(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031044
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】自動アンカーボルト位置誘導装置
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020143024
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】504196492
【氏名又は名称】株式会社高橋監理
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍夫
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AB13
2E139AC02
2E139AC04
2E139AC22
2E139AC23
2E139AD03
2E139AD07
2E139AD08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】氾濫した水の力で木造住宅を概ね水平を保った状態で浮き上がらせ、水が引く際に木造住宅を自動的に元の位置に戻せる復元装置の提供。
【解決手段】基礎に埋設したアンカーボルトの先端に、中心部に小穴のあるキャップを取り付け、木造住宅の土台上面に、土台とアンカーボルトを固定するため挟込み式連結装置を取り付け、キャップの下部のアンカーボルトを挟込み式連結装置で固定し、挟込み式連結装置にワイヤーロープ自動巻取り装置を取り付け、ワイヤーロープをキャップの小穴に挿入固定し、挟込み式連結装置とアンカーボルトとの固定解除のため、連結解除用金物を取り付けた外部浮力部材を土台の周囲に配置し、水の力で外部浮力部材が浮き上がることで連結解除用金物が挟込み式連結装置とアンカーボルトとの連結を解除し木造住宅を浮上させ、水が引く際にワイヤーロープ自動巻取り装置がワイヤーロープを巻き取り木造住宅が元の位置に戻るようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洪水等の水の力で浮上した浮上式木造住宅を元の位置に戻すための復元装置において、
基礎コンクリートに埋設したアンカーボルトの先端に、中心部に小穴を貫通させたアンカーボルトキャップを取り付け、
浮上式木造住宅の土台の上面に、土台とアンカーボルトを固定するため挟込み式連結装置を取り付けると共に、前記アンカーボルトキャップの下部のアンカーボルトを挟込み式連結装置で挟み込み固定し、
前記挟込み式連結装置にワイヤーロープ自動巻取り装置を取り付け、ワイヤーロープ自動巻取り装置のワイヤーロープをアンカーボルトキャップの小穴に挿入して固定し、
前記挟込み式連結装置とアンカーボルトとの固定を解除するため、連結解除用金物を取り付けた外部浮力部材を土台の周囲に配置し、
洪水等の水の力で外部浮力部材が浮き上がることにより、連結解除用金物が挟込み式連結装置とアンカーボルトとの連結を解除して浮上式木造住宅を浮上させ、
洪水等の水が引く際に、ワイヤーロープ自動巻取り装置がワイヤーロープを巻き取ることにより浮上式木造住宅が元の位置に戻るように構成したことを特徴とする自動アンカーボルト位置誘導装置。
【請求項2】
浮上式木造住宅の土台とアンカーボルトの連結を解除するため、外部浮力部材に取り付けた連結解除用金物を洪水等の水の力で浮上させ、連結解除用金物の先端部を挟込み式連結装置に取り付けた2枚のアンカーボルト挟込み部材の先端の凹形部に挿入し凹形部を広げることにより、アンカーボルト挟込み部材に成形した向かい合う半円穴が広がり連結を解除したことを特徴とする請求項1に記載の自動アンカーボルト位置誘導装置。
【請求項3】
ワイヤーロープ自動巻取り装置を挟込み式連結装置の上部に取り付けた鞍形台座の上面に取り付けると共に、アンカーボルトキャップに開けた前記小穴の直上の鞍形台座にワイヤーロープを貫通させるためのワイヤーロープ用ガイド穴を開口し、ワイヤーロープ用ガイド穴の近傍にワイヤーロープを誘導するための小型ガイドローラーを取り付け、洪水等の水が引く際にワイヤーロープ自動巻取り装置に内蔵した渦巻きバネの力により、水の上に浮上した浮上式木造住宅のワイヤーロープを自動的に巻き取るように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動アンカーボルト位置誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台風等の自然災害における住宅の浸水や破損を防ぐため、氾濫した河川の洪水等から住宅を守るための浮上式木造住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化や環境変化などにより、以前にも増して短時間あたりの降水量が非常に多くなっており、河川の氾濫による水害の発生が数多く見受けられるようになった。
水害による住宅の直接的な被害は、住宅の床下浸水や床上浸水である。
とりわけ床上浸水の場合は、家財道具の損壊に留まらず住宅の流失や崩壊まで発展することもあり甚大な被害が発生した。
【0003】
また、増水した河川の水により下水が逆流してマンホール等から下水が噴き出し住宅内部に浸水するという水害も発生している。
【0004】
このような住宅等への浸水被害を防ぐための対策としては、
(1)敷地を盛土し、宅地の地盤を高くしたうえで住宅を建築する。
(2)住宅の周囲にコンクリートを打設して擁壁を構築すると共に、敷地の出入口に洪水等の水害が発生した場合に備えて土のう、止水板、止水装置等を設置する。
これまでは、このような対策が行われてきた。
【0005】
しかしながら、上記のような水害対策をしていても、市町村が作成した洪水ハザードマップで表示した特別警戒水位以上の高さの水が押し寄せ、住宅の2階部分まで浸水したといった事例も数多く報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、氾濫した河川の水の力で浮上式木造住宅を概ね水平を保った状態で浮き上がらせると共に、氾濫した河川の水が引く際に浮き上がった浮上式木造住宅を自動的に元の位置に戻すことができる復元装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、基礎コンクリートに埋設したアンカーボルトの先端に、中心部に小穴を貫通させたアンカーボルトキャップを取り付け、浮上式木造住宅の土台の上面に、土台とアンカーボルトを固定するため挟込み式連結装置を取り付けると共に、前記アンカーボルトキャップの下部のアンカーボルトを挟込み式連結装置で挟み込み固定し、前記挟込み式連結装置にワイヤーロープ自動巻取り装置を取り付け、ワイヤーロープ自動巻取り装置のワイヤーロープをアンカーボルトキャップの小穴に挿入して固定し、前記挟込み式連結装置とアンカーボルトとの固定を解除するため、連結解除用金物を取り付けた外部浮力部材を土台の周囲に配置し、洪水等の水の力で外部浮力部材が浮き上がることにより、連結解除用金物が挟込み式連結装置とアンカーボルトとの連結を解除して浮上式木造住宅を浮上させ、洪水等の水が引く際に、ワイヤーロープ自動巻取り装置がワイヤーロープを巻き取ることにより浮上式木造住宅が元の位置に戻るように構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構造に加え、浮上式木造住宅の土台とアンカーボルトの連結を解除するため、外部浮力部材に取り付けた連結解除用金物を洪水等の水の力で浮上させ、連結解除用金物の先端部を挟込み式連結装置に取り付けた2枚のアンカーボルト挟込み部材の先端の凹形部に挿入し凹形部を広げることにより、アンカーボルト挟込み部材に成形した向かい合う半円穴が広がり連結を解除したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構造に加え、ワイヤーロープ自動巻取り装置を挟込み式連結装置の上部に取り付けた鞍形台座の上面に取り付けると共に、アンカーボルトキャップに開けた前記小穴の直上の鞍形台座にワイヤーロープを貫通させるためのワイヤーロープ用ガイド穴を開口し、ワイヤーロープ用ガイド穴の近傍にワイヤーロープを誘導するための小型ガイドローラーを取り付け、洪水等の水が引く際にワイヤーロープ自動巻取り装置に内蔵した渦巻きバネの力により、水の上に浮上した浮上式木造住宅のワイヤーロープを自動的に巻き取るように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、基礎コンクリートに埋設したアンカーボルトの先端に、中心部に小穴を貫通させたアンカーボルトキャップを取り付け、浮上式木造住宅の土台の上面に、土台とアンカーボルトを固定するため挟込み式連結装置を取り付けると共に、前記アンカーボルトキャップの下部のアンカーボルトを挟込み式連結装置で挟み込み固定し、前記挟込み式連結装置にワイヤーロープ自動巻取り装置を取り付け、ワイヤーロープ自動巻取り装置のワイヤーロープをアンカーボルトキャップの小穴に挿入して固定し、前記挟込み式連結装置とアンカーボルトとの固定を解除するため、連結解除用金物を取り付けた外部浮力部材を土台の周囲に配置し、洪水等の水の力で外部浮力部材が浮き上がることにより、連結解除用金物が挟込み式連結装置とアンカーボルトとの連結を解除して浮上式木造住宅を浮上させ、洪水等の水が引く際に、ワイヤーロープ自動巻取り装置がワイヤーロープを巻き取ることにより浮上式木造住宅が元の位置に戻るように構成したことにより、簡単な構造と安価な費用で、洪水で浮上した木造住宅を元の位置に戻すことが可能になった。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、浮上式木造住宅の土台とアンカーボルトの連結を解除するため、外部浮力部材に取り付けた連結解除用金物を洪水等の水の力で浮上させ、連結解除用金物の先端部を挟込み式連結装置に取り付けた2枚のアンカーボルト挟込み部材の先端の凹形部に挿入し凹形部を広げることにより、アンカーボルト挟込み部材に成形した向かい合う半円穴が広がり連結を解除したことにより、簡単な構造と安価な費用で、基礎コンクリートに埋設したアンカーボルトと木造住宅との結合を解除することが可能になった。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ワイヤーロープ自動巻取り装置を挟込み式連結装置の上部に取り付けた鞍形台座の上面に取り付けると共に、アンカーボルトキャップに開けた前記小穴の直上の鞍形台座にワイヤーロープを貫通させるためのワイヤーロープ用ガイド穴を開口し、ワイヤーロープ用ガイド穴の近傍にワイヤーロープを誘導するための小型ガイドローラーを取り付け、洪水等の水が引く際にワイヤーロープ自動巻取り装置に内蔵した渦巻きバネの力により、水の上に浮上した浮上式木造住宅のワイヤーロープを自動的に巻き取るように構成したことにより、簡単な構造と安価な費用で、洪水等の水で浮上した木造住宅を元の位置に戻すことが可能になった。
【実施例0013】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
このように構成した基礎コンクリート8の外面に、洪水等の水を床下14に導くため複数のステンレス製床下通気口3(白蟻が浸入するのを防止するため網目が1mm以下の金網11を使用する)を取り付けると共に、ステンレス製床下通気口3と相対する基礎コンクリート7の内面に蝶番4により洪水等の水の力で開閉可能に構成した断熱開閉フタ6を取り付けた状態を示す。
このように挟込み式連結装置30にワイヤーロープ自動巻取り装置31を取り付けることにより、氾濫した河川の水の力で浮上式木造住宅を概ね水平を保った状態で浮き上がらせることが出来るようになると共に、河川の水が引く際に浮き上がった浮上式木造住宅を自動的に元の位置に戻すことが可能となった。
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係る自動アンカーボルト位置誘導装置について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。