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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030682
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】測定用ソケット
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20220210BHJP
【FI】
G01R31/26 J
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134846
(22)【出願日】2020-08-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】312014155
【氏名又は名称】株式会社SDK
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】扇浦 徹哉
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA06
2G003AG01
2G003AG12
2G003AG16
(57)【要約】
【課題】電子光学部品を正確に位置決めして確実な導通および光軸合わせを行うことができる測定用ソケットを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、押圧部材を基準壁の方向に付勢する付勢手段と、ベースに被せられるカバーの動作に基づき付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を付勢手段に付与可能な規制部材と、を備え、カバーが開くことで規制部材によって規制力が付勢手段に与えられて押圧部材を基準壁から離す方向に移動させ、カバーが閉じるときには、カバーとベースとの相対距離に応じて規制力が減衰されて、付勢手段の付勢力によって押圧部材を基準壁に近づく方向に移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、
前記電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、
前記押圧部材を前記基準壁の方向に付勢する付勢手段と、
前記ベースに被せられるカバーの動作に基づき前記付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を前記付勢手段に付与可能な規制部材と、
を備え、
前記カバーが開くことで前記規制部材によって前記規制力が前記付勢手段に与えられて前記押圧部材を前記基準壁から離す方向に移動させ、
前記カバーが閉じる動作に応じて前記規制力が減衰されて、前記付勢手段の付勢力によって前記押圧部材を前記基準壁に近づく方向に移動させることを特徴とする測定用ソケット。
【請求項2】
前記カバーと前記ベースとの相対距離と前記規制力の程度との関連性を設定する規制力制御手段を備える、請求項1に記載の測定用ソケット。
【請求項3】
前記規制力制御手段は、前記カバーの動作と連動して前記規制部材を駆動するリンクを有する、請求項2に記載の測定用ソケット。
【請求項4】
前記カバーが開くときに前記規制部材を介して前記規制力を前記付勢手段に与えるための弾性部材を有し、
前記弾性部材の弾性変形が少ないときほど前記規制部材から前記付勢手段に大きな前記規制力を付与する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の測定用ソケット。
【請求項5】
前記カバーを被せることで前記カバーの前記ベースとの対向面に設けられた作用部によって前記押圧部材が押圧され、
前記作用部は、
前記付勢手段と、
前記規制部材と、
前記付勢手段の付勢力を前記押圧部材に駆動力として伝達する伝達手段と、を備え、
前記押圧部材は前記伝達手段から受けた駆動力に基づき前記電子光学部品を押圧する、請求項1または請求項2に記載の測定用ソケット。
【請求項6】
前記押圧部材は環状体を備え、前記環状体の環内に前記電子光学部品が挿通され、
前記伝達手段は、前記環状体の内周が前記電子光学部品に近接する向きの駆動力を、前記押圧部材に与える、請求項5に記載の測定用ソケット。
【請求項7】
前記作用部は筐体をさらに備え、
前記規制部材と前記伝達手段との接触部は前記筐体の内部に位置する、請求項5または請求項6に記載の測定用ソケット。
【請求項8】
前記付勢手段と前記伝達手段との接触部は前記筐体の内部に位置する、請求項7に記載の測定用ソケット。
【請求項9】
前記付勢手段は前記筐体の内部に位置する、請求項7または請求項8に記載の測定用ソケット。
【請求項10】
前記カバーは、前記ベースに対して回動可能に支持され、
前記押圧部材および前記リンクは前記ベースに設けられ、
前記カバーの回動動作に連動して前記リンクは進退動作するように設けられた、請求項3に記載の測定用ソケット。
【請求項11】
前記カバーは、前記ベースに対して回動可能に支持され、
前記規制力制御手段は、前記カバーの回動軸に設けられた偏心カムを有し、
前記カバーの動作と同期する前記偏心カムの動作によって前記規制力を変化させる、請求項2記載の測定用ソケット。
【請求項12】
前記ベースと前記カバーとの間に設けられ前記ベースに対して回動可能に支持されたセンターカバーをさらに備え、
前記規制力制御手段は、前記センターカバーの回動軸に設けられた偏心カムを有し、
前記センターカバーの動作と同期する前記偏心カムの動作によって前記規制力を変化させる、請求項2記載の測定用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子光学部品の導通検査や特性測定などを行う際に用いられる測定用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IC等の電子部品の電気的な測定を行う際に用いられる測定用ソケット(以下、単に「ソケット」とも言う。)として、電子部品を一方向に押圧して位置決めするソケットが開示されている。例えば、特許文献1では、ICパッケージの表面を押圧して位置決めを行う半導体装置用ソケットが開示される。
【0003】
また、特許文献2には、ソケットカバーの電気部品を押圧する押圧動作に伴って操作され、収容部に収容された電気部品の位置決め部と反対側の隅角部にて直交する側面にそれぞれ点接触し、電気部品を位置決め部に対して片寄せする片寄せ手段を備えた電気部品用ソケットが開示される。
【0004】
また、特許文献3には、ソケット本体に、電気部品が押圧部材で押圧される前に、載置部の周縁部の一部に設けられた固定ガイド部に当接される電気部品の側面と反対側の側面を固定ガイド部の方向に押し、電気部品を固定ガイド部に当接させて所定の載置位置に位置決めする手段を備えた電気部品用ソケットが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-023164号公報
【特許文献2】特開2005-061948号公報
【特許文献3】特開2004-296155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子光学部品の測定においては、電気的な測定とともに光学的な測定も行う必要があることから、測定用ソケットには、電子光学部品に設けられたパッドやコネクタとの的確なコンタクトと、光学軸の正確な位置合わせとの両立が求められる。特に、電子光学部品を押圧して基準位置に合わせる場合、押圧の仕方によっては光学軸の傾きや位置ずれが発生することもあり、電子光学部品の押圧の重要性が高まっている。
【0007】
本発明は、電子光学部品を正確に位置決めして確実な導通および光軸合わせを行うことができる測定用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、押圧部材を基準壁の方向に付勢する付勢手段と、ベースに被せられるカバーの動作に基づき付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を付勢手段に付与可能な規制部材と、を備え、カバーが開くことで規制部材によって規制力が付勢手段に与えられて押圧部材を基準壁から離す方向に移動させ、カバーが閉じる動作に応じて規制力が減衰されて、付勢手段の付勢力によって押圧部材を基準壁に近づく方向に移動させる。
【0009】
このような構成によれば、押圧部材を基準壁の方向に付勢する付勢手段の付勢力と、カバーの動作に基づき規制部材から付勢手段に与えられる規制力とのバランスによって電子光学部品を基準壁に押し当てる押圧力を設定することができる。カバーが閉じるほど規制力は減衰されるため、カバーを閉じた状態では優勢となった付勢力によって安定して電子光学部品を押圧することができる。
【0010】
上記測定用ソケットにおいて、カバーとベースとの相対距離と規制力の程度との関連性を設定する規制力制御手段を備えることが好ましい。このように、規制力制御手段によって規制力を制御することで、カバーとベースとの相対距離と付勢力の程度との関係を任意に設定できる。電子光学部品は精密部品なので、過度に押圧されると破損してしまうおそれもある。付勢力に対して常に規制力を作用させることで、付勢力による押圧の程度を適切に調整できる。
【0011】
上記測定用ソケットにおいて、規制力制御手段は、カバーの動作と連動して規制部材を駆動するリンクを有していてもよい。これにより、リンクの作用によってカバーの動作に連動した規制力を設定することができる。
【0012】
上記測定用ソケットにおいて、カバーが開くときに規制部材を介して規制力を付勢手段に与えるための弾性部材を有し、弾性部材の弾性変形が少ないときほど規制部材から付勢手段に大きな規制力を付与するようになっていてもよい。これにより、弾性部材がよりフリーな状態のときに規制力を付与しているため、規制力を高めやすい。
【0013】
上記測定用ソケットにおいて、カバーを被せることでカバーのベースとの対向面に設けられた作用部によって押圧部材が押圧されるようになっていてもよい。作用部は、付勢手段と、規制部材と、付勢手段の付勢力を押圧部材に駆動力として伝達する伝達手段と、を備え、押圧部材は伝達手段から受けた駆動力に基づき電子光学部品を押圧する。これにより、付勢手段、規制部材および伝達手段を含む作用部によって構成の簡素化を図ることができる。
【0014】
上記測定用ソケットにおいて、押圧部材は環状体を備え、環状体の環内に電子光学部品が挿通され、伝達手段は、環状体の内周が電子光学部品に近接する向きの駆動力を押圧部材に与えるようになっていてもよい。これにより、環状体の内周を電子光学部品に押し当てることで2方向同時に安定して押圧することができる。
【0015】
上記測定用ソケットにおいて、作用部は筐体をさらに備え、規制部材と伝達手段との接触部が筐体の内部に位置するようになっていてもよい。また、上記測定用ソケットにおいて、付勢手段と伝達手段との接触部が筐体の内部に位置するようになっていてもよいし、付勢手段が記筐体の内部に位置するようになっていてもよい。このように、押圧部材を動作させるにあたりキーとなる部分を筐体の内部に入れることにより、構成の簡素化および動作安定性を確保することができる。
【0016】
上記測定用ソケットにおいて、カバーは、ベースに対して回動可能に支持され、押圧部材およびリンクはベースに設けられ、カバーの回動動作に連動してリンクが進退動作するように設けられていてもよい。これにより、リンクの作用によってカバーの回動に連動した規制力を設定することができる。
【0017】
上記測定用ソケットにおいて、カバーは、ベースに対して回動可能に支持され、規制力制御手段は、カバーの回動軸に設けられた偏心カムを有し、カバーの動作と同期する偏心カムの動作によって規制力を変化させるようになっていてもよい。このように、規制力制御手段として偏心カムを用いることにより、装置構成の小型化を図ることができる。
【0018】
上記測定用ソケットにおいて、ベースとカバーとの間に設けられ、ベースに対して回動可能に支持されたセンターカバーをさらに備え、規制力制御手段は、センターカバーの回動軸に設けられた偏心カムを有し、センターカバーの動作と同期する偏心カムの動作によって規制力を変化させるようになっていてもよい。これにより、センターカバーの動作に連動して偏心カムを動作させて電子光学部品を押圧することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子光学部品を正確に位置決めして確実な導通および光軸合わせを行うことができる測定用ソケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図(その1)である。
図2】第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図(その2)である。
図3】測定対象の電子光学部品を例示する斜視図である。
図4】第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する平面図である。
図5】第1実施形態に係る測定用ソケットの例示する一部省略平面図である。
図6】第2実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図7】押圧部材の拡大斜視図である。
図8】(a)から(c)は、第2実施形態に係る測定用ソケットの動作を説明する模式断面図である。
図9】第3実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図10】第3実施形態に係る測定用ソケットのベース側を例示する斜視図である。
図11】第3実施形態に係る測定用ソケットのカバー側を例示する斜視図である。
図12】第3実施形態に係る測定用ソケットのカバー側を例示する平面図である。
図13】環状体を例示する斜視図である。
図14】作用部を例示する斜視図である。
図15】コンタクト装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図(その1)である。
図2は、第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図(その2)である。
図1には電子光学部品が載置された状態が示され、図2には電子光学部品が載置されていない状態が示される。
図3は、測定対象の電子光学部品を例示する斜視図である。
図4は、第1実施形態に係る測定用ソケットを例示する平面図である。
図5は、第1実施形態に係る測定用ソケットの例示する一部省略平面図である。図5ではベース10のガイドプレート160を省略した状態が示される。
【0023】
第1実施形態に係る測定用ソケット1Aは、電子光学部品100の電気的な測定および光学的な測定を行う際に用いられるソケットである。測定用ソケット1Aは、測定対象となる電子光学部品100を搭載して、電子光学部品100との電気的な接続および光軸合わせを行う。
【0024】
本実施形態において、測定対象となる電子光学部品100では、筐体1011の一方側に光学レンズ部105が設けられ、筐体1011の他方側に電気的な導通を行うパッド1012が設けられている。したがって、本実施形態の測定用ソケット1Aでは、後述するベース10の凹部11に電子光学部品100を載置して押圧することで凹部11内に設けられた端子17とパッド1012とを接触させて電気的な導通を得る。また、測定用ソケット1Aでは、電子光学部品100を押圧することで筐体1011を基準壁Wに押し当てて位置決めし、光学レンズ部105等の光学要素の光軸合わせを行う。すなわち、測定用ソケット1Aは、測定対象となる電子光学部品100に対する電気的な導通と、光学的な位置合わせ(光軸合わせ)との両立を図るものである。
【0025】
本実施形態に係る測定用ソケット1Aは、ベース10と、押圧部材30と、付勢手段40と、規制部材50とを備える。なお、以下の説明において、ベース10における電子光学部品100を搭載する面と直交する方向をZ方向、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向ということにする。
【0026】
ベース10は、電子光学部品100を搭載する凹部11を有する。例えば、ベース10はベースプレート150と、ベースプレート150の上に取り付けられたガイドプレート160とを有し、凹部11はガイドプレート160の略中央部に設けられる。凹部11は、ガイドプレート160に設けられた貫通孔と、ベースプレート150による底とによって構成される。凹部11は、電子光学部品100の配置位置を決めるためのガイドの役目を果たす。
【0027】
凹部11の開口側には、上に広がるテーパ部が設けられ、テーパ部の下方にはストレート部が設けられている。凹部11に載置された電子光学部品100はテーパ部で呼び込まれて、ストレート部に収容される。
【0028】
凹部11の底(ベースプレート150上)には端子17が設けられる。この凹部11に電子光学部品100を収容してZ方向に押圧することで、筐体1011の裏面に設けられたパッド1012と端子17とが接触する状態となる。これにより、測定用ソケット1Aは電子光学部品100との電気的な導通を得ることができる。
【0029】
ベース10にはカバー20が被せられる。測定用ソケット1Aにおいて、カバー20はベース10に対して回動可能に取り付けられる。すなわち、ベース10の一端に設けられたヒンジ27を介してカバー20が取り付けられる。これにより、カバー20は、ヒンジ27の軸28を中心として開閉動作可能に設けられる。
【0030】
測定用ソケット1Aの例えばベース10にはラッチ15が設けられる。カバー20を閉じた状態でラッチ15をカバー20の爪25に引っ掛けることで、カバー20を閉じた状態が維持される。カバー20は、ヒンジ27の軸28に取り付けられたバネ29によって開く方向に付勢されている。したがって、ラッチ15を外すことで、バネ29の付勢力によってカバー20は開くことになる。
【0031】
押圧部材30は、ベース10の凹部11に収容された電子光学部品100を基準壁Wに押し当てるための部材である。基準壁Wは、例えば凹部11の内壁である。基準壁Wとして凹部11の内壁ではなく別途の突き当て用の壁(立片)を設けてもよい。測定用ソケット1Aにおいて、押圧部材30はガイドプレート160の凹部11に隣接して設けられたガイド孔10h内に配置される。押圧部材30はガイド孔10h内でスライド可能に設けられ、電子光学部品100の筐体1011に接触して電子光学部品100を所定方向に押圧する。
【0032】
押圧部材30は1つでもよいし、複数設けられていてもよい。測定用ソケット1Aでは、2つの押圧部材30A、30Bが設けられる。各押圧部材30A、30Bは互いに異なる2方向へ筐体1011を押圧して筐体1011を基準壁Wに押し当てるようになっている。すなわち、押圧部材30Aは平面視で矩形の筐体1011の一側面をY方向に押圧し、押圧部材30Bは筐体1011の一側面と直交する他側面をX方向に押圧する。押圧部材30A、30Bを区別せず説明するときは押圧部材30と称することにする。押圧部材30は例えば一対のガイドローラ35の間に設けられ、ガイドローラ35によってXY面内に沿った一方向に滑らかにスライドできるようになっている。
【0033】
付勢手段40は、押圧部材30(基準壁W)の方向に付勢する。付勢手段40には例えばコイルバネが用いられる。付勢手段40は例えば押圧部材30の先端(筐体1011と接触する側)とは反対側である後端とガイドプレート160との間に設けられ、押圧部材30を電子光学部品100の方向へ押すための付勢力を押圧部材30に与える。
【0034】
例えば、押圧部材30Aは、付勢手段40によって電子光学部品100に向かうY方向に付勢力F1aが与えられ、押圧部材30Bは、付勢手段40によって電子光学部品100に向かうX方向に付勢力F1bが与えられる。
【0035】
規制部材50は、ベース10に被せられるカバー20の動作に基づき付勢手段40の付勢力に打ち勝つ規制力を付勢手段40に付与する部材である。測定用ソケット1Aにおいては、押圧部材30に連結している規制ピン51が規制部材50である。測定用ソケット1Aでは、2つの押圧部材30A、30Bのそれぞれに対応して規制部材50A、50Bが設けられる。規制部材50A、50Bを区別せず説明するときは規制部材50と称することにする。
【0036】
規制部材50である規制ピン51は、押圧部材30の裏面側に設けられた穴部30hに挿入される。規制ピン51は揺動リンク61の軸61aに対する一端側に立設される。揺動リンク61はベース10に対して軸61aを中心に揺動可能に取り付けられる。揺動リンク61の軸61aに対する他端側には受けピン62が立設される。受けピン62は後述する直動リンク65の引っ掛けピン66と係合する。
【0037】
直動リンク65は、カバー20の動作と連動して規制部材50である規制ピン51を駆動する。直動リンク65のカバー20側の端部にはカバー20の動作を受ける受動部68が設けられ、カバー20の開閉動作を受けて直動リンク65を移動させる。この揺動リンク61、受けピン62、直動リンク65および引っ掛けピン66は規制力制御手段60の構成要素となる。規制力制御手段60は、ベース10とカバー20との相対距離と規制力の程度との関連性を設定するものである。
【0038】
このような構成を備える測定用ソケット1Aでは、カバー20が開くことで規制部材50によって規制力が付勢手段40に与えられて押圧部材30を基準壁Wから離す方向に移動させる。一方、カバー20が閉じるときには、カバー20とベース10との相対距離に応じて規制力が減衰されて、付勢手段40の付勢力によって押圧部材30を基準壁Wに近づく方向に移動させる。すなわち、カバー20は、ベース10に対して回動可能に支持され、押圧部材30およびリンク(直動リンク65)はベース10に設けられ、カバー20の回動動作に連動してリンク(直動リンク65)が進退動作するように設けられている。
【0039】
具体的には、バネ29の付勢力によってカバー20が開く際、このカバー20の開く動作によって直動リンク65がカバー20側に移動する。そして、直動リンク65の移動によって引っ掛けピン66が受けピン62を引っ張り、揺動リンク61を揺動させる。受けピン62が引っ張られることで揺動リンク61を介して規制ピン51は電子光学部品100(凹部11)から離れる方向に移動する。この規制ピン51の移動によって押圧部材30が付勢手段40の付勢力に対向して引っ張られ、電子光学部品100から離れる方向に移動することになる。すなわち、規制ピン51から付勢手段40に対して規制力が与えられ、付勢力に打ち勝つ規制力によって押圧部材30が付勢力の働く方向とは反対の方向に移動することになる。
【0040】
例えば、規制部材50Aの規制ピン51は、押圧部材30Aを基準壁Wの方向に付勢する付勢力F1aに打ち勝つ規制力F2aを付勢手段40に与える。規制力F2aは、バネ29によってカバー20を開く力が元となり、規制力制御手段60Aによってカバー20とベース10との相対距離によって制御される。規制力F2aが付勢力F1aよりも大きくなることで、押圧部材30Aが基準壁Wから離れるY方向に移動する。
【0041】
また、規制部材50Bの規制ピン51は、押圧部材30Bを基準壁Wの方向に付勢する付勢力F1bに打ち勝つ規制力F2bを付勢手段40に与える。規制力F2bは、バネ29によってカバー20を開く力が元となり、規制力制御手段60Bによってカバー20とベース10との相対距離によって制御される。規制力F2bが付勢力F1bよりも大きくなることで、押圧部材30Bが基準壁Wから離れるX方向に移動する。
【0042】
一方、カバー20が閉じるときには、カバー20の閉じる動作によって直動リンク65がヒンジ27から離れるX方向に移動する。この直動リンク65の移動によって引っ掛けピンから受けピン62に与えられていた力が弱まり、付勢手段40の付勢力に対向していた規制力が減衰する。これにより、押圧部材30が付勢力によって基準壁Wに近づく方向に移動する。この押圧部材30の移動によって電子光学部品100が押圧され、筐体1011が基準壁Wに押し当てられる。
【0043】
すなわち、カバー20が閉じる動作において、規制部材50Aの規制ピン51から押圧部材30Aを介して付勢手段40に与えられていた規制力F2aは、付勢力F1aよりも小さくなる。そして、付勢力F1aが規制力F2aに打ち勝つことで、押圧部材30Aが基準壁Wの方向に移動し、電子光学部品100を押圧するようになる。この押圧部材30Aの移動に伴い、規制力制御手段60Aの揺動リンク61が揺動し、受けピン62が引っ掛けピン66に追随するように移動する。
【0044】
また、規制部材50Bの規制ピン51から押圧部材30Bを介して付勢手段40に与えられていた規制力F2bは、付勢力F1bよりも小さくなる。そして、付勢力F1bが規制力F2bに打ち勝つことで、押圧部材30Bが基準壁Wの方向に移動し、電子光学部品100を押圧するようになる。この押圧部材30Bの移動に伴い、規制力制御手段60Bの揺動リンク61が揺動し、受けピン62が引っ掛けピン66に追随するように移動する。
【0045】
カバー20の動作と連動した規制力の制御において、カバー20を開く方向に付勢するバネ29は弾性部材として規制部材50を動作させる。バネ29の弾性変形はカバー20が閉じているときに比べてカバー20が開いているときのほうが少ない。したがって、カバー20が開いていき、バネ29の弾性変形が少なくなるほど規制部材50から付勢手段40には大きな規制力が付与されることになる。これにより、バネ29がよりフリーな状態のときに規制力を付与することができ、規制力を高めやすくなる。
【0046】
また、カバー20とベース10との相対距離と規制力の程度との関連性は、規制力制御手段60のリンク構成によって設定可能である。例えば、揺動リンク61の軸から規制ピン51や受けピン62までの長さや、受けピン62と引っ掛けピン66との掛かり始めの位置、(リンクの長さなど)によって設定される。これにより、カバー20とベース10との相対距離に応じた規制力の働くタイミングおよび規制力の変化を設定することが可能となる。
【0047】
また、規制力制御手段60のリンク構成によって、カバー20の閉じる動作に伴う電子光学部品100のZ方向への押圧(パッド1012と端子17との接触)のタイミングと、電子光学部品100の筐体1011を押圧部材30によって押圧して基準壁Wに押し当てるタイミングとを調整することができる。例えば、カバー20が閉じて電子光学部品100と接触し、電子光学部品100をZ方向に押圧する前に、押圧部材30による基準壁Wへの押し当てを完了しておく場合には、規制力制御手段60のリンク構成によってカバー20が電子光学部品100に接触する前までに規制力の減衰を開始し、押圧部材30による押圧を完了するようにリンク構成を設定すればよい。
【0048】
このような測定用ソケット1Aによれば、押圧部材30を基準壁Wの方向に付勢する付勢手段40の付勢力と、カバー20の動作に基づき規制部材50から付勢手段40に与えられる規制力とのバランスによって電子光学部品100を基準壁Wに押し当てる押圧力を設定することができる。そして、カバー20が閉じるほど規制力は減衰されるため、カバー20を閉じた状態では優勢となった付勢力によって安定して電子光学部品100を押圧することができる。
【0049】
また、規制力制御手段60によって規制力を制御することで、カバー20とベース10との相対距離と付勢力の程度との関係や電子光学部品100の基準壁Wへの押圧のタイミングを任意に設定できる。電子光学部品100は精密部品なので、過度に押圧されると破損してしまうおそれもある。付勢力に対して常に規制力を作用させることで、付勢力による押圧の程度を適切に調整することができ、安定した押圧と電子光学部品100への過度な押圧力の抑制とを図ることができる。
【0050】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図7は、押圧部材の拡大斜視図である。
図8(a)から(c)は、第2実施形態に係る測定用ソケットの動作を説明する模式断面図である。
本実施形態に係る測定用ソケット1Bにおいて、カバー20はベース10に対して回動可能に取り付けられる。規制力制御手段60は、カバー20の回動の軸28に設けられた偏心カム70と、偏心カム70によって移動可能に設けられたスライド部71とを有する。スライド部71はベースプレート150とガイドプレート160との間に設けられる。
【0051】
スライド部71はベースプレート150との間に設けられたコイルバネ(弾性部材)75によって基準壁Wから離れる方向に付勢されている。スライド部71には規制ピン51が立設されており、スライド部71の上に配置された押圧部材30の穴部30hに挿入される。スライド部71における偏心カム70側には偏心カム70と当接可能なローラ72が設けられる。
【0052】
押圧部材30は、ガイドプレート160に設けられたガイド孔10h内に配置され、ガイド孔10hの内側壁に沿って進退可能に設けられる。本実施形態では、ガイド孔10hおよび押圧部材30は凹部11と偏心カム70との間に配置される。押圧部材30はガイド孔10hに沿ってX方向に進退可能となっている。
【0053】
付勢手段40は押圧部材30の後端部と、押圧部材30の後端と対向するガイド孔10hの内壁との間に設けられ、押圧部材30を基準壁Wの方向へ付勢している。
【0054】
測定用ソケット1Bによって電子光学部品100の測定を行うには、先ず、図8(a)に示すようにカバー20を開いた状態で、ベース10の凹部11に電子光学部品100を載置する。電子光学部品100の筐体1011は、凹部11のテーパ部で呼び込まれて、ストレート部に収容される。カバー20が開いた状態では、スライド部71のローラ72は偏心カム70とは当接していない。この状態では、弾性部材であるコイルバネ75の付勢力によってスライド部71が基準壁Wから離れる方向に付勢されており、規制ピン51を介して押圧部材30も基準壁Wから離れる方向(ヒンジ27側)に引っ張られている。すなわち、コイルバネ75の付勢力が規制力となって押圧部材30に与えられ、付勢手段40による付勢力に打ち勝って押圧部材30をヒンジ27側に移動させる。これにより、押圧部材30は電子光学部品100の筐体1011から離れている。
【0055】
次に、図8(b)に示すように、カバー20を閉じる。カバー20を閉じると偏心カム70がローラ72と当接しスライド部71を押圧する。スライド部71が押圧されることで規制ピン51が基準壁Wの方向へ移動する。これにより規制ピン51から押圧部材30を介して付勢手段40に与えられていた規制力が減衰し、付勢手段40の付勢力によって押圧部材30が基準壁Wの方向へ移動することになる。これにより押圧部材30が電子部品101の筐体1011を押圧し、筐体1011を基準壁Wに押し当てる。これにより電子光学部品100の位置決めが行われる。
【0056】
さらに、図8(c)に示すようにカバー20を閉じていくと、規制ピン51と押圧部材30との掛かりが無くなり、規制力が無くなって付勢手段40による付勢力のみで押圧部材30により電子光学部品100の位置決めが完了する。そして、カバー20によって電子光学部品100がZ方向に押圧される。これにより、電子光学部品100の裏面に設けられたパッド(図示せず)とコンタクトピン91とが接触し、電気的な接続が行われる。
【0057】
測定用ソケット1Bに設けられた偏心カム70を用いることで、偏心カム70のプロファイルの変更によってカバー20を閉じる動作と押圧部材30による電子光学部品100の押圧のタイミング、押圧力の変化を任意に設定可能となる。また、規制力制御手段60として偏心カム70を用いることにより、装置構成の小型化を図ることができる。
【0058】
なお、測定用ソケット1Bにおいて、ベース10とカバー20との間でセンターカバーを備えておりセンターカバーの回動軸に偏心カム70を設けるようにしてもよい。これにより、センターカバーの動作に連動して偏心カム70を動作させて押圧部材30により電子光学部品100を押圧することができる。
【0059】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態に係る測定用ソケットを例示する斜視図である。
図10は、第3実施形態に係る測定用ソケットのベース側を例示する斜視図である。
図11は、第3実施形態に係る測定用ソケットのカバー側を例示する斜視図である。
本実施形態に係る測定用ソケット1Cは、ベース10に対してカバー20が上下動するよう構成される。測定用ソケット1Cにおいて、カバー20におけるベース10との対向面には作用部80が設けられる。作用部80は、付勢手段40および規制部材50を筐体81内に含むユニット構成部材である。また、測定用ソケット1Cにおいて、押圧部材30は環状体37を備える。
【0060】
測定用ソケット1Cで測定対象となる電子光学部品100は、フレキシブル基板102に電子部品101およびコネクタ103が接続されたものである。フレキシブル基板102には配線パターンが形成され、電子部品101とコネクタ103との間の通電がなされる。ベース10には電子光学部品100の電子部品101を載置する凹部11と、フレキシブル基板102を載置する凹部12とが設けられる。一方、カバー20には、コネクタ103をガイドするガイド部90が設けられ、ガイド部90の内側にはコンタクトピン91が設けられる。
【0061】
測定用ソケット1Cにおいて、ベース10の凹部11に電子光学部品100を載置した状態でカバー20を被せることで、コネクタ103がガイド部90に嵌め込まれ、ガイド部90内のコンタクトピン91がコネクタ103の端子と接触することになる。また、カバー20を被せることで、カバー20側に設けられた環状体37の環内に電子光学部品100が挿通される。そして、作用部80によって環状体37を移動させて環状体37の内周を電子光学部品100に押し当て、電子光学部品100をベース10側の基準壁Wに押し当てるように動作する。環状体37の内周を電子光学部品100に押し当てる際、内周に設けられたローラ38を介して押し当ててもよい。
【0062】
測定用ソケット1Cでは、環状体37によって電子光学部品100を2方向同時に押圧することができる。ここで、環状体37によって電子光学部品100を押圧する方向を押圧方向D1、押圧方向D1と反対向きであって押圧を解除する方向を解除方向D2ということにする。
【0063】
図12は、第3実施形態に係る測定用ソケットのカバー側を例示する平面図である。
図13は、環状体を例示する斜視図である。
図14は、作用部を例示する斜視図である。
なお、図13では作用部80における筐体81の一部を省略した状態が示され、図14では環状体37を省略した状態が示される。作用部80には伝達手段85が組み込まれる。環状体37はカバー20のベース10との対向面において面方向にスライド可能に設けられる。測定用ソケット1Cでは、環状体37はX方向およびY方向のそれぞれに非平行(押圧方向D1および解除方向D2)にスライド可能となっている。
【0064】
作用部80は環状体37の環内に配置され、環状体37を押圧方向D1および解除方向D2にスライドさせるための駆動力を与える。作用部80の筐体81内にはガイド孔81hが設けられ、ガイド孔81h内に伝達手段85の一部であるスライド部86が配置される。スライド部86は、ガイド孔81hの内側壁に沿って進退可能に設けられる。この内側壁が押圧方向D1および解除方向D2に沿って設けられるため、内側壁がスライド部86の進退方向のガイドとしての役割を果たす。
【0065】
スライド部86の端部とガイド孔81hの内壁との間には付勢手段40が設けられ、スライド部86に押圧方向D1の付勢力を与えている。スライド部86には孔86hが設けられ、この孔86hに規制部材50である規制ピン51が配置される。
【0066】
規制ピン51は、例えば規制ピン51の内部に組み込まれたコイルバネ55によって突出する方向に付勢力が与えられる。このコイルバネ55は押圧部材30である環状体37に規制力を与える弾性部材である。
【0067】
規制ピン51とスライド部86との間にはローラ87が設けられる。ローラ87は規制ピン51に設けられた傾斜面51aと接触する。傾斜面51aは規制ピン51(規制部材50)とスライド部86(伝達手段85)との接触部であり、筐体81の内部に位置する。ローラ87は、付勢手段40によってスライド部86が押圧方向D1に付勢されることで、押圧方向D1の下手側に位置する傾斜面51aと当接する。
【0068】
ローラ87が傾斜面51aに当接していることで、規制ピン51が突出している状態ではローラ87を介してスライド部86に解除方向D2の力が与えられ、スライド部86は孔86h内で解除方向D2へスライド移動する。一方、規制ピン51がコイルバネ55の付勢力に打ち勝って押し込まれると、ローラ87と傾斜面51aとの接触位置が変わり、付勢手段40による押圧方向D1の付勢力がスライド部86に与えられ、スライド部86は孔86h内で押圧方向D1へスライド移動する。傾斜面51aは規制力制御手段60としての役目を果たす。
【0069】
スライド部86は、先端側に設けられたピン88によって環状体37と係合している。したがって、スライド部86の移動に連動して環状体37がスライド移動することになる。
【0070】
測定用ソケット1Cによって電子光学部品100の測定を行うには、カバー20を開いた状態でベース10の凹部11に電子光学部品100を載置する。電子部品101は凹部11に載置され、フレキシブル基板102は凹部12に載置される。
【0071】
次に、カバー20をベース10に被せる。カバー20がベース10に被せられることでカバー20に設けられたガイド部90にコネクタ103が嵌合する。カバー20を被せることでガイド部90内に設けられたコンタクトピン91がコネクタ103の端子と接触する状態となる。
【0072】
さらにカバー20をベース10に接近させると、カバー20側に設けられた環状体37の環内に電子光学部品100が挿通され、次いで、ベース10が規制ピン51を押し込むようになる。規制ピン51が押し込まれることでスライド部86が押圧方向D1に移動し、この移動に伴い環状体37も押圧方向D1に移動することになる。これにより、環状体37の環内に挿通された電子光学部品100が環状体37の内周で押圧方向D1に押圧され、基準壁Wに押し当てられることになる。
【0073】
電子光学部品100が環状体37によって押圧される段階では、コネクタ103はガイド部90に嵌合しておりコネクタ103の端子とコンタクトピン91との接触(電気的導通)は完了している。この後で環状体37によって電子光学部品100が基準壁Wに押し当てられることで、コンタクトピン91とコネクタ103の端子との接触を維持した状態で光軸が正確に合わせられる。電子光学部品100の電気的導通および光軸の正確な合わせが行われた状態でカバー20がベース10に固定される。この状態で、測定用ソケット1Cを用いて電子光学部品100の電気的および光学的な測定が行われる。
【0074】
測定が終わったのちは、カバー20をベース10から離す。これにより、規制ピン51が突出し、スライド部86とともに環状体37が解除方向D2に移動し、電子光学部品100の基準壁Wへの押圧が解除される。
【0075】
測定用ソケット1Cによれば、押圧部材30を動作させるにあたりキーとなる部分を作用部80の筐体81の内部に入れることにより、構成の簡素化および動作安定性を確保することができる。また、規制部材50である規制ピン51の高さや、規制ピン51とベース10との接触関係を調整することで、カバー20とベース10との相対距離に応じた規制力の働くタイミングを設定することが可能となる。
【0076】
さらに、規制力制御手段60となる傾斜面51aの傾斜角度や形状を調整することで押圧部材30である環状体37に対する規制力の大きさおよび規制力の印加のタイミングを調整することができ、安定した押圧と電子光学部品100への過度な押圧力の抑制とを図ることができる。
【0077】
(コンタクト装置)
図15は、本実施形態に係るコンタクト装置を例示する模式図である。
本実施形態に係るコンタクト装置500は、先に説明した測定用ソケット1A~1Cと同様に、ベース10、カバー20、押圧部材30、付勢手段40および規制部材50を備える。コンタクト装置では、カバー20がベース10に対して上下動するよう構成される。
【0078】
ベース10には、電子光学部品100を載置する凹部11が設けられる。ベース10には、例えば4箇所に支柱515が設けられている。カバー20は、この支柱515によって支持され、支柱515に沿って上下動可能に設けられる。支柱515にはバネ517が設けられており、カバー20を上方に付勢している。カバー20は、図示しない駆動機構によってバネ517の付勢力を超えた力で押し込まれることにより、ベース10の上に被せられる。
【0079】
カバー20を下降することでガイド部90にコネクタ103が嵌合し、コンタクトピン91とコネクタ103の端子とが接触するようになる。このカバー20の下降の動作に連動して押圧部材30が動作し、押圧部材30に付勢手段40から付勢力を与えて電子部品101の筐体1011を基準壁Wに押し当てる。これにより、電子光学部品100の電気的接続と、光学的な軸合わせとの両立を図ることができる。一方、カバー20を上昇させることで規制部材50によって規制力が付勢手段40に与えられ、押圧部材30による筐体1011の押圧が解除される。
【0080】
図15に示すコンタクト装置500の例では、カバー20側に押圧部材30、付勢手段40および規制部材50が設けられているが、ベース10側に設けてもよい。
【0081】
以上説明したように、実施形態に係る測定用ソケット1A~1Cによれば、電子光学部品100を正確に位置決めして確実な導通および光軸合わせを行うことが可能となる。
【0082】
なお、上記に本実施形態およびその具体例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の実施形態またはその具体例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0083】
1A,1B,1C…測定用ソケット
10…ベース
10h…ガイド孔
11,12…凹部
15…ラッチ
17…端子
20…カバー
25…爪
27…ヒンジ
28…軸
29…バネ
30,30A,30B…押圧部材
30h…穴部
35…ガイドローラ
37…環状体
38…ローラ
40…付勢手段
50,50A,50B…規制部材
51…規制ピン
51a…傾斜面
55,75…コイルバネ(弾性部材)
60,60A,60B…規制力制御手段
61…揺動リンク
61a…軸
62…受けピン
65…直動リンク
66…引っ掛けピン
68…受動部
70…偏心カム
71…スライド部
72…ローラ
80…作用部
81…筐体
81h…ガイド孔
85…伝達手段
86…スライド部
86h…孔
87…ローラ
88…ピン
90…ガイド部
91…コンタクトピン
100…電子光学部品
101…電子部品
102…フレキシブル基板
103…コネクタ
105…光学レンズ部
150…ベースプレート
160…ガイドプレート
500…コンタクト装置
515…支柱
517…バネ
1011…筐体
1012…パッド
D1…押圧方向
D2…解除方向
F1a,F1b…付勢力
F2a,F2b…規制力
W…基準壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2020-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、
前記電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、
前記押圧部材を前記基準壁の方向に付勢する付勢手段と、
前記ベースに被せられるカバーの動作に基づき前記付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を前記付勢手段に付与可能な規制部材と、
を備え、
前記カバーが開くことで前記規制部材によって前記規制力が前記付勢手段に与えられて前記押圧部材を前記基準壁から離す方向に移動させ、
前記カバーが閉じる動作に応じて前記規制力が減衰されて、前記付勢手段の付勢力によって前記押圧部材を前記基準壁に近づく方向に移動させ
前記カバーと前記ベースとの相対距離と前記規制力の程度との関連性を設定する規制力制御手段を備え、
前記規制力制御手段は、前記カバーの動作と連動して前記規制部材を駆動するリンクを有することを特徴とする測定用ソケット。
【請求項2】
前記カバーが開くときに前記規制部材を介して前記規制力を前記付勢手段に与えるための弾性部材を有し、
前記弾性部材の弾性変形が少ないときほど前記規制部材から前記付勢手段に大きな前記規制力を付与する、請求項1に記載の測定用ソケット。
【請求項3】
電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、
前記電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、
前記押圧部材を前記基準壁の方向に付勢する付勢手段と、
前記ベースに被せられるカバーの動作に基づき前記付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を前記付勢手段に付与可能な規制部材と、
を備え、
前記カバーが開くことで前記規制部材によって前記規制力が前記付勢手段に与えられて前記押圧部材を前記基準壁から離す方向に移動させ、
前記カバーが閉じる動作に応じて前記規制力が減衰されて、前記付勢手段の付勢力によって前記押圧部材を前記基準壁に近づく方向に移動させ、
前記カバーを被せることで前記カバーの前記ベースとの対向面に設けられた作用部によって前記押圧部材が押圧され、
前記作用部は、
前記付勢手段と、
前記規制部材と、
前記付勢手段の付勢力を前記押圧部材に駆動力として伝達する伝達手段と、を備え、
前記押圧部材は前記伝達手段から受けた駆動力に基づき前記電子光学部品を押圧し、
前記押圧部材は環状体を備え、前記環状体の環内に前記電子光学部品が挿通され、
前記伝達手段は、前記環状体の内周が前記電子光学部品に近接する向きの駆動力を、前記押圧部材に与えることを特徴とする測定用ソケット。
【請求項4】
電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、
前記電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、
前記押圧部材を前記基準壁の方向に付勢する付勢手段と、
前記ベースに被せられるカバーの動作に基づき前記付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を前記付勢手段に付与可能な規制部材と、
を備え、
前記カバーが開くことで前記規制部材によって前記規制力が前記付勢手段に与えられて前記押圧部材を前記基準壁から離す方向に移動させ、
前記カバーが閉じる動作に応じて前記規制力が減衰されて、前記付勢手段の付勢力によって前記押圧部材を前記基準壁に近づく方向に移動させ、
前記カバーを被せることで前記カバーの前記ベースとの対向面に設けられた作用部によって前記押圧部材が押圧され、
前記作用部は、
前記付勢手段と、
前記規制部材と、
前記付勢手段の付勢力を前記押圧部材に駆動力として伝達する伝達手段と、を備え、
前記押圧部材は前記伝達手段から受けた駆動力に基づき前記電子光学部品を押圧し、
前記作用部は筐体をさらに備え、
前記規制部材と前記伝達手段との接触部は前記筐体の内部に位置することを特徴とする測定用ソケット。
【請求項5】
前記押圧部材は環状体を備え、前記環状体の環内に前記電子光学部品が挿通され、
前記伝達手段は、前記環状体の内周が前記電子光学部品に近接する向きの駆動力を、前記押圧部材に与える、請求項4に記載の測定用ソケット。
【請求項6】
前記付勢手段と前記伝達手段との接触部は前記筐体の内部に位置する、請求項4または請求項5に記載の測定用ソケット。
【請求項7】
前記付勢手段は前記筐体の内部に位置する、請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の測定用ソケット。
【請求項8】
前記カバーと前記ベースとの相対距離と前記規制力の程度との関連性を設定する規制力制御手段を備える、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の測定用ソケット。
【請求項9】
前記カバーは、前記ベースに対して回動可能に支持され、
前記押圧部材および前記リンクは前記ベースに設けられ、
前記カバーの回動動作に連動して前記リンクは進退動作するように設けられた、請求項1に記載の測定用ソケット。
【請求項10】
電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、
前記電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、
前記押圧部材を前記基準壁の方向に付勢する付勢手段と、
前記ベースに被せられるカバーの動作に基づき前記付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を前記付勢手段に付与可能な規制部材と、
を備え、
前記カバーが開くことで前記規制部材によって前記規制力が前記付勢手段に与えられて前記押圧部材を前記基準壁から離す方向に移動させ、
前記カバーが閉じる動作に応じて前記規制力が減衰されて、前記付勢手段の付勢力によって前記押圧部材を前記基準壁に近づく方向に移動させ、
前記カバーと前記ベースとの相対距離と前記規制力の程度との関連性を設定する規制力制御手段を備え、
前記カバーは、前記ベースに対して回動可能に支持され、
前記規制力制御手段は、前記カバーの回動軸に設けられた偏心カムを有し、
前記カバーの動作と同期する前記偏心カムの動作によって前記規制力を変化させることを特徴とする測定用ソケット。
【請求項11】
電子光学部品を測定対象とする測定用ソケットであって、
前記電子光学部品を収容する凹部を有するベースと、
前記電子光学部品を基準壁に押し当てるための押圧部材と、
前記押圧部材を前記基準壁の方向に付勢する付勢手段と、
前記ベースに被せられるカバーの動作に基づき前記付勢手段の付勢力に打ち勝つ規制力を前記付勢手段に付与可能な規制部材と、
を備え、
前記カバーが開くことで前記規制部材によって前記規制力が前記付勢手段に与えられて前記押圧部材を前記基準壁から離す方向に移動させ、
前記カバーが閉じる動作に応じて前記規制力が減衰されて、前記付勢手段の付勢力によって前記押圧部材を前記基準壁に近づく方向に移動させ、
前記カバーと前記ベースとの相対距離と前記規制力の程度との関連性を設定する規制力制御手段を備え、
前記ベースと前記カバーとの間に設けられ前記ベースに対して回動可能に支持されたセンターカバーをさらに備え、
前記規制力制御手段は、前記センターカバーの回動軸に設けられた偏心カムを有し、
前記センターカバーの動作と同期する前記偏心カムの動作によって前記規制力を変化させることを特徴とする測定用ソケット。