(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031055
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/03 20060101AFI20220210BHJP
A61K 36/062 20060101ALI20220210BHJP
A61K 36/064 20060101ALI20220210BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20220210BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20220210BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20220210BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20220210BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20220210BHJP
C12P 7/54 20060101ALN20220210BHJP
【FI】
A61K36/03
A61K36/062
A61K36/064
A61K35/744
A61K35/747
A61K35/741
A61P31/16
A61K31/19
C12P7/54
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020143947
(22)【出願日】2020-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】302044395
【氏名又は名称】有限会社ハマショク
(72)【発明者】
【氏名】高津原 忠
(72)【発明者】
【氏名】三枝 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】池上 カール
(72)【発明者】
【氏名】高津原 太郎
【テーマコード(参考)】
4B064
4C087
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B064AD02
4B064AD04
4B064BJ04
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CC03
4B064CD09
4B064CD22
4B064DA01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC06
4C087BC12
4C087BC55
4C087BC56
4C087BC61
4C087BC75
4C087CA10
4C087MA16
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB33
4C088AA13
4C088AC01
4C088AC05
4C088AD17
4C088AD18
4C088AD22
4C088BA07
4C088CA25
4C088MA16
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZB33
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA02
4C206KA18
4C206KA19
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA36
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZB33
(57)【要約】
【課題】本発明は、難分解性のモズク成分を微生物で低分子化し、免疫賦活活性を高め、各種有機酸やアミノ酸等を含む風味良好なモズク発酵酢を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤として活用するための抗ウイルス剤の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、モズク原料であるモズクの細断物または乾燥粉砕物と、発酵性の糖類と、を水に溶解させてできた液を、沖縄の粘土であるクチャで加工した甕や容器に入れ、その水溶解液に、麹菌としてアスペルギルス属を用い、ケフィールとしてサッカロマイセス属、ジゴサッカイロマイセス属の酵母、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属の乳酸菌、アセトバクター属、グルコノバクター属の酢酸菌を接種して、モズクの分解を行いながら発酵によって有機酸を生成させたモズク発酵酢を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法である。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モズク原料であるモズクの細断物または乾燥粉砕物と、
発酵性の糖類と、
を水に溶解させてできた液を、
沖縄の粘土であるクチャで加工した甕や容器に入れ、
その水溶解液に、
麹菌としてアスペルギルス属を用い、
ケフィールとしてサッカロマイセス属、ジゴサッカイロマイセス属の酵母、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属の乳酸菌、アセトバクター属、グルコノバクター属の酢酸菌を接種して、
モズクの分解を行いながら発酵によって有機酸を生成させたモズク発酵酢
を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法。
【請求項2】
モズクを乾燥後に粉砕した乾燥モズク粉末と、
発酵性の糖類と、
を水に溶解させてできた液を、
沖縄の粘土であるクチャで加工した甕や容器に入れ、
その水溶解液に、
麹菌としてアスペルギルス属を用い、
ケフィールとしてサッカロマイセス属、ジゴサッカイロマイセス属の酵母、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属の乳酸菌、アセトバクター属、グルコノバクター属の酢酸菌を接種して、
モズクの分解を行いながら発酵によって有機酸を生成させたモズク発酵酢
を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の糖類が、
砂糖、氷砂糖、オリゴ糖、黒糖、でんぷん類、はちみつのいずれか1以上である
ことを特徴とする請求項1または2のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性のモズクや、乾燥微粉砕物に副原料として糖類を加えて、麹菌及びケフィール等の乳酸菌で発酵させ、モズクの低分子化を行いながら、免疫不活性を持ち、有機酸(乳酸、クエン酸、酢酸等)や各種アミノ酸、クエン酸、ミネラル等を含む風味良好なモズク発酵酢を製造することで得られるモズク発酵酢を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法である。
【背景技術】
【0002】
海藻類のモズクの成分には、水溶性食物繊維の他に、ビタミン、ミネラル、カルシウム、鉄分、ヨウ素等を含有している。
【0003】
海藻類のモズクは、これまで酢の物の料理などに使用するだけの食材であった。このモズクを多くの消費者に食材以外に利用してもらうためには、モズクを消費者が日常の料理や飲料として使用する食材に加工することが必要である。
【0004】
また、モズクの食物繊維成分中には、他の海藻の昆布や若布より5~6倍も多く、抗菌作用のあるフコイダンが含まれている。
モズクの粉末に含有しているフコイダンの含有量を、財団法人日本食品分析センターに分析を依頼したところ、粉末100グラム中にフコイダンの構成成分であるフコースが、24.2グラム含有していると分析された。
そして、モズクの粉末100グラムには、フコイダンが50~60グラム含有されている。
【0005】
モズクの食物繊維に含有しているフコイダンは、大学等の研究機関によると、胃や腸を丈夫にして免疫力を高める作用や、抗菌作用及び除菌作用がある事が発表されている。
【0006】
また、昆布のメカブに含有しているフコイダンが、鶏の「鳥インフルエンザ」の予防に効果があることが、国立大学法人富山大学と株式会社理研ビタミンとの共同研究による2010年6月のマウスの実験で証明され、世界保健機関(WHO)に発表されている。
【0007】
このように、モズクのフコイダンには抗菌作用や除菌作用があり、胃や腸を丈夫にすると共に免疫力を高める作用(免疫不活作用)がある。
このモズクを摂取し易い形に加工することで、消費者が多く消費できるようになることによって、健康食材としてのフコイダンを摂取する量を増やすことができる。
【0008】
そして、本願発明者は、本件出願前に、モズクの乾燥粉末に糖分と水分を加え、黒麹菌およびケフィール等の乳酸菌で発酵させることで、モズクの食物繊維として含有している高分子のフコイダンが、低分子のフコイダンに分解されたモズク発酵酢が完成し、これを権利化している(特許文献1)。
【先行特許文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明を解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、モズクに含まれる有効成分を食品以外に活用することを課題とし、特に、インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤として活用するための抗ウイルス剤の製造方法を提供するものである。
【発明を解決する手段】
【0011】
本発明は、
モズク原料であるモズクの細断物または乾燥粉砕物と、
発酵性の糖類と、
を水に溶解させてできた液を、
沖縄の粘土であるクチャで加工した甕や容器に入れ、
その水溶解液に、
麹菌としてアスペルギルス属を用い、
ケフィールとしてサッカロマイセス属、ジゴサッカイロマイセス属の酵母、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属の乳酸菌、アセトバクター属、グルコノバクター属の酢酸菌を接種して、
モズクの分解を行いながら発酵によって有機酸を生成させたモズク発酵酢
を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、
モズクを乾燥後に粉砕した乾燥モズク粉末と、
発酵性の糖類と、
を水に溶解させてできた液を、
沖縄の粘土であるクチャで加工した甕や容器に入れ、
その水溶解液に、
麹菌としてアスペルギルス属を用い、
ケフィールとしてサッカロマイセス属、ジゴサッカイロマイセス属の酵母、ラクトバチルス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属の乳酸菌、アセトバクター属、グルコノバクター属の酢酸菌を接種して、
モズクの分解を行いながら発酵によって有機酸を生成させたモズク発酵酢
を含むことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法である。
【0013】
さらに、本発明は、
上記した糖類が、
砂糖、氷砂糖、オリゴ糖、黒糖、でんぷん類、はちみつのいずれか1以上である
ことを特徴とするインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の製造方法である。
【0014】
モズクを黒麹菌で醗酵すると、ケフィール等の乳酸菌に含まれる酵母、乳酸菌、酢酸菌が増殖して、アミノ酸や有機酸等を含有したモズクの発酵酢が生成され,この生成されたモズクの発酵酢を、消費者は健康食材として容易に摂取することができる。
【0015】
このモズク発酵酢は、高分子フコイダンが低分子フコイダンに分解されるが、抗がん作用のあるフコイダンや、人の命に絶対に必要なアミノ酸の全成分と、クエン酸等が含まれている。
更に、モズク発酵酢の成分に含有するアミノ酸には、抗菌作用があるアルギニンが多く含まれている。
【0016】
このモズク発酵酢にインフルエンザウイルスを接種すると、インフルエンザウイルスが不活化する。この不活化したモズク発酵酢を飲取すると、体内の善玉菌が働き、インフルエンザウイルスを攻撃する免疫力も働く。
【0017】
インフルエンザウイルスを接種したモズク発酵酢を飲取する事により、体内ではインフルエンザウイルスに対して免疫細胞が働き、更に抵抗する抗体ができる。
以後この抗体はインフルエンザウイルスに対し、免疫力として作用する。
【発明の効果】
【0018】
モズクを黒麹菌とケフィール等の乳酸菌で発酵させると、各種有機酸やアミノ酸の生成に加え、高分子のフコイダンが低分子のフコダンに分解される。モズクに含まれるフコイダンには、免疫不活活性があることが認められている。また、この低分子のフコイダンは、腸内で血液に吸収され、血管を通して各種細胞を巡回しながら、細胞内にある異物(がん細胞)に接触し、異物を攻撃し
て除去する作用がある
【0019】
モズク発酵酢に、インフルエンザウイルスを接種し、不活化したモズク発酵酢
を飲取すると、体内の免疫細胞はインフルエンザウイルスを異物として認識して攻撃し、更に体内に抗体を作る、
【0020】
モズク発酵酢は、インフルエンザウイルス等の異物を攻撃する作用の他に、インフルエンザウイルスを消滅する事が、財団法人日本食品分析センターの試験報告書で実証された。
【0021】
モズク発酵酢に各種のウイルスを接種して、各種のウイルスを不活化するが、この各種のウイルスを不活化したモズク発酵酢を、粒剤やゼリー状、又はカプセルに加工し、消費者に対しワクチンの代用として提供する。
【0022】
モズク発酵酢にインフルエンザウイルスを接種後、この発酵酢を粒剤、ゼリー状及びカプセル等に充填すると、消費者はいつでも、どこでもすぐに飲取する事が可能になり、疫病を予防する効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】モズク原料の種類による発酵の違いを説明する表。(実施例1)
【
図2】発酵菌種による発酵の違いを説明する表。(実施例2)
【
図3】副原料の種類による発酵の違いを説明する表。(実施例3)
【
図4】発酵容器の種類による発酵の違いを示す表。(実施例4)
【
図5】発酵菌種によるIL-12産生量の違いを示す表。(実施例5)
【
図6】副原料の種類によるIL-12産生量の違いを示す表。(実施例6)
【
図7】発酵容器の種類によるIL-12産生量の違いを示す表。(実施例7)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の形態を
図1~
図8に基づいて説明する。
【0025】
図1においては、生モズク(水分90%で換算)を使用して黒麹菌とケフィール等の乳酸菌で発酵させる場合に比較してモズクを乾燥して粉末に加工した乾燥モズク粉末を使用した場合に、微生物による発酵が早まり、モズク発酵酢の生成が容易になることが認められた。
【0026】
図2においては、黒麹菌単独、ケフィール単独、黒麹菌とケフィール等の乳酸菌の混合で発酵させた場合、黒麹菌とケフィール等の混合発酵の場合に最も発酵がよく進み、風味も混合発酵の場合に最も良好となることが認められた。
【0027】
図3においては、乾燥モズクに添加する副原料である糖類の種類による発酵の違いを示した。砂糖、オリゴ糖を用いた場合に最も良好な発酵が得られた。また、パネラー20名で、市販のもろみ酢を基準品(3.0点)として、各試料を5点満点で官能評価を行った。市販のもろみ酢と比較し、風味と香りが同等の場合3点、劣る場合に2点、大きく劣る場合に1点、優れている場合に4点、大きく優れている場合を5点として評価した。その結果、砂糖、オリゴ糖を用いて発酵した場合に最も良好な風味が得られ、黒糖を使用すると風味が低下することが認められた。これは、黒糖の不純物が影響していると考えられる。
【0028】
図4においては、モズクの乾燥粉末に水と糖分を加えて混合した後、クチャの甕またはガラスフラスコを使用して発酵させた場合の発酵の状況を示した。クチャの甕を用いた場合にやや発酵が早く、風味においては、クチャの甕を用いた場合にマイルドで香りが良いとのコメントが多くあり、評価が高かった。
沖縄の土であるクチャには、数万年前に大陸からきた土が海底に沈殿し、この間にサンゴのかけらや貝の死骸を多量に含有している。このクチャを使用した甕は、その通気性や微量のミネラルの溶出で微生物の生育を促進し、また微生物の住処になり、これらの菌の発酵を早めると考えられる。
【0029】
図5においては、J774.1細胞の培養液(1.0×10
5cell/ml)に砂糖を副原料とし菌種を変えた発酵液を細胞用培地の10%量添加し24時間培養後、免疫を高める成分であるインターロイキン12(IL-12)の生成量が増えるかどうかを測定した結果を示した。無発酵や黒麹菌単独に比べ、黒麹菌とケフィールで発酵させることで免疫賦活活性が高まることが認められた。
【0030】
図6においては、J774.1細胞の培養液(1.0×10
5cell/ml)にクチャの甕で黒麹菌とケフィールを用い、副原料である糖の種類を変えた発酵液を細胞用培地の10%量添加し24時間培養後、免疫を高める成分であるインターロイキン12(IL-12)の生成量が増えるかどうかを測定した結果を示した。無発酵に比べ、黒糖で発酵させることで免疫賦活活性が最も高くなったが、他の副原料でも発酵させることで免疫賦活活性が高まることが認められた。
【0031】
図7においては、J774.1細胞の培養液(1.0×10
5cell/ml)に砂糖を副原料とし黒麹菌とケフィール糖の乳酸菌を用い、クチャの甕またはガラスフラスコを使用した発酵液を細胞用培地の10%量添加し24時間培養後、免疫を高める成分であるインターロイキン12(IL-12)の生成量が増えるかどうかを測定した結果を示した。無発酵に比べ、クチャの甕またはガラスフラスコともに免疫賦活活性が高まることが認められた。
【0032】
図8において、J774.1細胞の培養液(1.0×10
5cell/ml)に砂糖を副原料とし黒麹菌とケフィール糖の乳酸菌を用い、クチャの甕またはガラスフラスコを使用して発酵させた発酵液をメンブランフィルターでろ過したものを検体とし、インフルエンザウイルスのウイルス浮遊液を添加、混合して作用液とし、常温で24時間静置した後の作用液のウイルス感染価を測定した結果(一般財団法人日本食品分析センター「試験報告書」(2015年2月25日、第14128115001-06号))を示す。なお、この測定結果を得た試験の詳細は、次のとおりである。
1.試験ウイルス
Influenza A virus(H1N1)A/PR/8/34 ATCC VR-1469(インフルエンザウイルス)
2.使用細胞
MDCK(NBL-2)細胞 ATCC CCL-34株
3.使用培地
(1)細胞増殖培地
イーグルMEM培地「ニッスイ」(日水製薬株式会社)に牛胎仔血清を10%加えたものを使用した。
(2)細胞維持培地
次の組成の培地を使用した。
イーグルMEM培地「ニッスイ」(日水製薬株式会社) 1000mL
10%NaHCO
3 14mL
L-グルタミン(30g/L) 9.8mL
100×MEM用ビタミン液 30mL
10%アルブミン 20mL
0.25%トリプシン 20mL
4.ウイルス浮遊液の調整
(1)細胞の培養
細胞増殖培地を用い、使用細胞を組織培養用フラスコ内に単層培養した。
(2)ウイルスの接種
単層培養後にフラスコ内から細胞増殖培地を除き、試験ウイルスを接種した。次に、細胞維持培地を加えて37℃±1℃の炭酸ガスインキュベーター(CO
2濃度:5%)内で1~5日間培養した。
(3)ウイルス浮遊液の調整
培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の形態を観察し、細胞に形態変化(細胞変性効果)が起こっていることを確認した。次に、培養液を遠心分離(3000r/min、10分間)し、得られた上澄み液をウイルス浮遊液とした。
5.試験操作
メンブランフィルター(孔径:0.2μm)でろ過した検体1mLにウイルス浮遊液0.1mLを添加、混合し、作用液とした。室温で作用させ、24時間後に細胞維持培地を用いて10倍に希釈し、ウイルス感染価を測定した。なお、対照として精製水を用いて同様に試験し、開始時についても測定を行った。
6.ウイルス感染価の測定
細胞増殖培地を用い、使用細胞を組織培養用マイクロプレート(96穴)内で単層培養した後、細胞増殖培地を除き、細胞維持培地を0.1mLずつ加えた。次に、10倍希釈後の作用液及び対照を、細胞維持培地を用いて10倍段階希釈した。希釈液0.1mLを4穴ずつに接種し、37℃±1℃の炭酸ガスインキュベーター(CO
2濃度:5%)内で4~7日間培養した。培養後、倒立位相差顕微鏡を用いて細胞の形態変化(細胞変性効果)の有無を観察し、Reed-Muench法により50%組織培養感染量(TCID
50)を算出して作用液1mL当たりのウイルス感染価に換算した。
7.予備試験
細胞維持培地で作用液を10倍に希釈することにより、検体の影響を受けずにウイルス感染価が測定できることを確認した。
8.まとめ
以上の結果から、本実施例における検体(モズク発酵酢)の「インフルエンザウイルス」に対する不活化試験によれば、24時間後にはウイルスが検出されなかったことが示された。