反射制御位置に選択的に配置され得るように構成されており、
上記リフレクタ本体は、上記複数の反射面として有効反射領域の形状が互いに異なる少なくとも2つの反射面を備えている、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「光源ユニット」は、光源からの出射光をそのまま回転式リフレクタに入射させるように構成されていてもよいし、光源からの出射光をリフレクタやレンズ等により制御した状態で回転式リフレクタに入射させるように構成されていてもよい。
【0012】
上記「回転式リフレクタ」は、アクチュエータの駆動により、リフレクタ本体を構成する複数の反射面のうちいずれか1つの反射面が反射制御位置に選択的に配置され得る構成となっていれば、その回転軸の向きや各反射面の具体的な形状等は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「有効反射領域」とは、光源ユニットからの光を投影レンズへ向けて反射させる機能を有する領域を意味するものであって、その具体的な形状は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る灯具ユニットは、回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、回転式リフレクタは複数の反射面を備えたリフレクタ本体とこれを回転させるアクチュエータとを備えているので、アクチュエータを駆動して複数の反射面のうちいずれか1つの反射面を反射制御位置に選択的に配置することにより、反射制御位置に配置された反射面からの反射光によって描画用配光パターンを形成することができる。
【0015】
その際、リフレクタ本体は、複数の反射面として有効反射領域の形状が互いに異なる少なくとも2つの反射面を備えているので、リフレクタ本体を所定角度回転させることにより、有効反射領域の形状に応じた複数種類の描画用配光パターンを形成することができる。しかもこれを、リフレクタ本体を所定角度回転させるだけの安価な構成により実現することができる。
【0016】
このように本願発明によれば、回転式リフレクタで反射した光源ユニットからの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニットにおいて、安価な構成で描画用配光パターンを形成することができる。
【0017】
上記構成において、さらに、有効反射領域の構成として、反射面の一部領域に鏡面処理を施すことにより形成されたものとすれば、明瞭な輪郭を有する描画用配光パターンを形成することができる。
【0018】
その際、上記「反射面の一部領域」は、描画用配光パターン自体を形成するための領域であってもよいし、描画用配光パターンを中抜き形状で形成するための領域であってもよい。
【0019】
このような構成を採用した上で、リフレクタ本体が透明部材で構成されたものとすれば、鏡面処理が施されていない領域に到達した光源ユニットからの光をリフレクタ本体に入射させてこれを透過させることができ、これによりリフレクタ本体が不用意に加熱されてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0020】
上記構成において、さらに、光源ユニットとして、反射制御位置に対して投影レンズの光軸から外れたユニット前方側の位置から光を入射させるように構成されたものとした上で、リフレクタ本体として、反射制御位置に配置された反射面の有効反射領域が、投影レンズの光軸と直交する平面に対して光源ユニット側に傾斜するように形成された構成とすれば、有効反射領域からの反射光を効率良く投影レンズに入射させることができる。
【0021】
その際、有効反射領域として、互いに間隔をおいて配置された複数の反射素子で構成されたものとした上で、複数の反射素子として、投影レンズの光軸と直交する平面上において光源ユニット側に傾斜した状態で形成された構成とすれば、複数の反射素子の各々からの反射光によって形成される描画用配光パターンの構成要素を明瞭な輪郭で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願発明の第1実施形態に係る灯具ユニットを示す斜視図
図2図1のII方向矢視図
図3図1のIII 方向矢視図
図4図1のIV方向矢視図
図5図2のV-V線断面図
図6】上記灯具ユニットを斜め後方から見て示す斜視図
図7】上記灯具ユニットを主要構成要素に分解して示す斜視図
図8】上記灯具ユニットにおける回転式リフレクタの要部を示す斜視図
図9】上記灯具ユニットからの照射光により形成される描画用配光パターンを示す図
図10】上記灯具ユニットからの照射光により車両前方路面に形成される描画配光パターンを透視的に示す図
図11】本願発明の第2実施形態に係る灯具ユニットを示す、図3と同様の図
図12】上記第2実施形態を示す、図4と同様の図
図13】上記第2実施形態を示す、図5と同様の図
図14】上記第2実施形態に係る灯具ユニットを、その一部を分解して示す斜視図
図15】上記第2実施形態の変形例を示す図であって、(a)は本変形例に係る灯具ユニットにおける回転式リフレクタの要部を示す側断面図、(b)は(a)のb方向矢視図、(c)は本変形例に係る灯具ユニットからの照射光により形成される描画用配光パターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0024】
まず、本願発明の第1実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る灯具ユニット10を示す斜視図である。また、図2図1のII方向矢視図であり、図3図1のIII 方向矢視図であり、図4図1のIV方向矢視図であり、図5図2のV-V線断面図である。さらに、図6は、灯具ユニット10を斜め後方から見て示す斜視図であり、図7は、灯具ユニット10を主要構成要素に分解して示す斜視図である。
【0026】
これらの図において、Xで示す方向が「ユニット前方」であり、Yで示す方向が「ユニット前方」と直交する「左方向」(ユニット正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0027】
本実施形態に係る灯具ユニット10は、車載用の路面描画用ランプ(図示せず)の一部として構成されている。この路面描画用ランプは、車両の前端部に装着された状態で、灯具ユニット10からの照射光によって車両前方路面に描画用配光パターンを形成するように構成されている。
【0028】
図5に示すように、灯具ユニット10は、回転式リフレクタ20で反射した光源ユニット50からの光を、投影レンズユニット70を介してユニット前方へ向けて照射するように構成されている。
【0029】
回転式リフレクタ20、光源ユニット50および投影レンズユニット70は、共通のブラケット40に支持されている。このブラケット40は、金属製(例えばアルミダイカスト製)の部材であって、ユニット前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる鉛直面部40Aと、この鉛直面部40Aの下部領域においてユニット前方へ向けて延びる水平面部40Bとを備えている。
【0030】
灯具ユニット10は、上記路面描画用ランプの灯室内に収容された状態で、そのブラケット40において上記路面描画用ランプのランプボディ(図示せず)に支持されるように構成されている。
【0031】
なお、図1~7においては、灯具ユニット10を、その前後方向(すなわちユニット前後方向)が水平方向に延びるように配置された状態で示しているが、上記路面描画用ランプの灯室内に収容された状態では、車両前方路面に描画用配光パターンを形成するため、灯具ユニット10はユニット前方へ向けて斜め下向きの状態で配置されるようになっている。
【0032】
図4~6に示すように、回転式リフレクタ20は、6つの反射面22aを備えたリフレクタ本体22と、このリフレクタ本体22を回転させるアクチュエータ30とを備えた構成となっている。
【0033】
リフレクタ本体22は、アクチュエータ30の駆動により、6つの反射面22aのうちいずれか1つの反射面22aが、光源ユニット50からの光を投影レンズユニット70へ向けて反射させる反射制御位置に選択的に配置され得るように構成されている。
【0034】
図1~3に示すように、投影レンズユニット70は、ユニット前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ72と、この投影レンズ72を支持するレンズホルダ74とを備えており、レンズホルダ74においてブラケット40の水平面部40Bに支持されている。
【0035】
光源ユニット50は、投影レンズユニット70の下方に配置されている。
【0036】
光源ユニット50は、基板56に搭載された左右1対の光源(具体的には発光ダイオード)52と、各光源52からの出射光を回転式リフレクタ20のリフレクタ本体22へ向けて反射させるリフレクタ54とを備えている。
【0037】
図5に示すように、ブラケット40は、その鉛直面部40Aの後面が投影レンズ72の後側焦点Fよりも多少ユニット前方側に位置するように配置されている。このブラケット40の鉛直面部40Aには、横長矩形状の開口部40Aaが光軸Axを囲むようにして形成されている。この開口部40Aaは、ユニット正面視において、反射制御位置に配置された反射面22aよりもひと回り大きい開口形状を有しており、その全周にわたって鉛直面部40Aの後面から前面へ向けて斜面状に拡がるように形成されている。
【0038】
次に、回転式リフレクタ20の具体的な構成について説明する。
【0039】
図8は、回転式リフレクタ20の要部を示す斜視図である。
【0040】
図8にも示すように、回転式リフレクタ20のリフレクタ本体22は、6角柱状に形成されており、シャフト24に固定支持されている。
【0041】
図6に示すように、シャフト24は、光軸Axと直交するようにして水平方向に延びる軸線Ax1上に配置されており、リフレクタ本体22の左右両側の2箇所においてブラケット40の鉛直面部40Aに対して回転可能に支持されている。
【0042】
具体的には、シャフト24は、ブラケット40の鉛直面部40Aの後面からユニット後方側に突出するように形成された左右1対のシャフト支持部40Abと、これらに対してネジ締め等により固定された左右1対の固定具26とによってユニット前後方向両側から挟まれた状態で支持されており、この状態で軸線Ax1回りに回転し得るようになっている。
【0043】
シャフト24におけるリフレクタ本体22の左右両側には、左右1対の環状突起部24aが形成されており、これらが左右1対のシャフト支持部40Abおよび固定具26と係合することによって、軸線Ax1が延びる方向に関してシャフト24を位置決めするようになっている。
【0044】
シャフト24の右端部には、ピン歯車28が固定支持されている。
【0045】
アクチュエータ30は、ブラケット40の右端部において、アクチュエータホルダ32を介してブラケット40に固定されている。
【0046】
アクチュエータ30は、ユニット後方へ向けて突出する出力軸を有するステッピングモータで構成されており、その出力軸には平歯車34が固定されている。
【0047】
アクチュエータ30は、その平歯車34がブラケット40の鉛直面部40Aに形成された開口部40Acを介してユニット後方側に突出した状態でシャフト24のピン歯車28と噛合するように配置されている。
【0048】
アクチュエータ30は、車両走行状況に応じて駆動制御されるように構成されており、その駆動によりリフレクタ本体22を軸線Ax1回りに所定角度ずつ回転させ得るようになっている。
【0049】
リフレクタ本体22は、有色樹脂製(例えば黒色のポリカーボネート樹脂製)の部材で構成されており、その6角柱の外周面が6つの反射面22aとして構成されている。
【0050】
そして、リフレクタ本体22は、アクチュエータ30の駆動により、6つの反射面22aのうちいずれか1つの反射面22aが、光源ユニット50からの光を投影レンズ72へ向けて反射させる反射制御位置に選択的に配置され得るようになっている。
【0051】
図5に示すように、アクチュエータ30は、反射制御位置に配置された反射面22aが、投影レンズ72の後側焦点Fにおいて光軸Axと直交する鉛直面に対して所定角度θ(例えばθ=12°程度)ユニット前方側に傾斜した状態になるように、リフレクタ本体22を回転させる構成となっている。
【0052】
6つの反射面22aの各々において、光源ユニット50からの光を投影レンズ72へ向けて反射させる機能を有する領域は、外形形状が互いに異なる有効反射領域22a1、22a2、22a3、22a4、22a5、22a6として形成されている。
【0053】
具体的には、図8に示すように、反射面22aが反射制御位置に配置された状態において、有効反射領域22a1は下向きの矢印として形成され、有効反射領域22a2は下向きで直列に配置された2つの矢印として形成され、有効反射領域22a3は右向きの矢印として形成され、有効反射領域22a4は左向きの矢印として形成され、有効反射領域22a5は上下方向に間隔をおいて横縞状に配置された3つの帯状領域として形成され、有効反射領域22a6は左右方向に間隔をおいて縦縞状に配置された4つの帯状領域として形成されるように構成されている。
【0054】
各有効反射領域22a1~22a6は、各反射面22aの一部領域にアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことにより形成されている。
【0055】
次に、光源ユニット50の具体的な構成について説明する。
【0056】
各光源52は、緑色に発光する発光ダイオードで構成されており、基板56を介して光源用ホルダ60に支持されている。
【0057】
基板56には、左右1対の光源52に給電するためのコネクタ58が搭載されている。
【0058】
光源用ホルダ60は、冷却ファン62を備えたヒートシンクとして構成されており、ブラケット40の水平面部40Bに固定支持されている。
【0059】
リフレクタ54は、左右1対の反射面54aを備えており、各反射面54aにおいて各光源52からの出射光を投影レンズ72の後側焦点F(図5参照)の位置に収束させるように構成されている。
【0060】
なお、ブラケット40の水平面部40Bには、リフレクタ54を挿通させるための開口部40Bbが形成されている。
【0061】
次に、投影レンズユニット70の具体的な構成について説明する。
【0062】
図5に示すように、投影レンズ72は、光軸Ax上においてユニット前後方向に並んで配置された第1、第2および第3レンズ72A、72B、72Cで構成されている。
【0063】
最も灯具前方側に位置する第1レンズ72Aは、灯具前方へ向けて膨らんだ略平凸レンズとして構成されており、中央に位置する第2レンズ72Bは、両凹レンズとして構成されており、最も灯具後方側に位置する第3レンズ72Cは、両凸レンズとして構成されている。
【0064】
第1~第3レンズ72A~72Cは、いずれも樹脂レンズで構成されている。具体的には、第1および第3レンズ72A、72Cはアクリル樹脂製であり、第2レンズ72Bはポリカーボネート樹脂製である。
【0065】
第1~第3レンズ72A~72Cは、その上端部が水平面に沿って僅かに切除されるとともにその下端部が水平面に沿って比較的大きく切除された構成となっている。そして、第1~第3レンズ72A~72Cは、その外周縁部において取付金具76A、76Bを介して共通のレンズホルダ74に支持されている。
【0066】
レンズホルダ74は、金属製(例えばアルミダイカスト製)の部材であって、投影レンズ72を筒状に囲むように形成されたホルダ本体74Aと、このホルダ本体74Aの外周面の下端部から左右両側に張り出すように形成されたホルダ脚部74Bとを備えている。
【0067】
ホルダ本体74Aには、灯具前方側から第1金具76Aが装着されるとともに灯具後方側から第2金具76Bが装着されており、これにより第1~第3レンズ72A~72Cがホルダ本体74Aに固定される構成となっている。
【0068】
ホルダ脚部74Bは、その左右両端部においてブラケット40の水平面部40Bに載置されている。その際、ブラケット40の水平面部40Bには、ホルダ脚部74Bの左右両端部の下面に形成された左右1対の突起部74Baと係合する左右1対の係合溝部40Baが形成されている。そして、投影レンズユニット70は、レンズホルダ74の位置がユニット前後方向に調整されることによって投影レンズ72の焦点合わせが行われた状態で、レンズホルダ74においてブラケット40に固定され得る構成となっている。
【0069】
図9は、本実施形態に係る灯具ユニット10からの照射光によって車両前方に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される描画用配光パターンを示す図である。
【0070】
図9(a)~(f)に示す描画用配光パターンP1~P6は、回転式リフレクタ20のリフレクタ本体22において、その有効反射領域22a1~22a6の各々が形成された反射面22aが反射制御位置に配置されたときに形成される配光パターンである。
【0071】
図9(a)に示す描画用配光パターンP1は、有効反射領域22a1が下向きの矢印として形成されていることから、その反転投影像として上向きの矢印形状の配光パターンとなっている。
【0072】
図9(b)に示す描画用配光パターンP2は、有効反射領域22a2が下向きで直列に配置された2つの矢印として形成されていることから、その反転投影像として上向きで直列に配置された2つの矢印形状の配光パターンとなっている。
【0073】
図9(c)に示す描画用配光パターンP3は、有効反射領域22a3が右向きの矢印として形成されていることから、その反転投影像として左向きの矢印形状の配光パターンとなっている。
【0074】
図9(d)に示す描画用配光パターンP4は、有効反射領域22a4が左向きの矢印として形成されていることから、その反転投影像として右向きの矢印形状の配光パターンとなっている。
【0075】
図9(e)に示す描画用配光パターンP5は、有効反射領域22a5が上下方向に間隔をおいて横縞状に配置された3つの帯状領域として形成されていることから、その反転投影像として上下方向に間隔をおいて横縞状に配置された3つの帯状領域からなる配光パターンとなっている。
【0076】
図9(f)に示す描画用配光パターンP6は、有効反射領域22a6が左右方向に間隔をおいて縦縞状に配置された4つの帯状領域として形成されていることから、その反転投影像として左右方向に間隔をおいて縦縞状に配置された4つの帯状領域からなる配光パターンとなっている。
【0077】
なお、図9(a)~(f)において2点鎖線で示す領域Zは、描画用配光パターンが形成され得る範囲(すなわち仮に反射面22aの全領域が有効反射領域であるとした場合に描画用配光パターンが形成される範囲)を示している。
【0078】
図10は、有効反射領域22a1が形成された反射面22aが反射制御位置に配置されたときに形成される描画用配光パターンP1を透視的に示す図である。
【0079】
図10に示すように、描画用配光パターンP1は、図示しない他の灯具ユニットからの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンPLと共に(あるいは独立して)形成されるようになっている。
【0080】
ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁にカットオフラインCL1、CL2を有している。
【0081】
カットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線よりも右側の対向車線側部分が水平カットオフラインCL1として形成されるとともにV-V線よりも左側の自車線側部分が斜めカットオフラインCL2として形成されており、両者の交点であるエルボ点EはH-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0082】
一方、描画用配光パターンP1は、車両正面方向を向いた矢印形状の配光パターンとして車両前方路面に形成され、これにより周囲への注意喚起を促すようになっている。
【0083】
その際、光源ユニット50の光源52は緑色に発光する発光ダイオードで構成されているので、描画用配光パターンP1も緑色の配光パターンとして形成されることとなる。
【0084】
夜間の車両走行時に、このような矢印形状の描画用配光パターンP1を形成することにより、例えば車両前方の交差点に自車が近づいていることを周囲に報知して注意喚起を促すようになっている。
【0085】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0086】
本実施形態に係る灯具ユニット10は、回転式リフレクタ20で反射した光源ユニット50からの光を、投影レンズ72を介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、回転式リフレクタ20は6つの反射面22aを備えたリフレクタ本体22とこれを回転させるアクチュエータ30とを備えているので、アクチュエータ30を駆動して6つの反射面22aのうちいずれか1つの反射面22aを反射制御位置に選択的に配置することにより、反射制御位置に配置された反射面22aからの反射光によって描画用配光パターンを形成することができる。
【0087】
その際、リフレクタ本体22は、6つの反射面22aの有効反射領域22a1~22a6の形状が互いに異なっているので、リフレクタ本体22を60°ずつ回転させることにより、有効反射領域22a1~22a6の形状に応じた6種類の描画用配光パターンP1~P6を形成することができる。しかもこれを、リフレクタ本体22を60°ずつ回転させるだけの安価な構成により実現することができる。
【0088】
このように本実施形態によれば、回転式リフレクタ20で反射した光源ユニット50からの光を、投影レンズ72を介してユニット前方へ向けて照射するように構成された灯具ユニット10において、安価な構成で描画用配光パターンP1~P6を形成することができる。
【0089】
特に本実施形態においては、有効反射領域22a1~22a6が、反射面22aの一部領域に鏡面処理を施すことにより形成されているので、明瞭な輪郭を有する描画用配光パターンP1~P6を形成することができる。
【0090】
その際、本実施形態においては、光源ユニット50が、反射制御位置に対してユニット前方側の斜め下方位置(すなわち投影レンズ72の光軸Axから外れたユニット前方側の位置)から光を入射させる構成となっているが、回転式リフレクタ20は、反射制御位置に配置された反射面22aの有効反射領域22a1~22a6が、投影レンズ72の光軸Axと直交する鉛直面に対して所定角度θ前傾した状態で(すなわち光源ユニット50側に所定角度θ傾斜した状態で)配置される構成となっているので、有効反射領域22a1~22a6からの反射光を効率良く投影レンズ72に入射させることができる。
【0091】
上記第1実施形態においては、リフレクタ本体22が有色樹脂製の部材で構成されているものとして説明したが、これを透明樹脂製(例えば無色透明のポリカーボネート樹脂製)の部材で構成することも可能である。このような構成を採用した場合には、6つの反射面22aにおいて鏡面処理が施されていない領域(すなわち有効反射領域22a1~22a6を囲む領域)に到達した光源ユニット50からの光をリフレクタ本体22に入射させてこれを透過させることができる。したがって、リフレクタ本体22が不用意に加熱されてしまうのを効果的に抑制することができ、これにより溶損等の不具合が発生してしまうのを未然に防止することができる。なお、リフレクタ本体22を金属製(例えばアルミダイカスト製)の部材で構成することも可能である。
【0092】
上記第1実施形態においては、有効反射領域22a1~22a6が、反射面22aの中央寄りの領域に鏡面処理を施すことにより形成されているものとして説明したが、中央寄りの領域を囲む領域に鏡面処理を施すことにより形成された構成とすることも可能である。このようにした場合には、描画用配光パターンP1~P6が中抜き形状の配光パターンとして形成されることとなる。
【0093】
上記第1実施形態においては、リフレクタ本体22が6つの反射面22aを備えているものとして説明したが、5つ以下あるいは7つ以上の反射面22aを備えた構成とすることも可能である。
【0094】
上記第1実施形態においては、光源52が緑色に発光する発光ダイオードで構成されているものとして説明したが、光源52として緑色以外にも例えば青色や白色等の発光色を有する構成とすることも可能である。
【0095】
上記第1実施形態においては、投影レンズ72の光軸Axと回転式リフレクタ20のリフレクタ本体22の軸線Ax1とが同じ高さに位置しているものとして説明したが、光軸Axに対して軸線Ax1が上方側に変位している構成とすることも可能である。このような構成を採用することにより、灯具ユニット10が水平に配置されている状態を維持したまま車両前方路面に描画用配光パターンを形成することも可能となる。
【0096】
上記第1実施形態においては、灯具ユニット10が車載用の灯具ユニットであるものとして説明したが、車載用以外の用途(例えば、路面に対して斜め上方から描画を行うように構成された街路灯の灯具ユニット等)に用いることも可能である。
【0097】
次に、本願発明の第2実施形態について説明する。
【0098】
図11、12、13は、本願発明の第2実施形態に係る灯具ユニット110を示す、図3、4、5と同様の図であり、図14は、灯具ユニット110を、その一部を分解して示す斜視図である。
【0099】
図11~14に示すように、本実施形態の基本的な構成は上記第1実施形態の場合と同様であるが、回転式リフレクタ120の構成が上記第1実施形態の場合と一部異なっており、これに伴いブラケット140の構成も上記第1実施形態の場合と一部異なっている。
【0100】
すなわち、本実施形態に係る灯具ユニット110も、回転式リフレクタ120で反射した光源ユニット50からの光を、投影レンズユニット70を介してユニット前方へ向けて照射するように構成されており、これらが共通のブラケット140に支持された構成となっている。
【0101】
本実施形態のブラケット140も、金属製の部材であって、ユニット前後方向と直交する鉛直面に沿って延びる鉛直面部140Aと、この鉛直面部140Aの下部領域においてユニット前方へ向けて延びる水平面部140Bとを備えており、その鉛直面部140Aの後面が投影レンズ72の後側焦点Fよりも多少ユニット前方側に位置するように配置されている。
【0102】
また、上記第1実施形態の場合と同様、ブラケット140の鉛直面部140Aには、横長矩形状の開口部140Aaが光軸Axを囲むようにして形成されており、ブラケット140のブラケット140の水平面部140Bには、リフレクタ54を挿通させるための開口部140Bbが形成されている。
【0103】
本実施形態の回転式リフレクタ120は、6つの反射面122aを備えたリフレクタ本体122と、このリフレクタ本体122を支持するリフレクタホルダ124と、このリフレクタホルダ124を回転させる上記第1実施形態の場合と同様のアクチュエータ30とを備えた構成となっている。
【0104】
リフレクタ本体122は、アクチュエータ30の駆動により、6つの反射面122aのうちいずれか1つの反射面122aが、光源ユニット50からの光を投影レンズユニット70へ向けて反射させる反射制御位置に選択的に配置され得るように構成されている。
【0105】
リフレクタ本体122は、透明樹脂製の部材であって、光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる円板状基体部122Aの前面に6つの突起部122Bが形成された構成となっている。
【0106】
リフレクタ本体122は、光軸Axから右方向に離れた位置において光軸Axと平行に延びる軸線Ax2を中心にして回転するように構成されている。
【0107】
円板状基体部122Aの中心には、軸線Ax2の位置に円形開口部122bが形成されている。6つの突起部122Bは、軸線Ax2を中心にして周方向に60°間隔で形成されている。各突起部122Bは、灯具正面視において径方向に細長く延びる矩形状の外形形状を有しており、その前面が反射面122aとして構成されている。
【0108】
各反射面122aは、軸線Ax2に関して周方向に傾斜した平面で構成されている。具体的には、各反射面122aは、灯具正面視において時計回りの方向に向かってユニット後方側に所定角度θ(例えばθ=12°程度)傾斜した状態で形成されている。
【0109】
6つの反射面122aの各々において、光源ユニット50からの光を投影レンズ72へ向けて反射させる機能を有する領域は、外形形状が互いに異なる有効反射領域122a1、122a2、122a3、122a4、122a5、122a6として形成されている。
【0110】
具体的には、図14に示すように、反射面122aが反射制御位置に配置された状態において、有効反射領域122a1は下向きの矢印として形成され、有効反射領域122a2は下向きで直列に配置された2つの矢印として形成され、有効反射領域122a3は右向きの矢印として形成され、有効反射領域122a4は左向きの矢印として形成され、有効反射領域122a5は上下方向に間隔をおいて横縞状に配置された3つの帯状領域として形成され、有効反射領域122a6は左右方向に間隔をおいて縦縞状に配置された6つの帯状領域として形成されるように構成されている。ただし、本実施形態においては、6つの有効反射領域122a1~122a6の順番が上記第1実施形態の場合と異なっている。
【0111】
各有効反射領域122a1~122a6は、各反射面122aの一部領域にアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことにより形成されている。
【0112】
円板状基体部122Aの前面には、ユニット前方へ向けて延びる3つの位置決めピン122cが軸線Ax2を中心にして周方向に120°間隔で形成されている。
【0113】
リフレクタホルダ124は、リフレクタ本体122の円板状基体部122Aよりも大きい外径を有する円板状の有色樹脂製(例えばポリアセタール樹脂製)の部材として構成されている。
【0114】
リフレクタホルダ124の中心には円形開口部124aが形成されており、これを囲む円環状領域が厚肉部124bとして形成されている。リフレクタホルダ124における厚肉部124bの周囲には、6つの開口部124cが周方向に60°間隔で形成されている。また、リフレクタホルダ124には、3つのピン挿通孔124dが周方向に120°間隔で形成されている。
【0115】
リフレクタホルダ124の外周面には、全周にわたって平歯124eが形成されており、これによりリフレクタホルダ124は大径の外歯歯車として構成されている。
【0116】
そして、回転式リフレクタ120は、リフレクタ本体122がリフレクタホルダ124に対してユニット後方側から組み付けられた状態で、軸線Ax2上に配置されたシャフト126によって、ブラケット140の鉛直面部140Aに回転可能に支持されるようになっている。
【0117】
その際、リフレクタ本体122の3つの位置決めピン122cがリフレクタホルダ124の3つのピン挿通孔124dに挿入され、さらに、リフレクタ本体122の6つの突起部122Bがリフレクタホルダ124の6つの開口部124cに挿入された状態で、シャフト126がユニット後方側からリフレクタ本体122の円形開口部122bおよびリフレクタホルダ124の円形開口部124aに挿入されるようになっている。そしてこのとき、リフレクタホルダ124の外周面に形成された平歯124eがアクチュエータ30の平歯車34と噛合するようになっている。
【0118】
シャフト126は、その前端部において圧入等によってブラケット140の鉛直面部140Aに固定されており、また、その後端部にEリング128が装着されることによってリフレクタ本体122およびリフレクタホルダ124の抜け止めが図られるようになっている。
【0119】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0120】
本実施形態に係る灯具ユニット110は、回転式リフレクタ120で反射した光源ユニット50からの光を、投影レンズ72を介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、回転式リフレクタ120は6つの反射面122aを備えたリフレクタ本体122とこれを回転させるアクチュエータ30とを備えているので、アクチュエータ30を駆動して6つの反射面122aのうちいずれか1つの反射面122aを反射制御位置に選択的に配置することにより、反射制御位置に配置された反射面122aの有効反射領域122a1~122a6からの反射光によって、上記第1実施形態の場合と同様、6種類の描画用配光パターンを形成することができる。しかもこれを、リフレクタ本体122を60°ずつ回転させるだけの安価な構成により実現することができる。
【0121】
特に本実施形態においては、リフレクタ本体122が透明部材で構成されているので、6つの反射面122aにおいて鏡面処理が施されていない領域(すなわち有効反射領域122a1~122a6を囲む領域)に到達した光源ユニット50からの光をリフレクタ本体122に入射させてこれを透過させることができ、これによりリフレクタ本体122が不用意に加熱されてしまうのを効果的に抑制することができる。
【0122】
また本実施形態においては、リフレクタ本体122がリフレクタホルダ124に支持されているので、リフレクタ本体122自体の構成を簡素化することができる。しかも、リフレクタ本体122は、6つの突起部122B以外の部分がリフレクタホルダ124によってユニット前方側から覆われているので、光源ユニット50からの光が円板状基体部122Aに入射することによって迷光が発生してしまうのを未然に防止することができる。
【0123】
次に、上記第2実施形態の変形例について説明する。
【0124】
図15(a)は、本変形例に係る灯具ユニットにおける回転式リフレクタ120の要部を示す、図13の一部と略同様の図であり、図15(b)は、図15(a)のb方向矢視図である。
【0125】
本変形例の基本的な構成は上記第2実施形態の場合と同様であるが、リフレクタ本体222の構成が上記第2実施形態の場合と一部異なっている。
【0126】
すなわち、本変形例のリフレクタ本体222も、透明樹脂製の部材であって、光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる円板状基体部(図示せず)の前面に6つの突起部222Bが形成された構成となっており、その前面が反射面222aとして構成されている。
【0127】
そして本変形例においては、反射制御位置に配置された反射面222aにおいて、反射機能を有する有効反射領域222a7が、上下方向および左右方向に等間隔をおいて配置された複数の反射素子222a7sで構成されている。具体的には、有効反射領域222a7は、光軸Axを中心にして左右方向の5箇所および上下方向の3箇所に正方形の反射素子222a7sが配置された構成となっている。
【0128】
その際、複数の反射素子222a7sの各々は、投影レンズ72の後側焦点Fを含む同一鉛直面に対して所定角度θ(例えばθ=12°程度)前傾した傾斜面として形成されている。
【0129】
図15(c)は、本変形例に係る灯具ユニットからの照射光によって車両前方に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される描画用配光パターンP7を示す図である。
【0130】
この描画用配光パターンP7は、有効反射領域222a7が上下方向および左右方向に等間隔をおいて配置された複数の反射素子222a7sで構成されていることから、その反転投影像として複数の配光パターン構成要素P7sが正方形の外形形状で上下方向および左右方向に等間隔をおいて形成されたものとなっている。
【0131】
一方、図15(c)において2点鎖線で示す描画用配光パターンP7´は、仮に、図15(a)において2点鎖線で示すように、反射制御位置に配置された反射面222a´において、有効反射領域222a7´が投影レンズ72の後側焦点Fを含む鉛直面に対して所定角度θ前傾した同一傾斜面上に形成された複数の反射素子222a7s´で構成されているとした場合に形成される配光パターンである。
【0132】
この描画用配光パターンP7´も、有効反射領域222a7´が上下方向および左右方向に等間隔をおいて配置された複数の反射素子222a7s´で構成されていることから、その反転投影像として複数の配光パターン構成要素P7s´が正方形の外形形状で上下方向および左右方向に等間隔をおいて形成されるが、上段および下段に位置する配光パターン構成要素P7s´は正方形の輪郭がボケたものとなる。
【0133】
これは、有効反射領域222a7´を構成する複数の反射素子222a7s´のうち、上段および下段に位置する反射素子222a7s´は、投影レンズ72の後側焦点Fを含む鉛直面からユニット前後方向に変位していることによるものである。
【0134】
これに対し、本変形例においては、反射制御位置に配置された反射面222aにおいて、複数の反射素子222a7sの各々が投影レンズ72の後側焦点Fを含む同一鉛直面に対して所定角度θ前傾した傾斜面として形成されているので、描画用配光パターンP7を構成する複数の配光パターン構成要素P7sはいずれも正方形の輪郭がボケることなく形成される。
【0135】
このように本変形例の構成を採用することにより、複数の反射素子222a7sの各々からの反射光によって形成される複数の配光パターン構成要素P7sを明瞭な輪郭で形成することができ、これにより描画用配光パターンP7全体としても明瞭な輪郭で形成することができる。
【0136】
本変形例の構成を上記第1実施形態に係る灯具ユニット10に適用することも可能である。
【0137】
なお、上記各実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0138】
また本願発明は、上記各実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0139】
10 灯具ユニット
20 回転式リフレクタ
22 リフレクタ本体
22a 反射面
22a1、22a2、22a3、22a4、22a5、22a6 有効反射領域
24 シャフト
24a 環状突起部
26 固定具
28 ピン歯車
30 アクチュエータ
32 アクチュエータホルダ
34 平歯車
40 ブラケット
40A 鉛直面部
40Aa、40Ac、40Bb 開口部
40Ab シャフト支持部
40B 水平面部
40Ba 係合溝部
50 光源ユニット
52 光源
54 リフレクタ
54a 反射面
56 基板
58 コネクタ
60 光源用ホルダ
62 冷却ファン
70 投影レンズユニット
72 投影レンズ
72A 第1レンズ
72B 第2レンズ
72C 第3レンズ
74 レンズホルダ
74A ホルダ本体
74B ホルダ脚部
74Ba 突起部
76A、76B 取付金具
110 灯具ユニット
120 回転式リフレクタ
122、222 リフレクタ本体
122A 円板状基体部
122a、222a 反射面
122a1、122a2、122a3、122a4、122a5、122a6、222a7 有効反射領域
122B、222B 突起部
122b、124a 円形開口部
122c 位置決めピン
124 リフレクタホルダ
124b 厚肉部
124c、140Aa、140Bb 開口部
124d ピン挿通孔
124e 平歯
126 シャフト
128 Eリング
140 ブラケット
140A 鉛直面部
140B 水平面部
222a7s 反射素子
Ax 光軸
Ax1、Ax2 軸線
CL1 水平カットオフライン
CL2 斜めカットオフライン
E エルボ点
F 後側焦点
PL ロービーム用配光パターン
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7 描画用配光パターン
P7s 配光パターン構成要素
Z 領域
θ 所定角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15