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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030437
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】タイヤカバープレート離脱阻止装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/04 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A47F7/04
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134476
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】517347850
【氏名又は名称】株式会社図南
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091557
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 修
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊郎
(57)【要約】
【課題】タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを確実に防ぐことができるとともに、サイズの異なる各種のタイヤにタイヤカバープレートを使用することができるようにするタイヤカバープレート離脱阻止装置を提供する。
【解決手段】このタイヤカバー1は、タイヤの側面に配置され、タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレート2と、タイヤカバープレート2がタイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置3とを備えている。タイヤカバープレート離脱阻止装置3は、タイヤのビード部に引っ掛ける一対の離脱阻止用引掛け部31と、タイヤカバープレート2に連結される、一対の離脱阻止用引掛け部31をタイヤ径方向Dに沿ってスライド可能に支持する支持部32とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの側面に配置されて前記タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレート
が前記タイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置であって、
前記タイヤのビード部に引っ掛ける一対の離脱阻止用引掛け部と、
前記タイヤカバープレートに連結され、前記一対の離脱阻止用引掛け部をタイヤ径方向に沿ってスライド可能に支持する支持部と
を備えていることを特徴とするタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項2】
前記支持部が、
前記タイヤカバープレートの一方の面に配置される第1のプレートと、
前記第1のプレートの一方の面に配置される第2のプレートとを有し、
前記第1のプレートが、
前記第1のプレートの中心部から互いに反対方向へ延びる一対の切欠きを有し、
前記第2のプレートが、
前記一対の切欠きに通じ、前記第2のプレートの中心部から互いに反対方向へ延びる一対の溝を有し、
前記一対の離脱阻止用引掛け部がそれぞれ、
前記切欠きに摺動可能に収容される摺動プレート部と、
前記摺動プレート部に対して垂直に連なり、前記溝を通じて外部に突き出す離脱阻止用引掛け部本体とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項3】
前記離脱阻止用引掛け部本体が、前記タイヤのビード部に引っ掛かる鉤型の引掛け部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項4】
前記一対の離脱阻止用引掛け部の間隔を一定に保つ間隔維持部材を、更に備えている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項5】
前記間隔維持部材が、
前記一対の離脱阻止用引掛け部に挟持される間隔維持部材本体と、
前記間隔維持部材本体の両端部に形成された、前記離脱阻止用引掛け部本体の一部を受け容れる受容溝とを有する
ことを特徴とする請求項4記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項6】
前記離脱阻止用引掛け部本体が、
前記受容溝と嵌合する離脱阻止用引掛け部側切欠きを有する
ことを特徴とする請求項5に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項7】
前記一対の切欠きに挿入され、前記タイヤカバープレートの移動量を制限する位置決め用スペーサを、更に備えている
ことを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項8】
スライド後の前記支持部に対する前記一対の離脱阻止用引掛け部の位置を保持するための位置保持部材を、更に備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項9】
前記位置保持部材が、前記一対の離脱阻止用引掛け部に巻き付けられ、前記支持部に対する前記一対の離脱阻止用引掛け部の摩擦抵抗を増やすリング状弾性体である
ことを特徴とする請求項8に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項10】
前記第1のプレートが、
前記間隔維持部材を収容するための第1の孔を有し、
前記第2のプレートが、
前記第1の孔に前記間隔維持部材を挿入するための第2の孔を有する
ことを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項11】
前記第2のプレートの一方の面に固定され、前記摺動プレート部を収容する枠と、
前記枠の両端部に固定され、前記摺動プレート部を支持する一対の支持プレート部と
を有する離脱阻止用引掛け部ホルダを、更に備えている
ことを特徴とする請求項2~10のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【請求項12】
前記タイヤカバープレートと前記一対の離脱阻止用引掛け部と前記支持部とがそれぞれプラスチックダンボール製である
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤの側面に配置されて前記タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレートがタイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを防ぐタイヤカバーの従来技術として、閉塞円板部と、脱落防止爪を有する脱落防止板と、宣伝用の表示とを備える雨水浸入防止デバイスがある(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-126011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雨水浸入防止デバイスが装着されたタイヤは屋外に置かれるので、雨水浸入防止デバイスの使用期間が長くなると、雨、風、日射し等の影響を受けて、閉塞円板部が反ったり、タイヤに対する閉塞円板部の固定強度が低下したりして、タイヤの側面と閉塞円板部との隙間が大きくなり、雨水浸入防止デバイスの雨水浸入防止機能が低下したり、雨水浸入防止デバイスがタイヤから外れたりすることがある。
【0005】
また、雨水浸入防止デバイスを装着するタイヤのサイズによっては、雨水浸入防止デバイスをタイヤに装着できなかったり、タイヤに装着できたとしても雨水浸入防止デバイスがタイヤから簡単に外れたりすることがある。
【0006】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを確実に防ぐことができるとともに、サイズの異なる各種のタイヤにタイヤカバープレートを使用することができるようにするタイヤカバープレート離脱阻止装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため請求項1に記載の発明は、タイヤの側面に配置されて前記タイヤの中心孔を覆うタイヤカバープレートが前記タイヤから離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置であって、前記タイヤのビード部に引っ掛ける一対の離脱阻止用引掛け部と、前記タイヤカバープレートに連結され、前記一対の離脱阻止用引掛け部をタイヤ径方向に沿ってスライド可能に支持する支持部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記支持部が、前記タイヤカバープレートの一方の面に配置される第1のプレートと、前記第1のプレートの一方の面に配置される第2のプレートとを有し、前記第1のプレートが、前記第1のプレートの中心部から互いに反対方向へ延びる一対の切欠きを有し、前記第2のプレートが、前記一対の切欠きに通じ、前記第2のプレートの中心部から互いに反対方向へ延びる一対の溝を有し、前記一対の離脱阻止用引掛け部がそれぞれ、前記切欠きに摺動可能に収容される摺動プレート部と、前記摺動プレート部に対して垂直に連なり、前記溝を通じて外部に突き出す離脱阻止用引掛け部本体とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記離脱阻止用引掛け部本体が、前記タイヤのビード部に引っ掛かる鉤型の引掛け部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記一対の離脱阻止用引掛け部の間隔を一定に保つ間隔維持部材を、更に備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記間隔維持部材が、前記一対の離脱阻止用引掛け部に挟持される間隔維持部材本体と、前記間隔維持部材本体の両端部に形成された、前記離脱阻止用引掛け部本体の一部を受け容れる受容溝とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記離脱阻止用引掛け部本体が、前記受容溝と嵌合する離脱阻止用引掛け部側切欠きを有することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4~6のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記一対の切欠きに挿入され、前記タイヤカバープレートの移動量を制限する位置決め用スペーサを、更に備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、スライド後の前記支持部に対する前記一対の離脱阻止用引掛け部の位置を保持するための位置保持部材を、更に備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記位置保持部材が、前記一対の離脱阻止用引掛け部に巻き付けられ、前記支持部に対する前記一対の離脱阻止用引掛け部の摩擦抵抗を増やすリング状弾性体であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項4~7のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記第1のプレートが、前記間隔維持部材を収容するための第1の孔を有し、前記第2のプレートが、前記第1の孔に前記間隔維持部材を挿入するための第2の孔を有することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項2~10のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記第2のプレートの一方の面に固定され、前記摺動プレート部を収容する枠と、前記枠の両端部に固定され、前記摺動プレート部を支持する一対の支持プレート部とを有する離脱阻止用引掛け部ホルダを、更に備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項1~11のいずれか1項に記載のタイヤカバープレート離脱阻止装置において、前記タイヤカバープレートと前記一対の離脱阻止用引掛け部と前記支持部とがそれぞれプラスチックダンボール製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、タイヤの内部に雨水や塵埃等が入り込むのを確実に防ぐことができるとともに、サイズの異なる各種のタイヤにタイヤカバープレートを使用することができるようにするタイヤカバープレート離脱阻止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1はこの発明の一実施形態に係るタイヤカバープレート離脱阻止装置を備えたタイヤカバーを斜め下方から見た斜視図である。
図2図2図1のタイヤカバーを反転させた状態を示す斜視図である。
図3図3図1のタイヤカバーの分解斜視図である。
図4図4はタイヤカバープレート離脱阻止装置の離脱阻止用引掛け部ホルダの分解斜視図である。
図5A図5Aはタイヤカバープレート離脱阻止装置の離脱阻止用引掛け部の斜視図である。
図5B図5Bはタイヤカバープレート離脱阻止装置の離脱阻止用引掛け部の分解斜視図である。
図6図6はタイヤカバープレート離脱阻止装置の支持部に離脱阻止用引掛け部ホルダを固定した状態を示す平面図である。
図7図7はタイヤカバープレート離脱阻止装置の間隔維持部材の平面図である。
図8図8はタイヤカバープレート離脱阻止装置の間隔維持部材集合体の平面図である。
図9図9はタイヤカバープレート離脱阻止装置の使用状態を示す断面図である。
図10図10は第1のプレートの切欠きと位置決め用ペーサとの関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1図3はこの発明の一実施形態に係るタイヤカバープレート離脱阻止装置3を備えたタイヤカバー1を示す図である。このタイヤカバー1は、図1図2図9に示すように、タイヤ8の側面8aに配置され、タイヤ8の中心孔8hを塞ぐ円形のタイヤカバープレート2と、タイヤカバープレート2がタイヤ8から離脱するのを阻止するタイヤカバープレート離脱阻止装置3とを備えている。タイヤカバープレート2は留め部材Fを通す6つの留め部材通し孔21を有している(図3参照)。
【0023】
タイヤカバープレート2とタイヤカバープレート離脱阻止装置3とはそれぞれプラスチックダンボール製である。この実施形態では、表側のライナとそのライナに対向する裏側のライナと両ライナ間に等間隔に配置される複数のリブとで構成されるプラスチックダンボール(図示せず)が使用されている。両ライナはいずれも円形であり、リブは長板状である。両ライナ間の空間は複数のリブによって複数の空間に分断されている。
【0024】
タイヤカバープレート離脱阻止装置3は、タイヤ8のビード部8bに引っ掛ける一対の離脱阻止用引掛け部31と、タイヤカバープレート2に連結され、一対の離脱阻止用引掛け部31をスライド可能に支持する支持部32とを有する(図1図2図9参照)。一対の離脱阻止用引掛け部31はタイヤ径方向Dに沿ってそれぞれ独立にスライドし得る。
【0025】
この実施形態のタイヤカバープレート離脱阻止装置3は、一対の離脱阻止用引掛け部31の間隔を維持する間隔維持部材5を備えている。間隔維持部材5は、一対の離脱阻止用引掛け部31に挟持されて一対の離脱阻止用引掛け部31の間隔を一定に保つ。
【0026】
支持部32は、図3に示すように、タイヤカバープレート2の一方の面に配置される第1のプレート321と、第1のプレート321の一方の面に配置される第2のプレート322とを有する。
【0027】
第1のプレート321は、第1のプレート321の中心部3211から互いに反対方向へ延びる一対の切欠き321Aを有する。
【0028】
第2のプレート322は、第2のプレート322の中心部3221から互いに反対方向へ延びる一対の溝322Aを有する。溝322Aはタイヤ中心軸方向Oで切欠き321Aに通じる。
【0029】
第1のプレート321は、間隔維持部材5を収容するための2つの第1の孔321Bを有する。第2のプレート322は、第1の孔321Bに間隔維持部材5を挿入するための2つの第2の孔322Bを有する。第2の孔322Bはタイヤ中心軸方向Oで第1の孔321Bに通じる。
【0030】
2つの第1の孔321Bは、一対の切欠き321Aの両側に位置し、タイヤ径方向Dに沿って平行に延びる。
【0031】
2つの第2の孔322Bは、一方の溝322Aの両側に位置し、タイヤ径方向Dに沿って平行に延びる。第2の孔322Bは第1の孔321Bより短い。
【0032】
第1のプレート321は、1つの中心孔321Dと、タイヤカバープレート2の6つの留め部材通し孔21に対応する、留め部材Fを通す6つの留め部材通し孔321Cとを有する。第2のプレート322も、1つの中心孔322Dと、タイヤカバープレート2の6つの留め部材通し孔21に対応する、留め部材Fを通す6つの留め部材通し孔322Cとを有する。
【0033】
一対の離脱阻止用引掛け部31はそれぞれ、支持部32の第1のプレート321の切欠き321Aに摺動可能に収容される摺動プレート部311と、摺動プレート部311に対して垂直に連なり、第2のプレート322の溝322Aを通じて外部に突き出す離脱阻止用引掛け部本体312とを有する(図5A参照)。摺動プレート部311は、矩形の位置決め用スペーサ6(図10参照)を介して支持部32の第1のプレート321の切欠き321Aに挿入される。位置決め用スペーサ6の厚さは第1のプレート321の厚さよりわずかに厚い。なお、図10において離脱阻止用引掛け部ホルダ4は図示省略されている。位置決め用スペーサ6は、タイヤ8に装着されているタイヤカバー1のタイヤカバープレート2にタイヤ径方向Dの外力が加わったとき、タイヤカバープレート2が過度に移動してタイヤカバープレート2とタイヤ8の側面8aとの間の隙間が大きくなるのを防ぐ部材である。タイヤカバー1を装着するタイヤ8のサイズは様々であるので、位置決め用スペーサ6のサイズはタイヤ8のサイズに応じて決まる。位置決め用スペーサ6は、各種のサイズのタイヤ8に対応する複数の位置決め用スペーサ6が一連につながったプラスチック段ボール製の位置決め用スペーサ集合体(図示せず)からカッタで分離されたものである。位置決め用スペーサ集合体の厚さは第1のプレート321の厚さよりわずかに厚い。
【0034】
離脱阻止用引掛け部本体312は、間隔維持部材5の受容溝52と嵌合する離脱阻止用引掛け部側切欠き3121と、タイヤ8のビード部8bに引っ掛かる鉤型の引掛け部3122とを有する(図5A参照)。離脱阻止用引掛け部本体312は、留め部材Fを通す留め部材通し孔314を有する。
【0035】
離脱阻止用引掛け部31は離脱阻止用引掛け部構成部材31Aと離脱阻止用引掛け部構成部材31Bとで構成されている(図5B参照)。離脱阻止用引掛け部構成部材31Aは、水平部311Aと、留め部材Fを通す孔3141を有する垂直部312Aとを備えている。離脱阻止用引掛け部構成部材31Bは、水平部311Bと、留め部材Fを通す孔3142を有する垂直部312Bと、留め部材Fを通す孔3143を有し、垂直部312Bに折り曲げ可能に連なるビード保護プレート部312Cとを備えている。離脱阻止用引掛け部構成部材31Aと離脱阻止用引掛け部構成部材31Bとを留め部材Fで一体的に連結することによって離脱阻止用引掛け部31が組み立てられる(図5A図1図2参照)。なお、図5Aにおいて留め部材Fの図示は省略されている。
【0036】
間隔維持部材5は、図7に示すように、長板状の間隔維持部材本体51と、間隔維持部材本体51の両端部に形成された、離脱阻止用引掛け部本体312の一部を受け容れる受容溝52とを有する。間隔維持部材5は、例えば12インチから18インチのタイヤ8に対応する複数の間隔維持部材5が一体に形成されたプラスチック段ボール製の間隔維持部材集合体AG(図8参照)からカッタ又ははさみで分離されたものである。間隔維持部材集合体AGに表示されたマークMの数により間隔維持部材5の種類を識別し得る。
【0037】
この実施形態のタイヤカバープレート離脱阻止装置3は、図4に示すように、第2のプレート322の一方の面に固定され、摺動プレート部311を収容する矩形の枠41と、枠41の両端部に固定され、摺動プレート部311を支持する一対の支持プレート部42とを有する離脱阻止用引掛け部ホルダ4を更に備えている。各支持プレート部42は、枠41の端部に両面テープで接着されるU字状プレート421と、U字状プレート421の片面に両面テープで接着される矩形プレート422とで構成されている。枠41の厚さと矩形プレート422の厚さとは同じであり、U字状プレート421の厚さは矩形プレート422の厚さよりわずかに厚い。枠41の厚さ寸法とU字状プレート421の厚さ寸法との和は、離脱阻止用引掛け部31の摺動プレート部311の水平部311Aの厚さ寸法と水平部311Bの厚さ寸法との和よりわずかに大きい。
【0038】
次に、タイヤカバー1の組立方法と使用方法との一例を説明する。
【0039】
まず、タイヤカバープレート2の一方の面に第1のプレート321を配置し、第1のプレート321の一方の面に第2のプレート322を配置する。更に、タイヤカバープレート2の留め部材通し孔21と第1のプレート321の留め部材通し孔321Cと第2のプレート322の留め部材通し孔322Cとを互いに対向させ、それらの留め部材通し孔21,321C,322Cに留め部材Fを挿入して、タイヤカバープレート2と第1のプレート321と第2のプレート322とを連結する。タイヤカバープレート2と第1のプレート321と第2のプレート322とを連結すると、第1のプレート321の中心孔321Dと第2のプレート322の中心孔322Dとがタイヤ中心軸方向Oで通じ、更に、第1のプレート321の一方の切欠き321Aと第2のプレート322の一方の長溝322Aとがタイヤ中心軸方向Oで通じるとともに、第1のプレート321の他方の切欠き321Aと第2のプレート322の他方の長溝322Aとがタイヤ中心軸方向Oで通じる。また、切欠き321Aを介してタイヤカバープレート2と第2のプレート322とが対向し、離脱阻止用引掛け部31の摺動プレート部311を収容する空間が形成される。
【0040】
次に、第2のプレート322に枠41を接着し、枠41の両端部に支持プレート部42をそれぞれ接着する。このようにして第2のプレート322の一方の面に離脱阻止用引掛け部ホルダ4が固定される。
【0041】
その後、一方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Aの垂直部312Aと他方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Bの垂直部312Bとを重ね、他方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Bのビード保護プレート部312Cを折り曲げて一方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Aの垂直部312Aに重ねる。更に、一方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Aの垂直部312Aの孔3141と他方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Bの垂直部312Bの孔3142とビード保護プレート部312Cの孔3143とを互いに対向させ、留め部材通し孔314に留め部材Fを挿入して、一方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Aと他方の離脱阻止用引掛け部構成部材31Bとを連結する。このようにして離脱阻止用引掛け部31が組み立てられる(図5A参照)。
【0042】
次に、間隔維持部材集合体AGから、タイヤカバー1を装着するタイヤ8に対応する間隔維持部材5をカッタで分離する。このとき、例えば、間隔維持部材集合体AGから16インチのタイヤ8に対応する間隔維持部材5と14インチのタイヤ8に対応する間隔維持部材5とを分離し、いずれか一方の間隔維持部材5を第2の孔322Bから第1の孔321Bに挿入して保管する。
【0043】
その後、タイヤカバー1のタイヤカバープレート2が下になり、支持部32が上になるようにタイヤカバー1を床面に置き(図2参照)、一対の切欠き321Aのそれぞれに位置決め用スペーサ6を介して離脱阻止用引掛け部31の摺動プレート部311を挿入する(図10参照)。
【0044】
次に、一対の離脱阻止用引掛け部31がタイヤ中心孔8hに収まるように、タイヤ8をタイヤカバー1の下面に載せる。
【0045】
その後、一対の離脱阻止用引掛け部31を、第2のプレート322の中心部3221から外側へ遠ざけるようにスライドさせる。離脱阻止用引掛け部31がタイヤ8のビード部8bに突き当たると、離脱阻止用引掛け部31の鉤型の引掛け部3122はタイヤ8のビード部8bに引っ掛かる(図9参照)。
【0046】
次に、一方の離脱阻止用引掛け部本体312の離脱阻止用引掛け部側切欠き3121に間隔維持部材5の一方の受容溝52を嵌合し、他方の離脱阻止用引掛け部本体312の離脱阻止用引掛け部側切欠き3121に間隔維持部材5の他方の受容溝52を嵌合する。その結果、間隔維持部材5によって一対の離脱阻止用引掛け部31の間隔が維持される。
【0047】
最後に、図9に示すように、タイヤカバー1がタイヤ8の上に位置するようにタイヤ8をひっくり返し、そのタイヤ8を図示しない積層された(いわゆる平積みされた)複数のタイヤ8の上に載せる。
【0048】
この実施形態に係るタイヤカバー1は、タイヤ8のビード部8bに引っ掛ける一対の離脱阻止用引掛け部31が、タイヤカバープレート2に連結された支持部32に、タイヤ径方向Dに沿ってそれぞれ独立にスライド可能に支持されているので、タイヤカバー1をサイズの異なる各種のタイヤ8に装着することができる。
【0049】
また、一対の離脱阻止用引掛け部31の鉤型の引掛け部3122がタイヤ8のビード部8bに引っ掛かって、一対の離脱阻止用引掛け部31のタイヤ中心軸方向Oの移動が阻止され、タイヤ8に対するタイヤカバープレート2の固定強度が大きくなるので、タイヤカバープレート2とタイヤ8の側面8aとの間の隙間の増加が抑制され、タイヤカバー1の雨水浸入防止機能の低下やタイヤカバー1のタイヤ8からの離脱という現象が起こりにくい。
【0050】
更に、間隔維持部材本体51の受容溝52と離脱阻止用引掛け部本体312の離脱阻止用引掛け部側切欠き3121とが嵌合するので、間隔維持部材5が一対の離脱阻止用引掛け部31に挟持されたとき、タイヤ中心軸方向Oの間隔維持部材5の移動が阻止されるとともに、タイヤ径方向Dとタイヤ中心軸方向Oとに直交する方向の間隔維持部材5の移動も阻止され、一対の離脱阻止用引掛け部31の間隔を確実に維持することができる。
【0051】
また、使用中の間隔維持部材5と異なる別の間隔維持部材5を第1の孔321Bに収容しておけるので、タイヤカバー1をサイズの異なる他のタイヤ8に迅速に装着することができる。
【0052】
更に、タイヤカバー1を使用しないとき、一対の離脱阻止用引掛け部31を支持部32の切欠き321Aから外して、一対の離脱阻止用引掛け部31の摺動プレート部311を離脱阻止用引掛け部ホルダ4に支持させることができるので、支持部32から一対の離脱阻止用引掛け部31を分離させずにタイヤカバー1を保管することができる。
【0053】
なお、タイヤカバープレート2と第1のプレート321と第2のプレート322とはいずれもプラスチックダンボール製であり、第1のプレート321のリブと第2のプレート322のリブとは平行であるが、第1のプレート321と第2のプレート322とのリブとタイヤカバープレート2のリブとは平行でない。この実施形態では、第1のプレート321と第2のプレート322とのリブは、タイヤカバープレート2のリブに対してほぼ45度傾いている。このようにするとタイヤカバープレート2の平面度が低下しにくくなる。
【0054】
また、図5の間隔維持部材5に代え、スライド後の支持部32に対する一対の離脱阻止用引掛け部31の位置を保持するための位置保持部材を用いてもよい。位置保持部材としては、例えば、離脱阻止用引掛け部31の摺動プレート部311と離脱阻止用引掛け部本体312との連結部分に巻き付ける、表面を繊維で被覆したリング状弾性体(図示しない)がある。このリング状弾性体は、支持部32に対する離脱阻止用引掛け部31の摩擦抵抗を大きくすることができ、図5の間隔維持部材5を用いなくとも一対の離脱阻止用引掛け部31の間隔を維持することもできるし、タイヤカバープレート2のタイヤ径方向Dの移動を抑制することもできる。
【0055】
なお、この実施形態では、基本的に間隔維持部材集合体AGから1つの特定のサイズのタイヤ8に対応する1つの間隔維持部材5を分離するようにしたが、例えば、図8の間隔維持部材集合体AGを2分割することにより、12インチのタイヤ8と13インチのタイヤ8とに対応する第1の間隔維持部材集合体(図示せず)と、15インチのタイヤ8と18インチのタイヤ8とに対応する第2の間隔維持部材集合体(図示せず)とに分割し、それらの間隔維持部材集合体をそれぞれ間隔維持部材として使用するようにしてもよい。
【0056】
また、第1のプレート321の一対の切欠き321Aのそれぞれに位置決め用スペーサ6を介して離脱阻止用引掛け部31の摺動プレート部311を挿入した後、間隔維持部材5を一対の離脱阻止用引掛け部31に装着する前に、第1のプレート321の一対の切欠き321Aのそれぞれに、位置決め用スペーサ集合体から分離された別の位置決め用スペーサ(図示せず)を挿入してもよい。このようにすれば別の位置決め用スペーサが位置保持部材として機能し、タイヤカバープレート2に対する離脱阻止用引掛け部31の位置が保持される。
【0057】
なお、この実施形態では、タイヤカバープレート2とタイヤカバープレート離脱阻止装置3とがそれぞれプラスチックダンボール製であるが、タイヤカバープレート2やタイヤカバープレート離脱阻止装置3などの材料としては、プラスチックダンボール以外のプラスチックでもよいし、プラスチック以外の材料でもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 タイヤカバー
2 タイヤカバープレート
21 留め部材通し孔
3 タイヤカバープレート離脱阻止装置
31 離脱阻止用引掛け部
31A 離脱阻止用引掛け部構成部材
31B 離脱阻止用引掛け部構成部材
311 摺動プレート部
311A,311B 水平部
312 離脱阻止用引掛け部本体
312A,312B 垂直部
312C ビード保護プレート部
3121 離脱阻止用引掛け部側切欠き
3122 鉤型の引掛け部
314 留め部材通し孔
3141 孔
3142 孔
3143 孔
32 支持部
321 第1のプレート
321A 切欠き
321B 第1の孔
321C 留め部材通し孔
321D 中心孔
3211 第1のプレートの中心部
322 第2のプレート
322A 溝
322B 第2の孔
322C 留め部材通し孔
322D 中心孔
3221 第2のプレートの中心部
4 離脱阻止用引掛け部ホルダ
41 枠
41a 切欠き
42 一対の支持プレート部
421 U字状プレート
422 矩形プレート
5 間隔維持部材
51 間隔維持部材本体
52 受容溝
6 位置決め用スペーサ
8 タイヤ
8a タイヤの側面
8b タイヤのビード部
8h タイヤの中心孔
D タイヤ径方向
O タイヤ中心軸方向
F 留め部材
AG 間隔維持部材集合体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
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図10