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特開2022-30758協業可能性評価方法、協業可能性評価装置、及び協業可能性評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030758
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】協業可能性評価方法、協業可能性評価装置、及び協業可能性評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220210BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20220210BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020134976
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】508267336
【氏名又は名称】株式会社地域未来研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520300057
【氏名又は名称】データバイザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】田名部 淳
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049AA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体における協業可能性を評価することができる協業可能性評価方法、協業可能性評価装置及び協業可能性評価プログラムの提供する。
【解決手段】輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する方法であって、所定の期間における、複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績及び複数の事業主体間の実績関係に基づき、複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価工程、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する方法であって、
所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価工程、
を含むことを特徴とする協業可能性評価方法。
【請求項2】
前記関係性評価工程が、
前記所定の期間における、
前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績から導出した、
走行距離の価値評価μ、代替輸送の優位性、及び、前記複数の事業主体における
それぞれの市場シェアと、
前記複数の事業主体間の実績関係
とに基づき、前記複数の事業主体間の関係性評価値を導出して、前記複数の事業主体間の関係性を評価する、請求項1に記載の協業可能性評価方法。
【請求項3】
前記関係性評価工程において評価した前記複数の事業主体間の関係性に基づき、前記複数の事業主体間の関係性改善を推定する関係性改善推定工程
を含む、請求項1から2のいずれかに記載の協業可能性評価方法。
【請求項4】
前記関係性改善推定工程が、
前記関係性評価工程において導出した、前記複数の事業主体間の関係性評価値と、
前記所定の期間における、前記複数の事業主体間の仮想実績関係に基づき導出した、
前記複数の事業主体間の関係性仮想評価値との差分(関係性仮想評価値-関係性評価値)に基づき、前記複数の事業主体間の関係性改善を推定する、請求項3に記載の協業可能性評価方法。
【請求項5】
前記関係性改善推定工程が、
前記複数の事業主体における、一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体を提示する、請求項3から4のいずれかに記載の協業可能性評価方法。
【請求項6】
前記関係性改善推定工程が、
前記複数の事業主体における、一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体を関係性改善効果が高いと推定した順に複数提示する、請求項5に記載の協業可能性評価方法。
【請求項7】
輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する装置であって、
所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価部、
を有することを特徴とする協業可能性評価装置。
【請求項8】
輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する協業可能性評価プログラムであって、
所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価処理
をコンピュータに行わせることを特徴とする協業可能性評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、協業可能性評価方法、協業可能性評価装置、及び協業可能性評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、場所、乗り物、もの、人、お金、時間等の遊休資産をインターネット上のプラットホームを介して個人間・企業間で売買、交換することで共同利用(共用)するシェアリングエコノミー(Sharing economy;共有経済)が注目されている。
その一例として、シェアリングエコノミーを活用することにより、物流業界の生産性向上を図ることが挙げられる。例えば、幹線・長距離輸送は国内の物流の約2/3を占めているが、低生産性、ドライバー不足等の点から経営環境が一段と厳しくなっており、その生産性向上策は喫緊の課題である。そこで、前記課題解決手段の一つとして、トレーラやコンテナ・シャーシを多くのサービス提供者群(陸運・海運)で共用化する施策が有効であると考えられる。
【0003】
前記物流業界における共用化施策の実現に向けては、(1)個々のサービス提供者群が検討する範囲(サービサーの検討範囲)と、(2)シェアリングエコノミー推進団体が検討する範囲とがあり、これらについては、既に検討や具体的な試行・実運用が開始されている状況にある。
一方、シェアリングエコノミーにとって最も重要な「シェアリングエコノミー推進団体の参加者の利害関係を調整する機構」(例えば、「企業間取引(B2B)シェアリングエコノミー基盤」など)の検討については殆ど進んでおらず、未だ手探りの状態であるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体における協業可能性を評価することができる協業可能性評価方法、協業可能性評価装置、及び協業可能性評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する方法であって、
所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価工程、
を含むことを特徴とする協業可能性評価方法である。
<2> 前記関係性評価工程が、
前記所定の期間における、
前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績から導出した、
走行距離の価値評価μ、代替輸送の優位性、及び、前記複数の事業主体における
それぞれの市場シェアと、
前記複数の事業主体間の実績関係
とに基づき、前記複数の事業主体間の関係性評価値を導出して、前記複数の事業主体間の関係性を評価する、前記<1>に記載の協業可能性評価方法である。
<3> 前記関係性評価工程において評価した前記複数の事業主体間の関係性に基づき、前記複数の事業主体間の関係性改善を推定する関係性改善推定工程
を含む、前記<1>から<2>のいずれかに記載の協業可能性評価方法である。
<4> 前記関係性改善推定工程が、
前記関係性評価工程において導出した、前記複数の事業主体間の関係性評価値と、
前記所定の期間における、前記複数の事業主体間の仮想実績関係に基づき導出した、
前記複数の事業主体間の関係性仮想評価値との差分(関係性仮想評価値-関係性評価値)に基づき、前記複数の事業主体間の関係性改善を推定する、前記<3>に記載の協業可能性評価方法である。
<5> 前記関係性改善推定工程が、
前記複数の事業主体における、一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体を提示する、前記<3>から<4>のいずれかに記載の協業可能性評価方法である。
<6> 前記関係性改善推定工程が、
前記複数の事業主体における、一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体を関係性改善効果が高いと推定した順に複数提示する、前記<5>に記載の協業可能性評価方法である。
<7> 輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する装置であって、
所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価部、
を有することを特徴とする協業可能性評価装置である。
<8> 輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する協業可能性評価プログラムであって、
所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価処理
をコンピュータに行わせることを特徴とする協業可能性評価プログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体における協業可能性を評価することができる協業可能性評価方法、協業可能性評価装置、及び協業可能性評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の協業可能性評価装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の協業可能性評価装置の機能構成の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の協業可能性評価方法によって複数の事業主体における協業可能性を評価する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施例1における地域圏内(大阪)の走行経路の一例を示す概略図である。
図5図5は、実施例1における期間φ0で企拠X-Y間の関係性が「1」又は「8」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図6図6は、実施例1における期間φ1で企拠X-Y間の関係性が「8」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図7図7は、実施例1における期間φ1で企拠X-Y間の関係性が「1」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図8図8は、実施例2における幹線・長距離(福岡-大阪)の走行経路の一例を示す概略図である。
図9図9は、実施例2におけるケースIの陸運⇒陸運パターンの期間φ1において企拠X-Z間の関係性が「1」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図10図10は、実施例2におけるケースIの海運⇒陸運パターンの期間φ1において企拠X-Z間の関係性が「1」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図11図11は、実施例2におけるケースIの海運⇒海運パターンの期間φ1において企拠X-Z間の関係性が「1」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図12図12は、実施例2におけるケースIIの陸運⇒Cパターンの期間φ1において企拠X-Z間の関係性が「8」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
図13図13は、実施例2におけるケースIIの海運⇒Cパターンの期間φ1において企拠X-Z間の関係性が「8」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(協業可能性評価方法及び協業可能性評価装置)
本発明の協業可能性評価方法は、輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する方法であって、関係性評価工程を含み、関係性改善推定工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
【0009】
本発明の協業可能性評価装置は、輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する装置であって、関係性評価部を有し、関係性改善推定部を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の部を有する。
【0010】
本発明の協業可能性評価方法は、本発明の協業可能性評価装置により好適に実施することができ、関係性評価工程は関係性評価部により行うことができ、関係性改善推定工程は関係性改善推定部により行うことができ、その他の工程はその他の部により行うことができる。
【0011】
本発明の協業可能性評価方法及び本発明の協業可能性評価装置によると、輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価することができる。
【0012】
前記輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域としては、例えば、(1)輸送対象の発地及び着地の双方を含む地域と、(2)輸送対象の発地及び着地のいずれかを含む地域とがある。
前記(1)の地域としては、地域圏内(例えば、東京、大阪、福岡、北海道など)が挙げられる。
前記(2)の地域としては、幹線・長距離(例えば、福岡-大阪、東京-福岡、北海道-東京、北海道-大阪など)が挙げられる。
【0013】
前記「発地」とは、走行経路における出発地点を意味する。
前記「着地」とは、走行経路における到着地点を意味する。
前記「走行経路」とは、出発地点から到着地点までの「道すじ」を意味し、「走行ルート」ともいう。
前記発地及び着地における「地点」としては、例えば、緯度経度の座標軸上で示される点としてもよく、住所や地域の名称などの範囲としてもよい。
【0014】
前記「輸送」には、「陸運」、「海運」、「空運」があり、国内の物流においては「陸運」と「海運」が大部分を占めている。
前記「陸運」とは、トラック、貨物列車等の「陸上の貨車を用いる輸送」を意味し、取り扱う輸送対象の範囲が広いことが特徴である。
前記「海運」とは、船、タンカー、フェリー、RORO船等の「海上の船舶を用いる輸送」を意味し、輸送に時間がかかるものの大量の貨物を輸送できるため、陸運や空運と比べて「コストが低い」という特徴がある。
前記「空運」とは、「航空機を使った輸送」を意味し、大量輸送や重量品輸送には向かないものの、小型で軽量な高付加価値商品(電子製品等)や緊急性の高い荷物を輸送する手段として有効である。
【0015】
<関係性評価工程及び関係性評価部>
前記関係性評価工程は、所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する工程であり、関係性評価部により実施される。
前記関係性評価工程は、前記所定の期間における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績から導出した、走行距離の価値評価μ、代替輸送の優位性、及び、前記複数の事業主体におけるそれぞれの市場シェアと、前記複数の事業主体間の実績関係とに基づき、前記複数の事業主体間の関係性評価値を導出して、前記複数の事業主体間の関係性を評価することが好ましい。
【0016】
<<所定の期間(φt)>>
所定の期間(φt)とは、初期φ0から一定の期間を経過した過去の期間を意味し、例えば、初期φ0から1週間、初期φ0から1ヶ月、初期φ0から3ヶ月、初期φ0から6ヶ月、初期φ0から1年間などが挙げられる。
前記所定の期間(φt)が短すぎると、協業可能性の評価が適切に行えなくなる場合がある。一方、前記所定の期間(φt)が長すぎると、協業可能性の評価に手間、時間、及びコストがかかってしまうことがある。
【0017】
<<複数の事業主体>>
複数の事業主体としては、地域圏内又は幹線・長距離において協業する可能性のある複数の企業を含み、当該企業の複数の拠点(事業所)も含まれる。本発明においては、企業と拠点を合わせて「企拠」と称することがある。
国内の物流においては、「幹線・長距離」と「地域圏内」とに大別するのが通例である。このため、本発明においても「幹線・長距離」と「地域圏内」に分けて説明する。
前記「企業」としては、例えば、地域圏内「大阪」におけるX社、Y社、Z社などが挙げられる。
前記「拠点」としては、例えば、地域圏内「大阪」の企業XにおけるX1(枚方事業所)、X2(岸和田事業所)、X3(八尾事業所)などが挙げられる。
【0018】
<<協業可能性>>
協業可能性とは、複数の事業主体間において「輸送対象」、「輸送手段」、「人員」、「設備」などの代替(シェアリング)可能性を意味する。
【0019】
前記「輸送対象」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、荷物、コンテナなどが挙げられる。前記荷物としては、例えば、一般品(1個口:20kg未満)、大型一般品(1個口:20kg以上)、冷蔵・冷凍品、生鮮品、雑誌、カタログ、DM、信書、貴重品、家具、家電、自転車、精密機械、美術品などが挙げられる。
前記「輸送手段」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラック、トレーラ、コンテナ・シャーシ、搬送台車、貨物列車、天井クレーン、機関車、船舶、フェリーなどが挙げられる。
前記「人員」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライバー、事務員、運行管理者などが挙げられる。
前記「設備」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、企業や事業所の建物、輸送管理システムなどが挙げられる。
【0020】
<<輸送実績>>
輸送実績としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「実務的重点度」、「実車走行距離」、「空車走行距離」などが含まれる。
【0021】
-実務的重点度-
「実務的重点度」とは、各企拠が地域圏内又は幹線・長距離における事業の本気度を1~100の値で表した指標である。主要な企拠の実務的重点度は予めデータベースに登録されている。
地域圏内の場合には、拠点を設置することから、事業の本気度は、通常、40以上である。
幹線・長距離の場合には、地域圏内の事業との関係等に影響されるが、本発明においては本気で対抗した場合を評価することから、事業の本気度は、通常、70以上である。
【0022】
-実車走行距離-
「実車走行距離」とは、発地から着地までの走行経路で輸送対象(例えば、荷物)を運搬する走行距離である。主要な走行経路の発地と着地間の走行距離は予めデータベースに登録されている。
【0023】
-空車走行距離-
「空車走行距離」とは、実車走行前後の企拠の拠点と発地及び着地間の輸送対象(例えば、荷物)を運搬しない走行距離である。主要な企拠の拠点と発地と着地間の走行距離は予めデータベースに登録されている。
【0024】
<<複数の事業主体間の実績関係>>
「複数の事業主体間の実績関係」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数の事業主体間の関係性などが挙げられる。
前記複数の事業主体間の関係性は、複数の各企拠間の関係性の濃淡を表し、各企拠の折衝・交渉実績などに基づいて決められる。
前記複数企拠間の関係性の濃淡は、下記の表Aに示す関係性値で表され、予めデータベースに登録されている。前記関係性値は、初期及び定期的(例えば、半年程度)な見直し時に、登録・変更される。また、企拠間の折衝・交渉等によって関係性の濃淡が変化した場合には、適宜当該データベースを更新する。初期の関係性値のディフォルト値は「5」とする。関係性値が「9」に近づくほど関係性が濃くなり、関係性値が「0」に近づくほど関係性が薄くなる。関係性値が「0」の場合は、絶対的競合相手となる。
【0025】
【表A】
【0026】
前記関係性値は、各企拠同士の関係性の濃淡を各企拠の意向として登録する。同一の企拠同士であっても、幹線・長距離と地域圏内の関係性の濃淡は異なる可能性が高いので、別々に登録する。
ここで、下記の表Bに各企拠同士の関係性の濃淡の一例を示す。この表Bでは、対角線の左下半分が幹線・長距離の分を、右上半分が地域圏内の分を表している。
【0027】
【表B】
【0028】
<<複数の事業主体間の関係性の評価(複数の事業主体間の関係性評価値)>>
現在の価値の測定(Measurement)において、「走行距離の価値評価μ」、「代替の優位性評価」、「シェアリングエコノミー推進団体の総距離」、「市場シェア」などから、複数の事業主体間の関係性を評価し、「関係性評価値」を導出する。
なお、地域圏内の企拠間では、上記のとおり行うが、長距離・幹線の企拠間では、更に「モーダルシフトの最適性」を加えて、複数の事業主体間の関係性を評価し、「関係性評価値」を導出する。
【0029】
-走行距離の価値評価μ-
シェアリングエコノミーにおける複数の評価手法の中から、最も単純かつ明確な評価手法として、「走行距離の価値評価μ」を選択し、協業可能性の評価に用いた。
シェアリングエコノミーにおける評価手法には様々なものがあり、上記「走行距離の価値評価μ」以外の評価手法としては、例えば、ドライバーの勤務時間の長短、渋滞の少ない走行経路の選択、企拠におけるトレーラ・シャーシの保有数などが挙げられる。
【0030】
前記「走行距離の価値評価μ」は、例えば、以下のように定義することができる。
地域圏内では、「走行距離の価値評価」は、次式、「走行距離の価値評価μ」=(実車走行距離)+(空車走行距離)×(-0.5)、で定義することができる。地域圏内では空車走行距離を最小にすることが最適となる。
幹線・長距離では、「走行距離の価値評価」は、次式、「走行距離の価値評価μ」=[実車走行(陸運+海運×2)距離]+[空車走行(陸運+(海運×2))距離]×(-0.3)、で定義することができる。幹線・長距離では、空車走行距離を最小にすること、及びモーダルシフトを促進することが最適となる。
【0031】
以下、「走行距離の価値評価μ」の求め方についての具体例を示す。
--幹線・長距離の場合--
(1)福岡と東京間の走行距離:陸運1,000km
(2)福岡と東京間の走行距離:陸運100km+海運800km+陸運200km
【0032】
---実車走行---
(1)陸運では、走行距離の価値評価=1,000となる。
(2)陸運及海運では、モーダルシフト促進のため、海運を重点評価するので、走行距離の価値評価=100+(800×2)+200=1,900となる。
【0033】
---空車走行---
(1)陸運では、走行距離の価値評価=1,000×(-0.3)=-300となる。
(2)陸運及海運では、走行距離の価値評価=[100+(800×2)+200]×(-0.3)=-570となる。
【0034】
--地域圏内の場合--
発地と着地間の走行距離:200km
空車走行距離150km+実車走行距離200kmの場合
走行距離の価値評価=150×(-0.5)+200=125となる。
【0035】
-モーダルシフトの最適性-
「モーダルシフトの最適性」については、モーダルシフト可能な範囲において、実車時・空車時の最適な組み合わせを選択する。シェアリングエコノミーにおける評価手法が「走行距離の価値評価μ」の場合には、組み合わせの走行距離の価値評価の合計(社会的な価値)が大きいものが優位となる。
前記「モーダルシフト」とは、貨物や旅客の輸送手段の転換を図り、二酸化炭素(CO)の排出量を削減することを主目的とする。貨物輸送におけるモーダルシフトは、貨物トラックによる輸送を内航船輸送や鉄道輸送に切り替えることを意味する。
【0036】
-代替の優位性評価-
「代替の優位性評価」では、シェアリング可能な場合の最優位な組み合わせを選択する。シェアリングエコノミーにおける評価手法が「走行距離の価値評価μ」の場合には、組み合わせる「走行距離の価値評価」の合計(社会的な価値)が大きいものが優位になる。
【0037】
-シェアリングエコノミー推進団体の総距離-
「シェアリングエコノミー推進団体の総距離」は、所定の期間において、シェアリングエコノミー推進団体の地域圏内又は長距離・幹線の全企拠が保有する輸送手段(例えば、トレーラ)の全台数の「走行距離の価値評価」の合計である。即ち、当該地域圏内又は長距離・幹線を走行するシェアリングエコノミー推進団体を市場と見做した場合における各企拠の「走行距離の価値評価μ」に基づくシェア算出の合計である。
【0038】
-複数の事業主体におけるそれぞれの市場シェア-
「市場シェア」とは、シェアリングエコノミー推進団体の総距離に対する各企拠の保有する輸送手段(例えば、トレーラ)の全台数の「走行距離の価値評価μ」の合計を元に算定するシェアを意味する。
【0039】
前記関係性評価工程は、所定の期間における、複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績から導出した、「走行距離の価値評価μ」、「代替輸送の優位性」、「複数の事業主体におけるそれぞれの市場シェア」、及び「複数の事業主体間の実績関係」、更に必要に応じて「モーダルシフトの最適性」に基づき、前記複数の事業主体間の関係性評価値を導出して、前記複数の事業主体間の関係性を評価することが好ましい。
【0040】
-複数の事業主体間の関係性評価値-
関係性評価値は、シェアリングエコノミー推進団体の総距離に対する初期後に登録される企拠間の地域圏内における関係性値、及び全企拠が保有する輸送手段(例えば、トレーラ)の全台数の「走行距離の価値評価」の合計の積の平方根である。
複数の事業主体間の関係性評価値によって、各企拠間の関係性の濃淡と各企拠の「走行距離の価値評価」のポテンシャルの相乗効果を図ることができる。
【0041】
<関係性改善推定工程及び関係性改善推定部>
前記関係性改善推定工程は、前記関係性評価工程において評価した前記複数の事業主体間の関係性に基づき、前記複数の事業主体間の関係性改善を推定(Simulation)する工程であり、関係性改善推定部により実施される。
前記関係性改善推定工程の推定結果に基づく協業可能性評価は、「予想外の協業可能性」である。前記「予想外の協業可能性」とは、当業者であっても容易に予想できないレベルの協業可能性が実現できることを意味する。これによって、今後の関係性改善効果が見込まれる企業(未だ関係改善関係に至っていない企業)を選別することができる。例えば、既に一の事業主体と他の事業主体との関係性が濃くなった場合(関係性値が「8」以上)、及び一の事業主体と他の事業主体とが関係性が薄い場合(関係性値が「0」)には、関係性改善候補とはなりえないので、これらの事業主体は関係性改善候補から必然的に除外する。
【0042】
前記関係性改善推定工程は、前記関係性評価工程において導出した、前記複数の事業主体間の関係性評価値と、前記所定の期間における、前記複数の事業主体間の仮想実績関係に基づき導出した、前記複数の事業主体間の関係性仮想評価値との差分(「関係性仮想評価値」-「関係性評価値」)に基づき、前記複数の事業主体間の関係性改善を推定することが好ましい。
【0043】
-仮想実績関係-
仮想実績とは、一の事業主体と他の事業主体とが関係性が薄い絶対的競合相手を除き、関係性が濃くなったとの仮定の下での実績を意味する。
上記関係性改善推定工程における差分(「関係性仮想評価値」-「関係性評価値」)に基づく協業可能性評価は、上述したとおり予想外の協業可能性を実現できる。
【0044】
記関係性改善推定工程が、前記複数の事業主体における、一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体(関係性改善候補)を提示(Promotion)することが好ましい。
前記関係性改善効果が高いことは、差分(「関係性仮想評価値」-「関係性評価値」)が大きいことによって判断することができる。
一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体(関係性改善候補)を一社でも提示可であり、ベスト1でなくても可能である。
他の事業主体(関係性改善候補)の提示方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスプレイ表示、メールで送信、プリントアウトなどが挙げられる。
【0045】
前記関係性改善推定工程が、前記複数の事業主体における、一の事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した他の事業主体(関係性改善候補)を関係性改善効果が高いと推定した順に複数提示する態様である。
関係性改善効果が高いと推定した順に複数提示するとは、例えば、関係性改善効果が高い順に関係性改善候補のベスト5を提示することなどが挙げられる。
【0046】
<その他の工程及びその他の部>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信工程、入力工程などが挙げられる。
前記その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通信部、入力部などが挙げられる。
【0047】
前記通信部としては、複数の事業主体間などと通信可能なものであれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、送受信機、情報通信ネットワーク、インターネットなどが挙げられる。
【0048】
前記入力部としては、協業可能性評価装置に対する各種要求を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。
【0049】
(協業可能性評価プログラム)
本発明の協業可能性評価プログラムは、輸送対象の発地及び着地の少なくともいずれかを含む地域で輸送を行う複数の事業主体の協業可能性を評価する協業可能性評価プログラムであって、所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する関係性評価処理をコンピュータに行わせる。
【0050】
本発明の協業可能性評価プログラムは、例えば、本発明の協業可能性評価方法をコンピュータに実行させるプログラムとすることができる。また、本発明の協業可能性評価プログラムにおける好適な態様は、例えば、本発明の協業可能性評価方法における好適な態様と同様にすることができる。
【0051】
本発明の協業可能性評価プログラムは、使用するコンピュータシステムの構成及びオペレーティングシステムの種類・バージョンなどに応じて、公知の各種のプログラム言語を用いて作成することができる。
【0052】
本発明の協業可能性評価プログラムは、内蔵ハードディスク、外付けハードディスクなどの記録媒体に記録しておいてもよいし、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどの記録媒体に記録しておいてもよい。
更に、本発明の協業可能性評価プログラムを、上記の記録媒体に記録する場合には、必要に応じて、コンピュータシステムが有する記録媒体読取装置を通じて、これを直接又はハードディスクにインストールして使用することができる。また、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータなど)に本発明の協業可能性評価プログラムを記録しておいてもよい。この場合、外部記憶領域に記録された本発明の協業可能性評価プログラムは、必要に応じて、外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用することができる。
なお、本発明の協業可能性評価プログラムは、複数の記録媒体に、任意の処理毎に分割されて記録されていてもよい。
【0053】
<コンピュータが読み取り可能な記録媒体>
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の協業可能性評価プログラムを記録してなる。
本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
また、本発明に関するコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、本発明の協業可能性評価プログラムが任意の処理毎に分割されて記録された複数の記録媒体であってもよい。
【0054】
以下では、装置の構成例やフローチャートなどを用いて、本発明で開示する技術の一例を更に詳細に説明する。
図1に、本発明の協業可能性評価装置のハードウェア構成例を示す。
協業可能性評価装置100においては、例えば、制御部101、主記憶装置102、補助記憶装置103、I/Oインターフェイス104、通信インターフェイス105、入力装置106、出力装置107、表示装置108が、システムバス109を介して接続されている。
【0055】
制御部101は、演算(四則演算、比較演算等)、ハードウェア及びソフトウェアの動作制御などを行う。制御部101としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、協業可能性評価方法に用いるマシンの一部であってもよく、これらの組み合わせでもよい。
制御部101は、例えば、主記憶装置102などに読み込まれたプログラム(例えば、本発明の協業可能性評価プログラムなど)を実行することにより、種々の機能を実現する。
本発明の協業可能性評価装置における関係性評価部が行う処理は、例えば、制御部101により行うことができる。
【0056】
主記憶装置102は、各種プログラムを記憶するとともに、各種プログラムを実行するために必要なデータ等を記憶する。主記憶装置102としては、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)の少なくともいずれかを有するものを用いることができる。
ROMは、例えば、BIOS(Basic Input/Output System)などの各種プログラムなどを記憶する。また、ROMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)などが挙げられる。
RAMは、例えば、ROMや補助記憶装置103などに記憶された各種プログラムが、制御部101により実行される際に展開される作業範囲として機能する。RAMとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
【0057】
補助記憶装置103としては、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。また、補助記憶装置103は、CDドライブ、DVDドライブ、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置としてもよい。
また、本発明の協業可能性評価プログラムは、例えば、補助記憶装置103に格納され、主記憶装置102のRAM(主メモリ)にロードされ、制御部101により実行される。
【0058】
I/Oインターフェイス104は、各種の外部装置を接続するためのインターフェイスである。I/Oインターフェイス104は、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk ROM)、MOディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ〔USB(Universal Serial Bus) flash drive〕などのデータの入出力を可能にする。
【0059】
通信インターフェイス105としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、無線又は有線を用いた通信デバイスなどが挙げられる。
【0060】
入力装置106としては、協業可能性評価装置100に対する各種要求や情報の入力を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。また、入力装置106がタッチパネル(タッチディスプレイ)である場合は、入力装置106が表示装置108を兼ねることができる。
【0061】
出力装置107としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、プリンタなどが挙げられる。
表示装置108としては、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが挙げられる。
【0062】
図2に、本発明の協業可能性評価装置の機能構成例を示す。
図2に示すように、協業可能性評価装置100は、通信機能部120と、入力機能部130と、出力機能部140と、表示機能部150と、記憶機能部160と、制御機能部170とを備える。
【0063】
通信機能部120は、例えば、各種のデータを外部の装置と送受信する。通信機能部120は、例えば、外部の装置から、企拠属性データ、走行実績データ等のデータを受信してもよい。
入力機能部130は、例えば、協業可能性評価装置100に対する各種指示を受け付ける。また、入力機能部130は、例えば、協業可能性を評価する対象となる事業主体、走行経路等の情報を受け付ける。
出力機能部140は、例えば、協業可能性が高いと評価した企拠(関係性改善候補)をプリントアウトする。
表示機能部150は、例えば、協業可能性が高いと評価した企拠(関係性改善候補)をディスプレイに表示する。
【0064】
記憶機能部160は、例えば、各種プログラムを記憶すると共に、企拠属性DB161と、走行実績DB162とを有する。
【0065】
ここで、表Cは、企拠属性DB161が有する企拠属性データのデータ構成を示し、データ項目として「企業名」、「拠点」、「企拠No.」、「トレーラ保有数」、「幹線・長距離での実務的重点度」、及び「地域圏内での実務的重点度」を含み、その他のデータ項目を含むようにしてもよい。
【0066】
【表C】
【0067】
前記「企業名」としては、例えば、X陸運、Y陸運、Z陸運などが挙げられる。
前記「拠点」としては、例えば、福岡、大阪、東京、札幌などが挙げられる。
前記「企拠No.」は、企拠を識別するために企拠ごとを割り付けた番号である。
前記「トレーラ保有数」は、トレーラを保有している場合にはその詳細情報と共に、トレーラを特定する情報を登録する。この情報は初期及び定期的な見直し時に、登録・変更する。
【0068】
前記「幹線・長距離での実務的重点度」は、下記の基準で評価した事業の本気度を表す値である。
【0069】
前記「地域圏内での実務的重点度」は、下記の基準で評価した事業の本気度を表す値である。
【0070】
なお、その他のデータ項目としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「複数の企拠間の関係性値」、「ドライバーの勤務時間」、「渋滞の少ない走行経路の選択」などが挙げられる。
【0071】
また、表Dは、走行実績DB162が有する走行実績データのデータ構成を示し、データ項目として「実績データNo.」、「企拠No.」、「走行日時」、「走行経路」、「走行距離」、及び「実車/空車の区分」を含み、その他のデータ項目を含むようにしてもよい。
表Dに示す走行実績データは、例えば、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダ、ETC(Electronic Toll Collection System)2.0におけるETC車載器などにより取得することができる。なお、RORO船を利用するトレーラの情報については、バッテリーなしでブルートゥース(登録商標)信号を発するIoT機器「ビーコン」をトレーラに貼付し、スマートフォンなどでその信号を受信しトレーラを識別する手法により取得することができる。
【0072】
【表D】
【0073】
前記「実績データNo.」のデータ項目は、走行実績データを識別するための番号である。
前記「企拠No.」は、企拠を識別するために企拠ごとを割り付けた番号である。
前記「走行日時」は、走行実績データを取得した日時(時刻)であり、デジタルタコグラフ等により取得される。
前記「走行経路」は、出発地点から到着地点までの「道すじ」を意味し、「走行ルート」ともいう。
前記「走行距離」は、車両が実際に走行した距離である。
前記「実車/空車の区分」は、実車走行か空車走行であるかの区別である。
なお、その他のデータ項目としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トラック車両を識別できる「車両ID」、所定時間毎のトラックの「走行速度」などが挙げられる。
【0074】
制御機能部170は、関係性評価部171と関係性改善推定部172とを有する。制御機能部170は、例えば、記憶機能部160に記憶された各種プログラムを実行するとともに、協業可能性評価装置100全体の動作を制御する。
関係性評価部171は、例えば、所定の期間(φt)における、前記複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び前記複数の事業主体間の実績関係に基づき、前記複数の事業主体間の関係性を評価する処理を行う。
関係性改善推定部172は、例えば、前記関係性評価部において評価した複数の事業主体間の関係性に基づき、複数の事業主体間の関係性改善を推定する処理を行う。
【0075】
ここで、図3は、本発明の協業可能性評価方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図2を参照して、協業可能性評価の処理の流れについて説明する。
【0076】
ステップS101では、協業可能性評価装置100における制御機能部170は、協業可能性を評価する対象となる事業主体、走行経路等の情報を受け付けると、処理をS102に移行する。
【0077】
ステップS102では、協業可能性評価装置100における関係性評価部171は、所定期間における、複数の事業主体におけるそれぞれの輸送実績、及び複数の事業主体間の実績関係に基づき、複数の事業主体間の関係性を評価すると、処理をS103に移行する。
【0078】
ステップS103では、協業可能性評価装置100における関係性改善推定部172は、ステップ102において評価した前記複数の事業主体間の関係性に基づき、複数の事業主体間の関係性改善を推定すると、処理をS104に移行する。
【0079】
ステップS104では、協業可能性評価装置100における表示機能部150は、協業可能性を評価する対象となる事業主体に対し、関係性改善効果が高いと推定した事業主体を提示すると、本処理を終了する。
【0080】
(実施形態)
以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0081】
まず、実施形態及び実施例で用いる記号の定義について、下記表Eに示す。
【0082】
【表E】
【0083】
次に、本発明の協業可能性評価方法における協業可能性評価の処理の流れとしては、以下に示すように、「Measurement」、「Simulation」、及び「Promotion」を、所定の期間(例えば、半年)で繰り返し、複数の事業主体の協業可能性の評価を行う。
【0084】
<Measurement>
前記「Measurement」は、シェアリングエコノミーの視点での現在価値の測定である。
まず、前記「Measurement」で用いる係数について、以下のとおり定義する。
【0085】
<幹線・長距離における各企拠の実務的重点度(κ)>
幹線・長距離における各企拠の実務的重点度は、各企拠の当該幹線・長距離における事業の本気度を下記の基準に基づき、1~100の値で登録する。なお、本発明においては、本気で対抗した場合を評価する点から、通常、事業の本気度は70以上となる。
【0086】
<地域圏内における各企拠の実務的重点度(λ)>
地域圏内における各企拠の実務的重点度は、各企拠の地域圏内における事業の本気度を下記の基準に基づき、1~100の値で登録する。なお、本発明においては、企拠を設置することから、通常、事業の本気度は40以上となる。
【0087】
<幹線・長距離における各企拠間の関係性(π)>
幹線・長距離における各企拠間の関係性は、各企拠間の関係性の濃淡に応じて、上記表Aの関係性値を参照し、以下の基準で評価し、重みづけする。
【0088】
<地域圏内における各企拠間の関係性(ρ)>
地域圏内における各企拠間の関係性は、各企拠間の関係性の濃淡に応じて、上記表Aの関係性値を参照し、以下の基準で評価し、重みづけする。
【0089】
次に、各企拠について、以下の4つの視点(α、β、γ、δ)で現在価値を求める。これらは、所定の期間(φt)における運行(配車)実績に基づき求めることができる。なお、トレーラ管理においては、走行距離、走行日時、走行経路、実車/空車の区分などが正確に把握されている。本発明においては、シェアリングエコノミー推進団体Sに登録した各企拠の全ての運行(配車)状況について管理されている上記情報を利用する。
【0090】
<幹線・長距離における企拠Xの単独評価(α)>
例えば、福岡発着の幹線・長距離の場合には、上記表C中の福岡発着の欄にマークのある企拠Xの実務的重点度を「κX」とすると、期間(φt)での幹線・長距離の企拠Xの単独評価αは、下記数式で表される。
αX福岡発着φ(t)=(κX×Σ×Σμ)/(Σκ×Σ×Σμ)
ただし、上記数式中、「κX」は企拠Xの実務的重点度を示す。「Σ」は企拠Xのトレーラ保有数の合計を示す。「Σμ」は期間φ(t)での企拠Xの走行距離の価値評価μの合計を示す。
上記数式中、「Σκ」は福岡発着の企拠数の合計を示す。「Σ」は福岡発着の全企拠のトレーラの保有数の合計を示す。「Σμ」は期間(φt)での福岡発着の全企拠の走行距離の価値評価μの合計を示す。
【0091】
<地域圏内における企拠Xの単独評価(β)>
例えば、福岡の地域圏内の場合、上記表C中の福岡の欄にマークのある当該企拠Xの実務的重点度を「λX」とすると、期間(φt)での地域圏内の企拠Xの単独評価βは、下記数式で表される。
βX福岡φ(t)=(λX×Σ×Σμ)/(Σλ×Σ×Σμ)
ただし、上記数式中、「λX」は企拠Xの実務的重点度を示す。「Σ」は企拠Xのトレーラ保有数の合計を示す。「Σμ」は期間φ(t)での企拠Xの走行距離の価値評価μの合計を示す。
上記数式中、「Σλ」は福岡の企拠数の合計を示す。「Σ」は福岡の全企拠のトレーラの保有数の合計を示す。「Σμ」は期間(φt)での福岡の全企拠の走行距離の価値評価μの合計を示す。
【0092】
<幹線・長距離における企拠X-Y間の関係性評価値(γ)>
例えば、福岡と大阪間の幹線・長距離の場合、上記表C中の福岡の欄にマークのある当該企拠Xの実務的重点度を「κX」とし、上記表C中の大阪の欄にマークのある当該企業Yの実務的重点度を「κY」とし、企拠X-Y間の関係性を「πXY」とすると、期間(φt)での幹線・長距離(福岡-大阪)の企拠X-Y間の関係性評価値(γ)は、下記数式で表される。
γX福岡⇔Y大阪φ(t)=[πXY×(κX×Σ×Σμ)×(κY×Σ×Σμ)]1/2/(Σκ×Σ×Σμ)
ただし、上記数式中、「πXY」は企拠X-Y間の関係性を示す。「κX」は企拠Xの実務的重点度を示す。「Σ」は企拠Xのトレーラ保有数の合計を示す。「Σμ」は期間φ(t)での企拠Xの走行距離の価値評価μの合計を示す。
上記数式中、「κY」は企拠Yの実務的重点度を示す。「Σ」は企拠Yのトレーラ保有数の合計を示す。「Σμ」は期間φ(t)での企拠Yの走行距離の価値評価μの合計を示す。
上記数式中、「Σκ」は福岡発着の企拠数の合計を示す。「Σ」は福岡発着の全企拠のトレーラの保有数の合計、「Σμ」は期間(φt)での福岡発着の全企拠の走行距離の価値評価μの合計を示す。
【0093】
<地域圏内における企拠X-Y間の関係性評価値(δ)>
例えば、福岡の地域圏内の場合、上記表C中の福岡の欄にマークのある当該企拠Xの実務的重点度を「κX」とし、上記表C中の福岡の欄にマークのある別の企拠Yの実務的重点度を「κY」とし、企拠X-Y間の関係性を「ρXY」とすると、期間(φt)での地域圏内の企拠X-Y間の関係性評価値(δ)は、下記数式で表される。
δX福岡⇔Y福岡φ(t)=[ρXY×(λX×Σ×Σμ)×(λY×Σ×Σμ)]1/2/(Σλ×Σ×Σμ)
ただし、上記数式中、「λX」は企拠Xの実務的重点度、「Σ」は企拠Xのトレーラ保有数、「Σμ」は期間φ(t)での企拠Xの走行距離の価値評価μの合計を示す。
上記数式中、「λY」は企拠Yの実務的重点度、「Σ」は企拠Yのトレーラ保有数、「Σμ」は期間φ(t)での企拠Xの走行距離の価値評価μの合計を示す。
「上記数式中、「Σλ」は福岡の企拠数の合計、「Σ」は福岡の全企拠のトレーラの保有数の合計、「Σμ」は期間(φt)での福岡の走行距離の価値評価μの合計を示す。
【0094】
<Simulation>
前記「Simulation」では、シェアリングエコノミーの効果及びポテンシャルの推定を以下に示すようにして行う。
上記「Measurement」で求めた、「幹線・長距離の企拠X-Y間の関係性評価値(γ)」及び「地域圏内の企拠X-Y間の関係性評価値(δ)」は、運行(配車)実績に基づく値である。
次に、「Simulation」では、「幹線・長距離の企拠X-Y間の関係性(π)」及び「地域圏内の企拠X-Y間の関係性(ρ)」を、「企拠X-Y間の関係性(π、ρ)が「0」(絶対的競合相手)のもの」を除き、関係性(π、ρ)を「1.0」と仮定した場合の効果の関係性推定値をそれぞれ幹線・長距離(θ)、地域圏内(ω)として算出する。更に、幹線・長距離における企拠X-Y間の関係性改善候補の集合をΘ、地域圏内における企拠X-Y間の関係性改善候補の集合をΩとして選び出す。なお、γ⇒θ⇒Θ、δ⇒ω⇒Ωという対応関係がある。
【0095】
以下に、地域圏内における企拠X-Y間の関係性改善推定値(ω)及び地域圏内における企拠X-Y間の関係性改善候補(Ω)の算出手順を示す。なお、ここでは、配車時に最適な走行経路を算出してマッチングした結果を用いる。
【0096】
<地域圏内における企拠X-Y間の関係性改善推定値(ω)>
例えば、大阪の地域圏内において、協業可能性を評価する対象である(上記表Cで大阪の欄にマークのある)企拠をXとし、その他の(上記表Cで大阪の欄にマークのある)企拠をY~Y999とする。
関係性を評価する対象が企拠Xであるため、企拠X-Y~X-Y999の全てについて、企拠間の関係性が「0」(絶対的競合相手)のものを除き、関係性(ρ)を1.0とすると、当該地域圏内(大阪)における企拠X-Y間の関係性推定値(ω)は、下記数式で表すことができる。
既に両者の関係性が濃くなった場合や両者の関係性が「0」(絶対的競合相手)の場合は、関係性改善候補とはなりえないので、必然的に除外する。
ωX⇔Ynnnφ(t)=[(λX×Σ×Σμ)×(λYnnn×Σ×Σμ)]1/2/(Σλ×Σ×Σμ)
【0097】
<地域圏内における企拠X-Y間の関係性改善候補(Ω)>
次に、上記数式から、ωX⇔Ynnnφ(t)を算出し、ωX⇔Ynnnφ(t)-δX⇔Ynnnφ(t)の値が大きいものから5個を抽出する。これを用いて、期間(φt)での地域圏内の企拠X-Y間の関係性改善候補(Ω)のベスト5は、下記数式で表される。
ΩX大阪φ(t)={ωX⇔Ym1φ(t)、ωX⇔Ym2φ(t)、ωX⇔Ym3φ(t)、ωX⇔Ym4φ(t)、ωX⇔Ym5φ(t)}
【0098】
<幹線・長距離の企拠X-Y間の関係性改善推定値(θ)>
例えば、大阪発着の幹線・長距離の場合には、協業可能性を評価する対象である企拠Xは上記表Cで大阪発着の欄にマークのあるものとし、その他の企拠としては上記表Cで大阪発着の欄にマークのある全ての企拠を対象として、上記地域圏内における企拠X-Y間の関係性改善候補Ωと同様に処理すると、幹線・長距離における企拠X-Y間の関係性推定値(θ)は、下記数式で表される。
θX⇔Ynnnφ(t)=[(κX×Σ×Σμ)×(κYnnn×Σ×Σμ)]1/2/(Σκ×Σ×Σμ)
【0099】
<幹線・長距離の企拠X-Y間の関係性改善候補(Θ)>
次に、上記数式から、期間(φt)での幹線・長距離の企拠X-Y間の関係性改善候補(Θ)のベスト5は、下記数式で表される。
ΘX大阪発着φ(t)={θX⇔Ym1φ(t)、θX⇔Ym2φ(t)、θX⇔Ym3φ(t)、θX⇔Ym4φ(t)、θX⇔Ym5φ(t)}
【0100】
<Promotion>
次に、協業可能性を評価する対象である地域圏内における企拠Xに対する関係性改善候補(Ω)のベスト5を下記表Fに提示する。なお、幹線・長距離の企拠X-Y間の関係性改善候補(Θ)のベスト5についても同様に提示することができる。
【0101】
【表F】
【0102】
提示方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスプレイ表示、メールで送信、プリントアウトなどが挙げられる。
【実施例0103】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0104】
(実施例1)
<地域圏内(大阪)の協業可能性の評価>
実施例1として、本発明の協業可能性評価方法及び協業可能性評価装置の一例を用いて、地域圏内(大阪)の協業可能性の評価を行った。実施例1では、図4に示す走行経路を用いて、図3のフローチャートに示した処理の流れに従って、地域圏内(大阪)における協業可能性の評価を行った。
【0105】
<前提条件>
図4に示すように、地域圏内(大阪)には、企拠X、企拠Y、企拠Zがあり、すべてここに重点を置き(実務的重点度(λ)=1.0)、単純化のため、企拠X、企拠Y、企拠Zは各々1台のトレーラを保有する。また、各企業の拠点(XX、YY、ZZ)はこの地域に1ヶ所ずつとする。なお、シェアリングエコノミー推進団体Sには3企拠(X、Y、Z)のみ参加していることとする。
図5は、実施例1における期間φ0で企拠X-Y間の関係性が「1」又は「8」の場合の具体的な走行の一例を示す概略図である。
実施例1においては、図6及び図7に示すように期間φ1における企拠X-Y間の関係性(ρ)が「1」及び「8」の場合について計算する。企拠Y-Z間の関係性(ρ)は「0」(絶対的競合相手)とし、連携はしない。
企拠X、企拠Y、企拠Zの荷主はA、B、Cで、期間φ1における荷物はそれぞれAA、BB、CCであり、図4に示す各々の走行経路(A、A、B、B、C、C)の実車走行距離(実走距離)は、下記の表1に示すように登録されている。
【0106】
【表1】
【0107】
また、企拠Xの拠点XX、企拠Yの拠点YY、企拠Zの拠点ZZから各走行経路の発地、着地までの空車走行距離(空走距離)は、下記の表2に示すように登録されている。
【0108】
【表2】
【0109】
<登録する値>
(A)実務的重点度(λ):λX、λY、λZ
実務的重点度(λ)は、各企業が当該地域圏内(大阪)における事業の本気度を1~100の値で、下記の基準により登録したものである。
【0110】
<<(A-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
本気度が40以上であるため、3企拠(X、Y、Z)とも、実務的重点度λX、λY、λZの計算結果は「1.0」である。
【0111】
<<(A-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃く、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
本気度が40以上であるため、3企拠(X、Y、Z)とも、実務的重点度λX、λY、λZの計算結果は「1.0」である
【0112】
(B)関係性(ρ):ρX-Yφ1、ρX-Zφ1、ρY-Zφ1
関係性(ρ)は、企拠間の関係性の濃淡を各企拠と折衝した結果を上記表Aに示す0~9から求め、下記基準に基づき関係性を登録する。
企拠X-Y間及び企拠X-Z間は共に初期φ0では「1」であったが、ΩXφ0が「Y、Z」の順であったので、企拠Xと企拠Yは折衝する。企拠Y-Z間の関係性は「0」(絶対的競合相手)である。
【0113】
<<(B-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
ρX-Yφ1:企拠Xと企拠Yの折衝の結果、関係性強化に至らず、関係性(ρ)の計算結果は「0.0」である。
ρX-Zφ1:企拠Xと企拠Zの間に関係性が変化する要因なしであるため、関係性(ρ)の計算結果は「0.0」である。
ρY-Zφ1:企拠Yと企拠Zの間に関係性が変化する要因なしであるため、関係性(ρ)の計算結果は「0.0」である。
【0114】
<<(B-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
ρX-Yφ1:企拠Xと企拠Yが折衝の結果、関係性が「8」になったので、関係性(ρ)の計算結果は「1.0」である。
ρX-Zφ1:企拠Xと企拠Zの間に関係性が変化する要因なしであるため、関係性(ρ)の計算結果は「0.0」である
ρY-Zφ1:企拠Yと企拠Zの間に関係性が変化する要因なしであるため、関係性(ρ)の計算結果は「0.0」である
【0115】
(C)実車走行距離:A、B、C
主要な走行経路の発地から着地までの実車走行距離(実走距離)は事前に、上記表1に示すように登録されている。
図4及び表1に示す走行経路Aの発地から着地までの実車走行距離
図4及び表1に示す走行経路Bの発地から着地までの実車走行距離
図4及び表1に示す走行経路Cの発地から着地までの実車走行距離
【0116】
<<(C-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
図7及び表1から、実車走行距離の計算結果は「180」である
図7及び表1から、実車走行距離の計算結果は「250」である
図7及び表1から、実車走行距離の計算結果は「250」である
【0117】
<<(C-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
図6及び表1から、実車走行距離の計算結果は「180」である
図6及び表1から、実車走行距離の計算結果は「250」である
図6及び表1から、実車走行距離の計算結果は「250」である
【0118】
(D)空車走行距離:「企拠Xが走行経路Aを輸送」、「企拠Xが走行経路Bを輸送」、「企拠Yが走行経路Bを輸送」、「企拠Yが走行経路Aを輸送」、「企拠Zが走行経路Cを輸送」
「空車走行距離」とは、実車走行前後の空車走行距離を意味する。
主要な拠点と発地・着地間の空車走行距離(空走距離)は事前に、上記表2に示すように登録されている。
【0119】
<<(D-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・企拠Xが走行経路Aを輸送:図7及び表2から、空車走行距離の計算結果は「10+50」である
・企拠Yが走行経路Bを輸送:図7及び表2から、空車走行距離の計算結果は「70+100」である
・企拠Zが走行経路Cを輸送:図7及び表2から、空車走行距離の計算結果は「60+30」である
【0120】
<<(D-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・企拠Xが走行経路Aを輸送:図6及び表2から、空車走行距離の計算結果は「10+50」である
・企拠Xが走行経路Bを輸送:ρX-Yφ1=1.0なので、企拠XがBを輸送し得るため、図6及び表2から、空車走行距離の計算結果は「80+30」である
・企拠Yが走行経路Bを輸送:図6及び表2から、計算結果は「70+100」である
・企拠Yが走行経路Aを輸送:ρX-Yφ1=1.0なので、企拠YがAを輸送し得るため、図6及び表2から、空車走行距離の計算結果は「60+50」である
・企拠Zが走行経路Cを輸送:図6及び表2から、空車走行距離の計算結果は「60+30」である
【0121】
<Measurement>
(A)走行距離の価値評価(μ):μAX、μAY、μBY、μBX、μC
実施例1では、シェアリングした際の評価手法として、最も単純かつ明確な「走行距離の価値評価μ」手法を用いた。
「走行距離の価値評価(μ)」=「実車走行距離」+「空車走行距離」×(-0.5)で定義する。即ち、「空車走行距離」を最小にすることが最適となる。
【0122】
<<(A-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・μAX:180+(10+50)×(-0.5)=150である
・μAY:「該当なし」である
・μBY:250+(70+100)×(-0.5)=165である
・μBX:「該当なし」である
・μCZ:250+(60+30)×(-0.5)=205である
【0123】
<<(A-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・μAX:180+(10+50)×(-0.5)=150である
・μAY:180+(60+50)×(-0.5)=125である
・μBY:250+(70+100)×(-0.5)=165である
・μBX:250+(80+30)×(-0.5)=195である
・μCZ:250+(60+30)×(-0.5)=205である
【0124】
(B)代替優位性評価:(X-A、Y-B)、(X-B、Y-A)
代替優位性評価ではシェアリング可能な場合の最優位な組み合わせを選択する。
評価手法として「走行距離の価値評価(μ)」を用いる場合には、組み合わせた「走行距離の価値評価(μ)」の合計(社会的な価値)が大きいものが優位となる。
【0125】
<<(B-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
関係性(ρ)が「1」であるため、「代替なし」である
【0126】
<<(B-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・(X-A、Y-B):μAX+μBY=315である
・(X-B、Y-A):μAY+μBX=320である
したがって、優位な組み合わせは、(X-B、Y-A)となる
【0127】
(C)シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離
シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離は、期間φ1において、シェアリングエコノミー推進団体Sの当該地域圏内(大阪)の全企拠が保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価」の合計である。即ち、当該地域圏内(大阪)を走行するシェアリングエコノミー推進団体Sを市場と見做した場合における各企拠の「走行距離の価値評価」に基づくシェア算出の合計である。
【0128】
<<(C-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離は、150+165+205=520である
【0129】
<<(C-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離は、125+195+205=525である
【0130】
(D)市場シェア(β):βXφ1、βYφ1、βZφ1
市場シェア(β)は、シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離に対する各企拠の保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価(μ)」の合計を元に算定する。
市場シェアとしての目安であり、企拠Yのように単独の走行で見ると低下するが、空車走行距離の削減により合計として採算性が向上する可能性は高い。
【0131】
<<(D-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・βXφ1:市場シェア(β)は、150/520=0.288である
・βYφ1:市場シェア(β)は、165/520=0.317である
・βZφ1:市場シェア(β)は、205/520=0.394である
【0132】
<<(D-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・βXφ1:市場シェア(β)は、195/525=0.371である
・βYφ1:市場シェア(β)は、125/525=0.238である
・βZφ1:市場シェア(β)は、205/525=0.390である
【0133】
(E)関係性評価値(δ):δX-Yφ1、δX-Zφ1、δY-Zφ1
関係性評価値(δ)は、シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離に対する初期φ0後に登録される企拠間の地域圏内(大阪)における関係性、及び両企拠が保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価」の合計の積の平方根である。
関係性評価値(δ)によると、企拠間の関係性の濃淡と各企拠の「走行距離の価値評価」のポテンシャルの相乗効果を図ることができる。
【0134】
<<(E-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・δX-Yφ1:ρXY=「0」なので、関係性評価値(δ)は、「0.000」である
・δX-Zφ1:ρXZ=「0」なので、関係性評価値(δ)は、「0.000」である
・δY-Zφ1:ρYZ=「0」なので、関係性評価値(δ)は、「0.000」である
【0135】
<<(E-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・δX-Yφ1:ρXY=「8」なので、関係性評価値(δ)は、(1.0×125×195)1/2/525=0.297である
・δX-Zφ1:ρXZ=「0」なので、関係性評価値(δ)は、「0.000」である
・δY-Zφ1:ρYZ=「0」なので、関係性評価値(δ)は、「0.000」である
【0136】
<<Simulation>>
(A)関係性推定値(ω):ωX-Yφ1、ωX-Zφ1、ωY-Zφ1
関係性推定値(ω)は、ρY-Zφ1=「0」(絶対的競合相手)と登録された場合を除き、関係性が濃く「8」になったと想定したシェアリングエコノミー効果を推定する。
シェアリングエコノミー推進団体Sによるシェアリングエコノミーの効果が最大化された場合に、ρ=「0」を除く、全企拠が保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価」の合計の積の平方根を求める。
【0137】
<<(A-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・ωX-Yφ1:ρXY=「8」なので、関係性推定値(ω)は、(1.0×150×165)1/2/520=0.302である
・ωX-Zφ1:ρXZ=「8」なので、関係性推定値(ω)は、(1.0×150×205)1/2/520=0.337である
・ωY-Zφ1:ρYZ=「0」なので、関係性推定値(ω)は、「0.000」である
【0138】
<<(A-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・ωX-Yφ1:ρXY=「8」なので、関係性推定値(ω)は、(1.0×125×195)1/2/525=0.297である
・ωX-Zφ1:ρXZ=「8」なので、関係性推定値(ω)は、(1.0×125×205)1/2/525=0.305である
・ωY-Zφ1:ρYZ=「0」なので、関係性推定値(ω)は、「0.000」である
【0139】
(B)関係性の差分(ω-δ):ωX-Yφ1-δX-Yφ1、ωX-Zφ1-δX-Zφ1、ωY-Zφ1-δY-Zφ1
シェアリングエコノミー推進団体Sによるシェアリングエコノミー効果が最大化された場合と現状との関係性の差分(ω-δ)を求め、関係性改善候補を抽出する。
初期φ0後の企拠X-Y間の関係性のように既に両者の関係性が濃くなった場合には、関係性の差分(ω-δ)は「0.000」となり、関係性改善効果はない。
【0140】
<<(B-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・ωX-Yφ1-δX-Yφ1:関係性の差分(ω-δ)は、(1.0×150×165)1/2/520-0.000=0.302である
・ωX-Zφ1-δX-Zφ1:関係性の差分(ω-δ)は、(1.0×150×205)1/2/520-0.000=0.337である
・ωY-Zφ1-δY-Zφ1:ρYZ=「0」なので、差分がなく、関係性の差分(ω-δ)は、「0.000」である
【0141】
<<(B-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・ωX-Yφ1-δX-Yφ1:関係性の差分(ω-δ)は、(1.0×125×195)1/2/525-(1.0×125×195)1/2/525=0.000である
・ωX-Zφ1-δX-Zφ1:関係性の差分(ω-δ)は、(1.0×125×205)1/2/525-0.000=0.305である
・ωY-Zφ1-δY-Zφ1:ρYZ=「0」なので、差分がなく、関係性の差分(ω-δ)は、「0.000」である
【0142】
<Promotion>
関係性改善候補(Ω):ΩXφ1、ΩYφ1、ΩZφ1
関係性改善候補(Ω)は、次の期間φ2に向けて、シェアリングエコノミーの効果が最大となる関係性改善候補をシェアリングエコノミーの効果が大きい順に提示する。
既に、両者の関係性(ρ)が「8」となり濃くなった場合、及び両者の関係性(ρ)が「0」(絶対的競合相手)の場合は、関係性改善候補とはなりえないので、必然的に除外する。
【0143】
<<初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が薄く、関係性(ρ)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・ΩXφ1:企拠Xは、企拠X-Z間の関係性の差分(ω-δ)が0.337、企拠X-Y間の関係性の差分(ω-δ)が0.302であることから、企拠Xの関係性改善候補(Ω)は企拠Zと企拠Yとなり、企拠Z、企拠Yの順に提示される。
・ΩYφ1:企拠Yは、企拠Zとは関係性(ρ)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Yの関係性改善候補(Ω)は企拠Xとなる。
・ΩZφ1:企拠Zは、企拠Yとは関係性(ρ)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Zの関係性改善候補(Ω)は企拠Xとなる。
【0144】
<<初期φ0後に登録されている企拠X-Y間の関係性が濃くなり、関係性(ρ)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例1での期間φ1の結果>>
・ΩXφ1:企拠Xは、既に企拠Yとは関係性(ρ)が「8」で関係性が濃いので、企拠Xの関係性改善候補(Ω)は企拠Zとなる。
・ΩYφ1:企拠Yは、既に企拠Xとは関係性(ρ)が「8」で関係性が濃く、企拠Zとは関係性(ρ)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Yの関係性改善候補(Ω)は「該当なし」となる。
・ΩZφ1:企拠Zは、企拠Yとは関係性(ρ)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Zの関係性改善候補(Ω)は企拠Xとなる。
【0145】
以上説明したように、実施例1の結果から、本発明の協業可能性評価方法及び協業可能性評価装置による関係性の差分(ω-δ)に基づく協業可能性評価は、当業者であっても予測することが極めて困難である予想外な協業可能性効果を実現できることがわかった。
【0146】
(実施例2)
<幹線・長距離(福岡-大阪)の協業可能性の評価>
実施例2として、本発明の協業可能性評価方法及び協業可能性評価装置の一例を用いて、幹線・長距離(福岡-大阪)の協業可能性の評価を行った。実施例2では、図8に示す幹線・長距離(福岡-大阪)の走行経路を用い、図3のフローチャートに示した処理の流れに従って、幹線・長距離(福岡-大阪)の協業可能性の評価を行った。
【0147】
<前提条件>
図8に示すように、幹線・長距離(福岡-大阪)には、シェアリングエコノミー推進団体Sには3企拠(企拠X、企拠Y、企拠Z)のみが参加している。
実施例2では、期間φ1における企拠X-Z間の関係性(π)が「1」、「8」の各場合について計算する。なお、企拠Y-Z間の関係性(π)は「0」(絶対的競合相手)とし、連携はしない。
幹線・長距離(福岡-大阪)の福岡には企拠X及び企拠Zがあり、幹線・長距離(福岡-大阪)の大阪には企拠Yがあり、すべてここに重点を置くことにする(実務的重点度(κ)=1.0)とする。
単純化のため、各々1台のトレーラを保有するものとし、各企拠の拠点は1カ所ずつであり、企拠Xの拠点は「XX」、企拠Yの拠点は「YY」、企拠Zの拠点は「ZZ」と表す。
企拠X、企拠Y、企拠ZはA、B、Cを荷主とし、期間φ1における荷物はそれぞれAA、BB、CCである。
企拠Y-Z間の関係性(π)は「0」(=情報共有を絶対的拒否)であり、πYZ=0.0である。
期間はφ0を初期とし期間φ1が続き、ΘXφ0が「企拠Z、企拠Y」の順となったと仮定し、企拠Xと企拠Zが折衝した結果、企拠X-Z間の関係性(π)が「1」のままである場合を<ケースI>とし、企拠X-Z間の関係性(π)が「8」となる場合を<ケースII>とする。
<ケースI>では、図9図11に示す走行パターンが挙げられる。
<ケースII>では、図12図13に示す走行パターンが挙げられる。
発地及び着地が大阪-福岡の場合に限り、航路としてフェリー又はRORO船を利用するケースがあり、A(陸)、A(海)と識別する。
荷主はA、B、Cがあり、期間φ1にそれぞれ1個、1個、2個の輸送単位があるものとし、それらをA(陸)、A(海)、B、C、Cとし、図8に示す走行経路とする。
各々の走行経路(A(陸)、A(海)、B、C、C)の実車走行距離(実走距離)は下記の表3に示すように登録されている。
【0148】
【表3】
【0149】
また、企拠Xの拠点XX、企拠Yの拠点YY、企拠Zの拠点ZZから各走行経路の発地又は着地までの空車走行距離(空走距離)は、下記の表4に示すように登録されている。
【0150】
【表4】
【0151】
<登録する値>
(A)実務的重点度(κ):κX、κY、κZ
実務的重点度(κ)は、各企拠が幹線・長距離(福岡-大阪)における事業の本気度を1~100の値で、下記の基準により登録したものである。なお、幹線・長距離の場合には、地域圏内の事業との関係等で影響されるが、実施例2では本気で対抗した場合を評価したいので、各企拠とも本気度は70以上とする。
【0152】
<<(A-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
事業の本気度が70以上であるため、3企拠(X,Y、Z)とも、実務的重点度(κ)の計算結果は「1.0」である
【0153】
<<(A-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
事業の本気度が70以上であるため、3企拠(X、Y、Z)とも、実務的重点度(κ)の計算結果は「1.0」である
【0154】
(B)関係性(π):πX-Yφ1、πX-Zφ1、πY-Zφ1
関係性(π)は、企拠間の関係性の濃淡を各企拠と折衝した結果を上記表Aに示す0~9から求め、下記基準に基づき関係性を登録する。
企拠X-Y間、企拠X-Z間は共に初期φ0「1」であったが、ΘXφ0が「Z、Y」の順であったので、企拠Xと企拠Zが折衝する。企拠Y-Z間の関係性は「0」(絶対的競合相手)である。
【0155】
<<(B-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・πX-Yφ1:企拠Xと企拠Yの間で関係性が変化する要因なしのため、関係性(π)の計算結果は「0.0」である
・πX-Zφ1:企拠Xと企拠Zが折衝の結果、関係性強化に至らず、関係性(π)の計算結果は「0.0」である
・πY-Zφ1:企拠Yと企拠Zの間に関係性が変化する要因なしのため、関係性(π)の計算結果は「0.0」である
【0156】
<<(B-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・πX-Yφ1:企拠Xと企拠Yの間で関係性が変化する要因なしのため、関係性(π)の計算結果は「0.0」である
・πX-Zφ1:企拠Xと企拠Zが折衝の結果、関係性が「8」になったので、関係性(π)の計算結果は「1.0」である
・πY-Zφ1:企拠Yと企拠Zの間で関係性が変化する要因なしのため、関係性(π)の計算結果は「0.0」である
【0157】
(C)実車走行距離:A(陸)、A(海)、B、C、C
主要な走行経路の発地から着地までの実車走行距離(実走距離)は、事前に上記表3に登録済である。
・A(陸):Aの発地から着地までの実車走行距離(陸運のみ)
・A(海):Aの発地から着地までの実車走行距離(陸運+海運)
・B:Bの発地から着地までの実車走行距離
・C:Cの発地から着地までの実車走行距離
・C:Cの発地から着地までの実車走行距離
【0158】
<<(C-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・A(陸)図9及び表3から、実車走行距離の計算結果は「650」である
・A(海)図10及び表3から、実車走行距離の計算結果は「80+40+550」である
・B図9図10図11、及び表3から、実車走行距離の計算結果は「300」である
・C図9図10図11、及び表3から、実車走行距離の計算結果は「400」である
・C図9図10図11、及び表3から、実車走行距離の計算結果は「100」である
【0159】
<<(C-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・A(陸)図9及び表3から、実車走行距離の計算結果は「650」である
・A(海)図10及び表3から、実車走行距離の計算結果は「80+40+550」である
・B図9図10図11、及び表3から、実車走行距離の計算結果は「300」である
・C図9図10図11、及び表3から、実車走行距離の計算結果は「400」である
・C図9図10図11、及び表3から、実車走行距離の計算結果は「100」である
【0160】
(D)空車走行距離:「企拠Xが走行経路Aを輸送」、「企拠Xが走行経路Cを輸送」、「企拠Yが走行経路Bを輸送」、「企拠Zが走行経路C、Cを輸送」、「企拠Zが走行経路Cを輸送」
「空車走行距離」は、実車走行前後の空車走行距離を意味する。
主要な企拠の拠点と発地・着地間の空車走行距離(空走距離)は事前に上記表4に登録済である。
【0161】
<<(D-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・企拠Xが走行経路Aを輸送:「1」陸運→陸運パターン、図9及び表4から、空車走行距離の計算結果は「20+660」である
・企拠Xが走行経路Aを輸送:「1」海運→陸運パターン、図10及び表4から、空車走行距離の計算結果は「20+660」である
・企拠Xが走行経路Aを輸送:「1」海運→海運パターン、図11及び表4から、空車走行距離の計算結果は「20+40+90+550」である
・企拠Xが走行経路Cを輸送:「8」陸運→Cパターン、「8」海運→Cパターン、空車走行距離の計算結果は「なし」である
・企拠Yが走行経路Bを輸送:図9図10図11、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「10+320」である
・企拠Zが走行経路C、Cを輸送:図9図10図11、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「430+10+130」である
・企拠Zが走行経路Cを輸送:図9図10図11、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「10+130」である
【0162】
<<(D-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・企拠XがAを輸送:「1」陸運→陸運パターン、図12及び表4から、空車走行距離の計算結果は「20+660」である
・企拠XがAを輸送:「1」海運→陸運パターン、図12及び表4から、空車走行距離の計算結果は「20+660」である
・企拠XがAを輸送:「1」海運→海運パターン、図13及び表4から、空車走行距離の計算結果は「20+40+90+550」である
・企拠XがCを輸送:「8」陸運→Cパターン、「8」海運→Cパターン、πX-Zφ1=「1.0」(代替可能)なので企拠XがCを輸送し得るが、荷主の時間的要件でCは輸送し得ない。図12図13、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「250+30」である
・企拠YがBを輸送:図12図13、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「10+320」である
・企拠ZがC、Cを輸送:図12図13、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「430+10+130」である
・企拠ZがCを輸送:図12図13、及び表4から、空車走行距離の計算結果は「10+130」である
【0163】
<Measurement>
(A)走行距離の価値評価(μ):μAX、μAY、μBY、μBX、μC
実施例2では、シェアリングした際の評価手法として、最も単純かつ明確な「走行距離の価値評価μ」手法を用いた。
「走行距離の価値評価(μ)」=「実車走行距離(陸運+海運×2)」+「空車走行距離(陸運+(海運×2))」×(-0.3)で定義する(モーダルシフトのため、海運の分は倍とする)。即ち、「空車走行距離」を最小にすること、及びモーダルシフトを促進することが最適となる。
【0164】
<<(A-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・μAX「1」陸運→陸運:650+(20+660)×(-0.3)=446である
・μAX「1」海運→陸運:80+40+(550×2)+(20+660)×(-0.3)=1016である
・μAX「1」海運→海運:80+40+(550×2)+(20+40+90+(550×2))×(-0.3)=845である
・μAX「8」陸運→C1:「該当なし」である
・μAX「8」海運→C1:「該当なし」である
・μBY:300+(10+320)×(-0.3)=201である
・μCZ:(400+100)+(430+10+130)×(-0.3)=329である
・μCZ:100+(10+130)×(-0.3)=58である
【0165】
<<(A-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・μAX「1」陸運→陸運:650+(20+660)×(-0.3)=446である
・μAX「1」海運→陸運:80+40+(550×2)+(20+660)×(-0.3)=1016である
・μAX「1」海運→海運:80+40+(550×2)+(20+40+90+(550×2))×(-0.3)=845である
・μAX「8」陸運→C:650+400+(20+250+30)×(-0.3)=960である
・μAX「8」海運→C:80+40+(550×2)+400+(20+250+30)×(-0.3)=1530である
・μBY:300+(10+320)×(-0.3)=201である
・μCZ:(400+100)+(430+10+130)×(-0.3)=329である
・μCZ:100+(10+130)×(-0.3)=58である
【0166】
(B)モーダルシフトの最適性評価:「1」陸運→陸運、「1」海運→陸運、「1」海運→海運
モーダルシフトの最適性評価は、モーダルシフト可能な範囲において、実車時及び空車時の最適な組み合わせを選択する。
評価手法が「走行距離の価値評価(μ)」の場合には、組み合わせた「走行距離の価値評価(μ)」の合計(社会的な価値)が大きいものが優位となる。
【0167】
<<(B-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・「1」陸運→陸運:モーダルシフトの最適性評価の計算結果は「446」である
・「1」海運→陸運:モーダルシフトの最適性評価の計算結果は「1016」である
・「1」海運→海運:モーダルシフトの最適性評価の計算結果は「845」である
したがって、モーダルシフトの最適な組み合わせは「1」海運→陸運となる
【0168】
<<(B-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・「1」陸運→陸運:モーダルシフトの最適性評価の計算結果は「446」である
・「1」海運→陸運:モーダルシフトの最適性評価の計算結果は「1016」である
・「1」海運→海運:モーダルシフトの最適性評価の計算結果は「845」である
したがって、モーダルシフトの最適な組み合わせは「1」海運→陸運となる
【0169】
(C)代替優位性評価:(X-A、Z-C)、(X-A、Z-C
代替優位性評価ではシェアリング可能な場合の最優位な組み合わせを選択する。
評価手法として「走行距離の価値評価(μ)」を用いる場合には、組み合わせた「走行距離の価値評価(μ)」の合計(社会的な価値)が大きいものが優位となる。
【0170】
<<(C-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
代替優位性評価は、「代替なし」である
【0171】
<<(C-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・(X-A、Z-C):μAX「1」海運→陸運+μCZ=1345である
・(X-A、Z-C):μAX「8」海運→C+μCZ=1588である
したがって、優位な組み合わせは(X-A、Z-C)となる
【0172】
(D)シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離
シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離は、期間φ1において、シェアリングエコノミー推進団体Sの当該幹線・長距離(福岡-大阪)の全企拠が保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価(μ)」の合計である。即ち、当該幹線・長距離(福岡-大阪)を走行するシェアリングエコノミー推進団体Sを市場と見做した場合における各企拠の「走行距離の価値評価(μ)」に基づくシェア算出の合計である。
【0173】
<<(D-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離は、1016+201+329=1546である
【0174】
<<(D-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離は、1530+201+58=1789である
【0175】
(E)市場シェア(α):αXφ1、αYφ1、αZφ1
市場シェア(β)は、シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離に対する各企拠の保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価(μ)」の合計を元に算定する。
市場シェアとしての目安であり、企拠Zのように単独の走行で見ると下がるが、空車走行距離の削減により合計として採算性が向上する可能性は高い。
【0176】
<<(E-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・αXφ1:市場シェア(β)は、1016/1546=0.657である
・αYφ1:市場シェア(β)は、201/1546=0.130である
・αZφ1:市場シェア(β)は、329/1546=0.213である
【0177】
<<(E-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・αXφ1:市場シェア(β)は、1530/1789=0.855である
・αYφ1:市場シェア(β)は、201/1789=0.112である
・αZφ1:市場シェア(β)は、58/1789=0.032である
【0178】
(F)関係性評価値(γ):γX-Yφ1、γX-Zφ1、γY-Zφ1
関係性評価値(γ)は、シェアリングエコノミー推進団体Sの総距離に対する初期φ0後に登録される企拠間の幹線・長距離(福岡-大阪)における関係性、及び両企拠が保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価(μ)」の合計の積の平方根である。
企拠間の関係性の濃淡と各企拠の「走行距離の価値評価(μ)」のポテンシャルの相乗効果を図る。
【0179】
<<(F-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・γX-Yφ1:πXY=「0」なので、関係性評価値(γ)は、「0.000」である
・γX-Zφ1:πXZ=「0」なので、関係性評価値(γ)は、「0.000」である
・γY-Zφ1:πYZ=「0」なので、関係性評価値(γ)は、「0.000」である
【0180】
<<(F-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・γX-Yφ1:πXY=「0」なので、関係性評価値(γ)は、「0.000」である
・γX-Zφ1:πXZ=「8」なので、関係性評価値(γ)は、(1.0×1530×58)1/2/1789=0.167である
・γY-Zφ1:πYZ=「0」なので、関係性評価値(γ)は、「0.000」である
【0181】
<Simulation>
(A)関係性推定値(θ):θX-Yφ1、θX-Zφ1、θY-Zφ1
関係性推定値(θ)は、ρY-Zφ1=「0」(絶対的競合相手)と登録された場合を除き、関係性が濃く「8」になったと想定したシェアリングエコノミー効果を推定する。
シェアリングエコノミー推進団体Sによるシェアリングエコノミーの効果が最大化された場合に、ρ=「0」を除く、全企拠が保有するトレーラの全台数の「走行距離の価値評価(μ)」の合計の積の平方根を求める。
【0182】
<<(A-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・θX-Yφ1:πXY=「8」なので、関係性推定値(θ)は、(1.0×1016×201)1/2/1546=0.292である
・θX-Zφ1:πXZ=「8」なので、関係性推定値(θ)は、(1.0×1016×329)1/2/1546=0.374である
・θY-Zφ1:πYZ=「0」なので、関係性推定値(θ)は、「0.000」である
【0183】
<<(A-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・θX-Yφ1:πXY=「8」なので、関係性推定値(θ)は、(1.0×1530×201)1/2/1789=0.310である
・θX-Zφ1:πXY=「8」なので、関係性推定値(θ)は、(1.0×1530×58)1/2/1789=0.167である
・θY-Zφ1:πYZ=「0」なので、関係性推定値(θ)は、「0.000」である
【0184】
(B)関係性の差分(θ-γ):θX-γφ1-γX-Yφ1、θX-Zφ1-γX-Zφ1、θY-Zφ1-γY-Zφ1
シェアリングエコノミー推進団体Sによるシェアリングエコノミー効果が最大化された場合と現状との関係性の差分(θ-γ)を求め、関係性改善候補を抽出する。
初期φ0後の企拠X-Z間の関係性のように既に両者の関係性が濃くなった場合には、関係性の差分(θ-γ)は「0.000」となり、関係性改善効果はない。
【0185】
<<(B-1)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・θX-γφ1-γX-Yφ1:πXY=「8」なので、関係性の差分(θ-γ)は、(1.0×1016×201)1/2/1546-0.000=0.292である
・θX-Zφ1-γX-Zφ1:πXZ=「8」なので、関係性の差分(θ-γ)は、(1.0×1016×329)1/2/1546-0.000=0.374である
・θY-Zφ1-γY-Zφ1:πYZ=「0」なので、差分がなく、関係性の差分(θ-γ)は、「0.000」である
【0186】
<<(B-2)初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・θX-Yφ1-δX-Yφ1:πXY=「8」なので、関係性の差分(θ-γ)は、(1.0×1016×201)1/2/1546-0.000=0.310である
・θX-Zφ1-δX-Zφ1:πXZ=「8」なので、関係性の差分(θ-γ)は、(1.0×1530×58)1/2/1789-(1.0×1530×58)1/2/1789=0.000である
・θY-Zφ1-δY-Zφ1:πYZ=「0」なので、差分がなく、関係性の差分(θ-γ)は、「0.000」である
【0187】
<Promotion>
関係性改善候補(Θ):ΘXφ1、ΘYφ1、ΘZφ1
関係性改善候補(Θ)は、次の期間φ2に向けて、シェアリングエコノミーの効果が最大となる関係性改善候補をシェアリングエコノミーの効果が大きい順に提示する。
既に、両者の関係性(π)が「8」となり濃くなった場合、及び両者の関係性(π)が「0」(絶対的競合相手)の場合は、関係性改善候補とはなりえないので、必然的に除外する。
【0188】
<<初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が薄く、関係性(π)が「1」のままの場合(代替不可)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・ΘXφ1:企拠Xは、企拠X-Z間の関係性の差分(θ-γ)が0.374、企拠X-Y間の関係性の差分(θ-γ)が0.292だから、企拠Xの関係性改善候補(Θ)は企拠Zと企拠Yとなり、企拠Z、企拠Yの順に提示される
・ΘYφ1:企拠Yは、企拠Zとは関係性(π)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Yの関係性改善候補(Θ)は企拠Xとなる
・ΘZφ1:企拠Zは、企拠Yとは関係性(π)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Zの関係性改善候補(Θ)は企拠Xとなる
【0189】
<<初期φ0後に登録されている企拠X-Z間の関係性が濃くなり、関係性(π)が「8」になる場合(代替可能)における、実施例2での期間φ1の結果>>
・ΘXφ1:企拠Xは、既に企拠Zとは関係性(π)が「8」で関係性が濃いので、企拠Xの関係性改善候補(Θ)は企拠Yとなる
・ΘYφ1:企拠Yは、企拠Zとは関係性(π)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Yの関係性改善候補(Θ)は企拠Xとなる
・ΘZφ1:企拠Zは、既に企拠Xとは関係性(π)が「8」で関係性が濃く、企拠Yとは関係性(π)が「0」(絶対的競合相手)であることから、企拠Zの関係性改善候補(Θ)は「該当なし」となる
【0190】
以上説明したように、実施例2の結果から、本発明の協業可能性評価方法及び協業可能性評価装置による関係性の差分(θ-γ)に基づく協業可能性評価は、当業者であっても予測することが極めて困難である予想外な協業可能性効果を実現できることがわかった。
【符号の説明】
【0191】
100 協業可能性評価装置
101 制御部
102 主記憶装置
103 補助記憶装置
104 I/Oインターフェイス
105 通信インターフェイス
106 入力装置
107 出力装置
108 表示装置
109 システムバス
120 通信機能部
130 入力機能部
140 出力機能部
150 表示機能部
160 記憶機能部
170 制御機能部
171 関係性評価部
172 関係性改善推定部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13