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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030602
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】堆積物の清掃装置
(51)【国際特許分類】
   E01H 1/00 20060101AFI20220210BHJP
   C10B 45/00 20060101ALI20220210BHJP
   C10B 31/04 20060101ALI20220210BHJP
   E01H 1/02 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
E01H1/00 Z
C10B45/00 Z
C10B31/04
E01H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134721
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083253
【弁理士】
【氏名又は名称】苫米地 正敏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 匡平
【テーマコード(参考)】
2D026
4H012
【Fターム(参考)】
2D026AA02
4H012GB06
(57)【要約】
【課題】路面の凹凸に関わりなく、路面上の堆積物を確実かつ効果的にかき集めることができる清掃装置を提供する。
【解決手段】路面上を走行可能な装置本体1に、下端部が路面に接地した状態で装置本体1が走行することにより路面上の堆積物をかき集める清掃部材2を、保持機構3を介して上下動自在または上下動および装置本体幅方向傾動自在に保持させ、清掃部材2が、その自重により路面に接地した状態(清掃作業状態)に保たれつつ、清掃する路面の凹凸に応じて上下動または上下動および装置本体幅方向で傾動できるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面上を走行可能な装置本体(1)と、
下端部が路面に接地した状態で装置本体(1)が走行することにより路面上の堆積物をかき集める部材であって、保持機構(3)を介して装置本体(1)に上下動自在に保持される清掃部材(2)を備え、
清掃部材(2)が、その自重により下端部が路面に接地した状態に保たれつつ、清掃する路面の凹凸に応じて上下動するようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
【請求項2】
保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)を備えることを特徴とする請求項1に記載の堆積物の清掃装置。
【請求項3】
路面上を走行可能な装置本体(1)と、
下端部が路面に接地した状態で装置本体(1)が走行することにより路面上の堆積物をかき集める部材であって、保持機構(3)を介して装置本体(1)に上下動自在で且つ装置本体幅方向に対して傾動自在に保持される清掃部材(2)を備え、
清掃部材(2)が、その自重により下端部が路面に接地した状態に保たれつつ、清掃する路面の凹凸に応じて上下動または/および装置本体幅方向に対して傾動するようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
【請求項4】
清掃部材(2)が、装置本体幅方向の中央位置を回動中心として傾動自在であることを特徴とする請求項3に記載の堆積物の清掃装置。
【請求項5】
保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)を備えるとともに、
スライド部材(31)を、ガイド部(30)の幅方向で変位可能とすることにより、清掃部材(2)が装置本体幅方向に対して傾動できるようにしたことを特徴とする請求項3または4に記載の堆積物の清掃装置。
【請求項6】
ガイド部(30)がガイド孔またはガイド溝で構成されるとともに、スライド部材(31)が、そのガイド孔またはガイド溝にスライド移動可能に挿入されるスライドピンで構成され、
ガイド部(30)の幅方向においてガイド孔またはガイド溝の縁部とスライドピンとの間に隙間を設けることにより、スライド部材(31)をガイド部(30)の幅方向で変位可能とし、清掃部材(2)が装置本体幅方向に対して傾動できるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の堆積物の清掃装置。
【請求項7】
保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)との間に介在する中間部材(32)と、
清掃部材(2)と中間部材(32)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
清掃部材(2)と中間部材(32)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)と、
装置本体(1)の構成部材(10)に中間部材(32)を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段(33)を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の堆積物の清掃装置。
【請求項8】
保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)との間に介在する中間部材(32)と、
中間部材(32)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
中間部材(32)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)と、
中間部材(32)に清掃部材(2)を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段(33)を備えることを特徴とする請求項3または4に記載の堆積物の清掃装置。
【請求項9】
清掃部材(2)を下方に付勢する付勢手段(4)を有し、
清掃部材(2)が、その自重と付勢手段(4)による付勢力により下端部が路面に接地した状態に保たれるようにしたことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の堆積物の清掃装置。
【請求項10】
清掃部材(2)が装置本体(1)の前面にその幅方向に沿って配置されるドーザー部材(20)を備え、該ドーザー部材(20)の下端部がスクレーパまたはブラシで構成されることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の堆積物の清掃装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の清掃装置によりコークス炉の炉頂部を清掃する方法であって、
コークス炉の炉頂部において装置本体(1)を走行させて、清掃部材(2)により所定領域の堆積物をかき集めた状態で、装置本体(1)をそのまま石炭装入孔の近傍まで移動させ、その場所に堆積物を集積させることを特徴とするコークス炉の炉頂清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面上の堆積物(堆積粉)を清掃除去するための清掃装置に関するもので、特にコークス炉の炉頂部に堆積した石炭粉を清掃除去するのに好適な清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コークス工場では、炉内に石炭を装入する装炭車からの石炭粉の漏れや、石炭貯蔵庫からの石炭粉の漏れなどにより、コークス炉の炉頂部に石炭粉(落粉)が堆積する。この堆積した石炭粉を放置すると、石炭粉中の硫黄成分等が上昇管などの金属構造物の腐食を促進させ、また、周囲に飛散して環境に悪影響を与えることから、炉体保護や粉塵飛散防止を目的として、炉頂部に堆積した石炭粉の清掃除去が行われる。しかし、炉頂部に堆積した石炭粉の清掃除去作業は、高温・粉塵環境下で行われる重筋作業であり、熱中症や粉塵吸引の恐れがある危険な作業でもある。
石炭粉のような堆積物の清掃作業を行う清掃方法ないし装置として、例えば、特許文献1には、清掃対象物(堆積物)をドーザー部(清掃部材)で押してかき集める自走式の清掃装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-17952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示される清掃装置は、清掃装置の本体部に対してドーザー部の相対位置を変化させることができないため、例えば、走行中に本体部が路面の凸部に乗り上げた場合に、ドーザー部の下端面が路面(走行面)から浮いてしまい、路面上の堆積物をドーザー部によって十分にかき集めることができない等の問題がある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、路面の凹凸に関わりなく、路面上の堆積物を確実かつ効率的にかき集めることができる清掃装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そのような清掃装置を用いたコークス炉の炉頂部清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の清掃装置は、路面上を走行可能な装置本体にドーザー部材などの清掃部材を上下動自在または上下動・幅方向傾動自在に保持させ、清掃部材が、その自重により路面に接地した状態(清掃作業状態)に保たれつつ、路面の凹凸に応じて上下動または上下動および幅方向で傾動できるようにしたものであり、その要旨は以下のとおりである。
【0006】
[1]路面上を走行可能な装置本体(1)と、
下端部が路面に接地した状態で装置本体(1)が走行することにより路面上の堆積物をかき集める部材であって、保持機構(3)を介して装置本体(1)に上下動自在に保持される清掃部材(2)を備え、
清掃部材(2)が、その自重により下端部が路面に接地した状態に保たれつつ、清掃する路面の凹凸に応じて上下動するようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
[2]上記[1]の清掃装置において、保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)を備えることを特徴とする堆積物の清掃装置。
【0007】
[3]路面上を走行可能な装置本体(1)と、
下端部が路面に接地した状態で装置本体(1)が走行することにより路面上の堆積物をかき集める部材であって、保持機構(3)を介して装置本体(1)に上下動自在で且つ装置本体幅方向に対して傾動自在に保持される清掃部材(2)を備え、
清掃部材(2)が、その自重により下端部が路面に接地した状態に保たれつつ、清掃する路面の凹凸に応じて上下動または/および装置本体幅方向に対して傾動するようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
[4]上記[3]の清掃装置において、清掃部材(2)が、装置本体幅方向の中央位置を回動中心として傾動自在であることを特徴とする堆積物の清掃装置。
【0008】
[5]上記[3]または[4]の清掃装置において、保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)を備えるとともに、
スライド部材(31)を、ガイド部(30)の幅方向で変位可能とすることにより、清掃部材(2)が装置本体幅方向に対して傾動できるようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
[6]上記[5]の清掃装置において、ガイド部(30)がガイド孔またはガイド溝で構成されるとともに、スライド部材(31)が、そのガイド孔またはガイド溝にスライド移動可能に挿入されるスライドピンで構成され、
ガイド部(30)の幅方向においてガイド孔またはガイド溝の縁部とスライドピンとの間に隙間を設けることにより、スライド部材(31)をガイド部(30)の幅方向で変位可能とし、清掃部材(2)が装置本体幅方向に対して傾動できるようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
【0009】
[7]上記[3]または[4]の清掃装置において、保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)との間に介在する中間部材(32)と、
清掃部材(2)と中間部材(32)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
清掃部材(2)と中間部材(32)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)と、
装置本体(1)の構成部材(10)に中間部材(32)を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段(33)を備えることを特徴とする堆積物の清掃装置。
[8]上記[3]または[4]の清掃装置において、保持機構(3)が、
清掃部材(2)と装置本体(1)の構成部材(10)との間に介在する中間部材(32)と、
中間部材(32)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部(30)と、
中間部材(32)と装置本体(1)の構成部材(10)のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部(30)にスライド移動可能に係合するスライド部材(31)と、
中間部材(32)に清掃部材(2)を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段(33)を備えることを特徴とする堆積物の清掃装置。
【0010】
[9]上記[1]~[8]のいずれかの清掃装置において、清掃部材(2)を下方に付勢する付勢手段(4)を有し、
清掃部材(2)が、その自重と付勢手段(4)による付勢力により下端部が路面に接地した状態に保たれるようにしたことを特徴とする堆積物の清掃装置。
[10]上記[1]~[9]のいずれかの清掃装置において、清掃部材(2)が装置本体(1)の前面にその幅方向に沿って配置されるドーザー部材(20)を備え、該ドーザー部材(20)の下端部がスクレーパまたはブラシで構成されることを特徴とする堆積物の清掃装置。
[11]上記[1]~[10]のいずれかの清掃装置によりコークス炉の炉頂部を清掃する方法であって、
コークス炉の炉頂部において装置本体(1)を走行させて、清掃部材(2)により所定領域の堆積物をかき集めた状態で、装置本体(1)をそのまま石炭装入孔の近傍まで移動させ、その場所に堆積物を集積させることを特徴とするコークス炉の炉頂清掃方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の清掃装置は、路面上を走行可能な装置本体に清掃部材を上下動自在または上下動・幅方向傾動自在に保持させ、清掃部材が、その自重により路面に接地した状態(清掃作業状態)に保たれつつ、路面の凹凸に応じて上下動または上下動および幅方向で傾動できるようにしたので、路面の凹凸に関わりなく、路面上の堆積物を確実かつ効率的にかき集めることができる。
また、清掃部材を下方に付勢する付勢手段を備えた本発明の清掃装置は、清掃部材が、その自重と付勢手段による付勢力により路面に接地した状態(清掃作業状態)に保たれるので、路面上の堆積物をより確実かつ効率的にかき集めることができる。
【0012】
また、本発明のコークス炉の炉頂清掃方法によれば、路面に例えば10~20mm程度の凹凸がある炉頂部において、堆積した石炭粉を確実かつ効率的にかき集め、所定の場所に集積させることができる。清掃装置には、装置の重量化やトラブルの原因となる粉塵の吸引機構や吸引した粉塵の貯留機構がなく、また、粉塵環境に曝され、トラブルの原因となるような電気機器もないため、コークス炉の炉頂清掃を効率的且つ経済的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の形態の清掃装置の概念図であって、清掃装置の一構成例を示す側面図
図2図1の清掃装置の正面図
図3図1の清掃装置の平面図
図4図1図3の清掃装置による路面清掃状況と、この路面清掃時における清掃部材の動き(上下動)を例示した説明図
図5】本発明の第一の形態の清掃装置の概念図であって、清掃装置の他の構成例を示す側面図
図6図5の清掃装置の正面図
図7】本発明の第一の形態の清掃装置の一実施形態を模式的に示す斜視図
図8図7の清掃装置の側面図
図9図7の清掃装置の平面図
図10図7の清掃装置を、清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図
図11】本発明の第二の形態の清掃装置の概念図であって、清掃装置の一構成例を示す側面図
図12図11の清掃装置の正面図
図13図11の清掃装置による路面清掃状況と、この路面清掃時における清掃部材の動き(上下動・傾動)を例示した説明図
図14】本発明の第二の形態の清掃装置の一実施形態を模式的に示す斜視図
図15図14の清掃装置の側面図
図16図14の清掃装置の平面図
図17図14の清掃装置を、清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図
図18図17に示す清掃部材が、装置本体幅方向に対して傾動した状態を示す説明図
図19】本発明の第二の形態の清掃装置の他の実施形態を模式的に示す側面図
図20図19の清掃装置の平面図
図21図19の清掃装置を、清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図
図22】本発明の第二の形態の清掃装置の他の実施形態を模式的に示すもので、清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図
図23】本発明の第二の形態の清掃装置の他の実施形態を模式的に示す側面図
図24図23の清掃装置の平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図3は、本発明の第一の形態の清掃装置の一構成例を示す概念図であり、図1は側面図、図2は正面図、図3は平面図である。
この清掃装置は、路面上を走行可能な装置本体1と、この装置本体1に保持機構3を介して上下動自在に保持される清掃部材2を備えている。
装置本体1は自走式の台車であり、車体11、走行用の車輪12a,12bおよび駆動・操舵機構(図示せず)などを備えている。
本発明の清掃装置は、装置本体1が路面Aを走行し、それに伴って清掃部材2が路面A上の堆積物d(堆積粉)をかき集めることにより路面Aを清掃するものであり、したがって、装置本体1は堆積物(堆積粉)の吸引機構や吸引した堆積物の貯留機構などは備えていない。
【0015】
清掃部材2は、下端部が路面Aに接地した状態で装置本体1が走行することにより路面上の堆積物d(堆積粉)をかき集める部材であり、本構成例では、装置本体1の前面にその幅方向に沿って配置されるドーザー部材20で構成されている。
このドーザー部材20の本体部は、例えば金属製の板状の部材などで構成され、下端部は、路面上の堆積物をかき集めやすくするため、ゴム製のスクレーパや樹脂製または金属製のブラシなどで構成されることが好ましい。具体的には、石炭粉のように粒径およびかさ密度の小さい堆積物(通常、石炭粉は粒径1mm以下、嵩密度1.0g/cm以下)をかき集める場合には、ドーザー部材20の下端部はスクレーパで構成するのが好ましいが、堆積物の粒径や嵩密度によってはブラシなどで構成してもよい。
また、清掃部材2としては、本構成例のドーザー部材20のような壁状の部材が好ましいが、装置本体1が走行することにより路面上の堆積物をかき集める部材であればよく、例えば、固定式や回転式のブラシなどでもよい。また、ブラシとドーザー部材を組み合わせたものでもよい。
【0016】
保持機構3も、清掃部材2を装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に保持できるものであれば、その種類を問わないが、通常は、後述する実施形態のようなスライド式のガイド機構などが用いられる。
清掃部材2は、装置本体1に上下動自在に保持されることにより、その自重により下端部が路面Aに接地した状態(清掃部材2の下端面が路面Aと隙間なく接した状態)に保たれつつ、清掃する路面Aの凹凸に応じてフリーに上下動する。すなわち、路面の凹凸に倣って且つ装置本体1の凹凸通過時の走行姿勢の変化に応じてフリーに上下動する。なお、清掃部材2がブラシの場合であっても、同様である。
【0017】
図4は、図1図3の清掃装置の路面清掃状況と、この路面清掃時における清掃部材2の動き(上下動)を例示したものであり、路面Aを清掃している清掃装置の進行方向に凸部aがある場合、平坦部を清掃している図4(a)の状態から、図4(b)のように清掃部材2が凸部aに倣って上下動する(上下方向にスライド移動する)ことで、図4(c)のように凸部aを乗り越え、次いで、図4(d)のように装置本体1が凸部aに乗り上げた時にも、図4(e)のように清掃部材2が下方にスライド移動して、下端部が路面Aに接地する。このように、清掃部材2は清掃する路面Aの凹凸に応じて上下動し、その自重により下端部が路面Aに接地した状態に保たれる。
【0018】
図5および図6は、本発明の第一の形態の清掃装置の他の構成例を示す概念図であり、図5は側面図、図6は正面図である。
この清掃装置は、装置本体1に上下動自在に保持された清掃部材2を下方に付勢する付勢手段4を有し、清掃部材2が、その自重と付勢手段4による付勢力によって、より密着して路面Aに接地した状態(清掃部材2の下端面が路面Aと隙間なく接した状態)に保たれるようにしたものである。本構成例では、付勢手段4がバネ機構40(例えばコイルスプリング)を有し、装置本体幅方向で間隔をおいて配された1対のバネ機構40(例えばコイルスプリング)が、装置本体1の前部に突き出た構成部材13とその下方に位置する清掃部材2の上端間に介在し、清掃部材2を下方に付勢している。
【0019】
以上のように清掃装置が清掃部材2を下方に付勢する付勢手段4を備えることにより、清掃部材2が、その自重と付勢手段4による付勢力により路面Aに接地した状態(清掃作業状態)に保たれるので、路面A上の堆積物dをより確実かつ効果的にかき集めることができる。
なお、本構成例の付勢手段4は、バネ機構40を備えるものであるが、清掃部材2を付勢できるものであれば、これに限定されない。
【0020】
本発明の第一の形態の清掃装置の保持機構3は、例えば、清掃部材2と装置本体1の構成部材10のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部30と、清掃部材2と装置本体1の構成部材10のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部30にスライド移動可能に係合するスライド部材31を備えたもので構成することができる。
図7図10は、そのような保持機構3を有する清掃装置の一実施形態を模式的に示すもので、図7は斜視図、図8は側面図、図9は平面図、図10は清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図である。この実施形態は、上記保持機構3のガイド部30をガイド孔30xで、ガイド部30に係合するスライド部材31をスライドピン31xで、それぞれ構成したものである。
装置本体1、清掃部材2および保持機構3の基本構成は、図1図3について説明した通りである。
【0021】
装置本体1の前面には、保持機構3を構成するスライドピン31x(スライド部材31)を設けるための構成部材10が、装置本体幅方向に沿って配置され、支持部材14で装置本体1に支持されている。
保持機構3は、清掃部材2の装置本体幅方向で間隔をおいた少なくとも2箇所に、上下方向に沿って設けられるガイド孔30x(ガイド部30)と、装置本体1の構成部材10に装置本体幅方向で間隔をおいて設けられ、清掃部材2の各ガイド孔30xに上下方向スライド移動可能に挿入されるスライドピン31x(スライド部材31)などで構成されている。清掃部材2は、スライドピン31xがガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できることにより、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に保持される。
また、保持機構3のガイド部30は、ガイド孔30xに代えてガイド溝で構成することもでき、この場合には、ガイド部30とスライド部材31はリニアスライダ形式の機構となるので、シールを施して耐粉塵性を持たせることが望ましい。
【0022】
本実施形態においても、図5および図6に示すような付勢手段4を設けることができ、例えば、構成部材10と清掃部材2に、後述する図22の実施形態に示すような張り出し部をそれぞれ設け、これらの張り出し部間に付勢手段4を構成するバネ機構(例えばコイルスプリング)を介在させ、このバネ機構で清掃部材2を下方向に付勢するような構成とすることができる。
また、図7図10の実施形態とは逆に、装置本体1の構成部材10にガイド孔30x(ガイド部30)を設け、清掃部材2にスライドピン31x(スライド部材31)を設けてもよい。この場合も、清掃部材2は、スライドピン31xがガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できることにより、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に保持される。
【0023】
図11および図12は、本発明の第二の形態の清掃装置の一構成例を示す概念図であり、図11は側面図、図12は正面図である。
この清掃装置は、清掃部材2が保持機構3を介して装置本体1に上下動自在で且つ装置本体幅方向に対して傾動自在に保持されるものであり、その他の構成は図1図3の清掃装置と同様である。清掃部材2は、図12に示すように、装置本体幅方向の中央位置pを回動中心として傾動自在であることが好ましい。
保持機構3は、清掃部材2を装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)で且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持できるものであれば、その種類を問わないが、通常は、後述する実施形態のようなスライド式のガイド機構や、スライド式のガイド機構と回転機構を組み合わせたものなどが用いられる。
【0024】
清掃部材2は、装置本体1に上下動自在で且つ装置本体幅方向に対して傾動自在に保持されることにより、その自重により下端部が路面Aに接地した状態(清掃部材2の下端面が路面Aと隙間なく接した状態)に保たれつつ、清掃する路面Aの凹凸に応じてフリーに上下動または/および装置本体幅方向に対して傾動する。すなわち、路面の凹凸に倣って且つ装置本体1の凹凸通過時の走行姿勢の変化に応じて、フリーに上下動または/および装置本体幅方向に対して傾動する。この場合、清掃部材2は、路面Aの凹凸に応じて任意の傾斜角に傾動することができる。
【0025】
図13は、図11および図12の清掃装置の路面清掃状況と、この路面清掃時における清掃部材2の動き(上下動および装置本体幅方向に対する傾動)を例示したものであり、路面Aを清掃している清掃装置の進行方向に凸部aがある場合、平坦部を清掃している図13(a)の状態から、清掃部材2が凸部aに倣って上下動(上下方向にスライド移動)し且つ装置本体幅方向に対して傾動することで凸部aを乗り越え(上下動に関しては図4(b)~(c)を参照)、次いで、図13(b)のように装置本体1が凸部aに乗り上げた時に、図13(c)のように清掃部材2が下方にスライド移動するとともに、装置本体幅方向に対して傾動し、下端部が路面Aに接地する。このように、清掃部材2は清掃する路面Aの凹凸に応じて上下動または/および装置本体幅方向に対して傾動して、その自重により下端部が路面Aに接地した状態に保たれる。
本構成例においても、例えば、図5および図6と同様の形態で付勢手段4(バネ機構40)を設けることができる。
【0026】
本発明の第二の形態の清掃装置の保持機構3は、例えば、以下のように構成することができる。
(i)保持機構3が、清掃部材2と装置本体1の構成部材10のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部30と、清掃部材2と装置本体1の構成部材10のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部30にスライド移動可能に係合するスライド部材31を備えるとともに、スライド部材31を、ガイド部30の幅方向で変位可能とすることにより、清掃部材2が装置本体幅方向に対して傾動できるようにする。
【0027】
(ii)保持機構3が、清掃部材2と装置本体1の構成部材10との間に介在する中間部材32と、清掃部材2と中間部材32のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部30と、清掃部材2と中間部材32のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部30にスライド移動可能に係合するスライド部材31と、装置本体1の構成部材10に中間部材32を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段33を備える。
(iii)保持機構3が、清掃部材2と装置本体1の構成部材10との間に介在する中間部材32と、中間部材32と装置本体1の構成部材10のうちの一方の部材に上下方向に沿って設けられるガイド部30と、中間部材32と装置本体1の構成部材10のうちの他方の部材に設けられ、ガイド部30にスライド移動可能に係合するスライド部材31と、中間部材32に清掃部材2を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段33を備える。
【0028】
図14図18は、上記(i)の保持機構3を有する清掃装置の一実施形態を模式的に示すもので、図14は斜視図、図15は側面図、図16は平面図、図17は清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図、図18図17に示す清掃部材が装置本体幅方向に対して傾動した状態を示す説明図である。この実施形態は、上記(i)の保持機構3のガイド部30をガイド孔30xで、ガイド部30に係合するスライド部材31をスライドピン31xで、それぞれ構成したものである。
装置本体1、清掃部材2および保持機構3の基本構成は、図1図3図11および図12について説明した通りである。
装置本体1の前面には、保持機構3を構成するスライドピン31x(スライド部材31)を設けるための構成部材10が、装置本体幅方向に沿って配置され、支持部材14で装置本体1に支持されている。
【0029】
保持機構3は、清掃部材2の装置本体幅方向で間隔をおいた少なくとも2箇所に、上下方向に沿って設けられるガイド孔30x(ガイド部30)と、装置本体1の構成部材10に装置本体幅方向で間隔をおいて設けられ、清掃部材2の各ガイド孔30xに上下方向スライド移動可能に挿入されるスライドピン31x(スライド部材31)などで構成されている。
ガイド孔30xは、その幅をスライドピン31xの径よりも大きくし、スライドピン31xとの間に隙間gを設けることにより、スライドピン31xをガイド孔30xの幅方向で変位(移動)可能とし、これにより清掃部材2が装置本体幅方向に対して傾動できるようにしている。
【0030】
清掃部材2は、スライドピン31xがガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できるとともに、ガイド孔30xの幅方向でも変位(移動)できることにより、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持される。
また、上記(i)の保持機構3のガイド部30は、ガイド孔30xに代えてガイド溝で構成することもでき、この場合には、ガイド部30とスライド部材31はリニアスライダ形式の機構となるので、シールを施して耐粉塵性を持たせることが望ましい。
【0031】
本実施形態においても、図5および図6に示すような付勢手段4を設けることができ、例えば、構成部材10と清掃部材2に、後述する図22の実施形態に示すような張り出し部をそれぞれ設け、これらの張り出し部間に付勢手段4を構成するバネ機構(例えばコイルスプリング)を介在させ、このバネ機構で清掃部材2を下方向に付勢するような構成とすることができる。
また、図14図18の実施形態とは逆に、装置本体1の構成部材10にガイド孔30x(ガイド部30)を設け、清掃部材2にスライドピン31x(スライド部材31)を設けてもよい。この場合も、清掃部材2は、スライドピン31xがガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できるとともに、ガイド孔30xの幅方向でも変位(移動)できることにより、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持される。
【0032】
図19図21は、上記(ii)の保持機構3を有する清掃装置の一実施形態を模式的に示すもので、図19は側面図、図20は平面図、図21は清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図である。この実施形態は、上記(ii)の保持機構3のガイド部30をガイド孔30xで、ガイド部30に係合するスライド部材31をスライドピン31xで、それぞれ構成したものである。
装置本体1、清掃部材2および保持機構3の基本構成は、図1図3図11および図12について説明した通りである。
装置本体1の前面には、保持機構3を設けるための構成部材10が、装置本体幅方向に沿って配置され、支持部材14で装置本体1に支持されている。
【0033】
保持機構3は、装置本体幅方向に沿って配され、清掃部材2と装置本体1の構成部材10との間に介在する中間部材32と、清掃部材2の装置本体幅方向で間隔をおいた少なくとも2箇所に、上下方向に沿って設けられるガイド孔30x(ガイド部30)と、中間部材32に装置本体幅方向で間隔をおいて設けられ、清掃部材2の各ガイド孔30xに上下方向スライド移動可能に挿入されるスライドピン31x(スライド部材31)と、装置本体1の構成部材10と中間部材32間に設けられ、構成部材10に中間部材32を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段33などで構成されている。
【0034】
保持手段33は、構成部材10に中間部材32を傾動自在に保持できるものであればよく、その機構については特に制限はないが、一般にはベアリングや回転盤(ベアリングを内蔵した回転金具)などのような回転(回動)保持機構で構成するのが好ましく、本実施形態の保持手段33も、装置本体幅方向中央部に設けられるベアリングで構成されている。すなわち、ベアリングの外輪330側が構成部材10に、内輪331側が中間部材32にそれぞれ固定されることで、構成部材10に中間部材32が傾動(回動)自在に保持されている。これにより、中間部材32に上下動自在に保持された清掃部材2が、装置本体幅方向に対してフリーに傾動できるようにしている。また、保持手段33が回転盤で構成される場合には、例えば、回転盤のベース側が構成部材10に、回転体側が中間部材32にそれぞれ固定されることで、構成部材10に中間部材32が傾動(回動)自在に保持される。
【0035】
中間部材32のスライドピン31xが清掃部材2のガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できるとともに、中間部材32が保持手段33を介して装置本体1(構成部材10)に対して傾動(回動)できることにより、清掃部材2は、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持される。
また、上記(ii)の保持機構3のガイド部30は、ガイド孔30xに代えてガイド溝で構成することもでき、この場合には、ガイド部30とスライド部材31はリニアスライダ形式の機構となるので、シールを施して耐粉塵性を持たせることが望ましい。
【0036】
また、図19図21の実施形態とは逆に、中間部材32にガイド孔30x(ガイド部30)を設け、清掃部材2にスライドピン31x(スライド部材31)を設けてもよい。この場合も、清掃部材2は、スライドピン31xがガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できるとともに、中間部材32が保持手段33を介して装置本体1(構成部材10)に対して傾動(回動)できることにより、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持される。
【0037】
図22は、上記(ii)の保持機構3を有する清掃装置の他の実施形態を模式的に示すもので、清掃部材およびその保持機構を分解した状態で示す斜視図である。この実施形態は、図19図21の実施形態に対して、清掃部材2を下方に付勢する付勢手段4を付加したものである。
この実施形態では、装置本体幅方向における清掃部材2の両端部に、それぞれ張り出し部200が設けられるとともに、中間部材32の両端部にも、張り出し部200と上下で対向するように、それぞれ張り出し部320が設けられ、上下で対向した張り出し部200と張り出し部320間に付勢手段4を構成するバネ機構40(コイルスプリング)が固定され、このバネ機構40により清掃部材2が下方に付勢されるようにしている。なお、図22では、説明の便宜上、張り出し部200,320とバネ機構40(コイルスプリング)からなる付勢手段4を模式的に表してあるが、実際の付勢手段4は、中間部材32のスライドピン31xが清掃部材30xに係合(挿入)するのを妨げないような形態で設けられることになる。
その他の構成は、図19図21と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0038】
図23および図24は、上記(iii)の保持機構3を有する清掃装置の一実施形態を模式的に示すもので、図23は側面図、図24は平面図である。
上記(iii)の保持機構3は、上記(ii)の保持機構3とは逆に、ガイド部30およびスライド部材31を構成部材10と中間部材32間に、保持手段33を中間部材32と清掃部材2間に、それぞれ設けたものである。
この実施形態は、上記(iii)の保持機構3のガイド部30をガイド孔30xで、ガイド部30に係合するスライド部材31をスライドピン31xで、それぞれ構成したものである。
装置本体1、清掃部材2および保持機構3の基本構成は、図1図3図11および図12について説明した通りである。
【0039】
装置本体1の前面には、保持機構3を設けるための構成部材10が、装置本体幅方向に沿って配置され、支持部材14で装置本体1に支持されている。
保持機構3は、装置本体幅方向に沿って配され、清掃部材2と装置本体1の構成部材10との間に介在する中間部材32と、この中間部材32の装置本体幅方向で間隔をおいた少なくとも2箇所に、上下方向に沿って設けられるガイド孔30x(ガイド部30)と、構成部材10に装置本体幅方向で間隔をおいて設けられ、中間部材32の各ガイド孔30xに上下方向スライド移動可能に挿入されるスライドピン31x(スライド部材31)と、中間部材32と清掃部材2間に設けられ、中間部材32に清掃部材2を装置本体幅方向に対して傾動自在に保持させる保持手段33などで構成されている。
【0040】
保持手段33の構成は、図19図21の実施形態に関して説明した通りであり、本実施形態の保持手段33も、装置本体幅方向中央部に設けられるベアリングで構成されている。すなわち、ベアリングの外輪330側が中間部材32に、内輪331側が清掃部材2にそれぞれ固定されることで、中間部材10に清掃部材2が回動(傾動)自在に保持されている。これにより、清掃部材2が装置本体幅方向に対してフリーに傾動できるようにしている。また、保持手段33が回転盤で構成される場合には、例えば、回転盤のベース側が中間部材32に、回転体側が清掃部材2にそれぞれ固定されることで、中間部材32に清掃部材2が回動(傾動)自在に保持される。
【0041】
装置本体1側(構成部材10)のスライドピン31xが中間部材32のガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できるとともに、清掃部材2が保持手段33を介して中間部材32に対して傾動(回動)できることにより、清掃部材2は、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持される。
また、上記(iii)の保持機構3のガイド部30は、ガイド孔30xに代えてガイド溝で構成することもでき、この場合には、ガイド部30とスライド部材31はリニアスライダ形式の機構となるので、シールを施して耐粉塵性を持たせることが望ましい。
【0042】
本実施形態においても、図22に示すような付勢手段4を設けることができ、例えば、構成部材10と中間部材32に、図22の実施形態に示すような張り出し部をそれぞれ設け、これらの張り出し部間に付勢手段4を構成するバネ機構(コイルスプリング)を介在させ、このバネ機構により中間部材32を介して清掃部材2を下方向に付勢するような構成とすることができる。
また、図23および図24の実施形態とは逆に、構成部材10にガイド孔30x(ガイド部30)を設け、中間部材32にスライドピン31x(スライド部材31)を設けてもよい。この場合も、中間部材32側のスライドピン31xが構成部材10側のガイド孔30xに沿って上下方向にスライド移動できるとともに、清掃部材2が保持手段33を介して中間部材32に対して傾動(回動)できることにより、清掃部材2は、装置本体1に上下動自在(フリーに上下動可能)に且つ装置本体幅方向に対して傾動自在(フリーに傾動可能)に保持される。
【0043】
本発明の清掃装置は、遠隔操作により若しくは予め決められたプログラムに従い無人で運転され、路面Aの清掃を行う。本発明の清掃装置は、堆積物が存在する様々な場所の清掃に用いることができ、また、様々な堆積物を清掃対象とすることができるが、凹凸がある路面を無人で自動清掃できることから、特にコークス炉の炉頂部に堆積した石炭粉を清掃除去するのに適している。すなわち、本発明の清掃装置によれば、路面に10~20mm程度の凹凸があるコークス炉の炉頂部において、路面A(炉頂部)を自由に移動して堆積した石炭粉を確実かつ効率的にかき集め、コークス炉の炉頂部全面を清掃することができる。
本発明の清掃装置によりコークス炉の炉頂部を清掃する場合、コークス炉の炉頂部において装置本体1を走行させて、清掃部材2により所定領域の堆積粉(石炭粉)をかき集めた状態で、装置本体1をそのまま石炭装入孔の近傍まで移動させ、その場所にかき集めた堆積粉を集積させる。このように石炭装入孔の近傍に集められた堆積粉は、適時作業者により石炭装入孔に投入される。
【0044】
本発明の清掃装置の清掃能力を評価するため、炉頂部に10~20mmの段差があるコークス炉において、以下のような清掃試験を行った。
[試験例1]
本発明装置として、図7図7図10)に示される清掃部材2(ドーザー部材20)が上下動自在な清掃装置と、図14図14図18)に示される清掃部材2(ドーザー部材20)が上下動自在で且つ装置本体幅方向に傾動自在な清掃装置を用い、従来装置として、固定式の清掃部材(ドーザー部材)を備えた清掃装置を用いた。いずれの装置も、清掃部材(ドーザー部材)は幅が0.5mであり、下端部はゴム製のスクレーパで構成した。
【0045】
コークス炉頂部の幅0.5×長さ2mの範囲に石炭粉2kg程度を散布し、その領域の石炭粉を各清掃装置でかき集めて回収し、回収された石炭粉量(回収量)と炉頂部に残留した石炭粉量(残留量)を測定して、(回収量)÷(回収量+残留量)×100から回収率を求めた。各清掃装置でそれぞれ3回ずつ清掃試験を行った結果を表1に示す。
表1によれば、従来装置では、清掃部材が路面の段差に倣うことができず、しかも、路面の段差により装置本体が傾き、清掃部材が路面から離れるときに石炭粉を取りこぼすため、回収率は17~25%と低い。これに対して、清掃部材2が上下動自在な本発明装置(図7)は、その清掃部材2が路面から離れにくいため、石炭粉の取りこぼしが減り、回収率が61~64%に向上している。さらに、清掃部材2が上下動自在で且つ装置本体幅方向に傾動自在な本発明装置(図14)では、清掃部材2が路面からより離れにくいため、石炭粉の取りこぼしがさらに減り、回収率が74~83%に向上している。
【0046】
【表1】
【0047】
[試験例2]
図14図14図18)に示される清掃部材2(ドーザー部材20)が上下動自在で且つ装置本体幅方向に傾動自在な本発明装置と、この装置に清掃部材2を下方に付勢する付勢手段4(バネ機構)を付加した本発明装置を用い、[試験例1]と同様の清掃試験を行った。いずれの清掃装置も、清掃部材2(ドーザー部材20)は幅が0.5mであり、下端部はゴム製のスクレーパで構成した。
【0048】
付勢手段4(バネ機構)を備えた本発明装置については、付勢手段4による清掃部材2の押し付け力を1kgfと2kgfにそれぞれ設定した条件で清掃試験を行った。各清掃装置でそれぞれ3回ずつ清掃試験を行った結果を表2に示す。
表2によれば、付勢手段4(バネ機構)を備えていない本発明装置では回収率が74~83%であるのに対し、付勢手段4(バネ機構)を備えた本発明装置では、清掃部材2と路面との密着性が高まるため、押し付け力1kgfでは回収率が87~94%まで向上し、さらに、押し付け力2kgfでは回収率が93~95%まで向上している。
【0049】
【表2】
【符号の説明】
【0050】
1 装置本体
2 清掃部材
3 保持機構
4 付勢手段
10 構成部材
11 車体
12a,12b 車輪
13 構成部材
14 支持部材
20 ドーザー部材
30 ガイド部
30x ガイド孔
31 スライド部材
31x スライドピン
32 中間部材
33 保持手段
40 バネ機構
200 張り出し部
320 張り出し部
330 外輪
331 内輪
A 路面
a 凸部
p 中央位置
d 堆積物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24