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特開2022-30459天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法
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  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図1
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図2
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図3
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図4
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図5
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図6
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図7
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図8
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図9
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図10
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図11
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図12
  • 特開-天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030459
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
E04B9/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134522
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】519118186
【氏名又は名称】株式会社F&S
(71)【出願人】
【識別番号】509045450
【氏名又は名称】樋浦 勝巳
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋浦 栄一
(57)【要約】
【課題】天井裏での作業性に優れた取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法を提供する。
【解決手段】Tバー5に取り付ける取付金具1であって、取付金具1は、金具本体2と、金具本体2に対向して配置される挟持部材3と、金具本体2と挟持部材3を固定する固定部4とを備え、固定部4は、挟持部材4を揺動可能な状態で保持する仮止め状態と、挟持部材4を揺動不能な状態で固定する本締め状態に切り替え可能であり、取付金具1は、Tバー5の頭部41を挟持する固定側挟持部8と可動側挟持部16を有し、各挟持部の下方には、前記頭部41が前記挟持部から脱落するのを防止する抜止部である絞り部25、26を有し、前記抜止部の下方には、前記頭部41を前記挟持部に挿入する挿入口部29を有し、前記挿入口部29は、上側よりも下側が広く開口している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井下地材に取り付ける取付金具であって、
前記取付金具は、
金具本体と、
前記金具本体に対向して配置される挟持部材と、
前記金具本体と前記挟持部材を固定する固定部とを備え、
前記固定部は、前記挟持部材を揺動可能な状態で保持する仮止め状態と、前記挟持部材を揺動不能な状態で固定する本締め状態に切り替え可能であり、
前記取付金具は、前記天井下地材の被挟持部を挟持する挟持部を有し、前記挟持部の下方には、前記被挟持部が前記挟持部から脱落するのを防止する抜止部を有し、前記抜止部の下方には、前記被挟持部を前記挟持部に挿入する挿入口部を有し、
前記挿入口部は、上側よりも下側が広く開口していることを特徴とする取付金具。
【請求項2】
前記挟持部を構成する前記金具本体の固定側挟持部と、前記挟持部材の可動側挟持部の形状が同一であり、
前記抜止部を構成する前記金具本体の固定側抜止部と、前記挟持部材の可動側抜止部の形状が同一であり、
前記挿入口部を構成する前記金具本体の固定側挿入口部と、前記挟持部材の可動側挿入口部の形状が同一であることを特徴とする請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
前記固定部は、
前記挟持部材に形成された螺子孔と、
前記金具本体に前記螺子孔より大径に形成された挿通孔と、
前記螺子孔に螺合するボルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載の取付金具。
【請求項4】
前記金具本体は、前記挟持部の上方に横架材を固定する横架材固定部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の取付金具。
【請求項5】
請求項4に記載の取付金具を一対に設け、各取付金具の前記横架材固定部に前記横架材を固定して形成したことを特徴とする架設ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の架設ユニットを一対の前記天井下地材に取り付ける取付方法であって、
前記固定部を仮止め状態とし、前記横架材固定部に前記横架材を固定して前記架設ユニットを形成する工程と、
前記被挟持部を前記挿入口部から前記挟持部に挿入して前記架設ユニットを前記天井下地材に取り付ける工程と、
前記固定部を前記本締め状態とする工程と、を有することを特徴とする取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井下地材の取付金具、その取付金具を用いた架設ユニットおよび架設ユニットの取付工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井下地材の取付金具としては、一本の長尺材からなる横架材の周囲を囲うように設けられ、その下端に挟持部を備えた支持金具があった(特許文献1の図9)。その挟持部は支持金具の下部に形成された鉤状部と、鉤状の挟持片からなり、鉤状部に形成された係止溝に挟持片の上部に備えた係止爪を係止して鉤状部に対して挟持片を揺動自在にした後、鉤状部と挟持片とをビスで固定することで、挟持部の鉤状部と挟持片で天井下地材の上辺縁部を挟み込んで、鉤状部と挟持片をビスで固定して支持金具を天井下地材に取り付けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-142008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の支持金具では、狭い天井裏空間にて、支持金具に横架材31を架設する作業、鉤状部の係止溝に挟持片の係止爪を係止する作業、両手で鉤状部と挟持片をそれぞれ掴んで鉤状部に対して挟持片を開いて、挟持部で天井下地材の上辺縁部を挟み支持金具を天井下地材に位置決めする作業、さらに挟持部が開かないよう鉤状部と挟持片をビスで固定する作業等を行わなければならず、天井裏空間での作業工程が多いため作業性が悪く、施工時間がかかり工期の遅延を招くという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、天井裏での作業工程を削減させて、天井裏での作業性に優れた天井下地材の取付工法及びその取付工法に用いる取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、天井下地材に取り付ける取付金具であって、前記取付金具は、金具本体と、前記金具本体に対向して配置される挟持部材と、前記金具本体と前記挟持部材を固定する固定部とを備え、前記固定部は、前記挟持部材を揺動可能な状態で保持する仮止め状態と、前記挟持部材を揺動不能な状態で固定する本締め状態に切り替え可能であり、前記取付金具は、前記天井下地材の被挟持部を挟持する挟持部を有し、前記挟持部の下方には、前記被挟持部が前記挟持部から脱落するのを防止する抜止部を有し、前記抜止部の下方には、前記被挟持部を前記挟持部に挿入する挿入口部を有し、前記挿入口部は、上側よりも下側が広く開口していることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記挟持部を構成する前記金具本体の固定側挟持部と、前記挟持部材の可動側挟持部の形状が同一であり、前記抜止部を構成する前記金具本体の固定側抜止部と、前記挟持部材の可動側抜止部の形状が同一であり、前記挿入口部を構成する前記金具本体の固定側挿入口部と、前記挟持部材の可動側挿入口部の形状が同一であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記固定部は、前記挟持部材に形成された螺子孔と、前記金具本体に前記螺子孔より大径に形成された挿通孔と、前記螺子孔に螺合するボルトであることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、前記金具本体は、前記挟持部の上方に横架材を固定する横架材固定部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の取付金具を一対に設け、各取付金具の前記横架材固定部に前記横架材を固定して形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の架設ユニットを一対の前記天井下地材に取り付ける取付方法であって、前記固定部を仮止め状態とし、前記横架材固定部に前記横架材を固定して前記架設ユニットを形成する工程と、前記被挟持部を前記挿入口部から前記挟持部に挿入して前記架設ユニットを前記天井下地材に取り付ける工程と、前記固定部を前記本締め状態とする工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、仮止め状態の取付金具は挿入口部を天井下地材の被挟持部に押し込むと、挿入口部が押し開いた後に挟持部の間に天井下地材の被挟持部が配置され、取付金具の天井下地材へのワンタッチでの位置決めが可能となる。そして、位置決めされた取付金具は固定部を本締め状態とすることで容易に取付金具の固定が可能となる。
【0013】
請求項2の発明によれば、金具本体と挟持部材で天井下地材の被挟持部を確実に挟持することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、固定部の構造を簡単なものとすることができる。また、挿通孔とボルトによる遊びを活かすことで、仮止め状態での挟持部材を金具本体に対して揺動可能なものとすることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、金具本体に横架材を固定することが容易になる。
【0016】
請求項5の発明によれば、架設ユニットの構造を簡単なものとすることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、天井下地材への位置決めをワンタッチとすることで、作業スペースに余裕のない天井裏空間での作業を軽減して作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施例における取付装置を用いた天井構造を示す斜視図である。
図2】同上、天井構造の正面図である。
図3】同上、取付金具を可動側挟持部側から見た分解斜視図である。
図4】同上、取付金具を固定側挟持部側から見た分解斜視図である。
図5】同上、架設ユニットを傾けた状態で天井下地材に取り付けようとする断面図である。
図6】同上、固定部のボルトを緩めた仮止め状態での可動側挟持片の動作範囲を示す断面図である。
図7】同上、傾いた状態の取付金具を示す正面図である。
図8】同上、挿入口部の変形例を示す取付金具の側面図である。
図9】同上、挿入口部の更なる変形例を示す取付金具の側面図である。
図10】同上、ハンガー部材を可動側挟持部側から見た分解斜視図である。
図11】同上、ハンガー部材を固定側挟持部側から見た分解斜視図である。
図12】本発明の第2実施例における取付装置を用いた天井構造を示す斜視図である。
図13】同上、天井構造の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0020】
図1図11は本発明の実施例1を示すものであり、図1図7に基づき、本実施例の取付金具1について説明する。取付金具1は、金具本体2と、金具本体2と対向して配置される挟持部材3と、金具本体2と挟持部材3を固定する固定部4を備えている。
【0021】
金具本体2は、金属プレートをプレスして折り曲げ形成されたものであり、上板部5と、上板部5の後辺から垂下する垂直面部である背板部6と、背板部6からさらに垂下する垂直面部である保持部7と、保持部7の下部に備えた略断面コ字状の固定側挟持部8を備えている。
【0022】
上板部5は、略四角形状を有し、ほぼ中央に複数の貫通孔9が並設されている。背板部6の上部には、上縁部分が上板部5となるように略四角形状の開口部10が形成されている。また、背板部6は、開口部10の下縁部分から上板部5と平行に形成された横側保持部11を備えている。
【0023】
保持部7の中央位置には、螺子部材であるボルト12を挿入させるための挿通孔13が形成される。また、保持部7の左右側面には、金具本体2の正面に向けて垂直に突出させた略四角形状の一対の回転規制部14を備えており、挿通孔13は回転規制部14間に配置される。
【0024】
挟持部材3は、金属プレートをプレスして折り曲げ形成されたものであり、金具本体2の保持部7の正面側に対向して配置される垂直面部である取付面部15と、取付面部15の下部に備えた略断面コ字状の可動側挟持部16を備えている。取付面部15の中央位置には、ボルト12を締着するための螺子孔17が形成される。
【0025】
固定部4は、ボルト12、挿通孔13および螺子孔17によって構成されるが、挿通孔13を挟持部材3に形成して、螺子孔17を金具本体2に形成したものでもよい。
【0026】
以下、ボルト12を螺子孔17に螺合して、金具本体2の保持部7に挟持部材3を取り付けた状態における、固定側挟持部8と可動側挟持部16の構成について説明する。尚、金具本体2の保持部7に挟持部材3を取り付けた状態では、金具本体2の固定側挟持部8の開放側と挟持部材3の可動側挟持部16の開放側は対向するものとする。
【0027】
固定側挟持部8は、保持部7の下辺より上から下にかけて可動側挟持部16から離れるように傾斜して形成された上側受け部18と、上側受け部18の下辺から垂下する垂直面部である側壁部19と、側壁部19の下辺より上から下にかけて可動側挟持部16に近づくように傾斜して形成された下側受け部20とを備えている。
【0028】
可動側挟持部16は、取付面部15の下辺より上から下にかけて固定側挟持部8から離れるように傾斜して形成された上側受け部21と、上側受け部21の下辺から垂下する垂直面部である側壁部22と、側壁部22の下辺より上から下にかけて固定側挟持部8に近づくように傾斜して形成された下側受け部23とを備えている。尚、固定側挟持部8と可動側挟持部16は互いに対称な形状を有している。各上側受け部18、21、各側壁部19、22、および各下側受け部20、23によって区画される収容部24には、後述するTバーの頭部が収容される。
【0029】
各下側受け部20、23は下方へ行くほど互い近接するように形成されたことにより、各下側受け部20、23の下辺は絞り部25、26として形成されている。さらに、各下側受け部20、23の下辺から下方へ行くほど互いに離れるように形成された挿入片27、28が形成されている。挿入片27、28間には、後述するTバーの頭部が挿入可能な挿入口部29が形成される。
【0030】
ここで図6に示すように、挟持部材3は、貫通孔9とそこに挿通されるボルト12による遊びにより、可動側挟持部16の絞り部26と固定側挟持部8の絞り部25とが最も近接する閉状態と、可動側挟持部16の絞り部26と固定側挟持部8の絞り部25との間隔MがTバー37の頭部41の幅L以上となるように挟持部材3が金具本体2から離れた開状態との間を揺動自在な構成となっている。
【0031】
前述の図6に示した開状態では、各絞り部25、26の間隔Mよりも各挿入片27、28の下端同士の間隔Nが大きくなる。
【0032】
回転規制部14、14が背板部6から垂直方向に突出する突出量Sは、図6に示すような開状態での保持部7と取付面部15の間隔Tより大きく設定されている。
【0033】
次に、取付金具1、1を用いた架設ユニット30について説明する。図1及び図2に示すように互いの上板部5が対向するように配置された一対の取付金具1、1の開口部10に開口部10の開口とほぼ同形状の角筒の鋼管からなる横架材31を挿通し、図2に示すように貫通孔9を介して螺子32で上板部5と横架材31を固定して、一対の取付金具1、1間に横架材31を架設した架設部33を備え、一対の取付金具1、1と横架材31とを一体化させて架設ユニット30を構成する。この架設ユニット30が構成された段階で取付金具1、1は、挟持部材3がボルト12で金具本体2に仮止めされ、図6に示す開状態であることが好ましい。
【0034】
続いて、本実施形態に係る天井構造について説明する。図1に示す天井構造34の一例としては、建物躯体である上階床スラブ(天井スラブ)から垂設された吊りボルト35と、この吊りボルト35に装着されたハンガー部材36と、ハンガー部材36に保持された天井下地材であるTバー37を備えている。
【0035】
ここで、図1図2に示すように天井裏空間Kで平行又は格子状に組み付けられた複数のTバー37には、天井パネル38が配置される。そして、天井裏空間Kは天井スラブと天井パネル38の間に構成される。
【0036】
Tバー37は上下方向に延設された縦片部39と、縦片部39の下部から水平方向に延設されたフランジ状の横片部40とを備えた断面略逆T字型形状を有し、スチール製の板材を折り曲げした加工物やアルミニウム製の押出形材等からなる。
【0037】
縦片部39の上端には断面矩形状の頭部41を備えており、この頭部41はハンガー部材36に把持可能に形成されたものである。
【0038】
横片部40には、図2に示すように天井パネル38がビス等で固定される他、天井パネル38が載置される。
【0039】
本実施例の取付金具1及びこの取付金具1を用いた架設ユニット30の使用方法について説明する。予め、地上のような作業のしやすい作業スペースにて各取付金具1、1を仮止め状態まで組み立てる。ここで取付金具1の仮止め状態とは、保持部7と取付面部15の間隔Tが回転規制部14の突出量S以下であり、図6に示すように開状態の取付金具において、可動側挟持部16の絞り部26と固定側挟持部8の絞り部25の間隔MがTバー37の頭部41の幅L以上となるように、金具本体2の挿通孔13に挿通されたボルト12を挟持部材3の螺子孔17に螺合させた状態である。
【0040】
次に、一対の取付金具1、1を、互いの上板部5が対向するように配置した後、開口部10の開口とほぼ同形状の角筒の鋼管からなる横架材31を用意して、横架材31の両端をそれぞれ取付金具1の開口部10に挿通させて、横架材31を取付金具1、1間に架設して架設部33を構成する。ここで、横架材31を取付金具1、1間に架設する工程では、後の工程で一対の取付金具1、1間の間隔が横架材31の長手方向にスライド調節が可能なように、横架材31と一対の取付金具1、1を固定しない、または横架材31と一対の取付金具1、1の一方のみを固定するようにしている。
【0041】
そして、架設ユニット30を天井裏空間Kに運び、架設ユニット30が取り付けられようとする複数のTバー37の頭部41の間隔に合わせて、横架材31と固定されていない取付金具1を横架材31の長手方向にスライドさせて、各取付金具1、1の間隔を調節する。Tバー37の頭部41にボルト12が緩められて仮止め状態の取付金具1を上方から押し込み嵌める。ここで、開口部10に挿通された横架材31は、横架材31と平行な横側保持部11上に保持されることで、スライド動作がスムーズになり各取付金具1、1の間隔調整が容易になる。
【0042】
次に、挿入口部18をTバー37の頭部41に押し込むと、図7に示すように挿通孔13とボルト12との遊びからなる固定部4と挟持部材3の遊びまで挿入口部18が押し開かれ、挿入口部18はTバー37の頭部41を乗り越える。挿入片27、28がその傾斜面に沿ってTバー37の頭部41を乗り越えて下降して、Tバー37の頭部41が取付金具1の収容部24に収容されると、取付金具1のTバー37の頭部41への嵌合が完了する。その後、固定部4のボルト12を締まる方向に回転させて本締め状態とし、Tバー37の頭部41を可動側挟持部16と固定側挟持部8で挟持して固定する。
【0043】
続いて、横架材31と固定されていない取付金具1の上板部5と横架材31とを螺子32で固定し、最後に架設部33に消火設備、音響設備、照明設備等の各種設備Pを取り付けて作業は完了する。尚、各種設備Pを室内へ露出させるための天井パネル38の加工は適宜行ってもよいものとする。
【0044】
ここで、上側受け部18、21は斜め下向きに形成され、また下側受け部20、23が斜め上向きに形成されたことで、頭部41の幅Lが取付面部15と保持部7の間隔以上、側壁部19、22間の間隔未満であるすると、頭部41が上側受け部18、21と下側受け部20、23によって保持可能となる。このように頭部41の幅Lが側壁部19、22の間隔未満であったとしても、挟持部14によってTバー37の頭部41を保持することができる。
【0045】
また、図5に示すように一対の取付金具1、1を横架材31に対して同時ではなく、一対の取付金具1、1のどちらか一方が下がった状態で、図5に示すように一方の取付金具1(以下、一次取付側の取付金具1A)をTバー37の頭部41に位置決めして嵌合した後、他方の取付金具1(以下、二次取付側の取付金具1B)をTバー37の頭部41に位置決めして嵌合する場合について説明すると、挟持部材3は固定部4による固定が解除され揺動自在な仮止めの状態において、可動側挟持部16が固定側挟持部8より下側に位置すると、可動側挟持部16が固定部4を軸として可動側挟持部16の下部が下向きとなるように回動して、保持部7と取付面部15間の開き角度θが大きくなり、挿入口部29の間隔が大きくなる。
【0046】
このように、図5に示すように二次取付側の取付金具1Bを一次取付側の取付金具1Aに対して相対的に上昇させると、固定側挟持部8の下部が上がり、固定部4と挟持部材3の遊びの限界まで垂直状態を保持しようとして挟持部材3の下部との間隔が広がると、各絞り部25、26の間隔Mが広がり挿入口部29にTバー37の頭部41が挿入しやすくなるので、一次取付側の取付金具1Aの位置決めがされた後の二次取付側の取付金具1Bの位置決めが容易になる。尚、二次取付側の取付金具1Bの位置決めは、先に位置決めされた一次取付側の取付金具1Aの制約を受けるため、一次取付側の取付金具1Aの位置決めより困難な場合が多く、二次取付側の取付金具1Bの位置決めを容易とすることには施工性の向上において大きなメリットがある。
【0047】
回転規制部14、14が挟持部材3の側面に近接して設けられているので、固定部4による締め付けが緩められた状態での可動側挟持片13Aがボルト12を軸周りに回転することが規制され、図7に示すように取付金具1が傾いた場合でも、可動側挟持部16は固定側挟持部8と常に同じ向きとなり、取付金具1が傾いた場合での作業性が向上する。
【0048】
挿入口部29は、図8に示すような外向きに湾曲させて折り曲げ形成させたR形状や、図9に示すような途中までをストレート形状の傾斜面とした後、先端を外向きに湾曲させた形状としてもよい。
【0049】
尚、図10及び図11に示すハンガー部材36について説明するが、取付金具1と共通する構造については同一の符号を付して説明を省略する。ハンガー部材36は上板部5に吊りボルト35が挿通可能な大きさに形成された取付穴42を備えている。
【0050】
続いて、ハンガー部材36の取り付け工法について説明する。上用ナット43を螺合させた吊りボルト35を取付穴42に挿通する。ハンガー部材36を吊りボルト35の軸方向に移動させて、ハンガー部材36の挿入口部29をTバー37の頭部41に上方から押し込み、ハンガー部材36の絞り部25、26がTバー37の頭部41を乗り越えて、Tバー37の頭部41が収容部24に収容されたら、ボルト12を締付けてハンガー部材36をTバー37の頭部41に取り付ける。最後に下用ナット44を吊りボルト35に螺合させて、上用ナット43と下用ナット44でハンガー部材36の上板部5を挟着してハンガー部材36を吊りボルト35に固定して取り付けが完了する。本実施例のハンガー部材36を使用することで、Tバー37を吊りボルト35に吊り下げ保持させる作業において、取付金具1と同様にハンガー部材35とTバー37の頭部41の連結を容易にすることで作業性を向上させることができる。
【0051】
以上のように本実施例は、天井下地材であるTバー5に取り付ける取付金具1であって、前記取付金具1は、金具本体2と、前記金具本体2に対向して配置される挟持部材3と、前記金具本体2と前記挟持部材3を固定する固定部4とを備え、前記固定部4は、前記挟持部材4を揺動可能な状態で保持する仮止め状態と、前記挟持部材4を揺動不能な状態で固定する本締め状態に切り替え可能であり、前記取付金具1は、Tバー5の被挟持部である頭部41を挟持する挟持部である固定側挟持部8と可動側挟持部16を有し、前記挟持部の下方には、前記頭部41が前記挟持部から脱落するのを防止する抜止部である絞り部25、26を有し、前記抜止部の下方には、前記頭部41を前記挟持部に挿入する挿入口部29を有し、前記挿入口部29は、上側よりも下側が広く開口している。
【0052】
この場合、仮止め状態の取付金具1は挿入口部29をTバー5の頭部41に押し込むと、挿入口部29が押し開いた後に固定側挟持部8と可動側挟持部16にTバー5の頭部41が配置され、取付金具1のTバー5へのワンタッチでの位置決めが可能となる。そして、位置決めされた取付金具1は固定部4を本締め状態とすることで容易に取付金具1の固定が可能となる。
【0053】
また本実施例は、前記挟持部を構成する前記金具本体2の固定側挟持部8と、前記挟持部材3の可動側挟持部16の形状が同一であり、前記抜止部を構成する前記金具本体2の固定側抜止部である絞り部25と、前記挟持部材3の可動側抜止部である絞り部26の形状が同一であり、前記挿入口部29を構成する前記金具本体2の固定側挿入口部である挿入片27と、前記挟持部材3の可動側挿入口部である挿入片28の形状が同一であり、金具本体2と挟持部材3でTバー5の頭部41を確実に挟持することができる。
【0054】
また本実施例は、前記固定部4は、前記挟持部材3に形成された螺子孔17と、前記金具本体2に前記螺子孔17より大径に形成された挿通孔13と、前記螺子孔17に螺合するボルト12であり、固定部4の構造を簡単なものとすることができる。また、挿通孔13とボルト12による遊びを活かすことで、仮止め状態での挟持部材3を金具本体2に対して揺動可能なものとすることができる。
【0055】
また本実施例は、前記金具本体2は、前記挟持部である固定側挟持部8の上方に横架材31を固定する横架材固定部である上板部5、開口部10及び横側保持部11を有し、金具本体2に横架材31を固定することが容易になる。
【0056】
また本実施例は、取付金具1を一対に設け、各取付金具1、1の前記横架材固定部に前記横架材31を固定して形成したことにより、架設ユニット30の構造を簡単なものとすることができる。
【0057】
また本実施例は、架設ユニット30を一対の前記天井下地材であるTバー5に取り付ける取付方法であって、前記固定部4を仮止め状態とし、前記横架材固定部に前記横架材31を固定して前記架設ユニット30を形成する工程と、前記Tバー5の頭部41を前記挿入口部29から前記挟持部である固定側挟持部8と可動側挟持部16の間に挿入して前記架設ユニット30を前記Tバー5に取り付ける工程と、前記固定部4を前記本締め状態とする工程と、を有することにより、Tバー5への位置決めをワンタッチとすることで、作業スペースに余裕のない天井裏空間Kでの作業を軽減して作業効率の向上を図ることができる。
【実施例0058】
図12及び図13は本発明の実施例2を示し、上記第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。本実施例の架設ユニット45に用いる一対の取付金具46、47のうち、一方の取付金具46は実施例1に記載の取付金具1の上板部5に螺子孔48を備えたもの、他方の取付金具47の金具本体2の上板部5の先端には、長手方向の寸法を架設ユニット45が架設されるTバー5、5間の間隔X以上に形成された延設部49を備えており、延設部49の先端部分には延設部49の長手方向に沿って形成された長孔状の取付孔50を備えている。取付孔50は、間隔調整用ボルト51の軸が挿通可能な大きさ、かつ間隔調整用ボルト51の頭部が挿通不可能な大きさに形成されたものである。
【0059】
本実施例の架設ユニット45の使用方法について説明する。予め、地上のような作業のしやすい作業スペースにて仮止め状態の一対の取付金具46、47は互いの上板部5、5が対向するように配置された後、一方の取付金具46の上板部5に他方の取付金具47の延設部49が載置され、取付孔50に挿通された間隔調整用ボルト51を螺子孔48に螺合して、一方の取付金具46の上板部5と他方の取付金具47の延設部49を仮止め状態で固定して一対の取付金具46、47間に延設部49が架設されて架設部52が設けられて架設ユニット45が構成される。
【0060】
尚、仮止め状態において、間隔調整用ボルト51は取付孔50の長手方向にスライド移動できるように螺子孔48に緩く螺合されており、各取付金具46、47間の間隔を調節することができる。
【0061】
そして、架設ユニット45を天井裏空間Kに運び、架設ユニット45が取り付けられようとするTバー37の頭部41の間隔に合わせて、間隔調整用ボルト51が取付孔50内を移動できる範囲内で延設部49を上板部5に対してスライドさせて、各取付金具46、47の間隔を調節する。Tバー37の頭部41にボルト12が緩められ仮止め状態の取付金具46、47を上方から押し込み嵌めた後、ボルト12を締めて取付金具46、47とTバー37を固定する。続いて、間隔調整用ボルト51を締めて延設部49と上板部5を固定し、最後に架設部52に各種設備Pを取り付けて作業は完了する。
【0062】
本実施例の架設ユニット45を使用することで、地上での取付金具46、47同士の連結作業が不要となり、天井裏空間KでのTバー37への設置に集中することができ、作業性の向上を図ることができる。
【0063】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。尚、横架材と各種設備Pとの取付構造については特に限定されるものではない。開口部10と、開口部10に挿通される横架材31の形状についても適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 取付金具
2 金具本体
3 挟持部材
4 固定部
5 上板部(横架材固定部)
8 固定側挟持部(挟持部)
10 開口部(横架材固定部)
12 ボルト
13 挿通孔
16 可動側挟持部(挟持部)
17 螺子孔
25 絞り部(固定側抜止部)
26 絞り部(可動側抜止部)
27 挿入片(固定側挿入口部)
28 挿入片(可動側挿入口部)
29 挿入口部
30 架設ユニット
31 横架材
37 Tバー(天井下地材)
41 頭部(被挟持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13