(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031058
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】軽量不燃化粧基材。
(51)【国際特許分類】
B32B 9/00 20060101AFI20220210BHJP
B32B 9/06 20060101ALI20220210BHJP
B32B 21/06 20060101ALI20220210BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20220210BHJP
B27M 3/00 20060101ALI20220210BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20220210BHJP
E04B 1/64 20060101ALI20220210BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
B32B9/00 A
B32B9/06
B32B21/06
B32B29/00
B27M3/00 N
E04B1/94 V
E04B1/64 Z
E04F13/08 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020145040
(22)【出願日】2020-08-07
(71)【出願人】
【識別番号】520331475
【氏名又は名称】株式会社永善塗料産業
(72)【発明者】
【氏名】武下 浩一郎
【テーマコード(参考)】
2B250
2E001
2E110
4F100
【Fターム(参考)】
2B250AA01
2B250BA03
2B250CA11
2B250DA04
2B250EA13
2B250FA31
2B250FA33
2E001DB01
2E001DE01
2E001FA06
2E001GA12
2E001GA44
2E001HA31
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2E001HC07
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2E110AA02
2E110AA57
2E110AA64
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2E110AB05
2E110AB23
2E110BA05
2E110BA12
2E110BB03
2E110GA28W
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2E110GB12W
2E110GB32W
2E110GB62W
2E110GB63W
4F100AA01D
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4F100AG00D
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4F100YY00A
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】種々の化粧層を使用可能にして、意匠性を向上させる軽量で表面の表装性を高めた不燃性化粧基材を提供させる。
【解決手段】不燃化粧基材の装飾性と変形防止と耐久性に対して、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料において、0.2~0.3mm厚さの比重0.5以上の木目の揃った木材の薄板と、6~9mmの厚さで0.7~0.8比重にした木質材を挟んだサンドイッチ型成型加工された無機質材(商品名ダイライト)と、特殊な防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シート(商品名:ダンプリーフ)を主体とする表面を薄板と中心部に無機質材と裏面に紙製防湿シートの五層構造型化粧性積層体である軽量不燃化粧基材である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不燃化粧基材の装飾性と変形防止と耐久性に対して、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料において、0.2~0.3mm厚さの比重0.5以上の木目の揃った木材の薄板と、6~9mmの厚さで0.7~0.8比重にした木質材を挟んだサンドイッチ型成型加工された無機質材と、特殊な防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シートを主体とする表面を薄板と中心部に無機質材と裏面に紙製防湿シートとの五層構造型化粧性積層体になっていることを特徴とする軽量不燃化粧基材。
【請求項2】
軽量装飾性不燃材料の化粧薄板層は、比重0.5以上のケヤキ、サクラ、カエデ、ミズナ、クリ、シイノキ、チーク、オーク、ウォールナットから選ばれたものであり、杢目部分の木目幅2~10mmの範囲で揃った杢目部分を0.2~0.3mm厚さにスライスされた化粧的薄板であることを特徴とする請求項1に記載の軽量不燃化粧基材。
【請求項3】
軽量装飾性不燃材料の不燃用無機物含有層は、鉱物繊維と火山性ガラス材料を中心に木質材を両面に挟んで成型加工した、0.7~0.8比重の軽量で、6~9mm厚さの平板状サンドイッチ型鉱物繊維―火山性ガラス系無機不燃材にしたものであることを特徴とする請求項1に記載の軽量不燃化粧基材。
【請求項4】
接着用和紙層は、化粧薄板の木目方向の亀裂、破損を防止する補助材と内部との通気性の向上のために使用されており、通気性の高い0.3~1mm厚さのコウゾから漉いた和紙であり、屈曲防止用紙層は、不燃用無機物含有層の屈曲防止と破損防止と、並びに化粧薄板層の接着性とを高めるために、0.2~0.3mmのコート紙を使用されており、また軽量薄板材の反り防止のために、裏面に温度と湿度を調節できる防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シートを貼っており、厚さ6~9mm、幅600~1200mm、高さ1000~3000mmの軽量不燃化粧基材として使用していることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の軽量不燃化粧基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で表面の表装性を高めた不燃性化粧基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、不燃性化粧板は、火災時の延焼を防ぐために、例えば、建築物の天井や壁等の内装用の建材として、広く用いられている。例えば、特許文献1には、難燃性基材上に水系目止め層、水系接着剤層及び化粧シート層が順に積層され、紙質層、水系目止め層、水系接着剤層及び化粧シート層の少なくとも一層に1g/m2~50g/m2の水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムが含有された不燃性化粧板、また木目柄が表面に印刷された化粧紙の裏面に、ウレタン系接着剤層、プライマー層、金属層(アルミニウム箔)、低密度ポリエチレン層、強化紙、粘着剤層及び離型紙が順に設けられた内装用化粧シートが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
軽量で施工性、加工性がよく、優れた防火性を有し、リサイクル性のある不燃性化粧板およびその製造方法を提供として、無機質系基材と金属水和物混合樹脂層と化粧加工層とからなり、無機質系基材の少なくとも裏面には金属水和物混合樹脂層を設けるとともに、無機質系基材の表面には化粧加工層が設けてあり、無機質系基材の透湿抵抗が10m2・S・Pa/μg以下である不燃性化粧板であり、金属水和物混合樹脂層は金属水和物と熱硬化性樹脂の混合物からなることが提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
火災等の炎に表面が曝されても高温ガスが不燃性化粧材を透過して裏側に進入しないようにして耐火性を向上させるとともに、表面化粧層の密着性を確保するために、不燃性化粧材は、火山性ガラス質複層板等の無機材料からなる基材と、この基材の表面に設けられ、気体遮蔽効果を有する不燃性塗膜と、不燃性塗膜の上に積層されたプライマー層と、このプライマー層の上に設けられ、表面化粧層を固定するための表面塗膜とを備えている。不燃性塗膜は、塗料化に伴って水中で膨潤する膨潤性を有する層状粘土鉱物と樹脂とを備えてなる(特許文献3参照)。
【0005】
不燃壁装材である、表面化粧材として不燃材と磁性体を積層すると、不燃性の防火磁性壁面材に、不燃性の材料を化粧表装材とで積層した不燃性の防火壁装材に、マグネットが簡単に強力に吸着できる化粧材として、防火性能を持つ不燃化粧材料にて、燃焼ガス、火炎及び空気の遮断性を付与させる無機性耐火材を含有させた壁面に簡単に張り付けされた装飾性表装材にマグネット体を吸着させることができ、前記化粧材の表面に強力な磁気吸着力を発揮させるスチール箔の強磁性体を化粧薄板と耐熱材とで積層されて、マグネットの磁力基体を強力な吸着力で壁面に貼着できる装飾性マグネット吸着不燃化粧材が提案されている(特許文献4参照)。
【0006】
室内側からの内張り壁面不燃工法に用いることができ、施工時にマグネット吸着できる不燃性化粧ボードに優れた不燃化粧ボードの施工方法として、不燃材料を必要とする5~120m2の面積を持つ部屋、又は廊下、又はロビーの壁面に、2~10mmの厚さの表装不燃化粧ボードを張り付けることにおいて、同一の表装模様であって、室内の装飾雰囲気の変更と用務の掲示等のために不燃化粧ボードのうち10~50%にマグネットが直接貼着できる不燃化粧ボードを、当該壁面の中心部分に、又は両ボードを交互に張り付け施工する室内壁面へのマグネット吸着不燃化粧ボードの施工方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0007】
軽量で表面の表装性を高めた不燃性化粧基材として、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料は存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-18452号公報
【特許文献2】特開2010-76358号公報
【特許文献3】特開2016-137669号公報
【特許文献4】特許第5954602号号公報
【特許文献5】特開2017-155572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
表面に化粧層を有する不燃性化粧板では、発熱性試験において、建築基準法の規定に基づく要件を満たすために、化粧層を構成する有機物の使用量を少なくする必要がある。化粧層として高級な質感を有する厚い天然木の突板、比重の高い天然木の突板、表面に大きな凹凸のあるシート等を使用し難くなるので、不燃性化粧板の表面の意匠性が低下してしまう。建築基準法の規定に基づく要件とは、「20分間の総発熱量が8MJ/m2を超えない。200kW/m2の発熱速度を10秒以上連続して超えない。」というものを提案されている。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、種々の表面の表装性である化粧層を使用可能にして、薄板の意匠性を向上させることにある。表面に化粧シートを無機材料からなる基材に貼り付けた場合には、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料において、比重0.5以上の木目の揃った木材の薄板と、0.7~0.8比重に成型加工された無機質材とを主体とする化粧性積層体が期待されている。その目的とするところは、不燃性化粧板における薄板層と無機不燃層の積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、表面処理された層に含有されるように薄板層と無機不燃層の積層体をしたものである。具体的に本発明に係る軽量不燃性化粧基材は、無機質系の板状基材と、上記板状基材の一方の表面側に接着層を介して設けられた化粧層と裏面に変形防止材を備えた不燃性化粧板であって、上記接着層には、突板状薄板表面で処理された無機質を主体的に含有されていることを特徴とする。
【0012】
不燃化粧基材の装飾性と変形防止と耐久性に対して、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料において、0.2~0.3mm厚さの比重0.5以上の木目の揃った木材の薄板と、6~9mmの厚さで0.7~0.8比重にした木質材を挟んだサンドイッチ型成型加工された無機質材と、特殊な防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シートを主体とする表面を薄板と中心部に無機質材と裏面に紙製防湿シートの五層構造型化粧性積層体である軽量不燃化粧基材である。
【0013】
軽量装飾性不燃材料の化粧薄板層は、比重0.5以上のケヤキ、サクラ、カエデ、ミズナ、クリ、シイノキ、チーク、オーク、ウォールナットから選ばれたものであり、杢目部分の木目幅2~10mmの範囲で揃った杢目部分を0.2~0.3mm厚さにスライスされた化粧的薄板である。
【0014】
軽量装飾性不燃材料の不燃用無機物含有層は、鉱物繊維と火山性ガラス材料を中心に木質材を両面に挟んで成型加工した、0.7~0.8比重の軽量で、6~9mm厚さの平板状サンドイッチ型鉱物繊維―火山性ガラス系無機不燃材にしたものである。
【0015】
接着用和紙層は、化粧薄板の木目方向の亀裂、破損を防止する補助材と内部との通気性の向上のために使用されており、通気性の高い0.3~1mm厚さのコウゾから漉いた和紙であり、屈曲防止用紙層は、不燃用無機物含有層の屈曲防止と破損防止と、並びに化粧薄板層の接着性とを高めるために、0.2~0.3mmのコート紙を使用されており、また軽量薄板材の反り防止のために、裏面に温度と湿度を調節できる防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シートを貼っており、厚さ6~9mm、幅600~1200mm、高さ1000~3000mmの軽量不燃化粧基材として使用している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、不燃化粧基材の装飾性と変形防止と耐久性に対して、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料によって、木目の揃った木材の薄板と、成型加工された無機質材とを主体とする化粧性積層体表面処理された軽量不燃化粧基材は、耐火性が高く、軽量であるために施工時には取り扱いが容易である。また特殊な木目模様の薄板を使用するために種々の化粧壁面に使用可能にして、部屋内、或いは壁面に意匠性、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る軽量不燃化粧基材の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る軽量不燃化粧基材の断面図と状態図である。A:断面図 B:状態図
【
図3】本発明の実施形態に係る軽量不燃化粧基材の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例0019】
図1に示すように、不燃化粧基材の装飾性と変形防止と耐久性に対して、
図2Aでの化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料において、0.2mm厚さの比重0.5以上の木目の揃った木材の薄板と、6mmの厚さで0.7比重にした木質材を挟んだサンドイッチ型成型加工された無機質材(商品名ダイライト)と、特殊な防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シート(商品名:ダンプリーフ)を主体とする表面を薄板と中心部に無機質材と裏面に紙製防湿シートの五層構造型化粧性積層体である軽量不燃化粧基材であった。
【0020】
軽量装飾性不燃材料の化粧薄板層は、比重0.5以上のオークであり、杢目部分の木目幅2~4mmの範囲で揃った杢目部分を0.2mm厚さにスライスされた化粧的薄板であった。
【0021】
軽量装飾性不燃材料の不燃用無機物含有層は、鉱物繊維と火山性ガラス材料を中心に木質材を両面に挟んで成型加工した、0.7比重の軽量で、6mm厚さの平板状サンドイッチ型鉱物繊維―火山性ガラス系無機不燃材にしたものであった。
【0022】
図2A,Bに示すように接着用和紙層は、化粧薄板の木目方向の亀裂、破損を防止する補助材と内部との通気性の向上のために使用されており、通気性の高い0.3mm厚さのコウゾから漉いた和紙であり、屈曲防止用紙層は、不燃用無機物含有層の屈曲防止と破損防止と、並びに化粧薄板層の接着性とを高めるために、0.2mmのコート紙を使用されており、また軽量薄板材の反り防止のために、裏面に温度と湿度を調節できる防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シートを貼っており、厚さ6mm、幅900mm、高さ2500mmの軽量不燃化粧基材として、
図3に示すようにホテルのロビーに使用した。
実施例1と同様に、不燃化粧基材の装飾性と変形防止と耐久性に対して、化粧薄板層と、接着用和紙層と、屈曲防止用紙層と、不燃用無機物含有層と、表面保護用紙層とからなる軽量装飾性不燃材料において、0.2mm厚さの比重0.5以上の木目の揃った木材の薄板と、7mmの厚さで0.7比重にした木質材を挟んだサンドイッチ型成型加工された無機質材(商品名ダイライト)と、特殊な防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シート(商品名:ダンプリーフ)を主体とする表面を薄板と中心部に無機質材と裏面に紙製防湿シートの五層構造型化粧性積層体である軽量不燃化粧基材であった。
軽量装飾性不燃材料の化粧薄板層は、比重0.5以上のチークであり、杢目部分の木目幅2~4mmの範囲で揃った杢目部分を0.2mm厚さにスライスされた化粧的薄板である。
軽量装飾性不燃材料の不燃用無機物含有層は、鉱物繊維と火山性ガラス材料を中心に木質材を両面に挟んで成型加工した、0.78比重の軽量で、6mm厚さの平板状サンドイッチ型鉱物繊維―火山性ガラス系無機不燃材にしたものであった。
接着用和紙層は、化粧薄板の木目方向の亀裂、破損を防止する補助材と内部との通気性の向上のために使用されており、通気性の高い0.3mm厚さのコウゾから漉いた和紙であり、屈曲防止用紙層は、不燃用無機物含有層の屈曲防止と破損防止と、並びに化粧薄板層の接着性とを高めるために、0.2mmのコート紙を使用されており、また軽量薄板材の反り防止のために、裏面に温度と湿度を調節できる防湿塗工剤をコーティングした原紙である木質材反り防止用防湿シートを貼っており、厚さ7mm、幅900mm、高さ2500mmの軽量不燃化粧基材として使用した。