(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030544
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネスの結束構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/32 20060101AFI20220210BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20220210BHJP
F16L 3/123 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H02G3/32
F16B2/10 E
F16L3/123
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134638
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】308011351
【氏名又は名称】大和化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100174377
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100215038
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友子
(72)【発明者】
【氏名】平川 勝也
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AD02
3H023AD21
3H023AE08
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB12
3J022GA06
3J022GA16
3J022GB23
3J022GB27
5G363AA08
5G363BA02
5G363DA15
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】結束部材と、よりシンプルな構造のクランプとを用いて、円形状断面を有するワイヤーハーネスをその長手方向のより広い範囲で安定して低背化させる新たなワイヤーハーネスの結束構造を実現する。
【解決手段】円形状断面を有するワイヤーハーネスW(
図5及び
図10参照)と、車体に取り付けるための係合部3とワイヤーハーネスWを載置する載置部4とワイヤーハーネスWを押し付ける押付部5とを有したクランプ2と、結束部材10とを用いる。押付部5は、ワイヤーハーネスWの長手方向に対向する押付本体部50、50と、それらを連結する対向延出部51、52とを有し、ワイヤーハーネスWを押し付けて低背化した状態で載置部4に仮組付けできる。この仮組付け状態において、押付本体部50、50の対向間で、低背状態のワイヤーハーネスWと共に載置部4及び対向延出部51、52を結束する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形状断面を有するワイヤーハーネスと、
車体に取り付けるための係合部を有するとともに前記ワイヤーハーネスを押し潰して該ワイヤーハーネスを横幅方向に押し広げ、高さを減じた形で把持するクランプと、
把持された前記ワイヤーハーネスと前記クランプの一部とを結束保持する結束部材と、
を備えたワイヤーハーネスの結束構造であって、
前記クランプは、
前記ワイヤーハーネスが載置される、該ワイヤーハーネスよりも前記横幅方向の幅が広い載置面を有した板状の載置部と、
前記載置面に載置された前記ワイヤーハーネスを跨ぐように延びてその長手方向に対向して配置され、該ワイヤーハーネスを、該載置面に押し付けて挟むことにより該載置面上で前記横幅方向に押し広げる形でその高さを減じた低背状態とすることが可能となる対をなす押付本体部と、対をなす前記押付本体部のそれぞれから互いに接近するよう延びる対向延出部と、を有する押付部と、
を備え、
前記結束部材は、対をなす前記押付本体部の対向間において前記低背状態のワイヤーハーネスと共に前記載置部及び前記対向延出部を結束することを特徴とするワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項2】
前記クランプは、
前記低背状態のワイヤーハーネスを挟んだ前記押付部と前記載置部とを仮組付け状態とする仮組付け手段と、
前記載置面から前記押付部までの高さを変更可能とする高さ変更手段と、
を有し、
前記結束部材は、前記仮組付け状態において前記低背状態のワイヤーハーネスと共に前記載置部及び前記対向延出部を結束することにより、前記高さ変更手段による高さ変更が禁止された状態とする請求項1に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項3】
前記高さ変更手段は、前記載置部と前記押付部とを前記横幅方向の一端側で連結する可撓性を有した連結部を有し、
前記仮組付け手段は、前記載置部と前記押付部とを前記横幅方向の他端側で組付ける組付け部を有し、
当該組付けによって前記載置部と前記押付部との間に挟んだ前記低背状態のワイヤーハーネスが前記載置面上から脱落不能に保持される請求項2に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項4】
前記組付け部は、前記他端側において前記押付部に設けられた押付部側係止部と、前記載置部に設けられた載置部側係止部と、を有し、それら係止部は、互いに常に係止した状態となる形で前記仮組付け状態を形成可能であり、
前記連結部は、前記一端側において前記載置部から前記押付部までの高さ変化が可能となるよう撓み変形可能に設けられ、前記仮組付け状態を形成するときに、前記連結部が撓むことにより、前記一端側における前記押付部の位置を、前記他端側よりも、前記載置面からの高さ方向においてより高い位置に変化可能である請求項3に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項5】
前記高さ変更手段は、前記連結部と共に前記組付け部を有し、
前記組付け部は、前記他端側において前記押付部に設けられた押付部側係止部と、前記載置部に設けられた載置部側係止部と、を有し、それら係止部は、前記載置面からの高さ方向において互いが対向して配置され、前記押付部と前記載置部との前記他端側が前記高さ方向に所定距離離れたときにそれら係止部が互いに係止して前記押付部の前記載置部からの離脱を阻止する一方、前記所定距離内にあるときには前記他端側における前記押付部の位置を前記高さ方向に変化させることが可能となる形で前記仮組付け状態を形成可能であり、
前記連結部は、前記一端側において前記載置部から前記押付部までの高さ変化が可能となるよう撓み変形可能に設けられ、前記仮組付け状態を形成するときに、前記連結部が撓むことにより、前記一端側における前記押付部の位置も前記高さ方向に変化させることが可能である請求項3に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項6】
前記連結部は、前記載置部から前記横幅方向の外向きに延び出し、その先で折り返す形で前記押付部と接続するU字状ないしV字状に形成され、その折り返し部に撓み部を有する一方で、前記押付部との接続部に前記押付部を回動可能にする回動軸部として機能する撓み部を有する請求項5に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項7】
前記対向延出部は、前記長手方向に対向配置される対をなす前記押付部を連結する橋渡し部をなす請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項8】
前記対向延出部は、前記押付本体部の前記ワイヤーハーネスの押付面よりも前記載置面側に突出する食い込み部を有する請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項9】
前記対向延出部は、前記ワイヤーハーネスを押し付ける側に位置する内面とは逆側の外面が、前記横幅方向において前記押付本体部の前記ワイヤーハーネスの押付面の、当該対向延出部側の端部に位置する面に対し、前記高さ方向において同じ位置もしくは低い位置にある請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【請求項10】
前記係合部は、前記載置部の載置面の裏面から突出し、当該裏面上において前記結束部材の結束位置から前記長手方向の一方側に偏った位置に形成される請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスの結束構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤーハーネスの結束構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ワイヤーハーネスを車体に固定するために、ワイヤーハーネスを把持する把持部と車体側に組付けるための係合部とを一体に有したクランプが使用される。クランプは、テープ等の結束部材によってワイヤーハーネスと共に結束保持されるとともに、その結束保持された状態において係合部を車体側の固定孔に挿入されて車体側に組付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤーハーネスは、信号線や電源線等を有した多数の配線からなる配線束であって、テープ等により結束保持され、その断面は略円形をなす。こうしたワイヤーハーネスは、現在の車両において広く利用されており、近年では車室内空間をより広く確保するために、それをより低背化して配策できる構造が望まれている。
【0005】
これに対し特許文献1では、ワイヤーハーネスを扁平形状に変形させて低背化する配策構造について記載がある。ところが、現状では、1つのクランプによるワイヤーハーネスの低背化を、ワイヤーハーネスの長手方向のより長い区間にわたって形成することが望まれている。このため、クランプにおいては、ワイヤーハーネスを挟む部位をワイヤーハーネスの長手方向に長く形成することが考えられるが、単に長く形成するだけでは、材料を多く消費するだけであり無駄が多い。
【0006】
本発明の課題は、円形状断面を有するワイヤーハーネスをその長手方向のより広い範囲で安定して低背化させる新たなワイヤーハーネスの結束構造を、無駄の少ない形で実現することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するためのワイヤーハーネスの結束構造は、
円形状断面を有するワイヤーハーネスと、車体に取り付けるための係合部を有するとともに前記ワイヤーハーネスを押し潰して該ワイヤーハーネスを横幅方向に押し広げ、高さを減じた形で把持するクランプと、把持された前記ワイヤーハーネスと前記クランプの一部とを結束保持する結束部材と、を備えたワイヤーハーネスの結束構造であって、
前記クランプは、
前記ワイヤーハーネスが載置される、該ワイヤーハーネスよりも前記横幅方向の幅が広い載置面を有した板状の載置部と、
前記載置面に載置された前記ワイヤーハーネスを跨ぐように延びてその長手方向に対向して配置され、該ワイヤーハーネスを、該載置面に押し付けて挟むことにより該載置面上で前記横幅方向に押し広げる形でその高さを減じた低背状態とすることが可能となる対をなす押付本体部と、対をなす前記押付本体部のそれぞれから互いに接近するよう延びる対向延出部と、を有する押付部と、
を備え、
前記結束部材は、対をなす前記押付本体部の対向間において前記低背状態の前記ワイヤーハーネスと共に前記載置部及び前記対向延出部を結束することを特徴とする。
【0008】
上記本発明の構成によれば、ワイヤーハーネスは、結束部材と2つの押付本体部とによって載置面に押し付けられることにより、横幅方向に押し広げられて高さが減じられた低背状態(扁平状態)となり、その低背状態が結束部材による結束力で維持される。これにより、2つの押付本体部の押付区間とそれらの間の結束部材による結束区間とを含む長い区間にわたって、上記のワイヤーハーネスの低背状態を広く形成し、維持することができる。また、2つの押付本体部の対向間には対向延出部が形成されるのみであるから、押付部は、押付本体部をワイヤーハーネスの長手方向に広く形成するような単純なものではなく、無駄な部位が除かれた形状となっている。そして、その対向延出部を介して、低背状態を維持する結束部材の結束力、即ちワイヤーハーネスを載置面に押し付ける結束部材による押付力を、2つの押付本体部に効果的に伝達する構造にもなっている。
【0009】
さらに上記本発明の構成において、結束部材が一方の主面に接着面が設けられたテープ部材とされていれば、2つの押付本体部の対向間で対向延出部を結束する構造は、結束時にテープ部材とワイヤーハーネスとの接着面積を、横幅方向においてより広く形成することを可能とするから、ワイヤーハーネスがその長手方向にずれることを防ぐこともできる。
【0010】
なお、本発明におけるワイヤーハーネスは、多数の配線からなる配線束であって円形状断面を有するものであり、フラットケーブルや平板状の配線等のような予め高さが低いものとは異なる。ただし、本発明のワイヤーハーネスの結束構造には、ワイヤーハーネスに代わってフラットケーブルや平板状の配線を使用した状態は含まれないが、それらを使用できない構成である必要は無い。
【0011】
前記クランプは、前記低背状態のワイヤーハーネスを挟んだ前記押付部と前記載置部とを仮組付け状態とする仮組付け手段と、前記載置面から前記押付部までの高さを変更可能とする高さ変更手段と、を有し、前記結束部材は、前記仮組付け状態において前記低背状態のワイヤーハーネスと共に前記載置部及び前記対向延出部を結束することにより、前記高さ変更手段による高さ変更が禁止された状態とすることができる。この構成によれば、円形状断面を有するワイヤーハーネスを、クランプの載置部と押付部とによって挟み込んで仮組付け状態とすることにより、上記の低背状態(扁平状態)を容易に形成し、維持することができる。さらに、仮組付け状態となることで、その後の結束部材による結束作業も容易になる。また、高さ変更手段を有することにより、ワイヤーハーネスが収容される押付部と載置部との間の空間の高さを可変できるから、仮組付け作業が容易になり、また、その高さの可変によって様々な太さのワイヤーハーネスに対応することも可能になる。そして、その高さの可変は、結束部材による結束によって禁止され、その結束力によりワイヤーハーネスが最も低背化された状態を維持することができる。つまり、予め決められた低い高さにワイヤーハーネスを変形させるのではなく、可能な限り低い高さにワイヤーハーネスを変形し、その状態を維持することができる。
【0012】
前記高さ変更手段は、前記載置部と前記押付部とを前記横幅方向の一端側で連結する可撓性を有した連結部を有し、前記仮組付け手段は、前記載置部と前記押付部とを前記横幅方向の他端側で組付ける組付け部を有し、当該組付けによって前記載置部と前記押付部との間に挟んだ前記低背状態のワイヤーハーネスが前記載置面上から脱落不能に保持できる。この構成によれば、押付部と載置部が一端側で連結し、他端側で組付く構成になるので、連結する一端側を回転支点とする形で押付部を回動させ、その他端を載置部に接近させることで容易に上記の仮組付け状態を形成することができ、さらには同時になされるワイヤーハーネスを押し付ける低背化も容易となる。
【0013】
前記対向延出部は、前記長手方向に対向配置される対をなす前記押付部を連結する橋渡し部をなすものとできる。この構成によれば、2つの押付本体部を有する押付部が1部材で構成されるので、仮組付け作業等が容易となる。
【0014】
前記対向延出部は、前記押付本体部の前記ワイヤーハーネスの押付面よりも前記載置面側に突出する食い込み部を有するようにできる。この構成によれば、対向延出部の食い込み部を、前記仮組付け状態においてワイヤーハーネスに食い込ませることが可能となり、該ワイヤーハーネスをより強く載置部上に押し付けることができる。さらに、上記の低背状態となったワイヤーハーネスは、その食い込み部が食い込んだ状態となることで、横幅方向への位置ずれを阻止することもできる。
【0015】
前記対向延出部は、前記ワイヤーハーネスを押し付ける側に位置する内面とは逆側の外面が、前記横幅方向において前記押付本体部の前記ワイヤーハーネスの押付面の、当該対向延出部側の端部に位置する面に対し、前記高さ方向において同じ位置にあるようにできる。例えば、前記対向延出部の前記外面は、前記押付本体部の前記ワイヤーハーネスの押付面から連続する連続面(例えば押付面との同一平面)上に位置するようにできる。この構成によれば、ワイヤーハーネスの結束構造において、結束部材が対向延出部上を通過する区間において高さが増すことが無くなるから、低背化に貢献できる。また、対向延出部の外面が、押付本体部の押付面よりも載置面とは逆側に位置していた場合を考えると、テープのような裏面が接着面をなす結束部材を巻き付けたとき、その結束部材は、対向延出部の外面には接着(密着)するが、その両側に隣接するワイヤーハーネスの外表面領域に対して接着せず浮き上がってしまう。上記の構成であれば、結束部材を、そうした外表面領域において浮き上がることなく接着(密着)させることができ、より強固な結束保持が可能になる。なお、前記対向延出部の前記外面は、前記横幅方向において前記押付本体部の前記ワイヤーハーネスの押付面の、当該対向延出部側の端部に位置する面に対し、前記高さ方向において低い位置にあるようにしてもよい。この場合も、少なくともワイヤーハーネスの外表面に対し、テープのような裏面が接着面をなす結束部材を浮き上がらせることなく接着することができるから、強固な結束保持が可能になる。これらのように対向延出部の外面を、押付本体部の押付面と同レベル若しくは同レベル以下の高さに形成する構成は、結果的に上述した食い込み部を形成することにもなるため、双方の効果を同時に達成できて都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施例のワイヤーハーネスの結束構造であって、細いワイヤーハーネスの結束状態を示した斜視図。
【
図2】第一実施例のワイヤーハーネスの結束構造であって、太いワイヤーハーネスの結束状態を示した斜視図。
【
図3】第一実施例の結束構造に用いるクランプを示した斜視図。
【
図4】第一実施例の結束構造に用いるクランプの係合部を車体側に固定した状態の一例を示した断面図。
【
図5】
図1の結束構造の形成手順を、側面図を用いて説明した説明図。
【
図10】
図2の結束構造の形成手順を、側面図を用いて説明した説明図。
【
図15】第二実施例のワイヤーハーネスの結束構造を示した斜視図。
【
図16】第二実施例の結束構造に用いるクランプを示した斜視図。
【
図17】
図15の結束構造の形成手順を、側面図を用いて説明した説明図。
【
図22】第一実施例の第一変形例であって、結束部材による結束前の仮組付け状態を示した斜視図。
【
図23】第一実施例の第二変形例であって、結束部材による結束前の仮組付け状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第一実施例を、図面を参照して説明する。
【0018】
第一実施例のワイヤーハーネスの結束構造1A、1Bは、
図1及び
図2に示すように、円形状断面を有するワイヤーハーネスW(
図5及び
図10参照)と、車体に取り付けるための係合部3を有する一方でワイヤーハーネスWを押し潰して該ワイヤーハーネスWを横幅方向Yに押し広げ、高さを減じた形で把持するクランプ2と、クランプ2に把持されたワイヤーハーネスWとクランプ2の一部とを結束保持する結束部材10と、を備える。
【0019】
ワイヤーハーネスWは、信号線や電源線等のような、多数の配線からなる可撓性を有した配線束であって円形状断面(
図5及び
図10参照)を有した周知のものであり、ワイヤーハーネスの結束構造1A、1Bが形成されたときには、押しつぶされて横幅方向に拡がり、その高さが減じられた低背状態(
図1及び
図2参照)となる。本発明のワイヤーハーネスWは、上記結束構造の形成前から予め高さが低いもの、例えばフラットケーブルや平板状の配線等とは異なる。
【0020】
クランプ2は、上記の係合部3と共に、
図3に示すように、載置部4と、押付部5と、連結部6と、組付け部7と、を一体に備える。
【0021】
係合部3は、
図4に示すように、ここでは車体に設けられた固定孔101に挿入係止される部位であり、載置部4の載置面4pの裏の裏面4sから突出して形成される。この係合部3は、固定孔101に挿入されると、その固定孔101の周辺部102に対し弾性係止片31が挿入方向Iの奥側から係止して抜け止め状態となり、その周辺部102が弾性係止片31と皿状部32との間に挟まれた固定状態となる。
【0022】
また、係合部3は、
図1及び
図2に示すように、載置部4の裏面4s上において、結束部材10の結束位置(結束区間)10Xから長手方向Xの一方側に偏った位置に形成される。
【0023】
載置部4は、
図5及び
図10に示すように、円形状断面を有したワイヤーハーネスWが載置される載置面4pを有した平板状に形成される。載置面4pは、平坦面をなし、円形状断面のワイヤーハーネスWのよりも横幅方向Yの幅が広く形成される一方で、
図3に示すように、その横幅よりも該ワイヤーハーネスWの長手方向Xの幅が広くなるよう形成される。
【0024】
なお、以下においては、載置面4pに載置されたワイヤーハーネスWの長さ方向を長手方向X、載置面4pからの鉛直方向を高さ方向Z、それらに直交する載置面4p及びワイヤーハーネスWの幅方向を横幅方向Yと定めるものとする。ここでの載置面4pは長手方向Xと横幅方向Yとを含む平面と平行な平面上にある。
【0025】
押付部5は、
図5及び
図10に示す載置面4p上の円形状断面を有したワイヤーハーネスWを、
図6及び
図11に示すように該載置面4pに押し付ける。これにより、押付部5は、該ワイヤーハーネスWを該載置面4p上で横幅方向Yに押し広げる形でその高さを減じた低背状態(扁平状態)とすることが可能である。ここでの押付部5は、
図3に示すように、押付本体部50、50と、対向延出部51、52と、を一体に有する。
【0026】
押付本体部50、50は、
図8及び
図13に示すように、載置面4pに載置されたワイヤーハーネスWの長手方向Xに対向するよう対をなして設けられ、それぞれが載置部4より薄い平板状をなす。押付本体部50、50は、載置面4p上の円形状断面を有したワイヤーハーネスW(
図5や
図10参照)を跨ぐ形で配置され、そのワイヤーハーネスWを載置部4との間に挟む形で押し付け、上記低背状態(扁平状態)とすることが可能である。
【0027】
また、ここでの押付本体部50、50は、載置部4よりも剛性が低く、可撓性を有する。これにより、押付本体部50、50は、ワイヤーハーネスWの径が大きい場合には、
図11に示すように、その延出方向においてワイヤーハーネスWの外表面に沿って撓むことができる。
【0028】
対向延出部51、52は、
図3に示すように、対をなす押付本体部50、50のそれぞれから互いに接近するよう延びる。ここでの対向延出部51、52は、対をなす押付本体部50、50を長手方向Xに連結する橋渡し部をなす。
【0029】
対向延出部51は、
図8及び
図13に示すように、対をなす押付本体部50、50においてその延出方向(横幅方向Y)の全区間のうちの一部区間から長手方向Xに延びるよう設けられる。ここでの対向延出部51は、対をなす押付本体部50、50の横幅方向Yの一端側(YA)に偏って、さらにいえば一端側(YA)の端部に設けられており、それら押付本体部50、50と共に載置面4p上のワイヤーハーネスWを該載置面4pに押し付けることが可能である。
【0030】
また、押付部5は、
図3に示すように、押付本体部50、50におけるワイヤーハーネスWの押付面50pよりも載置面4p側に突出する食い込み部51Vを有し、
図9及び
図14に示すように、押付本体部50、50が載置面4p上のワイヤーハーネスWを載置面4pに押し付けたときに、その食い込み部51Vを該ワイヤーハーネスWに食い込ませることが可能である。ここでの食い込み部51Vは、対向延出部51とその両外側の押付本体部50、50とにおいて長手方向Xに延びる形で設けられている。
【0031】
また、対向延出部51は、
図7及び
図12に示すように、ワイヤーハーネスWを押し付ける側に位置する内面(食い込み部51V)とは逆側の外面51sが、横幅方向Yにおいて押付本体部50、50の各押付面50pの、当該対向延出部51側の端部に位置する面50p1に対し、高さ方向Zにおいて同じ位置(高さ)にある。ここでは、外面51sと面50p1とが同一平面F上に位置する。さらに
図7では、外面51sと各押付面50pとが同一平面F上に位置し、
図12では、外面51sと各押付面50pとが滑らかに連続する同一の連続面R上に位置する。
【0032】
対向延出部52は、
図6及び
図11に示すように、対をなす押付本体部50、50の横幅方向Yの他端側(YB)において、載置面4p上のワイヤーハーネスWの横幅方向Yの外側に設けられ、
図3に示すように、自身の延出方向(長手方向X)の中央に後述する押付部側係止部75を有する。
【0033】
連結部6は、
図3に示すように、載置部4と押付部5とを横幅方向Yの一端側(YA)で連結する。ここでの連結部6は、対をなす押付本体部50、50のそれぞれに対応して設けられ、それぞれを載置部4と接続するように設けられる。連結部6は、横幅方向Yの一端側(YA)において載置部4(載置面4p)から押付部5までの高さ変化が可能となるよう、可撓性を有する。具体的にいえば、連結部6は、横幅方向Yの一端側(YA)において他端側(YB)よりも載置部4から押付部5までの高さ変化がより大きくとれるように、載置部4から押付部5にかけての長さ方向において他よりも撓みやすい撓み部を1以上有する。
【0034】
ここでの連結部6は、
図7及び
図12に示すように、仮組付け状態を形成するときに、主に撓み部6Cが撓むことになる。ただし、連結部6は、その長さ方向の全ての区間においても撓むことが可能である。その結果、横幅方向Yの一端側(YA)における押付部5(押付面50p)の位置を、他端側(YB)よりも、載置面4pからの高さ方向Zにおけるより高い位置(載置面4pからより離れた位置)に変化させることができる。
【0035】
なお、撓み部6C(第一の撓み部)は、
図7及び
図12に示すように、連結部6の載置部4から押付部5にかけての途中区間(ここでは屈曲部)に形成される。載置部4から押付部5にかけての全区間の中で、撓み部6Cは薄肉化により最も撓みやすくされている。
【0036】
また、連結部6は、負荷のかかかっていない状態(撓み変形していない状態)では、
図5及び
図10に示すように、載置部4から横幅方向Yの外向き(一端側(YA))に延び出し、その先で高さ方向Zに折れ曲がって押付部5と接続しており、全体がL字状に屈曲した形状をなす。連結部6は、載置部4に対しては高さ方向Zに向けて略直線状につながるよう接続し、押付部5に対しても略横幅方向Yに向けて略直線状につながるように接続する。
【0037】
組付け部7は、
図6及び
図11に示すように、載置部4と押付部5とを横幅方向Yの他端側(YB)で組付けた仮組付け状態とすることができる。この組付け(仮組付け状態)によって載置部4と押付部5との間に挟まれた低背状態のワイヤーハーネスWを、当該低背状態のまま、載置面4p上から脱落不能に保持できる。ここでの組付け部7は、横幅方向Yの他端側(YB)において押付部5に設けられた押付部側係止部75と、載置部4に設けられた載置部側係止部74とを有する。それら係止部74、75は、互いに常に係止した状態となる形で仮組付け状態を形成する。
【0038】
押付部側係止部75は、
図6及び
図11に示す仮組付け状態における横幅方向Yの他端側(YB)で押付部5から載置部4側に延びて、その先端側で一端側(YA)へ突出する係止爪として形成される。他方、載置部側係止部74は、上記の仮組付け状態における横幅方向Yの他端側(YB)で載置部4から押付部5側に突出し、その横幅方向Yの他端側(YB)が押付部側係止部75に対し高さ方向Zのより高い位置側に回り込む係止爪として形成される。
【0039】
結束部材10は、
図8及び
図13に示すような載置部4(載置面4p)上で押付部5に押し付けられて低背状態となったワイヤーハーネスWが、より低背化されるよう押付部5に押し付けられた状態となるよう、対をなす押付本体部50、50の対向間において、
図9及び
図14に示すように、そのワイヤーハーネスWと共に載置部4及び対向延出部51を結束する。ここでの結束部材10は、可撓性を有し、かつ押付本体部50、50よりも薄い長手状の部材であり、結束対象と対面する側の面(結束対象を取り巻いたときの内周面)が接着面をなすテープ部材である。
【0040】
【0041】
まずは
図5と
図10に示すように、円形状断面を有するワイヤーハーネスWを、載置部4の載置面4p上に載置する。
【0042】
次に
図6及び
図7と、
図11及び
図12に示すように、連結部6(主に撓み部6C)を撓み変形させる形で押付部5を傾倒させ、載置面4p上のワイヤーハーネスWを、該載置面4pに押し付ける。これにより、円形状断面を有するワイヤーハーネスWは、押付部5と載置部4との間に挟み込まれ、載置面4p上で横幅方向Yに押し広げられて高さが減じられた低背状態(扁平状態)となる。
【0043】
このとき、押付部側係止部75を載置部側係止部74の下側に回り込ませて係止状態とすることにより、載置部4と押付部5とが組付いた仮組付け状態となる。これにより、ワイヤーハーネスWは、上記低背状態のままその外周を環状に取り囲まれた状態となり、載置部4と押付部5との間から脱落しないよう保持される。
【0044】
なお、押付部5の上記傾倒の際、連結部6を撓ませることにより、横幅方向Yの一端側(YA)の高さを増すことができる。これにより、押付部側係止部75を横幅方向Yの他端側(YB)のより奥へと移動可能となり、押付部側係止部75を載置部側係止部74の下側に回り込ませ、上記係止状態(仮組付け状態)とすることができる。
【0045】
また、
図6の仮組付け状態の場合、ワイヤーハーネスWの径が小さいため、食い込み部51Vは、載置面4pに当接した状態となっている。この当接状態は、押付部5を押し下げる外力を意図的に作用させ続けている状態であり、その外力を除いたときには、撓み部6Cの撓みが解消されて、横幅方向Yの一端側(YA)で載置部4と押付部5とが離間する。さらに連結部6全体を撓ませれば、一端側(YA)で載置部4と押付部5とをより離間させることもできる。つまり、
図6の仮組付け状態は、連結部6を撓ませることによって、横幅方向Yの一端側(YA)で、載置部4(載置面4p)から押付部5までの高さが変更可能な状態である。
【0046】
他方、
図11の仮組付け状態の場合、ワイヤーハーネスWの径が大きいため、食い込み部51Vは、ワイヤーハーネスWに当接し、載置面4pには当接していない。仮組付け状態(係止状態)とする際に撓んだ連結部6は、
図10と同じ状態には戻ることができず、撓んだ状態が維持され、撓み部6Cは、載置部4に対する押付部5の高さがこの仮組付け状態を維持できる状態(撓んでいなくてもよい)に維持されている。この状態において、押付部5を押し下げる外力を作用させることにより、連結部6を撓ませる形で、食い込み部51VをワイヤーハーネスWに食い込ませ、押付面50pをワイヤーハーネスWに当接させた状態とすることができる。つまり、
図11の仮組付け状態も、連結部6を撓ませることによって、横幅方向Yの一端側(YA)で、載置部4(載置面4p)から押付部5までの高さが変更可能な状態である。
【0047】
なお、
図11の仮組付け状態においては、対をなす押付本体部50、50がそれぞれの延出方向においてワイヤーハーネスWの外表面と密着する形で撓んだ状態にある。この変形も、
図11の仮組付け状態における横幅方向Yの一端側(YA)での、載置部4(載置面4p)から押付部5までの高さの変更に貢献する。
【0048】
このように
図6及び
図11に示す仮組付け状態においては、連結部6、さらには押付本体部50、50の撓みによって、横幅方向Yの一端側(YA)で、載置部4(載置面4p)から押付部5までの高さが変更可能な状態にある。結束部材10は、この高さ変更が禁止されるように、対をなす押付本体部50、50の対向間において、ワイヤーハーネスWと共に載置部4及び対向延出部51、52を強く結束する。この結束により、ワイヤーハーネスWがより低背化された状態で載置部4と押付部5との間での高さ変更が禁止されるとともに、そのワイヤーハーネスWが載置部4及び押付部5に密着した状態に維持される。その結果、
図1及び
図2に示すワイヤーハーネスWの結束構造1A、1Bが形成される。
【0049】
図1の結束構造1Aは、
図9に示すように、食い込み部51Vが載置面4pに当接し、載置部4から押付部5までの高さが最も低い状態である。対向延出部51の外面51sと押付本体部50、50の押付面50pとは、互いに同一平面F上に位置しているため、上記結束部材10は、対向延出部の外面51sと、ワイヤーハーネスWの外表面とを直線状に連続する形で双方を接着する形で結束状態となっている。この結束状態により、
図5の円形断面状のワイヤーハーネスWが最も低背化された状態が維持されている。
【0050】
図2の結束構造1Bは、
図14に示すように、食い込み部51VがワイヤーハーネスWに対しより食い込み、かつ押付本体部50、50の押付面50pがワイヤーハーネスWを押し付けた状態となっており、載置部4から押付部5までの高さが、より低い状態に維持されている。対向延出部51の外面51sと押付面50p、50pの基端側領域50p1とは、ほぼ同一平面F上に位置するため、上記結束部材10は、対向延出部51の外面51sと、ワイヤーハーネスWの外表面とを直線状に連続する形で双方を接着する。さらに押付面50p、50pの基端側領域50p1よりも先端側(横幅方向Yの他端側(YB))は、基端側領域50p1から連続する形で滑らかに湾曲する領域50p2と、さらにその先の平坦に傾斜する領域50p3とへ連続しており、それらに押し付けられたワイヤーハーネスWの外表面もそれらと同様の連続面Rとなるため、上記結束部材10は、それらの面50p1、50p2、50p3に押し付けられてそれらと同様の連続面R上に位置するワイヤーハーネスWの外表面に対し接着する。つまり、結束部材10は、対向延出部51の外面51sと、その外面51sから滑らかに連続するワイヤーハーネスWの外表面とにまたがって段差無く接着された結束状態となっている。この結束状態により、
図10の円形断面状のワイヤーハーネスWが最も低背化された状態が維持されている。
【0051】
なお、第一実施例においては、上記組付け部7が、低背状態のワイヤーハーネスWを挟んだ押付部5と載置部4とを仮組付け状態とする仮組付け手段として機能し、上記連結部6が、載置面4pから押付部5までの高さを変更可能とする高さ変更手段として機能する。
【0052】
また、第一実施例の結束構造1A、1Bは、高さ変更手段(連結部6)が、載置面4pに載置されたワイヤーハーネスWよりも横幅方向Yの外側、さらにいえば載置面4pよりも横幅方向Yの外側に設けられているため、高さ変更手段そのものが結束構造1A、1Bの高さを増す要因にならない。仮組付け手段(組付け部7)も、載置面4pに載置されたワイヤーハーネスWよりも横幅方向Yの外側、さらにいえば載置面4pよりも横幅方向Yの外側に設けられているため、仮組付け手段そのものも結束構造1A、1Bの高さを増す要因にならない。
【0053】
また、第一実施例の結束構造1A、1Bでは、
図4に示すように、載置部4の裏面4sの、押付本体部50、50の間の結束部材10に結束領域において、横幅方向Yに延びる突条部4T(リブ)が形成されており、テープ部材をなす結束部材10は突条部4T上に接着される。ここでの突条部4Tは、長手方向Xに複数(ここでは3)形成されており、これにより結束部材10の結束力により載置部4が撓まないよう他領域よりも剛性を高めている。
【0054】
以上、本発明の一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
【0055】
以下、上記した実施例とは別の実施例やそれら実施例の変形例について説明する。なお、上記実施例と共通の機能を有する部位には同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、上記実施例と、下記変形例及び別実施例とは、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
【0056】
例えば、連結部6及び組付け部7を省略し、載置部4と押付部5とが分離したものとしてもよい。
【0057】
また、対向延出部51は、対をなす押付本体部50のそれぞれから互いに接近するように延びていればよく、
図22の変形例に示すように、必ずしもそれらが連結している必要は無い。また、対向延出部は、対をなす押付本体部50にそれぞれ1以上あればよい。例えば
図23の変形例に示すように、対向延出部51を省略し、対向延出部52のみが存在する構成も可能である。また、対向延出部51は、その外面51sが横幅方向Yにおいて押付本体部50、50のワイヤーハーネスWの押付面50pの、当該対向延出部51側の端部に位置する面に対し、高さ方向Zにおいて低い位置にあるようにしてもよい。この場合、少なくともワイヤーハーネスWの外表面に対し、テープのような裏面が接着面をなす結束部材10を浮き上がらせることなく接着できる。
【0058】
また、結束部材10は、テープ部材ではなく、結束バンド等のベルト状のものでもよいが、その厚み(高さ)を考慮すると、テープ状のものの方が望ましい。
【0059】
以下、本発明の第二実施例を、図面を参照して説明する。
【0060】
第二実施例のワイヤーハーネスの結束構造1Cも、第一実施例と同様に、
図15に示すように、円形状断面を有するワイヤーハーネスWと、車体に取り付けるための係合部3を有する一方でワイヤーハーネスWを押し潰して該ワイヤーハーネスWを横幅方向Yに押し広げ、高さを減じた形で把持するクランプ2と、クランプ2に把持されたワイヤーハーネスWとクランプ2の一部とを結束保持する結束部材10と、を備える。
【0061】
ワイヤーハーネスW及び結束部材10は、第一実施例と同様である。一方、
図16に示すクランプ2は、押付部5の押付本体部50、50が第一実施例よりも剛性が高く撓みにくい。
【0062】
連結部6は、
図16に示すように、横幅方向Yの一端側(YA)に設けられ、
図17~
図19に示すように、載置部4から押付部5までの高さ変化が可能となるよう、載置部4から押付部5にかけて他よりも撓みやすい撓み部6Eを(ここでは1つ)有する。仮組付け状態を形成するときに撓み部6Eが撓むことにより、横幅方向Yの一端側(YA)において押付部5の位置を高さ方向Zに変化させることが可能である。具体的にいえば、連結部6は、載置部4から横幅方向Yの外向きに延び出し、その先で折り返す形で押付部5と接続するU字状ないしV字状(ここではU字状)に形成され、その折り返し部(具体的にはその頂点部に)に、押付部5における横幅方向Yの一端の高さ変化に関与する撓み部として撓み部6Eを有する。一方、上記高さ変化に関与しない撓み部として、押付部5との接続部に撓み部6Eよりも撓みやすく形成された撓み部6Fを有する。撓み部6Fは、自身を中心にして押付部5を回動可能にする回動軸部として機能する。
【0063】
組付け部7は、
図17~
図19に示すように、横幅方向Yの他端側(YB)において押付部5に設けられた押付部側係止部75と載置部4に設けられた載置部側係止部74とを有する。それら係止部74、75は、載置面4pからの高さ方向Zにおいて互いが対向して配置されて、
図18に示すような仮組付け状態を形成可能である。仮組付け状態における係止部74、75は、押付部5と載置部4との他端側(YB)が高さ方向Zに所定距離d離れたときには、互いに係止して押付部5の載置部4からの離脱を阻止する一方、所定距離d内にあるときには、隙間を挟んで対向して、他端側(YB)における押付部5の位置を高さ方向Zに変化させることが可能となる。
【0064】
このように第二実施例では、連結部6と組付け部7との双方が載置面4pから押付部5までの高さを変更可能とする高さ変更手段として機能する。つまり、横幅方向Yの一端側(YA)と他端側(YB)との双方において、載置部4と押付部5の高さが変更可能となっている。
【0065】
【0066】
まずは
図17に示すように、円形状断面を有するワイヤーハーネスWを、載置部4の載置面4p上に載置する。
【0067】
次に
図18及び
図19に示すように、主に撓み部6Fを撓み変形させる形で押付部5を傾倒・回動させ、載置面4p上のワイヤーハーネスWを、該載置面4pに押し付ける。これにより、円形状断面を有するワイヤーハーネスWは、押付部5と載置部4との間に挟み込まれて、載置面4p上で横幅方向Yに押し広げられ、高さが減じられた低背状態(扁平状態)となる。ここでも、もとの円形状断面のワイヤーハーネスWに対し高さが1/2以下に減じられている。
【0068】
このとき、押付部側係止部75を載置部側係止部74の下側に回り込ませて係止状態又は対向状態とすることにより、載置部4と押付部5とが組付いた仮組付け状態となる。これにより、ワイヤーハーネスWは、上記低背状態のままその外周を環状に取り囲まれた状態となるため、載置部4と押付部5との間から脱落しないように保持された状態となる。
【0069】
なお、押付部5の上記の傾倒・回動の際に、連結部6では最も撓みやすい撓み部6Fが最も先に撓む。そこから上記係止状態とする際には、必要に応じて撓み部6Eや、連結部6の他部分を撓ませてもよい。これにより、押付部側係止部75を横幅方向Yの他端側(YB)のより奥へと移動可能になって、押付部側係止部75を載置部側係止部74の下側に回り込ませることが可能になる。
【0070】
図18の仮組付け状態の場合、ワイヤーハーネスWが径の比較的小さいものであるから、食い込み部51Vは、ワイヤーハーネスWに深く食い込まず、押付面50pがワイヤーハーネスWに当接していない。一方、係止部74、75は互いに係止した状態となっている。この状態で押付部5を押し下げる外力を意図的に作用させることにより、
図20に示すように、食い込み部51VがワイヤーハーネスWに深く食い込み、押付面50pがワイヤーハーネスWに当接した状態を作り出すことができる。このとき、横幅方向Yの一端側(YA)では撓み部6Eが撓んで載置部4から押付部5までの高さが低くなり、他端側(YB)では、係止部74、75が離間して隙間を挟んで対向した状態となる。
【0071】
このように仮組付け状態においては、連結部6(撓み部6E)の撓みによって、横幅方向Yの一端側(YA)と他端側(YB)との双方で、載置部4(載置面4p)から押付部5までの高さが変更可能となる。このため、この高さ変更が禁止されるように、対をなす押付本体部50の対向間において結束部材10によってワイヤーハーネスWと共に載置部4及び対向延出部51、52を強く結束する。この結束により、ワイヤーハーネスWがより低背化された状態で載置部4と押付部5との間での高さ変更が禁止されるとともに、そのワイヤーハーネスWが載置部4及び押付部5に密着した状態に維持される。この結束により、
図15に示したワイヤーハーネスの結束構造1Cが形成される。
【0072】
なお、
図15に示したワイヤーハーネスの結束構造1Cでは、
図21に示すように、対向延出部51の外面51sが押付本体部50、50の押付面50pから滑らかに連続する連続面(ここでは同一平面F)上に位置するため、上記結束部材10は、対向延出部の外面51sと、押付面50pに押し付けられたワイヤーハーネスWの外表面とを、段差無く直線状に連続する形で双方を接着できる。
【0073】
なお、ワイヤーハーネスWが
図17に示すものよりもより太い場合は、仮組付け状態となったときに、食い込み部51VがワイヤーハーネスWに深く食い込み、押付面50pがワイヤーハーネスWに当接し、かつ係止部74、75が常に互いに係止した状態になることもある。
【0074】
以上の実施例において、それらを示す各図はある程度は模式的に示されたものであり、特にワイヤーハーネスW内の配線数及びその配置・配列については、必ずしも正確には描画されたものではない。例えば、各ワイヤーハーネスWの断面は、結束部材10による結束状態において、U字ないしV字状の連結部6の内側にもワイヤーハーネスW内の配線が入り込むことが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1A、1B、1C ワイヤーハーネスの結束構造
10 結束部材
2 クランプ
3 係合部
4 載置部
4p 載置面
5 押付部
50 押付本体部
50p 押付面
51、52 対向延出部
51V 食い込み部
51s 外面
6 連結部(高さ変更手段)
6C、6E、6F 撓み部
7 組付け部(仮組付け手段)
74 載置部側係止部
75 押付部側係止部
W ワイヤーハーネス
X ワイヤーハーネスの長手方向
Y 横幅方向
Z 高さ方向