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特開2022-31173酵母由来の細胞外膜小胞及びそれを含む皮膚外用剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031173
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】酵母由来の細胞外膜小胞及びそれを含む皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/16 20060101AFI20220210BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220210BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 8/9728 20170101ALI20220210BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20220210BHJP
   A61K 36/062 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
C12N1/16 J
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/9728
A61P17/16
A61K36/062
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123940
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2020132782
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593061905
【氏名又は名称】株式会社 秋田今野商店
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(72)【発明者】
【氏名】辻 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】今野 宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 冬彦
【テーマコード(参考)】
4B065
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA77X
4B065BA22
4B065BD08
4B065BD14
4B065CA44
4C083AA031
4C083AA032
4C083CC02
4C083EE12
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA04
4C087BC14
4C087CA10
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
(57)【要約】
【課題】紫外線、熱などの外的刺激(ストレス)から皮膚を保護し、損傷を受けた皮膚を修復、改善する効果を有する新規な剤を見出すこと、及びこれを配合した皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】ヒートショックされた酵母に由来する、平均粒径100~200nmの細胞外膜小胞、及びこれを含有する皮膚外用剤。
【選択図】図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートショックされた酵母に由来する、平均粒径100~200nmの細胞外膜小胞。
【請求項2】
前記酵母がピキア属に属する請求項1に記載の細胞外膜小胞。
【請求項3】
前記酵母が、椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシ(Pichia naganishii)であり、かつ前記平均粒径が170nm以上である、請求項1又は2に記載の細胞外膜小胞。
【請求項4】
前記酵母がリンゴ由来のピキア・メンブラナファシエンス(Pichia membranaefaciens)であり、かつ前記平均粒径が180nm以上である、請求項1又は2に記載の細胞外膜小胞。
【請求項5】
前記酵母がカバノキの樹液から単離されたピキア・ベロナエ(Pichia veronae)であり、かつ前記平均粒径が120nm以上である、請求項1又は2に記載の細胞外膜小胞。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の細胞外膜小胞を含有する、皮膚をストレスから保護するための外用剤。
【請求項7】
皮膚のストレス保護作用を有する細胞外膜小胞の製造方法であって、
椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシ(Pichia naganishii)を、36~38℃の温度で培養して培養液を得る工程と、
前記培養液から菌体を除去して培養上清を回収する工程と、
前記培養上清から細胞外膜小胞を回収する工程と、
を含む、細胞外膜小胞の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵母由来の細胞外膜小胞(Extracellular membrane vesicle)に関し、さらに詳細には、ヒートショックされた酵母に由来する細胞外膜小胞及びそれを含む皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、人体の最外層に位置する組織であり、常に熱や太陽光線、化学物質、重金属、タバコの煙、排気ガスなどのストレスの影響を直接受けている。このような外的刺激(ストレス)から人体を保護するために、皮膚のバリヤー機能を維持、向上させることは極めて重要である。
【0003】
細胞は、熱や太陽光線、化学物質、重金属、タバコの煙、排気ガスなどの強いストレスにさらされると、それに対抗するためにヒートショックタンパク質(HSP)を産生し、ストレスによるダメージから組織を防御するシステムを有している。HSPは、細胞および生体が熱刺激のみならず、種々のストレスに応答して産生する特殊なタンパク質である。HSPの合成が増加すると、皮膚において、熱や太陽光線などのストレスに対する抵抗性が向上することが知られている。しかし、繰り返しストレスに晒されることで皮膚のバリヤー機能が低下し、かぶれ、乾燥又はひび割れを起こす。これに対する1つの方法として、酵母のHSPを皮膚外用剤に配合することにより、皮膚の老化を防止する試みがなされている(特許文献1参照)。
【0004】
また、熱ストレスによる損傷から皮膚を保護するために、生理的に許容可能な媒体と共にアルテミア・サリーナ抽出物を含む組成物を、身体または顔の皮膚の少なくとも一部への局所適用する美容的ケア方法(特許文献2参照)や、酵母由来の熱ショックたんぱく質と、熱ショックたんぱく質産生促進剤としてライ麦発芽種子エキスを含有する皮膚外用剤(特許文献3)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-331602号公報
【特許文献2】特表2017-502050号公報
【特許文献3】特許第4562536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の方法によれば、HSPの作用により損傷を受けた皮膚を修復し、改善する一定の効果は期待されるものの、HSPそのものを皮膚外用剤に添加しているためタンパク質の分解や変性を起こしやすいなど、皮膚の保護作用にも限界があったと考えられる。
【0007】
そこで本発明は、紫外線、熱などの外的刺激(ストレス)から皮膚を保護し、損傷を受けた皮膚を修復、改善する効果を有する新規な剤を見出すこと、及びこれを配合した皮膚外用剤を提供すること、などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、酵母が産生する細胞外膜小胞の粒子径が、培養温度により変化すること、そして、ヒートショックを受けた酵母由来の細胞外膜小胞が、表皮角化細胞の増殖促進作用を有することを見出して、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の実施形態を含む。
(1)ヒートショックされた酵母に由来する、平均粒径100~200nmの細胞外膜小胞。
(2)酵母がピキア属に属する(1)に記載の細胞外膜小胞。
(3)酵母が、椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシ(Pichia naganishii)であり、かつその平均粒径が170nm以上である、(1)又は(2)に記載の細胞外膜小胞。
(4)酵母がリンゴ由来のピキア・メンブラナファシエンス(Pichia membranaefaciens)であり、かつその平均粒径が180nm以上である、(1)又は(2)に記載の細胞外膜小胞。
(5)酵母がカバノキの樹液から単離されたピキア・ベロナエ(Pichia veronae)であり、かつその平均粒径が120nm以上である、(1)又は(2)に記載の細胞外膜小胞。
(6)(1)~(5)のいずれか一項に記載の細胞外膜小胞を含有する、皮膚をストレスから保護するための外用剤。
(7)皮膚のストレス保護作用を有する細胞外膜小胞の製造方法であって、椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシ(Pichia naganishii)を、36~38℃の温度で培養して培養液を得る工程と、培養液から菌体を除去して培養上清を回収する工程と、培養上清から細胞外膜小胞を回収する工程と、を含む、細胞外膜小胞の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紫外線、熱などの外的刺激(ストレス)から皮膚を保護し、損傷を受けた皮膚を修復、改善する効果を有する新規な剤、及びこれを配合した皮膚外用剤などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、リンゴ由来酵母ピキア・メンブラナファシエンスから回収した細胞外膜小胞サンプルの粒径分布をqNANOで測定した結果を示す。
図2図2は、椿由来の酵母ピキア・ナガニシから回収した細胞外膜小胞サンプルを用いて、熱ストレスによる正常ヒト表皮角化細胞の増殖能変化を評価した結果である。
図3図3は、リンゴ由来酵母ピキア・メンブラナファシエンスから回収した細胞外膜小胞サンプルを用いて、熱ストレスによる正常ヒト表皮角化細胞の増殖能変化を評価した結果である。
図4図4は、カバノキ由来酵母ピキア・ベロナエから回収した細胞外膜小胞サンプルを用いて、熱ストレスによる正常ヒト表皮角化細胞の増殖能変化を評価した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(定義)
本明細書において、「ヒートショック」とは、細胞を高温等のストレスに曝すことをいう。ヒートショックに対して細胞のホメオスタシス及び生存を維持するために、細胞内で発現されるヒートショックタンパク質(HSP)が知られている。この多重遺伝子スーパーファミリーのメンバーは、それらの分子サイズ及び関連する機能で表され、例えば、HSPl10、HSP90、HSP70、HSP60、HSP40、及び小ヒートショックタンパク質等が挙げられる。HSPは、ミスフォールディングしたタンパク質の立体構造及び細胞機能の復活を支援し、又はダメージを受けたタンパク質をプロテオソーム誘導性の分解を導く、分子シャペロンとして機能する。HSP発現は、ヒートショック転写因子(HSF)、特にHSF1により、迅速に誘導される。HSFは、制御される遺伝子のヒートショックエレメント(SHE)配列への結合を通じて、HSP遺伝子の転写を活性化する。
【0013】
「細胞外膜小胞」とは、細胞から放出されるリン脂質を主成分とする膜で覆われた数十から数千nm程度の大きさを有する粒子をいう。細胞外膜小胞には、エクソソーム、マイクロベシクル、アポトーシス小体等が含まれる。多くの場合、細胞外膜小胞には、生体分子が存在している。例えば、エクソソーム又はマイクロベシクルは、ポリペプチド及び核酸(mRNA、miRNA、ノン・コーディングRNA等のRNA)から選択される少なくとも一種の生体分子を含む。例えば、アポトーシス小体は、断片化された核及び細胞小器官から選択される少なくとも一種を含む。細胞外膜小胞は、好ましくは、ポリペプチド及びRNAから選択される少なくとも一種の生体分子を含む。ここで、ポリペプチドは、複数のアミノ酸がペプチド結合で結合した化合物をいい、分子量の比較的大きいタンパク質及び分子量の比較的小さいペプチドを含む。細胞外膜小胞のサイズの測定は、例えば、細胞外膜小胞のブラウン運動に基づく方法、光散乱法、および電気抵抗法などにより行うことができる。
【0014】
「平均粒径」とは、細胞外膜小胞の粒径を任意の測定方法で測定した値の平均値を意味する。測定方法としては、例えば、電気抵抗ナノパルス法(qNANO)、ナノ粒子トラキング法を用いた、細胞外膜小胞が溶液中にある状態で観測する湿式の測定方法や、透過型電子顕微鏡で細胞外膜小胞の形態を保ったまま観測する乾式の測定方法がある。
【0015】
(ヒートショックされた酵母由来の細胞外膜小胞)
本発明の一実施形態において、ヒートショックされた酵母に由来する、平均粒径100~200nmの細胞外膜小胞(以下、「本実施形態の細胞外膜小胞」と称する場合がある。)が提供される。酵母は、野生酵母、分離菌株、又は市販されている酵母を制限なく使用可能である。野生酵母は、自然界に存在する酵母であり、果実の表面、樹液、花の蜜腺、土壌、海水中等、幅広く分布している。分離菌株は自然界から分離された、基本的には同一細胞からのクローンであり、遺伝的に同質の集団であると考えられる。
【0016】
好ましい実施形態において、酵母は、自然界から分離、同定されたものであり、例えば、ピキア属(Pichia sp.)、サッカロミセス属(Saccharomyces sp.)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces sp.)及びニューロスポラ属(Neurospora sp.)などから選択される一つ以上を含んでいてよい。ピキア属は、サッカロミセス科の酵母の属である。この属の100を超える種が公知である。とりわけよく知られた種としては、ピキア・パストリス(Pichia Pastoris)、ピキア・ギリエルモンジィ(Pichia guilliermondii)、ピキア・ノルベゲンシス(Pichia norvegensis)及びピキア・オーメリ(Pichia ohmeri)、ピキア・ナガニシ(Pichia naganishii)、ピキア・メンブラナファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・ベロナエ(Pichia veronae)、ピキア・アノマーラ(Pichia anomala)等が挙げられる。
【0017】
酵母の典型的なヒートショック方法は、例えば、酵母の至適生育温度以上の温度で培養することを含む。ここで、「酵母の至適生育温度」とは、対象となる酵母の増殖速度が最大となる温度を意味する。酵母の至適生育温度を超える温度条件とは、用いる酵母の種類によって異なるが、例えば、一般に至適生育温度より5℃以上高い温度であり、25℃~40℃の範囲が好ましい。ヒートショックタンパク質の発現をより促進するなどの観点から25℃を超える温度が好ましく、35℃以上が更に好ましい。
【0018】
如何なる理論にも拘束されないが、ヒートショックされた酵母から回収される細胞外膜小胞は、それより低温で培養されたときに比べてその平均粒径が増加することから、細胞外膜小胞に内包されるポリペプチドや核酸の含有量が増加すると考えられる。種々の細胞由来のエクソソームに関するプロテオーム解析及びゲノム解析により、エクソソームは細胞型特異的であり、かつ分泌細胞の環境に基づいて制御される、広範囲のシグナル伝達因子を含むことが明らかになった(Webber,J.,et al.,Proteomics analysis of cancer exosomes using a novel modified aptamer-based array (SOMAscan)platform.Mol Cell Proteomics,2014.13(4):p.1050-64.)。HSP70はエクソソームの積み荷の成分であることが以前に示されている(Clayton,A.,et al.,Induction of heat shock proteins in B-cell exosomes.J Cell Sci,2005.118(Pt16):p.3631-8.)。エクソソームに含有される遺伝情報は、例えば、標的細胞の活性化、遊走、増殖、分化または脱分化を誘発することによって、またはアポトーシスまたは壊死を促進することによって、標的細胞の運命に影響を及ぼし得るか、または標的細胞の運命を指示することもできる。
【0019】
本実施形態の細胞外膜小胞は、100~200nmの平均粒径を有するが、個々の粒子の直径は、約20~500nmの範囲にあってもよい。好ましい実施形態において、細胞外膜小胞の平均粒径の下限は、110nm以上であり、さらに好ましくは115nm以上である。また、好ましい実施形態において、細胞外膜小胞の平均粒径の上限は、190nm以下であってもよい。
【0020】
この細胞外膜小胞の平均粒径は、酵母の種類によって変化してもよい。例えば、椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシ由来の細胞外膜小胞は、約100nm~650nmの直径を有しており、その平均粒径は、約170nm以上である。一方、リンゴ由来の酵母ピキア・メンブラナファシエンスの場合は、約100nm~400nmの直径を有しており、その平均粒径は、約180nm以上である。これに対し、カバノキ(バーチ)の樹液由来の酵母ピキア・ベロナエは若干小さく、約100nm~300nmの直径を有しており、その平均粒径は、約120nm以上である。
【0021】
(製造方法)
他の実施形態において、上記細胞外膜小胞は、自然界から単離された酵母を、至適生育温度以上の温度で培養して培養液を得る工程と、この培養液から菌体を除去して培養上清を回収する工程と、この培養上清から細胞外膜小胞を回収する工程と、を含む。酵母の培養方法は、通常酵母に使用される培養方法であれば、特に限定されず、公知の手法に従うことができる(参考文献としてThe Yeasts.A Taxonomic Study,4th ed.Elsevier Science BV,Amsterdam.240-241(1998)等がある)。例えば、振盪培養、通気培養、静置培養、撹拌培養等が挙げられる。また、バッチ式や連続式の何れでもよい。これらを単独で又は2種以上組み合わせて行うことができる。好ましい実施形態におけるピキア属酵母の培養条件(例えば、好気性、嫌気性、培地中のpH、溶存酸素、培養温度及び培養時間等)は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
【0022】
このようにして得られた酵母の培養後は、ろ過又は遠心分離法などの通常の方法により培養液から菌体を除去して培養上清を回収することができる。例示的な一具現例としての遠心分離は、1000~20000×g、または1500~20000×g、または1500~15000×g、または1500~10000×gで30~60分間実施していてよい。このとき、遠心分離の速度又は時間を変化させて段階的に実施していてもよい。例えば、1500~2000×gの低速で遠心分離して培養液から酵母の菌体を分離及び除去し細胞と上澄培養液を分離した後、10000~20000×gの高速で遠心分離してさらに細胞又は細胞関連残骸及び残余物などを除去していてもよい。あるいは、菌体を除去した後に、0.3~0.5μm大きさのフィルターで濾過していてよい。この濾過工程によって遠心分離された培養液の純度を高めることができる。
【0023】
続いて、このようにして得られた酵母の培養上清を、100000×g以上、具体的に、100000~200000×g、又は100000~150000×g、又は150000~200000×gで1~5時間の超遠心分離で沈降させて製造してもよい。
【0024】
一実施形態において、本実施形態の細胞外膜小胞は、遠心分離、超遠心分離、分画遠心分離、平衡密度勾配遠心分離、密度勾配、濾過、透析、及び自由流動電気泳動からなる群から選択される一つ以上の方法を用いて分離していてよいが、本実施形態の細胞外膜小胞の分離方法がこれらに制限されるものではない。
【0025】
密度勾配は、密度が異なる物質を区分するときに最も多く用いられる方法であって、この方法の具体的な例としては、フィコール、グリセロール、スクロース、塩化セシウム、イオジキサノールなどの密度勾配分離材料を用いて実施することができるが、これらに制限されるものではない。一側面において、密度勾配は、超遠心分離などとともに用いられていてよい。他の側面において、細胞外小胞を選別するためにゲル濾過又は限外濾過を用いていてよい。また他の側面において、大きさが小さい分子を除去するために、濾過に代えて透析を用いていてもよい。また他の側面において、自由流動電気泳動を用いていてよい。
【0026】
具体的な一実施形態において、皮膚のストレス保護作用を有する細胞外膜小胞の製造方法は、椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシを、36~38℃の温度で培養して培養液を得る工程と、培養液から菌体を除去して培養上清を回収する工程と、培養上清から細胞外膜小胞を回収する工程と、を含む。
【0027】
(皮膚外用剤)
他の側面において、本実施形態の細胞外膜小胞は、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等の外用剤として用いることができ、上述した方法で得られる細胞外膜小胞を、製剤学的に許容される適当な製剤担体を用いて一般的な皮膚外用剤の形態に調製し、皮膚をストレスから保護するために用いられる。
【0028】
一実施形態において、上記皮膚外用剤は化粧料組成物である。化粧料組成物には、本実施形態の細胞外膜小胞の他、機能性添加物及び一般の化粧料組成物に含まれる成分がさらに含まれていてよい。前記機能性添加物としては、水溶性ビタミン、油溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質、及び海藻エキスからなる群から選択された成分を含んでいてよい。それ以外に含まれる配合成分(好ましくは、細胞外膜小胞の構造が壊れない程度に配合される成分)としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0029】
本実施形態において、化粧料組成物は、好ましくは細胞外膜小胞の構造が壊れない程度に、化粧水、ローション、クリーム、オイル、パウダー、ジェルなどの形態に製造される。このために、本発明の組成物は、化粧料組成物の製造に通常使用する溶媒や、適切な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。
【0030】
本発明の化粧料組成物内にさらに追加される溶媒の種類は特に限定しないが、例えば、好ましくは細胞外膜小胞の構造が壊れない程度に、水、食塩水、DMSOまたはこれらの組み合わせを使用することができ、担体、賦形剤または希釈剤としては、精製水、オイル、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、吸湿剤(humectant)、増粘剤、抗酸化剤、粘度安定化剤、キレート剤、緩衝剤などが含まれるが、これらに制限されるわけではない。また、必要に応じて、美白剤、保湿剤、ビタミン、紫外線遮断剤、香水、染料、抗生剤、抗バクテリア剤、抗真菌剤を含むことができる。
【0031】
前記オイルとしては、水素化植物性油、ヒマシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、ホホバ油、アボカド油が用いられ、ワックスとしては、密蝋、鯨蝋、カルナウバ、カンデリラ、モンテイン、セレシン、液体パラフィン、ラノリンが用いられる。
【0032】
その他にも、好ましくは、細胞外膜小胞の構造が壊れない程度に、化粧品分野で広く知られた吸湿剤、増粘剤、抗酸化剤などを含むことができ、これらの種類と量は、当業界で公知のものによる。
【0033】
他の実施形態において、上記皮膚外用剤は、医薬組成物であってよい。この医薬組成物は、本実施形態の細胞外膜小胞の他、防腐剤、安定化剤、水和剤、又は浸透圧調節のための塩及び/又は緩衝剤などの薬剤学的補助剤、及びその他治療的に有用な物質をさらに含有していてよく、通常の方法によって多様な非経口投与剤の形態で剤形化していてよい。非経口投与剤の形態としては、経皮投与型の剤形が挙げられ、例えば、注射剤、点滴剤、軟膏、ローション、ゲル、クリーム、スプレー、懸濁剤、乳剤、坐剤、パッチなどの剤形であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0034】
前記有効成分の投与量の決定は当業者の技術水準内にあり、薬物の1日投与用量は、投与しようとする対象の症状進行程度、発病時期、年齢、健康状態、合併症などの様々な要因により変わるが、成人を基準としたとき、一般には、前記組成物1μg/kg~200mg/kg、他の一側面において、50μg/kg~50mg/kgを1日1~3回分けて投与していてよく、前記投与量は、如何なる方法であっても本明細書の範囲を限定するものではない。
【0035】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。また、酵母培養液のOD値とは、酵母培養液を分光光度計で測定したときの波長600nmの吸光度である。
【実施例0036】
(実験1:ヒートショックされた酵母に由来する細胞外膜小胞の作用効果の確認)
図1から図4に示す実験内容をこの実験1で記載する。
【0037】
(酵母培養液の作製)
細胞外膜小胞を回収(作製)するために、先ず、椿由来の酵母培養液、リンゴ由来の酵母培養液、カバノキ由来の酵母培養液を作製した。これらの酵母培養液は、OD値2.5以上となるような酵母数を含有する酵母培養液(pHは約5.0~6.5の液)とした。
【0038】
椿由来の酵母培養液に含有するための酵母として椿の樹液から単離されたピキア・ナガニシイ(Pichia naganishii、AOK-Y1918)、リンゴ由来の酵母培養液に含有するための酵母としてピキア・メンブラナファシエンス(Pichia membranaefaciens、AOK-Y1238)、カバノキ由来の酵母培養液に含有するための酵母としてカバノキの樹液から単離されたピキア・ベロナエ(Pichia veronae、AOK-Y1915)を、それぞれ、斜面培地(スラント)に塗付した保管菌株を準備した。菌株の保管は、酵母エキス0.3%(和光純薬 398-02151)、麦芽エキス0.3%(ベクトン・ディッキンソン 218630)、グルコース1.0%(和光純薬 049-31165)、ペプトン0.5%(和光純薬 398-02117)を蒸留水に溶解し、pH6.0に調整後、寒天1.5%(和光純薬工業 010-15815)を添加して、121℃、20分でオートクレーブ滅菌した後、分注固化した寒天培地を用いて行った。これらの酵母は、出願人である株式会社秋田今野商店の製品である。
【0039】
椿由来の酵母培養液は、上記保管菌株AOK-Y1918から、リンゴ由来の酵母培養液は、上記保管菌株AOK-Y1238から、カバノキ由来の酵母培養液は、上記保管菌株AOK-Y1915から、下記表1記載の組成の前培養液10mLの入った試験管に白金耳を用いて植菌し、25℃にて1日間、120rpmで振とう培養を行った。
【0040】
【表1】
【0041】
続いて、OD値2.0以上となった前培養液0.5mLを、表1記載の組成の本培養液50mLの入ったフラスコに添加し、120rpmで振とうしながら2日間継代培養を行った。このとき、培養温度を、椿由来の酵母については、25℃と37℃にて、リンゴ由来の酵母については、20℃と25℃にて、カバノキ由来の酵母については、20℃と25℃にて本培養を行った。2日間培養後は、何れの酵母もOD値2.5以上となった。
【0042】
(酵母培養液からの細胞外膜小胞の回収方法)
酵母培養液50mL(OD値2.5以上)を、3000×g、4℃にて、5分間遠心して菌体を沈殿させた。この遠心分離後の上清を回収し、0.45μmと0.22μmのフィルターで濾過した。濾液を、分画分子量10万の分画膜を有する限外濾過遠心器を用いて、2000×g、4℃にて、30分間遠心濾過した。この上清を、10mLのPBS(-)で回収した。
【0043】
回収した上清を、超遠心分離機を用いて、100000×g、4℃にて、3時間超遠心分離を行った。その後、上清を除去し、PBS(-)5mLにてペレットを懸濁した。回収した懸濁液を、再度同じ条件で超遠心分離を行い、PBS(-)5mLにてペレットを懸濁し、さらに2mLのPBS(-)で洗いこんだ後、分画分子量10万の分画膜を有する限外濾過遠心器を用いて、2000×g、4℃にて、30分間遠心濾過した。200μLのPBS(-)を2回用いて上清を回収し、細胞外膜小胞サンプルとした。得られたサンプルは、qNANOで粒度観察した。
【0044】
リンゴ由来の酵母培養液から回収した細胞外膜小胞サンプルの粒径分布をqNANOナノ粒子マルチアナライザー(IZON社製)で測定した結果を図1に示す。図1(A)は、上述した方法において20℃で培養した酵母から回収したサンプルであり、平均粒径125nm(標準偏差30.2nm)、最大粒径312nm及び最小粒径95nmであった。一方、図1(B)は、25℃で培養した酵母から回収したサンプルであり、平均粒径188nm(標準偏差34.6nm)、最大粒径348nm及び最小粒径127nmであった。これらの結果より、リンゴ由来のピキア・メンブラナファシエンスは、25℃の培養温度にてヒートショックを受けて平均粒径が有意に増大すると考えられる。椿由来の酵母ピキア・ナガニシイ及びカバノキ由来の酵母ピキア・ベロナエについても、それぞれ37℃及び25℃の培養温度にてヒートショックを受けて平均粒径が増大する傾向が認められた。
【0045】
(熱ストレスによる細胞増殖能変化の評価)
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)は、クラボウから購入し、KBM-GoldTM基本培地(ロンザ社製)中、37℃、5%CO条件下に炭酸ガスインキュベータで培養した。実験初日に、2×10個/mLのNHEK細胞を24ウェルプレートに播種した。37℃、5%COで一晩培養後、2日目に、24ウェルプレート内の培養液をEGF及びBPEを含まないKBM-GoldTM基本培地に交換した。上記で回収した酵母の細胞外膜小胞を種々の濃度に希釈して各ウェルに添加した。ブランクには、細胞外膜小胞を含まないPBSを添加した。サンプル添加3時間後に、培養プレートを45℃の恒温槽に移し1時間保持した(ストレス処理)。このストレス処理操作を1日1回、3日間連続して行い、サンプル添加72時間後の細胞を回収した。実験開始後5日目に、回収した細胞の細胞増殖能を、Cell Counting Kit-8(株式会社同仁化学研究所)を用いて測定した。ブランクを添加した細胞についてストレス処理しないものを無処置対照とした。
【0046】
その結果を図2図4に示す。グラフの横軸について説明する。「Control normal」は、細胞外膜小胞を含まないPBS(ブランク)を添加した細胞(NHEK)について、ストレス処理しない無処置対照群を意味する。「blank」は、細胞(NHEK)をストレス処置したが、酵母由来の細胞外膜小胞を添加していない群を意味する。、粒子数(個/mL)は、所定の温度で培養した酵母由来の細胞外膜小胞の個数を意味する。また、グラフの縦軸に示した細胞増殖率(%)は、各サンプルを添加した場合の細胞数を、Control normal(100%とする)と比較したときの相対値(%)で示す。図2(A)は、椿由来の酵母を25℃で培養した培養液から回収した細胞外膜小胞を用いた測定結果である。図2(B)は、同酵母を37℃にて培養した培養液から回収した細胞外膜小胞を用いた測定結果である。無処置対象群に比べて、正常ヒト表皮角化細胞をストレス処理したブランクでは細胞増殖率が大きく低下するが、37℃で培養した酵母由来の細胞外小胞を添加した場合には、濃度依存的に有意に細胞増殖率が回復した。一方、25℃で培養した酵母由来の細胞外小胞を添加した場合には有意差は認められなかった。図3及び図4は、酵母の種類をそれぞれリンゴ由来及びカバノキ由来の酵母に変えて同様の評価を行った結果である。いずれの酵母についてもヒートショック条件である25℃で培養した場合の細胞外膜小胞を添加すると、正常ヒト表皮角化細胞の細胞増殖率が有意に回復した。これらの結果より、ヒートショックされた酵母に由来する細胞外膜小胞は、正常ヒト表皮角化細胞をストレスから保護する作用を有することが示唆された。
【0047】
(実験2:麹エキス培地により作製された酵母に由来する細胞外膜小胞の作用効果の確認)
この実験2では、麹エキス培地により作製された酵母に由来する細胞外膜小胞の作用効果を確認した。この確認結果を以下記載する。
【0048】
(酵母培養液の作製)
細胞外膜小胞を回収(作製)するために、先ず、リンゴ由来の酵母培養液を作製した。これらの酵母培養液は、OD値2.5以上となるような酵母数を含有する酵母培養液(培養開始時のpHは8.0の液)とした。
【0049】
リンゴ由来の酵母培養液に含有するための酵母としてピキア・メンブラナファシエンス(Pichia membranaefaciens、AOK-Y1238)を、斜面培地(スラント)に塗付した保管菌株を準備した。
【0050】
当該保管菌株の酵母を、下記表2記載の組成の培地10mLの入った試験管に白金耳を用いて植菌し、25℃にて1日間、120rpmで振とう培養を行った。
【0051】
【表2】
【0052】
なお、表2に記載の米麹エキスは、秋田今野商店が製造の種麹「No.5」(菌種:Aspergillus oryzae)と精米歩合70%の秋田県産米を用いて、以下のように製造された。まず、当該秋田県産米を洗浄及び吸水の後に1時間蒸して放冷した。当該放冷の後の米に、当該種麹を接種して、麹蓋を用いて35℃前後、湿度90%前後に維持して5日間培養した。当該培養を経て米麹を得た。当該米麹に対し4倍量の精製水を加え、60℃で6時間湯煎した、当該湯煎後に、当該湯煎物を濾過し、さらに煮沸濃縮の後に再び濾過し、清澄な麹抽出液(米麹エキス)を得た。
【0053】
続いて、OD値2.0以上となった前培養液0.5mLを、表2記載の組成の培地50mLの入ったフラスコに添加し、120rpmで振とうしながら2日間継代培養を行った。このとき、培養温度を、リンゴ由来の酵母については、20℃又は25℃にて本培養を行った。この25℃の本培養は、この20℃の本培養と違い、当該酵母に対してヒートショックを与える条件での培養である。2日間培養後は、何れの酵母もOD値2.5以上となった。
【0054】
(酵母培養液からの細胞外膜小胞の回収方法)
酵母培養液50mL(OD値2.5以上)を、3000×g、4℃にて、5分間遠心して菌体を沈殿させた。この遠心分離後の上清を回収し、0.45μmと0.22μmのフィルターで濾過した。濾液を、分画分子量10万の分画膜を有する限外濾過遠心器を用いて、2000×g、4℃にて、30分間遠心濾過した。この上清を、10mLのPBS(-)で回収した。
【0055】
回収した上清を、超遠心分離機を用いて、100000×g、4℃にて、3時間超遠心分離を行った。その後、上清を除去し、PBS(-)5mLにてペレットを懸濁した。回収した懸濁液を、再度同じ条件で超遠心分離を行い、PBS(-)5mLにてペレットを懸濁し、さらに2mLのPBS(-)で洗いこんだ後、分画分子量10万の分画膜を有する限外濾過遠心器を用いて、2000×g、4℃にて、30分間遠心濾過した。200μLのPBS(-)を2回用いて上清を回収し、細胞外膜小胞サンプルとした。
【0056】
(熱ストレスによる細胞増殖能変化の評価)
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)は、クラボウから購入し、KBM-GoldTM基本培地(ロンザ社製)中、37℃、5%CO条件下に炭酸ガスインキュベータで培養した。実験初日に、2×10個/mLのNHEK細胞を24ウェルプレートに播種した。37℃、5%COで一晩培養後、2日目に、24ウェルプレート内の培養液をEGF及びBPEを含まないKBM-GoldTM基本培地に交換した。上記で回収した酵母の細胞外膜小胞を最終濃度(1×10particles/mL)になるように各ウェルに添加して、以下のような実験群を設定した。実験群とストレス処理を以下説明する。
【0057】
・群1:当該細胞外膜小胞を添加しない群(PBSのみ添加した群)で、以下ストレス処理を行わず、37℃にて5%CO条件下という通常培養のみを行った群。
・群2:当該細胞外膜小胞を添加しない群(PBSのみ添加した群)で、以下ストレス処理を行った群。
・群3:当該細胞外膜小胞(表2による培養を当該20℃の本培養を行って作製した酵母から作製)を最終濃度(1×10particles/mL)となるように添加した群で、以下ストレス処理を行った群。
・群4:当該細胞外膜小胞(表2による培養を当該25℃の本培養(酵母にヒートショックを与える条件)で行って作製した酵母から作製)を最終濃度(1×10particles/mL)となるように添加した群で、以下ストレス処理を行った群。
・ストレス処理:培養プレートを45℃の恒温槽に移し1時間保持する処理。この処理操作を1日1回、3日間連続して行った。
【0058】
当該群1から群4の培養を当該サンプル添加後72時間(ストレス処理を除き、37℃、5%CO条件下に炭酸ガスインキュベータで培養)培養を行った。当該培養後、各群の細胞を回収した。実験開始後5日目に、回収した細胞の細胞数(細胞増殖能)を、Cell Counting Kit-8(株式会社同仁化学研究所)を用いて測定した。
【0059】
【表3】
【0060】
その結果を表3に示す。測定結果は、各実験群それぞれの平均値(n=4)を記載するが、群1の値を100として記載する。表3中の「**」は、群2の測定結果と比べての有意差(Studentのt検定、p<0.01)を示す。群2と比べて、少なくとも、細胞外膜小胞(表2による培養を当該25℃の本培養(酵母にヒートショックを与える条件)で行って作製した酵母から作製)を添加した群(群4)では、正常ヒト表皮角化細胞の細胞増殖能が高いこと(細胞増殖能が回復したこと)が確認できた。この実験2の結果からも、「所定の酵母に由来する細胞外膜小胞が、正常ヒト表皮角化細胞をストレスから保護する作用を有すること」が示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明で提供する植物由来の細胞外小胞体は、皮膚透過度に優れかつ、吸収時、皮膚保湿、皮膚美白、シワ改善および老化防止などの皮膚改善効果に優れているだけでなく、皮膚に対する刺激や副作用がなく安全である。

図1
図2
図3
図4