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特開2022-31149表示モジュール、表示パネル及び当該表示パネルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031149
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】表示モジュール、表示パネル及び当該表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220210BHJP
   G09F 9/40 20060101ALI20220210BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20220210BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20220210BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220210BHJP
【FI】
G09F9/00 346D
G09F9/40 301
G09F9/33
G09F9/00 342
H01L33/00 L
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118403
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020134204
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】高原 博司
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA42
5C094BA23
5C094CA19
5C094DA01
5C094DA12
5C094DB05
5C094FB02
5F142CD02
5F142DA64
5F142DB16
5F142DB20
5F142DB24
5F142DB54
5F142EA34
5F142GA02
5G435AA17
5G435BB04
5G435CC09
5G435EE36
5G435EE41
5G435HH20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マトリックス状にLEDを実装された表示ディスプレイは、製造歩留まりが悪いという課題があった。
【解決手段】信号線214aが形成された領域間にCOF接続配線235を形成または配置する。COF接続配線235は、めっき膜215と電気的に接続されている。COF接続配線235にCOFがACFで電気的に接続される。COF接続配線235は、ガラス基板202の裏面でめっき膜215から分岐される。ガラス基板の表面の粗化部と裏面の粗化部とは垂直方向で位置が異なる。したがって、表面の粗化部を粗化するレーザ光位置と、裏面の粗化部を粗化するレーザ光位置とが一致しないため、裏面の粗化部を形成する際に、信号線214あるいは端子電極232を切断あるいは破損させることがない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表示モジュールと、第2の表示モジュールとを有し、
前記第1の表示モジュールに第1の信号線が形成され、
前記第2の表示モジュールに第2の信号線が形成され、
前記第1の信号線と前記第2の信号線は、近接して配置され、
前記モジュールに裏面に駆動回路と接続される第3の信号線が形成され、
前記第1の信号線と前記第3の信号線とが、表示モジュールの側面に形成された配線で電気的に接続されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記第1の表示モジュール及び第2の表示モジュールには、前記信号線がマトリックス状に形成され、
前記信号線の交点に、LEDが形成または配置されていることを特徴とする請求項1記載の表示パネル。
【請求項3】
前記第1の表示モジュールと第2の表示モジュール間に、ガラス接着材が充填されていることを特徴とする請求項1記載の表示パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示パネル等の製造における基板の位置合わせマーカ、位置合わせ方法、位置合わせマーカの製造方法、及び、表示パネル、表示モジュールの製造方法及びアクティブマトリックス型表示パネルと表示装置、表示パネルのカバーガラス及び表示パネルのカバーガラスの製造方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大画面液晶テレビが商品化され、また、有機EL素子を利用した有機ELテレビが商品化されている。しかし、液晶テレビはコントラストが低いという課題があり、有機ELテレビは画像が焼きつくという課題がある。
この課題を解決するため、近年では画素に自発光するLEDを使用した大型LEDテレビが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164764
【特許文献2】特開2014-224010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画素に自発光するLEDを使用した大型LEDテレビは、数百万個のLEDを実装する必要があり、LED実装不良が発生しやすく、歩留まりが低い。
【0005】
本発明は、歩留まり向上のため、複数の表示モジュールあるいは表示パネルを作製し、複数の表示モジュールを組み合わせることにより1つの表示画面を構成する方法を提案する。
【0006】
複数の表示モジュールを組み合わせるためには、各表示モジュールを位置決めし、表面に形成された信号線に配線を接続し、裏面あるいは側面に配置したドライバ回路から、前記配線を介して信号線に映像信号、選択信号等を印加する必要がある。
配置の形成のためには、表示モジュールに位置決めマーカを形成し、位置決めマーカを基準位置として配線を形成する。
【0007】
特許文献1には、コマンドを受信すると、マーカヘッドによる加工対象物の撮像によって得られた画像データを用いて基準位置に対する加工対象物のずれ量を算出するとともに、ずれ量をコントローラ21に通知し、コントローラ21は、ずれ量に基づきレーザ光を走査する位置を補正した後、マーカヘッドに走査を実行させる位置決め方式が開示されている。
特許文献1は、特許文献1の図9に図示するマーカを上方から認識するものであって、側面からマーカを認識することはできない。
特許文献2には、レーザ光照射による貫通穴の形成後、貫通穴にドライガスを吹き付けてクラックの発生を抑制する方法が記載されている。
特許文献2は、良好な貫通穴を形成することが難しく、また、クラック発生の抑制効果も小さい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
信号線214が形成された領域間にCOF接続配線235を形成または配置する。COF接続配線235は、めっき膜215と電気的に接続されている。COF接続配線235にCOF218がACF219で電気的に接続される。
【0009】
COF接続配線235は、ガラス基板202の裏面でめっき膜215から分岐される。粗化部244aと粗化部244cとは垂直方向で位置が異なる。したがって、粗化部244aを粗化するレーザ光205b位置と、粗化部244cを粗化するレーザ光205b位置とが一致しない。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の表示モジュール203を組み合わせることより、大画面の表示画面165を構成する。各表示モジュール203は、表示不良の検査を行い、不良は修正をして完成させる。したがって、良品の表示モジュール203を組み合わせることにより表示ディスプレイを構成するため、製造歩留まりを向上させることができる。
【0011】
また、COF接続配線235は、ガラス基板202の裏面でめっき膜215から分岐される。粗化部244aと粗化部244cとは垂直方向で位置が異なる。したがって、粗化部244aを粗化するレーザ光205b位置と、粗化部244cを粗化するレーザ光205b位置とが一致しない。そのため、レーザ光205による粗化工程で、信号線214、トランジスタ117等を破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の表示パネルの説明図および断面図である。
図2】本発明の表示パネルの説明図および断面図である。
図3】本発明の表示パネルの説明図である。
図4】本発明の表示パネルの画素部の等価回路図及び説明図である。
図5】本発明の表示パネルの画素部の説明図である。
図6】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図7】本発明の位置合わせマーカの説明図である。
図8】本発明の位置合わせマーカの製造方法の説明図である。
図9】本発明の位置合わせマーカの説明図である。
図10】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図11】本発明の表示パネルの構造図である。
図12】本発明の表示パネルの一部断面図である。
図13】本発明の表示パネルの構造図である。
図14】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図15】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図16】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図17】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図18】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図19】本発明の製造方法の説明図である。
図20】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図21】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図22】本発明の製造方法の説明図である。
図23】本発明の表示パネルの構造図である。
図24】本発明の表示パネルの一部断面図である。
図25】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図26】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図27】本発明の表示パネルの構造図である。
図28】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図29】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図30】本発明の表示パネルの製造方法のフローチャート図である。
図31】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図32】本発明の表示パネルの説明図である。
図33】本発明の表示パネルの説明図である。
図34】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図35】本発明の表示パネルの説明図である。
図36】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図37】本発明の表示パネルの説明図である。
図38】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図39】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図40】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図41】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図42】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図43】本発明の表示パネルの説明図である。
図44】本発明の表示パネルのカバーガラスの説明図である。
図45】本発明の表示パネルのカバーガラスの製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態について説明をする。発明を実施するための形態を説明するための各図面において、同一の機能を有する要素、構成には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、本明細書に記載する本発明の実施例は、一部または全部をそれぞれの実施例と組み合わせることができる。
【0014】
必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、当業者が本開示を十分に理解するために図面、及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0016】
図7は、本発明の位置合わせマーカの説明図である。なお、図7等で図示する位置合わせマーカは、十字マークとして図示しているが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、円形、多角形、矩形等、また、複数の形状の組み合わせであってもよい。
【0017】
位置合わせマーカ201は、基板202に形成されている。基板202はガラス等の光透過性を有する基板であり、具体的には、0.5mm厚の石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、ライトライムガラス等である。特に、無アルカリガラス基板を選択することが好ましい。
【0018】
なお、基板202は、ガラス等の無機材料に限定されるものではなく、光透過性を有する樹脂材料であってもよい。有機材料からなる基板としては板状のもの、フィルム状のいずれでもよく、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂から構成されたものが例示される。その他、セラミック基板、金属基板に絶縁膜が形成された基板が例示される。以降は、ガラス基板を例示して説明する。
【0019】
ガラス基板202厚としては0.2mm以上0.8mm以下が例示される。ガラス基板202の裏面が、シリコンあるいはアルミなどの金属基板で構成されていても、着色されたプラスチック基板で構成されていてもよい。
【0020】
図7(a)に図示するように、位置合わせマーカ201は少なくとも基板形状の対角位置に形成される。好ましくは4辺の隅、4辺の中央部に形成される。位置合わせマーカ201は、ガラス基板202に深さ方向に加工されて形成されている。深さは、2μm以上が例示される。
【0021】
位置合わせマーカ201は、図9に図示するように、ガラス基板202の上方から画像認識カメラ206a、画像認識カメラ206bで位置合わせマーカ201a、位置合わせマーカ201bを認識する。
【0022】
ガラス基板202は光透過性を有する。したがって、ガラス基板202の側面から、位置合わせマーカ201を認識することができる。また、ガラス基板202の裏面から位置合わせマーカ201を認識することができる。
ガラス基板202の側面から、画像認識カメラ206c、画像認識カメラ206dで位置合わせマーカ201a、位置合わせマーカ201bを認識する。
図7は位置合わせマーカ201の構造図、説明図である。図7(a)は基板202を上方から見た平面図、図7(b)、図7(c)は側面図である。
【0023】
位置合わせマーカ201は、基板202の上面、裏面、側面から、認識することができる。なお、基板が可視光を透過しない場合であっても赤外線を透過する材料で形成または構成されている場合、赤外線カメラで位置合わせマーカ201を側面から認識することができる。
【0024】
図7(d)に図示するように、位置合わせマーカ201に斜面を有するプリズム形状としてもよい。図7(d)に図示するように、照明光227を位置合わせマーカ201の斜面で反射させ、斜面で反射光を検出することにより、位置合わせマーカ201eを検出し、位置合わせマーカ201eの位置を基準として位置決めを行う。プリズム形状の斜面部は、臨界角以上の角度とすることにより、反射膜を形成せずとも、照明光227を反射する。
【0025】
図7(d)の位置合わせマーカ201eもガラス基板202の上面から認識することができ、位置を行うことができる。ガラス基板202の側面からも位置合わせマーカ201eを認識することができ、位置決めを行うことができる。必要に応じて、基板202の裏面からも位置合わせマーカ201を認識し、位置合わせを行うことができる。
【0026】
図9に図示するように、ガラス基板202あるいは表示モジュール203は、XYZステージ217に積載され、XYZステージ217に、エアーチェック機構(図示せず)で、ガラス基板202あるいは表示モジュール203は固定される。
【0027】
画像認識カメラ206は、オートフォーカス機能を有し、位置合わせマーカ201にフォーカスを合わせて、ガラス基板202あるいは表示モジュール203の位置を認識する。認識した位置からレーザ光205を照射する位置を設定する。また、基板202にレーザ光を照射し、レーザ光の反射時間から、基板202位置を測定あるいは計測する。
【0028】
本発明の位置合わせマーカ201は、透明あるいは光透過性を有するガラス基板202等、あるいは表示モジュール203等に形成され、深さ方向に形状のある3D形状に作製されている。そのため、図9に図示するように、ガラス基板202あるいは表示モジュール203の上方だけでなく、側面からも位置合わせマーカ201を認識することができる。
【0029】
したがって、ガラス基板202の上方からレーザ光205を照射する際の位置決め、及びガラス基板202の側面からレーザ光205を照射する際の位置決めの両方に位置合わせマーカ201を利用することができる。
【0030】
図8は本発明の位置合わせマーカ201の作製方法を説明する説明図である。図8(a)に図示するように、位置合わせマーカ201を形成する位置に、レーザ光吸収部224(222)を形成する。レーザ光吸収部224(222)の形成方法としては、蒸着、ジルコニアによる形成する方法、スパッタによる形成する方法、電着による形成する方法、焼結による形成する方法が例示される。
ガラス基板202は、軟化温度が約730℃前後、融点は全成分を完全に溶融させる温度と定義するならば約1200℃~1500℃前後である。
【0031】
レーザ光吸収部224(222)を形成する材料は、ガラス基板202の融点よりも高い材料であることが好ましく、また、照射するレーザ光205を吸収しやすい材料を選定することが好ましい。また、レーザ光吸収部224(222)を形成する材料の沸点は、ガラス基板202の融点よりも高いことが好ましい。
【0032】
また、レーザ光吸収部224(222)の材料がガラス基板202をエッチングする液体、あるいはゲル、あるいは樹脂を含有することが好ましい。たとえば、フッ化アンモニウムからなる液体あるいはゲルに高屈折率材料(屈折率1.60以上)を含有あるいは拡散させることが例示される。
【0033】
液体、あるいはゲル、あるいは樹脂は、アクリル系あるいはエポキシ系の紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂が例示される。紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂を用いることにより、塗布後に硬化させることにより、塗布位置が固定され、レーザ光位置を精度よく設定できる。
【0034】
液体、あるいはゲル、あるいは樹脂に含有させる金属材料としては、たとえば、チタン、鉄、モリブデン、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)、チタニア(二酸化チタン)等の金属あるいはその酸化物であり、ガラス基板202の融点よりも高融点の金属が好ましい。
【0035】
フッ化アンモニウムの液体あるいはゲルあるいは樹脂に酸化チタン粉末等を含有させ、アセトン等の希釈剤で粘度を調整して、インクジェット方式等で塗付して、レーザ光吸収部224(222)を形成する。塗布後、紫外線を照射または加熱のうち少なくとも一方を行うことによりレーザ光吸収部224(222)を硬化させる。
【0036】
液体、あるいはゲル、あるいは樹脂、あるいは無機材料に高屈折フィラー(チタニア、ジルコニア等)を分散させた膜をレーザ光吸収部224(222)として形成することが好ましい。特にチタニア(二酸化チタン)は、安定していて好ましい。高屈折フィラー(チタニア、ジルコニア等)を用いることにより、レーザ光吸収部224(222)の材料の屈折率を1.60~1.68の高屈折率に構成あるいは形成することができる。高屈折率に構成あるいは形成することにより、レーザ光の吸収率が向上し、ガラス加工の速度が向上する。
【0037】
なお、レーザ光吸収部224(222)は、液体、ゲル等ガラス腐食材料に高屈折フィラー(チタニア、ジルコニア等)を分散させた膜を例示するが、本願発明はこれに限定するものではない。レーザ光吸収部224(222)は、高融点金属、セラミック材料等の単体をスパッタリング、蒸着方法にて、凹部216、貫通穴223、溝等の加工箇所に形成してもよい。
【0038】
レーザ光吸収部224にレーザ光205が照射されることにより、レーザ光吸収部224が発熱し、発熱した熱によりガラス基板202が溶解、蒸発する。レーザ光205のパワーを調整し、好ましくは、レーザ光吸収部224を形成する材料の沸点以下で、かつ、ガラス基板202を形成する材料の溶解温度以上に制御する。
【0039】
レーザ光205によりガラス基板202の該当箇所に穴が形成され、穴は、順次、深さ方向に進行する。レーザ光吸収部224の材料の沸点以下の温度を維持することにより、ガラス基板202に穴、あるいは溝が形成される。穴、あるいは溝が形成には、フッ素、フッ酸等の化合物が作用する。
【0040】
好ましくは、図14図19図20に図示するように、レーザ光吸収部224にスリット228(レーザ光吸収部224が形成されていない部分)を形成し、スリット228から照射されたレーザ光205により、ガラス基板202材料を溶解あるいは加工してもよい。スリット228の周辺部のレーザ光吸収部224はレーザ光り205を吸収し、発熱してよりガラス基板202材料を溶解させ、あるいは加工され、凹部216または貫通穴223の形成を促進させる。
レーザ加工時は、最初はレーザ光の強度を強くし、ガラス基板が溶解を開始するとレーザ光を弱くする。
【0041】
なお、ガラス基板202に貫通穴223を形成する場合は、ガラス基板202の両面(表面側と裏面側)から、レーザ光205を、同時に、あるいは交互に、あるいは一方の加工後に他方から照射する。また、一定以上の穴が形成された後は、フッ酸(フッ化水素、弗化水素 HF)を用いて、ガラス基板202を腐食させることにより貫通穴223を形成する。また、加工穴には、ガラス基板202の溶解に適合して、フッ酸等を供給する。
【0042】
レーザ光吸収部224の材料として、タングステン(W 融点3407℃)、タンタル(Ta 融点2985℃)、チタン(Ti 融点1666℃)、鉄(Fe 融点1536℃)、ニッケル(Ni 融点1455℃)、白金(Pt 融点1769℃)、パラジウム(Pd 融点1552℃)、モリブデン(Mo 融点2623℃)が例示される。
【0043】
中でも、高融点のチタン(Ti 融点1666℃)、タングステン(W 融点3407℃)、モリブデン(Mo 融点2623℃)、または、これらの合金を使用することが好ましい。これらの金属あるいは合金は、液晶パネル、有機ELパネル等の信号線の形成材料として使用されているため、本発明の表示モジュールの製造方法に適用することが容易である。
また、レーザ光吸収部224をめっき技術で作製する場合は、ニッケル(Ni 融点1455℃)、鉄(Fe 融点1536℃)を採用することが好ましい。
【0044】
図8(a)に図示するように、位置合わせマーカ201の形成する位置あるいは位置を含む近傍にレーザ光吸収部224の材料を形成または配置する。レーザ光吸収部224の膜厚は、1μm以上が好ましい。
【0045】
次に、レーザ加工装置204で位置合わせマーカ201の形成部にレーザ光205を照射する。一例としてレーザ光205は図7に図示するように、十字形状である。図7(d)に図示するように、斜面を有するプリズム形状であってもよい。加工深さは、2μm以上とし、好ましくは、100μm以上の深さに加工する。
【0046】
位置合わせマーカ201の加工は、フェムト秒レーザ加工装置204が発生するレーザ光205で行う。加工状態あるいは粗化状態は、フェムト秒レーザ光205のレーザ強度、照射するレーザパルスの移動速度を変更あるいは設定することにより容易に実現できる。
【0047】
フェムト秒レーザ加工装置204は、一般にパルス幅が、サブピコ秒から数十フェムト秒のフェムト秒レーザ光205を発生する。サブピコ秒から数十フェムト秒の超短パルスのレーザ光205を材料に照射した場合、材料の熱拡散時間に比べてパルス幅が十分に短いため、光エネルギーを有効に照射部に投入できる。
【0048】
その結果、照射周辺部への熱影響を局限化することが可能で、高精度な微細加工が実現できる。また、レーザ光の電場強度が非常に高いので、ビームが集光されたところにのみ、空間選択的に多光子吸収、多光子イオン化等の非線形作用を誘起することができる。
【0049】
フェムト秒グリーンレーザは、第二高調波であるため、比較的高出力を取り出すことができ、レーザ光吸収部224に対しても、照射したレーザ光の吸収が良好である。
【0050】
フェムト秒グリーンレーザが出射する光の波長は500nm~550nmであるのが好ましい。パルス幅は、1フェムト秒~1000フェムト秒であるのが好ましい。
【0051】
ピコ秒レーザを用いる場合、ピコ秒レーザが出射する光の波長は500nm~550nmであるのが好ましい。パルス幅は、1ピコ秒~10ピコ秒であるのが好ましい。
【0052】
ガラス基板202の表面は、パルス幅の単位がピコ秒であるピコ秒レーザ光、又はフェムト秒であるフェムト秒レーザ光により粗化され、また加工される。ガラス基板202を加温することにより、溶解速度は速くなる。
【0053】
図8(a)等で説明するレーザ光吸収部224の形成、レーザ光205の照射によるガラス基板202の加工は、複数回、繰り返しても良い。レーザ光205の照射によりレーザ光吸収部224が除去されることにより、加工箇所のガラス基板202の加熱が小さくなる。その対策として、レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射 -> レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射を複数回、繰り返す。
【0054】
次に、図8(b)に図示するように、位置合わせマーカ201部を含む箇所に、光反射機能あるいは、光吸収機能を有する反射膜211を形成する。たとえば、反射膜211の材料として、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)が例示される。反射膜211の材料は、加工された位置合わせマーカ201の底部及び側面に付着し、位置合わせマーカ201は光を吸収または反射する。また、位置合わせマーカ201は、ガラス基板202の上方、あるいは側面から観察することができる。
【0055】
図8の実施例では、位置合わせマーカ201部に反射膜211を形成するとしたが、位置合わせマーカ201の形成部と、他の箇所とのコントラストがあれば、位置合わせマーカ201の位置を検出することができる。したがって、反射膜211の替わりに、光吸収膜211を形成または配置してもよい。なお、説明を容易にするため、薄膜または厚膜211は反射膜211として説明する。
【0056】
位置合わせマーカ201は、光を吸収または反射することにより、他の部分(位置合わせマーカ201が形成されていない領域)とコントラストがつき、位置合わせマーカ201として機能する。
【0057】
図8(c)に図示するように、位置合わせマーカ201の加工位置、あるいは/または位置合わせマーカ201の加工位置を含む近傍に、マスク212(マスク212a、マスク212b)を形成する。
次に、図8(d)に図示するように、マスク212をマスクとして、他の箇所に形成された反射膜あるいは吸収膜211をエッチングにより除去する。
【0058】
次に、図8(e)に図示するように、マスク212をエッチング等で除去することにより、反射膜211が形成された位置合わせマーカ201を形成することができる。
【0059】
図8(d)では、マスク212により、位置合わせマーカ201部に反射膜211等を残存させるとした。しかし、位置合わせマーカ201部以外を研磨、剥離等の技術により除去してもよいことは言うまでもない。
【0060】
図3図4は、本発明の表示パネルの等価回路図である。赤色(R)の画素175R、緑色(G)の画素175G、青色(B)の画素175Bが表示画面165にマトリックス状に配置されている(図5参照)。なお、画素175の色は、RGBに限定されるものではない、黄色(Y)を加えて4色でもよく、また、RBの2色や、RGBのいずれか1色の表示モジュール203であってもよい。
【0061】
また、図5に図示するように、矩形の画素175(画素175R、画素175G、画素175B)をマトリックス状に配置する構成に限定されるものではなく、円形あるいは円弧状の画素をドット状に配置した画素構成であっても良いことは言うまでもない。
【0062】
各画素175には、薄膜トランジスタ(TFT)171、コンデンサ173、LED172が形成、または、配置、もしくは実装されている。TFT171はスイッチ用トランジスタ117、または、駆動用トランジスタとして機能する。
低温多結晶酸化物(LTPO)、低温ポリシリコン(LTPS)、酸化化合物(IGZO)技術を用いてトランジスタ117等が形成あるいは作製される。
【0063】
本明細書では、駆動用トランジスタ171a、スイッチ用トランジスタ171は、薄膜トランジスタとして説明するが、これに限定するものではない。薄膜ダイオード(TFD)、リングダイオードなどでも構成することができる。
【0064】
薄膜素子に限定するものではなく、シリコンウエハに形成したトランジスタでもよい。たとえば、シリコンウエハでトランジスタを構成し、剥がしてガラス基板に転写したものが例示される。また、シリコンウエハでトランジスタチップを形成し、ガラス基板のボンディング実装した表示パネルが例示される。
【0065】
トランジスタ171は、FET、MOS-FET、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタでもよい。これらも基本的に薄膜トランジスタである。その他、バリスタ、サイリスタ、リングダイオード、ホトダオード、ホトトランジスタ、PLZT素子などでもよいことは言うまでもない。
【0066】
本発明のトランジスタ171は、Nチャンネルトランジスタ、Pチャンネルトランジスタとも、LDD(Lightly Doped Drain)構造を採用することが好ましい。
【0067】
トランジスタ171は、高温ポリシリコン(HTPS : High- temperature rature polycrystalline silicon)、低温ポリシリコン(LTPS : Low- temperature poly silicon)、連続粒界シリコン(CGS : Continuous grain silicon)、低温多結晶酸化物(LTPO)、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS : Transparent Amorphous Oxide Semiconductors)、アモルファスシリコン(AS : amorphous silicon)、赤外線RTA(RTA : rapid thermal annealing)で形成したもののうち、いずれでもよい。
【0068】
図4ではすべてのトランジスタ171はPチャンネルで構成している。PチャンネルはNチャンネルのトランジスタに比較してモビリティが低い。しかし、耐圧が大きく、また、寿命劣化も少ない。
【0069】
本発明は、画素のトランジスタ171をPチャンネルで構成することのみに限定するものではない。Nチャンネルのみで構成してもよい。また、NチャンネルとPチャンネルの両方を用いて構成してもよい。また、駆動用トランジスタ171aをPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタの両方を用いて構成してもよい。
【0070】
スイッチ用トランジスタ171は、トランジスタに限定するものではなく、たとえば、PチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタの両方を用いた、アナログスイッチであってもよい。
【0071】
なお、本発明の表示パネルの画素のトランジスタ171は、Pチャンネルで構成することが好ましい。Pチャンネルで画素を構成すると、Nチャンネルで画素を構成した場合に比較して、1画素あたりのトランジスタ数を少なくでき、また、画素のスイッチ用トランジスタを制御するゲート信号線の本数も少なくできるからである。
【0072】
また、トランジスタ171はトップゲート構造にすることが好ましい。トップゲート構造にすることにより寄生容量が低減し、トップゲートのゲート電極パターンが、遮光層となり、LED172から出射された光を遮光層で遮断し、トランジスタ171の誤動作、オフリーク電流を低減できるからである。特に発光素子がLED(light emitting diode)である場合、マッチングが良い。
【0073】
ゲート信号線163またはソース信号線164、もしくはゲート信号線163とソース信号線164の両方の配線材料として、銅配線または銅合金配線を採用できるプロセスを実施することが好ましい。信号線の配線抵抗を低減でき、より大型の表示パネルを実現できるからである。特に、ゲートドライバ161が駆動(制御)するゲート信号線163は、低インピーダンス化すること好ましい。銅配線は、Ti-Cu-Tiの3層構造を採用することが好ましい。また、本発明で銅めっきを採用した場合、信号線等に銅を使用している場合、マッチングが良い。
【0074】
信号線214(ソース信号線164、ゲート信号線163)の表面は、ITOで被覆することが好ましい。ITOで被覆することにより、信号線214が腐食することが低減し、また、信号線214にめっき膜215を形成しやすくなるからである。また、接続電極174の表面をITOとすることにより、表面が酸化することがなく、LEDの接続を良好にすることができる。
【0075】
また、信号線214(ソース信号線164、ゲート信号線163)の表面は、モリブデン(Mo)被覆することが好ましい。モリブデンで被覆することにより、信号線214が腐食することが低減し、また、信号線214にめっき膜215を形成しやすくなるからである。
【0076】
その他、めっきする信号線214の表面部を、ニッケル(Ni)などで被覆してもよい。たとえば、信号線214に対し酸性脱脂剤を用い、50℃、5分の処理条件で脱脂を行う。過硫酸ナトリウム100g/L及び硫酸10ml/Lを用いてソフトエッチング処理を行う。保持時間は1分である。
硫酸50g/Lを用いて酸処理を行う。保持時間は0.5分である。硫酸28.7g/Lを用いてプリディップ処理を行う。保持時間は0.5分である。アクチベータ処理液を用いてアクチベータを行う。保持時間は1分である。
【0077】
アクチベータ処理は、還元析出型の無電解Ni-Pめっき液中の還元剤が信号線214上でのみ電子を放出するように触媒となるPdを付与する処理である。
触媒残渣除去液によりアクチベータ処理後の触媒残渣を除去する、ポストディップ処理を行う。保持時間は2分である。その後、次亜リン酸を還元剤とする無電解Ni-Pめっき液を用いて無電解Ni-Pめっき処理を行い、Ni-Pめっき層を信号線214の表面上に形成する。狙い厚みは一例として5μmであり、この厚みに限定されるものではない。
【0078】
次に、以下の無電解Ni-Cu-Pめっき液組成及びめっき条件にて無電解Ni-Cu-Pめっき処理を行い、Ni-Cu-Pめっき層をNi-Pめっき層上に形成する。
<無電解Ni-Cu-Pめっき液組成>
硫酸銅・5水和物:0.00004-0.15mol/L
硫酸ニッケル・6水和物:0.000038-0.15mol/L
次亜リン酸ナトリウム:0.095-0.47mol/L
クエン酸三ナトリウム・2水和物:0.034-0.2mol/L
ホウ砂:0.013-0.078mol/L
界面活性剤:適量
<Ni-Cu-Pめっき条件>
浴温:65-95℃
pH:4-10
そして、置換Auめっき処理を行い、Ni-Cu-Pめっき層8上に、Auめっき層11を形成する。狙い厚みは0.03μmである。
【0079】
図3は、本発明の表示パネルの説明図および等価回路図である。図3では、ゲート信号線163a、ゲート信号線163bはゲートドライバ回路161a、ゲートドライバ回路161bに接続され、両側駆動できるように構成されている。また、ソース信号線164の両端にはソースドライバ回路162a、ソースドライバ回路162bが接続され、両側駆動できるように構成されている。
【0080】
ゲート信号線163の両側にゲートドライバ回路161を接続することより、表示画像の輝度傾斜が低減し好ましい。ソース信号線164の両側にソースドライバ回路162を接続することより、表示画像の輝度傾斜が低減し好ましい。
【0081】
図4は、本発明の実施例における表示パネルの画素構成の説明図である。図4において、Pチャンネルの駆動用トランジスタ171aのドレイン端子に、スイッチ用トランジスタ171dのソース端子が接続され、スイッチ用トランジスタ171dのドレイン端子にLED172のアノード端子が接続されている。また、LED172のカソード端子には、カソード電圧Vssが印加されている。駆動用トランジスタ171aのソース端子には、アノード電圧Vddが印加されている。LED172は1チップに赤(R)発光素子、緑(G)発光素子、青(B)発光素子を内蔵するものを採用してもよい。この場合、アノード端子またはカソード端子は3つの素子で共通にする。
【0082】
ゲート信号線163bにオン電圧が印加されると、スイッチ用トランジスタ171dがオンし、駆動用トランジスタ171aからの発光電流がLED172に供給される。LED172は、発光電流の大きさに基づき発光する。
【0083】
駆動用トランジスタ171aのゲート端子とドレイン端子間には、スイッチ用トランジスタ171bのソース端子とドレイン端子が接続され、ゲート信号線163aにオン電圧が印加されることにより、駆動用トランジスタ171aのゲート端子にソース信号線164に印加された信号電圧が印加される。
駆動用トランジスタ171aのゲート端子には、コンデンサ173の1端子が接続され、コンデンサ173の他端子は、アノード電極Vddと接続されている。
【0084】
ソースドライバ162は映像信号に基づく電圧をソース信号線164に出力する。ゲートドライバ161は、スイッチ用トランジスタ171b、171dをオンさせる電圧(オン電圧)、オフさせる電圧(オフ電圧)をゲート信号線163に印加する。
【0085】
ゲート信号線163aにオン電圧が印加されている時には、トランジスタ171bがオン状態であり、ソース信号線164に印加されている映像信号を画素175に印加される。
【0086】
ソース信号線164には、ソースドライバ162a、ソースドライバ162bが接続される。ソース信号線164は、ソースドライバ162a、ソースドライバ162bによる両側給電が行われることにより、表示画面165の輝度傾斜は発生しない。
【0087】
ゲートドライバ161、ソースドライバ162は、シリコンチップで形成されている。ゲートドライバ161、ソースドライバ162は、COF(Chip On Film)218に実装される。COF218は信号線214(ゲート信号線163、ソース信号線164等)と表示画面165の端で接続される。COF218と信号線214との接続部はめっき処理が施される。
【0088】
LED172はチップ形状のものが例示される。その他、マイクロLED,ナノLEDが例示される。LED172の電極端子は、接続電極174に、異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)219で実装される。また、めっき技術で実装、あるいは接続してもよい。
【0089】
LED172の実装後、LED172上に、拡散材(散乱材)176を塗布あるいは形成もしくは配置する。拡散材176として、酸化チタン(TiO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、オパールガラス等の無機材料が例示される。これらをアセトン等の溶媒中に拡散あるいは混合し、インクジェット方式等により塗布する。また、樹脂性の拡散シートを配置する構成も有用である。その他、LED172上に色度を改善するカラーフィルタ、量子ドット(QD:Quantum dot)を形成または配置する。
【0090】
LED172の実装後、LED172の点灯検査を実施する。検査で良品の場合、図43に図示するように、LED172を実装した表示画面上に図44等で説明するカバーガラス245が配置される。
カバーガラス245は、ガラスに限定されるものではなく、樹脂材料からなるカバーシートあるいはカバー板であってもよい。
【0091】
カバーシートあるいはカバーガラスと、LED172チップ間には、カバーガラス等と屈折率が近い材料でオプティカルカップリング材246が充填される。オプティカルカップリング材246として、エチレングリコール等の液体、アクリル系あるいはエポキシ系の紫外線硬化樹脂などの固体が例示される。あるいは粘着剤が例示される。カバーガラス245の装着後、粗化部244にめっき技術により構成されたCOF配線形成部241にCOF218が実装される。
【0092】
図43に図示するように、図44等で説明するカバーガラス245を配置すること、あるいは有することにより、表示モジュール203の裏面にCOF218の実装がしやすくなる。COFの実装時に、ACF219部に押圧を印加する必要がある。
【0093】
COFの実装時には、表示モジュール203を定盤上等に、カバーガラス245面を下にして配置する。次に、表示モジュール203の裏面のCOF配線形成部241にACF219を仮接着し、COF218を接着する。
【0094】
COF218の本接着時は、押圧と加熱が必要である。LED172はカバーガラス245とガラス基板202間に挟持され、カバーガラスに保護されている。したがって、COF218の接着時にガラス基板202を十分な圧力で押圧することができる。
【0095】
図6は、本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。図6に図示するように、ガラス基板202には、複数の表示モジュール203が作製される。各表示モジュール203の4つの端には、位置合わせマーカ201が形成、または配置される。
図6は、本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。1枚のガラス基板202(203)に複数の表示領域が形成される。
【0096】
図6では、一例として表示モジュール203(1,1)~表示モジュール203(4,4)の16個をガラス基板202に形成または配置した例を示している。本発明はこれに限定するものではなく、ガラス基板202には、適正に表示モジュール203を形成または設計すればよい。
【0097】
図6では、図示を容易にするため、各表示モジュール203には模式的に信号線214を図示している。なお、図4で説明した画素回路等は、図示を省略している。
【0098】
ガラス基板202は、図6の矢印の位置で、切断され、表示モジュール203に分離される。図10(a)に図示するように、必要に応じて、表示モジュール203はaa’線、bb’線、cc’線、dd’線で、精密切断、あるいは切断後され、切断面は研磨加工される。
【0099】
図6の矢印位置での切断は、ガラスカッターで切断するため、寸法精度が低い。aa’線、bb’線、cc’線、dd’線まで、研磨加工等を行うことにより、表示モジュール203サイズ、表示モジュール203の信号線124端と表示モジュール203端の寸法を精度よく形成することができる。ガラスカッターの他、砥石、レーザ等を使用して切断してもよいことは言うまでもない。
【0100】
図6に図示するように、ガラス基板202を矢印線で切断して複数の表示モジュール203とする。図6の実施例では、1枚のガラス基板202から4×4=16枚の表示モジュール203を作製した例である。
図6に図示するように、ガラス基板202を切断すると静電気に対して弱くなる。この課題に対して図32図33図34で対策する。
図32図33図34は本発明の表示モジュールの構造の説明図および表示モジュールの製造方法の説明図である。
【0101】
図32に図示するように、表示モジュール203の周辺部に隣接したゲート信号線163間、隣接したソース信号線164間に電位配線237で短絡されている。電位配線237には電位電極238が形成されている。
【0102】
粗化部244を形成する工程、マスク212を塗布する工程等の期間では、電位電極238に所定電位が印加され、電位配線237が所定電位に固定される。したがって、ゲート信号線163とソース信号線164の電位が固定され、静電気の影響をなくすことができる。
図18図24に図示するようにCOF218を実装後、図32の点線にレーザ光を照射し、各ゲート信号線163、各ソース信号線164が切り離される。
【0103】
図33の実施例では、各信号線間に接続素子239(トランジスタ239等)が形成されている。表示モジュール203の周辺部に隣接したゲート信号線163間、隣接したソース信号線164間、ソース信号線とゲート信号線とを接続する接続素子239(トランジスタ239等)が形成される。
【0104】
なお、図33では接続素子としてトランジスタを図示しているが、これに限定するものではなく、高抵抗の抵抗素子、ダイオード等であっても良いことはいうまでもない。
【0105】
図33に図示するように、トランジスタ239のゲート端子は電位配線237と接続され、電位配線237には電位電極238が形成されている。粗化部244を形成する工程、マスク212を塗布する工程等の期間では、電位電極238に所定電位が印加され、電位配線237が所定電位に固定される。所定電位により、接続素子239はオンし、各ゲート信号線163間、各ソース信号線164間等が電気的に接続される。したがって、ゲート信号線163とソース信号線164の電位が固定され、あるいは所定電位に維持等がされ、静電気の影響をなくすことができる。
図18図24に図示するようにCOF218を実装後、図33の点線にレーザ光を照射し、各ゲート信号線163、各ソース信号線164が切り離される。
【0106】
図34の実施例では、ガラス基板202の各表示モジュール203の周辺部に導電性樹脂248あるいは帯電防止樹脂248(以降、これら導電性樹脂248・帯電防止樹脂248を導電性樹脂248と呼ぶ)が塗付されている。
【0107】
導電性樹脂248として、持続性帯電防止ABS樹脂(ノバロイE)、PP樹脂(ダイセルPP 導電グレード)、ABS樹脂(セビアンV CF強化グレード)、PA/ABS樹脂(ノバロイACF強化グレード)、ステンレス長繊維強化樹脂(プラストロンSF)が例示される。また、導電性樹脂248は銀ナノワイヤーを拡散させた樹脂を塗布し、硬化させてもよい。
導電性樹脂248は、ゲート信号線163端子電極232、ソース信号線164の端子電極232に塗布され、各信号線を共通電位にする機能を有する。
【0108】
また、導電性樹脂248として、アルカリ可溶タイプのアクリルポリマーに導電性のあるカーボンまたは金属粉を混合させたものを使用することも好ましい。金属粉として、酸化チタン、酸化鉄、鉄、チタン、銀、ニッケル等が例示される。金属導電性樹脂248は、マスク212として兼用して使用することができる。金属は、ガラス基板202の融点より高い金属材料等を使用することが好ましい。
【0109】
つまり、マスク212に導電性を持たせることにより、導電性樹脂248となり、静電気対策を実現できる。また、導電性樹脂248にレーザ光吸収部222)、レーザ光吸収部224の機能を持たせることにより、凹部216を良好に形成することができる。
【0110】
図34に図示するように、ガラス基板202の表示モジュール203の周囲に導電性樹脂248を塗布または形成する。塗布または形成はインクジェット方式あるいはスクリーン印刷方式で実施することが好ましい。
なお、金属あるいは導電性有機物を、蒸着マスクを用いて導電性樹脂248部に蒸着させても良いことは言うまでもない。
【0111】
導電性樹脂248の乾燥させた後、矢印線で切断し、各表示モジュール203に分離する。各モジュール203に分離しても、導電性樹脂248が残存するため、信号線を電気的に導通状態に維持し、静電気から防護する。図20図25図31図36図38図39図41図42等の加工は、導電性樹脂248を残存させた状態で実施し、実施後、アルカリ液またはエッチング液で導電性樹脂248を除去する。また、レーザ光を照射して、導電性樹脂248を除去してもよい。 図34の実施例と図32図33の実施例とは相互に組み合わせても良いことは言うまでもない。
なお、本発明の明細書、図面に記載された実施例は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【0112】
図34の矢印線で切断し、各表示モジュール203に分離する。次に、図10(b)に図示するように、矢印に示すガラス基板202の側面を精密研磨加工することにより、平滑化する。また、ガラス切断により、発生したクラックを消去する。
本発明の表示パネルは、複数の表示モジュール203を接続、組み合わせることにより、大画面の表示パネルを構成するものである。
【0113】
LED172の実装では、接続不良が発生しやすい。大画面の表示画面165を有する表示パネルには数百万個のLED172を実装する必要がある。LED172の実装部には接続不良等が発生しやすい。したがって、大画面の表示画面165を有する表示パネルは製造歩留まりが悪くなる。
【0114】
本発明の表示パネルは、図6で説明したように、比較的、表示画面165が小さい表示モジュール203を作製し、当該表示モジュール203を組み合わせることにより、大画面の表示画面165(大画面の表示モジュール)を作製するものである。
【0115】
比較的、表示画面165が小さい表示モジュール203には、それぞれゲートドライバ161、ソースドライバ162が接続される。図3に図示するように、ゲート信号線163の両端には、ゲートドライバ回路161a、ゲートドライバ回路161abが実装される。ソース信号線164の両端には、ソースドライバ回路162a、ソースドライバ回路162abが実装される。
【0116】
ゲート信号線163、ソース信号線164の両端から信号を印加することにより、信号線の電位降下がなく、輝度傾斜が小さい。したがって、複数の表示モジュール203をタイル状に組み合わせて表示領域を形成した場合、継ぎ目が見えず、良好な表示ディスプレイを構成できる。
【0117】
各表示モジュール203は、図11図12に図示するように、各表示モジュール203間の界面がない、あるいは、各表示モジュール203間を目立たないように接続、組み合わされる。
【0118】
図11は、本発明の表示パネルの構造の説明図であり、表示パネルの一部を拡大した図面である。図12は、図11のAA’線での断面図である。また、図13(a)は表示モジュール203の側面図であり、図13(b)は表示モジュール203の平面図である。
【0119】
なお、図11図12図13等では省略しているが、めっき膜215と信号線214が接する箇所には、ITO、ZnO、SnO等の透明電極234を形成することが好ましい。また、SnO層の上部にZnO層を積層してもよい。透明電極を形成することにより、信号線214の表面酸化を防止でき、また、めっき膜215との界面での電気的接触性が良好に保たれる。
【0120】
その他の透明電極として、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛の他、酸化スズ、(二)酸化チタン、グラフェン等が例示される。また、二酸化チタン中の一部のチタン原子をニオブ(Nb)という金属原子で置き換えた化合物(TiNbx)は高い導電性を示し、使用することが好ましい。
【0121】
図11に図示するように、表示モジュール203aの左端には、信号線214位置に一致させて、凹部216が形成されている。凹部216には、図13(a)に図示するように、めっき膜215が形成されている。凹部216は、レーザ加工、ガラスエッチング等により形成する。
【0122】
めっき膜215は信号線214と電気的に接続され、また、表示モジュール203の裏面にACF219が接続できるように、図35に図示するようにCOF配線形成部241が形成されている。COF接続配線235は接続するCOF218の端子形状に合わせて形成される。
【0123】
図37はガラス基板202の裏面にCOF配線形成部241が形成された状態の説明図である。COF配線形成部241にCOF接続配線235を形成後、矢印線でガラス基板202は切断され、表示モジュール203に分離される。なお、COF接続配線235は表示モジュール203に分離後に形成してもよい。
【0124】
本発明は、一例としてレーザ光を照射することにより。粗化部を形成し、粗化部にめっき膜215を形成することにより、接続配線あるいはCOF接続配線235等を形成する。しかし、めっき技術により、接続配線あるいはCOF接続配線235等を形成するのに限定されるものではない。たとえば、図42に図示するように、インクジェット方式により接続配線あるいはCOF接続配線235を形成してもよい。
【0125】
図42はガラス基板202の裏面にインクジェット方式、あるいは印刷方式によりCOF接続配線235を形成する製造方法の説明図である。また、熱転写方式でCOF接続配線235を形成してもよい。
【0126】
図42(a)に図示するように、COF配線形成部241にレーザ光205を照射して粗化部244を形成する。次に、粗化によるCOF接続配線235の形成位置等は図2等で説明しているので説明を省略する。
【0127】
図42(b)に図示するように、ガラス基板202の裏面側から、インクジェットヘッド243で導電性インクをインクジェットする。導電性インクは、COF接続配線235の位置に塗布される。導電性インクは、銀ペーストが例示され、その他銅ペーストを使用することも望ましい。
インクジェット方式等による導電性インクは、めっき膜215の形成位置に塗布しても良いことは言うまでもない。
【0128】
その後、ガラス基板202を350℃~450℃で約20分間、加熱する。加熱によりインクジェットで形成したCOF接続配線235が、粗化部244に密着する。
【0129】
図41(a)に図示するように、めっき膜215と信号線214が接続される箇所で、かつ、信号線214の表面には透明電極234が形成されている。したがって、信号線214を構成する金属材料と、めっき膜215間には透明電極234が配置されている。
【0130】
信号線214aの端子端は穴あけ加工され、下層の透明電極(ITO等)が視認できるように構成されている。この透明電極に電気的接続されるように、めっき線215が形成される。
【0131】
本発明の表示パネル、表示パネルの製造方法では、信号線214とめっき線215とを電気的に接続する。図41(a)の実施例では、透明電極234とめっき線215を電気的に接続している。
【0132】
ガラス基板202とめっき線215、透明電極234とめっき線215の接続状態が良好となるように、レーザ光205により、粗化をしている。しかし、粗化状態が最適でない場合は、めっき線215が剥離するリスクがある。
【0133】
この課題に対して、本発明は、図41(a)に図示するように、透明電極234とめっき線215の接続部にレーザ光205aと照射する。レーザ光205aを照射することにより、図41(b)に図示するように、めっき膜215が溶解し、透明電極234と融着する。めっき膜215と信号線214aとが良好に電気的接続が実現される。また、透明電極234とガラス基板202との密着性も良好になる。
【0134】
図41(a)に図示するように、めっき線215にレーザ光205bと照射する。レーザ光205bを照射することにより、図41(b)に図示するように、めっき膜215が溶解し、ガラス基板202と融着する。めっき膜215とガラス基板202との密着性が良好になる。
【0135】
なお、以上の実施例は、めっき膜215上に、マスク212と導電性樹脂248のうち少なくともいずれか一方を塗布または形成した状態で実施しても良いことは言うまでもない。マスク212、導電性樹脂248により、より密着性等が良好になる。
【0136】
図13等において、凹部216の深さは、1μm以上10μm以下である。したがって、めっき膜215の膜厚は、10μm以下としている。また、レーザ光を照射する位置の間隔は、1μm以上10μm以下とすることが好ましい。
【0137】
図13は、表示モジュール203の一辺を図示しているが、表示モジュール203の他の3辺にも凹部216を形成する。凹部216にめっき膜215が形成される。ただし、片側給電の場合は、2辺または3辺に凹部216にめっき膜215が形成される。
【0138】
表示モジュール203に形成されたソース信号線164の両端にめっき膜215が形成される。図3に図示するように、ソース信号線164の両端にソースドライバ162a、ソースドライバ162bを接続するように構成することが好ましい。表示モジュール203に形成されたゲート信号線163の両端にめっき膜215が形成される。図3に図示するように、ゲート信号線163の両端にゲートドライバ161a、ゲートドライバ161bを接続するように構成することが好ましい。
【0139】
信号線214上あるいは信号線214下には、透明電極234が信号線214を被覆するように形成されている。透明電極234を形成することにより、めっき膜215と信号線214との接続抵抗が低減する。
【0140】
図13は、本発明の表示モジュール203の構成の説明図である。図13(a)は、本発明の表示モジュール203の側面図であり、図13(b)は、表示モジュール203の平面図である。
【0141】
図13において、表示モジュール203の側面には、信号線214位置に一致させて、凹部216が形成されている。また、凹部216にめっき膜215が形成されている。めっき膜215は、信号線214(ソース信号線164、ゲート信号線163)、電源配線(アノードVdd、カソードVss)等と接続されている。なお、ソース信号線164も同様である。
【0142】
本明細書、図面では、ソース信号線164、ゲート信号線163と接続するめっき膜215は同様あるいは類似とし、ソース信号線164、ゲート信号線163を信号線214として説明をする。
【0143】
なお、本明細書等において、信号線214はめっき膜215と接続するとして説明するが、めっき膜に限定されるものでなく、めっき膜215は、蒸着あるいはエッチング技術等によりパターニングされた配線、スパッタリングにより形成した配線、導電ペーストをノズルで塗布することにより形成した配線、導電ペーストをインクジェット技術により形成された配線等であってもよい。
【0144】
以下、説明を容易にするため、一例として、めっき膜215は、めっきにより形成されためっき膜を例示して説明をする。したがって、めっき膜215は、めっきで形成された膜に限定されるものではない。
【0145】
図1は本発明の表示モジュールの構成図および説明図である。図1(a)は表示モジュール203の一部平面図であり、図1(b)は表示モジュール203の一部側面図であり、図1(c)は、図1(a)のAA’線での断面図である。
【0146】
図1の実施例では、透明電極234上に金属材料からなる信号線214(信号配線214a、信号配線214b)が形成されている。信号線214(信号配線214a、信号配線214b)に透明電極234を形成しても良い。
【0147】
信号線214の一端には端子電極232が形成される。端子電極232は信号線214よりも幅を広くすることにより、めっき膜215との接続を良くするためである。
【0148】
端子電極232の中央部近傍の金属膜は穴あけ加工され(穴あけ加工部247)、下層の透明電極234が露出している。透明電極234部を中心としてめっき膜215が形成される。穴あけ加工部247はガラス基板202の裏面から、上層のめっき膜215を観察することができる。したがって、透明電極234とめっき膜215との接続状態を観察することができる。
【0149】
めっき膜215は、端子電極232で信号線214と接続され、ガラス基板202の側面に形成された凹部216に形成される。また、ガラス基板202の裏面のCOF(Chip on Film」またはChip on Flexible)接続配線235(図示せず)と接続される。したがって、信号線214とCOF接続配線235(図示せず)とは電気的に接続される。
【0150】
なお、本明細書、図面では、信号線214等とCOF接続配線を接続するとして説明するが、これに限定するものではない。たとえば、TAB(Tape Automated Bonding)と信号線214等とを接続してもよい。また、基板203にCOG(chip on glass)したドライバICの端子と信号線214等を接続しても良い。
【0151】
めっき膜215は銀ペーストを、インクジェット技術等を用いて、銀配線を形成してもよい。また、めっき膜215は銅ペーストを、インクジェット技術等を用いて、銅配線を形成してもよい。本明細書では、説明を容易にするため、めっき膜215として説明するが、これに限定するものではなく、導電性を有する配線であれば、いずれの構成であってもよい。
【0152】
図2は、図1に加えて、ガラス基板202の裏面に形成されたCOF接続配線235を図示した本発明の説明図及び構成図である。図2(a)において、COF接続配線235は、信号線214間に形成または配置されている。
【0153】
図2(a)は表示モジュール203の一部平面図であり、図2(b)は表示モジュール203の一部側面図であり、図2(c)は、図2(a)のAA’線での断面図である。
【0154】
図39(f)に図示するように、レーザ光205bを照射して粗化部244aを形成する。レーザ光215bがガラス基板202を通過する箇所に信号線214が形成されていると、レーザ光215bが信号線214を切断あるいは破損させる。
【0155】
図18(e)のように、マスク212にレーザ光205bを照射して、マスク212を加工する際、ガラス基板202の裏面に配線等があると当該配線を切断あるいは破損させる。
なお、信号線214上は、フィルムでラミネートし、破損、切断を抑制するように構成することが好ましい。
【0156】
図2の構成では、信号線214が形成された領域間にCOF接続配線235を形成または配置する。COF接続配線235は、めっき膜215と電気的に接続されている。COF接続配線235にCOF218がACF219で電気的に接続される。なお、ACF219の他、導電性接着剤等を使用して電気的に接続してもよい。
【0157】
COF接続配線235は、ガラス基板202の裏面でめっき膜215から分岐される。粗化部244aと粗化部244cとは垂直方向で位置が異なる。したがって、粗化部244aを粗化するレーザ光205b位置と、粗化部244cを粗化するレーザ光205b位置とが、基板203の垂直方向での位置が一致しないため、粗化部244cを形成する際に、信号線214あるいは端子電極232を切断あるいは破損させることがない。
【0158】
以上のように、図2の実施例では、ガラス基板202の表面の粗化部244aとガラス基板202の裏面の粗化部244cとが垂直方向で一致しないように配置する。このように構成することにより、基板203内に一方側から入射したレーザ光が、基板203の他面側に配置された構成物に照射されることがない。他の構成は図1と同様あるいは類似であるので説明を省略する。
【0159】
めっき膜215は、凹部216内に形成される。めっき膜は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の多層膜で形成することが好ましい。めっき膜215と類似する膜を、インクジェット技術により形成する場合も、複数の金属を多層に形成することが好ましい。また、めっき膜であれば、たとえば、ニッケル-リン(Ni-P)めっき、ニッケル-銅-リン(Ni-Cu-P)めっき、ニッケルめっき等を層状に構成する。
【0160】
図11は、本発明の表示モジュール203を組み合わせた状態を説明する説明図である。表示モジュール203aと表示モジュール203bとは近接あるいは密着させて配置される。凹部216にめっき膜215が配置されているため、めっき膜215が損傷することがない。
【0161】
図12は、図11のAA’線での断面図である。図12に図示するように、表示モジュール203aと表示モジュール203bが近接あるいは密着して配置され、表示モジュール203aと表示モジュール203b間にはガラス接着材221が充填あるいは塗布されている。めっき膜215は信号線214と電気的に接続され、表示モジュール203aと表示モジュール203b間に形成された凹部216で、表示モジュール203aの裏面に引き出されている。ガラス接着材221は、ガラス基板202の屈折率差が0.15以内の材料を選定し、オプティカルカップリング機能を有する材料を選定する。好ましくは、ガラス接着材221は、ガラス基板202の屈折率差が0.1以内にする。
【0162】
表示モジュール203aの裏面は、図示を省略しているが、めっき膜215は端子形状に加工されている。表示モジュール203aの裏面の端子形状に、ACF219を介してCOF218が接続されている。COF218にドライバIC220が実装され、ドライバIC220の出力信号が、めっき膜215を介して信号線214に印加される。
図14図19図20は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。特に、凹部216の形成方法を説明した図面である。
【0163】
凹部216の形成は、図8の位置合わせマーカ201の形成と同様あるいは類似である。なお、図19等は溝状の凹部216の形成方法として説明するが、これに限定するものではなく、たとえば、貫通穴223を形成してもよい。
【0164】
図19に図示するように、表示モジュール203において、凹部216を形成する位置にレーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224は、表示モジュール203に形成された信号線214から距離t離れた位置に形成される。距離tは極力、短いことがめっき膜215と電気的接続を取る観点から好ましいが、レーザ光205による信号線214の改質あるいは変形、画素175のサイズを考慮して決定する。具体的には、距離tは画素175のサイズ以下の距離である。
【0165】
図19等で図示するように、レーザ光吸収部224に、スリット228を形成することが好ましい。スリット228は、レーザ光205を照射する位置に形成する。
スリット228部は、レーザ光吸収部224が形成されていないか、他の部分よりレーザ光吸収部224が薄く形成されている。
【0166】
スリット228にレーザ光205が照射されると、レーザ光205は表示モジュール203のガラス基板202を直接に加工する。また、多くのレーザ光205はレーザ光吸収部224に照射され。レーザ光吸収部224を加熱する。
【0167】
ガラス基板202に照射されたレーザ光205はガラス材料を溶解、蒸発、除去する。レーザ光吸収部224に照射されたレーザ光205はレーザ光吸収部224を加熱し、加熱された熱は、ガラス材料の溶解、蒸発、除去を促進する。したがって、スリット228が形成去れた位置を中心に加工が促進され、凹部216が形成される。
スリット228は、図8で説明した位置合わせマーカ201の形成時にも、レーザ光吸収部224に形成することが好ましい。
レーザ光吸収部224はフッ化水素あるいはこれらの混合物、化合物を混合させることによりよりガラス材料の溶解、分解が促進される。
【0168】
レーザ光吸収部224の構成は、図20(a)に図示するように、表示モジュール203の側面に形成する構成が例示される。また、図20(c)、図20(d)に図示するように、レーザ光205を照射する位置に合わせて、孤立したレーザ光吸収部224とする構成が例示される。レーザ光吸収部224は基板203(202)のレーザ光の入射部と基板203(202)のレーザ光の出射部に配置または形成しても良い。なお、図20(d)は、図20(c)の側面から見た構成面である。
図19図20(a)は、レーザ光吸収部224の表面に矩形あるいは円形のスリット228が形成された実施例である。
【0169】
図20(c)は、レーザ光吸収部224の表面に矩形のスリット228が形成された実施例である。また、図20(d)の側面図で図示するように、スリット228はレーザ光吸収部224に線形に形成される。図20(d)では、スリット228の長手方向にレーザ光205を移動させて凹部216を形成する。
【0170】
めっき膜215を形成する位置に、レーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224の形成方法としては、スパッタによる方法、電着による方法、焼結による方法、インクジェットにより塗布する方法が例示される。
【0171】
レーザ光吸収部224を構成する材料は、ガラス基板202の融点よりも高い材料であることが好ましく、また、照射するレーザ光205を吸収しやすい材料を選定することが好ましい。
【0172】
レーザ光吸収部224にスリット228を形成し、スリット228にレーザ光205が照射され、スリット228の近傍部がレーザ光205を吸収し発熱することにより、スリット228部を中心として、ガラス基板202の加工が進行する。
【0173】
また、図20(c)に図示するように、レーザ光吸収部224が独立させることにより、レーザ光吸収部224にレーザ光205の照射により発生した熱の伝導がレーザ光吸収部224に留まり、よりレーザ光205の加工部の加熱状態が良好となる。したがって、凹部216、貫通穴223の加工が促進される。
【0174】
また、レーザ光吸収部224が溶解し、ガラス基板の材料と反応する材料が選定される。たとえば、フッ化水素(HF)、フッ化水素アンモニウムを含有する樹脂材料、クリーム状の混合ペースト等が例示される。フッ化水素、フッ化水素アンモニウムは、レーザ光205の照射により反応性が向上し、凹部216の形成に寄与する。
【0175】
また、フッ化水素アンモニウムに、酸化チタン、酸化タングステン、鉄、モリブデン、チタン等の無機材料からなる酸化物あるいは金属の微粉末を添加してペースト状にして、スリット228または凹部223加工部に塗布あるいは配置してもよい。
【0176】
なお、レーザ光吸収部224とマスク212は同様材料・組成あるいは類似材料・組成あるいは相互に同一あるいは類似の構造のものを採用・仕様等しても良いことは言うまでもない。
【0177】
塗付部等にレーザ光205を照射すると、無機材料からなる酸化物の微粉末が発熱し、また、フッ化水素アンモニウム等がガラス基板202のエッチングする効果と相乗効果が発揮され、凹部223の形成が容易になる。
【0178】
フッ酸、硫酸の混合液、フッ化水素に酸化チタン、酸化タングステン等の無機材料からなる酸化物の微粉末、鉄、モリブデン、チタン、タングステンなどの金属からなる微粉末を添加してもよい。
【0179】
スリット228部をフッ化水素に浸透させた状態、フッ酸、硫酸の混合液、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素を充填させた状態で、レーザ光205をスリット228部に照射することにより、スリット228部のガラス材料の溶解、腐食、加工が加速される。
【0180】
ガラス材料が溶解あるいは腐食すると、レーザ光205の光吸収が向上し、より凹部216あるいは貫通穴223の形成あるいは加工が促進される。凹部216の形成深さに対応して、レーザ光205の焦点位置を凹部216の深さ方向に移動させる。
【0181】
また、貫通穴223、凹部216部に、ガラスエッチング液を充填すること、超音波を印加すること、放電加工を実施すること、サンドブラスト加工をすること、あるいは組み合わせることも有用である。
レーザ光吸収部224を形成する酸化物材料あるいは金属材料の沸点は、ガラス基板202の融点よりも高いことが好ましい。
【0182】
レーザ光吸収部224にレーザ光205が照射されることにより、レーザ光吸収部224が発熱し、発熱した熱によりガラス基板202が溶解する。あるいは軟化する。したがって、凹部216の形成が進行する。
レーザ光205のパワーを調整し、レーザ光吸収部224を形成する材料の沸点以下で、かつ、ガラス基板202を形成する材料の溶解温度以上に制御する。
レーザ光205の照射時は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行うことが好ましく、または、真空中で行うことが好ましい。
【0183】
以上の技術的思想は、スマートフォンなどのガラスカバーガラスの加工にも応用することができる。図44は、折りたたみスマートフォンのカバーガラス245の平面図である。カバーガラス245の折りたたみ部である中央部の凹部216は、薄膜に形成されている。
【0184】
図45を折りたたみカバーガラス245の製造方法の説明図である。図45(b)に図示するように、折りたたみ部にレーザ光吸収部224を塗布あるいは配置する。次に、図45(c)に図示するように、レーザ光205をレーザ光吸収部224に、照射する。
【0185】
フッ化水素に浸透させた状態、フッ酸、硫酸の混合液、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素を充填させた状態で、レーザ光205を照射することにより、折りたたみ部のガラス材料の溶解、腐食、加工が加速される。
【0186】
図45(c)に図示するように、粗化部244が形成され、凹部216の形成が促進されるともに、折りたたみ部のガラスが薄膜化される。薄膜化された箇所は、粗化されているため、白濁状態である。
【0187】
次に、図45(d)に図示するように、ガラス基板202の屈折率と0.1以下の樹脂材料からなる表面樹脂250を塗布する。表面樹脂250の塗布により、凹部216の白濁がなくなり、透明化される。表面樹脂として、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂が例示される。
【0188】
凹部216には、微細な繊維を有する透明シートあるいは構成材料を配置または形成する。凹部216の微細な繊維を有するシートあるいは構成材料は繊維を凹部216に入るサイズに最適化することで、ヒンジ部からゴミが入らないように掻き出す役割がある。
カバーガラス245は、厚板ガラスに湾曲に対応し得る凹部216を完成させた後、総厚をケミカル研磨方法によって薄く形成してもよい。
【0189】
薄板ガラスのハンドリングのような破損をする恐れがない。また、ケミカル加工工程(研磨工程および分断工程)を導入するだけという設備投資が少ない状態で量産できる。ケミカル加工が物理加工と比較して微細な傷が入りにくく、本来のガラスの強度を保つことができる。
【0190】
カバーガラス245はダウンドロー(down-draw)工程で超薄型ガラスを生産する。溶融状態のガラス液体をローラー(roller)で薄く流し、下に掴んで引っ張る用にガラスを抜く。または、フュージョン法で製造する。フュージョン法は上から下に流れるガラス液体をアイソパイプで二つに分けた後、また一つに合わせて(fusion)ガラスを作る方法である。イオン交換技術によって4~5倍の端面強度を標準生産にて実現しできる。
【0191】
図44等に示す本発明のカバーガラス245はガスバリア性でプラスチック基板よりも優れている。有機EL表示パネル、LED表示パネル、MEMS,各種センサーなど,スマートフォンやウェアラブルデバイスなどへ応用することができる。
また、スマートフォンのコンデンサ型指紋認証デバイスのカバーガラスにも使用することができる。
【0192】
また、必要に応じて、本明細書、図面の実施例のようにレーザによるた微細加工を行う。厚さ100μmのカバーガラス245に直径30μm~50μmピッチの貫通穴を,1cmあたり5万個作製するができる。レーザは、フェムト秒レーザを使用する。
カバーガラス245は、紫外光により結晶化するリチウムアルミノ珪酸系ガラスを使用してもよい。材料として少量の銀と酸化セリウムを含んでいる。
【0193】
このガラスは,紫外光でパターンを照射して熱処理を行なうことで結晶化する。結晶化した部分は周囲と比べてフッ化水素酸との反応が早まることから,エッチングが可能になる。このプロセスにより,フォトレジストを使わずに微細構造を形成することができる。
【0194】
特に,20~30μmオーダーの構造を高いアスペクト比で作ることができる。レーザ光をガラス内部に集光させることで中空構造を作ることも可能である。また,必要に応じて構造を形成した後にガラス全体をセラミックス化することもできる。
【0195】
露光に必要な紫外光の波長は290~330nm、特にエネルギーが入りやすいのが329nmである。紫外線の露光には、液晶向け露光装置などを流用することができる。
【0196】
カバーガラス245はフレキシブル性を有し、10μmの薄さでも水蒸気や酸素を通さず、小さな穴を持たない化学物質遮断層を形成するので超バリヤーとして適する。
カバーガラス245の片面には、接着テープが配置される。カバーガラス245は接着層でラミネートして供給する。この接着層により、表示パネルの表面等に実装された部品等がガラスによってその表面を密閉シーリングされるだけでなく、液体や気体の側方拡散が発生しない。
カバーガラス245と接着層は、ロール・ツー・ロール製膜に特化した真空コーティングシステムで製造する。薄型ガラスを複雑な電子アプリケーションにおいて機能性基板として使用できます。たとえばITO(酸化インジウムスズ)のようなTCO層(透明導電性酸化物)は有機太陽電池セルの製造と同じ方法で特殊真空ベースPVD製膜プロセスに適用することができる。
【0197】
図44のカバーガラスは、ガラス245a、ガラス245bに図34図35の表示パネルが配置される。表示パネルの表示画面とカバーガラス245間には、オプティカルカップリング樹脂を充填させる。
【0198】
図20(a)に図示するように、レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射することにより、ガラス基板202の該当箇所に穴が形成され、穴は深さ方向に進行する。レーザ光吸収部224の材料の沸点以下の温度を維持することにより、ガラス基板202に穴が形成される。
【0199】
図20(a)は、レーザ光吸収部224が表示モジュール203の側面に連続して形成された構成である。レーザ光205は表示モジュール203の上面側から照射し、レーザ光205の焦点位置を移動しながら、凹部216を形成する。
【0200】
図20(c)は、レーザ光吸収部224が表示モジュール203の側面に孤立して形成された構成である。レーザ光205は表示モジュール203の上面側からレーザ光吸収部224に照射し、レーザ光205の焦点位置を移動しながら、凹部216を形成する。
【0201】
図20(c)の構成では、レーザ光吸収部224が孤立して形成されているため、レーザ光205により発生した熱が伝熱されにくくなり、効率的にガラス基板を加熱し、凹部216に形成が容易になる。
図20(a)、図20(c)、図20(d)に図示するように、凹部216がレーザ光205により順次、形成される。
【0202】
図20(c)、図20(c)、図20(d)は、表示モジュール203の上面からレーザ光205を照射することにより、凹部216または貫通穴223を形成する実施例であった。しかし、本発明はこれに限定するものではない。図20(b)に図示するように、表示モジュール203の側面からレーザ加工装置204のレーザ光205をレーザ光吸収部224に照射し、凹部216を形成してもよいことは言うまでもない。
【0203】
レーザ光205は、図14に図示するように、レーザ光205をレーザ光吸収部224に照射することにより、表示モジュール203のガラス基板に凹部216、あるいは貫通穴223が形成される。
【0204】
ガラス基板202に貫通穴223を形成する場合は、ガラス基板202の両面(表面側と裏面側)から、レーザ光205を同時にあるいは、交互に、あるいは、一方の加工後に他方から照射する。一定以上の穴が形成された後は、フッ酸(フッ化水素)を用いて、ガラス基板202を腐食させることにより貫通穴223を形成する。
【0205】
レーザ光吸収部224の形成部にレーザ光205を照射することにより、凹部216を形成する。レーザ光吸収部224の形成、レーザ光205の照射による凹部216の加工は、複数回、繰り返しても良い。
【0206】
レーザ光205の照射によりレーザ光吸収部224が除去されることにより、凹部216の発熱が小さくなる。レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射 -> レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射を繰り返すことにより、凹部216の加工、形成が容易になる。また、レーザ光205の照射前にフッ化水素アンモニウムを塗布することも有効である。フッ化水素アンモニウムは、フッ酸のようにガラスを顕著に腐食させないが、ガラス表面を粗化させ、レーザ光の吸収性を向上させる。
レーザ光205を照射する位置の決定、基準は、図8図9等で説明した位置合わせマーカ201により行う。
【0207】
図14に図示するように、表示モジュール203の側面側からレーザ光205を照射する方法が、溝形状の凹部216を形成する場合に有用である。しかし、側面側からレーザ光205を照射すると、レーザ光205が、ガラス基板202内に進入し、表示モジュール203に形成された画素175、信号線214等を破壊する場合がある。
【0208】
図15に図示するように、レーザ光205がレーザ光205Cの場合、レーザ光205Cは表示モジュール203の裏面で全反射して表示モジュール203内で反射を繰り返す。また、レーザ光205Cは、表示モジュール203に形成された画素175、信号線214等に照射され、画素175、信号線214を焼損させる。
【0209】
レーザ光205の入射角度θが45°(DEG.)以下の場合は、表示モジュール203の裏面で反射するレーザ光205の角度は、45°以下となり、多くの場合、レーザ光205は裏面で全反射される。したがって、レーザ光205は表示モジュール203のガラス基板202内を反射して進行する。表示モジュール203に形成された画素175、信号線214等にレーザ光205が照射され、画素175、信号線214を焼損させるリスクが大きい。
【0210】
入射角度θが45°(DEG.)以上の場合は、表示モジュール203の側面で、レーザ光205が反射する割合が増加し、凹部216の加工に長時間を必要とする。
【0211】
本発明は、少なくとも側面の凹部216の加工時には、表示モジュール203の裏面にレーザ光吸収部222を形成する。レーザ光吸収部222は、レーザ光205Bを吸収し、レーザ光205Cを発生しないようにする効果を発揮する。
【0212】
レーザ光吸収部222は、レーザ光205を吸収するカラーフィルタが例示される。カラーフィルタはゼラチン、アクリルを染色した樹脂からなるカラーフィルタの他、光学的誘電体多層膜により形成したカラーフィルタ、ホログラムによるカラーフィルタでもよい。
【0213】
アクリル樹脂にカーボンなどを添加した樹脂からなるもので構成してもよい。その他、六価クロムなどの黒色の金属、黒色の色素あるいは染料を含有する塗料、黒色でなくともレーザ光205に対して補色の関係のある染料、顔料などで着色されたものでもよい。また、ホログラムあるいは回折格子でもよい。
【0214】
黒色の色素あるいは顔料を樹脂中に分散したものを用いても良いし、カラーフィルタの様にゼラチンやカゼインを黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色素の例としては、単一で黒色となるフルオラン系色素を発色させて用いること、緑色系色素と赤色系色素とを混合した配色ブラックを用いることもできる。
【0215】
色吸収材料と同様に、色素を用いて天然樹脂を染色した材料、色素を合成樹脂中に分散した材料を用いることができる。色素の選択の範囲は黒色色素よりもむしろ幅広く、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料などから適切な1種、もしくはそれらのうち2種類以上の組み合わせでも良い。
【0216】
図16の方法も例示される。図16は、容器225にオプティカルカップリング液226を充填し、表示モジュール203とオプティカルカップリング液226との屈折率差をなくす、あるいは少なくする構成である。オプティカルカップリング液226によりレーザ光205Cの反射はなくなる。
【0217】
オプティカルカップリング液226は、純水でも良いが、更に屈折率が、ガラス基板の屈折率に近いサルチル酸メチル液、エチレングリコール液、フロロカーボン系液を採用することが好ましい。
さらに、オプティカルカップリング液226にレーザ光205を吸収する顔料、染料を含有させることより、より効果が高くなる。
【0218】
たとえば、液体に、色素あるいは顔料を樹脂中に分散したものを用いても良いし、ゼラチンやカゼインを黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色素の例としては、単一で黒色となるフルオラン系色素を発色させて用いることもし、緑色系色素と赤色系色素とを混合した配色ブラックを用いることもできる。
【0219】
オプティカルカップリング液226に、色素を用いて天然樹脂を染色すること、色素を合成樹脂中に分散した材料を用いることができる。色素の選択の範囲は黒色色素よりもむしろ幅広く、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料などから適切な1種、もしくはそれらのうち2種類以上の組み合わせでも良い。
【0220】
以上のように、本発明の表示モジュールの製造方法は、レーザ光205を照射し、ガラス基板202等に粗化部244を形成する際、ガラス基板202の一部または全部をオプティカルカップリング液226に浸透あるいは浸けることを特徴とする。
【0221】
なお、図16の実施例では、容器225にガラス基板203の一面を漬けるとしたが、これに限定するものではない。ガラス基板203をオプティカルカップリング液226に完全につけても良い。また、ガラス基板203をオプティカルカップリング液226を噴射してレーザ光205を照射して加工等を実施してもよい。
【0222】
信号線214上にITOに金属膜をめっきする方法について説明をする。ITOの表面、凹部216を脱脂する。脱脂工程では、ITO及び凹部216に付着した無機及び有機の汚れを除去する。脱脂工程では、ITOへの汚染物を除去して、めっき皮膜の密着を阻害する因子を排除すると同時に、めっきの選択性を劣化させる要因となる汚染物が除去される。
【0223】
脱脂処理にはアルカリ性界面活性剤溶液を60~80℃に加温して用い、洗浄効果を高めるために超音波を併用することが好ましい。MHz領域の周波数の超音波を用いて洗浄するいわゆるメガソニックは、素材にダメージを与えにくく、洗浄効果も高く好ましい。
【0224】
次に、フッ化物を含むエッチング液で、ITO等の透明電極234を溶解し、あるいは、表面を粗化することで、上層に形成するめっき膜の密着性を向上させる。
【0225】
ITOへのめっき処理で用いられる触媒付与処理は、全面にパラジウムコロイド系触媒を付与した後にフッ酸系エッチング液でガラス表面をエッチングしてITOのみを触媒化する方法と、ITOへ選択的に付着するパラジウムイオン系触媒を用いる方法が例示される。
前者は、エッチング条件やパラジウムの再付着によって選択性が劣る傾向があるが、めっき膜の密着状態が良好で好ましい。
【0226】
パラジウムイオン系触媒で、ITOとガラスへの付着密度を測定すると、付着密度比はITO:ガラス=10:1となり、パラジウムはITOと比較してガラスには付着しにくい傾向を示すことから、ITOのみを選択的にめっきできる。
【0227】
以上の処理を行ったITOに無電解めっきを行う。ITOパターンへ選択的に無電解ニッケルめっきを行う。ITOへ最も密着良く製膜できるめっき皮膜は、無電解ニッケルめっき法によるニッケル-リン皮膜である。
【0228】
無電解ニッケルめっき液は、次亜リン酸を還元剤とする酸性タイプの組成である。ニッケル-リン皮膜は比較的電気伝導性の低い皮膜であるため、必要に応じて、ニッケル-リン皮膜上に金や銅などのより電気伝導性の高い皮膜を形成する。
【0229】
無電解ニッケルめっき後の熱処理は、密着増強のために実施する。熱処理による密着増強効果は120℃程度から現れるが、密着を確実にするために200℃~250℃、30分程度の熱処理で良好な結果が得られる。
【0230】
本発明の表示パネルの製造方法について図面を参照しながら説明をする。図17は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。一実施例として、図17等は、表示モジュール203の側面にレーザ光205を照射し、凹部216を形成するとして説明するが、本発明はこれに限定するものではない。図20に図示するように、表示モジュール203の上面からレーザ光205を照射することにより凹部216あるいは貫通穴223を形成してもよいし、図15図16で説明した方法等と組み合わせてもよい。
【0231】
以上のように、本発明は、本明細書、図面に記載している全部または一部を相互に組み合わせることができる。また、それぞれの構成を適時、採用することができる。
【0232】
なお、図17は、表示モジュール203の側面にレーザ光吸収部224を形成した製造方法であるが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図21(a)は、レーザ光吸収部224を形成せず、凹部216を形成した実施例である。なお、図21(b)は図17(b)と、図21(c)は図17(c)と同様あるいは類似であり、説明を省略する。
【0233】
図6図22に図示するように、1つのガラス基板202には、複数の表示モジュール203が作製される。各表示モジュール203の4つの端には、位置合わせマーカ201が形成、または配置される。
【0234】
図17図20は、表示モジュール203の側面方向から、レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射する実施例である。しかし、図17(a)、図20(b)に図示するように、表示モジュール203の側面方向からレーザ光205を照射すると、図15図16等で説明したように、レーザ光205が表示モジュール203内で反射し、表示モジュール203の表面に形成されたトランジスタ117等を破壊する場合がある。
図36は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。レーザ光205はマスク212が形成された箇所に上方向から照射する。
【0235】
レーザ加工装置204が発生するレーザ光205は直線性があるが、レーザスポットには最もエネルギー密度が高い焦点位置がある。エネルギー密度が高い焦点位置(以降、高焦点位置と呼ぶ)が最も凹部216等の加工性能が高くなる。しかし、高焦点位置の焦点深度は短い。
【0236】
したがって、高焦点位置を移動して加工を行う必要があるが、高焦点位置の移動は、レーザ加工装置204のレーザヘッド位置と上下方向に移動する必要がある。表示モジュール203に多数の凹部216を形成する場合は、レーザヘッドの上下移動を凹部216の形成数回、繰り返す必要がある。
【0237】
本発明の製造方法では、図36に図示するように、表示モジュール203をXYZステージ217に搭載し、XYZステージ217のZ軸を上方向に移動させることにより、凹部216を形成する。
【0238】
図36(a)では、XYZステージ217に表示モジュール203がエアーチャックで吸着されて固定されている。図36(b)に図示するように、表示モジュール203にレーザ光205がマスク212に照射され、凹部216が加工される。
図36(b)では、一例として矢印に示すように時計逆回り方向に、レーザ光205を移動させて凹部216を形成あるいは加工する状態を図示している。
【0239】
なお、図36(b)において、レーザ加工部233を斜線で示している。凹部216の加工は表示モジュール203の周囲に形成される凹部216に対して実施される。
【0240】
以上のようにして、ゲート信号線163、ソース信号線164の両端あるいは両端近傍のレーザ加工部233にレーザ光205が照射され、凹部216が加工される。
【0241】
次にXYZステージ217のZ軸を所定距離、上昇させ、凹部216の加工位置が高焦点位置となるように移動させる。表示モジュール203にレーザ光205がマスク212に照射され、凹部216が加工される。凹部216の加工は表示モジュール203の周囲に形成される凹部216に対して実施される。
【0242】
XYZステージ217は、順次、Z軸方向に移動する。結果的にZ軸の移動量は表示モジュール203の厚み量となる。以上のZ軸の移動とレーザ光205による加工動作を、表示モジュール203の側面に実施することにより、表示モジュール203に凹部216が形成される。
【0243】
XYZステージ217をX軸、Y軸方向に移動させて凹部216を形成し、すべての凹部216にレーザ光を照射した後、Z軸を移動させて、凹部の加工位置に焦点が定まるようにする。そして、また、XYZステージ217をX軸、Y軸方向に移動させて凹部216を形成し、すべての凹部216にレーザ光を照射する。このレーザ光を照射しつつ、X軸、Y軸方向への移動と、Z軸を移動させて加工位置に焦点が定まるように移動させる動作を繰り返す。
【0244】
図38は、図37の本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。凹部216を矩形に形成する場合、マスク212に照射するレーザ光205のスポットも矩形であることが好ましい。
【0245】
図38の実施例では、レーザ光205aは矩形穴が形成されてレーザスリット231で矩形のレーザ光205bにされる。矩形のレーザ光205bがマスク212に照射されて凹部216が形成される。
【0246】
図38(a)は表示モジュール203の一部平面図であり、図38(b)は図38(a)のAA’線での断面図である。図38(c)は、加工状態を示す説明図である。
図38(a)に図示するように、粗化部244の形成位置、端子電極232を含む箇所にマスク212が形成されている。
レーザ加工部233に矩形のレーザ光205bが照射され、矩形の粗化部244が形成される。
【0247】
図38(c)、図36(a)に図示するように、表示モジュール203はXYZステージ217に搭載され、矩形の高焦点位置を順次、マスク212の上下方向に移動させてガラス基板202の側面を加工し、粗化部244を形成する(図38(c))。
【0248】
図39(d)に図示するようい、XYZステージ217のZ軸(上下方向)に移動させつつ、レーザ光205bを照射する。したがって、レーザ加工装置204のレーザヘッド位置は固定状態で粗化部を加工する。図38(d)、図38(e)に図示するように、ガラス基板202の側面に粗化部244が形成される。
【0249】
次に図38(e)に図示するように、端子電極232上にレーザ光205bを照射し、端子電極232上のマスクを除去するとともに、信号線214上を粗化する。また、マスク212cにもレーザ光205bを照射し、マスク212cを除去するとともに、ガラス基板202の表面を粗化し、めっき膜215あるいはインクジェット方式による導電性インクが付着強度を向上させる。
【0250】
また、図39(f)に図示するように、ガラス基板202の裏面のCOF配線形成部241にレーザ光205bを照射し、マスク212bを除去するとともに、ガラス基板202面を粗化させる。
【0251】
図38(e)の工程では、図41(b)の融着部249の形成を実施することが好ましい。融着部249を形成するレーザ光と粗化部を形成するレーザ光とは別の光を使用することが好ましい。
【0252】
図38(f)はめっき膜215を形成部のレーザ粗化が終了した状態を示す。レーザ光205bを照射しためっき膜215の形成部、COF配線形成部241は粗化され、他の部分はマスク212が残存する。
【0253】
ガラス基板202に対し酸性脱脂剤を用い、例えば45℃、5分の条件で脱脂を行う(図40(g))。また、塩酸系水溶液を用いてプリディップ処理を行う。保持時間は、一例として、2分である。
【0254】
次に、Sn-Pd触媒229を凹部216の表面、及びレーザ光吸収部224の残存している部分の表面に付与する(図40(h))。Sn-Pd触媒229はコロイド状の粒子であり、Sn-Pdの核部の表面にSn-rich層、及びSn2+層が順に形成されている。
【0255】
次に、活性化を行う。Sn-Pd触媒229を付与したガラス基板202を塩酸系の溶液に浸漬することでSnの層が除去され、内部のPd触媒が露出する。Pd触媒が露出するので、Sn-Pd触媒229が存在する部分において、無電解Ni-Pめっき液による反応が生じる。
【0256】
アルカリ溶液を用いて、レーザ光吸収部224を剥離する(図40(i))。ガラス基板202のレーザ光吸収部224が剥離された部分にはSn-Pd触媒229が存在しない。
【0257】
ガラス基板202の表面に無電解Ni-Pめっきを行い、めっき膜215が形成される(図40(j))。無電解Ni-Pめっき液としては、酸性領域から中性領域で次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする還元析出型の無電解Ni-Pめっき液を用いることができる。
【0258】
キレート剤としては、リンゴ酸、またはクエン酸、またはマロン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸、または酢酸やコハク酸等のモノカルボン酸、アンモニアやグリシン等のアミン類を単独もしくは複数併用して用いることができる。無電解Ni-Pめっき液中の還元剤がガラス基板202上で電子を放出するように触媒として機能するPdが付与されている。
したがって、無電解Niめっき液中のNiイオンが、還元剤の酸化反応で放出される電子によって還元され、めっき膜215が形成される。
【0259】
本実施形態によれば、難めっき材料からなるガラス基板202に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、図17(b)に図示するように、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。必要に応じて、Ni-Pめっき上に、電解めっきによる銅(Cu)めっき膜を形成する。
【0260】
ガラス基板202は、図6の矢印の位置で切断され、表示モジュール203に分離される。図10(a)に図示するように、必要に応じて、表示モジュール203はaa’線、bb’線、cc’線、dd’線で精密切断、あるいは研磨加工される。
【0261】
研削加工とは、一例として、砥石車と呼ばれる円状の大きな工具を高速回転させ、その表面を加工するものに当てることにより、その表面を滑らかな状態に整える。この砥石車の表面には大きめの砥粒が無数につけられており、これによって対象物の表面の微小突起等を削ることができる。
【0262】
好ましくは、研磨面には、CP(Cross section polisher)加工(イオンミリング)で行うことが好ましい。CP加工(イオンミリング)とは、集束していないブロードなアルゴンイオンビームを試料に照射し、試料原子を弾き飛ばすスパッタリング現象を利用して試料を削ることである。試料の表面にアルゴンイオンビームを入射させ、試料を作製する。CP加工では、研磨面に熱が発生せず、熱による影響がない。
【0263】
図10(b)に図示するように、矢印に示すガラス基板202の側面を精密研磨加工することにより、平滑化する。また、ガラス切断により、発生したクラックを消去する。また、研磨面をフッ化水素等で洗浄することにより、微小なクラックをなくすことができる。
【0264】
本発明の表示パネルは、図6で説明したように、比較的、表示画面165が小さい表示モジュール203を作製し、当該表示モジュール203を組み合わせることにより、大画面の表示画面165(大画面の表示モジュール)を作製するものである。
【0265】
表示画面165が小さい表示モジュール203には、それぞれゲートドライバ161、ソースドライバ162が接続される。ソースドライバ162は、ソース信号線164の両側に接続する。ゲートドライバ161は、ゲート信号線163の一方に接続してもよいが、好ましくは、ゲート信号線163の両方に接続することが好ましい。
【0266】
各表示モジュール203は、図11図12に図示するように、各表示モジュール203間の界面がない、あるいは、各表示モジュール203間を目立たないように接続、組み合わされる。
【0267】
本発明は、複数の表示モジュール203を組み合わせることより、大画面の表示画面165を構成する。各表示モジュール203は、表示不良の検査を行い、不良は修正をして完成させる。したがって、良品の表示モジュール203を組み合わせることにより表示ディスプレイを構成するため、製造歩留まりを向上させることができる。
【0268】
以上の事項は、図22図25図26図27図29等の他の実施例においても同様である。本明細書、図面に記載の事項、実施例は一部または全部を組み合わせること、また、相互に適用できることは言うまでもない。
図17(a)に図示するように、表示モジュール203の側面から、レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射し、凹部216を形成する。
【0269】
次に、凹部216及び裏面及び信号線214a上にめっき膜215を形成する。めっき膜215の形成方法について図30図31を参照しながら説明する。図30は、めっき膜215の形成方法に関するフローチャート図である。図31はめっき膜の形成方法の説明図である。
図31(a)に図示するように、表示モジュール203(ガラス基板202)を洗浄する。あるいは、プラズマアッシャー装置でアッシング処理を行う。
次に、図31(b)に図示するように、表示モジュール203(ガラス基板202)にレーザ光吸収部224、スリット228を形成する(図30 S11)。
【0270】
図9で説明したように、表示モジュール203(ガラス基板202)の位置合わせマーカ201を画像認識装置206で検出・認識し、XYZステージ217を制御して位置決めを行う。
次に、図31(c)に図示するように、レーザ光205をレーザ光吸収部224に照射し、凹部216を形成する(図30 S12)。
凹部216は、フェムト秒レーザ光205のレーザ強度、照射するレーザパルスの移動速度を変更あるいは設定することによりに実現できる。
【0271】
フェムト秒レーザ加工装置は、一般にパルス幅が、サブピコ秒から数十フェムト秒のフェムト秒レーザ光205を発生する。サブピコ秒から数十フェムト秒の超短パルスのレーザ光205を材料に照射した場合、材料の熱拡散特性時間に比べてパルス幅が十分に短いため、光エネルギーを有効に照射部に投入できる。
【0272】
その結果、照射周辺部への熱影響が局限することが可能で、高精度な微細加工が実現できる。また、レーザ光の電場強度が非常に高いので、ビームが集光されたところにのみ、空間選択的に多光子吸収、多光子イオン化等の非線形作用を誘起することができる。
【0273】
フェムト秒レーザ光205のパルスを照射することにより、レーザ光吸収部224及びスリット228の形成部に対応する箇所のガラス材料が除去され、凹部216が形成される。
ガラス基板202に対し酸性脱脂剤を用い、例えば45℃、5分の条件で脱脂を行う(図30 S13)。
塩酸系水溶液を用いてプリディップ処理を行う(図30 S14)。保持時間は、一例として、2分である。
【0274】
次に、Sn-Pd触媒229を凹部216の表面、及びレーザ光吸収部224の残存している部分の表面に付与する(図30 S15、図31(d))。Sn-Pd触媒229はコロイド状の粒子であり、Sn-Pdの核部の表面にSn-rich層、及びSn2+層が順に形成されている。
【0275】
次に、活性化を行う(図30 S16)。Sn-Pd触媒229を付与したガラス基板202を塩酸系の溶液に浸漬することでSnの層が除去され、内部のPd触媒が露出する。Pd触媒が露出するので、Sn-Pd触媒229が存在する部分において、無電解Ni-Pめっき液による反応が生じる。
【0276】
アルカリ溶液を用いて、レーザ光吸収部224を剥離する(図30 S17、図31(e))。ガラス基板202のレーザ光吸収部224が剥離された部分にはSn-Pd触媒229が存在しない。
【0277】
ガラス基板202の表面に無電解Ni-Pめっきを行い、めっき膜215が形成される(図30 S18、図31(f))。無電解Ni-Pめっき液としては、酸性領域から中性領域で次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする還元析出型の無電解Ni-Pめっき液を用いることができる。
【0278】
キレート剤としては、リンゴ酸、またはクエン酸、またはマロン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸、または酢酸やコハク酸等のモノカルボン酸、アンモニアやグリシン等のアミン類を単独もしくは複数併用して用いることができる。
【0279】
無電解Ni-Pめっき液中の還元剤がガラス基板202上で電子を放出するように触媒として機能するPdが付与されている。したがって、無電解Niめっき液中のNiイオンが、還元剤の酸化反応で放出される電子によって還元され、ガラス基板202の表面に析出し、めっき膜215が形成される。
【0280】
本実施形態によれば、難めっき材料からなるガラス基板202に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、図17(b)に図示するように、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。必要に応じて、Ni-Pめっき上に、電解めっきによる銅(Cu)めっき膜を形成する。
次に、図17(c)に図示するように、表示モジュール203の裏面部のめっき膜215に異方性導電膜(ACF)219を取り付ける。
次に、図18(d)に図示するように、ACF219を介して、めっき膜215とCOF218の端子電極とを電気的に接続する。
【0281】
COF218には、ソースドライバ162またはゲートドライバ161が実装されている。また、COF218には、コンデンサ(図示せず)、電源用のコイル(図示せず)が実装されている。
【0282】
次に、図18(e)に図示するように、複数の表示モジュール203(図18では、表示モジュール203a、表示モジュール203b)が、近接して配置され、また、組み合わせされる。
【0283】
次に、図18(f)に図示するように、配置された表示モジュール203間にガラス接着材221が塗布され、複数の表示モジュール203の組み合わせにより大画面を有する表示パネルが作製される。
【0284】
ガラス接着材221としては、シリコン系、エポキシ系、ウレタン系、これらの紫外線硬化系等の多くから選択することができる。ガラス接着材は、光透過性を有し、ガラス基板202の屈折率が近似した材料からなるものを選択することが好ましい。特に、ウレタン接着材は、一液硬化型で接着強度も高い。紫外線硬化型は、接着工法が容易である。
【0285】
表示モジュール203aと表示モジュール203bを近接して配置し、位置合わせをする。次に、表示モジュール203aと表示モジュール203b間に、ガラス接着材221を流し込む。
【0286】
次に、2~5分間、UV光をガラス接着材221に照射し、初期硬化させる。次に、UV光の強度を高くして、再度UV光を2~3分間、照射して完全硬化させる。
【0287】
なお、ガラス接着材221としたが、ガラスに限定されるものではない。表示モジュール203が樹脂の場合は、樹脂接着材でよい。ガラス接着材は、表示モジュール203のガラス基板202と屈折率が等しい、あるいは近似であり接続部が目立ちにくくなるものであればいずれでもよい。
【0288】
以上の事項は、図22図24図26図29等の実施例においても同様である。また、その一部または全部を組み合わせること、適用できることは言うまでもない。
以下、本発明の第2の実施例における表示モジュール203について図面を参照しながら説明をする。
【0289】
図23は、本発明の第2の実施例における表示パネルの構造の説明図であり、表示パネルの一部を拡大した図面である。図24は、図23のAA’線での断面図である。
【0290】
図23に図示するように、表示モジュール203aに近接して表示モジュール203bが配置される。なお、表示モジュール203aの右端、表示モジュール203aの紙面上側、表示モジュール203aの紙面下側にも、表示モジュール203が配置されることは、図11の第1の実施例と同様である。
【0291】
図11の第1の実施例と同様に、表示モジュール203aの信号線214a(ゲート信号線163、ソース信号線164等)と、表示モジュール203bの信号線214bは平行に、近接して配置される。
【0292】
図11の第1の実施例、図23の第2の実施例でも同様であるが、アノード配線Vdd、カソード配線Vssも信号線214と同様に構成され、めっき膜215等が形成される。
【0293】
図6に図示するように、1つのガラス基板202には、複数の表示モジュール203が作製される。各表示モジュール203の4つの端には、位置合わせマーカ201が形成、または配置される。
【0294】
ガラス基板202は、図6の矢印の位置で切断され、表示モジュール203に分離される。図22(a)に図示するように、必要に応じて、表示モジュール203はaa’線、bb’線、cc’線、dd’線で精密切断、あるいは研磨加工される。
【0295】
好ましくは、研磨は、CP(Cross section polisher)加工(イオンミリング)で行うことが好ましい。CP加工(イオンミリング)とは、集束していないブロードなアルゴンイオンビームを試料に照射し、試料原子を弾き飛ばすスパッタリング現象を利用して試料を削ることである。試料の表面にアルゴンイオンビームを入射させ、試料を作製する。CP加工では、研磨面に熱が発生せず、熱による影響がない。
【0296】
図22(b)の矢印で図示するように、表示モジュール203の端面は、斜面となるように、研磨される。表示モジュール203の左右は斜面の形状方向が異なり、また、紙面の上下の斜面の形状方向が異なるように加工される。
【0297】
研削加工とは、一例として、砥石車と呼ばれる円状の大きな工具を高速回転させ、その表面を加工するものに当てることにより、その表面を滑らかな状態に整える。その後、ガラス基板202の側面を精密研磨加工することにより、平滑化する。また、研磨面をフッ化水素で洗浄することにより、微小なクラックをなくす。あるいは、CP加工を実施する。
【0298】
図24で図示するように、表示モジュール203aの左端に表示モジュール203bが配置される。表示モジュール203aの端部は斜面状に形成され、同様に、表示モジュール203bの端部は斜面状に形成される。表示モジュール203aの端部と、表示モジュール203bの端部とが、組み合わせて接するように構成されている。
【0299】
表示モジュール203aの左側端部には、信号線214位置に一致させて、凹部が形成されている。凹部には、図13(a)に図示するように、めっき膜215が形成されている。
【0300】
第2の実施例では、図30図31等で説明したように、斜面にレーザ光205を照射することにより凹部216(図示せず)し、めっき膜215を形成する。レーザ光205の照射部は斜面ながら、表示モジュール203の上方からの照射となる。上方からのレーザ光205の照射は、表示モジュール203の側面側からの照射よりも容易である。
【0301】
なお、第2の実施例における凹部は、第1の実施例における凹部216のように必須の構成物ではない。したがって、凹部216は、形成しない構成も例示されることは言うまでもない。
【0302】
めっき膜215は信号線214と電気的に接続される。表示モジュール203aの斜面のめっき膜215には、ACF219が配置され、ACF219を介してCOF218とめっき膜215が電気的に接続されている。表示モジュール203の斜面にACF219が接続できるように、端子形状(図示せず)が形成されている。
【0303】
めっき膜215と信号線214が接続される箇所で、かつ、信号線214の表面には透明電極234が形成されている。したがって、信号線214を構成する金属材料と、めっき膜215間には透明電極234が配置されている。透明電極234は、好ましくはめっき膜215にも形成することが好ましい。
図23は、表示モジュール203の一辺を図示しているが、図22(b)に図示するように表示モジュール203の他の3辺にも斜面を形成する。
【0304】
信号線214上には、透明電極234が信号線214を被覆するように形成されている。透明電極234を形成することにより、めっき膜215と信号線214との接続抵抗が低減する。
【0305】
表示モジュール203aと表示モジュール203b間にはガラス接着材221が充填される。ガラス接着材221は、表示モジュール203aと表示モジュール203bを接着するとともに、COF218を固定する役割もはたす。
【0306】
表示モジュール203aと表示モジュール203bの端に形成した斜面で2つの表示モジュール203を接続する。斜面で接続するため、接続面積が広く、2つの表示モジュール203を強固に接続することができる。また、図12のように、表示モジュール203の裏面にACFと接続のための端子を形成する必要がない。
表示モジュール203の端面は、斜面部と垂直方向に厚みを有する2つの略垂直部を有する。垂直部を厚くするほうがガラス基板202はクラックし難くなる。
【0307】
本発明の第2の実施例のおける表示パネルの製造方法について図面を参照しながら説明をする。図25図26は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。
図25(a)の実施例では、レーザ光吸収部224を形成していないが、図28(a2)に図示するように、レーザ光吸収部224を斜面に形成してもよい。
表示モジュール203の斜面にめっき膜215を形成する方法は、図30図31で説明したので説明を省略する。
【0308】
本実施形態によれば、難めっき材料からなる表示モジュール203(ガラス基板202)に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。
【0309】
Ni-Pめっき215上には、必要に応じて、銅(Cu)めっき膜を形成する。また、Ni-Pめっき215上には、必要に応じて透明電極234を形成し、また、銅(Cu)めっき膜上には必要に応じて透明電極234を形成する。
図25(c)に図示するように、表示モジュール203の斜面のめっき膜215に異方性導電膜(ACF)219を取り付ける。
【0310】
次に、図26(d)に図示するように、ACF219を介して、めっき膜215とCOF218の端子電極とを電気的に接続する。接続の際にACF219を加熱、押圧が必要であるが、押圧方向も表示モジュール203の上方からでよいので、製造工程、製造方法が容易である。
【0311】
COF218には、ソースドライバ162またはゲートドライバ161が実装されている。また、COF218には、コンデンサ(図示せず)、電源用のコイル(図示せず)が実装されている。
【0312】
次に、図26(e)に図示するように、複数の表示モジュール203(図26では、表示モジュール203a、表示モジュール203b)が、近接して配置され、また、組み合わせされる。
次に、図26(f)に図示するように、配置された表示モジュール203間にガラス接着材221が塗布され、UV(紫外線)光が照射されて、硬化される。
複数の表示モジュール203の組み合わせにより大画面を有する表示パネルが作製される。
【0313】
図24の実施例は、表示モジュール203の斜面に、めっき膜215を形成し、めっき膜215にACF219を取り付けた構成であった。本発明はこれに限定されるものではない。
【0314】
図27は、第3の実施例における本発明の表示モジュール203の断面図である。図27では表示モジュール203の斜面に貫通穴223が形成され、貫通穴223にめっき膜215bが形成されている。全体構成は、図23図24と同様あるいは類似であるので説明を省略する。
【0315】
めっき膜223bは表示モジュール203aの裏面に端子形状に形成され、斜面のめっき膜215aと電気的に接続されている。めっき膜215aは信号線214aと電気的に接続されている。表示モジュール203aの裏面のめっき膜215bは、ACF219が取り付けられ、ACF219はCOF218が取り付けられている。
【0316】
したがって、表示モジュール203aの信号線214aは、めっき膜215a、めっき膜215b、ACF219を介して、ドライバIC220の出力端子と接続されている。
【0317】
本発明の第3の実施例のおける表示パネルの製造方法について図面を参照しながら説明をする。図28図29は、図27の本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。
図28(a1)の実施例では、レーザ光吸収部224を形成していないが、図28(a2)に図示するように、レーザ光吸収部224を斜面に形成してもよい。
表示モジュール203の斜面にめっき膜215を形成する方法は、図30図31で説明したので説明を省略する。
【0318】
図28(a1)に図示するように、表示モジュール203aの斜面にはLの範囲にレーザ光205が照射される。レーザ光205の照射により、めっき膜215aを形成する領域が粗化される。また、好ましくは、加えて凹部216が形成される。
【0319】
図28(a2)に図示するように、斜面にレーザ光吸収部224を形成することにより、めっき膜215aを形成する領域の粗化が促進される。また、凹部216の形成も促進される。
【0320】
次に、図28(b)に図示するように、貫通穴223を形成する領域にレーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射することにより、容易に貫通穴223を形成できる。貫通穴223の形成工程時は、レーザ光205の貫通穴223の形成深さに対応して、レーザ光205の焦点位置を移動させる。
【0321】
図28(b)での貫通穴223の形成後、貫通穴223部を中心にフッ酸溶液、フッ化水素アンモニウムを浸透させ、貫通穴223部のクラックをなくすことが有効である。
【0322】
次に、図30図31で説明しためっき膜の製造方法で、めっき膜215a、めっき膜215bを形成する。めっき膜215a、めっき膜215bの形成後の表示モジュール203の断面を図28(c)に図示する。
【0323】
本実施形態によれば、難めっき材料からなる表示モジュール203(ガラス基板202)に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。
Ni-Pめっき215bには、貫通穴223部に無電解めっきによりめっき膜を形成し、その後、電解めっきにより、銅(Cu)めっき膜を形成する。
【0324】
図29(d)に図示するように、表示モジュール203の裏面のめっき膜215bに異方性導電膜(ACF)219を取り付ける。また、ACF219を介して、めっき膜215bとCOF218の端子電極とを電気的に接続する。
【0325】
次に、図29(e)に図示するように、複数の表示モジュール203(図29では、表示モジュール203a、表示モジュール203b)が、近接して配置され、また、組み合わせされる。複数の表示モジュール203の組み合わせにより大画面を有する表示パネルが作製される。
次に、図29(f)に図示するように、配置された表示モジュール203間にガラス接着材221が塗布され、UV(紫外線)光が照射されて、硬化される。
本実施の形態に係る表示ディスプレイ、表示パネル、表示モジュール203は、情報機器などのシステム機器を含む概念である。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0326】
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0327】
上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0328】
以上、本明細書において、実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
本明細書及び図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0329】
本開示は、特に、アクティブ型のLEDディスプレイ、LED表示パネルに有用である。LEDは、LEDチップ、マイクロLED、ナノLED等の多くのサイズに適用できる。
【符号の説明】
【0330】
161 ゲートドライバIC
162 ソースドライバIC
163 ゲート信号線
164 ソース信号線
165 表示画面
171 コンデンサ
172 LED
173 トランジスタ
174 接続電極
175 画素
176 拡散材
201 位置合わせマーカ
202 パネル基板
203 表示モジュール
204 レーザ加工装置
205 レーザ光
206 画像認識装置
211 反射膜
212 マスク
214 信号線
215 めっき膜
216 凹部
217 XYZステージ
218 COF
219 ACF
220 ドライバIC
221 ガラス接着材
222 レーザ光吸収部
223 貫通穴
224 レーザ光吸収部
225 容器
226 オプティカルカップリング液
227 照明光
228 スリット
229 Sn-Pd触媒
231 レーザスリット
232 端子電極
233 レーザ加工部
234 透明電極
235 COF接続配線
236 短絡配線
237 電位配線
238 電位電極
239 接続素子(トランジスタ)
241 COF配線形成部
243 インクジェットヘッド
244 粗化部
245 カバーガラス
246 オプティカルカップリング材
247 穴あけ加工部
248 導電性樹脂
249 融着部
250 表面樹脂
図1
図2
図3
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