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▶ セミコンダクター マニュファクチュアリング エレクトロニクス(シャオシン)コーポレーションの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031098
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】半導体装置及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20220210BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H01L27/088 C
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L29/58 G
H01L29/60
H01L29/64
H01L29/44 Y
H01L29/78 653C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652S
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 657D
H01L29/91 B
H01L29/91 D
H01L29/78 658F
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021018701
(22)【出願日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】202010786200.X
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520339091
【氏名又は名称】セミコンダクター マニュファクチュアリング エレクトロニクス(シャオシン)コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジンシン ソン
(72)【発明者】
【氏名】マオジー コン
(72)【発明者】
【氏名】ジアグイ ユエン
【テーマコード(参考)】
4M104
5F048
【Fターム(参考)】
4M104CC03
4M104CC05
4M104EE03
4M104EE09
4M104EE10
4M104EE14
4M104EE17
4M104FF04
4M104FF06
4M104FF10
4M104FF13
4M104FF27
4M104GG03
4M104GG08
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH19
4M104HH20
5F048AA05
5F048AB07
5F048AC06
5F048AC10
5F048BB02
5F048BB19
5F048BB20
5F048BC03
5F048BC12
5F048BD07
5F048CB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上部誘電体層と、下部誘電体層との間に何らかの鋭い角部が存在することを回避し、その底部における上部誘電体層の過度に小さな厚さの問題を効果的に緩和し、電流リークを防止する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置において、セル領域100Aにシールドゲートトレンチ電界効果トランジスタ(FET)が形成され、非セル領域(ソース接続領域100B)にスーパーバリア整流器(SBR)が形成される。SBRは、第2の誘電体層200Bが上部誘電体層220Bと下部誘電体層210Bとを有し、これらは、徐々に厚さを薄くしたビーク状部分によって滑らかに接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル領域及び非セル領域を画定する基板であって、前記非セル領域はソース接続領域を含む基板と、
前記セル領域内に形成され、前記基板内に形成される第1のトレンチと、前記第1のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第1の誘電体層と、前記第1のトレンチ内に順次積層されるシールド電極、分離層及び第1のゲート電極とを含むシールドゲートトレンチ電解効果トランジスタと、
前記非セル領域内に形成され、前記基板内に形成される第2のトレンチと、前記第2のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第2の誘電体層と、前記第2のトレンチの底部を充填する第2のゲート電極とを含むスーパーバリア整流器(SBR)と
を備え、
前記第2の誘電体層は、第2の下部誘電体層と、前記第2の下部誘電体層の上に存在しかつ前記第2の下部誘電体層に接続される第2の上部誘電体層とを含み、
前記第2の上部誘電体層は、前記第2の下部誘電体層の厚さよりも小さい厚さを有し、
前記第2の下部誘電体層は、前記第2の上部誘電体層の近位にビーク状部分を有し、厚さにおいて前記第2の上部誘電体層に向かってテーパ状とされており、
前記第2の上部誘電体層は、前記第2の下部誘電体層のビーク状部分に滑らかに接続され、
第2の上部誘電体層の厚さは、前記第1のゲート電極に垂直に対応する第1の誘電体層の一部よりもさらに小さく、
前記第2のゲート電極の上面が前記シールド電極の上にあり、前記第2のゲート電極及び前記シールド電極の両方がソース接続領域によって電気的にピックアップされる
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記非セル領域は整流器領域をさらに含み、
前記SBRは前記整流器領域内に形成され、
ソース接続構造が前記ソース接続領域内に形成され、
前記ソース接続構造は、
前記基板内に形成された第3のトレンチと、
前記第3のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第3の誘電体層と、
前記第3のトレンチを充填する接続電極と
を備え、
前記接続電極は、前記シールド電極を電気的にピックアップするために、前記シールド電極に接続する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板は、複数のセル領域と、少なくとも1つの整流器領域を画定し、
前記複数のセル領域の前記第1のトレンチは、すべて所定の方向に延在し、
前記少なくとも1つの整流器領域のそれぞれにおける前記第2のトレンチは、隣接する前記第1のトレンチの間に介在し、
前記第1のトレンチは、全て、その端部において前記第3のトレンチまで延在し、前記第3のトレンチと連通する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ソース接続領域にソース接続構造が形成され、
前記ソース接続構造は、
前記基板に形成された第3のトレンチであって、少なくともその一部が前記SBRの前記第2のトレンチを構成し、機能集積領域として定義される第3のトレンチと、
前記第3のトレンチの底部と側壁の両方を覆う第3の誘電体層であって、前記機能集積領域内に形成された前記第3の誘電体層の一部が前記SBRの前記第2の誘電体層を構成する第3の誘電体層と、
前記第3のトレンチを充填し、前記シールド電極を電気的に接続する接続電極と
を含み、
前記機能集積領域内に形成された前記接続電極の一部が、前記SBRの前記第2のゲート電極を構成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板が複数のセル領域を画定し、前記複数のセル領域の前記第1のトレンチがすべて所定の方向に延在し、前記第1のトレンチがその端部で前記第2のトレンチまで全て延在して前記第2のトレンチと連通する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の上部誘電体層の厚さは、40Å~100Åである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の誘電体層は、第1の下部誘電体層と、前記第1の下部誘電体層の上に存在し、かつ、前記第1の下部誘電体層に接続された第1の上部誘電体層とを含み、
前記第1の下部誘電体層は、前記第1のトレンチの底部と、前記シールド電極に対応する前記第1のトレンチの側壁の一部との両方を覆い、
前記第1の上部誘電体層は、前記第1のゲート電極に対応する前記第1のトレンチの側壁の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の下部誘電体層は、前記第1の上部誘電体層の近位にあり、かつ厚さが前記第1の上部誘電体層に向かってテーパ状になっているビーク状部分を有し、
前記第1の下部誘電体層の前記ビーク状部分は、前記第2の下部誘電体層の前記ビーク状部分が位置する高さに等しい高さに位置する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1のトレンチ及び前記第2のトレンチは深さが等しい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1のトレンチの横の前記基板内に形成されるソース領域及びウェル領域を備え、
前記ソース領域及びウェル領域が、それぞれ前記第1のゲート電極と横方向の重複を有し、
前記ソース領域及び前記ウェル領域が、前記第2のトレンチの横の前記基板までさらに延び、各々が前記第2のゲート電極と横方向の重複を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体装置を形成する方法であって、
セル領域及び非セル領域を画定する基板を提供するステップと、
前記基板内に複数のトレンチを形成するステップであって、前記複数のトレンチは、前記セル領域内の第1のトレンチと、前記非セル領域内の第2のトレンチを含むステップと、
前記複数のトレンチの各々の底部と側壁の下部の両方を覆う下部誘電体層を形成するステップであって、前記下部誘電体層を形成するステップは、前記第1のトレンチ内に第1の下部誘電体層を形成するステップと、前記第2のトレンチ内に第2の下部誘電体層を形成するステップとを含み、これにより、前記第2の下部誘電体層の少なくとも一端が、徐々に厚さが減少するビーク状部分となるステップと、
前記複数のトレンチの各々の側壁の上部を覆う上部誘電体層を形成するステップであって、前記上部誘電体層を形成するステップは、前記第1のトレンチの側壁の上部に犠牲誘電体層を形成し、前記第2のトレンチの側壁の上部に第2の上部誘電体層を形成するステップであって、前記第2の下部誘電体層の厚さよりも前記第2の上部誘電体層の厚さが小さく、前記第2の上部誘電体層が前記第2の下部誘電体層のビーク状部分に滑らかに接続されるステップと、
前記複数のトレンチに電極を形成するステップであって、前記電極を形成するステップは、前記第1のトレンチの下部にシールド電極を形成することと、前記第2のトレンチに第2のゲート電極を形成することとを含み、前記第2のゲート電極は、前記第2のトレンチの底部を充填し、前記シールド電極の上に上面を有するステップと、
前記第1のトレンチの中の、前記シールド電極の上に、分離層、第1の上部誘電体層及び第1のゲート電極を連続的に形成するステップと
を備え、
前記第1の上部誘電体層の厚さは、前記第2の上部誘電体層の厚さよりも大きい厚さを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記基板に前記複数のトレンチを形成するステップは、
前記基板の上面にマスク層を形成するステップであって、このマスク層を用いて基板をエッチングすることにより、前記セル領域内の前記基板に第1の上部トレンチが形成され、前記非セル領域内の前記基板に第2の上部トレンチが形成されるステップと、
前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの各々の側壁の上に酸化シリコン層及び窒化シリコン層を連続的に形成するステップであって、前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの各々の底部を露出させるステップと、
前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの底部を、前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの底部が下方に延在して第1及び第2のトレンチを形成するように、前記窒化シリコン層がマスクとして機能する状態でエッチングするステップと
を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のトレンチの各々の底部、及び前記側壁の下部の両方を覆う前記下部誘電体層を形成するステップは、
前記酸化シリコン層と窒化シリコン層とをマスクとして局所酸化処理を行うことにより、前記第1のトレンチにビーク状部を有する第1の下部誘電体層を形成し、前記第2のトレンチにビーク状部を有する第2の下部誘電体層を形成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のトレンチの各々の前記側壁の前記上部を覆う前記上部誘電体層を形成するステップは、
酸化シリコン層及び窒化シリコン層を除去し、下部誘電体層の上方の、前記第1及び第2のトレンチの各々の側壁の上部を露出させるステップと、
第1の酸化工程を実施し、それにより前記第1のトレンチの側壁の上部に犠牲誘電体層を形成し、前記第2のトレンチの側壁の上部に第2の誘電体層を形成するステップと
を更に備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のトレンチに前記電極を形成するステップは、
前記複数のトレンチの各々を電極材料層で充填するステップであって、前記第2のトレンチにおける前記電極材料層の一部は、前記第2の上部誘電体層を覆う前記第2のゲート電極を形成するステップと、
前記第1のトレンチ内の電極材料層の一部を除去し、これにより前記第1のトレンチの底部上の電極材料層の残りの部分がシールド電極を形成し、第1のトレンチ内の犠牲誘電体層を露出させるステップと、
前記第1のトレンチに分離層を形成して前記シールド電極を覆い、前記犠牲誘電体層を除去することによって、前記第1のトレンチの側壁の上部を露出させるステップと、
第2の酸化工程を行うことにより、前記第1のトレンチに第1の上部誘電体層を形成し、前記第1のトレンチに第1のゲート電極を形成するステップと
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ソース領域及びウェル領域を形成するステップをさらに含み、
前記ソース領域及び前記ウェル領域の両方は、前記第1のトレンチの横の前記基板内に形成され、それによって、前記セル領域内にシールドゲートトレンチ電界効果トランジスタ(FET)を形成し、前記ウェル領域及び前記ソース領域の両方はまた、前記第2のトレンチの横の前記基板内に形成され、それによって、前記非セル領域内にスーパーバリア整流器(SBR)を形成する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術の分野に関し、特に、半導体装置、及びその半導体装置の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドゲートトレンチ(SGT)電界効果トランジスタ(FET)は、低いゲート-ドレイン容量Cgd、非常に低いオン抵抗及び高耐圧を特徴とし、FETを組み込んだ半導体集積回路の柔軟な応用の改善に役立つ。具体的には、シールドゲートトレンチFETは、ゲート電極の下に配置されるシールド電極に起因するゲート-ドレイン容量を大幅に減少させるとともに、ドリフト領域内の高濃度のドーパントキャリアから生じるオン抵抗を減少させ、デバイスの耐圧にさらなる利益をもたらすことができる。
【0003】
また、シールドゲートトレンチFETを採用した半導体装置では、トランジスタのターンオフ時に素早いターンオフを達成し、逆回復速度を上げるために、SBR(Super Barrier Rectifier)などの付加的な整流器が内蔵され、トランジスタのターンオフ過程におけるデバイスのターンオフの高速化を図っている。
【0004】
図1の概略図を具体的に参照することができ、これは、シールドゲートトレンチFETが形成されるセル領域10Aと、SBRが形成される整流器領域10Cとの両方で設計された半導体装置を示す。現在、シールドゲートトレンチFET及びSBRの形成は、典型的には以下のステップを含む。
【0005】
第1のステップでは、所望の深さを有するトレンチ11A/11Cがそれぞれセル領域10A及び整流器領域10Cに形成されるように、マスク層を用いて基板10を直接エッチングする。
【0006】
第2のステップでは、初期誘電体層21A/21Cが形成され、トレンチ11A/11Cの底部及び側壁の両方を覆う。
【0007】
第3のステップでは、電極材料層が堆積され、そこにエッチバック工程が行われて、個々のトレンチ内の電極材料の上面を下げ、その結果、トレンチの各々の底部にシールド電極31A/31Cが形成される。その結果、シールド電極の上方の初期誘電体層21A/21Cの部分が露出される。
【0008】
第4のステップでは、シールド電極の上方の初期誘電体層21A/21Cの部分が除去され、その下にある、シールド電極よりも高い位置のトレンチ11A/11Cの側壁部分が露出する。第3のステップにおいて電極材料上で実行されるエッチバック工程は、露出された初期誘電体層に損傷をもたらす可能性があり、このステップにおいて、初期誘電体層のそのような損傷部分を除去することができることが理解されるであろう。
【0009】
第5のステップでは、第1のマスクを使用するフォトリソグラフィ工程が整流器領域10Cが遮蔽されるように実行され、一方、セル領域10Aは依然として露光される。次いで、セル領域10A内のトレンチ11Aの露出された上部側壁部分に対して第1の酸化工程が実行され、その結果、第1の厚さを有する上部誘電体層22Aが形成される。
【0010】
第6のステップでは、セル領域10Aが遮蔽され、整流器領域10Cが露出されるように、第2のマスクを使用する別のフォトリソグラフィ工程が実行される。次いで、整流器領域10C内のトレンチ11Cの露出された上部側壁部分に対して第2の酸化工程が実行され、その結果、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する上部誘電体層22Cが形成される。
【0011】
第7のステップでは、セル領域10A及び整流器領域10C内のトレンチ11A/11Cを適切な材料で充填することによって、ゲート電極32A/32Cが形成される。整流器領域10C内に形成されるより薄い上部誘電体層22Cは、結果として生じるSBRを、デバイスをターンオンするのに十分でない電圧でターンオンすることを可能にすることに留意されたい。しかしながら、整流器領域10Cの上部誘電体層22Cの厚さを小さくすることは、酸化処理中における角部20Cでの不十分な酸化(例えば、酸素と側壁との接触が不十分である可能性がある)の原因となりがちであり、正に厳しい要求である。これは、電流リークを防止するには角部20Cでの酸化物層の厚さが小さすぎるということになってしまう可能性がある。
【0012】
加えて、セル領域10AにおけるシールドゲートトレンチFETの性能、及び整流器領域10CにおけるSBRの性能をそれぞれ決定する上部誘電体層22A及び22Cは、一般に異なる厚さを有することが要求されるので、それらは別個のフォトマスクを使用する異なるフォトリソグラフィ工程を採用する別々のステップで形成されなければならず、製造が複雑でコスト高となる。さらに、フォトリソグラフィ工程の各々において、トレンチの1つはフォトレジストで充填され、遮蔽され、その使用はトレンチ内のフォトレジスト残留の問題に関連する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、電流漏れがなく、より簡単な工程を用いて製造することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、提供される半導体装置は、セル領域及び非セル領域を画定する基板であって、前記非セル領域はソース接続領域を含む基板と、前記セル領域内に形成され、前記基板内に形成される第1のトレンチと、前記第1のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第1の誘電体層と、前記第1のトレンチ内に順次積層されるシールド電極、分離層及び第1のゲート電極とを含むシールドゲートトレンチ電解効果トランジスタと、前記非セル領域内に形成され、前記基板内に形成される第2のトレンチと、前記第2のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第2の誘電体層と、前記第2のトレンチの底部を充填する第2のゲート電極とを含むスーパーバリア整流器(SBR)とを備える。
前記第2の誘電体層は、第2の下部誘電体層と、前記第2の下部誘電体層の上に存在しかつ前記第2の下部誘電体層に接続される第2の上部誘電体層とを含む。
前記第2の上部誘電体層は、前記第2の下部誘電体層の厚さよりも小さい厚さを有する。
前記第2の下部誘電体層は、前記第2の上部誘電体層の近位にビーク状部分を有し、厚さにおいて前記第2の上部誘電体層に向かってテーパ状とされている。
前記第2の上部誘電体層は、前記第2の下部誘電体層のビーク状部分に滑らかに接続される。
第2の上部誘電体層の厚さは、前記第1のゲート電極に垂直に対応する第1の誘電体層の一部よりもさらに小さい。
前記第2のゲート電極の上面が前記シールド電極の上にあり、前記第2のゲート電極及び前記シールド電極の両方がソース接続領域によって電気的にピックアップされる。
【0015】
任意には、前記非セル領域は、前記ソース接続領域に加えて整流器領域を含んでもよい。ここで、SBRは整流器領域内に形成され、前記ソース接続領域内にソース接続構造が形成される。前記ソース接続構造は、前記基板内に形成された第3のトレンチと、前記第3のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第3の誘電体層と、第3のトレンチを充填する接続電極とを含む。前記接続電極は前記シールド電極を電気的にピックアップするために、前記シールド電極に接続する。
【0016】
任意には、半導体装置において、基板は、複数のセル領域、及び少なくとも1つの整流器領域を画定することができる。複数のセル領域の第1のトレンチはすべて所定の方向に延在する。少なくとも1つの整流器領域の各々における第2のトレンチは、隣接する第1のトレンチの間に介在し、第1のトレンチは、全て、その端部において第3のトレンチまで延在して、第3のトレンチと連通する。
【0017】
任意には、ソース接続構造をソース接続領域に形成することができる。ソース接続構造は、基板に形成された第3のトレンチであって、少なくとも一部がSBRの第2のトレンチを構成し、機能集積領域として定義される第3のトレンチと、前記第3のトレンチの底部と側壁の両方を覆う第3の誘電体層であって、前記機能集積領域内に形成された前記第3の誘電体層の一部が前記SBRの前記第2の誘電体層を構成する、第3の誘電体層と、前記第3のトレンチを充填する接続電極であって、前記接続電極が前記シールド電極を電気的に接続し、前記機能集積領域内に形成された前記接続電極の一部が前記SBRの前記第2のゲート電極を形成する接続電極とを含む。
【0018】
任意には、半導体装置において、基板は複数のセル領域を画定することができる。複数のセル領域の第1のトレンチは、すべて所定の方向に延在し、第1のトレンチは、その端部において第2のトレンチまで延在して、第2のトレンチと連通する。任意には、第2の上部誘電体層の厚さは、40Å~100Åであってもよい。
【0019】
任意には、前記第1の誘電体層は、第1の下部誘電体層と、第1の下部誘電体層の上に存在し、第1の下部誘電体層に接続される第1の上部誘電体層とを含んでもよい。前記第1の下部誘電体層は第1のトレンチの底部と、シールド電極に対応する第1のトレンチの側壁の一部との両方を覆う。第1の上部誘電体層は、第1のゲート電極に対応する第1のトレンチの側壁の少なくとも一部を覆う。
【0020】
任意には、前記第1の下部誘電体層は、第1の上部誘電体層の近位にあり、かつ厚さがテーパ状になったビーク状部分を有してもよい。第1の下部誘電体層のビーク状部分は、第2の下部誘電体層のビーク状部分が位置する高さに等しい高さに位置する。任意には、第1のトレンチと第2のトレンチは深さが等しい。
【0021】
任意には、半導体装置は、第1のトレンチの横の基板に形成されたソース領域ウェル領域を備え得る。ソース領域とウェル領域は、各々が第1のゲート電極と横方向の重なりを有し、ソース領域とウェル領域は、第2のトレンチの横の基板までさらに延び、各々が第2のゲート電極と横方向の重なりを有してもよい。
【0022】
本発明はまた、半導体装置を形成する方法を提供する。その方法は、
セル領域及び非セル領域を画定する基板を提供するステップと、
前記基板内に複数のトレンチを形成するステップであって、前記複数のトレンチは、前記セル領域内の第1のトレンチと、前記非セル領域内の第2のトレンチを含むステップと、
前記複数のトレンチの各々の底部と側壁の下部の両方を覆う下部誘電体層を形成するステップであって、前記下部誘電体層を形成するステップは、前記第1のトレンチ内に第1の下部誘電体層を形成するステップと、前記第2のトレンチ内に第2の下部誘電体層を形成するステップとを含み、これにより、前記第2の下部誘電体層の少なくとも一端が、徐々に厚さが減少するビーク状部分となるステップと、
前記複数のトレンチの各々の側壁の上部を覆う上部誘電体層を形成するステップであって、前記上部誘電体層を形成するステップは、前記第1のトレンチの側壁の上部に犠牲誘電体層を形成し、前記第2のトレンチの側壁の上部に第2の上部誘電体層を形成するステップであって、前記第2の下部誘電体層の厚さよりも前記第2の上部誘電体層の厚さが小さく、前記第2の上部誘電体層が前記第2の下部誘電体層のビーク状部分に滑らかに接続されるステップと、
前記複数のトレンチに電極を形成するステップであって、前記電極を形成するステップは、前記第1のトレンチの下部にシールド電極を形成することと、前記第2のトレンチに第2のゲート電極を形成することとを含み、前記第2のゲート電極は、前記第2のトレンチの底部を充填し、前記シールド電極の上に上面を有するステップと、
前記第1のトレンチの中の、前記シールド電極の上に、分離層、第1の上部誘電体層及び第1のゲート電極を連続的に形成するステップと
を備える。
前記第1の上部誘電体層の厚さは、前記第2の上部誘電体層の厚さよりも大きい厚さを有する。
【0023】
任意には、前記基板に複数のトレンチを形成するステップは、
前記基板の上面にマスク層を形成するステップであって、このマスク層を用いて基板をエッチングすることにより、前記セル領域内の前記基板に第1の上部トレンチが形成され、前記非セル領域内の前記基板に第2の上部トレンチが形成されるステップと、
前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの各々の側壁の上に酸化シリコン層及び窒化シリコン層を連続的に形成するステップであって、前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの各々の底部を露出させるステップと、
前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの底部を、前記第1の上部トレンチ及び前記第2の上部トレンチの底部が下方に延在して第1及び第2のトレンチを形成するように、前記窒化シリコン層がマスクとして機能する状態でエッチングするステップと
を含み得る。
【0024】
任意には、前記複数のトレンチの各々の底部、及び前記側壁の下部の両方を覆う前記下部誘電体層を形成するステップは、 前記酸化シリコン層と窒化シリコン層とをマスクとして局所酸化処理を行うことにより、前記第1のトレンチにビーク状部を有する第1の下部誘電体層を形成し、前記第2のトレンチにビーク状部を有する第2の下部誘電体層を形成することを含み得る。
任意には、複数のトレンチの各々の側壁の上部を覆う上部誘電体層を形成することは、
酸化シリコン層及び窒化シリコン層を除去し、下部誘電体層の上方の、前記第1及び第2のトレンチの各々の側壁の上部を露出させるステップと、
第1の酸化工程を実施し、それにより前記第1のトレンチの側壁の上部に犠牲誘電体層を形成し、前記第2のトレンチの側壁の上部に第2の誘電体層を形成するステップと
を更に備え得る。
【0025】
任意には、複数のトレンチ内に電極を形成するステップは、
前記複数のトレンチの各々を電極材料層で充填するステップであって、前記第2のトレンチにおける前記電極材料層の一部は、前記第2の上部誘電体層を覆う前記第2のゲート電極を形成するステップと、
前記第1のトレンチ内の電極材料層の一部を除去し、これにより前記第1のトレンチの底部上の電極材料層の残りの部分がシールド電極を形成し、第1のトレンチ内の犠牲誘電体層を露出させるステップと、
前記第1のトレンチに分離層を形成して前記シールド電極を覆い、前記犠牲誘電体層を除去することによって、前記第1のトレンチの側壁の上部を露出させるステップと、
第2の酸化工程を行うことにより、前記第1のトレンチに第1の上部誘電体層を形成し、前記1のトレンチに第1のゲート電極を形成するステップと
を含み得る。
【0026】
任意には、本方法は、ソース領域及びウェル領域を形成するステップをさらに含んでもよい。ソース領域及びウェル領域は両方は、第1のトレンチの横の基板内に形成され、それによってセル領域内にシールドゲートトレンチ電界効果トランジスタ(FET)を形成し、ウェル領域及びソース領域は両方は、第2のトレンチの横の基板内に形成され、それによって、非セル領域内に超障壁整流器(SBR)を形成する。
【0027】
本発明に提供される半導体装置では、第1誘電体層と、シールド電極と、第1ゲート電極と、ウェル領域と、ソース領域とが、各セル領域に形成されてシールドゲートトレンチFETを構成する。また、第2誘電体層と、第2ゲート電極と、ウェル領域と、ソース領域とが、各非セル領域に形成され、SBRを構成する。SBRでは、第2の誘電体層の上部誘電体層が、シールドゲートトレンチFET内の第1の誘電体層の上部誘電体層の厚さよりも小さい厚さを有する。このようにして、SBRは低い閾値電圧を有し、これにより、シールドゲートトレンチFETをターンオンするのに十分でない電圧でターンオンさせることができ、デバイスのターンオフを高速化できる電流整流を提供する。
【0028】
SBRでは、第2の誘電体層の下部誘電体層がビーク状部分を有し、これにより、第2の誘電体層の上部誘電体層が下部誘電体層にスムーズに接続され、第2の誘電体層の上部誘電体層と下部誘電体層とが互いに接続される部分に電界集中を生じさせる可能性のある鋭い角部が存在しない。加えて、これは、前記部分における第2の誘電体層の過度に小さな厚さの問題を効果的に緩和することができ、したがって、デバイスの電流リークのリスクを著しく低下させる。
【0029】
さらに、SBR内の第2のゲート電極は第2のトレンチの底部を満たし、かつシールド電極の上方に位置する上面を有する一体的な部分である。上下に分割された従来の構造と比較して、このような一体構造は第2のゲート電極の形成を容易にし、第2の誘電体層の上部誘電体層の形成を簡単にすることができる。具体的には、一体型の第2のゲート電極が上部誘電体層の大部分を覆うことができ、フォトレジストで第1のトレンチを遮蔽するための追加のフォトリソグラフィ工程を採用する必要なく、この上部誘電体層を直接保持することが可能となる。従って、これは、フォトリソグラフィ工程を節約し、結果として生じるシールドゲートトレンチFETの性能を劣化させる可能性がある、第1のトレンチ内の残留フォトレジストの問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の半導体装置の構造を概略的に示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態による半導体装置のレイアウトを示す図である。
図3図2の半導体装置をaa’方向に沿って切断した概略断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態による半導体装置のレイアウトを示す図である。
図5】、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法のフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図14】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
図15】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の形成方法における中間構造を図示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで提案される半導体装置及び方法は、添付図面を参照して具体的な実施形態によってより詳細に説明される。本発明の特徴及び利点は、以下の詳細な説明からより明らかになるのであろう。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない非常に単純化された形態で提供されており、実施形態を説明する際の便宜及び明確さを容易にすることのみを意図していることに留意されたい。
【0032】
[第1の実施形態]
図2は、本発明の第1の実施形態による半導体装置のレイアウトを示し、図3は、図2の半導体装置のaa’方向の概略断面図である。図2及び図3に示すように、半導体装置は、セル領域100Aを画定する基板100と、非セル領域とを含む。シールドゲートトレンチ(SGT)電界効果トランジスタ(FET)は、セル領域100Aに形成される。この実施形態では、半導体装置が複数のセル領域100A、したがって複数のシールドゲートトレンチFETを含む。さらに、スーパーバリア整流器(SBR)が非セル領域に形成される。
【0033】
引き続き図2及び図3を参照すると、各シールドゲートトレンチFETは、セル領域100Aの対応する1つの中の基板内に形成された第1のトレンチ110A、第1のトレンチ110Aの底部及び側壁の両方を覆う第1の誘電体層200A、並びに、第1のトレンチ110Aの中で上下に積層されたシールド電極310A、分離層及び第1のゲート電極320Aを含む。特に、分離層は、シールド電極310Aと第1のゲート電極320Aとの間に介在され、したがって、シールド電極310Aと第1のゲート電極320Aとを分離する。
【0034】
SBRは、非セル領域(すなわち、本実施形態による、以下に記載されるソース接続領域100B)において基板内に形成される第2のトレンチ110Bと、第2のトレンチ110Bの底部及び側壁の両方を覆う第2の誘電体層200Bと、第2のトレンチ200B内に充填される第2のゲート電極300Bとを含む。
【0035】
別の実施形態では、非セル領域がさらに、シールドゲートトレンチFET内のシールド電極を電気的にピックアップするためのソース接続構造を含んでもよい。具体的には、ソース接続構造は、基板内に形成された第3のトレンチと、第3のトレンチの底部及び側壁の両方を覆う第3の誘電体層と、第3のトレンチ内に充填された接続電極とを含んでもよい。該接続電極はシールドゲートトレンチFET内のシールド電極に接続され、したがって、電気的にシールド電極をピックアップする。
【0036】
なお、非セル領域は任意には、整流器領域及びソース接続領域を含んでいてもよい。この場合、スーパーバリア整流器(SBR)は、整流器領域と、ソース接続領域のソース接続構造に形成される。言い換えれば、以下でより詳細に説明するように、任意の実施態様では、整流器領域及びソース接続領域が異なる位置に配置され、別個の機能を持つよう意図される。
【0037】
別の任意の実施態様において、特に図2を参照すると、非セル領域は、シールドゲートトレンチFET内のシールド電極を電気的にピックアップする機能と、スーパーバリア整流器(SBR)を収容する機能との両方を提供することができるソース接続領域100Bを含んでもよい。すなわち、この場合、スーパーバリア整流器(SBR)はソース接続領域100B内に直接一体化されている。これにより、整流器領域のために別途のスペースを確保する必要をなくすことができる。これは、デバイス内のセル領域のより高い空間利用をもたらすことができる。
【0038】
本実施形態では、図2に示した実施形態(SBRがソース接続領域100Bに一体化されている場合)の説明を強調する。この場合、ソース接続領域100Bにおいて、第3のトレンチの少なくとも一部は、SBRの第2のトレンチとみなすことができる。例えば、第2のトレンチを構成する第3のトレンチの部分は、機能集積領域内のソース接続構造の第3の誘電体層の一部がSBRの第2の誘電体層を提供するとともに、機能集積領域内のソース接続構造の接続電極の一部がSBRの第2のゲート電極を提供する機能集積領域として定義されてもよい。また、機能集積領域の基板には、ソース領域及びウェル領域が形成されていてもよい。ソース接続領域は、部分的に、又は全体として、半導体装置によって実際に必要とされるものに応じて、機能集積領域として定義され得ると理解されよう。図2は、セル領域、及びソース接続領域の機能集積領域がどのように構成されるかの核心部分のみを示す。
【0039】
特に図2及び図3を参照すると、この実施形態では、第1のトレンチ110Aは第2のトレンチ110Bと連通し、これにより、第1のトレンチ110A内に充填されたシールド電極310Aが第2のトレンチ110B内に充填された第2のゲート電極300Bに接続され、したがって、シールド電極310Aが第2のゲート電極300Bに電気的にピックアップされる。さらに、第1及び第2のトレンチ110A、110Bは、単一の工程で形成することができ、したがって、等しい又はほぼ等しい深さを有することができる。
【0040】
さらに、各第1のトレンチ110Aは第1の方向に延び、一端において、第2のトレンチ110Bと連通し、第2のトレンチ110Bは、第2の方向に延びる。この実施形態では、第1のトレンチ110Aが各々のセル領域100A内に形成され、互いに平行に延在し、すべて第2のトレンチ110Bの一端で終端する。
【0041】
特に図3を参照すると、第1の誘電体層200Aは、第1の下部誘電体層210Aと、第1の上部誘電体層220Aとを含み、これらは互いに垂直方向に接続されている。例えば、第1の下部誘電体層210Aは、所定の深さより下の第1の誘電体層200Aの一部から構成されてもよく、第1の上部誘電体層220Aは所定の深さより上の第1の誘電体層200Aの残りの部分から構成されてもよい。
【0042】
第1の下部誘電体層210Aは、第1のトレンチ110Aの底部、並びにシールド電極310Aに対応する第1のトレンチ110Aの側壁部分を覆うことができる。第1の下部誘電体層210Aは。結果として得られるシールドゲートトレンチFETの意図された耐圧に依存して決まる厚さを有してもよく、その厚さは特定の値に限定されないことに留意されたい。例えば、シールドゲートトレンチFETが高電圧トランジスタとして使用されることを意図している場合、第1の下部誘電体層210Aの厚さは、トランジスタが高耐圧を有することを可能にするために比較的大きくすることができる。逆に、シールドゲートトレンチFETを低電圧トランジスタとして使用する場合には、第1の下部誘電体層210Aは比較的薄くてもよい。
【0043】
第1の上部誘電体層220Aは、第1の下部誘電体層210Aより上の第1のトレンチ110Aの側壁部分を覆うことができ、第1のゲート電極320Aに対応する第1のトレンチ110Aの部分を含む。第1の上部誘電体層220Aは、シールドゲートトレンチFETのゲート酸化物層として使用されることを意図しており、したがって、シールドゲートトレンチFETの所望のターンオン電圧に応じて決定される厚さを有することができる。一般に、シールドゲートトレンチFETの十分なターンオン性能を確保するために、第1の上部誘電体層220Aの厚さは、あまり小さ過ぎない厚さであるべきである。
【0044】
また、本実施形態では、第1上部誘電体層220Aの厚さは、第1下部誘電体層210Aの厚さよりも小さい。
【0045】
上述したように、第1のゲート電極320Aはシールド電極310Aの上方に配置され、分離層が第1のゲート電極320Aとシールド電極310Aとの間に介在するとともに、第1のゲート電極320Aとシールド電極310Aとを互いに分離する。
【0046】
この実施形態では、所定の深さは、第1のゲート電極320Aの底部に対応するものとみなすことができる。これに基づいて、第1の下部誘電体層210Aは、第1のゲート電極の下方にある第1の誘電体層200Aの部分を含み、第1の上部誘電体層220Aは、第1のゲート電極320Aに垂直に対応する第1の誘電体層200Aの残りの部分を含む。
【0047】
引き続き図3を参照すると、この実施形態では、第2の誘電体層200Bは、互いに垂直に接続された第2の下部誘電体層210Bと第2の上部誘電体層220Bとを含む。例えば、所定の深さより下の第2の誘電体層200Bの一部が第2の下部誘電体層210Bを構成し、所定の深さより上の第2の誘電体層200Bの残りの部分が第2の上部誘電体層220Bを構成することができる。
【0048】
上述したように、所定の深さは、第1のゲート電極320Aの底部に対応するものと考えることができる。これに基づいて、第2の下部誘電体層210Bは第1のゲート電極320Aの下方にある第2の誘電体層200Bの部分を含み、第2の上部誘電体層220Bは、第1のゲート電極320Aに垂直に対応する第2の誘電体層200Bの残りの部分を含む。
【0049】
第2の下部誘電体層210Bは第2のトレンチ110Bの底部を覆うとともに、所定の深さよりも下方の第2のトレンチ110Bの側壁部を覆う。第2の上部誘電体層220Bは、第2の下部誘電体層210Bの上方に配置され、かつ、第2の下部誘電体層210Bに接続され、これにより、第2の上部誘電体層220Bは、所定の深さよりも上方の第2のトレンチ110Bの側壁部を覆う。
【0050】
加えて、第2の下部誘電体層210Bは、第2の上部誘電体層220Bに滑らかに接続されている。具体的には、第2の上部誘電体層220Bに近接する第2の下部誘電体層210Bの端部は、徐々に厚さが薄くなるビーク状の形状を呈しており、第2の下部誘電体層210Bに近接する第2の上部誘電体層220Bの端部は、第2の下部誘電体層210Bのビーク状部に滑らかに接続されている。
【0051】
なお、第2の下部誘電体層210Bのビーク状部分を第2の上部誘電体層220Bに滑らかに接続することによって、第2の下部誘電体層210Bに接続される端部における第2の上部誘電体層220の過度に小さな厚さの問題を大幅に緩和し、そこに鋭い角部が存在することを回避することができる。そのような角部は、電界が集中を生じさせ、それにより電流漏れが生じる可能性がある。
【0052】
本実施形態では、第1の上部誘電体層220Aに近い側にある第1の誘電体層200Aの第1の下部誘電体層210Aの端部も、徐々に厚さが薄くなっていくビーク状部分であり、第1の下部誘電体層210Aのビーク状部分は、第2の下部誘電体層210Bのビーク状部分と同一又はほぼ同一の高さに位置している。具体的には、第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bは、同一の工程により形成され、これにより、第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bのビーク状部分が同時に形成されてもよい。
【0053】
さらに、第2のゲート電極300Bは、第2の誘電体層200Bの上に存在し、第2のトレンチ110Bの底部を充填し、その上面がシールド電極310Aの上にあるようにする。具体的には、第2のゲート電極300Bの上面が第1のゲート電極320Aの底面よりも高くされ、これにより、第2のゲート電極300Bと第1のゲート電極320Aとの間に横方向の重なりがある。これはSBRの形成に必要である。例えば、第2のゲート電極300Bの上面は、第1のゲート電極320Aと同一平面上にあってもよく、又はほぼ同一平面上にあってもよい。
【0054】
したがって、この実施形態では、ソース接続領域100B内の第2のトレンチ110Bの横にソース領域420とウェル領域410を形成することもでき、これが第2のゲート電極300Bと共にSBRを形成する。さらに、第2のゲート電極300Bはトレンチの底部を満たす一体構造であり、その上面が所望の高さに達する。この一体構造は、上下の部分が互いに分離されている従来の構造と比較すると、より容易に製造することができる。
【0055】
さらに、第2の上部誘電体層220Bは比較的薄く、したがって、低電圧(例えば、0.7V、0.55V等よりも低い)でSBRをオンにして、デバイスの高速ターンオフのための電流整流を実行することを可能にする。本実施の形態では、第2の誘電体層200Bの第2の上部誘電体層220B(第1のゲート電極に垂直に対応する第2の誘電体層200Bの部分を含む)が第1の誘電体層200Aの第1の上部誘電体層220A(第1のゲート電極に垂直に対応する第1の誘電体層200Aの部分を含む)よりも薄い。これにより、第2の上部誘電高層220Bを組み込んだSBRをオンにして、第1の上部誘電高層220Aを組み込んだシールドゲートトレンチFETをオンにするのに十分でない電圧で電流整流を提供することができる。
【0056】
具体的には、第2の上部誘電体層220Bの厚さは例えば、40Å~100Åであってもよい。なお、第2の上部誘電体層220Bの厚さは、ウェル領域410内のドーパントイオンの濃度に応じて調整してもよい。例えば、SBRの低い閾値電圧を維持するために、ウェル領域410内のドーパントイオンの濃度が比較的高い場合には第2の上部誘電体層220Bの厚さをさらに減少させてもよいし、第2の上部誘電体層220Bの厚さが比較的大きい場合にはウェル領域410内のドーパントイオンの濃度を下げてもよい。
【0057】
引き続き図3を参照すると、ソース領域420、及びウェル領域410は、各セル領域100A内に形成されて、その中にシールドゲートトレンチFETの構成要素を提供するだけでなく、ソース接続領域100B内にも形成されて、SBRの構成要素をも提供する。具体的には、セル領域100A内のソース領域及びウェル領域420、410は、それらがゲート電極320Aと横方向に重なるように、第1のトレンチ110Aの横の基板100内に形成される。そのように、シールドゲートトレンチFETがターンオンされると、導電性チャネルがウェル領域410内に出現し、これにより、電流がソース領域から対応するドレイン領域に流れることが可能になる。
【0058】
加えて、ソース接続領域100B(より正確には、ソース接続領域100B内の機能集積領域)内のソース領域420、及びウェル領域410は、それらが第2のゲート電極300Bと横方向に重なるように、第2のトレンチ110Bの横の基板100内に形成される。低い閾値電圧のために、ソース接続領域100B内のSBRは、SBRと並列に接続されたシールドゲートトレンチFETをターンオンするのに十分でない電圧でターンオンされ、ウェル領域410からの電荷キャリアの排出を高速化し、半導体装置の迅速な回復を達成する。
【0059】
要約すると、この実施形態によれば、ソース接続領域100Bは、トランジスタ内のシールド電極を電気的にピックアップするように機能するだけでなく、その中にSBRを集積するように機能することができる。その結果、SBRは、追加のスペースを占有することなく形成され、その結果、シールドゲートトレンチFETのスペース利用が著しく増加する。
【0060】
[第2の実施形態]
第1の実施形態とは異なり、第2の実施形態による非セル領域は、整流器領域及びソース接続領域を含み、これらは、異なる位置に配置され、別個の機能を有することを意図される。また、整流器領域にはSBRが形成され、ソース接続領域にはソース接続構造が形成されている。
【0061】
図4は、本発明の第2の実施形態による半導体装置のレイアウトを示す図である。図4に示すように、非セル領域は、整流器領域100C及びソース接続領域100Bを含む。
【0062】
整流器領域100Cには、SBRが形成されている。具体的には、整流器領域100C内の基板にSBRの第2のトレンチが形成され、整流器領域100C内の第2のトレンチに第2の誘電体層及び第2のゲート電極が形成される。
【0063】
第2の誘電体層及び第2のゲート電極は、第1の実施形態の場合と同様に構成されることができる。すなわち、第2の誘電体層は垂直方向に互いに接続された第2の下部誘電体層と第2の上部誘電体層とを含み、第2の上部誘電体層は、第2の下部誘電体層の厚さよりも小さい厚さを有する。また、第2上部誘電体層の近位にある第2下部誘電体層の端部は徐々に厚さを薄くしたビーク状部分であり、第2上部誘電体層は、第2下部誘電体層のビーク状部分に滑らかに接続されている。さらに、第2のゲート電極はまた、第2のトレンチの底部を満たし、その上面はシールド電極の上にある。例えば、第2のゲート電極の上面は、第1のゲート電極の上面と同一平面であってもよい。このようにして、そのように形成された第2のゲート電極は一体構造である。
【0064】
また、ソース接続領域100Bに形成されたソース接続構造は、ソース接続領域100B内の基板に形成された第3のトレンチ(図示せず)と、第3のトレンチの底部と側壁との両方を覆う第3の誘電体層(図示せず)と、第3のトレンチを充填する接続電極(図示せず)とを有する。接続電極はシールド電極と接続し、よってシールド電極を電気的にピックアップする。
【0065】
任意の実施形態では、セル領域100A内のシールド電極、整流器領域100C内の第2のゲート電極、及びソース接続領域100B内の接続電極は互いに電気的に接続されてもよい。半導体装置は、各々が所定の方向に延びる第1のトレンチを有する複数のセル領域100Aと、第1のトレンチのうちの隣接する2つの間に介在する第2のトレンチを各々有する少なくとも1つの整流器領域100Cとを含んでもよい。第1のトレンチはすべて、第3のトレンチまで延在し、一端で第3のトレンチと連通する。本実施の形態では、整流器領域100Cにおける第2のトレンチも、第3のトレンチに向けて所定方向に延び、一端が第3のトレンチと連通してもよい。
【0066】
以上に定義した半導体装置を形成する方法を、図5及び図6図15を参照して以下に詳細に説明する。図5は本方法のフローチャートであり、図6図15は本方法中の中間構造を概略的に示す。
【0067】
ステップS100において、特に図6を参照すると、セル領域100A及び非セル領域を画定する基板100が提供される。
【0068】
シールドゲートトレンチFETは、各々のセル領域100A内に形成されることになる。第2の実施形態に関連して上述したように、非セル領域は、異なる位置に配置された整流器領域及びソース接続領域を含むことができる。整流器領域にはSBRが形成されれることになる。ソース接続領域には、トランジスタ内のシールド電極を電気的に接続するソース接続構造が形成されることになる。あるいは第1の実施形態に関連して上述したように、非セル領域はソース接続構造及びSBRの両方が形成されるソース接続領域のみを含んでもよい。以下の説明では、ソース接続構造とSBRの両方が形成されるソース接続領域100Bを含む非セル領域を例に挙げて説明する。
【0069】
ステップS200では、引き続き図6乃至図9を参照すると、複数のトレンチが基板100内に形成され、これはセル領域100A内の第1のトレンチ110Aと、非セル領域内の第2のトレンチ110B(すなわち、本実施形態によるソース接続領域100B)とを含む。この実施形態では、第1のトレンチ110Aが第2のトレンチ110Bと連通している。
【0070】
続いて、第1のトレンチ110Aの各々において、第1の誘電体層、シールド電極及び第1のゲート電極が形成され、これによりシールドゲートトレンチFETが形成される。さらに、第2のトレンチ110B内に第2の誘電体層及び第2のゲート電極が形成され、これによりSBR及びソース接続構造が形成される。
【0071】
背景技術の欄で述べたように、整流器領域で酸化処理を行って第2の誘電体層の非常に薄い上部誘電体層を形成する際には、角部で不十分な酸化が起こりやすく、結果として生じる酸化物層の厚みが薄くなりすぎて電流漏れを防ぐことができない。
【0072】
この点に鑑み、本実施形態では、局所酸化工程を採用して、ビーク状部分を有する下部誘電体層を形成することができ、これにより、上部誘電体層のその後の形成中に、下部誘電体層に近いトレンチ側壁部分の十分な酸化が保証され、従って、下部誘電体層に接続される部分において、得られる上部誘電体層の十分な厚さが確保される。さらに、それは、その下部の上部誘電体層の下部誘電体層へのより滑らかな接続を可能にし、その結果、電流リークに対する耐性が増大する。
【0073】
この実施形態では、トレンチが各トレンチの上部側壁部分がシリコン酸化物層によって覆われ、次に窒化シリコン層によって覆われるという特定の方法を用いて形成される。酸化シリコン層と窒化シリコン層をマスクとするとともに、局所酸化処理を行い、ビーク状部を有する下部誘電体層を形成する。具体的には第1及び第2のトレンチ110A、110Bを形成する方法は以下のステップを含むことができる。
【0074】
第1のステップでは、特に図6を参照すると、マスク層120が基板100の上面に形成され、基板100はマスク層120の助けを借りてエッチングされ、その結果、第1の上部トレンチ111A及び第2の上部トレンチ111Bが基板100内に形成される。第1の上部トレンチ111A及び第2の上部トレンチ111Bの底部は第1の深さに位置する。
【0075】
基板100がエッチングされた後、酸化工程を実行することによって、第1及び第2の上部トレンチ111A、111Bの内面上に犠牲酸化物層を形成し、次いで除去してもよい。それによって、エッチング工程から生じ得る第1及び第2の上部トレンチ111A、111Bの内面において起こり得る損傷が修復される。
【0076】
第2のステップでは、特に図7及び図8を参照すると、酸化シリコン層130及びそれぞれの窒化シリコン層140が第1及び第2の上部トレンチ111A、111Bのそれぞれの側壁の上に連続的に形成され、第1及び第2の上部トレンチ111A、111Bの底部が露出される。酸化シリコン層130及び窒化シリコン層140の形成は酸化シリコン及び窒化シリコンの材料層を連続的に形成し、トレンチ底部上のこれらの材料層の部分をエッチング除去することを含み、それにより、第1及び第2の上部トレンチ111A、111Bの底部が露出される。
【0077】
第3のステップでは、特に図9を参照すると、窒化シリコン層140がマスクとして機能する状態で、第1及び第2の上部トレンチ111A、111Bの底部でエッチング処理が行われ、したがって、底部が第2の深さまで下がり、その結果、第1及び第2のトレンチ110A、110Bが形成される。
【0078】
本実施形態では、少なくとも2つのエッチングステップを使用して、全深度の第1及び第2のトレンチ110A、110Bが形成されることに留意されたい。このようなトレンチを単一のエッチングステップで直接形成する従来の手法と比較して、本実施形態によるマルチエッチングアプローチは、エッチング精度の制御を容易にし、パターン精度を改善することを可能にする。さらに、酸化シリコン層130及び窒化シリコン層140の助けを借りて第1及び第2のトレンチ110A、110Bを形成した後も、これらの層は、依然として保持される。これにより、ステップS300で後述するように、その後、ビーク状部分を有する下部誘電体層を形成するために、それらの層に基づいて局所酸化工程を実行することができる。
【0079】
ステップS300では、特に図10を参照して、複数のトレンチのそれぞれの底部及びそれぞれの下側側壁部分の両方に、下部誘電体層が形成される。このステップは、第1の下部誘電体層210Aをそれぞれの第1のトレンチ110A内に形成するステップと、第2の下部誘電体層210Bを第2のトレンチ110B内に形成するステップとを含む。その結果、少なくとも第2の下部誘電体層210Bは、テーパ状のビーク状端部を有する。
この実施形態では、第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bが等しい又はほぼ等しい厚さを有し、デバイスに高電圧耐性を共同で付与するために、第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bは、単一の酸化工程のような単一の工程で同時に形成することができる。
【0080】
具体的には、第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bの形成は、酸化シリコン層130及び窒化シリコン層140がマスクとして機能し、それぞれビーク状部分を有する第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bが形成されるように、局所酸化(LOCOS)工程を実行することを含んでもよい。このようなLOCOS工程は、比較的厚い酸化物層の形成をもたらす傾向があるため、得られるシールドゲートトレンチFETが十分な耐圧を有することを効果的に確保することができる。
【0081】
次に、図11を参照する。第1及び第2の下部誘電体層210A、210Bの形成の後に、酸化シリコン層及び窒化シリコン層を除去することができ、これにより第1及び第2のトレンチ110A、110Bの上部側壁部分を露出させる。
【0082】
ステップS400では、特に図12を参照して、上部誘電体層が複数のトレンチのそれぞれの上部側壁部分の上に形成される。このステップは、第1のトレンチ110Aのそれぞれの上部側壁部分の上に犠牲誘電体層を形成するステップと、第2のトレンチ110Bの上部側壁部分の上に第2の上部誘電体層220Bを形成するステップとを含む。
【0083】
具体的には、マスクがない場合には、上部誘電体層が第1及び第2のトレンチ110A、110B内に同時に形成されてもよく、その結果、第1のトレンチ110A内の上部誘電体層が、引き続いて除去されるべき犠牲誘電体層を構成する一方、第2のトレンチ110B内の上部誘電体層220BはSBRのゲート酸化物層として機能するように保持される。
【0084】
引き続き図12を参照すると、この実施形態では、第2の上部誘電体層220Bが第2のトレンチ110Bの上部側壁部分に亘って形成されるように、上部誘電体層の形成工程が、第1の酸化工程を実行することを含む。第2の上部誘電体層220Bは、比較的小さな厚さ、例えば、40Å~100Åを有する。第1の酸化工程では、上部誘電体層(すなわち、犠牲誘電体層)も、第1のトレンチ110Aのそれぞれの上部側壁部分の上に形成される。次に、これらの犠牲誘電体層を除去し、続いて、以下に詳述するように、別の酸化工程によって所望の厚さを有する第1の上部誘電体層を形成する。
【0085】
第2の下部誘電体層210Bは、上方にテーパが付けられたビーク状端部を有するので、酸素とトレンチ側壁との間の十分な接触がこの端部の周囲で許容される。その結果、酸化処理中に、トレンチ側壁の上に得られる酸化物層が、第2の下部誘電体層210Bに近い端部付近で過度に小さな厚さを有することがなく、第2の上部誘電体層220Bが第2の下部誘電体層210Bのビーク状部分に滑らかに接続されることを確実にすることができる。これは一方では、第2の下部誘電体層210Bに接続される部分での第2の上部誘電体層220Bの過度に小さな厚さの問題を緩和し、他方では第2の上部誘電体層220Bが第2の下部誘電体層210Bに接続される部分に存在するいかなる鋭い角部も回避し、その結果、電界集中が大幅に減少し、デバイスの電流漏れが更に抑制される。
【0086】
ステップS500では、特に図13図14を参照すると、複数のトレンチに電極が形成される。形成される電極は、第1のトレンチ110Aのそれぞれの下部におけるシールド電極310Aと、第2のトレンチ110Bにおける第2のゲート電極300Bを含む。第2のゲート電極300Bは、第2のトレンチ110Bの底部を満たし、その上面はシールド電極310Aの上にある。さらに、第1のトレンチ110Aのそれぞれにおいて、分離層、第1の上部誘電体層220A、及び第1のゲート電極320Aが、シールド電極310Aの上に連続的に積層される。
【0087】
本実施の形態では、第2のトレンチ110Bにおける第2のゲート電極300Bがシールド電極310Aに電気的に接続されている。具体的には、第2のゲート電極300B及びシールド電極310Aの形成工程が、複数のトレンチを、トレンチの上部と同一平面まで、又はそれよりわずかに低い位置まで導電性電極材料層で充填することを含む。これにより、第2のトレンチ110B内の電極材料層は、第2のゲート電極300Bを直接形成する。
【0088】
次に、各第1のトレンチ110A内の電極材料層が部分的に除去され、第1のトレンチ110Aの各下部にシールド電極310Aが形成される。具体的には、それぞれの第1のトレンチ110A内の電極材料層がエッチバックされ、薄くされてもよい。第2のトレンチ110B内の電極材料層はマスクで保護され、したがって、シールド電極310Aが形成される。
【0089】
それぞれの第1のトレンチ110A内の個々の電極材料層を部分的に除去するためのエッチング工程の間、第1のトレンチ110Aの上部側壁部分上の犠牲誘電体層が露出され、損傷を受けることに留意されたい。このため、第1のゲート電極の形成に先立って、犠牲誘電体層が一般に除去され、その後、酸化工程を用いて第1の上部誘電体層が形成される。
【0090】
従来、第2のトレンチ110B内の電極は上部と下部に分割されていたため、上部電極部分の形成に先立って、第2のトレンチ内の上部誘電体層の除去が必要とされ、続いて、フォトリソグラフィを介して第1のトレンチ110Aをフォトレジストで遮蔽し、次いで、別の酸化工程を使用して、再度、上部誘電体層を形成する。これに対し、本実施形態によれば、第2のゲート電極300Bは、その頂部が第2のトレンチ110Bの頂部に近い一体部分であるため、第2の上部誘電体層220Bの大部分を覆うことができ、第2の上部誘電体層220BをSBRのゲート酸化物層として直接保持することができる。したがって、従来の方法と比較して、本実施形態はフォトリソグラフィ工程を節約し、第1のトレンチのフォトレジストによる充填に関連して発生しやすい残留フォトレジストの問題を回避することができる。
【0091】
さらに、第1のトレンチ110Aの各々について、シールド電極の形成に続いて、シールド電極310Aを覆い、したがって、その後に形成される第1のゲート電極320Aと短絡回路を形成するのを回避する分離層を形成することができる。任意の実施において、第1のトレンチ110Aの上部側壁部分上の犠牲誘電体層は、分離層の形成中に除去されてもよい。もちろん、他の実施態様では、分離層の形成が犠牲誘電体層の除去に続いてもよい。
【0092】
次に、図14を参照すると、第1のトレンチ110Aのそれぞれにおいて、第1の上部誘電体層220A及び第1のゲート電極320Aが、分離層の上に形成される。第1の上部誘電体層220Aはその厚さが第2の上部誘電体層220Bの厚さよりも大きくなるように、第2の酸化工程を用いて形成されてもよい。
【0093】
ステップS600では、特に図15を参照すると、ウェル領域410及びソース領域420が第1のトレンチ110Aの横の基板内に形成され、したがって、それぞれのセル領域100A内にシールドゲートトレンチFETを形成する。ウェル領域410及びソース領域420は第2のトレンチ110Bの横の基板内にも存在し、したがって、非セル領域(すなわち、本実施形態によるソース接続領域100B)内にSBRを形成する。具体的には、ウェル領域410の底部が第1のゲート電極320Aの底部よりも低くはなく、ソース領域420の底部が第1のゲート電極320Aの頂部よりも高くなく、これにより、ソース領域420及びウェル領域410のそれぞれが第1のゲート電極320Aのそれぞれと横方向の重複を有するようにされ、それぞれのセル領域100AにおけるシールドゲートトレンチFETの形成を可能にする。同様に、ソース接続領域100Bにおいて、ソース領域420、及びウェル領域410のそれぞれは、第2のゲート電極300Bと横方向の重複を有し、SBRの形成を可能にする。
【0094】
要約すると、本発明の実施形態による半導体装置では、SBRの構成要素として機能する第2の誘電体層が上部誘電体層と、上部誘電体層に滑らかに接続されるビーク状部分を有する下部誘電体層とを有する。これは、電界集中が起こり得る上部誘電体層と下部誘電体層との間の鋭い角部の形成を避けることができるだけでなく、デバイスの電流リークにつながる可能性のある上部誘電体層の底部の周りの過度に小さな厚さの問題を効果的に緩和することができる。
【0095】
具体的には、少なくともSBRの第2の誘電体層の形成中に、局所酸化工程を実行して、そのようなビーク状部分を有する第2の下部誘電体層を形成する。この場合、次に別の酸化工程を行って薄い第2の上部誘電体層を形成すると、酸素と、第2の下部誘電体層に近いトレンチ側壁との間の十分な接触を確保することができ、したがって、その下部で得られる第2の上部誘電体層の過度に小さな厚さを回避し、第2の下部誘電体層に滑らかに接続することを可能にする。
【0096】
また、SBRにおける第2のゲート電極は一体の部分であるため、上部と下部とに分割された従来の構造に比べて、より容易に形成することができる。具体的には、一体型の第2のゲート電極の形成中に、第2のトレンチ内の電極材料上にエッチバック工程を実行することはもはや不要である。エッチバック工程は第2のトレンチ内の上部誘電体層にダメージをもたらす可能性があり、又はフォトリソグラフィを介してそれぞれのセル領域内の第1のトレンチを遮蔽する必要がある。その結果、必要な工程ステップ数とコストの両方を低減することができ、第1のトレンチにおける残留フォトレジストの問題を回避することができる。
【0097】
また、SBRは、ソース接続領域(この場合、ソース接続領域においてもウェル領域及びソース領域が基板に広がっている)に集積されることができる。すなわち、ソース接続領域は、シールドゲートトレンチFET内のシールド電極を電気的にピックアップするためだけでなく、トランジスタ・デバイスの高速ターンオフを可能にするためにSBRを集積するためにも使用される。したがって、ソース接続領域にSBRを集積することは、デバイスの逆回復を増加させるだけでなく、整流器領域によって占有される空間を解放し、したがってセル領域の空間利用を増加させることができる。
【0098】
本発明はいくつかの好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態に決して限定されることは意図されていないことに留意されたい。上記の教示に照らして、当業者は本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して様々な可能な変形及び変更を行うことができ、又はそれらを同等の代替物に修正することができる。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に対してなされた、そのような単純な変形形態、同等の代替形態、及び修正形態のいずれか及びすべてが、その範囲内に入ることが意図される。
【0099】
また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけに使用され、本発明の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」及び「an」は文脈が沿わないことを明確に示さない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。したがって、たとえば、「ステップ」又は「a手段」への言及は、1つ又は複数のステップ又は手段への言及であり、サブステップ及び従属手段を含むことができる。使用されるすべての結合はできるだけ包括的な意味で理解されるべきであり、したがって、文脈が沿わないことを明確に必要としない限り、単語「又は」は、排他的論理和の意味ではなく、論理和の意味を有すると理解されるべきである。本発明の実施形態による方法及び/又は装置の実施は、特定の選択されたタスク又はステップを手動で、自動的に、又はそれらの組み合わせで実行又は完了することを含む。
【符号の説明】
【0100】
10C…整流器領域
11A/11C…トレンチ
21A/21C…初期誘電体層
22A/22C…上部誘電体層
20C…角部
31A/31C…シールド電極
32A/32C…ゲート電極
10/100…基板
10A/10A…セル領域
100B…ソース接続領域
110A…第1のトレンチ
111A…第1上部トレンチ
110B…第2トレンチ
111B…第2上部トレンチ
120…マスク層
130...酸化シリコン層
140…窒化シリコン層
200A…第1の誘電体層
210A…第1の下部誘電体層
220A…第1の上部誘電体層
200B…第2の誘電体層
210B…第2の下部誘電体層
220B…第2の上部誘電体層
310A..シールド電極
320A…第1のゲート電極
300B…第2のゲート電極
410…ウェル領域
420…ソース領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15