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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030379
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】容器用断熱材及びこれを備えた容器
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/02 20060101AFI20220210BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A47G23/02 A
B65D81/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134371
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】514192756
【氏名又は名称】株式会社ネオックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】島 圭吾
【テーマコード(参考)】
3B115
3E067
【Fターム(参考)】
3B115AA07
3B115BB23
3B115DA09
3B115DA11
3B115DA17
3B115DB07
3E067AA23
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA18A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB30A
3E067BC04A
3E067CA18
3E067EC23
3E067FC07
3E067GA11
(57)【要約】
【課題】紙コップ等の容器に取り付けて使用される容器用断熱材において、大きさを小さくして材料の削減等をはかるとともに、対象となる容器の範囲を広げる。
【解決手段】容器としてのコップ11の外周面11aに取り付けられる容器用断熱材13は、引き伸ばすと開く複数のスリット31を千鳥状に配設した一枚のシート材13aで形成される。シート材13aは横長の略長方形であり、スリット31は、引き伸ばし方向である横方向と直交する方向に延びている。シート材13aの裏面における引き伸ばし方向の一方の端部には接着剤を有する貼り付け固定部42が形成され、コップ11の外周面11aに固定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の外周面に取り付けられる容器用断熱材であって、
引き伸ばすと開く複数のスリットを配設したシート材で形成された
容器用断熱材。
【請求項2】
一枚のシート状である
請求項1に記載の容器用断熱材。
【請求項3】
裏面における引き伸ばし方向の一方の端部に、接着剤を有する貼り付け固定部が形成された
請求項2に記載の容器用断熱材。
【請求項4】
裏面に、低粘着性の低粘着剤層が形成された
請求項2または請求項3に記載の容器用断熱材。
【請求項5】
引き伸ばし方向と直交する方向に開口を有する筒状である
請求項1に記載の容器用断熱材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の容器用断熱材が、一体又は別体に備えられた
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコップやカップなどの容器を手に持つときの熱さや冷たさを和らげるような容器用断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
紙コップのような容器にホットコーヒーなどを入れると熱く、素手では持ちにくい。このため、下記特許文献1に開示されているような断熱のための部材(紙コップホットガード)が用いられる。
【0003】
紙コップホットガードは、平板状の平面部の片面に波板状の凹凸部を貼り合わせて略長方形に形成され、長手方向の端部には、両端同士を組み合わせて全体を筒状にするための切り込みを有している。
【0004】
使用に際しては、凹凸部を内側にして筒状にし、その内部に紙コップを入れる。主に凹凸部による断熱作用で、手に直接持っても熱くないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-85743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、紙コップホットガードは、対象の紙コップ等の容器に適応した大きさに形成されている。このため当然に、紙コップホットガードの大きさ感は紙コップと同等である。また、紙コップホットガードは特定の大きさ、特定の形状の容器にしか使用できない。
【0007】
そこで、この発明は、大きさを小さくして材料の削減等をはかるとともに、対象となる容器の範囲を広げることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、容器の外周面に取り付けられる容器用断熱材であって、引き伸ばすと開く複数のスリットを配設したシート材で形成された容器用断熱材である。
【0009】
この構成の容器用断熱材は、シート材の引き伸ばしを行い、スリットを開いて容器の外周面を覆って使用される。スリットを開くことによってシート材は伸びて立体化する。スリットは開くものの、容器を保持する手と容器の外周面との間に空間ができ、この空間を有するシート材が温度差を緩衝する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、シート材を引き伸ばしてから使用するので、使用前の容器用断熱材を容器の大きさ感に比べて小さく、薄く形成することができる。このため、材料の削減をはかれるうえに、保管スペースを小さくするなど、扱いを簡単化できる。
【0011】
また、引き伸ばして使用される容器用断熱材は、伸縮性を有し、伸縮にはある程度の幅を有するので、一種の容器用断熱材で大きさや形状の異なる複数の容器に使用できるようにすることが可能である。この点からも、扱いの簡単化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】容器用断熱材を備えたコップの斜視図。
図2】容器用断熱材を備えたコップの分離状態の斜視図。
図3】作用を示す斜視図。
図4】使用状態の断面図。
図5】他の例に係る容器用断熱材の正面図。
図6】他の例に係る容器用断熱材の背面図。
図7】他の例に係る容器用断熱材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、容器としての紙製又は合成樹脂製のコップ11の斜視図である。コップ11は外周面11aに容器用断熱材13を一体に備えている。
【0015】
コップ11は有底円筒状であり、上端の開口部11bから下方に行くに従って径が小さくなるように外周面11aが傾斜している。
【0016】
容器(コップ11)の外周面11aに取り付けられる容器用断熱材13は、引き伸ばすと開く複数のスリット31を配設したシート材13aで形成されている。シート材13aには紙や合成樹脂、ゴムなど適宜の材料のものを使用するとよい。
【0017】
この例の容器用断熱材13は、前記のシート材13aのみで形成されている。容器用断熱材13(シート材13a)を引き伸ばす方向は、容器の上下方向と直交する横方向である。
【0018】
シート材13aは、容器の周方向に対応する方向が長い略長方形をなし、一枚のシート状で平らである。シート材13aの具体的な形状は、このシート材13a、つまり容器用断熱材13が容器であるコップ11の外周面11aに巻き付いて被覆するように取り付けるものであるので、次のとおりである。つまりシート材13aは、図2に示したように、長辺の上下両辺(上辺32、下辺33)は上に向けて凸の円弧状に形成され、短辺の左右両辺(右辺34、左辺35)は直線状で下方ほど互いに近づく方向に寄るように斜めに形成されている。
【0019】
上下両辺32,33の長さは、適宜設定し得るが、引き伸ばしたときに外周面11aの全体を被覆できる程度にするとよく、引き伸ばす前の状態で例えばコップ11の外周面11aの半周程度にするとよい。
【0020】
左右両辺34,35の長さも適宜設定され、コップ11の外周面11aの高さよりも短いが、設定に際しては引き伸ばしたときに容器の上下方向に相当する部分の長さが短くなることを考慮する。
【0021】
シート材13aは、一方向、すなわち容器の上下方向に対応する方向であって、引き伸ばす方向と直交する方向に延びる複数のスリット31が千鳥状に配設されている。スリット31は厚さ方向に貫通する切り目であり、図1に一部を拡大して示したように、スリット31は所定長さに形成され、所定長さの非スリット部36と交互に一直線上に配設されている。スリット31と非スリット部36の並びをスリット線37とすると、スリット線37は一定の間隔をおいて多数並設されていることになる。
【0022】
並設に際してスリット線37は、隣り合うスリット線37のスリット31と非スリット部36の中間の位置が互いにスリット線37の法線方向に並ぶように配置される。
【0023】
なお、スリット31が延びる方向は、すべてのスリット31において完全に同じでなくともよく、全体として同じであり統一性があればよい。つまり、前述したようにシート材13aは正確な長方形ではなく、緩い円錐状の外周面11aに対応させて若干変形させた長方形である。このため、シート材13aを平らにした場合と、コップ11の外周面11aに沿う湾曲した形にした場合とでは、スリット線37の方向に多少の違いが生じる。すなわち、シート材13aを平らにした状態において、すべてのスリット線37を正確な平行に並べるほか、上辺32と下辺33の長手方向の中心を通る中心線に収束するように、また右辺34と左辺35に最も近いスリット線37がそれらに平行となるように配置してもよい。
【0024】
このようなスリット31は、スリット線37の長手方向と直交する方向(法線方向)で引き延ばして広げると、図1に示したように、おおよそハニカム形状の目38(開口)が形成される。この目38を形成する部分、つまりスリット間部39は、シート材13aの面方向に対して斜めに傾いて、シート材13aの厚さ内に空間を形成する構造となる。
【0025】
スリット31の長さとスリット線37の間隔は適宜設定され得るが、容器の大きさと人体の指の大きさを考慮して形成される。
【0026】
スリット31が形成される範囲は、シート材13aの全体である。このため、主に上下両辺32,33においては、スリット31が露出することになる。図2に仮想線で示したように、左右両辺34,35の近傍にはスリットを有しない耳部41を形成してもよい。
【0027】
また、容器用断熱材13(シート材13a)は、裏面における引き伸ばし方向の一方の端部に、接着剤を有する貼り付け固定部42が形成されている。貼り付け固定部42は容器の外周面11aに対して接着固定される部分であり、容器用断熱材13を外周面11aに一体化するための構成である。この例での貼り付け固定部42の形成位置は、左右両辺34,35のうちの一方である右辺34としている。
【0028】
左右両辺34,35のうちの他方である左辺35は、粘着シール43を備えている。粘着シール43は容器用断熱材13をそのスリット31が開くような張力をかけずに容器の外周面11aを被覆した状態で容器の外周面11aに貼り付けられるものである。この粘着シール43には剥離後に再粘着可能なものが使用される。粘着シール43の形状や取付け位置、個数は適宜設定できる。
【0029】
以上のような容器用断熱材13を備えたコップ11は、次のように使用される。すなわち、飲料を入れたのち、又は入れる前に、図3の(a)に示したように粘着シール43を剥がして容器用断熱材13の左右方向の他方である左辺35を解放した後、矢印で示したようにその端を引っ張って容器用断熱材13を適宜伸ばす。外周面11aの周方向に沿って引っ張って伸ばすこともできる。
【0030】
すると、容器用断熱材13は変形しながらのスリット31を開いて立体化する。このあと、図3の(b)に示したように、いったん剥がした粘着シール43を容器用断熱材13の固定側の端である右辺34や、その近傍、右辺34に達しない位置など、引き伸ばし程度に応じて適宜の位置に貼り付けて、容器用断熱材13の変形状態を保つ。
【0031】
粘着シール43を利用して容器用断熱材13による被覆状態を保持するほか、例えば輪ゴムや接着テープなど別の部材を用いたり、左辺35部分を右辺34部分に物理的に絡めたりしてもよい。
【0032】
スリット31が開いた容器用断熱材13で外周面11aが被覆されたコップ11では、図4に示したように、コップ11を保持する手の指Xとコップ11の外周面11aとの間に空間(目38)ができ、スリット間部39が空間を弾力的に維持する。この結果、空間を有する容器用断熱材13(シート材13a)がその表側と裏側での温度差を緩和する。
【0033】
また、スリット間部39は指Xとの間の接触抵抗を高めて、滑り止め機能を果たす。
【0034】
容器用断熱材13は、引き伸ばす前は薄いので、コップ11の重ね合わせに支障はない。しかも、容器用断熱材13はコップ11の外周面11aを覆う範囲が小さくて済むので、重ねても嵩張らないようにできる。
【0035】
また、使用に際しての作業は粘着シール43を剥がして、その部分を引っ張って容器用断熱材13を引き伸ばしたのち、粘着シール43を適宜の位置に貼り付ければよいので、作業性は極めて良好である。
【0036】
容器用断熱材13のみに注目すれば、使用前、つまり引き伸ばす前の大きさが容器の大きさ感に比べて小さく薄いので、材料の使用量を少なくできる。また、容器用断熱材13の保管スペースを小さくすることもでき、管理等取扱いの簡単化ができる。
【0037】
さらに、容器用断熱材13の伸縮にはある程度の幅を有するので、一種の容器用断熱材13で大きさや形状の異なる複数の容器に対して使用することが可能である。この点からも、管理等取扱いの簡単化ができる。
【0038】
以下、その他の例について説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位には同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0039】
容器は、例えばカップ麺の包装容器や紙製又は樹脂製のどんぶり形状の容器、缶飲料のための缶容器など、コップ11やカップ以外の他の容器であってもよく、また円筒状以外の角筒状など他の形状の容器であってもよい。
【0040】
容器用断熱材13は、シート材13aのみで形成するのではなく、別の部材を組み合わせて構成してもよい。たとえば、前述した耳部41(図2参照)に相当する部分を別部材で構成したりすることができる。
【0041】
粘着シール43は省略することもできる。
【0042】
容器用断熱材13は、容器とは別体に備えてもよい。必要時に必要な態様で容器用断熱材13を使用できるようにすることが可能である。
【0043】
図5は他の例に係る容器用断熱材13の正面図であり、この容器用断熱材13は、適宜の容器に必要な時に取り付けて使用できるように構成されたものである。
【0044】
容器用断熱材13は、前述したコップ11と同様の形状の容器に対して取り付けられるように構成されており、前述のシート材13aと同様の形状のシート材13aのみで構成されている。
【0045】
シート材13aは全体に、前述と同様のスリット31を有している。
【0046】
このような構成の容器用断熱材13は、図5に仮想線で示したように、接着テープなどの留め具44を用いて左右両辺34,35のうち一方の辺(右辺34)における長手方向の中間部を容器の外周面に固定して使用される。この固定は、上下両辺32,33の長手方向と容器の外周面の周方向を対応させて行い、一方の辺(右辺34)の固定後、他方の辺(左辺35)を引っ張ってスリット31を開く変形を行う。この後、他方の辺を別の留め具を用いたり、スリット31が開いた容器用断熱材13の端部同士を絡み合わせたりして、適宜固定する。
【0047】
このような構成の容器用断熱材13を用いても、前述と同様の作用を有し、効果を奏する。
【0048】
図6は他の例に係る容器用断熱材13の背面図であり、この容器用断熱材13は、適宜の容器に必要な時に取り付けて使用できるように構成されたものである。
【0049】
容器用断熱材13は、前述したコップ11と同様の形状の容器に対して取り付けられるように構成されており、前述のシート材13aと同様の形状のシート材13aで構成されている。
【0050】
シート材13aは、図5に例示したものと同じく全体に、スリット31が形成されている。
【0051】
このシート材13aでは、裏面の全体に、低粘着性の低粘着剤層45が形成されている。低粘着剤層45は離型紙46で被覆される。
【0052】
このような構成の容器用断熱材13は、使用に際して離型紙46を剥がしてから、引き伸ばしてスリット31を開いて立体化したのち、この状態で容器の外周面に巻き付けられる。低粘着剤層45が容器の外周面に貼り付いて、立体化された容器用断熱材13が容器の外周面を覆う。
【0053】
このような構成の容器用断熱材13を用いても、前述と同様の作用を有し、効果を奏する。
【0054】
図7は、他の例に係る容器用断熱材13の斜視図であり、引き伸ばし方向と直交する方向に開口47を有する筒状である。この例では、前述したコップ11と同様の形状のコップ11に取り付けて使用する例を示している。
【0055】
すなわち、コップ11の側面視形状よりも小さい略長方形で、上下両辺32,33が上に凸に湾曲し、左右両辺34,35が互いに下方ほど近づく方向に傾く直線からなる形状の2枚のシート材13aを重ねて筒状に形成されている。一枚のシート材を二つ折りして筒状に形成してもよい。
【0056】
シート材13aの全体にスリット31が配設されており、左右両辺34,35は接着や溶着等からなる接合部48である。
【0057】
このような構成の容器用断熱材13は、使用に際して図7に仮想線で示したように長手方向に引き伸ばしてスリット31を開くとともに、筒形状にして、コップ11に対して下から嵌める。これによって、立体化された容器用断熱材13がコップ11の外周面11aを覆う。
【0058】
このような構成の容器用断熱材13を用いても、前述と同様の作用を有し、効果を奏する。
【0059】
また、図示は省略するが、外周面が上下方向で傾斜していない円筒形の容器の場合には、シート材13aは長方形に形成されるとよい。
【符号の説明】
【0060】
11…コップ
11a…外周面
13…容器用断熱材
13a…シート材
31…スリット
42…貼り付け固定部
45…低粘着剤層
47…開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7