(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030418
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】包装用容器の蓋体、及び、包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/08 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
B65D43/08 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134453
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛田 旭
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 智久
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA22
3E084AA24
3E084AA26
3E084AA34
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084CC05
3E084DA03
3E084DB13
3E084DC03
3E084DC05
3E084FA09
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB12
3E084KA20
(57)【要約】
【課題】
本願発明は、外れにくく、軽い力で嵌合が可能な蓋体、及び、包装用容器を提供する。
【解決手段】
天面110と、当該天面110の外側に、容器本体200の容器側嵌合部250に嵌合可能な蓋体側嵌合部150と、を備えた包装用容器300の蓋体100であって、蓋体側嵌合部150は、容器本体200の容器側嵌合部250の一部に係合可能な蓋体側係合部153を備えており、蓋体側係合部153の下端側に、天面110に対する水平軸Xよりも天面110に対する垂直軸Yへ向けて相対的に大きく傾斜した蓋体側傾斜面170を設けたことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と、
当該天面の外側に、容器本体の容器側嵌合部に嵌合可能な蓋体側嵌合部と、を備えた包装用容器の蓋体であって、
前記蓋体側嵌合部は、前記容器本体の容器側嵌合部の一部に係合可能な蓋体側係合部を備えており、
当該蓋体側係合部の下端側に、前記天面に対する水平軸よりも前記天面に対する垂直軸へ向けて相対的に大きく傾斜した蓋体側傾斜面を設けたことを特徴とする包装用容器の蓋体。
【請求項2】
容器側嵌合部を有する容器本体と、
前記容器側嵌合部に嵌合可能な蓋体側嵌合部を有する蓋体と、と備えた包装用容器であって、
前記容器側嵌合部は、前記蓋体側嵌合部の一部に係合可能な容器側係合部と、当該容器側係合部の上端側に容器側傾斜面を備え、
前記蓋体側嵌合部は、前記容器側嵌合部の一部に係合可能な蓋体側係合部と、当該蓋体側係合部の下端側に蓋体側傾斜面を備え、
前記蓋体を前記容器本体に載せて、前記蓋体側嵌合部が前記容器側嵌合部に嵌合する前の状態において、前記容器側傾斜面と前記蓋体側傾斜面は、互いに当接する箇所と当接しない箇所とを備えることを特徴とする包装用容器。
【請求項3】
前記容器側傾斜面、又は前記蓋体側傾斜面の表面は、凹凸状に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用容器の蓋体、及び、蓋体と容器本体を備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜やご飯等の食品を収容する容器本体と、当該容器本体に嵌合可能な蓋体とからなる包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1の包装用容器は、容器本体と蓋体とを備えた包装用容器であり、蓋体を容器本体に被せて容器本体へ押し下げることで、蓋体の蓋体側嵌合部が、容器本体の容器側嵌合部に嵌合する。また、蓋体と容器本体の嵌合が不用意に外れないように、蓋体側嵌合部には、容器本体の容器側嵌合部の一部に係合可能な蓋体側係合部、いわゆる、アンダーカットが設けられている。しかしながら、蓋体側係合部が容器側嵌合部の一部を乗り越えるようにして、蓋体を容器本体に嵌合させるため、蓋体をある程度の力で下方へ押圧する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、外れにくく、軽い力で嵌合が可能な蓋体、及び、包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器の蓋体は、天面と、当該天面の外側に、容器本体の容器側嵌合部に嵌合可能な蓋体側嵌合部と、を備えた包装用容器の蓋体であって、前記蓋体側嵌合部は、前記容器本体の容器側嵌合部の一部に係合可能な蓋体側係合部を備えており、当該蓋体側係合部の下端側に、前記天面に対する水平軸よりも前記天面に対する垂直軸へ向けて相対的に大きく傾斜した蓋体側傾斜面を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、蓋体側嵌合部と容器側嵌合部との嵌合は、蓋体側係合部よって外れにくくなっている。その一方で、蓋体を下方へ向けて押圧した際に、蓋体側係合部の下端側に連続する蓋体側傾斜面は、容器側嵌合部の上端側の一部を滑るように移動できるので、蓋体側傾斜面はガイド面の役割を果たし、蓋体側嵌合部と容器側嵌合部との嵌合を行い易くしている。特に、蓋体側傾斜面が、天面に対する水平軸よりも垂直軸へ向けて相対的に大きく傾斜しているので、蓋体側傾斜面は、容器側嵌合部の上端側の一部に当接した際に、下方へより滑りやすくなっている。その結果、蓋体を下方へ向けて押圧した際に、蓋体側傾斜面は、容器側嵌合部の上端側の一部上を下方へ向けてスムーズに滑り、蓋体側傾斜面の上端側の蓋体側嵌合部と容器側嵌合部とが容易に嵌合するのである。また、蓋体側傾斜面が下方へ向けてスムーズに滑るため、より軽い力で蓋体を下方へ押圧しても、蓋体を容器本体に嵌合させることが出来る。そして、より軽い力で蓋体を容器本体に嵌合させることができるため、作業効率が向上し、作業者の負担の軽減となる。
【0008】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、容器側嵌合部を有する容器本体と、前記容器側嵌合部に嵌合可能な蓋体側嵌合部を有する蓋体と、と備えた包装用容器であって、前記容器側嵌合部は、前記蓋体側嵌合部の一部に係合可能な容器側係合部と、当該容器側係合部の上端側に容器側傾斜面を備え、前記蓋体側嵌合部は、前記容器側嵌合部の一部に係合可能な蓋体側係合部と、当該蓋体側係合部の下端側に蓋体側傾斜面を備え、前記蓋体を前記容器本体に載せて、前記蓋体側嵌合部が前記容器側嵌合部に嵌合する前の状態において、前記容器側傾斜面と前記蓋体側傾斜面は、互いに当接する箇所と当接しない箇所とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、蓋体側傾斜面と容器側傾斜面は、互いに当接する箇所と当接しない箇所とを備えることから、蓋体側傾斜面と容器側傾斜面との接触面積が減って摩擦抵抗が少なくなり、蓋体側傾斜面は、容器側傾斜面上に当接した際に、下方により滑りやすくなっている。その結果、蓋体を下方へ向けて押圧した際に、蓋体側傾斜面は、容器側傾斜面上を下方へ向けてよりスムーズに滑り、蓋体側傾斜面の上端側の蓋体側嵌合部と容器側嵌合部とが、更に容易に嵌合するのである。また、蓋体側傾斜面が下方へ向けてスムーズに滑るため、より軽い力で蓋体を下方へ押圧しても、蓋体を容器本体に嵌合させることが出来る。
【0010】
さらに、本願発明の請求項3に係る包装用容器は、前記容器側傾斜面、又は前記蓋体側傾斜面の表面は、凹凸状に構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、凹及び/又は凸によって、蓋体側傾斜面と容器側傾斜面との接触面積が減って摩擦抵抗をより確実に減らすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の蓋体、及び、包装用容器は、外れにくく、軽い力で嵌合が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本願発明の蓋体の平面図、(b)は、本願発明の蓋体の側面図である。
【
図2】(a)は、
図1(a)のA-A端面図、(b)は、蓋体のコーナー部周辺を拡大した側面図、(c)は、
図1(a)のB-B端面図(又は、
図2(b)のC-C端面図)である。
【
図3】(a)は、
図2(a)の蓋体側嵌合部周辺を拡大した端面図、(b)は、
図2(c)の蓋体側嵌合部周辺を拡大した端面図である。
【
図4】(a)は、本願発明の容器本体の平面図、(b)は、容器本体の側面図である。
【
図5】(a)は、
図4(a)のD-D端面図、(b)は、
図4(a)のE-E端面図である。
【
図6】(a)は、蓋体を容器本体に嵌合させる前の包装用容器の平面図、(b)は当該包装用容器の側面図である。
【
図7】(a)は、
図6(a)のF―F端面図、(b)は、
図6(a)のG―G端面図である。
【
図8】(a)は、
図6(a)のF―F端面図において、蓋体を容器本体に嵌合させた状態の端面図、(b)は、
図6(a)のG―G端面図において、蓋体を容器本体に嵌合させた状態の端面図である。
【符号の説明】
【0014】
100 蓋体
110 天面
150 蓋体側嵌合部
153 蓋体側係合部
170 蓋体側傾斜面
200 容器本体
250 容器側嵌合部
300 包装用容器
X 水平軸
Y 垂直軸
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。また、本願発明の蓋体と容器本体の嵌合とは、上述したように、蓋体を容器本体に被せて容器本体へ押し下げることで、蓋体の蓋体側嵌合部が、容器本体の容器側嵌合部に嵌合することであり、当該蓋体側嵌合部には、容器本体の容器側嵌合部の一部に係合可能な蓋体側係合部、いわゆる、アンダーカットが設けられている。
【0016】
まず、
図1、
図2、及び
図3には、本願発明の蓋体100を示す。なお、
図1(a)は蓋体100の平面図、
図1(b)は、蓋体100の側面図、
図2(a)は、
図1(a)のA-A端面図、
図2(b)は、蓋体100のコーナー部周辺を拡大した側面図、
図2(c)は、
図1(a)のB-B端面図(又は、
図2(b)のC-C端面図)、
図3(a)は、
図2(a)の蓋体側嵌合部150周辺を拡大した端面図、
図3(b)は、
図2(c)の蓋体側嵌合部150周辺を拡大した端面図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、蓋体100は下方に開口した深皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な天面110と、当該天面110の外周111から斜め下方へ向けて連続する側壁120と、当該側壁120から外側へ延出するフランジ部130と、フランジ部130から下方へ延出するスカート部140と、スカート部140の一部に設けられた蓋体側嵌合部150と、スカート部140の下端から側方へ延出する平坦な縁部160とを備える。そして、この側壁120、フランジ部130、スカート部140、及び縁部160は、蓋体100の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、側壁120とフランジ部130の間には、直線状に延びる溝部131が設けられており、蓋体100を容器本体200に嵌合させる際に、溝部131を起点に蓋体側嵌合部150全体を僅かに弾性変形させて、嵌合させやすくしている。
【0018】
また、蓋体側嵌合部150は、蓋体100の長辺側のスカート部140の略中央と、蓋体100のコーナー部の四隅のスカート部140にそれぞれ部分的に設けられているが、これに限定されず、蓋体100の周方向の全周に蓋体側嵌合部150を設けるなど、スカート部140の任意の箇所に連続的に又は断続的に蓋体側嵌合部150を設けることができる。また、蓋体100は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。
【0019】
また、
図3(a)に示すように、フランジ部130から下方に設けられた蓋体側嵌合部150は、後述する容器本体200の容器側嵌合部250に嵌合するように構成されている。具体的には、蓋体側嵌合部150は、フランジ部130から斜め下方に延出する上端151と、上端151に連続する側端152と、側端152から内側に向けて突出した蓋体側係合部153とを備える。この蓋体側係合部153は、後述する容器本体200の容器側嵌合部250の一部に係合するように構成されており、いわゆるアンダーカット部となっている。さらに、蓋体側係合部153の下端には、外側へ傾斜した蓋体側傾斜面170を備える。この蓋体側傾斜面170の内側の表面172は平らな傾斜面となっており、蓋体側傾斜面170の上端174は蓋体側係合部153に連続し、下端173は縁部160に連続している。なお、蓋体側傾斜面170は、蓋体側係合部153の下端側に直接連続しているが、これに限定されず、後述するように、蓋体側傾斜面170がガイド面の役割を果たして、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合を行い易くできるのであれば、蓋体側傾斜面170と蓋体側係合部153との間に他の面部等の構成が設けられて、蓋体側傾斜面170が、蓋体側係合部153の下端側に間接的に連続していてもよい。ただし、蓋体側傾斜面170がガイド面の役割を果たすためには、蓋体側傾斜面170の一部は、蓋体側係合部153の真下、すなわち垂直軸Yに沿った下方向に位置し、蓋体側係合部153に最も近い傾斜面である必要がある。又は、蓋体側傾斜面170は、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250とが嵌合する際に、蓋体側係合部153が容器側嵌合部250の一部(例えば、容器側係合部253)を乗り越える直前において、容器側嵌合部250の一部と当接する傾斜面である必要がある。
【0020】
そして、蓋体側傾斜面170は、水平軸Xよりも垂直軸Yに向けて相対的に大きく傾斜しており、蓋体側傾斜面170と水平軸Xとの間の角度αは、蓋体側傾斜面170と垂直軸Yとの間の角度βよりも大きくなっている(α>β)。なお、水平軸Xは、蓋体100を水平面に置いた際に水平面に沿った方向に延びる軸であり、垂直軸Yは当該水平面に直角に交わる方向(鉛直方向)に延びる軸のことである。また、天面110は略平坦面となっており、蓋体100を水平面に置いた際に、天面110は略水平面に広がる面部となる。そのため、水平軸Xは天面に対して水平に延びる軸となり、垂直軸Yは天面に対して垂直に延びる軸となる。
【0021】
また、
図3に示す蓋体側傾斜面170では、αが60度でβが30度となっているが、これに限定されず、αは、46度から80度の間の任意の角度であれば(46°≦α≦80°)、適宜変更することができる。なお、αが46度未満であると、蓋体側傾斜面170が水平軸Xに近くなるため、後述するように、蓋体100を容器本体200に嵌合させる際に、蓋体側傾斜面170と容器側傾斜面270との摩擦抵抗が大きくなり、嵌合させるために必要な力が大きくなってしまう。また、αが80度を越えると、蓋体側傾斜面170が垂直に近い状態となるため、蓋体100を積み重ねて保管する際に、上の蓋体100の凸部171と下の蓋体100の上端151がしっかりと当接できず、蓋体100の安定した積み重ねが難しくなる。そのため、αが46度から80度の間(46°≦α≦80°)であれば、後述するように、蓋体100を容器本体200に軽い力で嵌合できると共に、蓋体100の安定した積み重ねが可能となるのである。
【0022】
なお、
図3(a)に示す蓋体側傾斜面170では、蓋体側傾斜面170の表面172が、水平軸Xよりも垂直軸Yに向けて相対的に大きく傾斜しており、蓋体側傾斜面170の表面172と水平軸Xとの間の角度αは、46度から80度の間の任意の角度(46°≦α≦80°)となっているが、これに限定されない。例えば、
図3(b)に示すように、蓋体側傾斜面170が凸部171を備える場合は、蓋体側傾斜面170の凸部171が、水平軸Xよりも垂直軸Yに向けて相対的に大きく傾斜しており、蓋体側傾斜面170の凸部171と水平軸Xとの間の角度α´は、蓋体側傾斜面170の凸部171と垂直軸Yとの間の角度β´よりも大きくなっている(α´>β´)。そして、α´が60度でβ´が30度となっている。さらに、蓋体側傾斜面170の凸部171が、水平軸Xよりも垂直軸Yに向けて相対的に大きく傾斜している場合は、蓋体側傾斜面170の表面172は、水平軸Xよりも垂直軸Yに向けて相対的に大きく傾斜していなくてもよく、例えば、角度αは45度であってもよい。また、蓋体側傾斜面170の凸部171の角度α´が60度であるが、これに限定されず、蓋体側傾斜面170の凸部171と水平軸Xとの間の角度α´は、46度から80度の間の任意の角度(46°≦α´≦80°)であってもよい。
【0023】
また、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、一部の蓋体側嵌合部150の蓋体側傾斜面170には、内側へ突出した凸部171が設けられており、蓋体側傾斜面170の表面172は凹凸状となっている。具体的には、表面172に、縦方向に直線状に突出させた凸部171を複数設けることで、表面172は、凸部171を設けた箇所と設けていない箇所によって、凹凸状に構成されている。なお、凸部171は、蓋体100のコーナー部の一部に設けられた蓋体側傾斜面170のみに設けられているが、これに限定されず、蓋体100に設けられた全ての蓋体側傾斜面170に設けてもよい。
【0024】
次に、
図4及び
図5には、本願発明の蓋体100によって被蓋される容器本体200を示す。なお、
図4(a)は容器本体200の平面図、
図4(b)は、容器本体200の側面図、
図5(a)は、
図4(a)のD-D端面図、
図5(b)は、
図4(a)のE-E端面図である。
【0025】
図4及び
図5に示すように、容器本体200は、上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な底壁210と、当該底壁210の外周211において下方に膨出した脚部212が設けられている。底壁210には、底壁210から上方へ突出する複数の仕切り213が、互いに平行に設けられており、仕切り213で仕切られた空間には、巻き寿司等の食品を収容できる。さらに、底壁210の外周211から立ち上がるように形成された側壁220と、当該側壁220から外側へ延出するフランジ部230と、フランジ部230から下方へ延出するスカート部240と、スカート部240の一部に設けられた容器側嵌合部250と、スカート部240の下端から側方へ延出する平坦な縁部260とを備える。そして、この側壁220、フランジ部230、スカート部240、及び縁部260は、容器本体200の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。
【0026】
なお、容器側嵌合部250は、容器本体200の長辺側のスカート部240の略中央と、容器本体200のコーナー部の四隅のスカート部240にそれぞれ部分的に設けられているが、これに限定されず、容器本体200の周方向の全周に容器側嵌合部250を設けるなど、スカート部240の任意の箇所に連続的に又は断続的に容器側嵌合部250を設けることができる。また、容器本体200は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。
【0027】
また、
図5(a)に示すように、フランジ部230から下方に設けられた容器側嵌合部250は、蓋体100の蓋体側嵌合部150と嵌合するように構成されている。具体的には、容器側嵌合部250は、縁部260から斜め上方へ延出する下端251と、下端251に連続する側端252と、側端252から外側へ向けて突出した容器側係合部253とを備える。この容器側係合部253は、後述する蓋体100の蓋体側嵌合部150の蓋体側係合部153に係合するように構成されており、いわゆるアンダーカット部となっている。さらに、容器側係合部253の上端には、フランジ部230から容器側係合部253へ向けて傾斜した容器側傾斜面270を備える。容器側傾斜面270の表面272は、平らな傾斜面となっている。なお、容器側傾斜面270は、容器側係合部253の上端側に直接連続しているが、これに限定されず、後述するように、蓋体側傾斜面170が容器側傾斜面270上を下方へ向けて滑り、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合を行い易くできるのであれば、容器側傾斜面270と容器側係合部253との間に他の面部等の構成が設けられて、容器側傾斜面270が、容器側係合部253の上端側に間接的に連続していてもよい。ただし、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合を行い易くするためには、容器側傾斜面270の一部は、容器側係合部253の真上、すなわち垂直軸に沿った上方向に位置し、容器側係合部253に最も近い傾斜面である必要がある。又は、容器側傾斜面270は、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250とが嵌合する際に、容器側係合部253が蓋体側嵌合部150の一部(例えば、蓋体側係合部153)を乗り越える直前において、蓋体側嵌合部150の一部と当接する傾斜面である必要がある。
【0028】
なお、蓋体100、及び容器本体200は、厚さが約0.1mmから1.00mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、蓋体100や容器本体200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させた合成樹脂に限らず、紙や金属などを用いることができる。
【0029】
では次に、本願発明の蓋体100を容器本体200へ嵌合させた包装用容器300について、
図6、
図7、及び
図8を参照して説明する。なお、
図6(a)は、蓋体100を容器本体200に嵌合させる前の包装用容器300の平面図、
図6(b)は当該包装用容器300の側面図、
図7(a)は、
図6(a)のF―F端面図、
図7(b)は、
図6(a)のG―G端面図、
図8(a)は、
図6(a)のF―F端面図において、蓋体100を容器本体200に嵌合させた状態の端面図、
図8(b)は、
図6(a)のG―G端面図において、蓋体100を容器本体200に嵌合させた状態の端面図である。
【0030】
図6及び
図7に示すように、蓋体100と容器本体200を備える包装用容器300は、蓋体100を容器本体200に載せただけで、蓋体100と容器本体200とを嵌合させる前の状態となっている。この状態では、
図7(a)に示すように、蓋体100の蓋体側傾斜面170の表面172が、容器本体200の容器側傾斜面270に当接しており、蓋体側傾斜面170の上側に連続する蓋体側嵌合部150と、容器側傾斜面270の下側に連続する容器側嵌合部250は、互いに嵌合していない。
【0031】
次に、
図8に示すように、蓋体100を下方へ向けて押圧すると、蓋体100の蓋体側傾斜面170が、容器本体200の容器側傾斜面270上を滑るようにして下方へ移動し、蓋体側傾斜面170の上側の蓋体側嵌合部150の蓋体側係合部153が、容器側傾斜面270の下側の容器側嵌合部250の容器側係合部253を乗り越えて、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250は互いに嵌合する。そして、蓋体100が上方へ持ち上げられて、蓋体100が容器本体200から不用意に外れそうになっても、蓋体側嵌合部150の蓋体側係合部153が容器側嵌合部250の容器側係合部253に係止するので、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合が不用意に外れることを防止できるのである。
【0032】
このように、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合は、蓋体側係合部153と容器側係合部253によって外れにくくなっている。その一方で、蓋体100を下方へ向けて押圧した際に、蓋体側係合部153の下端側に連続する蓋体側傾斜面170は、容器側係合部253の上端側に連続する容器側傾斜面270を、滑るように移動できるので、蓋体側傾斜面170はガイド面の役割を果たし、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合を行い易くしている。
【0033】
特に、
図3(a)に示すように、蓋体100の蓋体側係合部153の下端側に連続する蓋体側傾斜面170が、天面110に対する水平軸Xよりも垂直軸Yへ向けて相対的に大きく傾斜しているので、蓋体側傾斜面170は、容器側傾斜面270又は容器側嵌合部250の一部に当接した際に、下方へより滑りやすくなっている。その結果、蓋体100を下方へ向けて押圧した際に、蓋体側傾斜面170は、容器側傾斜面270又は容器側嵌合部250の一部上を下方へ向けてスムーズに滑り、蓋体側傾斜面170の上端側の蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250とが容易に嵌合するのである。また、蓋体側傾斜面170が下方へ向けてスムーズに滑るため、より軽い力で蓋体100を下方へ押圧しても、蓋体100を容器本体200に嵌合させることが出来る。そして、より軽い力で蓋体100を容器本体200に嵌合させることができるため、作業効率が向上し、作業者の負担の軽減となる。
【0034】
また、
図7(b)に示すように、蓋体側傾斜面170の表面172に凸部171を設けることで、表面172は凹凸状に構成されている。そして、蓋体100を容器本体200に載せただけで、蓋体100と容器本体200とを嵌合させる前の状態においては、凹及び/又は凸によって、蓋体側傾斜面170と容器側傾斜面270は、互いに当接する箇所と当接しない箇所とを備えることから、蓋体側傾斜面170と容器側傾斜面270は互いに全面で接触しておらず、互いに一部のみが接触することになる(より具体的には、蓋体側傾斜面170の表面172と容器側傾斜面270の表面272とが面接触することなく、蓋体側傾斜面170の凸部171のみが容器側傾斜面270の表面272に接触し、蓋体側傾斜面170の凸部171が設けられていない表面172は、容器側傾斜面270の表面272に接触しない状態となる)。
【0035】
そのため、蓋体側傾斜面170と容器側傾斜面270との接触面積が減って摩擦抵抗が少なくなることから、蓋体側傾斜面170は、容器側傾斜面270上に当接した際に、下方により滑りやすくなっている。その結果、蓋体100を下方へ向けて押圧した際に、蓋体側傾斜面170は、容器側傾斜面270上を下方へ向けてよりスムーズに滑り、蓋体側傾斜面170の上端側の蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250とが、更に容易に嵌合するのである。また、蓋体側傾斜面170が下方へ向けてスムーズに滑るため、より軽い力で蓋体100を下方へ押圧しても、蓋体100を容器本体200に嵌合させることが出来る。
【0036】
なお、
図7(b)では、蓋体側傾斜面170の表面172に凸部171を設けることで、蓋体側傾斜面170は凹凸状に構成されているが、これに限定されず、容器側傾斜面270の表面272に凸部を設けることで、容器側傾斜面270を凹凸状に構成してもよい。これにより、蓋体側傾斜面170と容器側傾斜面270との接触面積が減って摩擦抵抗が少なくなることから、蓋体側傾斜面170は、容器側傾斜面270上に当接した際に、下方へより滑りやすくなる。また、蓋体側傾斜面170又は容器側傾斜面270に凸部171を設けて凹凸状に構成し、蓋体側傾斜面170と容器側傾斜面270は、互いに当接する箇所と当接しない箇所とを備えているが、これに限定されず、蓋体側傾斜面170又は容器側傾斜面270の形状は、互いに当接する箇所と当接しない箇所とを備えるのであれば、適宜、任意の形状に変更することもできる。
【0037】
なお、
図8に示すように、蓋体100の蓋体側嵌合部150は容器本体200の容器側嵌合部250に外嵌合する形態であるが、これに限定されず、蓋体100の蓋体側嵌合部150は容器本体200の容器側嵌合部250に内嵌合又は内外嵌合する形態など、任意の嵌合形態を採用することができる。また、
図7及び
図8に示すように、蓋体100の蓋体側嵌合部150の蓋体側係合部153が、容器本体200の容器側嵌合部250の容器側係合部253に係合できるようになっているが、これに限定されず、蓋体側嵌合部150と容器側嵌合部250との嵌合が外れにくいのであれば、蓋体側嵌合部150の蓋体側係合部153は、容器側嵌合部250の任意の箇所に係合できるように構成しもてもよい。また、
図7に示すように、蓋体100の蓋体側傾斜面170は、容器本体200の容器側傾斜面270に接触しているが、これに限定されず、蓋体100の蓋体側傾斜面170は、容器側嵌合部250の上端側の任意の箇所に接触するように構成してもよい
【0038】
なお、本願発明の包装用容器の蓋体、及び、包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。