(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031150
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】関節運動式ブレーキアセンブリを有する外科用ステープル留めデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20220210BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118432
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】16/987,798
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ロアニット フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ラバンヤ クリシュナ クマール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC23
4C160MM32
4C160NN02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】関節運動式ブレーキアセンブリを有する外科用ステープル留めデバイスの提供。
【解決手段】外科用ステープル留めデバイスは、長手方向軸を画定する本体部分と、長手方向軸を横断する軸の周りで関節運動するツールアセンブリ16と、を含む。外科用ステープル留めデバイスは、関節運動部材62を含み、関節運動部材62は、本体部分内に支持され、ツールアセンブリ16を非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。本体部分は、ブレーキアセンブリを支持し、ブレーキアセンブリは、外科用ステープル留めデバイスが発射されたときに、関節運動部材62を安定させるために、関節運動部材62との係合状態へと移動する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留めデバイスであって、
長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する、本体部分と、
前記本体部分の前記遠位部分に枢動可能に連結されたツールアセンブリであって、前記ツールアセンブリが、長手方向軸を画定し、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、前記ツールアセンブリが、前記ツールアセンブリの前記長手方向軸が前記本体部分の前記長手方向軸と整列する非関節運動位置から、前記ツールアセンブリの前記長手方向軸が前記本体部分の前記長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である、ツールアセンブリと、
前記本体部分内に支持された関節運動部材であって、前記関節運動部材が、近位部分および遠位部分を有し、前記遠位部分が、前記ツールアセンブリに連結され、前記関節運動部材が、前記関節運動位置と前記非関節運動位置との間で前記ツールアセンブリを枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である、関節運動部材と、
前記本体部分内に支持されたブレーキアセンブリと、を備え、前記ブレーキアセンブリが、前記関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドを含み、前記ブレーキアセンブリが、前記第1のブレーキパッドが前記関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、前記第1のブレーキパッドが前記関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である、外科用ステープル留めデバイス。
【請求項2】
前記ブレーキアセンブリが、前記関節運動部材の第2の側の上に位置付けられた第2のブレーキパッドを含み、前記関節運動部材が、前記ブレーキアセンブリが前記第2の位置にあるときに、前記第1のブレーキパッドと前記第2のブレーキパッドとの間にクランプされる、請求項1に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項3】
前記ブレーキアセンブリが、基部部材および支持部材を含み、前記ブレーキパッドが、前記基部部材上に支持される、請求項2に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項4】
前記ブレーキアセンブリが、前記ブレーキアセンブリを前記第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む、請求項3に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項5】
前記付勢部材が、前記支持部材に係合する、請求項4に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項6】
駆動アセンブリをさらに含み、前記駆動アセンブリが、前記ツールアセンブリを作動させるように後退位置から前進位置まで移動可能である、請求項5に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項7】
前記駆動アセンブリが、可撓性駆動ビームを含み、前記ブレーキアセンブリの前記支持部材が、前記可撓性駆動ビーム上に支持される、請求項6に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項8】
前記ブレーキアセンブリの前記基部部材が、前記本体部分内に画定されたポケット内に受容され、前記基部部材が、前記ブレーキアセンブリが前記第1の位置から前記第2の位置まで移動するときに、前記ポケット内で移動可能である、請求項7に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項9】
前記可撓性駆動ビームが、凹面を画定し、前記支持部材が、前記凹面内に受容される、請求項8に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項10】
前記凹面が、テーパー状の壁によって画定され、前記テーパー状の壁と前記ブレーキアセンブリの前記支持部材との間の係合により、前記ブレーキアセンブリを、前記駆動アセンブリが前記後退位置から前記前進位置に向かって移動するときに、前記第1の位置から前記第2の位置まで移動させる、請求項9に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項11】
ハンドルアセンブリおよびアダプタアセンブリをさらに含み、前記本体部分が、前記アダプタアセンブリに連結されている、請求項1に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項12】
外科用ステープル留めデバイスであって、
長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する、本体部分と、
前記本体部分の前記遠位部分に枢動可能に連結されたツールアセンブリであって、前記ツールアセンブリが、長手方向軸を画定し、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、前記ツールアセンブリが、前記ツールアセンブリの前記長手方向軸が前記本体部分の前記長手方向軸と整列する非関節運動位置から、前記ツールアセンブリの前記長手方向軸が前記本体部分の前記長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である、ツールアセンブリと、
前記本体部分内に支持された関節運動部材であって、前記関節運動部材が、近位部分および遠位部分を有し、前記遠位部分が、前記ツールアセンブリに連結され、前記関節運動部材が、前記関節運動位置と前記非関節運動位置との間で前記ツールアセンブリを枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である、関節運動部材と、
前記本体部分内に支持されたブレーキアセンブリと、を備え、前記ブレーキアセンブリが、前記関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッド、および関節運動ロッドのもう一方の側の上に支持される基部部材、を含み、前記基部部材が、前記第1のブレーキパッドが前記関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、前記第1のブレーキパッドが前記関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である、外科用ステープル留めデバイス。
【請求項13】
前記基部部材が、第2のブレーキパッドを支持し、前記関節運動部材が、前記ブレーキアセンブリの前記基部部材が前記第2の位置にあるときに、前記第1のブレーキパッドと前記第2のブレーキパッドとの間にクランプされる、請求項12に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項14】
駆動アセンブリをさらに含み、前記駆動アセンブリが、前記ツールアセンブリを作動させるように後退位置から前進位置まで移動可能である、請求項13に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項15】
前記駆動アセンブリが、可撓性駆動ビームを含み、前記ブレーキアセンブリが、前記可撓性駆動ビーム上に支持された支持部材を含む、請求項14に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項16】
前記ブレーキアセンブリの前記基部部材が、前記本体部分内に画定されたポケット内に受容され、前記基部部材が、前記ポケット内で、前記第1の位置から前記第2の位置まで移動可能である、請求項15に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項17】
前記可撓性駆動ビームが、テーパー状の壁によって画定される凹面を画定し、前記支持部材が、前記凹面内に受容され、前記テーパー状の壁と前記ブレーキアセンブリの前記支持部材との間の係合により、前記基部部材を、前記駆動アセンブリが前記後退位置から前記前進位置に向かって移動するときに、前記第1の位置から前記第2の位置まで移動させる、請求項16に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項18】
前記ブレーキアセンブリが、前記基部部材を前記第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む、請求項12に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【請求項19】
外科用ステープル留めデバイスであって、
長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する、本体部分と、
前記本体部分の前記遠位部分に枢動可能に連結されたツールアセンブリであって、前記ツールアセンブリが、長手方向軸を画定し、前記ツールアセンブリが、前記ツールアセンブリの前記長手方向軸が前記本体部分の前記長手方向軸と整列する非関節運動位置から、前記ツールアセンブリの前記長手方向軸が前記本体部分の前記長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である、ツールアセンブリと、
前記本体部分内に支持された関節運動部材であって、前記関節運動部材が、近位部分および遠位部分を有し、前記遠位部分が、前記ツールアセンブリに連結され、前記関節運動部材が、前記関節運動位置と前記非関節運動位置との間で前記ツールアセンブリを枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である、関節運動部材と、
前記本体部分内に支持されたブレーキアセンブリと、を備え、前記ブレーキアセンブリが、前記関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドを含み、前記ブレーキアセンブリが、前記第1のブレーキパッドが前記関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、前記第1のブレーキパッドが前記関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である、外科用ステープル留めデバイス。
【請求項20】
前記ブレーキアセンブリが、前記ブレーキアセンブリを前記第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む、請求項19に記載の外科用ステープル留めデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ステープル留めデバイス、より具体的には、関節運動するツールアセンブリを有する外科用ステープル留めデバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
様々な外科的手技を実施するように、迅速かつ効率的な方法で組織を縫合および切断するための外科用ステープル留めデバイスが周知である。典型的には、外科用ステープル留めデバイスは、カートリッジアセンブリおよびアンビルをそれぞれ支持する第1および第2のジョーを有する、ツールアセンブリを含む。第1および第2のジョーを一緒に取り付けることにより、ツールアセンブリを開放位置とクランプ位置との間で移動させることができる。
【0003】
典型的には、内視鏡外科用ステープル留めデバイスは、長手方向軸を画定する細長いシャフトを含み、ツールアセンブリは、横方向軸の周りで細長いシャフトの遠位端上に枢動可能に支持される。既知の内視鏡ステープル留めデバイスでは、関節運動ロッドが、ツールアセンブリに連結されており、ツールアセンブリを横方向軸の周りで、非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。再装填アセンブリ内での構成要素の固有のクリアランスおよびステープル留めデバイスを発射するために必要な発射力により、ツールアセンブリの位置が所望の関節運動位置に固定され、ツールアセンブリがクランプされて発射されたときに、関節運動ロッドが、不必要に、ツールアセンブリに伝達される微動を経験する場合がある。
【0004】
したがって、ステープル留めデバイスの発射時の微動を最小限に抑えることができる外科用ステープル留めデバイスの縫合技術に対する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様は、外科用ステープル留めデバイスであって、長手方向軸を画定する本体部分と、長手方向軸を横断する軸の周りで関節運動するツールアセンブリと、を含む、外科用ステープル留めデバイスを対象とする。外科用ステープル留めデバイスは、関節運動部材を含み、関節運動部材は、本体部分内に支持され、ツールアセンブリを非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。本体部分は、ブレーキアセンブリを支持し、ブレーキアセンブリは、外科用ステープル留めデバイスが発射されたときに、関節運動部材を安定させるために、関節運動部材との係合状態へと移動する。
【0006】
本開示の1つの態様は、外科用ステープル留めデバイスであって、本体部分と、ツールアセンブリと、関節運動部材と、ブレーキアセンブリと、を含む、外科用ステープル留めデバイスを対象とする。本体部分は、長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する。ツールアセンブリは、本体部分の遠位部分に枢動可能に連結され、長手方向軸を画定する。ツールアセンブリは、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、ツールアセンブリの長手方向軸が本体部分の長手方向軸と整列する非関節運動位置から、ツールアセンブリの長手方向軸が本体部分の長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である。関節運動部材は、本体部分内に支持され、近位部分および遠位部分を有する。遠位部分は、ツールアセンブリに連結され、関節運動部材は、ツールアセンブリを関節運動位置と非関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。ブレーキアセンブリは、本体部分内に支持され、関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドを含む。ブレーキアセンブリは、第1のブレーキパッドが関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、第1のブレーキパッドが関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である。
【0007】
本開示の別の態様は、外科用ステープル留めデバイスであって、本体部分と、ツールアセンブリと、関節運動部材と、ブレーキアセンブリと、を含む、外科用ステープル留めデバイスを対象とする。本体部分は、長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する。ツールアセンブリは、本体部分の遠位部分に枢動可能に連結され、長手方向軸を画定する。ツールアセンブリは、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、ツールアセンブリの長手方向軸が本体部分の長手方向軸と整列する非関節運動位置から、ツールアセンブリの長手方向軸が本体部分の長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である。関節運動部材は、本体部分内に支持され、近位部分および遠位部分を有する。遠位部分は、ツールアセンブリに連結され、関節運動部材は、ツールアセンブリを関節運動位置と非関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。ブレーキアセンブリは、本体部分内に支持され、関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドと、関節運動ロッドのもう一方の側の上に支持された基部部材と、を含む。基部部材は、第1のブレーキパッドが関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、第1のブレーキパッドが関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である。
【0008】
本開示の別の態様は、外科用ステープル留めデバイスであって、本体部分と、ツールアセンブリと、関節運動部材と、ブレーキアセンブリと、を含む、外科用ステープル留めデバイスを対象とする。本体部分は、長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する。ツールアセンブリは、本体部分の遠位部分に枢動可能に連結され、長手方向軸を画定する。ツールアセンブリは、ツールアセンブリの長手方向軸が本体部分の長手方向軸と整列する非関節運動位置から、ツールアセンブリの長手方向軸が本体部分の長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である。関節運動部材は、本体部分内に支持され、近位部分および遠位部分を有する。遠位部分は、ツールアセンブリに連結され、関節運動部材は、ツールアセンブリを関節運動位置と非関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。ブレーキアセンブリは、本体部分内に支持され、関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドを含む。ブレーキアセンブリは、第1のブレーキパッドが関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、第1のブレーキパッドが関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である。
【0009】
本開示の態様では、ブレーキアセンブリは、関節運動部材の第2の側の上に位置付けられた第2のブレーキパッドを含み、関節運動部材は、ブレーキアセンブリが第2の位置にあるときに、第1のブレーキパッドと第2のブレーキパッドとの間にクランプされる。
【0010】
本開示のいくつかの態様では、ブレーキアセンブリは、基部部材および支持部材を含み、ブレーキパッドは、基部部材上に支持される。
【0011】
本開示の特定の態様では、ブレーキアセンブリは、ブレーキアセンブリを第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む。
【0012】
本開示の態様では、付勢部材は、支持部材に係合する。
【0013】
本開示のいくつかの態様では、ステープル留めデバイスは、ツールアセンブリを作動させるように後退位置から前進位置まで移動可能である、駆動アセンブリを含む。
【0014】
本開示の特定の態様では、駆動アセンブリは、可撓性駆動ビームを含み、ブレーキアセンブリの支持部材は、可撓性駆動ビーム上に支持される。
【0015】
本開示の態様では、ブレーキアセンブリの基部部材は、本体部分内に画定されたポケット内に受容され、基部部材は、ブレーキアセンブリが第1の位置から第2の位置まで移動するときに、ポケット内で移動可能である。
【0016】
本開示のいくつかの態様では、可撓性駆動ビームは、凹面を画定し、支持部材は、凹面内に受容される。
【0017】
本開示の特定の態様では、凹面は、テーパー状の壁によって画定され、テーパー状の壁とブレーキアセンブリの支持部材との間の係合により、ブレーキアセンブリを、駆動アセンブリが後退位置から前進位置に向かって移動するときに、第1の位置から第2の位置まで移動させる。
【0018】
本開示の態様では、ステープル留めデバイスは、ハンドルアセンブリおよびアダプタアセンブリを含み、本体部分は、アダプタアセンブリに連結されている。
【0019】
本開示の他の態様は、以下の説明から理解されるであろう。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用ステープル留めデバイスであって、
長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する、本体部分と、
上記本体部分の上記遠位部分に枢動可能に連結されたツールアセンブリであって、上記ツールアセンブリが、長手方向軸を画定し、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、上記ツールアセンブリが、上記ツールアセンブリの上記長手方向軸が上記本体部分の上記長手方向軸と整列する非関節運動位置から、上記ツールアセンブリの上記長手方向軸が上記本体部分の上記長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である、ツールアセンブリと、
上記本体部分内に支持された関節運動部材であって、上記関節運動部材が、近位部分および遠位部分を有し、上記遠位部分が、上記ツールアセンブリに連結され、上記関節運動部材が、上記関節運動位置と上記非関節運動位置との間で上記ツールアセンブリを枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である、関節運動部材と、
上記本体部分内に支持されたブレーキアセンブリと、を備え、上記ブレーキアセンブリが、上記関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドを含み、上記ブレーキアセンブリが、上記第1のブレーキパッドが上記関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、上記第1のブレーキパッドが上記関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である、外科用ステープル留めデバイス。
(項目2)
上記ブレーキアセンブリが、上記関節運動部材の第2の側の上に位置付けられた第2のブレーキパッドを含み、上記関節運動部材が、上記ブレーキアセンブリが上記第2の位置にあるときに、上記第1のブレーキパッドと上記第2のブレーキパッドとの間にクランプされる、上記項目に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目3)
上記ブレーキアセンブリが、基部部材および支持部材を含み、上記ブレーキパッドが、上記基部部材上に支持される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目4)
上記ブレーキアセンブリが、上記ブレーキアセンブリを上記第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目5)
上記付勢部材が、上記支持部材に係合する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目6)
駆動アセンブリをさらに含み、上記駆動アセンブリが、上記ツールアセンブリを作動させるように後退位置から前進位置まで移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目7)
上記駆動アセンブリが、可撓性駆動ビームを含み、上記ブレーキアセンブリの上記支持部材が、上記可撓性駆動ビーム上に支持される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目8)
上記ブレーキアセンブリの上記基部部材が、上記本体部分内に画定されたポケット内に受容され、上記基部部材が、上記ブレーキアセンブリが上記第1の位置から上記第2の位置まで移動するときに、上記ポケット内で移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目9)
上記可撓性駆動ビームが、凹面を画定し、上記支持部材が、上記凹面内に受容される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目10)
上記凹面が、テーパー状の壁によって画定され、上記テーパー状の壁と上記ブレーキアセンブリの上記支持部材との間の係合により、上記ブレーキアセンブリを、上記駆動アセンブリが上記後退位置から上記前進位置に向かって移動するときに、上記第1の位置から上記第2の位置まで移動させる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目11)
ハンドルアセンブリおよびアダプタアセンブリをさらに含み、上記本体部分が、上記アダプタアセンブリに連結されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目12)
外科用ステープル留めデバイスであって、
長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する、本体部分と、
上記本体部分の上記遠位部分に枢動可能に連結されたツールアセンブリであって、上記ツールアセンブリが、長手方向軸を画定し、アンビルおよびカートリッジアセンブリを含み、上記ツールアセンブリが、上記ツールアセンブリの上記長手方向軸が上記本体部分の上記長手方向軸と整列する非関節運動位置から、上記ツールアセンブリの上記長手方向軸が上記本体部分の上記長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である、ツールアセンブリと、
上記本体部分内に支持された関節運動部材であって、上記関節運動部材が、近位部分および遠位部分を有し、上記遠位部分が、上記ツールアセンブリに連結され、上記関節運動部材が、上記関節運動位置と上記非関節運動位置との間で上記ツールアセンブリを枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である、関節運動部材と、
上記本体部分内に支持されたブレーキアセンブリと、を備え、上記ブレーキアセンブリが、上記関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッド、および関節運動ロッドのもう一方の側の上に支持される基部部材、を含み、上記基部部材が、上記第1のブレーキパッドが上記関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、上記第1のブレーキパッドが上記関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である、外科用ステープル留めデバイス。
(項目13)
上記基部部材が、第2のブレーキパッドを支持し、上記関節運動部材が、上記ブレーキアセンブリの上記基部部材が上記第2の位置にあるときに、上記第1のブレーキパッドと上記第2のブレーキパッドとの間にクランプされる、上記項目に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目14)
駆動アセンブリをさらに含み、上記駆動アセンブリが、上記ツールアセンブリを作動させるように後退位置から前進位置まで移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目15)
上記駆動アセンブリが、可撓性駆動ビームを含み、上記ブレーキアセンブリが、上記可撓性駆動ビーム上に支持された支持部材を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目16)
上記ブレーキアセンブリの上記基部部材が、上記本体部分内に画定されたポケット内に受容され、上記基部部材が、上記ポケット内で、上記第1の位置から上記第2の位置まで移動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目17)
上記可撓性駆動ビームが、テーパー状の壁によって画定される凹面を画定し、上記支持部材が、上記凹面内に受容され、上記テーパー状の壁と上記ブレーキアセンブリの上記支持部材との間の係合により、上記基部部材を、上記駆動アセンブリが上記後退位置から上記前進位置に向かって移動するときに、上記第1の位置から上記第2の位置まで移動させる、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目18)
上記ブレーキアセンブリが、上記基部部材を上記第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(項目19)
外科用ステープル留めデバイスであって、
長手方向軸を画定し、近位部分および遠位部分を有する、本体部分と、
上記本体部分の上記遠位部分に枢動可能に連結されたツールアセンブリであって、上記ツールアセンブリが、長手方向軸を画定し、上記ツールアセンブリが、上記ツールアセンブリの上記長手方向軸が上記本体部分の上記長手方向軸と整列する非関節運動位置から、上記ツールアセンブリの上記長手方向軸が上記本体部分の上記長手方向軸と整列していない関節運動位置まで枢動可能である、ツールアセンブリと、
上記本体部分内に支持された関節運動部材であって、上記関節運動部材が、近位部分および遠位部分を有し、上記遠位部分が、上記ツールアセンブリに連結され、上記関節運動部材が、上記関節運動位置と上記非関節運動位置との間で上記ツールアセンブリを枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である、関節運動部材と、
上記本体部分内に支持されたブレーキアセンブリと、を備え、上記ブレーキアセンブリが、上記関節運動部材の一方の側の上に位置付けられた第1のブレーキパッドを含み、上記ブレーキアセンブリが、上記第1のブレーキパッドが上記関節運動部材から離間配置されている第1の位置から、上記第1のブレーキパッドが上記関節運動部材に係合する第2の位置まで移動可能である、外科用ステープル留めデバイス。
(項目20)
上記ブレーキアセンブリが、上記ブレーキアセンブリを上記第1の位置に向かって促すように位置付けられた付勢部材を含む、上記項目に記載の外科用ステープル留めデバイス。
(摘要)
外科用ステープル留めデバイスは、長手方向軸を画定する本体部分と、長手方向軸を横断する軸の周りで関節運動するツールアセンブリと、を含む。外科用ステープル留めデバイスは、関節運動部材を含み、関節運動部材は、本体部分内に支持され、ツールアセンブリを非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。本体部分は、ブレーキアセンブリを支持し、ブレーキアセンブリは、外科用ステープル留めデバイスが発射されたときに、関節運動部材を安定させるために、関節運動部材との係合状態へと移動する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
開示された外科用ステープル留めデバイスの様々な態様は、本明細書において図面を参照して以下に説明される。
【0021】
【
図1】開放位置にあるステープル留めデバイスのツールアセンブリを有する本開示の態様による、外科用ステープル留めデバイスの側面斜視図である。
【
図2】
図1に示される外科用ステープル留めデバイスの再装填アセンブリの分解側面斜視図である。
【
図3】
図2に示される再装填アセンブリの上面図であり、再装填アセンブリの近位本体部分の外側管が透視図で示され、ツールアセンブリが関節運動位置にある。
【
図5】
図3に示される再装填アセンブリの近位本体部分の遠位部分の側面斜視図であり、再装填アセンブリの近位本体部分のアンビルアダプタおよび外側管が取り外され、ツールアセンブリが関節運動位置にある。
【
図6】
図3に示される再装填アセンブリの近位本体部分のアンビルアダプタの遠位部分の側面斜視図である。
【
図7】
図3の区分線7-7に沿って切り取った断面図である。
【
図9】再装填アセンブリの関節運動ブレーキアセンブリを通って、
図2に示される再装填アセンブリの近位本体部分の長手方向軸に沿ってとられた断面図である。
【
図10】
図9の断面線10-10に沿ってとられた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本開示の外科用ステープル留めデバイスについて、図面を参照して詳細に説明し、図面では、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。しかしながら、開示される態様は本開示の単なる例示であり、様々な形態で具体化され得ることが理解されるべきである。周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示を曖昧にすることを避けるために、詳細には記載されない。それゆえに、本明細書で開示される特定の構造的および機能的な詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、かつ本開示を実質的に任意の適切に詳細な構造として様々に用いるために当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0023】
この説明において、「近位」という用語は、概して、臨床医により近い、デバイスの部分を指すために使用され、「遠位」という用語は、概して、臨床医からより遠い、デバイスの部分を指すために使用される。加えて、「内視鏡」という用語は、概して、内視鏡、腹腔鏡、関節鏡、および/または、小径の切開またはカニューレを介して行なわれる任意の他の処置を指すために使用される。さらに、「臨床医」という用語は、概して、医師、看護師、および支援要員を含む医療従事者を指すために使用される。前方、後方、上方、下方、上部、底部および同様の用語などの方向を示す用語は、説明の理解を助けるために使用され、本開示を限定することを意図していない。
【0024】
開示される外科用ステープル留めデバイスは、長手方向軸を画定する本体部分と、長手方向軸を横断する軸の周りで関節運動するツールアセンブリと、を含む。外科用ステープル留めデバイスは、関節運動部材を含み、関節運動部材は、本体部分内に支持され、ツールアセンブリを非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。本体部分は、ブレーキアセンブリを支持し、ブレーキアセンブリは、外科用ステープル留めデバイスが発射されたときに、関節運動部材を安定させるために、関節運動部材との係合状態へと移動する。
【0025】
図1は、ハンドルアセンブリ12、細長い本体またはアダプタアセンブリ14、およびツールアセンブリ16を含む、概して、ステープル留めデバイス10として示される外科用ステープル留めデバイスを示す。図示するように、ハンドルアセンブリ12は、電動式であり、固定ハンドグリップ18および作動ボタン20を含む。作動ボタン20は、接近、ステープル留め、および切開を含む、ツールアセンブリ16の様々な機能を、アダプタアセンブリ14を介して作動させるように操作可能である。本開示の特定の態様において、ハンドルアセンブリ12は、ステープル留めデバイス10を動作するためにハンドルアセンブリ12に電力を提供する電池(図示せず)を支持する。ステープル留めデバイス10は、電動式ステープル留めデバイスとして示されているが、本開示のツールアセンブリ16が、手動式外科用ステープル留めデバイスならびにロボット制御式ステープル留めデバイスでの使用に適切であることが想定される。
【0026】
アダプタアセンブリ14は、長手方向軸「X」を画定し、ハンドルアセンブリ12に連結された近位部分14aと、ツールアセンブリ16を支持する遠位部分14bと、を含む。本開示の態様において、ツールアセンブリ16は、アダプタアセンブリ14の遠位部分14bに取り外し可能に支持され、ステープル留めデバイス10の再利用を容易にするために、ステープル留めデバイス10が発射された後に交換することができる再装填アセンブリ22の一部を形成する。再装填アセンブリ22は、ツールアセンブリ16と、アダプタアセンブリ14と同軸であり、アダプタアセンブリ14の遠位部分14bに解放可能に連結されている近位本体部分24と、を含む。ツールアセンブリ16は、アダプタアセンブリ14の遠位部分14bに直接連結され得ることが想定される。
【0027】
図2および
図3は、近位本体部分24、ツールアセンブリ16、および取り付けアセンブリ28(
図3)を含む、外科用ステープル留めデバイスの再装填アセンブリ22を例示している。ステープル留めデバイス10のツールアセンブリ16は、カートリッジアセンブリ30およびアンビル32を含む。カートリッジアセンブリ30は、空洞34a(
図2)を画定するチャネル部材34と、空洞34a内に受容されるステープルカートリッジ36と、を含む。ステープルカートリッジ36は、カートリッジ本体38を含み、これは、中央ナイフスロット40、および中央ナイフスロット40の両側に位置付けられた複数のステープル受容スロット42を画定する。示されていないが、カートリッジ本体38は、ステープル、プッシャー、および作動スレッドを支持する。米国特許第6,241,139号(「’139号の特許」)は、ステープルカートリッジの構造と操作をさらに詳細に説明している。
【0028】
取り付けアセンブリ28(
図3)は、上部取り付け部分28a(
図2)と、下部取り付け部分28bと、を含む。上部取り付け部分28aは、アンビル32の近位部分に固設された近位に延在するブラケット46(
図2)内に画定された開口部46a内に受容される、上方に延在する枢動部材44(
図2)を含む。下部取り付け部分28bは、枢動部材48aおよび48b(
図2)によってカートリッジアセンブリ30のアンビル32およびチャネル部材34に固設され、それにより、チャネル部材34は、アンビル32に対して開放位置とクランプ位置との間で枢動可能である。例示のように、カートリッジアセンブリ30は、アンビル32に向かって、およびそれから離れる方向に枢動するが、ツールアセンブリ16は、アンビル32がカートリッジアセンブリ32に向かって、およびそれから離れる方向に枢動するように構築され得ることが想定される。取り付けアセンブリ28およびツールアセンブリ16の構造および操作のより詳細な説明については、’139号の特許を参照されたい。
【0029】
再装填アセンブリ22の近位本体部分24は、上部本体部分50と、下部本体部分52と、を含み、これらは一緒に連結され、外側管54内に受容される。上部本体部分50は、アダプタアセンブリ14に解放可能に連結されるように適合された近位部分50aを含む。上部本体部分50および下部本体部分52はそれぞれ、切り欠き56(
図2)(1つのみを図示)を画定し、切り欠き56は、連結部材58を受容し、ツールアセンブリ16および取り付けアセンブリ28を、再装填アセンブリ22の近位本体部分24に枢動可能に連結する。ツールアセンブリ16は、長手方向軸「Y」(
図1)を画定し、ツールアセンブリ16の長手方向軸「Y」が近位本体部分24の長手方向軸「X」と整列する位置から、ツールアセンブリ16の長手方向軸「Y」が近位本体部分24の長手方向軸「X」と整列していない位置まで枢動可能である。連結部材58のより詳細な説明については、’139号の特許を参照されたい。上部本体部分50および下部本体部分52は、再装填アセンブリ22の駆動アセンブリ60および関節運動部材62を受容するためのチャネルを画定する。
【0030】
駆動アセンブリ60(
図2)は、可撓性駆動ビーム64および作業端66を含む。本開示の態様では、駆動アセンブリ60の作業端66は、第1のビーム68、第2のビーム70、および中央支柱72を含む。本開示の態様では、中央支柱72は、ナイフブレード74を支持するか、または含む。可撓性駆動ビーム64は、テーパー状の近位壁76aを有する凹面76(
図4)を画定する上部縁64aを含む。駆動アセンブリ60は、カートリッジアセンブリ30およびアンビル32に対して駆動アセンブリ60の作業端66を後退位置と前進位置との間で移動させて、ツールアセンブリ16を開放位置とクランプ位置との間で移動させるように、近位本体部分24内で移動可能である。駆動アセンブリ60の作業端66を、その後退位置と前進位置との間で移動させると、ステープル(図示せず)がカートリッジ本体36からアンビル32内に排出される。’139号の特許は、駆動アセンブリ60の操作をさらに詳細に説明している。
【0031】
関節運動部材62は、上部本体部分50と下部本体部分52との間で支持され、ツールアセンブリ16を非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させるように、後退位置と前進位置との間で移動可能である。関節運動部材62は、近位部分62a(
図2)および遠位部分62bを含む。関節運動部材62の近位部分62aは、再装填アセンブリ22がアダプタアセンブリ14に連結されると、アダプタアセンブリ14内で支持される関節運動機構(図示せず)と係合するように構成されている。関節運動機構(図示せず)は、関節運動部材62を、その後退位置と前進位置との間で移動させるように、ハンドルアセンブリ12の操作を介して作動可能である。
【0032】
関節運動部材62の遠位部分62bは、取り付けアセンブリ28の下部取り付け部分28bに連結され、それにより、関節運動部材62の後退位置と前進位置との間の長手方向の動きが、ツールアセンブリ16を、枢動部材44によって画定される枢動軸「Z」(
図3)の周りで、近位体部分24に対して非関節運動位置と関節運動位置との間で枢動させる。本開示の態様では、関節運動部材62bの遠位部分62bは、取り付けアセンブリ28の下部取り付け部分28b上に形成された突起80を受容するループ78を含む。
【0033】
図4および
図5は、基部部材94および支持部材96を有する本体92を含む、再装填アセンブリ22のブレーキアセンブリ90を例示している。本開示の態様では、基部部材94は実質的に矩形であり、ブレーキパッド98(
図4)を支持する。基部部材94は、円形、正方形、楕円形などを含む様々な構成を有することができると想定される。再装填アセンブリ22の近位本体部分24の下部本体部分52は、支持面100を含み、ポケット101を画定し、ポケット101は、ブレーキアセンブリ90の基部部材94の形状に対応する形状を有し、支持面100に沿って位置付けられる。下部本体部分52の支持面100は、関節運動部材62を支持し、関節運動部材62は、その後退位置と前進位置との間で、支持面100に沿って枢動可能である。ブレーキパッド98は、下部ブレーキアセンブリ90の基部部材94上に支持され、そのため、ブレーキパッド98は、関節運動部材62の一方の側に面し、その上に位置付けられる。
【0034】
本開示の態様では、ブレーキアセンブリ90の支持部材96は、実質的にU字形であり、ブレーキアセンブリ90の基部部材94から、可撓性駆動ビーム64の上部縁64aを越えて駆動アセンブリ60の可撓性駆動ビーム64の一方の側に沿って上方に延在し、可撓性駆動ビーム64のもう一方の側に沿って下方に延在する。駆動アセンブリ60がその後退位置にある場合(
図5)、支持部材96は、駆動アセンブリ60の可撓性駆動ビーム64の上部端に沿って形成された凹面76内に受容される。ブレーキアセンブリ90の支持部材96は、以下に記載の目的を達成するために、突起、カム部材などを介することを含む様々な異なる方法で可撓性駆動ビーム64と通信し得ることが想定される。
【0035】
本開示の態様では、ブレーキアセンブリ90の基部部材94は、駆動アセンブリ60が、その後退位置から前進位置に向かって、離間配置された位置または下部位置(
図7)と、係合位置または上昇位置(
図10)との間で長手方向に移動することに応答して、関節運動部材62に向かって、再装填アセンブリ22の近位本体部分22の下部本体部分52のポケット101内で移動可能である。より具体的には、駆動アセンブリ60がその後退位置(
図8)から前進位置に向かって移動すると、支持部材96は、駆動アセンブリ60の可撓性駆動ビーム64の凹面76を画定するテーパー状の近位壁76aに沿って上方に移動して、関節運動部材62との係合状態へとブレーキパッド98を移動させる。本開示のいくつかの態様では、ブレーキアセンブリ90は、付勢部材103(
図4)を含み、付勢部材103は、ブレーキアセンブリ90の支持部材96を、ポケット101内の、その離間配置された位置または下部位置に向かって促す方向に、ブレーキアセンブリ90の基部部材94を促す。本開示の態様では、付勢部材103は、板ばねを含むが、他の付勢部材が想定される。本開示のいくつかの態様では、板ばねは、ブレーキアセンブリ90の支持部材96に溶接され得る。
【0036】
図6および
図7は、第2のブレーキパッド104を受容するポケット102を画定する、再装填アセンブリ22の近位本体部分24の上部本体部分50を例示している。ポケット102は、関節運動部材62が再装填アセンブリ22の近位本体部分24の上部本体部分50および下部本体部分52のブレーキパッド98と104との間に位置付けられるように、上部本体部分50および下部本体部分52が一緒に固設される場合に、再装填アセンブリ22の近位本体部分24の下部本体部分52の支持面100と並んで整列して位置付けられる支持面106内に形成されている。
【0037】
本開示の態様では、ブレーキパッド98および104は、様々な形態であり得る。例えば、ブレーキパッド98および104は、ブレーキアセンブリ90の基部部材94と一体的に形成され、再装填アセンブリ22の近位本体部分24の上部本体部分50の支持面106上に形成されている、鋸歯状または刻み付き表面であってもよい。ブレーキパッド98および104が、接着剤、プレス嵌めなどを使用して、ブレーキアセンブリ90の基部部材94および/または上部本体部分50の支持面106上に固設された高摩擦要素の形態であってもよいことも想定される。
【0038】
図8は、再装填アセンブリ22の近位本体部分24の断面図を例示しており、駆動アセンブリ60が、その後退位置にある。この位置では、ブレーキアセンブリ90の支持部材96は、駆動アセンブリ60の可撓性駆動ビーム64内に形成された凹面76内に位置付けられ、ブレーキアセンブリ90は、その下降位置にあり、ブレーキパッド98は、関節運動部材62から離間配置されている(
図7)。付勢部材103は、ブレーキアセンブリ90の支持部材96に係合して、ブレーキアセンブリ90を凹面76内に下方へと促す。
【0039】
図9および
図10は、駆動アセンブリ60がその後退位置から、
図9の矢印「A」の方向に前進したときの、再装填アセンブリ22の近位本体部分24の断面図を例示している。駆動アセンブリ60が矢印「A」の方向に移動すると、ブレーキアセンブリ90の支持部材96は、可撓性駆動ビーム64内の凹面76を画定するテーパー状の近位壁76aを
図9の矢印「B」の方向に上昇させ、上昇位置に移動する。ブレーキアセンブリ90が上昇位置に移動すると、ブレーキアセンブリ90上のブレーキパッド98は、関節運動部材62の一方の側との緊密な係合状態へと、
図10の矢印「C」の方向に移動する。ブレーキパッド98が関節運動部材62に対して押されると、関節運動部材62は、再装填アセンブリ22の近位本体部分24の上部本体部分50上に支持された第2のブレーキパッド104との緊密な係合状態へと移動し、それにより、関節運動部材62が、ブレーキパッド98と104との間にクランプされる。開示されるブレーキアセンブリ90は、ステープル留めデバイス10が発射されるときに関節運動部材62に係合して、ステープル留めデバイス10の発射時にツールアセンブリ16内で発生し得る微動を最小限に抑えるように、ステープル留めデバイス10の発射時の関節運動部材62の長手方向の動きを防止する。
【0040】
ブレーキアセンブリ90は、2つのブレーキパッドを含む必要がないことが想定される。例えば、ブレーキパッド104を上部本体部分50から取り外すことができ、関節運動部材62を上部本体部分の支持面102に対して圧縮することができる。さらに、ブレーキパッド98をブレーキアセンブリ90の基部部材94から取り外すことができ、基部部材を提供して、関節運動部材62をブレーキパッド104内に圧縮することができる。開示されるバーキングアセンブリ(barking assembly)は、クリップアプライヤ、縫合デバイス、タックアプライヤなどを含む関節運動式ツールアセンブリを有する様々な異なるタイプの外科用デバイスに組み込まれ得ることも想定される。
【0041】
当業者であれば、本明細書において具体的に説明され、添付の図面に図示されるデバイスおよび方法が、本開示の非限定的な例示的な態様であることを理解するであろう。本開示の1つの例示的な態様に関連して例示または記載される要素および特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の要素および特徴と組み合わせることができることが想到される。同様に、当業者であれば、本開示の上述の開示の態様に基づく本開示の更なる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって指示される場合を除いて、具体的に図示および記載されたものによって限定されるべきではない。