(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022030987
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】被膜ろ過水の前処理装置および前処理方法、並びに、膜ろ過システムおよび膜ろ過方法
(51)【国際特許分類】
C02F 9/02 20060101AFI20220210BHJP
B01D 71/02 20060101ALI20220210BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220210BHJP
C02F 1/54 20060101ALI20220210BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20220210BHJP
C02F 9/12 20060101ALI20220210BHJP
C02F 9/04 20060101ALI20220210BHJP
G01N 33/18 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
C02F9/02
B01D71/02
C02F1/44 D
C02F1/44 A
C02F1/54 Z
C02F1/32
C02F9/12
C02F9/04
G01N33/18 106B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135347
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(72)【発明者】
【氏名】村田 直樹
【テーマコード(参考)】
4D006
4D015
4D037
【Fターム(参考)】
4D006GA06
4D006GA07
4D006KA02
4D006KA03
4D006KB13
4D006KB30
4D006KD01
4D006KE30P
4D006MC03
4D006PA01
4D006PB02
4D015CA14
4D015CA20
4D015DA04
4D015DA06
4D015FA11
4D015FA24
4D015FA28
4D037AA01
4D037BA16
4D037BB01
4D037BB02
4D037CA08
4D037CA11
4D037CA14
(57)【要約】
【課題】膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水が得られる前処理装置を提供する
【解決手段】被膜ろ過水の前処理装置であって、被膜ろ過水と凝集剤とを混和してフロックを形成する混和槽と、混和槽に供給される被膜ろ過水に電磁波を照射する電磁波照射手段と、混和槽から流出する前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定するメソ粒子電位測定手段と、メソ粒子電位測定手段で測定されたメソ粒子のゼータ電位に基づいて、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射手段で照射される電磁波の性状を制御する電磁波性状制御手段とを備える、前処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被膜ろ過水の前処理装置であって、
被膜ろ過水と凝集剤とを混和してフロックを形成する混和槽と、
前記混和槽に供給される被膜ろ過水に電磁波を照射する電磁波照射手段と、
前記混和槽から流出する前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定するメソ粒子電位測定手段と、
前記メソ粒子電位測定手段で測定されたメソ粒子のゼータ電位に基づいて、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射手段で照射される電磁波の性状を制御する電磁波性状制御手段と、
を備える、前処理装置。
【請求項2】
前記電磁波性状制御手段は、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるように電磁波の性状を制御する、請求項1に記載の前処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前処理装置と、
前記前処理水をろ過するろ過膜と、
を備える膜ろ過システム。
【請求項4】
前記ろ過膜がセラミック膜である、請求項3に記載の膜ろ過システム。
【請求項5】
被膜ろ過水の前処理方法であって、
混和槽で被膜ろ過水と凝集剤とを混和してフロックを形成する凝集工程と、
前記混和槽に供給される被膜ろ過水に電磁波を照射する電磁波照射工程と、
前記混和槽から流出する前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定するメソ粒子電位測定工程と、
前記メソ粒子電位測定工程で測定されたメソ粒子のゼータ電位に基づいて、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射工程で照射される電磁波の性状を制御する電磁波性状制御工程と、
を含む、前処理方法。
【請求項6】
前記電磁波性状制御工程では、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるように電磁波の性状を制御する、請求項5に記載の前処理方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の前処理方法を用いて前処理水を得る前処理工程と、
前記前処理水をろ過膜でろ過するろ過工程と、
を含む、膜ろ過方法。
【請求項8】
前記ろ過膜がセラミック膜である、請求項7に記載の膜ろ過方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場などにおいて好適に使用し得る膜ろ過システムおよび膜ろ過方法、並びに、当該膜ろ過システムおよび膜ろ過方法において好適に使用し得る被膜ろ過水の前処理装置および前処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、浄水プロセス用の膜ろ過技術として、膜ろ過の前処理として凝集処理を行う、凝集・膜ろ過法の導入が進んでいる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、凝集・膜ろ過法を用いた浄水プロセスでは、原水に凝集剤を注入し、原水と凝集剤とを混和してフロックを形成させた後、得られたフロック含有水(前処理水)を膜ろ過して処理水を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、凝集・膜ろ過法では、運転時間の経過に伴い生ずる膜のファウリング、特には薬液洗浄によってのみ解消可能な膜ファウリングの抑制が、運転効率の向上および運転コストの削減の観点から重要である。
【0006】
しかし、従来の技術では、凝集剤注入率を十分に高くしても原水中に含まれているメソ粒子(粒径が20nm~0.5μmの粒子)のゼータ電位を0mVに近づけることができず(即ち、メソ粒子の荷電を中和して凝集させることができず)、膜ファウリングを十分に抑制できなかった。
【0007】
そこで、本発明は、膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水が得られる前処理装置および前処理方法、並びに、膜ファウリングの発生を十分に抑制可能な膜ろ過システムおよび膜ろ過方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の前処理装置は、被膜ろ過水の前処理装置であって、被膜ろ過水と凝集剤とを混和してフロックを形成する混和槽と、前記混和槽に供給される被膜ろ過水に電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記混和槽から流出する前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定するメソ粒子電位測定手段と、前記メソ粒子電位測定手段で測定されたメソ粒子のゼータ電位に基づいて、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射手段で照射される電磁波の性状を制御する電磁波性状制御手段とを備えることを特徴とする。このように、電磁波照射手段と、メソ粒子電位測定手段と、電磁波性状制御手段とを設ければ、混和槽においてメソ粒子の荷電を中和して凝集させ、膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水を得ることができる。
【0009】
ここで、本発明の前処理装置において、前記電磁波性状制御手段は、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるように電磁波の性状を制御することが好ましい。メソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるようにすれば、メソ粒子の荷電を良好に中和し、膜ファウリングの発生を更に良好に防止し得る前処理水を得ることができる。
【0010】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の膜ろ過システムは、上述した前処理装置の何れかと、前記前処理水をろ過するろ過膜とを備えることを特徴とする。このように、上述した前処理装置で得られる前処理水を膜ろ過すれば、膜ファウリングの発生を十分に抑制できる。
【0011】
ここで、本発明の膜ろ過システムは、前記ろ過膜がセラミック膜であることが好ましい。ろ過膜がセラミック膜であれば、特に良好に膜ファウリングの発生を防止できる。
【0012】
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の前処理方法は、被膜ろ過水の前処理方法であって、混和槽で被膜ろ過水と凝集剤とを混和してフロックを形成する凝集工程と、前記混和槽に供給される被膜ろ過水に電磁波を照射する電磁波照射工程と、前記混和槽から流出する前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定するメソ粒子電位測定工程と、前記メソ粒子電位測定工程で測定されたメソ粒子のゼータ電位に基づいて、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射工程で照射される電磁波の性状を制御する電磁波性状制御工程とを含むことを特徴とする。このように、電磁波照射工程と、メソ粒子電位測定工程と、電磁波性状制御工程とを実施すれば、混和槽においてメソ粒子の荷電を中和して凝集させ、膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水を得ることができる。
【0013】
ここで、本発明の前処理方法は、前記電磁波性状制御工程では、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるように電磁波の性状を制御することが好ましい。メソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるようにすれば、メソ粒子の荷電を良好に中和し、膜ファウリングの発生を更に良好に防止し得る前処理水を得ることができる。
【0014】
そして、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の膜ろ過方法は、上述した前処理方法の何れかを用いて前処理水を得る前処理工程と、前記前処理水をろ過膜でろ過するろ過工程とを含むことを特徴とする。このように、上述した前処理方法を用いて得られる前処理水を膜ろ過すれば、膜ファウリングの発生を十分に抑制できる。
【0015】
ここで、本発明の膜ろ過方法は、前記ろ過膜がセラミック膜であることが好ましい。ろ過膜がセラミック膜であれば、特に良好に膜ファウリングの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の前処理装置および前処理方法によれば、膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水が得られる。
また、本発明の膜ろ過システムおよび膜ろ過方法によれば、膜ファウリングの発生を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の膜ろ過システムの一例の概略構成を示す説明図である。
【
図2】実施例で用いた膜ろ過システムの構成を示す説明図である。
【
図3】実施例および比較例の膜ろ過システムにおける運転日数と膜差圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
ここで、本発明の膜ろ過システムおよび膜ろ過方法は、特に限定されることなく、例えば浄水場などにおいて用いることができる。そして、本発明の膜ろ過システムは、本発明の前処理装置を備えることを特徴とするものである。また、本発明の膜ろ過方法は、本発明の前処理方法を用いることを特徴とするものである。
【0019】
(膜ろ過システム)
本発明の膜ろ過システムは、その一例としての膜ろ過システム100の概略構成を
図1に示すように、被膜ろ過水を前処理する前処理装置10と、前処理装置10で得られた前処理水をろ過するろ過膜21を備えるろ過装置20とを備えている。
【0020】
<前処理装置>
本発明の前処理装置の一例としての前処理装置10は、電磁波照射手段11と、混和槽12と、メソ粒子電位測定手段13と、電磁波性状制御手段14とを備えている。また、前処理装置10では、電磁波照射手段11と混和槽12との間で被膜ろ過水に凝集剤が添加される。
なお、前処理装置10は、前処理水のpHを調整するpH調整手段(図示せず)を更に備えていてもよい。
【0021】
ここで、電磁波照射手段11は、混和槽12に供給される被膜ろ過水に電磁波を照射する。また、電磁波照射手段11が被膜ろ過水に照射する電磁波の性状は、電磁波性状制御手段14により制御されている。そして、電磁波照射手段11としては、特に限定されることなく、例えば、被膜ろ過水が流れる配管に導線を巻き付けてなるコイルと、コイルに交流電流を流す交流電流発生器とから構成される電磁波照射装置を用いることができる。そして、交流電流発生器としては、特に限定されることなく、例えば特開2011-255345号公報や特開2013-167160号公報に記載の装置や、株式会社サイライズ製の「ウォーター・ウォッチャー」などを用いることができる。中でも、交流電流発生器としては、周波数が時間的に変化する方形波またはサイン波などの交流電流を発生させる交流電流発生器、並びに、単一周波数の交流電流または互いに周波数の異なる2つ以上の単一周波数の交流電流を発生させる交流電流発生器を用いることが好ましく、単一周波数の交流電流または互いに周波数の異なる2つ以上の単一周波数の交流電流を発生させる交流電流発生器を用いることがより好ましい。なお、交流電流発生器が発生する交流電流の周波数は、特に限定されることなく、例えば10Hz以上1MHz以下とすることができる。また、発生させる電磁波の磁束密度は、10mG以上とすることが好ましい。ここで、磁束密度は、電磁波発振部上(例えば、コイルを形成するケーブル上)で測定することができる。
【0022】
なお、電磁波照射手段11としては、被膜ろ過水が流れる流路または水槽内に設置された電磁波発振部(例えば、ケーブルを矩形状等の任意の形状に巻き回してなる巻回体など)と、電磁波発振部に交流電流を流す交流電流発生器とから構成される電磁波照射装置を用いてもよい。
【0023】
電磁波が照射された被膜ろ過水に添加する凝集剤としては、特に限定されることなく、カチオン性凝集剤、ノニオン性凝集剤、アニオン性凝集剤などの任意の凝集剤を用いることができる。中でも、凝集剤としては、硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム(PAC)などを用いることが好ましい。
【0024】
混和槽12は、撹拌機を備えており、電磁波を照射された被膜ろ過水と、凝集剤とを混和してフロックを形成させる。具体的には、混和槽12では、被膜ろ過水に含まれていたメソ粒子等の懸濁物質が凝集し、粗大なフロックを形成する。そして、混和槽12からは、フロックを含有する前処理水が流出する。
【0025】
メソ粒子電位測定手段13は、混和槽12から流出する前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定する。具体的には、図示例では、メソ粒子電位測定手段13は、混和槽12から流出した前処理水の一部をサンプリングし、前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位を測定する。
【0026】
ここで、メソ粒子電位測定手段13としては、具体的には、特に限定されることなく、サンプリングした前処理水を必要に応じて粗大なフロックを除去した後で濃縮する濃縮器と、濃縮された前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位を測定する測定器とを備える装置を用いることができる。そして、測定器としては、特に限定されることなく、例えば、ゼータ電位測定装置(MICROTEC社製、ZEECOM)などを用いることができる。
【0027】
なお、メソ粒子電位測定手段は、前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位をインラインで測定する装置であってもよい。
【0028】
電磁波性状制御手段14は、前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位をメソ粒子電位測定手段13から入手し、入手したメソ粒子のゼータ電位に基づいて、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射手段11で照射される電磁波の性状を制御する。
【0029】
ここで、電磁波性状制御手段14で制御する電磁波の性状としては、特に限定されることなく、例えば、磁束密度、強度、周波数などが挙げられる。そして、電磁波の性状は、特に限定されることなく、電磁波照射手段11の交流電流発生器が発生させる交流電流の周波数、波形、電圧などを変更することにより変化させることができる。
【0030】
前処理水のpHを調整するpH調整手段(図示せず)としては、特に限定されることなく、例えば、pHメータ、酸添加装置およびアルカリ添加装置などを備える既知のpH調整手段を用いることができる。
なお、水道水質基準値を充足しながらメソ粒子のゼータ電位をより一層0mVに近づけるという観点からは、前処理水のpHは、6.0以上7.0以下に調整することが好ましい。
【0031】
<ろ過装置>
ろ過装置20では、前処理装置10で被膜ろ過水を前処理して得られた前処理水をろ過膜21でろ過してろ過水を得る。
【0032】
ここで、ろ過膜21を備えるろ過装置20としては、特に限定されることなく、ろ過水に求められる性状に応じて、水処理の分野において用いられている任意のろ過装置を用いることができる。
【0033】
(前処理方法)
そして、上述した膜ろ過システム100の前処理装置10では、混和槽12に供給される被膜ろ過水に電磁波照射手段11で電磁波を照射(電磁波照射工程)すると共に混和槽12で被膜ろ過水と凝集剤とを混和してフロックを形成(凝集工程)して前処理水を得るに当たり、前処理水に含まれているメソ粒子のゼータ電位をメソ粒子電位測定手段13で測定(メソ粒子電位測定工程)し、更に電磁波性状制御手段14で前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波の性状をフィードバック制御(電磁波性状制御工程)しているので、膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水が得られる。
【0034】
具体的には、前処理水中に含まれるメソ粒子は膜ファウリングの原因になり得る物質であるところ、混和槽12に流入する前の被膜ろ過水、特には凝集剤を添加する前の被膜ろ過水に照射する電磁波の性状を制御し、メソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくようにすれば、混和槽12においてメソ粒子の荷電を中和して凝集させることができるので、前処理水を膜ろ過した際の膜ファウリングの発生を十分に抑制することができる。
【0035】
なお、膜ファウリングの発生を更に効果的に抑制する観点からは、電磁波性状制御手段14は、メソ粒子のゼータ電位が-10mV以上+10mV以下となるように電磁波の性状を制御することが好ましい。
【0036】
(膜ろ過方法)
また、上述した膜ろ過システム100では、前処理装置10において上述した前処理方法を用いて前処理水を得た後(前処理工程)、得られた前処理水をろ過装置20のろ過膜21でろ過(ろ過工程)しているので、上述したように膜ファウリングの発生を十分に抑制することができる。
【0037】
なお、膜ファウリングの発生を良好に防止する観点からは、ろ過膜21としてはセラミック製のろ過膜(セラミック膜)を用いることが好ましい。
【実施例0038】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
図2に示す膜ろ過システムを表1に示す条件で運転し、被膜ろ過水の膜ろ過およびろ過膜の物理洗浄を繰り返し行った。そして、膜差圧の大きさの経時変化を測定した。結果を
図3に示す。
なお、電磁波照射手段としては、株式会社サイライズ製の「ウォーター・ウォッチャー(ソプレス(100V))」を使用し、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が-15mVとなるように電磁波を照射した。また、メソ粒子のゼータ電位は、遠心分離(3000rpm、10分間)によりメソ粒子を濃縮した後、ゼータ電位測定装置(MICROTEC社製、ZEECOM)を使用して測定した。
【0040】
(比較例1)
電磁波照射手段を使用しなかった以外は実施例1と同様にして
図2に示す膜ろ過システムを表1に示す条件で運転し、被膜ろ過水の膜ろ過およびろ過膜の物理洗浄を繰り返し行った。そして、膜差圧の大きさの経時変化を測定した。結果を
図3に示す。
【0041】
【0042】
図3より、前処理水に含まれるメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように電磁波照射手段で照射される電磁波の性状を制御した実施例では、電磁波を照射しなかった比較例よりも膜差圧の上昇が緩やかになり、膜ファウリングの発生が抑制されていることが分かる。