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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030362
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ゴンドラ装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/08 20060101AFI20220210BHJP
   E04G 3/30 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B66C13/08 H
E04G3/30 303B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134345
(22)【出願日】2020-08-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000106357
【氏名又は名称】サンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 竹史
(72)【発明者】
【氏名】堀 正和
(72)【発明者】
【氏名】久保 龍矢
【テーマコード(参考)】
2E003
【Fターム(参考)】
2E003EA01
2E003EB05
(57)【要約】
【課題】安価に作業床の左右の傾きを矯正しうるゴンドラ装置を提供する。
【解決手段】ゴンドラ装置のゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条41の作業床に対する吊り点の高さ位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条42の作業床に対する吊り点の高さ位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置8が設けられている。傾き矯正装置8が、索条41,42の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群81,82と、両案内シーブ群81,82間に配置された第1および第2テークアップシーブ群83,84と、両案内シーブ群81,82間での左用索条41および右用索条42の経路長を変更しうるように第1テークアップシーブ群83および第2テークアップシーブ群84を移動させる移動手段9とからなる。第1テークアップシーブ群83に左用索条41が掛けられ、第2テークアップシーブ群84に右用索条42が掛けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置であって、
ゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置が設けられており、傾き矯正装置が、全索条と同数のシーブからなりかつ巻取・繰出し時の索条の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群と、左用索条と同数のシーブからなるとともに左用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第1テークアップシーブ群と、右用索条と同数のシーブからなるとともに右用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第2テークアップシーブ群と、前記両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を変更しうるように第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させる移動手段とからなるゴンドラ装置。
【請求項2】
前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも前方に設けられている請求項1記載のゴンドラ装置。
【請求項3】
前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも上方に設けられている請求項1記載のゴンドラ装置。
【請求項4】
前記移動手段が、長手方向を同方向に向けるとともに歯が対向した状態で長手方向に移動可能に配置された第1および第2の2つのラックと、両ラック間に配置されかつ両ラックに噛み合って両ラックを逆方向に移動させるピニオンと、ピニオンを回転駆動させる駆動源とからなり、一方の第1ラックの長手方向一端部に第1テークアップシーブ群が設けられ、他方の第2ラックの長手方向における第1テークアップシーブ群と同一端部に第2テークアップシーブ群が設けられている請求項1~3のうちのいずれかに記載のゴンドラ装置。
【請求項5】
前記移動手段が、ピストンロッドが同じ側に位置するよう長手方向を同方向に向けて配置された第1および第2の2つのシリンダからなり、一方の第1シリンダのピストンロッドの先端部に第1テークアップシーブ群が設けられ、他方の第2シリンダのピストンロッドの先端部に第2テークアップシーブ群が設けられている請求項1~3のうちのいずれかに記載のゴンドラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、窓拭きなどの建築物外壁面のメンテナンスに使用されるゴンドラ装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1の上下を上下といい、図1左側(作業床が設けられる側)を前、これと反対側を後というものとする。また、前方から後方を見た際の左右(図3の左右)を左右というものとする。
【背景技術】
【0003】
建築物外壁面のメンテナンスに使用されるゴンドラ装置の一例として、建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-154789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のゴンドラ装置においては、作業床に対する偏荷重などにより作業床を吊り下げる左右の索条に作用する張力に差が生じて伸び量に違いが出ること、作業床を吊り下げる左右の索条に作用する張力に差が生じることにより巻取ドラムへの索条の巻き付け力に強弱が発生し、索条を含めた巻取ドラムの巻取直径に違いが出ること、索条に用いられるワイヤーロープ直径のJIS許容差内での誤差の累積により索条を含めた巻取ドラムの巻取直径に違いが出ること、および巻取ドラムの製作精度誤差などに起因して作業床が左右に傾くことがある。近年、特にビルなどの建築物の高層化が進み、昇降揚程が大きくなって巻取ドラムの総巻数が増えるほど作業床の傾きは顕著に現れる。
【0006】
特許文献1記載のゴンドラ装置において、作業床の左右の傾きを矯正するために、作業床の左端部を吊り下げる左用索条を巻き取る巻取ドラムおよび当該巻取ドラムを回転駆動するドラム駆動装置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条を巻き取る巻取ドラムおよび当該巻取ドラムを回転駆動するドラム駆動装置とを別々に設けることも考えられるが、この場合、ゴンドラ本体が大型化するとともに、コストが高くなる。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、比較的安いコストで作業床の左右の傾きを矯正しうるゴンドラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置であって、
ゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置が設けられており、傾き矯正装置が、全索条と同数のシーブからなりかつ巻取・繰出し時の索条の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群と、左用索条と同数のシーブからなるとともに左用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第1テークアップシーブ群と、右用索条と同数のシーブからなるとともに右用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第2テークアップシーブ群と、前記両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を変更しうるように第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させる移動手段とからなるゴンドラ装置。
【0010】
2)前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも前方に設けられている上記1)記載のゴンドラ装置。
【0011】
3)前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも上方に設けられている上記1)記載のゴンドラ装置。
【0012】
4)前記移動手段が、長手方向を同方向に向けるとともに歯が対向した状態で長手方向に移動可能に配置された第1および第2の2つのラックと、両ラック間に配置されかつ両ラックに噛み合って両ラックを逆方向に移動させるピニオンと、ピニオンを回転駆動させる駆動源とからなり、一方の第1ラックの長手方向一端部に第1テークアップシーブ群が設けられ、他方の第2ラックの長手方向における第1テークアップシーブ群と同一端部に第2テークアップシーブ群が設けられている上記1)~3)のうちのいずれかに記載のゴンドラ装置。
【0013】
5)前記移動手段が、ピストンロッドが同じ側に位置するよう長手方向を同方向に向けて配置された第1および第2の2つのシリンダからなり、一方の第1シリンダのピストンロッドの先端部に第1テークアップシーブ群が設けられ、他方の第2シリンダのピストンロッドの先端部に第2テークアップシーブ群が設けられている上記1)~3)のうちのいずれかに記載のゴンドラ装置。
【発明の効果】
【0014】
上記1)~5)のゴンドラ装置によれば、傾き矯正装置において、移動手段により第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることによって、両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を変更することができ、その結果左用索条の作業床に対する吊り点の上下方向の位置および右用索条の作業床に対する吊り点の上下方向の位置を変更することが可能になる。したがって、作業床の左右の傾きを矯正して水平状態(ほぼ水平に近い状態も含む。以下、同じ)に維持することができる。しかも、建築物の外壁面のメンテナンスを、人員に代わって多関節ロボットに行わせる場合には、作業床を水平に維持することが効果的であると考えられる。さらに、左用索条および右用索条のそれぞれについて巻取ドラムおよびドラム駆動装置を用意する場合に比べて、ゴンドラ本体を小型化することができるとともにコストが安くなる。
【0015】
上記3)のゴンドラ装置によれば、上記2)のゴンドラ装置に比べて、建築物の屋上において、ゴンドラ本体が占める前後方向のスペースを小さくすることができる。
【0016】
上記4)のゴンドラ装置によれば、駆動源により1つのピニオンを回転させるだけで第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を反対方向に移動させることが可能になるので、一方の索条の作業床に対する吊り点を下げると同時に他方の索条の作業床に対する吊り点を上げることによって作業床の左右の傾きを矯正することができる。したがって、傾き矯正装置におけるラックの長手方向のスペースを比較的小さくすることができる。しかも、作業床全体の重心レベルがほとんど変化せず、駆動源、たとえばモータの容量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明によるゴンドラ装置の全体構成を示す一部分を省略した側面図である。
図2図1のゴンドラ装置の全体構成を概略的に示す側面図である
図3図1のゴンドラ装置における支持アーム先端から垂下した索条に吊り下げられた作業床を示す正面図である。
図4図1のゴンドラ装置の一部分を拡大して示す側面図である。
図5図1のゴンドラ装置の台車を拡大して示す平面図である。
図6図4のA-A線断面図である。
図7図6の部分拡大図である。
図8図7のB-B線断面図である。
図9図8のC-C線断面図である。
図10】作業床の左右の傾きを矯正する際の傾き矯正装置の動作を示す図6相当の図であり、(a)は右端部が上、左端部が下となるように作業床が傾いた場合の傾き矯正装置の矯正動作を示し、(b)は左端部が上、右端部が下となるように作業床が傾いた場合の傾き矯正装置の矯正動作を示す。
図11】この発明によるゴンドラ装置に用いられる傾き矯正装置の変形例を示す図4相当の図である。
図12図11の傾き矯正装置を示す図6相当の図である。
図13】この発明によるゴンドラ装置に用いられる台車の変形例を示す図1相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2はこの発明によるゴンドラ装置の全体構成を示し、図3図10は要部の構成を示す。
【0020】
図1図3において、窓拭きなどの建築物外壁面のメンテナンスに用いられるゴンドラ装置(1)は、建築物の屋上に設けられた台車(2)(ゴンドラ本体)と、台車(2)に設けられた巻取ドラム(3)と、一端側が巻取ドラム(3)に巻かれた複数本、ここでは4本のワイヤロープ(41)(42)(索条)からなるワイヤロープ群(4)と、台車(2)に設けられかつ巻取ドラム(3)を回転駆動してワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置(5)と、台車(2)に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラム(3)から導かれたワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)を先端部から垂下させる伸縮自在の支持アーム(6)(アーム状の支持機構)と、左右両端部においてそれぞれ支持アーム(6)の先端部から垂下した左右同数、ここでは2本のワイヤロープ(41)(42)によって吊り下げられている作業床(7)と、台車(2)に設けられて作業床(7)の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置(8)とを備えている。
【0021】
台車(2)は、建築物の屋上に敷設されたガイドレール(21)に沿って移動可能に設けられた走行部(22)と、走行部(22)に鉛直軸周りに回転自在に設けられた機器搭載部(23)とからなり、機器搭載部(23)に巻取ドラム(3)、ドラム駆動装置(5)、支持アーム(6)および傾き矯正装置(8)が設けられている。また、機器搭載部(23)における巻取ドラム(3)の上斜め後方の部分に、ワイヤロープ(41)(42)と同数のシーブからなり、かつ巻取ドラム(3)から延びるワイヤロープ(41)(42)の向きを前方に変える転向シーブ群(24)が設けられている。さらに、機器搭載部(23)に、ゴンドラ操作盤(25)、作業床(7)の昇降および傾き矯正を行う制御装置(27)を有するゴンドラ制御盤(26)、無線受信機(28)などが設けられている。
【0022】
図4および図5に示すように、巻取ドラム(3)は左右方向に延びる水平回転軸(31)を有しており、水平回転軸(31)の左右両端部が転がり軸受(32)によって機器搭載部(23)の左右両側部材(231)に回転自在に支持されている。巻取ドラム(3)の外周には、径方向外方に突出するように複数のフランジ(33)が左右方向に間隔をおいて設けられており、これにより巻取ドラム(3)の外周にワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)の本数と等しい数の巻取領域(34)が形成されている。各巻取領域(34)に、1本のワイヤロープ(41)(42)が巻かれている。なお、図示は省略したが、巻取ドラム(3)の下方には、ワイヤロープ(4)と同数の案内シーブと、案内シーブをワイヤロープ(4)の巻移動に同調させて巻取ドラム(3)の軸方向に移動させるトラバーサ装置が設けられている。
【0023】
ワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)は、巻取ドラム(3)から繰り出されて上斜め後方に延びており、転向シーブ群(24)において前方に向きを変えられて傾き矯正装置(8)に導かれている。ワイヤロープ群(4)のうちの2本は、作業床(7)の左端部を吊り下げる左用ワイヤロープ(41)であり、他の2本は、作業床(7)の右端部を吊り下げる右用ワイヤロープ(42)である。
【0024】
ドラム駆動装置(5)は、モータ(51)と、モータ(51)の駆動軸(図示略)に取り付けられた小径平歯車(52)と、巻取ドラム(3)の回転軸(31)に取り付けられかつ小径平歯車(52)と噛み合う大径平歯車(53)とを備えている。
【0025】
支持アーム(6)は、台車(2)の機器搭載部(22)の前端部に水平軸線周りに上下方向に揺動しうるように取り付けられており、シリンダ(61)により起伏自在となっている。支持アーム(6)には、ワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)と同数のシーブ(621)からなる複数のアーム側案内シーブ群(62)が支持アーム(6)の長手方向に間隔をおいて設けられており、傾き矯正装置(8)から延びてきたワイヤロープ群(4)がアーム側案内シーブ群(62)を経て支持アーム(6)の先端部に導かれている。
【0026】
支持アーム(6)の先端部には、複数のシーブからなる配索シーブ群(63)を複数備えており、かつ4本のワイヤロープ(41)(42)を、前後方向に間隔をおくように2本の左用ワイヤロープ(41)と2本の右用ワイヤロープ(42)に分けて垂下させる配索装置(64)が設けられている。左用ワイヤロープ(41)は作業床(7)の左端部の前後両端を、作業床(7)に対する吊り点(P1)が上下方向の同一位置に来るように吊り下げ、右用ワイヤロープ(42)は作業床(7)の左端部の前後両端を、作業床(7)に対する吊り点(P2)が上下方向の同一位置に来るように吊り下げる。配索装置(64)の構成は公知であり、詳細な図示および説明は省略する。
【0027】
作業床(7)には、作業床操作盤(71)、作業床(7)の左右の傾きの傾斜量を検出し、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えているか否かを判別するとともに、傾斜量が閾値を超えている場合の傾斜方向を判別してそれに応じた判別信号を出力する傾斜センサ(72)、および傾斜センサ(72)から出力される判別信号を台車(2)の機器搭載部(22)の無線受信機(28)に送る無線送信機(73)などが設けられている。
【0028】
傾き矯正装置(8)は、作業床(7)の左端部を吊り下げる左用ワイヤロープ(41)における作業床(7)に対する吊り点(P1)の上下方向の位置と、作業床(7)の右端部を吊り下げる右用ワイヤロープ(42)における作業床(7)に対する吊り点(P2)の上下方向の位置とを変更して作業床(7)の左右の傾きを矯正するものである。
【0029】
図4図6に示すように、傾き矯正装置(8)は、ワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)と同数、ここでは4つのシーブ(811)(821)からなりかつ巻取・繰出し時のワイヤロープ(41)(42)の移動方向、ここでは前後方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群(81)(82)と、左用ワイヤロープ(41)と同数、ここでは2つのシーブ(831)からなるとともに左用ワイヤロープ(41)が掛けられ、かつ両案内シーブ群(81)(82)間に配置された第1テークアップシーブ群(83)と、右用ワイヤロープ(42)と同数、ここでは2つのシーブ(841)からなるとともに右用ワイヤロープ(42)が掛けられ、かつ両案内シーブ群(81)(82)間に配置された第2テークアップシーブ群(84)と、前記両案内シーブ群(81)(82)間でのワイヤロープ(41)(42)の経路長を変更しうるように第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)を移動させる移動手段(9)とからなる。2つの案内シーブ群(81)(82)および両テークアップシーブ群(83)(84)のシーブ(811)(821)(831)(841)は、左右方向に延びる水平軸線の周りに回転自在である。
【0030】
図6図9に示すように、移動手段(9)は、長手方向を上下方向(同方向)に向けるとともに歯(901)(911)が対向した状態で上下方向に移動可能に配置された鉛直状の第1および第2の2つのラック(90)(91)と、両ラック(90)(91)間に水平軸線の周りに回転しうるように配置されかつ両ラック(90)(91)に噛み合って両ラック(90)(91)を逆方向に移動させるピニオン(92)と、ピニオン(92)を回転駆動させるモータ(93)(駆動源)とからなる。移動手段(9)の一方の第1ラック(90)の上端部(長手方向一端部)に第1テークアップシーブ群(83)が設けられ、他方の第2ラック(91)の上端部(長手方向における第1テークアップシーブ群(83)と同一端部)に第2テークアップシーブ群(84)が設けられている。
【0031】
移動手段(9)の両ラック(90)(91)、ピニオン(92)およびモータ(93)は、前後左右に間隔をおいて配置されて互いに固定された4本の鉛直状フレーム部材(941)からなるフレーム(94)に設けられている。フレーム部材(941)はフランジ部が左右方向外方を向いた溝形鋼からなり、両ラック(90)(91)およびピニオン(92)は4本のフレーム部材(941)に囲まれた部分に配置され、モータ(93)は、フレーム(94)の後側部分に駆動軸(931)が前側を向くように取り付けられている。
【0032】
第1ラック(90)および第2ラック(91)は横断面H字状であり、前後両側面にそれぞれ上下方向に延びるガイド溝(902)(912)が形成されている。両ラック(90)(91)の前後両側には、モータ(93)の駆動軸(931)を回転自在に支持するとともに、両ラック(90)(91)を上下方向に案内する方形のベース板(95)が配置されている。ベース板(95)にはモータ(93)の駆動軸(931)が通される貫通穴(951)が形成されており、ベース板(95)における貫通穴(951)の周囲の部分に、転がり軸受(97)を介して駆動軸(931)を回転自在に支持する支持部材(96)が取り付けられている。また、両ベース板(95)の互いに対向する面には、両ラック(90)(91)のガイド溝(902)(912)内に嵌まるとともに前後方向に延びる水平軸線の周りに回転自在なガイドローラ(98)と、ガイドローラ(98)の周囲において両ラック(90)(91)の前後両側面に摺接する滑りシュー(99)とが取り付けられている。ガイドローラ(98)および滑りシュー(99)は、両ラック(90)(91)が上下方向に移動する際に両ラック(90)(91)がスムーズに移動するように案内をする。
【0033】
上述した構成のゴンドラ装置(1)において、建築物の外壁面のメンテナンス時には、ゴンドラ操作盤(25)に入力された指示に基づいて、ゴンドラ制御盤(26)は、走行部(22)をガイドレール(21)に沿って移動させるとともに機器搭載部(23)を走行部(22)に対して回転させ、さらに支持アーム(6)を伸縮することにより、支持アーム(6)の先端部を所望の位置に移動させる。これと同時に、ゴンドラ操作盤(25)に入力された指示に基づいて、ゴンドラ制御盤(26)は、ドラム駆動装置(5)により巻取ドラム(3)を駆動してワイヤロープ(41)(42)の巻取・繰出しを行うことによって、作業床(7)を上下方向の所望位置に移動させる。また、作業床(7)に設けられた作業床操作盤(71)によっても、上述のようにして作業床(7)を移動させることができる。
【0034】
図3に実線で示すように、作業床(7)に左右の傾きが生じていない場合、あるいは左右の傾きの度合いが少ない場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値以下であると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、傾き矯正装置(8)は図6に示す状態となっており、第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)は同一高さ位置にある。
【0035】
図3に鎖線で示すように、作業床(7)が、右端部が上、左端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向が左下がりであると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を図6の反時計方向に回転させる。これにより図10(a)に示すように、左用ワイヤロープ(41)が掛けられた第1テークアップシーブ群(83)が取り付けられている第1ラック(90)が下降するとともに、右用ワイヤロープ(42)が掛けられた第2テークアップシーブ群(84)が取り付けられている第2ラック(91)が上昇し、両案内シーブ群(81)(82)間での左用ワイヤロープ(41)の経路長が長くなるとともに、右用ワイヤロープ(42)の経路長が短くなる。その結果、左用ワイヤロープ(41)の作業床(7)に対する吊り点(P1)が上昇して作業床(7)の左端部が上昇するとともに、右用ワイヤロープ(42)の作業床(7)に対する吊り点(P2)が下降して作業床(7)の右端部が下降し、作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【0036】
これとは逆に、作業床(7)が、左端部が上、右端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向が右下がりであると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を図6の時計方向に回転させる。これにより図10(b)に示すように、左用ワイヤロープ(41)が掛けられた第1テークアップシーブ群(83)が取り付けられている第1ラック(90)が上昇するとともに、右用ワイヤロープ(42)が掛けられた第2テークアップシーブ群(84)が取り付けられている第2ラック(91)が下降し、両案内シーブ群(81)(82)間での左用ワイヤロープ(41)の経路長が短くなるとともに、右用ワイヤロープ(42)の経路長が短くなる。その結果、左用ワイヤロープ(41)の作業床(7)に対する吊り点(P1)が下降して作業床(7)の左端部が下降するとともに、右用ワイヤロープ(42)の作業床(7)に対する吊り点(P2)が上昇して作業床(7)の右端部が上昇し、作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【0037】
上述した実施形態においては、作業床(7)の傾斜センサ(72)が作業床(7)の左右の傾きの傾斜量を検出し、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えているか否かを判別するとともに、傾斜量が閾値を超えている場合の傾斜方向を判別してそれに応じた判別信号を出力するようになっているが、これに代えて、傾斜センサ(72)が作業床(7)の左右の傾きの傾斜量を検出してそれに応じた信号を出力し、機器搭載部(22)の制御装置(27)が無線送信機(73)および無線受信機(28)を経て送られてきた傾斜センサ(72)の出力信号に基づいて、検出された傾斜量が設定されている閾値を超えているか否かを判別するとともに、傾斜量が閾値を超えている場合の傾斜方向を判別するようにしてもよい。
【0038】
そして、作業床(7)に左右の傾きが生じていない場合、あるいは左右の傾きの度合いが少ない場合、すなわち傾斜センサ(72)により検出されて無線送信機(73)から無線受信機(28)を経て制御装置(27)に送られてきた傾斜量が、制御装置(27)に設定されている閾値以下の場合は、傾き矯正装置(8)は図6に示す状態となっており、第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)は同一高さ位置にある。
【0039】
また、作業床(7)が、一端部が上、他端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)により検出されて無線送信機(73)および無線受信機(28)を経て制御装置(27)に送られてきた傾斜量が、制御装置(27)に設定されている閾値を超えた場合、制御装置(27)は傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向がいずれか一方が下がっていると判別し、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を適当な方向に回転させる。これにより上述した実施形態の場合と同様に作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【0040】
図11および図12は傾き矯正装置の変形例を示す。
【0041】
図11および図12に示す傾き矯正装置(100)における第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)を上下方向に移動させる移動手段(101)は、ピストンロッド(1021)(1031)が上側に位置するよう長手方向を上下方向に向けて配置された第1および第2の2つのシリンダ(102)(103)からなる。一方の第1シリンダ(102)のピストンロッド(1021)の先端部に第1テークアップシーブ群(83)が設けられ、他方の第2シリンダ(103)のピストンロッド(1031)の先端部に第2テークアップシーブ群(84)が設けられている。
【0042】
図13はこの発明によるゴンドラ装置に用いられる台車の変形例を示す。
【0043】
図13に示すゴンドラ装置(10)の台車(11)の場合、傾き矯正装置(8)は、機器搭載部(23)において巻取ドラム(3)の上方に設けられている。一方の案内シーブ群(81)は巻取ドラム(3)の上斜め前方に設けられ、他方の案内シーブ群(82)は一方の案内シーブ群(81)の上斜め前方に設けられている。第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)は、両案内シーブ群(81)(82)の間に前後方向に移動自在に設けられている。両案内シーブ群(81)(82)のシーブ(811)(821)および両テークアップシーブ群(83)(84)のシーブ(831)(841)は、左右方向に延びる水平軸線の周りに回転自在となっている。第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)を前後方向に移動させる移動手段としては、上述した実施形態の移動手段(9)および変形例の移動手段(101)のいずれかが用いられる。
【0044】
上述した実施形態において、作業床(7)の左端部は2本の左用ワイヤロープ(41)によって吊り下げられ、右端部は2本の右用ワイヤロープ(42)によって吊り下げられているが、これに限定されるものではなく、左用ワイヤロープ(41)および右用ワイヤロープ(42)の数は適宜変更可能であり、たとえば作業床(7)の左右両端部がそれぞれ1本のワイヤロープによって吊り下げられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明によるゴンドラ装置は、建築物の外壁面のメンテナンスに好適に用いられ、作業床の左右の傾きが容易に矯正される。
【符号の説明】
【0046】
(1)(10):ゴンドラ装置
(2)(11):台車(ゴンドラ本体)
(3):巻取ドラム
(4):ワイヤロープ群
(41):左用ワイヤロープ(左用索条)
(42):右用ワイヤロープ(右用索条)
(5):ドラム駆動装置
(6):支持アーム(支持機構)
(7):作業床
(8):傾き矯正装置
(81)(82):案内シーブ群
(811)(821):シーブ
(83):第1テークアップシーブ群
(831):シーブ
(84):第2テークアップシーブ群
(841):シーブ
(9):移動手段
(90)(91):ラック
(901)(911):歯
(92):ピニオン
(93):モータ(駆動源)
(100):傾き矯正装置
(101):移動手段
(102)(103):シリンダ
(1021)(1031):ピストンロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2020-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置であって、
ゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置が設けられており、傾き矯正装置が、全索条と同数のシーブからなりかつ巻取・繰出し時の索条の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群と、左用索条と同数のシーブからなるとともに左用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第1テークアップシーブ群と、右用索条と同数のシーブからなるとともに右用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第2テークアップシーブ群と、第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることにより、前記両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を互いに異なるように変更しうる移動手段とからなるゴンドラ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
1)建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置であって、
ゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置が設けられており、傾き矯正装置が、全索条と同数のシーブからなりかつ巻取・繰出し時の索条の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群と、左用索条と同数のシーブからなるとともに左用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第1テークアップシーブ群と、右用索条と同数のシーブからなるとともに右用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第2テークアップシーブ群と、第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることにより、前記両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を互いに異なるように変更しうる移動手段とからなるゴンドラ装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記1)~5)のゴンドラ装置によれば、傾き矯正装置において、移動手段により第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることによって、両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を互いに異なるように変更することができ、その結果左用索条の作業床に対する吊り点の上下方向の位置および右用索条の作業床に対する吊り点の上下方向の位置を変更することが可能になる。したがって、作業床の左右の傾きを矯正して水平状態(ほぼ水平に近い状態も含む。以下、同じ)に維持することができる。しかも、建築物の外壁面のメンテナンスを、人員に代わって多関節ロボットに行わせる場合には、作業床を水平に維持することが効果的であると考えられる。さらに、左用索条および右用索条のそれぞれについて巻取ドラムおよびドラム駆動装置を用意する場合に比べて、ゴンドラ本体を小型化することができるとともにコストが安くなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
これとは逆に、作業床(7)が、左端部が上、右端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向が右下がりであると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を図6の時計方向に回転させる。これにより図10(b)に示すように、左用ワイヤロープ(41)が掛けられた第1テークアップシーブ群(83)が取り付けられている第1ラック(90)が上昇するとともに、右用ワイヤロープ(42)が掛けられた第2テークアップシーブ群(84)が取り付けられている第2ラック(91)が下降し、両案内シーブ群(81)(82)間での左用ワイヤロープ(41)の経路長が短くなるとともに、右用ワイヤロープ(42)の経路長が長くなる。その結果、左用ワイヤロープ(41)の作業床(7)に対する吊り点(P1)が下降して作業床(7)の左端部が下降するとともに、右用ワイヤロープ(42)の作業床(7)に対する吊り点(P2)が上昇して作業床(7)の右端部が上昇し、作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置であって、
ゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置が設けられており、傾き矯正装置が、全索条と同数のシーブからなりかつ巻取・繰出し時の索条の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群と、左用索条と同数のシーブからなるとともに左用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第1テークアップシーブ群と、右用索条と同数のシーブからなるとともに右用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第2テークアップシーブ群と、第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることにより、前記両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を互いに異なるように変更しうる移動手段とからなり、前記移動手段が、長手方向を同方向に向けるとともに歯が対向した状態で長手方向に移動可能に配置された第1および第2の2つのラックと、両ラック間に配置されかつ両ラックに噛み合って両ラックを逆方向に移動させるピニオンと、ピニオンを回転駆動させる駆動源とからなり、一方の第1ラックの長手方向一端部に第1テークアップシーブ群が設けられ、他方の第2ラックの長手方向における第1テークアップシーブ群と同一端部に第2テークアップシーブ群が設けられているゴンドラ装置。
【請求項2】
前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも前方に設けられている請求項1記載のゴンドラ装置。
【請求項3】
前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも上方に設けられている請求項1記載のゴンドラ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、窓拭きなどの建築物外壁面のメンテナンスに使用されるゴンドラ装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1の上下を上下といい、図1左側(作業床が設けられる側)を前、これと反対側を後というものとする。また、前方から後方を見た際の左右(図3の左右)を左右というものとする。
【背景技術】
【0003】
建築物外壁面のメンテナンスに使用されるゴンドラ装置の一例として、建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-154789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載のゴンドラ装置においては、作業床に対する偏荷重などにより作業床を吊り下げる左右の索条に作用する張力に差が生じて伸び量に違いが出ること、作業床を吊り下げる左右の索条に作用する張力に差が生じることにより巻取ドラムへの索条の巻き付け力に強弱が発生し、索条を含めた巻取ドラムの巻取直径に違いが出ること、索条に用いられるワイヤーロープ直径のJIS許容差内での誤差の累積により索条を含めた巻取ドラムの巻取直径に違いが出ること、および巻取ドラムの製作精度誤差などに起因して作業床が左右に傾くことがある。近年、特にビルなどの建築物の高層化が進み、昇降揚程が大きくなって巻取ドラムの総巻数が増えるほど作業床の傾きは顕著に現れる。
【0006】
特許文献1記載のゴンドラ装置において、作業床の左右の傾きを矯正するために、作業床の左端部を吊り下げる左用索条を巻き取る巻取ドラムおよび当該巻取ドラムを回転駆動するドラム駆動装置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条を巻き取る巻取ドラムおよび当該巻取ドラムを回転駆動するドラム駆動装置とを別々に設けることも考えられるが、この場合、ゴンドラ本体が大型化するとともに、コストが高くなる。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、比較的安いコストで作業床の左右の傾きを矯正しうるゴンドラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)建築物の屋上に設けられたゴンドラ本体と、ゴンドラ本体に設けられた巻取ドラムと、巻取ドラムに巻かれた複数本の吊り下げ用索条と、巻取ドラムを回転駆動して索条の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置と、ゴンドラ本体に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラムから導かれた索条を先端部から垂下させるアーム状の支持機構と、左右両端部が、それぞれ支持機構の先端部から垂下した左右同数の索条によって吊り下げられている作業床とを備えているゴンドラ装置であって、
ゴンドラ本体に、作業床の左端部を吊り下げる左用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置と、作業床の右端部を吊り下げる右用索条における作業床に対する吊り点の上下方向の位置とを変更して作業床の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置が設けられており、傾き矯正装置が、全索条と同数のシーブからなりかつ巻取・繰出し時の索条の移動方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群と、左用索条と同数のシーブからなるとともに左用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第1テークアップシーブ群と、右用索条と同数のシーブからなるとともに右用索条が掛けられ、かつ両案内シーブ群間に配置された第2テークアップシーブ群と、第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることにより、前記両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を互いに異なるように変更しうる移動手段とからなり、前記移動手段が、長手方向を同方向に向けるとともに歯が対向した状態で長手方向に移動可能に配置された第1および第2の2つのラックと、両ラック間に配置されかつ両ラックに噛み合って両ラックを逆方向に移動させるピニオンと、ピニオンを回転駆動させる駆動源とからなり、一方の第1ラックの長手方向一端部に第1テークアップシーブ群が設けられ、他方の第2ラックの長手方向における第1テークアップシーブ群と同一端部に第2テークアップシーブ群が設けられているゴンドラ装置。
【0010】
2)前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも前方に設けられている上記1)記載のゴンドラ装置。
【0011】
3)前記矯正装置が、ゴンドラ本体における巻取ドラムよりも上方に設けられている上記1)記載のゴンドラ装置
【発明の効果】
【0012】
上記1)~3)のゴンドラ装置によれば、傾き矯正装置において、移動手段により第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を移動させることによって、両案内シーブ群間での左用索条および右用索条の経路長を互いに異なるように変更することができ、その結果左用索条の作業床に対する吊り点の上下方向の位置および右用索条の作業床に対する吊り点の上下方向の位置を変更することが可能になる。したがって、作業床の左右の傾きを矯正して水平状態(ほぼ水平に近い状態も含む。以下、同じ)に維持することができる。しかも、建築物の外壁面のメンテナンスを、人員に代わって多関節ロボットに行わせる場合には、作業床を水平に維持することが効果的であると考えられる。さらに、左用索条および右用索条のそれぞれについて巻取ドラムおよびドラム駆動装置を用意する場合に比べて、ゴンドラ本体を小型化することができるとともにコストが安くなる。
【0013】
上記1)のゴンドラ装置によれば、駆動源により1つのピニオンを回転させるだけで第1テークアップシーブ群および第2テークアップシーブ群を反対方向に移動させることが可能になるので、一方の索条の作業床に対する吊り点を下げると同時に他方の索条の作業床に対する吊り点を上げることによって作業床の左右の傾きを矯正することができる。したがって、傾き矯正装置におけるラックの長手方向のスペースを比較的小さくすることができる。しかも、作業床全体の重心レベルがほとんど変化せず、駆動源、たとえばモータの容量を小さくすることができる
【0014】
上記3)のゴンドラ装置によれば、上記2)のゴンドラ装置に比べて、建築物の屋上において、ゴンドラ本体が占める前後方向のスペースを小さくすることができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明によるゴンドラ装置の全体構成を示す一部分を省略した側面図である。
図2図1のゴンドラ装置の全体構成を概略的に示す側面図である
図3図1のゴンドラ装置における支持アーム先端から垂下した索条に吊り下げられた作業床を示す正面図である。
図4図1のゴンドラ装置の一部分を拡大して示す側面図である。
図5図1のゴンドラ装置の台車を拡大して示す平面図である。
図6図4のA-A線断面図である。
図7図6の部分拡大図である。
図8図7のB-B線断面図である。
図9図8のC-C線断面図である。
図10】作業床の左右の傾きを矯正する際の傾き矯正装置の動作を示す図6相当の図であり、(a)は右端部が上、左端部が下となるように作業床が傾いた場合の傾き矯正装置の矯正動作を示し、(b)は左端部が上、右端部が下となるように作業床が傾いた場合の傾き矯正装置の矯正動作を示す。
図11】この発明によるゴンドラ装置に用いられる傾き矯正装置の変形例を示す図4相当の図である。
図12図11の傾き矯正装置を示す図6相当の図である。
図13】この発明によるゴンドラ装置に用いられる台車の変形例を示す図1相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1および図2はこの発明によるゴンドラ装置の全体構成を示し、図3図10は要部の構成を示す。
【0018】
図1図3において、窓拭きなどの建築物外壁面のメンテナンスに用いられるゴンドラ装置(1)は、建築物の屋上に設けられた台車(2)(ゴンドラ本体)と、台車(2)に設けられた巻取ドラム(3)と、一端側が巻取ドラム(3)に巻かれた複数本、ここでは4本のワイヤロープ(41)(42)(索条)からなるワイヤロープ群(4)と、台車(2)に設けられかつ巻取ドラム(3)を回転駆動してワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)の巻取・繰出しを行うドラム駆動装置(5)と、台車(2)に設けられて先端部が所望の位置に移動させられ、かつ巻取ドラム(3)から導かれたワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)を先端部から垂下させる伸縮自在の支持アーム(6)(アーム状の支持機構)と、左右両端部においてそれぞれ支持アーム(6)の先端部から垂下した左右同数、ここでは2本のワイヤロープ(41)(42)によって吊り下げられている作業床(7)と、台車(2)に設けられて作業床(7)の左右の傾きを矯正する傾き矯正装置(8)とを備えている。
【0019】
台車(2)は、建築物の屋上に敷設されたガイドレール(21)に沿って移動可能に設けられた走行部(22)と、走行部(22)に鉛直軸周りに回転自在に設けられた機器搭載部(23)とからなり、機器搭載部(23)に巻取ドラム(3)、ドラム駆動装置(5)、支持アーム(6)および傾き矯正装置(8)が設けられている。また、機器搭載部(23)における巻取ドラム(3)の上斜め後方の部分に、ワイヤロープ(41)(42)と同数のシーブからなり、かつ巻取ドラム(3)から延びるワイヤロープ(41)(42)の向きを前方に変える転向シーブ群(24)が設けられている。さらに、機器搭載部(23)に、ゴンドラ操作盤(25)、作業床(7)の昇降および傾き矯正を行う制御装置(27)を有するゴンドラ制御盤(26)、無線受信機(28)などが設けられている。
【0020】
図4および図5に示すように、巻取ドラム(3)は左右方向に延びる水平回転軸(31)を有しており、水平回転軸(31)の左右両端部が転がり軸受(32)によって機器搭載部(23)の左右両側部材(231)に回転自在に支持されている。巻取ドラム(3)の外周には、径方向外方に突出するように複数のフランジ(33)が左右方向に間隔をおいて設けられており、これにより巻取ドラム(3)の外周にワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)の本数と等しい数の巻取領域(34)が形成されている。各巻取領域(34)に、1本のワイヤロープ(41)(42)が巻かれている。なお、図示は省略したが、巻取ドラム(3)の下方には、ワイヤロープ(4)と同数の案内シーブと、案内シーブをワイヤロープ(4)の巻移動に同調させて巻取ドラム(3)の軸方向に移動させるトラバーサ装置が設けられている。
【0021】
ワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)は、巻取ドラム(3)から繰り出されて上斜め後方に延びており、転向シーブ群(24)において前方に向きを変えられて傾き矯正装置(8)に導かれている。ワイヤロープ群(4)のうちの2本は、作業床(7)の左端部を吊り下げる左用ワイヤロープ(41)であり、他の2本は、作業床(7)の右端部を吊り下げる右用ワイヤロープ(42)である。
【0022】
ドラム駆動装置(5)は、モータ(51)と、モータ(51)の駆動軸(図示略)に取り付けられた小径平歯車(52)と、巻取ドラム(3)の回転軸(31)に取り付けられかつ小径平歯車(52)と噛み合う大径平歯車(53)とを備えている。
【0023】
支持アーム(6)は、台車(2)の機器搭載部(22)の前端部に水平軸線周りに上下方向に揺動しうるように取り付けられており、シリンダ(61)により起伏自在となっている。支持アーム(6)には、ワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)と同数のシーブ(621)からなる複数のアーム側案内シーブ群(62)が支持アーム(6)の長手方向に間隔をおいて設けられており、傾き矯正装置(8)から延びてきたワイヤロープ群(4)がアーム側案内シーブ群(62)を経て支持アーム(6)の先端部に導かれている。
【0024】
支持アーム(6)の先端部には、複数のシーブからなる配索シーブ群(63)を複数備えており、かつ4本のワイヤロープ(41)(42)を、前後方向に間隔をおくように2本の左用ワイヤロープ(41)と2本の右用ワイヤロープ(42)に分けて垂下させる配索装置(64)が設けられている。左用ワイヤロープ(41)は作業床(7)の左端部の前後両端を、作業床(7)に対する吊り点(P1)が上下方向の同一位置に来るように吊り下げ、右用ワイヤロープ(42)は作業床(7)の左端部の前後両端を、作業床(7)に対する吊り点(P2)が上下方向の同一位置に来るように吊り下げる。配索装置(64)の構成は公知であり、詳細な図示および説明は省略する。
【0025】
作業床(7)には、作業床操作盤(71)、作業床(7)の左右の傾きの傾斜量を検出し、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えているか否かを判別するとともに、傾斜量が閾値を超えている場合の傾斜方向を判別してそれに応じた判別信号を出力する傾斜センサ(72)、および傾斜センサ(72)から出力される判別信号を台車(2)の機器搭載部(22)の無線受信機(28)に送る無線送信機(73)などが設けられている。
【0026】
傾き矯正装置(8)は、作業床(7)の左端部を吊り下げる左用ワイヤロープ(41)における作業床(7)に対する吊り点(P1)の上下方向の位置と、作業床(7)の右端部を吊り下げる右用ワイヤロープ(42)における作業床(7)に対する吊り点(P2)の上下方向の位置とを変更して作業床(7)の左右の傾きを矯正するものである。
【0027】
図4図6に示すように、傾き矯正装置(8)は、ワイヤロープ群(4)のワイヤロープ(41)(42)と同数、ここでは4つのシーブ(811)(821)からなりかつ巻取・繰出し時のワイヤロープ(41)(42)の移動方向、ここでは前後方向に間隔をおいて配置された2つの案内シーブ群(81)(82)と、左用ワイヤロープ(41)と同数、ここでは2つのシーブ(831)からなるとともに左用ワイヤロープ(41)が掛けられ、かつ両案内シーブ群(81)(82)間に配置された第1テークアップシーブ群(83)と、右用ワイヤロープ(42)と同数、ここでは2つのシーブ(841)からなるとともに右用ワイヤロープ(42)が掛けられ、かつ両案内シーブ群(81)(82)間に配置された第2テークアップシーブ群(84)と、前記両案内シーブ群(81)(82)間でのワイヤロープ(41)(42)の経路長を変更しうるように第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)を移動させる移動手段(9)とからなる。2つの案内シーブ群(81)(82)および両テークアップシーブ群(83)(84)のシーブ(811)(821)(831)(841)は、左右方向に延びる水平軸線の周りに回転自在である。
【0028】
図6図9に示すように、移動手段(9)は、長手方向を上下方向(同方向)に向けるとともに歯(901)(911)が対向した状態で上下方向に移動可能に配置された鉛直状の第1および第2の2つのラック(90)(91)と、両ラック(90)(91)間に水平軸線の周りに回転しうるように配置されかつ両ラック(90)(91)に噛み合って両ラック(90)(91)を逆方向に移動させるピニオン(92)と、ピニオン(92)を回転駆動させるモータ(93)(駆動源)とからなる。移動手段(9)の一方の第1ラック(90)の上端部(長手方向一端部)に第1テークアップシーブ群(83)が設けられ、他方の第2ラック(91)の上端部(長手方向における第1テークアップシーブ群(83)と同一端部)に第2テークアップシーブ群(84)が設けられている。
【0029】
移動手段(9)の両ラック(90)(91)、ピニオン(92)およびモータ(93)は、前後左右に間隔をおいて配置されて互いに固定された4本の鉛直状フレーム部材(941)からなるフレーム(94)に設けられている。フレーム部材(941)はフランジ部が左右方向外方を向いた溝形鋼からなり、両ラック(90)(91)およびピニオン(92)は4本のフレーム部材(941)に囲まれた部分に配置され、モータ(93)は、フレーム(94)の後側部分に駆動軸(931)が前側を向くように取り付けられている。
【0030】
第1ラック(90)および第2ラック(91)は横断面H字状であり、前後両側面にそれぞれ上下方向に延びるガイド溝(902)(912)が形成されている。両ラック(90)(91)の前後両側には、モータ(93)の駆動軸(931)を回転自在に支持するとともに、両ラック(90)(91)を上下方向に案内する方形のベース板(95)が配置されている。ベース板(95)にはモータ(93)の駆動軸(931)が通される貫通穴(951)が形成されており、ベース板(95)における貫通穴(951)の周囲の部分に、転がり軸受(97)を介して駆動軸(931)を回転自在に支持する支持部材(96)が取り付けられている。また、両ベース板(95)の互いに対向する面には、両ラック(90)(91)のガイド溝(902)(912)内に嵌まるとともに前後方向に延びる水平軸線の周りに回転自在なガイドローラ(98)と、ガイドローラ(98)の周囲において両ラック(90)(91)の前後両側面に摺接する滑りシュー(99)とが取り付けられている。ガイドローラ(98)および滑りシュー(99)は、両ラック(90)(91)が上下方向に移動する際に両ラック(90)(91)がスムーズに移動するように案内をする。
【0031】
上述した構成のゴンドラ装置(1)において、建築物の外壁面のメンテナンス時には、ゴンドラ操作盤(25)に入力された指示に基づいて、ゴンドラ制御盤(26)は、走行部(22)をガイドレール(21)に沿って移動させるとともに機器搭載部(23)を走行部(22)に対して回転させ、さらに支持アーム(6)を伸縮することにより、支持アーム(6)の先端部を所望の位置に移動させる。これと同時に、ゴンドラ操作盤(25)に入力された指示に基づいて、ゴンドラ制御盤(26)は、ドラム駆動装置(5)により巻取ドラム(3)を駆動してワイヤロープ(41)(42)の巻取・繰出しを行うことによって、作業床(7)を上下方向の所望位置に移動させる。また、作業床(7)に設けられた作業床操作盤(71)によっても、上述のようにして作業床(7)を移動させることができる。
【0032】
図3に実線で示すように、作業床(7)に左右の傾きが生じていない場合、あるいは左右の傾きの度合いが少ない場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値以下であると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、傾き矯正装置(8)は図6に示す状態となっており、第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)は同一高さ位置にある。
【0033】
図3に鎖線で示すように、作業床(7)が、右端部が上、左端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向が左下がりであると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を図6の反時計方向に回転させる。これにより図10(a)に示すように、左用ワイヤロープ(41)が掛けられた第1テークアップシーブ群(83)が取り付けられている第1ラック(90)が下降するとともに、右用ワイヤロープ(42)が掛けられた第2テークアップシーブ群(84)が取り付けられている第2ラック(91)が上昇し、両案内シーブ群(81)(82)間での左用ワイヤロープ(41)の経路長が長くなるとともに、右用ワイヤロープ(42)の経路長が短くなる。その結果、左用ワイヤロープ(41)の作業床(7)に対する吊り点(P1)が上昇して作業床(7)の左端部が上昇するとともに、右用ワイヤロープ(42)の作業床(7)に対する吊り点(P2)が下降して作業床(7)の右端部が下降し、作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【0034】
これとは逆に、作業床(7)が、左端部が上、右端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)が、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向が右下がりであると判別し、これに応じた判別信号が無線送信機(73)から無線受信機(28)に送られ、さらに制御装置(27)に送られた場合は、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を図6の時計方向に回転させる。これにより図10(b)に示すように、左用ワイヤロープ(41)が掛けられた第1テークアップシーブ群(83)が取り付けられている第1ラック(90)が上昇するとともに、右用ワイヤロープ(42)が掛けられた第2テークアップシーブ群(84)が取り付けられている第2ラック(91)が下降し、両案内シーブ群(81)(82)間での左用ワイヤロープ(41)の経路長が短くなるとともに、右用ワイヤロープ(42)の経路長が長くなる。その結果、左用ワイヤロープ(41)の作業床(7)に対する吊り点(P1)が下降して作業床(7)の左端部が下降するとともに、右用ワイヤロープ(42)の作業床(7)に対する吊り点(P2)が上昇して作業床(7)の右端部が上昇し、作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【0035】
上述した実施形態においては、作業床(7)の傾斜センサ(72)が作業床(7)の左右の傾きの傾斜量を検出し、検出した傾斜量が設定されている閾値を超えているか否かを判別するとともに、傾斜量が閾値を超えている場合の傾斜方向を判別してそれに応じた判別信号を出力するようになっているが、これに代えて、傾斜センサ(72)が作業床(7)の左右の傾きの傾斜量を検出してそれに応じた信号を出力し、機器搭載部(22)の制御装置(27)が無線送信機(73)および無線受信機(28)を経て送られてきた傾斜センサ(72)の出力信号に基づいて、検出された傾斜量が設定されている閾値を超えているか否かを判別するとともに、傾斜量が閾値を超えている場合の傾斜方向を判別するようにしてもよい。
【0036】
そして、作業床(7)に左右の傾きが生じていない場合、あるいは左右の傾きの度合いが少ない場合、すなわち傾斜センサ(72)により検出されて無線送信機(73)から無線受信機(28)を経て制御装置(27)に送られてきた傾斜量が、制御装置(27)に設定されている閾値以下の場合は、傾き矯正装置(8)は図6に示す状態となっており、第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)は同一高さ位置にある。
【0037】
また、作業床(7)が、一端部が上、他端部が下となるように比較的大きく傾いた場合、すなわち傾斜センサ(72)により検出されて無線送信機(73)および無線受信機(28)を経て制御装置(27)に送られてきた傾斜量が、制御装置(27)に設定されている閾値を超えた場合、制御装置(27)は傾斜量が設定されている閾値を超えていると判別するとともに傾斜方向がいずれか一方が下がっていると判別し、ゴンドラ制御盤(26)は傾斜量に基づいて傾き矯正装置(8)の移動手段(9)のモータ(93)のモータ軸(931)を回転させ、ピニオン(92)を適当な方向に回転させる。これにより上述した実施形態の場合と同様に作業床(7)の左右の傾きが矯正される。
【0038】
図11および図12は傾き矯正装置の変形例を示す。
【0039】
図11および図12に示す傾き矯正装置(100)における第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)を上下方向に移動させる移動手段(101)は、ピストンロッド(1021)(1031)が上側に位置するよう長手方向を上下方向に向けて配置された第1および第2の2つのシリンダ(102)(103)からなる。一方の第1シリンダ(102)のピストンロッド(1021)の先端部に第1テークアップシーブ群(83)が設けられ、他方の第2シリンダ(103)のピストンロッド(1031)の先端部に第2テークアップシーブ群(84)が設けられている。
【0040】
図13はこの発明によるゴンドラ装置に用いられる台車の変形例を示す。
【0041】
図13に示すゴンドラ装置(10)の台車(11)の場合、傾き矯正装置(8)は、機器搭載部(23)において巻取ドラム(3)の上方に設けられている。一方の案内シーブ群(81)は巻取ドラム(3)の上斜め前方に設けられ、他方の案内シーブ群(82)は一方の案内シーブ群(81)の上斜め前方に設けられている。第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)は、両案内シーブ群(81)(82)の間に前後方向に移動自在に設けられている。両案内シーブ群(81)(82)のシーブ(811)(821)および両テークアップシーブ群(83)(84)のシーブ(831)(841)は、左右方向に延びる水平軸線の周りに回転自在となっている。第1テークアップシーブ群(83)および第2テークアップシーブ群(84)を前後方向に移動させる移動手段としては、上述した実施形態の移動手段(9)および変形例の移動手段(101)のいずれかが用いられる。
【0042】
上述した実施形態において、作業床(7)の左端部は2本の左用ワイヤロープ(41)によって吊り下げられ、右端部は2本の右用ワイヤロープ(42)によって吊り下げられているが、これに限定されるものではなく、左用ワイヤロープ(41)および右用ワイヤロープ(42)の数は適宜変更可能であり、たとえば作業床(7)の左右両端部がそれぞれ1本のワイヤロープによって吊り下げられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明によるゴンドラ装置は、建築物の外壁面のメンテナンスに好適に用いられ、作業床の左右の傾きが容易に矯正される。
【符号の説明】
【0044】
(1)(10):ゴンドラ装置
(2)(11):台車(ゴンドラ本体)
(3):巻取ドラム
(4):ワイヤロープ群
(41):左用ワイヤロープ(左用索条)
(42):右用ワイヤロープ(右用索条)
(5):ドラム駆動装置
(6):支持アーム(支持機構)
(7):作業床
(8):傾き矯正装置
(81)(82):案内シーブ群
(811)(821):シーブ
(83):第1テークアップシーブ群
(831):シーブ
(84):第2テークアップシーブ群
(841):シーブ
(9):移動手段
(90)(91):ラック
(901)(911):歯
(92):ピニオン
(93):モータ(駆動源)