IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 台達電子工業股▲フン▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図1
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図2
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図3
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図4
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図5A
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図5B
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図5C
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図6A
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図6B
  • 特開-自励駆動機能を備えた給電システム 図6C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031126
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】自励駆動機能を備えた給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220210BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20220210BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H02J1/00 309K
H02M3/155 F
H02J1/00 301D
H02H3/087
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091595
(22)【出願日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】63/062,906
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/166,369
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520407954
【氏名又は名称】台達電子工業股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄文育
(72)【発明者】
【氏名】林信晃
【テーマコード(参考)】
5G004
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004BA04
5G004GA02
5G165BB04
5G165CA01
5G165DA07
5G165EA03
5G165HA01
5G165LA02
5G165MA09
5G165MA10
5G165NA01
5G165NA02
5G165NA05
5G165NA06
5G165NA10
5H730AS04
5H730BB14
5H730DD02
5H730FD51
(57)【要約】
【課題】自励駆動機能を備えた給電システムを提供する。
【解決手段】自励駆動機能を備えた給電システムは、正の電源線及び負の電源線を介して受電装置に結合されて直流電源を出力する電源供給装置と、正の電源線と負の電源線との間に結合されるロジック切断回路と、正の電源線と負の電源線との間に結合されて電圧を補助電圧に変換し、ロジック切断回路に結合される自己昇圧回路と、正の電源線と負の電源線との間に結合され、自己昇圧回路に結合して補助電圧を受ける保護回路と、正の電源線又は負の電源線に結合され、正の電源線又は負の電源線の電流に応じて電流検出信号を出力する電流検出ユニットと、を含み、保護回路は、電流検出信号に基づいて、正の電源線と負の電源線との間を短絡又は開放し、ロジック切断回路は、正の電源線と負の電源線との間の電圧に基づいて、自己昇圧回路を無効又は有効にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正の電源線及び負の電源線を介して受電装置に結合される自励駆動機能を備えた給電システムであって、
前記正の電源線と前記負の電源線との間に直流電源を出力する電源供給装置と、
前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合されるロジック切断回路と、
前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合され、前記正の電源線と前記負の電源線との間の電圧を補助電圧に変換し、前記ロジック切断回路の出力端子に結合される受信端子を有する自己昇圧回路と、
前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合され、前記自己昇圧回路に結合して前記補助電圧を受ける保護回路と、
前記正の電源線又は前記負の電源線に結合され、前記正の電源線又は前記負の電源線の電流に応じて電流検出信号を出力する電流検出ユニットと、を含み、
前記保護回路は、前記電流検出信号に基づいて、前記正の電源線と前記負の電源線との間を短絡又は開放し、前記ロジック切断回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間の前記電圧に基づいて、前記自己昇圧回路を無効又は有効にすることを特徴とする自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項2】
前記保護回路は、前記電流検出信号が第1のレベルであるとき、前記正の電源線と前記負の電源線との間を短絡し、前記電流検出信号が第2のレベルであるとき、前記正の電源線と前記負の電源線との間を開放することを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項3】
前記保護回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合されるスイッチを含み、前記スイッチがオンされると、前記正の電源線と前記負の電源線との間が短絡され、前記スイッチがオフされると、前記正の電源線と前記負の電源線との間が開放されることを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項4】
前記保護回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合される第1スイッチと、前記正の電源線又は前記負の電源線に結合される第2スイッチとを含み、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは相補的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項5】
前記自己昇圧回路は、
トランジスタスイッチと、
一端が共通に結合され、他端がそれぞれ前記トランジスタスイッチのベースと、コレクタとに結合される2つの磁気的に結合されたコイルを備える結合コイルと、
前記トランジスタスイッチの前記コレクタに結合されて補助電圧を供給するコンデンサと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項6】
前記自己昇圧回路は、制御端子が前記自己昇圧回路の前記受信端子とされるスイッチング素子をさらに含み、前記ロジック切断回路は、前記スイッチング素子をオフにして前記自己昇圧回路を無効にすることを特徴とする請求項5に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項7】
前記正の電源線と前記結合コイルとの間には前記スイッチング素子が結合されることを特徴とする請求項6に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項8】
前記負の電源線と前記結合コイルとの間には前記スイッチング素子が結合されることを特徴とする請求項6に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項9】
前記ロジック切断回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間の電圧が閾値より大きい場合に、前記自己昇圧回路を無効にすることを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項10】
前記自己昇圧回路は、前記正の電源線と前記コンデンサとの間に結合されるダイオードをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項11】
前記保護回路は、前記スイッチに直列結合されるダイオードをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項12】
前記電源供給装置は、ソーラーパネルであることを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【請求項13】
電流検出ユニットは、ホールセンサであり、前記補助電圧を受けることを特徴とする請求項1に記載の自励駆動機能を備えた給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自励駆動機能を備えた給電システムに関し、特に、負荷状態の有無に応じて自励式昇圧動作を有効又は無効にする自励駆動機能を備えた給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給電システムの電源供給装置は、負荷が必要とする電力を供給する。負荷と電源供給装置との距離が遠い場合には、通常、電源供給装置と負荷との間に遮断装置を追加して、負荷に異常が発生したり、負荷が電力を受ける準備ができていない場合に、電源供給装置が電力を出力し続け、人の安全に危害を与えたり、設備保護に損傷を与えたりすることを回避する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の遮断装置の一般的な動作方式は次の通りである。(1)負荷と遮断装置は通信ユニットを別途含む必要があり、負荷により電源供給装置と負荷との間の接続関係をオン又はオフにするように遮断装置を制御するために、信号線で結合して通信する必要もある。(2)遮断装置は手動スイッチであるため、操作員は負荷の状態を人為的に確認して、遮断装置を手動で制御する必要がある。したがって、上記のいずれの方式を実施しても、給電システムの回路コスト、人件費を大幅に増加させる必要がある。
【0004】
そこで、負荷状態の有無に応じて自励式昇圧動作を有効又は無効にする、自励駆動機能を備えた給電システムをどのように設計するかが、本願発明者によって検討された重要な課題である。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、自励駆動機能を備えた給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムは、正の電源線及び負の電源線を介して受電装置に結合され、前記正の電源線と前記負の電源線との間に直流電源を出力する電源供給装置と、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合されるロジック切断回路と、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合され、前記正の電源線と前記負の電源線との間の電圧を補助電圧に変換し、前記ロジック切断回路の出力端子に結合される受信端子を有する自己昇圧回路と、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合され、前記自己昇圧回路に結合して前記補助電圧を受ける保護回路と、 前記正の電源線又は前記負の電源線に結合され、前記正の電源線又は前記負の電源線の電流に応じて電流検出信号を出力する電流検出ユニットと、を含み、前記保護回路は、前記電流検出信号に基づいて、前記正の電源線と前記負の電源線との間を短絡又は開放し、前記ロジック切断回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間の前記電圧に基づいて、前記自己昇圧回路を無効又は有効にする。
【0007】
一実施形態において、前記保護回路は、前記電流検出信号が第1のレベルであるとき、前記正の電源線と前記負の電源線との間を短絡し、前記電流検出信号が第2のレベルであるとき、前記正の電源線と前記負の電源線との間を開放する。
【0008】
一実施形態において、前記保護回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合されるスイッチを含み、前記スイッチがオンされると、前記正の電源線と前記負の電源線との間が短絡され、前記スイッチがオフされると、前記正の電源線と前記負の電源線との間が開放される。
【0009】
一実施形態において、前記保護回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間に結合される第1スイッチと、前記正の電源線又は前記負の電源線に結合される第2スイッチとを含み、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは相補的に制御される。
【0010】
一実施形態において、前記自己昇圧回路は、トランジスタスイッチと、一端が共通に結合され、他端がそれぞれ前記トランジスタスイッチのベースと、コレクタとに結合される2つの磁気的に結合されたコイルを備える結合コイルと、前記トランジスタスイッチの前記コレクタに結合されて補助電圧を供給するコンデンサと、を含む。
【0011】
一実施形態において、前記自己昇圧回路は、制御端子が前記自己昇圧回路の前記受信端子とされるスイッチング素子をさらに含み、前記ロジック切断回路は、前記スイッチング素子をオフにして前記自己昇圧回路を無効にする。
【0012】
一実施形態において、前記正の電源線と前記結合コイルとの間には前記スイッチング素子が結合される。
【0013】
一実施形態において、前記負の電源線と前記結合コイルとの間には前記スイッチング素子が結合される。
【0014】
一実施形態において、前記ロジック切断回路は、前記正の電源線と前記負の電源線との間の電圧が閾値より大きい場合に、前記自己昇圧回路を無効にする。
【0015】
一実施形態において、前記自己昇圧回路は、前記正の電源線と前記コンデンサとの間に結合されるダイオードをさらに含む。
【0016】
一実施形態において、前記保護回路は、前記スイッチに直列結合されるダイオードをさらに含む。
【0017】
一実施形態において、前記電源供給装置はソーラーパネルである。
【0018】
一実施形態において、電流検出ユニットは、ホールセンサであり、前記補助電圧を受ける。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムによれば、受電装置が無負荷状態である場合には、保護回路の短絡により電源供給装置の出力電圧を制限することができ、機器や作業者の安全を確保するとともに、自己昇圧回路により小電圧を昇圧して保護回路及び電流検出ユニットに供給するのに必要な電力を確保し、正常に動作させることができる。
【0020】
本発明の目的を達成するためになされた本発明の技術、手段、及び効果をより良く理解するために、本発明の目的及び特徴は、本発明の詳細な説明及び添付図面を参照することによってより良く理解されると考えられるが、添付図面は、参照及び説明のみを提供するものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムのブロック図である。
図2】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの第1実施形態の回路ブロック図である。
図3】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの第2実施形態の回路ブロック図である。
図4】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの第3実施形態の回路ブロック図である。
図5A】本発明に係る保護回路と電流検出ユニットと組み合わせて使用する実施形態の回路図である。
図5B】本発明に係る保護回路と電流検出ユニットと組み合わせて使用する他の実施形態の回路図である。
図5C】本発明に係る保護回路と電流検出ユニットと組み合わせて使用する別の実施形態の回路図である。
図6A】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの構成を示すブロック図である。
図6B】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの他の構成を示すブロック図である。
図6C】本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの別の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術内容及び詳細な説明について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムのブロック図である。図1に示すように、自励駆動機能を備えた給電システム(以下、「給電システム」と略称する)は、電源供給装置100と、ロジック切断回路10と、自己昇圧回路20と、保護回路30と、電流検出ユニット40とを含み、受電装置200に電力を供給するために用いられる。本発明の実施形態において、電源供給装置100は、直流電力出力を提供する装置である。
【0024】
図1に示すように、受電装置200は、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-とを介して電源供給装置100に結合されている。正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間にはロジック切断回路10が結合されている。正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間には自己昇圧回路20が結合され、自己昇圧回路20は、受信端子がロジック切断回路10の出力端子に結合されている。正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間には保護回路30が結合され、保護回路30は、自己昇圧回路20の出力端子に結合されている。電流検出ユニット40は、正の電源線Lp+又は負の電源線Lp-に結合され、正の電源線Lp+又は負の電源線Lp-上の電流の大きさを検出する。図1に示す実施形態では、電流検出ユニット40が正の電源線Lp+に結合されている。
【0025】
電源供給装置100は、直流出力の電源装置である。電源供給装置100としてソーラーパネル、受電装置200としてソーラーインバータを例に説明する。ソーラーパネルの構築に使用されるソーラーインバータが準備されていない状態(未準備の状態)にある場合、又は緊急の停電(メンテナンス、火災、その他の異常事態など)が必要な場合、ソーラーパネルから常時出力される直流電力による人命被害の発生を防止するため、保護回路30により正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間を短絡することにより、ソーラーインバータに供給される電圧を、例えば1ボルト程度の極めて小電圧値にまで低下させることができる。これにより、設備損失や人命被害が発生する可能性と程度を最小限に抑えることができる。電源供給装置100は、例えば、高電圧の直流出力を有する電源供給装置(例えば、遠く離れた小規模基地局に電力を供給する)であってもよい。受電装置200は、小規模基地局等の通信設備であってもよい。受電装置200が完全に無負荷の場合(メンテナンスやその他の異常状態等)には、保護回路30により受電装置200側の電圧が安全な電圧になることを保証してもよい。
【0026】
以下、本発明の給電システムの動作について説明する。図2は、本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの第1実施形態の回路ブロック図である。図2に示すように、電源供給装置100から電圧が出力されておらず、受電装置200も未準備の状態にある場合、このとき、給電経路Psを流れる電流Iaはゼロであり、給電システム全体の素子に電力が供給されておらず、電流検出ユニット40は電流を検出しない。
【0027】
説明の便宜上、10ボルトの直流電圧を例にとると、電源供給装置100が電圧の出力を開始すると、受電装置200が未準備の状態にある場合、受電装置200は無負荷状態となるので、給電経路Psを流れる電流Iaはゼロのままとなる。このとき、電源供給装置100の出力電圧は、給電システムの素子に必要な電力を供給する。電流検出ユニット40は、給電経路Ps上の電流Iaに応じて第1のレベルの電流検出信号Is(例えば低レベル信号)を出力し、保護回路30のスイッチS1は、電流検出信号Isによってオンする。これにより、正の電源線Lp+は負の電源線Lp-との間が短絡と同等の状態となり、ダイオードD11及びスイッチS1によって提供される両端電圧、わずか1ボルト程度の電圧値である。ここで、電圧需要に応じて、ダイオードの数量を増加又は減少させることができる。
【0028】
この1ボルトの小電圧は、保護回路30(のオペアンプ又は他の素子)及び電流検出ユニット40(例えば、ホールセンサ又は他の素子)に十分な電圧を供給するのに維持することができないため、これらの素子は、通常、より高い供給電圧を必要とする。この問題を解決するためには、仕様の特殊な素子を選択する必要があり、素子選択の困難さとコストの増加を招く。したがって、本発明では、自己昇圧回路20により、この小電圧を5~10ボルトの電圧値に昇圧する、即ち、自己昇圧回路20のコンデンサC12の補助電圧Vaを加えることにより、保護回路30及び電流検出ユニット40への高い電圧の供給を維持し、正常に動作させることができる。
【0029】
本実施形態では、自己昇圧回路20は、常閉型(normally closed)のリレーRLYを介して正の電源線Lp+に接続され、自己昇圧回路20には、1ボルトの小電圧が供給されて自励式に昇圧することができる。リレーRLYの制御端子は、自己昇圧回路20の受信端子としてロジック切断回路の出力端子に結合されている。自己昇圧回路20は、スイッチQ12(トランジスタスイッチ)と結合コイルL11とを含み、結合コイルL11は、2つの磁気的に結合されたコイルを備える。2つの磁気的に結合されたコイルは、一端が正の電源線Lp+に共通に結合され、他端がそれぞれスイッチQ12のベースと、コレクタとに結合されている。上記小電圧は、結合コイルL11により、スイッチQ12のベースに流れる電流Iとコレクタに流れる電流Iを生成し、ここで、I=βIである。ベース電流Iが増加し始めると、コレクタ電流Iも増加し、結合コイルL11がエネルギー蓄積を開始する。コレクタ電流Iが大きくなるとβ値が低下し、I<βIとなると、スイッチQ12は飽和領域に入り、それに伴って遮断領域に入り、スイッチQ12はオフにされる。このとき、結合コイルL11に蓄積されたエネルギーは、ダイオードD12、コンデンサC12の経路を介してコンデンサC12に充電され、補助電圧Vaが増加し、昇圧コンバータ(boost converter)のように作用する。言い換えれば、自己昇圧回路20は、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間の電圧を補助電圧Vaに変換し、保護回路30及び電流検出ユニット40に電源を供給する。
【0030】
結合コイルL11へのエネルギー放出が完了すると、ベース電流Iが再び流れるので、コレクタ電流Iも増加する。このようにして、結合コイルL11のエネルギー蓄積及び放出を繰り返すことで、自励振動のスイッチング動作により励磁電流のエネルギー蓄積及び放出を達成することができる。このように、補助電圧Vaを徐々に増加させることにより、1ボルトの小電圧を5~10ボルトの電圧値に昇圧することができ、保護回路30及び電流検出ユニット40への給電を正常に動作させることができる。これは、受電装置200が無負荷状態となり(有負荷状態となっていない)、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間に短絡と同等の状態となる小電圧が存在する場合である。
【0031】
受電装置200が有負荷状態になり始めるとは、受電装置200はすでに操作を開始することを意味する。正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間に小電圧が存在するので、このとき、給電経路Psを流れる電流Iaがゼロでなく、電流検出ユニット40は、給電経路Ps上の電流Iaに応じて第2レベルの電流検出信号Is(例えば高レベル信号)を出力し、保護回路30のスイッチS1は、電流検出信号Isによってオフする。これにより、正の電源線Lp+は負の電源線Lp-との間が開放と同等の状態となる。正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間が短絡されることがなくなるため、保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力は、自己昇圧回路20を介して供給される必要がなくなるので、ロジック切断回路10により自己昇圧回路20を無効(disable)にする。代わりに、電源供給装置100により保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力、例えば、このとき電源供給装置100が出力する10ボルトを供給する。
【0032】
具体的には、電源供給装置100が出力する10ボルトの電圧は、抵抗R12、抵抗R13により分圧され、分圧された電圧によってスイッチQ13をオンにし、抵抗R14、抵抗R15により分圧され、分圧された電圧によってスイッチQ14をオンにする。これにより、ツェナーダイオードD14には一定の電圧が供給され、この電圧によりスイッチQ15がオンし、コンデンサC13には電圧が加えられる。このコンデンサ電圧はリレーRLYのコイルに結合されており、コイルに電圧が誘起されると、リレーRLYは遮断(開放)されるので、正の電源線Lp+と自己昇圧回路20との間の経路が遮断され、結合コイルL11のエネルギー蓄積と放出の経路がなくなり、自己昇圧回路20の昇圧動作が無効にされる(停止する)。言い換えれば、自己昇圧回路20は、受信端子(リレーRLY)によりロジック切断回路10の出力端子に結合され、ロジック切断回路10は、出力端子により自己昇圧回路20を無効にすることができる。
【0033】
このとき、電源供給装置100が出力する10ボルトの電圧もダイオードD13を介してコンデンサC12に充電される。言い換えれば、ダイオードD13は、自己昇圧回路20が無効にされたときにコンデンサC12を充電する経路を提供するので、コンデンサC12は、自己昇圧回路20が無効にされたときに十分な補助電圧Vaを供給することができ、保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力を供給し続けることができる。
【0034】
図3は、本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの第2実施形態の回路ブロック図である。第2実施形態と図2に示す第1実施形態の主な違いは、ロジック切断回路10の違いである。自己昇圧回路20は、スイッチQ22により負の電源線Lp-に接続され、スイッチQ22の制御端子は、自己昇圧回路20の受信端子とされ、ロジック切断回路10に結合されている。このようにして、受電装置200が無負荷状態である場合には、保護回路30のスイッチS1がオンに制御され、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間が短絡状態となる。したがって、1ボルトの小電圧が抵抗R23を介してスイッチQ22をオンに制御することにより(ただし、抵抗R21、R22で分圧された電圧はスイッチQ21をオンするのに十分ではない)、自己昇圧回路20は、有効(enable)にされて自励的に起動することになる。その昇圧動作の原理は前述したので、ここでは省略する。これにより、1ボルトの小電圧を5~10ボルトの電圧に昇圧して、保護回路30及び電流検出ユニット40への給電を維持し、正常に動作させることができる。
【0035】
受電装置200が有負荷状態になり始めると、給電経路Psを流れる電流Iaがゼロでなくなり、保護回路30のスイッチS1がオフとなるので、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間が開放と同等の状態となる。保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力は、自己昇圧回路20を介して供給される必要がなくなるので、ロジック切断回路10により自己昇圧回路20を無効にする。代わりに、電源供給装置100により保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力を供給する。
【0036】
具体的には、電源供給装置100が出力する10ボルト電圧は、抵抗R21、抵抗R22により分圧されて、分圧された電圧によってスイッチQ21をオンにする。スイッチQ21がスイッチQ22(例えばMOS)のゲートとソースに接続されるため、0ボルトの電圧によりスイッチQ22をオフにする。このように、スイッチQ22がオフされることにより、自己昇圧回路20と負の電源線Lp-との間の経路が遮断され、結合コイルL11のエネルギー蓄積と放出の経路がなくなり、自己昇圧回路20の昇圧動作が無効にされる(停止する)。
【0037】
このとき、電源供給装置100が出力する10ボルトの電圧もダイオードD13を介してコンデンサC12に充電される。言い換えれば、ダイオードD13は、自己昇圧回路20が無効にされたときにコンデンサC12を充電する経路を提供するので、コンデンサC12は、自己昇圧回路20が無効にされたときに十分な補助電圧Vaを供給することができ、保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力を供給し続けることができる。
【0038】
図4は、本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの第3実施形態の回路ブロック図である。第3実施形態と図2に示す第1実施形態の主な違いは、ロジック切断回路10の違いである。受電装置200が無負荷状態である場合には、保護回路30のスイッチS1がオンに制御され、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-とが短絡状態となる。したがって、1ボルトの小電圧が抵抗R35、抵抗R36を介して電圧Vbを供給し、スイッチQ33がオンに制御されることにより、自己昇圧回路20は、有効(enable)にされて自励的に起動することになる。その昇圧動作の原理は前述した通りであるので、ここでは省略する。これにより、1ボルトの小電圧を5~10ボルトの電圧に昇圧して、保護回路30及び電流検出ユニット40への給電を維持し、正常に動作させることができる。
【0039】
受電装置200が有負荷状態になり始めると、給電経路Psを流れる電流Iaがゼロでなくなり、保護回路30のスイッチS1がオフとなるので、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間が開放と同等の状態となる。保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力は、自己昇圧回路20を介して供給される必要がなくなるので、ロジック切断回路10により自己昇圧回路20を無効にする。代わりに、電源供給装置100により保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力を供給する。
【0040】
具体的には、電源供給装置100が出力する10ボルト電圧は、抵抗R31、抵抗R32により分圧されて、分圧された電圧によってスイッチQ31(例えばn-MOS)をオンにする。同時に、10ボルト電圧は、抵抗R33、抵抗R34により分圧されて、分圧された電圧によってスイッチQ32(例えばp-MOS)をオンにする。このとき、電圧Vbは、正の電源線Lp+の10ボルトであり、スイッチQ33(例えばp-MOS)をオフに制御するので、自己昇圧回路20と正の電源線Lp+との間の経路を遮断し、結合コイルL11のエネルギー蓄積と放出の経路をなくして、自己昇圧回路20の昇圧動作を無効にする(停止させる)。
【0041】
このとき、電源供給装置100が出力する10ボルトの電圧もダイオードD13を介してコンデンサC12に充電される。言い換えれば、ダイオードD13は、自己昇圧回路20が無効にされたときにコンデンサC12を充電する経路を提供するので、コンデンサC12は、自己昇圧回路20が無効にされたときに十分な補助電圧Vaを供給することができ、保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力を供給し続けることができる。
【0042】
図2図4の説明によれば、ロジック切断回路10は、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間の電圧に基づいて、自己昇圧回路20を無効又は有効にするものであるので、ロジック切断回路10内のパラメータ(例えば抵抗値)を調整することにより、自己昇圧回路20を無効にする条件を決定することができる。例えば、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間の電圧が閾値よりも大きい場合には、自己昇圧回路20を無効にするように設定することにより、給電システムの各素子に十分な電圧源を確保することができる。
【0043】
図5A図5Cは、本発明に係る保護回路と電流検出ユニットと組み合わせて使用する異なる実施形態の回路図である。図5Aに示す実施形態は、図2図4に示す保護回路30(単一のスイッチS1の制御)を使用する実施形態とは異なり、保護回路30として2つのスイッチS1、スイッチS2を使用し、電流検出ユニット40は検出抵抗RSを使用して差動増幅器を併用する。ここで、2つのスイッチS1、スイッチS2は相補的に制御され、即ち、一方はオンにされると、他方はオフにされる。受電装置200が無負荷状態となるとき(電流Iaがゼロであるとき)、検出抵抗RSの両端電圧Vabはゼロとなるので、電流検出信号Isの電圧V2は低電位となる。基準電圧Vrefは電圧V2よりも大きいので、電圧V3は高電位となり、スイッチS1はオン、スイッチS2はオフとなる。逆に、受電装置200が有負荷状態になり始めると(電流Iaがゼロでないとき)、検出抵抗RSの両端電圧Vabはゼロではないので、電流検出信号Isの電圧V2は高電位となる。基準電圧Vrefは電圧V2よりも小さいので、電圧V3は低電位となり、スイッチS1はオフ、スイッチS2はオンとなる。
【0044】
図5Bは、電流Iaの大きさを検出するために検出抵抗RSが使用された図5Aと比較して、電流検出ユニット40として電流変成器又はホールセンサを直接使用し、電圧差動回路の構成を省略している。電流変成器を使用する利点は、電源を必要とせずに電流が流れることを利用して電流又は電圧を誘導することで、電流検出信号Isを出力できることである。電流検出ユニット40は、受電装置200が無負荷状態となるとき(電流Iaがゼロであるとき)、低電位の電圧V2を出力する。基準電圧Vrefは電圧V2よりも大きいので、電圧V3は高電位となり、スイッチS1はオン、スイッチS2はオフとなる。一方、電流検出ユニット40は、受電装置200が有負荷状態になり始めると(電流Iaがゼロでないとき)、高電位の電圧V2を出力する。基準電圧Vrefは電圧V2よりも小さいので、電圧V3は低電位となり、スイッチS1はオフ、スイッチS2はオンとなる。
【0045】
図5Cに示す実施形態では、保護回路30の制御として2つのスイッチQ1、スイッチS1を使用する。受電装置200が無負荷状態となるとき(電流Iaがゼロであるとき)、電源供給装置100が出力する10ボルトの電圧がスイッチS1をオンにし、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間に短絡と同等の状態となる小電圧が存在する。この小電圧が電流検出ユニット40に給電し、電流検出ユニット40が大きな電圧を必要とする場合には、自己昇圧回路20により給電することができる。受電装置200が有負荷状態になり始めると、電流検出ユニット40が出力する電流検出信号Isは、スイッチQ1をオンに制御して、スイッチS1のゲートに結合される電圧Vdが0ボルトとなり、スイッチS1がオフになるので、正の電源線Lp+と負の電源線Lp-との間が開放と同等の状態となる。本実施形態では、抵抗R1の抵抗値が比較的に大きく設計されるため、電流Iaが受電装置200に流れることになる。なお、ダイオードD1は、スイッチS1の駆動電圧を制御するために、ツェナーダイオード、過渡電圧サプレッサ(TVS)、又はレギュレータICであってもよい。
【0046】
図6A図6Cは、本発明に係る自励駆動機能を備えた給電システムの異なる構成を示すブロック図である。図6Aでは、複数組の電源供給装置100がそれぞれ対応するロジック切断回路10、自己昇圧回路20、保護回路30、及び電流検出ユニット40に直列接続されて構成された単一のストリング(single string)を、受電装置200に接続させる給電構成を示している。図6Bでは、図6Aの複数のストリング(multiple string)を受電装置200に並列接続させる給電構成を示している。図6Cでは、複数(図示は2つ)の電源供給装置100が対応する1組のロジック切断回路10、自己昇圧回路20、保護回路30、及び電流検出ユニット40に直列接続されて構成された単一のストリング(single string)を受電装置200に接続させる給電構成を示している。
【0047】
以上をまとめると、本発明の特徴と利点は次の通りである。
(1)本発明の保護回路30は、通信ユニット、通信線を使用する必要がなく、通信プロトコルを必要とせず、回路コストの削減及び制御回路の設計の簡略化に有効である。
(2)受電装置200が無負荷状態である場合には、保護回路30の短絡により電源供給装置100の出力電圧を制限することができ、機器や作業者の安全を確保することができる。
(3)受電装置200が無負荷状態である場合には、自己昇圧回路20により小電圧を昇圧して保護回路30及び電流検出ユニット40に供給するのに必要な電力を確保し、正常に動作させることができる。
(4)受電装置200が有負荷状態である場合には、ロジック切断回路10により自己昇圧回路20を無効にすることで、電源供給装置100は、保護回路30及び電流検出ユニット40に必要な電力を直接供給することができる。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の全ての範囲は以下の特許請求の範囲に基づくものであり、本発明の特許請求の範囲に合致する精神とその類似の変形例は、本発明の範囲に含まれるべきであり、当業者であれば、本発明の技術的範囲内において、容易に思いつくことができ、また、その変形例や修正例も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
100 電源供給装置
200 受電装置
10 ロジック切断回路
20 自己昇圧回路
30 保護回路
40 電流検出ユニット
Lp+ 正の電源線
Lp- 負の電源線
Ps 給電経路
L11 結合コイル
RLY リレー
Q1、Q12、Q13、Q14、Q15 スイッチ
Q21、Q22 スイッチ
Q31、Q32、Q33 スイッチ
S1、S2 スイッチ
R12、R13、R14、R15 抵抗
R21、R22、R23 抵抗
R31、R32、R34、R35 抵抗
R1、R2 抵抗
RS 検出抵抗
C12、C13 コンデンサ
D11、D12、D13 ダイオード
D1 ダイオード
D14 ツェナーダイオード
Va 補助電圧
Vb、Vd、V2、V3 電圧
Vref 基準電圧
Is 電流検出信号
Ia 電流
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C