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特開2022-30366情報処理装置、プログラム、情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030366
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/80 20180101AFI20220210BHJP
   G01S 1/68 20060101ALI20220210BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20220210BHJP
【FI】
G16H50/80
G01S1/68
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134350
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北野 圭
【テーマコード(参考)】
5J062
5L099
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB05
5J062CC15
5J062HH09
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】屋内や地下環境において対象者に対して所定の程度近接したことがある人を特定する。
【解決手段】一実施形態に係る情報処理装置は、所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定する情報処理装置である。この情報処理装置は、第1ユーザが所持する第1通信デバイス、第2ユーザが所持する第2通信デバイス、及び、領域内を移動可能な移動体に取り付けられた通信デバイスの時刻の経過に応じた位置情報を取得する位置情報取得部と、移動体に取り付けられた通信デバイスの位置を基準とした所定範囲の第1エリアを設定するエリア設定部と、第1通信デバイスと第2通信デバイスが、第1エリア内に所定の第1時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定する情報処理装置であって、
前記第1ユーザが所持する第1通信デバイス、前記第2ユーザが所持する第2通信デバイス、及び、前記領域内を移動可能な移動体に取り付けられた通信デバイスの時刻の経過に応じた位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記移動体に取り付けられた通信デバイスの位置を基準とした所定範囲の第1エリアを設定するエリア設定部と、
前記第1通信デバイスと前記第2通信デバイスが、前記第1エリア内に所定の第1時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1通信デバイスが前記第1エリアに前記第1時間以上位置する間に、前記第2通信デバイスが、前記移動体に取り付けられた通信デバイスの位置を基準として前記第1エリアの外側の第2エリア内に、所定の第2時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する、
請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1通信デバイスが前記第1エリア内に前記第1時間以上位置した後に、前記第2通信デバイスが前記第1エリア内に所定の第3時間以上位置したか否か判定する、
請求項1又は2に記載された情報処理装置。
【請求項4】
前記第1通信デバイスと前記第2通信デバイスが前記第1エリア内に重複した時間が、重複していない時間を挟んで複数回存在する場合には、前記判定部は、複数回の重複した時間を累積した時間に基づいて判定する、
請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項5】
前記第1通信デバイスと前記第2通信デバイスが前記第1エリア内に重複した時間が、重複していない時間を挟んで複数回存在する場合には、前記判定部は、複数回の重複した時間のうち最長時間に基づいて判定する、
請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記第1通信デバイスが前記第1エリアに前記第1時間以上位置する間に前記第2通信デバイスが前記第2エリア内に重複して位置した時間が、重複して位置していない時間を挟んで複数回存在する場合には、前記判定部は、複数回重複して位置した時間を累積した時間に基づいて判定する、
請求項2に記載された情報処理装置。
【請求項7】
前記第1通信デバイスが前記第1エリアに前記第1時間以上位置する間に前記第2通信デバイスが前記第2エリア内に重複して位置した時間が、重複して位置していない時間を挟んで複数回存在する場合には、前記判定部は、複数回重複して位置した時間のうち最長時間に基づいて判定する、
請求項2に記載された情報処理装置。
【請求項8】
前記領域に進入する複数のユーザの体温を検出する検出部と、
前記複数のユーザの中から体温が所定値以上のユーザを前記第1ユーザとして特定するユーザ特定部と、を備えた、
請求項1から7のいずれか一項に記載された情報処理装置。
【請求項9】
時刻の経過に応じた前記第1通信デバイスの位置情報に基づいて、前記領域内の位置に対する前記第1ユーザの滞在時間の長短を示す情報を表示するための表示データを作成する制御部を備えた、
請求項1から8のいずれか一項に記載された情報処理装置。
【請求項10】
所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定するために、コンピュータを、
前記第1ユーザが所持する第1通信デバイス、前記第2ユーザが所持する第2通信デバイス、及び、前記領域内を移動可能な移動体に取り付けられた通信デバイスの時刻の経過に応じた位置情報を取得する位置情報取得部、
前記移動体に取り付けられた通信デバイスの位置を基準とした所定範囲の第1エリアを設定するエリア設定部、及び、
前記第1通信デバイスと前記第2通信デバイスが、前記第1エリア内に所定の第1時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定するための情報処理方法であって、
前記第1ユーザが所持する第1通信デバイス、前記第2ユーザが所持する第2通信デバイス、及び、前記領域内を移動可能な移動体に取り付けられた通信デバイスの時刻の経過に応じた位置情報を取得し、
前記移動体に取り付けられた通信デバイスの位置を基準とした所定範囲の第1エリアを設定し、
前記第1通信デバイスと前記第2通信デバイスが、前記第1エリア内に所定の第1時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、対象者の位置情報を監視するようにしたシステムが知られている。
例えば特許文献1に記載されたシステムには、監視対象となる徘徊者に、GPS衛星等の測位衛星から電波を受信可能な被検知端末を保持させ、被検知端末が行動許可エリアから出た場合に、端末識別情報と端末位置情報と端末位置情報を得たときの時刻情報とを関連付けた管理情報を、短距離低速無線通信にて所定時間毎に自動送信するように構成したものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-7533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、対象者に対して所定の程度近接したことがある人を特定したい場合がある。例えば、感染症に罹患した特定の対象者に所定の程度近接したことがある人は、同様に罹患する可能性があることから、そのような人を把握することが感染症の蔓延を防止する上で有効であると考えられる。しかし、GPSを利用する場合、GPS受信機を有する人が屋内や地下に位置する場合には、当該人を測位することができない。
【0005】
そこで、本発明は、屋内や地下環境において対象者に対して所定の程度近接したことがある人を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定する情報処理装置であって、前記第1ユーザが所持する第1通信デバイス、前記第2ユーザが所持する第2通信デバイス、及び、前記領域内を移動可能な移動体に取り付けられた通信デバイスの時刻の経過に応じた位置情報を取得する位置情報取得部と、前記移動体に取り付けられた通信デバイスの位置を基準とした所定範囲の第1エリアを設定するエリア設定部と、前記第1通信デバイスと前記第2通信デバイスが、前記第1エリア内に所定の第1時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部と、を備えた情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、屋内や地下環境において対象者に対して所定の程度近接したことがある人を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の接触者追跡システムのシステム構成を示す図である。
図2】例示的なフロアの平面図である。
図3図2にフロアを複数のエリアに区画した例を示す図である。
図4図3に例示的な動線を重ね合わせた図である。
図5】フロア上の感染者タグと被験者タグの位置を例示する図である。
図6】フロア上の感染者タグと被験者タグの位置を例示する図である。
図7】フロア上の感染者タグと被験者タグの位置の変化を例示する図である。
図8】フロア上の感染者タグと被験者タグの位置の変化を例示する図である。
図9】実施形態の接触者追跡システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図10】イベントデータベースのデータ構成を例示する図である。
図11】第1の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
図12】第1の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのサブルーチンを示すフローチャートである。
図13】第1の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのサブルーチンを示すフローチャートである。
図14】第1の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのサブルーチンを示すフローチャートである。
図15】第1の実施形態の接触者追跡システムにおいて感染者のヒートマップの一例を示す図である。
図16】第2の実施形態の接触者追跡システムにおいて第1エリア及び第2エリアを説明する図である。
図17】フロア上の移動体タグと感染者タグの位置の変化を例示する図である。
図18】第2の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのメインルーチンを示すフローチャートである。
図19】第2の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのサブルーチンのフローチャートである。
図20】第2の実施形態の接触者追跡アプリケーションプログラムのサブルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)第1の実施形態
以下では、所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定する情報処理装置の一例として、接触者追跡システム1について説明する。
本実施形態では、所定の感染症を罹患したことが確定した確定感染者(以下、単に「感染者」という。)と、感染者と濃厚接触したか否かの検査対象となる被験者との間の近接の程度を基に、被験者が感染者と濃厚接触した可能性について判定される。すなわち、感染者が第1ユーザの一例であり、被験者が第2ユーザの一例である。
所定の領域は、限定するものではないが、感染者と被験者が共に滞在した可能性のある屋内の場所であれば如何なる場所でもよく、例えば、オフィス、倉庫、工場、店舗等のフロアである。
以下の説明では、ユーザの一例として、職場のオフィスに出入りする従業者を挙げるが、それに限定されない。
接触者追跡システム1では、オフィスのフロアにおいて各従業者が無線タグを所持し、それによって各従業者の位置データを取得できるように構成される。無線タグは、例えば、使用者から各従業者に貸与される。接触者追跡システム1では、感染者である従業者が既知である場合に、感染者以外の従業者である被験者が感染者に濃厚接触した可能性について、各従業者の位置データを基に判定される。
【0010】
(1-1)システム構成
本実施形態の接触者追跡システム1の概略的なシステム構成について図1図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の接触者追跡システム1のシステム構成を示す図であり、正面から見た例示的なフロアFの一部を含む。図2は、図1に示すフロアFの平面図である。図1及び図2では、フロアFの床がXY平面であり、高さ方向がZ方向として規定される。フロアFには、複数の棚SHが配置される。フロアFにおいて棚SHが配置されている領域以外の領域が、従業者Uが行動可能な領域である。なお、フロアFに棚SHを配置することは必須ではない。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の接触者追跡システム1は、受信機3(ロケータ)、中継装置4、エッジサーバ5、及び、アプリケーションサーバ7を含む。図1に示す例では、複数の受信機3がフロアFの天井に配置される。
【0012】
受信機3とエッジサーバ5は、中継装置4を介して通信可能に接続されており、無線タグTのオフィス内での位置を特定する位置特定システムを構成する。受信機3は、オフィス内を移動する従業者Uが所持する無線タグTが放射する電波(ビーコン信号)を受信し、その電波の入射角を測定する。エッジサーバ5は、受信機3が測定した入射角を基に無線タグTのオフィス内の位置(XY平面上の位置)を特定するAOA(Angle of Arrival)方式により無線タグTを測位する。なお、受信機3は、図1の場合と異なり、天井裏側に設置してもよい。
限定しない例では、無線タグTと受信機3の通信は、Bluetooth Low Energy(登録商標;適宜「BLE」と略記する)によって行われる。
位置特定システムは、従業者Uが所持する無線タグTから受信するビーコン信号に基づいて、無線タグTの位置を逐次、測位する。測位タイミングは限定するものではないが、位置データの精度を高める観点から、例えば数100ms毎である。
【0013】
1つの受信機3によっても無線タグTの位置を推定可能であるが、無線タグTから送信されるビーコン信号の受信信号強度(RSSI)の大きさやオフィス面積、オフィスの電波環境に応じて、より多くの受信機3を設けることが、測位精度を高める上で好ましい。なお、無線タグTの測位方法は、AOA方式に限定するものではなく、TOA(Time of Arrival)方式等の他の方法を利用してもよい。
【0014】
無線タグTは、BLEタグとして機能する。このとき、無線タグTから送信されるビーコン信号には、無線タグTを識別するタグIDが含まれる。このタグIDは、無線タグTを所持する従業者と1対1で関連付けられている。位置特定システムでは、ビーコン信号に含まれるタグIDによって無線タグTを特定する。無線タグTに内蔵されるメモリに、対応するタグIDが記録されている。
【0015】
本実施形態の接触者追跡システム1では、オフィスのフロアFを複数のエリアに区画することによって各従業者Uの位置データが管理される。
図3に、図2にフロアFを複数のエリアに区画した例を示す。図3に示す例では、フロアFが5×5のエリアA-1,…,A-5,B-1,…,B-5,C-1,…,C-5,D-1,…,D-5,E-1,…,E-5に区画される。なお、以下で参照される各図では、図3に示すように、棚の領域が一点鎖線で示される。
図4では、無線タグTの例示的な動線FLを、複数のエリアで区画されたフロアF上で示している。図4において、〇印は、位置特定システムによる測位が行われた位置Pを模式的に示している。
【0016】
本実施形態の接触者追跡システム1では、フロアFにおける各従業者Uの位置データ(図4の位置Pによって示される位置データ)を基に、各従業者Uの各エリアに対するINイベント及びOUTイベントが検出される。INイベントは、対象となるエリアに進入するイベントである。OUTイベントは、対象となるエリアを退出するイベントである。
例えば、図4に示す位置データの例では、エリアA5-4に進入するINイベント、エリアA5-4を退出するOUTイベント、エリアA4-4に進入するINイベント、エリアA4-4を退出するOUTイベント、エリアA3-4に進入するINイベント、…、エリアA3-2に進入するINイベントといった具合に、各イベントが検出される。
ここで、隣接するエリア間では、OUTイベントとINイベントが同時に発生する。例えば、エリアA5-4を退出するOUTイベントと、エリアA4-4に進入するINイベントとは、同時に検出される。
【0017】
図1を再度参照すると、エッジサーバ5は、上述したように位置特定システムの一部として機能するとともに、各従業者Uの位置データと、各従業者UのINイベント及びOUTイベントのデータとを、それぞれデータベースとして記録する。
エッジサーバ5は、イベント(INイベント又はOUTイベント)を検出する際の基礎となるエリアマップ(地図情報の一例)を有する。エリアマップは、図3に例示した各エリアの地図情報(各エリアの境界となるXY位置が定義された情報)である。
図1に示すように、エッジサーバ5とアプリケーションサーバ7は、ネットワークNWを介して通信可能に構成される。ネットワークNWは、限定するものではないが、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等である。
エッジサーバ5は、アプリケーションサーバ7からの問合せに対して応答するためのAPI(Application Programming Interface)を有する。
【0018】
アプリケーションサーバ7には、接触者追跡アプリケーションプログラム(以下、「追跡アプリケーション」と略記する。)がインストールされている。
追跡アプリケーションは、各従業者に対応付けられたイベントのデータ(イベントデータ)をエッジサーバ5から取得し、被験者に対する濃厚接触の可能性についての判定処理を行う。追跡アプリケーションによる判定結果は、例えば図示しない使用者端末からアクセス可能である。
【0019】
(1-2)感染者に対する濃厚接触の可能性の判定例
次に、図5図8を参照して、被験者の感染者に対する濃厚接触の可能性の判定例について説明する。
【0020】
(A)被験者と感染者が同一エリアに位置する場合(図5
図5では、感染者タグITと被験者タグTT1,TT2が、同一エリアA4-4に位置する場合を示している。感染者と被験者が同一エリアに極短時間、同時に滞在した場合であっても、被験者が感染者と濃厚接触する可能性はほとんどない。しかし、感染者と被験者が同一エリアにある程度長い同時に滞在した場合、当該被験者は、感染者と濃厚接触した可能性がある。ここで、本実施形態の接触者追跡システム1では、感染者との濃厚接触の可能性について、感染者と被験者が同一エリアに滞在した時間を基に判定される。
図5の例では、感染者タグITと被験者タグTT1,TT2が所定の閾値となる時間以上、同一エリアA4-4に位置する場合には、被験者タグTT1,TT2に対応する被験者が感染者タグITに対応する感染者と濃厚接触した可能性が高いと判定される。
【0021】
(B)被験者と感染者が隣接エリアに位置する場合(図6
図6では、感染者タグITと被験者タグTT3,TT4,TT5,TT6が、隣接するエリアに位置する場合を示している。被験者と感染者が隣接するエリアに滞在することは、被験者と感染者が同一エリアに滞在する場合と比較して、概して被験者の感染の可能性が低いと考えられる。しかし、例えば、図6の被験者タグTT4,TT5に示すように、被験者が感染者と隣接するエリアに位置する場合であっても、実際には、被験者が感染者と近接した位置にいる場合がある。そこで、本実施形態の接触者追跡システム1では、感染者との濃厚接触の可能性について、感染者と被験者が隣接エリアに滞在する場合でも判定される。
図6の例では、感染者タグITと被験者タグTT3,TT4,TT5,TT6が所定の閾値となる時間以上、隣接エリアに位置する場合には、被験者タグTT3,TT4,TT5,TT6に対応する被験者が感染者タグITに対応する感染者と濃厚接触した可能性があると判定される。
【0022】
(C)感染者が滞在していたエリアに被験者が位置する場合(図7及び図8
図7及び図8では、状態ST1→ST2→ST3→ST4の順に、各タグが移動する場合が想定される。感染者タグITは、状態ST1ではエリアA4-4に位置し、そこから移動して状態ST2ではエリアA2-4に位置し、そこから移動して状態ST3ではエリアA2-3に位置し、そこから移動して状態ST4ではフロアから退出している。
感染者が滞在した位置の周辺では、例えば感染者が棚等の設備に触れ、また、感染者の飛沫が放出されるため、感染者がその位置を離れた後もウィルスが残留している可能性がある。そこで、本実施形態の接触者追跡システム1では、感染者が所定の閾値となる時間以上滞在したエリアを汚染エリアとみなし、感染者が汚染エリアから別のエリアに移動した後に汚染エリアに所定の閾値となる時間滞在した被験者は、感染者と濃厚接触した可能性があると判定される。すなわち、被験者は、感染者との間の距離ではなく、汚染エリアに滞在したか否かに基づいて濃厚接触の可能性が判定される。
【0023】
例えば、図7及び図8に示す例では、感染者タグITに対応する感染者は、エリアA4-4,A2-4,A2-3に所定の閾値となる時間以上滞在したと判定され、汚染エリア(模様が付されたエリア)と判断されている。なお、エリアA3-4は、感染者がエリアA4-4からエリアA2-4に移動する際に短時間滞在したに過ぎないため、汚染エリアと判断されていない。被験者タグTT7,TT8,TT9,TT10は、感染者が汚染エリアから移動した後に汚染エリアにいることから、汚染エリアに比較的長時間滞在した場合には、感染者と濃厚接触した可能性があると判定される。
【0024】
(1-3)システムの各部の構成
次に、図9及び図10を参照して、本実施形態の接触者追跡システム1の中の受信機3、エッジサーバ5、及び、アプリケーションサーバ7の各部の内部構成について説明する。
図9は、本実施形態の接触者追跡システム1の各装置の内部構成を示すブロック図である。図10は、イベントデータベースのデータ構成を例示する図である。
【0025】
図9に示すように、受信機3は、電波受信部31、入射角測定部32、および、通信部33を備える。
電波受信部31は、無線タグTから送信されるビーコン信号(電波)を受信するアンテナを含む。
入射角測定部32は、電波受信部31で受信した無線タグTからの電波の入射角を測定する。
通信部33は、無線タグTおよびエッジサーバ5と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信部33は、無線タグTからの受信信号を復調する。また、通信部33は、入射角測定部32によって測定された入射角の情報をタグIDと対応付けて、中継装置4を介してエッジサーバ5に送信する。なお、受信機3と中継装置4の通信、及び、中継装置4とエッジサーバ5の通信は、有線でも無線でもよい。
【0026】
図9に示すように、エッジサーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、ソフトウェアを実行することでエッジサーバ5の全体を制御する。
ストレージ52(記憶部の一例)は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置であり、エリアマップ、イベントデータベース(イベントDB)、及び、位置データベース(位置DB)を記憶する。
通信部53は、受信機3及びアプリケーションサーバ7と通信を行うための通信インタフェースである。
【0027】
制御部51のマイクロプロセッサが位置特定モジュール(ソフトウェア)を実行することで、制御部51は、感染者が所持する無線タグの時刻の経過に応じた位置データと、被験者が所持する無線タグの時刻の経過に応じた位置データと、を取得する位置情報取得部として機能する。
制御部51は、受信機3から受信するビーコン信号の入射角の情報に基づいて、無線タグTの位置を特定する。より具体的には、AOA方式を利用する場合、前述したように、受信機3のオフィス内での既知の位置(フロアの所定の位置を基準とした3次元座標の位置)と、受信機3から逐次取得する無線タグTの入射角(電波の到来方向)の情報とに基づいて、時刻の経過に応じた無線タグTのフロア内の位置(フロアのXY座標の位置)を特定(測位)する。無線タグTの測位間隔は、任意に設定してよいが、位置データの精度を高める観点から必要な時間(例えば、数100ms以下)に設定される。
制御部51は、例えば計時手段としてリアルタイムクロックを有している。制御部51は、測位を行った時刻(測位時刻)の情報および無線タグTのタグIDと対応付けて、特定された無線タグTの位置を示す位置データを逐次、位置データベースに記録する。
【0028】
制御部51のプロセッサは、位置データベースに逐次記録される測位時刻の情報、タグIDおよび位置データに基づいて、フロアの各エリアにおける無線タグTのイベントを検出するためのイベント検出モジュール(ソフトウェア)を実行し、イベントデータベースに記録する。
【0029】
図10を参照すると、イベントデータベースのデータ構成例が示される。
イベントデータベースの各レコードは、タグIDごとに、イベント発生時刻、イベント種別、および、エリアIDの各フィールドのデータを含む。各レコードは、イベント発生時刻の順に配列されている。「イベント種別」フィールドのデータは、INイベント又はOUTイベントを示す。「エリアID」フィールドのデータは、INイベント又はOUTイベントが発生したエリアに対応するエリアID(図3で定義されるいずれかのエリア)である。
図10に例示するイベントデータベースから、タグID:00028の無線タグが、2020.10.8 13:21:03~2020.10.8 13:22:12の間、エリアA5-4に位置したことがわかる。
【0030】
制御部51には、アプリケーションサーバ7からの問合せに対して応答するためのAPIを有する。アプリケーションサーバ7からタグIDを特定した問合せを受信した場合、制御部51のAPIは、ストレージ52のイベントデータベースを参照して、タグIDに対応するイベントデータを返す。
【0031】
図9に示すように、アプリケーションサーバ7は、制御部71、ストレージ72、および、通信部73を備える。
制御部71は、マイクロプロセッサを主体として構成され、アプリケーションサーバ7の全体を制御する。マイクロプロセッサが追跡アプリケーションを実行することで、制御部71は判定部として機能する。
すなわち、制御部71は、感染者タグと被験者タグが、同一エリア内に所定の閾値となる時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部として機能する。
制御部71は、感染者タグと被験者タグが、隣接するエリア内に所定の閾値となる時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部として機能する。
制御部71は、感染者タグが所定の閾値となる時間以上位置したエリア(すなわち、上述した汚染エリア)を感染者タグが離れた後に、被験者タグが所定の閾値となる時間以上、当該汚染エリア内に位置したか否か判定する判定部として機能する。
追跡アプリケーションの具体的な処理については、後述する。
【0032】
ストレージ72は、例えばHDD等の大規模記憶装置であり、判定結果データベースを有する。制御部71は、追跡アプリケーションの実行結果(被験者ごとの判定結果)を判定結果データベースに記録する。
通信部73は、エッジサーバ5との通信を行うための通信インタフェースとして機能する。
【0033】
(1-4)追跡アプリケーションの処理
次に、図11図14を参照して、アプリケーションサーバ7での追跡アプリケーションの処理について説明する。追跡アプリケーションの処理を行うことで、各被験者の濃厚接触の可能性が判定される。
【0034】
図11は、本実施形態の追跡アプリケーションのメインルーチンを示すフローチャートである。なお、メインルーチンを実行する前には、アプリケーションサーバ7には、例えば図示しない使用者端末から感染者タグのタグIDが提供されているものとする。例えば、すべての従業者に対応するタグIDのうち、感染者タグのタグID以外のタグIDが被験者タグに対応する。
追跡アプリケーションは、すべての感染者タグに対応するイベントデータをエッジサーバ5から取得する(ステップS2)。すなわち、追跡アプリケーションは、すべての感染者タグのタグIDを含む問合せをエッジサーバ5のAPIに送信し、対応するイベントデータをエッジサーバ5から取得する。
【0035】
次いで追跡アプリケーションは、すべての被験者タグTTj(j=1,2,…)に対する処理を順に実行する。先ず追跡アプリケーションは、処理対象の被験者タグTTjのイベントデータをエッジサーバ5から取得し(ステップS4)、その後、各感染者タグに対して判定処理P1(ステップS10)、判定処理P2(ステップS20)、及び、判定処理P3(ステップS30)の各処理を行う(ステップS60)。判定処理P1,P2,P3については後述する。
すべての感染者タグに対する処理が終了した場合(ステップS60:YES)、追跡アプリケーションは、処理対象の被験者タグTTjに対する判定結果を判定結果データベースに記録し(ステップS62)、現在の処理対象の被験者タグTTjが最後の被験者タグでなければ(ステップS64:NO)、次の被験者タグに対する処理に移行する。
【0036】
図12は、図11の判定処理P1(サブルーチン)を示すフローチャートであり、被験者と感染者が同一エリアに位置する場合(図5参照)について判断することに対応する。
【0037】
図12において、追跡アプリケーションは、処理対象の被験者タグTTjが処理対象の感染者タグITiと同一エリアにいた時間があるか、各タグのイベントデータを基に判断する(ステップS11)。同一エリアにいた時間がなければ、問題なし(つまり、濃厚接触の可能性はない)と判定される(ステップS12)。
他方、被験者タグTTjが感染者タグITiと同一エリアにいた時間があり(ステップS11:YES)、かつ同一エリアにいた時間の重複時間が閾値TH1(第1時間の一例)以上である場合には(ステップS13:YES)、濃厚接触の可能性が高いと判定される(ステップS14)。
【0038】
図13は、図11の判定処理P2(サブルーチン)を示すフローチャートであり、被験者と感染者が隣接エリアに位置する場合(図6参照)について判断することに対応する。
【0039】
図13において、追跡アプリケーションは、処理対象の被験者タグTTjが処理対象の感染者タグITiと隣接エリアにいた時間があるか、各タグのイベントデータを基に判断する(ステップS21)。隣接エリアにいた時間がなければ、問題なし(つまり、濃厚接触の可能性はない)と判定される(ステップS22)。
他方、被験者タグTTjが感染者タグITiと隣接エリアにいた時間があり(ステップS21:YES)、かつ隣接エリアにいた時間の重複時間が閾値TH2(第2時間の一例)以上である場合には(ステップS23:YES)、被験者タグTTjに対応する被験者は、感染者に対して濃厚接触の可能性があると判定される(ステップS24)。重複時間が閾値TH2未満である場合には(ステップS23:NO)、問題なし(つまり、濃厚接触の可能性はない)と判定される(ステップS22)。
判定処理P2において、ステップS24の判断を「濃厚接触の可能性がある」と判断するのは、同一エリアにいる場合についての図12のステップS14よりも、濃厚接触の可能性を低く判断することが適切であると考えられるためである。
【0040】
図14は、図11の判定処理P3(サブルーチン)を示すフローチャートであり、感染者が滞在していたエリアに被験者が位置する場合(図7及び図8参照)について判断することに対応する。
【0041】
図14において、追跡アプリケーションは、処理対象の感染者タグITiが所定時間(閾値TH3(第3時間の一例))以上位置したエリアを特定する。特定されたエリアは、汚染エリアに相当する。図示しないが、汚染エリアが特定されない場合は、判定処理P3を行う必要はない。判定処理P3においてステップS32以降の処理は、ステップS31において汚染エリアが特定された場合が想定される。
ステップS31で特定されたエリア(汚染エリア)を処理対象の感染者タグITiが離れてから所定時間(例えば、7日等)経過した場合には、汚染エリアに存在していたウィルスは不活性化していると考えられる。そのため、汚染エリアにおいて感染者が触れた設備等に付着したウィルスの感染力も消失していると考えられる。そこで、感染者タグITiが離れてから所定時間経過した場合には(ステップS32:YES)、問題なし(つまり、濃厚接触の可能性はない)と判定される(ステップS33)。感染者タグITiが離れてから所定時間経過していない場合には(ステップS32:NO)、ステップS34に進む。
追跡アプリケーションは、ステップS31で特定された汚染エリアを処理対象の感染者タグITiが離れた後に、処理対象の被験者タグTTjが汚染エリアに位置したか否か判断する(ステップS34)。被験者タグTTjが汚染エリアに位置していなければ、問題なし(つまり、濃厚接触の可能性はない)と判定される(ステップS33)。
被験者タグTTjが汚染エリアに位置していた場合であっても汚染エリアにおける滞在時間が所定の閾値TH4未満である場合には(ステップS35:NO)、問題なしと判定される(ステップS33)。
被験者タグTTjが汚染エリアに位置し、その滞在時間が閾値TH4(第4時間の一例)以上である場合には(ステップS35:YES)、濃厚接触の可能性があると判定される(ステップS36)。
【0042】
なお、判定処理P1のステップS13、及び、判定処理P2のステップS23では、重複時間が閾値と比較されるが、この重複時間の決定方法については、以下のいずれかとすることができる。各ステップで(i)と(ii)のいずれかの決定方法を個別に設定してもよい。
(i)重複時間が、重複していない時間を挟んで複数回存在する場合には、複数回の重複した時間を累積した時間とする。
(ii)重複時間が、重複していない時間を挟んで複数回存在する場合には、複数回の重複した時間のうち最長時間とする。
(i)は、ウィルスの残存時間が長く、複数回の重複時間が存在した場合には、ウィルスと接触するリスクが、重複時間の累積時間に応じて高くなる、という考え方に基づく。(ii)は、複数回の重複時間が存在した場合でも、重複していない時間の間に換気されるため、複数回の重複時間のうちウィルスの残存時間が長い最長時間のみを考慮すればよい、という考え方に基づく。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の接触者追跡システム1では、感染者タグと被験者タグが、同一エリア内に同時に位置した時間(重複時間)が所定の閾値となる時間以上であるか否かに基づいて、被験者の感染者に対する濃厚接触の可能性が判定される。このとき、判定の基礎となる感染者タグ及び被験者タグの位置データは、各タグが発信するビーコン信号に基づいて個別に取得される。そのため、屋内や地下環境において、感染者に対して所定の程度近接したことがある被験者を特定することができる。
【0044】
本実施形態の接触者追跡システム1では、感染者タグと被験者タグが、隣接するエリア内に所定の閾値となる時間以上の重複した時間、位置したか否か判定される。感染者と同一エリアだけでなく隣接エリアに位置した被験者も評価することで、濃厚接触の可能性がある被験者を漏れなく抽出することができる。特に、被験者が感染者と隣接するエリアにいたものの実際にはエリアの境界を挟んで両者が近接して位置していた場合、隣接エリアに位置した被験者を評価することが有効となる。
【0045】
本実施形態の接触者追跡システム1では、感染者タグが所定の閾値となる時間以上位置したエリアである汚染エリアを感染者タグが離れた後に、被験者タグが所定の閾値となる時間以上、当該汚染エリア内に位置したか否か判定する。すなわち、感染者と被験者との間の距離ではなく、被験者が汚染エリアに滞在したか否かに基づいて、被験者の濃厚接触の可能性を判定することができる。
【0046】
(1-5)変形例
以下、本実施形態の接触者追跡システム1の変形例について説明する。
【0047】
(変形例1)
変形例1では、フロアFに進入する従業者の体温を検出する温度センサ(検出部の一例)が設けられる。エッジサーバ5は、温度センサと通信可能である。
エッジサーバ5の制御部51は、温度センサによって検出された従業者の体温のデータを基に、従業者の中から体温が所定値以上の従業者を感染者として特定するユーザ特定部として機能する。
この変形例では、感染者を事前に把握できていない場合であっても、体温が高く感染の疑いのある従業者を特定することができ、感染の疑いのある従業者と濃厚接触の可能性がある他の従業者を特定することができる。
【0048】
(変形例2)
本実施形態の接触者追跡システム1において、エッジサーバ5は、フロア内の各従業者の位置データを逐次、位置データベースに記録している。そのため、アプリケーションサーバ7は、例えば感染者タグの時刻の経過に応じた位置データをエッジサーバ5から取得し、当該位置データに基づいて、図15に例示するようなヒートマップを作成することができる。
すなわち、アプリケーションサーバ7の制御部71は、時刻の経過に応じた感染者タグの位置情報に基づいて、ヒートマップ(つまり、フロア内の位置に対する感染者の滞在時間の長短を示す情報)を表示するための表示データを作成してもよい。例えば図示しない使用者端末は、アプリケーションサーバ7が作成した表示データを基に、ヒートマップを表示部に表示する。それによって、フロアF内で感染者が主として滞在した領域を特定することができるため、当該領域を重点的に消毒等することができる。
【0049】
(2)第2の実施形態
以下、第2の実施形態の接触者追跡システムについて、図16図20を参照して説明する。なお、以下で特記する事項以外、本実施形態の接触者追跡システムは、第1の実施形態と同様の構成(図1図9参照)をとることができる。
【0050】
(2-1)システムの概要
本実施形態の接触者追跡システムは、フロアを感染者が移動体に乗車して移動する場合を想定し、当該感染者に対して濃厚接触の可能性がある被験者を特定するように構成される。移動体は、限定するものではないが、工場や倉庫等のフロアを移動可能であれば如何なるものでもよく、例えば、無人搬送機、フォークリフト等の動力機構を備えたものに限られず、かご車や台車等の人力で動作させるものであってもよい。
被験者が感染者と共に移動体に乗車(滞在)した場合、感染者と被験者の距離が近い状態が継続的に続くことから、本実施形態の接触者追跡システムは、所定の条件の下で感染者と共に当該移動体に乗車した被験者に対して濃厚接触の可能性があると判定する。
また、感染者が移動体に所定時間以上乗車していた場合、感染者が当該移動体を触れたと考えられる。その場合、感染者が移動体を降車した後も当該移動体とその周辺の領域にウィルスが残存している可能性が高い。そこで、本実施形態の接触者追跡システムは、当該移動体とその周辺の領域を汚染エリアと判断し、汚染エリアに滞在した被験者(例えば、当該移動体に乗車した被験者)に対して、一定条件下で濃厚接触の可能性があると判定する。
【0051】
本実施形態の接触者追跡システムのシステム構成は、以下の点を除き、概ね第1の実施形態と同じである。
・移動体には、無線タグである移動体タグが取り付けられている。移動体タグは、上述した無線タグTと同様に、BLEタグとして機能する。移動体タグは、移動体タグを識別するタグIDを含むビーコン信号を発信する。当該タグIDは、個々の移動体と関連付けられる。
・位置特定システム(つまり、受信機3及びエッジサーバ5)は、移動体タグから発信されるビーコン信号に基づいて、従業者が所持する無線タグTと同様に、フロアを移動する移動体を測位する。時刻の経過に応じた移動体タグの位置データは、エッジサーバ5の位置データベースに記録される。
・アプリケーションサーバ7は、エッジサーバ5のAPIを介してエッジサーバ5から、感染者タグ、被験者タグ、移動体タグの位置データを取得する。
【0052】
(2-2)本実施形態の濃厚接触の可能性の判定の概要
次に、本実施形態の濃厚接触の可能性の判定の概要について、図16及び図17を参照して説明する。
本実施形態の接触者追跡システムでは、第1の実施形態とは異なり、フロアを複数のエリアに区画せず、移動体の位置を基準としてエリアが設定される。したがって、フロアにおける移動体の移動に伴ってエリアも移動することになる。
【0053】
図16は、本実施形態の移動体10を平面視で見た場合のエリアの設定方法を説明する図である。この例では、移動体タグVTが移動体10の中央付近に設置されている。第1エリアVA1は、移動体タグVTの位置を基準として所定の円領域として設定される。第2エリアVA2は、移動体タグVTの位置を基準として、第1エリアVA1の外側の領域として設定される。
図16に示す例では、感染者が移動体10に乗車している場合が想定され、感染者タグITが第1エリアVA1内に位置している。被験者タグTT2に対応する被験者は、感染者と共に移動体10に乗車している場合が想定される。被験者タグTT1に対応する被験者が第1エリアVA1内に位置し、被験者タグTT3,TT4が第2エリアVA2内に位置している。
【0054】
(A)被験者と感染者が第1エリアVA1に位置する場合
感染者と被験者が同じ第1エリアVA1に極短時間、同時に滞在した場合であっても、被験者が感染者と濃厚接触する可能性はほとんどない。しかし、感染者と被験者が第1エリアVA1にある程度長い同時に滞在した場合、当該被験者は、感染者と濃厚接触した可能性がある。ここで、本実施形態の接触者追跡システムでは、感染者との濃厚接触の可能性について、感染者と被験者が第1エリアVA1に滞在した時間を基に判定される。
図16の例では、感染者タグITと被験者タグTT1,TT2が所定の閾値となる時間以上、第1エリアVA1に位置する場合には、被験者タグTT1,TT2に対応する被験者が感染者タグITに対応する感染者と濃厚接触した可能性が高いと判定される。
【0055】
(B)被験者が第2エリアVA2に位置する場合
被験者が第2エリアVA2に滞在することは、被験者と感染者が同じ第1エリアVA1に滞在する場合と比較して、概して被験者の感染の可能性が低いと考えられる。しかし、例えば、図16の被験者タグTT4に示すように、被験者が第2エリアVA2に位置する場合であっても、実際には、被験者が感染者と近接した位置する場合がある。そこで、本実施形態の接触者追跡システムでは、感染者との濃厚接触の可能性について、被験者が、第1エリアVA1の外側の第2エリアVA2に滞在する場合でも判定される。
図16の例では、感染者タグITと被験者タグTT3,TT4が所定の閾値となる時間以上、第2エリアVA2に位置する場合には、被験者タグTT3,TT4に対応する被験者が感染者タグITに対応する感染者と濃厚接触した可能性があると判定される。
【0056】
(C)感染者が降車した移動体に被験者が乗車する場合
図17では、状態ST1→ST2→ST3→ST4の順に、各タグが移動する例が図示される。図17では、感染者が移動体10に乗車して移動し、その後に降車して別の場所に移動する場合が想定される。すなわち、感染者が移動体10に乗車して状態ST1から状態ST2となるまで移動し、それによって感染者タグITが継続的に第1エリアVA1内に位置する。状態ST3になると、感染者は移動体10から降車し、それに伴って感染者タグITが第1エリアVA1の外側に移動する。状態ST4では、被験者タグTT5に対応する被験者が移動体10に乗車する。
【0057】
この場合、感染者が乗車した移動体10とその周辺の領域では、例えば感染者が移動体10の設備に触れ、また、感染者の飛沫が放出されるため、感染者がその領域を離れた後もウィルスが残留している可能性がある。そこで、本実施形態の接触者追跡システムでは、感染者が第1エリアVA1内に所定の閾値となる時間以上滞在した場合、第1エリアVA1を汚染エリアとみなし、感染者が汚染エリアから別のエリアに移動した後に汚染エリア(第1エリアVA1)に所定の閾値となる時間滞在した被験者は、感染者と濃厚接触した可能性があると判定される。すなわち、被験者は、感染者との間の距離ではなく、汚染エリア(第1エリアVA1)に滞在したか否かに基づいて、感染者に対する濃厚接触の可能性が判定される。
【0058】
例えば、図17に示す例では、状態ST3に至るまでに第1エリアVA1内に感染者が所定の閾値となる時間以上滞在(乗車)した場合には、第1エリアVA1が汚染エリアとみなされる。その場合、感染者が移動体10を降車した後に第1エリアVA1に進入した被験者(状態ST4の被験者タグTT5に対応する被験者)が比較的長時間、第1エリアVA1内に滞在(乗車)した場合には、感染者と濃厚接触した可能性があると判定される。
【0059】
上述した判定を実行する上で、本実施形態のアプリケーションサーバ7の制御部71は、マイクロプロセッサが追跡アプリケーションを実行することで、以下のエリア設定部及び判定部として機能する。
すなわち、制御部71は、移動体に取り付けられた移動体タグの位置を基準とした所定範囲の第1エリアを設定するエリア設定部として機能する。
制御部71は、感染者タグと被験者タグが、第1エリア内に所定の第1時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部として機能する。
制御部71は、感染者タグが第1エリアに第1時間以上位置する間に、被験者タグが、移動体に取り付けられた移動体タグの位置を基準として第1エリアの外側の第2エリア内に、所定の第2時間以上の重複した時間、位置したか否か判定する判定部として機能する。
制御部71は、感染者タグが第1エリア内に第1時間以上位置した後に、被験者タグが第1エリア内に所定の第3時間以上位置したか否か判定する判定部として機能する。
【0060】
(2-3)追跡アプリケーションの処理
次に、図18図20を参照して、本実施形態のアプリケーションサーバ7での追跡アプリケーションの処理について説明する。追跡アプリケーションの処理を行うことで、各被験者の濃厚接触の可能性が判定される。
【0061】
図18は、本実施形態の追跡アプリケーションのメインルーチンを示すフローチャートである。なお、メインルーチンを実行する前には、アプリケーションサーバ7には、例えば図示しない使用者端末から感染者タグのタグIDが提供されているものとする。例えば、すべての従業者に対応するタグIDのうち、感染者タグのタグID以外のタグIDが被験者タグに対応する。
追跡アプリケーションは、先ず、感染者タグ、被験者タグ、及び、移動体タグのすべてについて位置データをエッジサーバ5から取得する(ステップS6)。すなわち、追跡アプリケーションは、すべてのタグのタグIDを含む問合せをエッジサーバ5のAPIに送信し、対応する位置データをエッジサーバ5から取得する。
【0062】
次いで追跡アプリケーションは、すべての移動体タグVT_k(k=1,2,…)に対する処理を順に実行する。先ず追跡アプリケーションは、処理対象の移動体タグVT_kに対して判定処理P4(ステップS40)及び判定処理P5(ステップS50)の各処理を行い、判定結果を判定結果データベースに記録する(ステップS65)。判定処理P4,P5については後述する。
ステップS40,S50,S65は、すべての移動体タグに対して順次行われる(ステップS66:NO)。
【0063】
図19は、図18の判定処理P4(サブルーチン)を示すフローチャートであり、図16を参照して説明した内容に対応する。
【0064】
図19において、追跡アプリケーションは、先ず、処理対象の移動体タグVT_kの周囲に第1エリアVA1_kを設定し(ステップS41)、第1エリアVA1_k内で、感染者滞在期間が特定されたか否か判定する(ステップS42)。感染者滞在期間とは、処理対象となる第1エリアVA1_k内にいずれかの感染者タグが所定の閾値となる時間以上、滞在した期間を意味する。例えば、感染者がある程度長い時間、移動体に乗車した場合には、当該移動体を基準とした第1エリアVA1内で感染者滞在期間が特定される。
感染者滞在期間が特定されなければ(ステップS42:NO)、感染者がある程度長い期間、移動体に滞在したことがないことから、判定処理を進める必要がなく、メインルーチンに戻る。
【0065】
感染者滞在期間が特定された場合(ステップS42:YES)、追跡アプリケーションは、当該感染者滞在期間において、第1エリアVA1_k内に所定時間(第1時間の一例)以上位置した被験者タグが存在するか否か判定する。条件を満たす被験者タグが存在する場合(ステップS43:YES)、当該被験者タグに対応する被験者について、感染者に対する濃厚接触の可能性が高いと判定される(ステップS44)。これは、当該被験者が感染者と同乗する等、移動体を基準とした比較的狭い第1エリア内に、当該被験者が感染者と所定時間以上同時に滞在した場合に相当する。
【0066】
ステップS43において、条件を満たす被験者タグが存在しない場合には(ステップS43:NO)、第1エリアVA1_kの外側の第2エリアについて同様の処理を行う。
すなわち、追跡アプリケーションは、先ず、ステップS41で設定された第1エリアVA1_kの外側に第2エリアVA2_kを設定し(ステップS45)、ステップS42で特定された感染者滞在期間において、第2エリアVA2_k内に所定時間(第2時間の一例)以上位置した被験者タグが存在するか否か判定する。条件を満たす被験者タグが存在する場合(ステップS46:YES)、当該被験者タグに対応する被験者について、感染者に対する濃厚接触の可能性があると判定される(ステップS48)。ステップS48の判断を「濃厚接触の可能性がある」と判断するのは、同一エリアにいる場合についてのステップS44よりも、濃厚接触の可能性を低く判断することが適切であると考えられるためである。
ステップS46で条件を満たす被験者タグが存在しない場合には(ステップS46:NO)、すべての被験者に対して問題なしと判定される(ステップS47)。
【0067】
なお、ステップS43では、感染者滞在期間に被験者タグが第1エリアVA1内に位置していた時間は、感染者タグが第1エリアVA1_k内に位置していた時間と、被験者タグが第1エリアVA1_k内に位置していた時間との重複時間である。
同様に、ステップS46では、感染者滞在期間に被験者タグが第2エリアVA2内に位置していた時間は、感染者タグが第1エリアVA1_k内に位置していた時間と、被験者タグが第2エリアVA2_k内に位置していた時間との重複時間である。
この重複時間の決定方法については、第1の実施形態と同様の考え方から、以下のいずれかとすることができる。各ステップで(i)と(ii)のいずれかの決定方法を個別に設定してもよい。
(i)重複時間が、重複していない時間を挟んで複数回存在する場合には、複数回の重複した時間を累積した時間とする。
(ii)重複時間が、重複していない時間を挟んで複数回存在する場合には、複数回の重複した時間のうち最長時間とする。
【0068】
図20は、図18の判定処理P5(サブルーチン)を示すフローチャートであり、感染者が降車した移動体に被験者が乗車する場合(図17参照)に対応する。
【0069】
図20において、追跡アプリケーションは、感染者滞在期間の経過後に、所定時間経過したか否か判断する(ステップS51)。感染者滞在期間の経過後に所定時間(例えば、7日等)経過した場合には、第1エリアVA1_k内に存在していたウィルスは不活性化していると考えられる。そのため、汚染エリアにおいて感染者が触れた移動体の設備等に付着したウィルスの感染力も消失していると考えられる。そこで、感染者滞在期間後に所定時間経過した場合には(ステップS51:YES)、問題なし(つまり、濃厚接触の可能性はない)と判定される(ステップS52)。感染者滞在期間後に所定時間経過していない場合には(ステップS51:NO)、ステップS53に進む。
ステップS53では、感染者滞在期間の経過後において第1エリアVA1_k内に所定時間(第3時間の一例)以上位置した被験者タグが存在するか否か判定する。これは、例えば、感染者が移動体から降車した後に被験者が当該移動体にある程度の長い時間乗車した場合に相当する。そのような場合、第1エリアVA1_kは汚染エリアであり、例えば、移動体の汚染された設備に被験者が触れた可能性があると考えられる。そこで、条件を満たす被験者が存在する場合(ステップS53:YES)、当該被験者に対して、感染者に対する濃厚接触の可能性があると判定される(ステップS54)。
他方、条件を満たす被験者が存在しない場合(ステップS53:NO)、すべての被験者に対して問題なしと判定される(ステップS52)。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の接触者追跡システムでは、感染者タグと被験者タグが、移動体を基準とした第1エリア内に同時に位置した時間(重複時間)が所定の閾値となる時間以上であるか否かに基づいて、被験者の感染者に対する濃厚接触の可能性が判定される。このとき、判定の基礎となる感染者タグ、被験者タグ、及び、移動体タグの位置データは、各タグが発信するビーコン信号に基づいて個別に取得される。そのため、屋内や地下環境において、感染者に対して所定の程度近接したことがある被験者を特定することができる。
【0071】
本実施形態の接触者追跡システムでは、感染者タグが移動体タグを基準とした第1エリアに位置している期間(感染者滞在期間)に、被験者タグが、第1エリアの外側の第2エリア内に所定の閾値となる時間以上の重複した時間、位置したか否か判定される。感染者と同一エリアだけでなく隣接した外側のエリアに位置した被験者も評価することで、濃厚接触の可能性がある被験者を漏れなく抽出することができる。特に、被験者が第1エリアの外側の第2エリアにいたものの実際にはエリアの境界を挟んで感染者と近接して位置していた場合、第2エリアにいた被験者を評価することが有効となる。
【0072】
本実施形態の接触者追跡システムでは、感染者タグが所定の閾値となる時間以上、移動体タグの位置を基準とした第1エリア内に滞在した場合、当該第1エリアを汚染エリアとみなす。そして、感染者タグが汚染エリアを離れた後に、被験者タグが所定の閾値となる時間以上、当該汚染エリア内に位置したか否か判定する。すなわち、感染者と被験者との間の距離ではなく、被験者が汚染エリアに滞在したか否かに基づいて、被験者の濃厚接触の可能性を判定することができる。
【0073】
以上、本発明の情報処理装置、プログラム、および、情報処理方法の複数の実施形態について詳細に説明したが、本発明は各実施形態に限定されない。また、各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、第1の実施形態の変形例1及び変形例2は、第2の実施形態に適用することもできる。
【0074】
例えば、閾値となる第1時間~第4時間は、本発明が適用されるアプリケーションに応じて、適宜変更あるいは最適化されうる。
また、1つの判定結果を得るのに複数段階の閾値を設けることができる。例えば、図12に示した判定処理P1のステップS13では、重複時間を閾値TH1と比較する1段階の判定を例示したが、その限りではない。順に大きくなる複数の閾値を設け、当該複数の閾値の各々との重複時間の比較結果に基づいて、感染者に対する濃厚接触の可能性を複数段階で判定することもできる。
第1の実施形態においてフロアを格子状に区画した例を示したが、各エリアを矩形又は正方形の形状に区画する場合に限定されない。例えば、各エリアは六角形であってもよい。
第2の実施形態において移動体タグの位置を基準として第1エリア及び第2エリアの外縁を円形とする場合について例示したが、その限りではない。第1エリア及び第2エリアの外縁の形状は、六角形であってもよいし、八角形であってもよい。
【0075】
上述した実施形態では、各従業者が無線タグを所持する場合を例示したが、その限りではない。各従業者の所持するスマートフォン等のユーザ端末が、例えばBLE等の所定のプロトコルに従ったビーコン信号を発信する機能があれば、当該ユーザ端末を無線タグに代えて利用してもよい。
【0076】
上述した実施形態では、所定の領域内において第1ユーザに対する第2ユーザの近接の程度を判定する情報処理装置の適用例として、感染者に対して被験者の近接の程度を判定する場合を挙げたが、適用例はその限りではない。
例えば、各プレイヤが無線タグを所持し、所定の密閉空間において鬼ごっこのゲームを行う場合にも適用できる。この場合、第1ユーザである鬼役のプレイヤが、第2ユーザである他のプレイヤに所定時間近接した場合に、当該他のプレイヤの負けとなるようなゲームを構成することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…接触者追跡システム
3…受信機
31…電波受信部
32…入射角算出部
33…通信部
4…中継装置
5…エッジサーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
7…アプリケーションサーバ
71…制御部
72…ストレージ
73…通信部
10…移動体
A1-1~A5-5…エリア
F…フロア
FL…動線
IT…感染者タグ
TT…被験者タグ
VT…移動体タグ
VA1…第1エリア
VA2…第2エリア
NW…ネットワーク
P…タグ位置
SH…棚
T…無線タグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20