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特開2022-31185ドライブレコーダの記憶装置の制御方法および記憶装置制御システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031185
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ドライブレコーダの記憶装置の制御方法および記憶装置制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/13 20190101AFI20220210BHJP
【FI】
G06F16/13
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125600
(22)【出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】16/985,288
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519187872
【氏名又は名称】星宸科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SigmaStar Technology Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100217434
【弁理士】
【氏名又は名称】万野 秀人
(72)【発明者】
【氏名】チア ジュン・リー
(72)【発明者】
【氏名】フ チェン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】チュン ナン・ル
(57)【要約】
【課題】所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)および所定のディレクトリエントリに従って記憶装置を構成し、予期せぬ電源断による読み取り失敗を防止するドライブレコーダの記憶装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ドライブレコーダの記憶装置の制御方法は、記憶部に記憶された所定のディレクトリエントリに従って、記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、記憶部に記憶された所定のファイルアロケーションテーブルに従って記憶装置のファイルアロケーションテーブルを構成するステップと、ディレクトリエントリおよびファイルアロケーションテーブルに従って記憶装置にデータを書き込むようにコントローラを制御するステップと、を含む。一実施形態では、所定のファイルアロケーションテーブルのエントリは、複数のファイルを収容し、連続した書き込み動作を引き続きサポートするためにインターリーブされる。
【選択図】図12A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダの記憶装置の制御方法であって、
記憶部に記憶された所定のディレクトリエントリに従って、前記記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、
前記記憶部に記憶された所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)に従って前記記憶装置のFATを構成するステップと、
前記ディレクトリエントリおよび前記FATに従って前記記憶装置にデータを書き込むようにコントローラを制御するステップと、を含み、
前記FAT内のエントリは、前記記憶装置内のそれぞれの所定のクラスタに対応し、前記FAT内の各エントリは、前記記憶装置内の前記それぞれの所定のクラスタに新しいデータが書き込まれた後も変更されない、制御方法。
【請求項2】
前記データは、少なくとも2つのファイルからのデータを含み、前記FATは、前記2つのファイルをインターリーブされたクラスタに記憶するように構成される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つのファイルは、同じビットレートを有するビデオファイルであり、前記記憶装置の前記FATを構成するステップは、前記少なくとも2つのファイルの各々に同じ数の前記所定のクラスタを割り当てるステップを含む、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのファイルは、互いに異なるビットレートを有するビデオファイルであり、前記記憶装置の前記FATを構成するステップは、前記少なくとも2つのファイルの前記ビットレートに従って、前記少なくとも2つのファイルの各々に前記所定のクラスタを割り当てるステップを含む、請求項2に記載の制御方法。
【請求項5】
前記記憶装置の前記ディレクトリエントリを構成するステップは、
ファイルに対応するファイル名を前記ディレクトリエントリに構成するステップを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
前記記憶装置の前記ディレクトリエントリを構成するステップは、
前記ファイルに対応する開始データクラスタを前記ディレクトリエントリに構成するステップを含む、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記記憶装置の前記FATを構成するステップは、
前記ファイルに対応するFATチェーンを前記FATに構成するステップを含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記ディレクトリエントリおよび前記FATに従って前記記憶装置にデータを書き込むように前記コントローラを制御するステップは、
前記ディレクトリエントリ内で、前記ファイルに対応する前記ファイル名を更新するステップと、
前記ファイル用に構成された前記記憶装置内のデータクラスタにデータを書き込むように前記コントローラを制御するステップと、を含む、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ディレクトリエントリにおいて、前記ファイルに対応する前記開始データクラスタは変更されないままである、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記FATにおいて、前記ファイルに対応する前記FATチェーンは変更されないままである、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
記憶装置制御システムであって、
所定のディレクトリエントリおよび所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)を記憶する記憶部と、
記憶装置にデータを書き込むコントローラと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサは、
前記所定のディレクトリエントリに従って、前記記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、
前記所定のFATに従って前記記憶装置のFATを構成するステップと、
前記ディレクトリエントリおよび前記FATに従って前記記憶装置にデータを書き込むように前記コントローラを制御するステップと、を実行し、
前記FAT内のエントリは、前記記憶装置内のそれぞれの所定のクラスタに対応し、前記FAT内の各エントリは、前記記憶装置内の前記それぞれの所定のクラスタに新しいデータが書き込まれた後も変更されないままである、記憶装置制御システム。
【請求項12】
前記データは、少なくとも2つのファイルからのデータを含み、前記FATは、前記2つのファイルをインターリーブされたクラスタに記憶するように構成される、請求項11に記載の記憶装置制御システム。
【請求項13】
前記少なくとも2つのファイルは、同じビットレートを有するビデオファイルであり、前記記憶装置の前記FATを構成するステップは、前記少なくとも2つのファイルの各々に同じ数の所定のクラスタを割り当てるステップを含む、請求項12に記載の記憶装置制御システム。
【請求項14】
前記少なくとも2つのファイルは、互いに異なるビットレートを有するビデオファイルであり、前記記憶装置の前記FATを構成するステップは、前記少なくとも2つのファイルの前記ビットレートに従って、前記少なくとも2つのファイルの各々に前記所定のクラスタを割り当てるステップを含む、請求項12に記載の記憶装置制御システム。
【請求項15】
前記記憶装置の前記ディレクトリエントリを構成するステップは、
ファイルに対応するファイル名を前記ディレクトリエントリに構成するステップを含む、請求項11に記載の記憶装置制御システム。
【請求項16】
前記記憶装置の前記ディレクトリエントリを構成するステップは、
前記ファイルに対応する開始データクラスタを前記ディレクトリエントリに構成するステップを含む、請求項15に記載の記憶装置制御システム。
【請求項17】
前記記憶装置の前記FATを構成するステップは、
前記ファイルに対応するFATチェーンを前記FATに構成するステップを含む、請求項16に記載の記憶装置制御システム。
【請求項18】
前記ディレクトリエントリおよび前記FATに従って前記記憶装置にデータを書き込むように前記コントローラを制御するステップは、
前記ディレクトリエントリ内で、前記ファイルに対応する前記ファイル名を変更するステップと、
前記ファイル用に構成された前記記憶装置内のデータクラスタにデータを書き込むように前記コントローラを制御するステップと、を含む、請求項17に記載の記憶装置制御システム。
【請求項19】
前記ディレクトリエントリにおいて、前記ファイルに対応する前記開始データクラスタは変更されないままである、請求項18に記載の記憶装置制御システム。
【請求項20】
前記FATにおいて、前記ファイルに対応する前記FATチェーンは変更されないままである、請求項19に記載の記憶装置制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、制御方法および制御システムに関し、より詳細には、ドライブレコーダの記憶装置の制御方法および記憶装置制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ファイルシステムは、記憶装置(例えば、SDカードまたはハードドライブ)内のファイルを管理し、記憶装置を効率的に運用するためのシステムである。ファイルアロケーションテーブル(FAT)は、共通のファイルシステムである。
【0003】
図1は、FATファイルシステムを採用した記憶装置900の概略図を示す。記憶装置900は、FAT920と、ディレクトリエントリ930と、複数のデータクラスタ940とを含む。ドライブレコーダを例にとると、ファイルの書き込みおよび削除の複数の操作の後、同じファイルのデータが非連続データクラスタ940に分散して記憶され得る。例えば、図1に示すように、ファイルFAは、番号「13」、「14」、「15」、「19」、および「20」のデータクラスタに記憶される。
【0004】
ディレクトリエントリ930は、ファイル名と開始データクラスタ番号を記憶装置900に記録する。FAT920は、データクラスタのFATチェーンを記録する。例えば、ディレクトリエントリ930は、記憶装置900にファイルFAが記憶されていることを示しており、ファイルFAのデータは、番号「13」のデータクラスタ940に記憶されている。FAT920において、番号「13」のデータクラスタ940に対応する位置は「14」となっており、これは、番号「14」のデータクラスタ940に、ファイルFAの後続データが記憶されていることを示している。FAT920において、番号「14」のデータクラスタ940に対応する位置は「15」となっており、これは、番号「15」のデータクラスタ940に、ファイルFAの後続データが記憶されていることを示しており、以下同様である。FAT920において、番号「20」のデータクラスタ940に対応する位置は「EOC」となっており、これは、番号「20」のデータクラスタ940がデータクラスタ940のクラスタチェーン(EOC)の末端であることを示している。
【0005】
図2は、ドライブレコーダのファイルを書き込むための方法のフローチャートを示す。図3は、図2に従って動作する記憶装置900の概略図である。例えば、ドライブレコーダの記録処理が起動された後、記憶装置900内のFAT920がダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)に複製される(ステップS901)。そして、DRAM内のFATに従って、記憶装置900内の記憶空間が十分であるかどうかが決定される(ステップS902)。記憶装置900に十分な記憶空間があれば、1つのデータクラスタが、データを書き込むための開始データクラスタ(例えば、番号「16」のデータクラスタ)として選択され(ステップS903)、FAT930にファイル名(例えば、FB)と開始データクラスタの番号(例えば、「16」)が追加される。次に、データを書き込むための別のデータクラスタ(例えば、番号「17」のデータクラスタ)が選択され(ステップS905)、DRAM内のFATに、番号「16」のデータクラスタに対応する位置で、データクラスタの番号(例えば、「17」)が記録され(ステップS906)、データクラスタにデータが書き込まれる(ステップS907)。以上のステップがファイルの書き込み処理が完了するまで繰り返される。また、DRAM内のFATが所定回数(例えば、3回)更新されると、ファイルの書き込み処理が完了するまで、記憶装置900内のFAT920がDRAM内のFATに従って更新される。ファイルの書き込み処理が完了すると、ドライブレコーダは、DRAM内のFATに従って、記憶装置900内のFAT920を再度更新する。
【0006】
しかしながら、自動車事故による予期せぬ電源断は、不完全なFATチェーンに起因する読み取りエラーをもたらす可能性がある。例えば、図3に示すように、ファイルFBのデータが番号「29」のデータクラスタに書き込まれた後に予期しない電源断が発生した場合、記憶装置900内のFAT920がDRAM内のFATに従ってまだ更新されていないため、データFBのFATチェーンは不完全であり、番号「22」および「29」のデータクラスタに記憶されたファイルFBのデータは読み取ることができない。ドライブレコーダに関しては、自動車事故に関するデータの読み取りに失敗することは、極めて深刻な問題である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)および所定のディレクトリエントリに従って記憶装置を構成し、予期せぬ電源断による読み取り失敗を防止するドライブレコーダの記憶装置の制御方法および記憶装置制御システムに関する。
【0008】
本発明の一態様によれば、ドライブレコーダの記憶装置の制御方法が提供される。ドライブレコーダの記憶装置の制御方法は、記憶部に記憶された所定のディレクトリエントリに従って、記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、記憶部に記憶された所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)に従って記憶装置のFATを構成するステップと、ディレクトリエントリおよびFATに従って記憶装置にデータを書き込むようにコントローラを制御するステップと、を含む。
【0009】
本発明の別の態様によれば、記憶装置制御システムが提供される。記憶装置制御システムは、記憶部と、コントローラと、プロセッサとを含む。記憶部は、所定のディレクトリエントリおよび所定のFATを記憶する。コントローラは、記憶装置にデータを書き込む。プロセッサは、所定のディレクトリファイルに従って記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、所定のFATに従って記憶装置のFATを構成するステップと、ディレクトリファイルおよびFATに従って記憶装置にデータを書き込むようにコントローラを制御するステップと、を実行する。
【0010】
本発明の他の態様によれば、ドライブレコーダの記憶装置の制御方法が提供される。方法は、記憶部に記憶された所定のディレクトリエントリに従って、記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、記憶部に記憶された所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)に従って記憶装置のFATを構成するステップと、ディレクトリエントリおよびFATに従って記憶装置にデータを書き込むようにコントローラを制御するステップと、を含み、FAT内のエントリは、記憶装置内のそれぞれの所定のクラスタに対応し、FAT内の各エントリは、記憶装置内のそれぞれの所定のクラスタに新しいデータが書き込まれた後も変更されないままである。
【0011】
本発明の一態様によれば、データは、少なくとも2つのファイルからのデータを含み、FATは、2つのファイルをインターリーブされたクラスタに記憶するように構成される。
【0012】
本発明の別の態様によれば、少なくとも2つのファイルは、同じビットレートを有するビデオファイルであり、記憶装置のFATを構成するステップは、少なくとも2つのファイルの各々に同じ数の所定のクラスタを割り当てるステップを含む。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも2つのファイルは、互いに異なるビットレートを有するビデオファイルであり、記憶装置のFATを構成するステップは、少なくとも2つのファイルのビットレートに従って、少なくとも2つのファイルの各々に所定のクラスタを割り当てるステップを含む。
【0014】
別の実施形態によれば、記憶装置制御システムが提供される。システムは、所定のディレクトリエントリおよび所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)を記憶する記憶部と、記憶装置にデータを書き込むコントローラと、プロセッサと、を含み、プロセッサは、所定のディレクトリエントリに従って、記憶装置のディレクトリエントリを構成するステップと、所定のFATに従って記憶装置のFATを構成するステップと、ディレクトリエントリおよびFATに従って記憶装置にデータを書き込むようにコントローラを制御するステップと、を実行し、FAT内のエントリは、記憶装置内のそれぞれの所定のクラスタに対応し、FAT内の各エントリは、記憶装置内のそれぞれの所定のクラスタに新しいデータが書き込まれた後も変更されない。
【0015】
本発明の上記および他の態様は、非限定的な実施形態の以下の詳細な説明に関してよりよく理解されるであろう。以下、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術のFATファイルシステムを採用する記憶装置の概略図である。
図2】従来技術のドライブレコーダのファイルを書き込むための方法のフローチャートである。
図3図2の動作を実行する記憶装置の概略図である。
図4】本発明の一実施形態による制御システムのブロック図である。
図5】本発明の一実施形態によるドライブレコーダの記憶装置の制御方法のフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態による、ディレクトリファイルおよびファイルアロケーションテーブル(FAT)が構成されている記憶装置の概略図である。
図7】本発明の一実施形態による記憶装置へのデータ書き込みのフローチャートである。
図8図7の動作を実行する記憶装置の概略図である。
図9】本発明の一実施形態による、事前構成された連続データクラスタの構成を示す。
図10】本発明の一実施形態による、異なるまたは同じアプリケーションからの複数のファイルをサポートする事前構成された連続データクラスタの構成を示す。
図11A図10に示すファイル記憶手法の潜在的な欠点を示す概略図である。
図11B図10に示すファイル記憶手法の潜在的な欠点を示す概略図である。
図12A】本発明の一実施形態による、インターリーブされたFATが構成されている記憶装置の概略図である。
図12B】本発明の一実施形態による、インターリーブ手法と一致する複数のクラスタへのデータ記憶方法を示す。
図13A】本発明の一実施形態による、修正された、インターリーブされたFATが構成されている記憶装置の概略図である。
図13B】本発明の一実施形態による、修正されたインターリーブ手法と一致する複数のクラスタへのデータ記憶方法を示す。
図14A】本発明の一実施形態による、別の修正された、インターリーブされたFATが構成されている記憶装置の概略図である。
図14B】本発明の一実施形態による、別の修正されたインターリーブ手法と一致する複数のクラスタへのデータ記憶方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
従来技術のドライブレコーダの記憶装置の課題を考慮し、本発明は、所定のファイルアロケーションテーブル(FAT)および所定のディレクトリエントリに従って記憶装置のFATおよびディレクトリエントリを構成し、予期せぬ電源断による読み取り失敗を防止するドライブレコーダの記憶装置の制御方法および記憶装置制御システムを提供する。
【0018】
図4は、本発明の一実施形態による制御システム100のブロック図を示す。例えば、制御システム100は、制御チップである。本実施形態では、制御システム100は、ビデオカメラ200および記憶装置400に接続されている。制御システム100およびビデオカメラ200は、例えばドライブレコーダに設けられてもよい。記憶装置400は、例えばSDカードまたはハードドライブであり、ドライブレコーダに内蔵または外付けされてもよい。制御システム100は、記憶部110と、コントローラ120と、プロセッサ130とを含む。記憶部110は、所定のディレクトリエントリおよび所定のFATを記憶する。コントローラ120は、記憶装置400にデータを書き込む。プロセッサ130は、記憶装置400のディレクトリエントリおよびFATを構成する。
【0019】
図5は、本発明の一実施形態によるドライブレコーダの記憶装置の制御方法のフローチャートを示す。本実施形態では、プロセッサ130は、ドライブレコーダが起動する度に、または記憶装置400が交換される度に、記憶装置400内にディレクトリエントリおよびFATが存在するかどうかを確認する(ステップS501)。存在しない場合、プロセッサ130は、記憶部110内の所定のディレクトリエントリおよび所定のFATに従って、ディレクトリエントリおよびFATを記憶装置400に直接構成し(ステップS503)、存在する場合、プロセッサ130は、さらに、記憶装置400内のディレクトリエントリおよびFATが、記憶部110内の所定のディレクトリエントリおよび所定のFATと同一であるかどうかを確認する(ステップS502)。異なる場合、プロセッサ130は、記憶部110内の所定のディレクトリエントリおよび所定のFATに応じて、記憶装置400内のディレクトリエントリおよびFATを直接構成する(ステップS503)。
【0020】
図6は、本発明の一実施形態による、ディレクトリエントリおよびFATが構成されている記憶装置400の概略図を示す。記憶装置400は、所定のFATに従って構成されるFAT420と、所定のFATに従って構成されるディレクトリエントリ430と、複数のデータクラスタ440とを含む。
【0021】
図6に示すように、ディレクトリエントリ430において、プロセッサ130は、ファイルに対応するファイル名FCおよびファイルFCに対応する開始データクラスタを、番号「11」のデータクラスタとして構成し、FAT420において、プロセッサ130は、さらに、ファイルFCに対応するFATチェーンを、番号「11」から「15」のデータクラスタとして構成する。同様に、ディレクトリエントリ430において、プロセッサ130は、対応するファイル名FDおよびファイルFDに対応する開始データクラスタを、番号「16」のデータクラスタとして構成し、FAT420において、プロセッサ130は、さらに、ファイルFDに対応するFATチェーンを、番号「16」から「20」のデータクラスタとして構成する。
【0022】
すなわち、ファイルFCのデータは、番号「11」から「15」のデータクラスタに記憶されるように予め設定され、ファイルFDのデータは、番号「16」から「20」のデータクラスタに記憶されるように予め設定されている。なお、ディレクトリエントリ430およびFAT420は既に構成されているが、記憶装置400では、図6に示すように、ファイルFCおよびファイルFDに対応するデータクラスタ(すなわち、番号「11」から「20」のデータクラスタ)は、ファイルFCおよびファイルFDに対応するデータと共に記憶されない。
【0023】
図7は、本発明の一実施形態による記憶装置400へのデータ書き込みのフローチャートを示す。本実施形態では、プロセッサ130は、コントローラ120を制御して、ディレクトリエントリ430およびFAT420に従って記憶装置400にデータを書き込む。
【0024】
例えば、ドライブレコーダが記録を開始すると、プロセッサ130は、ディレクトリエントリ430に従って、データを書き込むためのファイルを選択する(ステップS704)。一実施形態では、ディレクトリエントリ430内のファイル名は時間情報を運ぶので、プロセッサ130は、ディレクトリエントリ430内のファイル名に従って、データを書き込むための最も古いファイルを選択することができる。例えば図6を見ると、ファイルFCが最も古いファイルである。
【0025】
次に、プロセッサ130は、そのファイルに対応するディレクトリエントリ430内のファイル名を変更する(ステップS705)。上記の例に続き、プロセッサ130は、図8に示すように、ディレクトリエントリ430において、プロセッサ130がデータを書き込むために選択するファイルのファイル名を「FC」から「FE」に変更する。ディレクトリエントリ430において、ファイルFEに対応する開始データクラスタは変更されず、依然として番号「11」のデータクラスタであることに留意されたい。さらに、FAT420において、ファイルFEに対応するFATチェーンは変更されず、番号「11」から「15」のデータクラスタのままである。
【0026】
プロセッサ130は、コントローラ120を制御して、ファイル用に構成された記憶装置400内のデータクラスタにデータを書き込む(ステップS706)。上記の例に続き、プロセッサ130は、図8に示すように、記憶装置400内の番号「11」から「15」のデータクラスタに順次データを書き込むようにコントローラ120を制御する。
【0027】
次に、プロセッサ130は、データの書き込みを継続するかどうかを決定する(ステップS707)。データの書き込みが継続される場合、ステップS704~S706が繰り返され、そうでない場合、処理は終了する。
【0028】
以上のことから、プロセッサ130が記憶装置400にデータを書き込む過程において、FAT420は更新されないことが分かる。したがって、ドライブレコーダが予期せぬ電源断に遭遇した場合でも、FAT内のファイルに対応するFATチェーンはそのまま維持され、記憶装置400内のファイル内のデータは依然として完全に読み取ることができる。
【0029】
さらに、従来技術では、プロセッサは、データを書き込むために空のデータクラスタを検索するのに時間を費やす必要がある。ファイルの書き込みおよび削除の複数の操作の後、空のデータクラスタは通常フラグメントにあり、そのためファイル書き込み性能が低下する。従来技術と比較して、本発明におけるファイルのデータクラスタは事前構成されており、変更されず、これは、プロセッサがデータを書き込むための空のクラスタの検索に時間を費やす必要がないことを意味し、これによりファイル書き込み性能が向上する。一実施形態では、ファイルのクラスタは、ファイル書き込み性能をさらに向上させるために(図6に示すように)連続しているものとして構成されてもよい。
【0030】
さらに、従来技術では、プロセッサは、データを書き込む前に利用可能な空間が十分であるかどうかを決定する必要がある。利用可能な空間が不十分である場合、プロセッサは、少なくとも1つのファイルに対応するファイル名および開始データクラスタをディレクトリエントリから削除する必要があり、また、少なくとも1つのファイルに対応するFATチェーンをFATから削除する必要があり、これはファイル書き込み性能を低下させる。従来技術と比較して、本発明のプロセッサ130は、データを書き込む前に利用可能な空間が十分であるかどうかを決定する必要も、ディレクトリファイルからファイル名および開始データクラスタを削除し、FATからFATチェーンを削除する必要もないので、ファイル書き込み性能がさらに向上する。
【0031】
図9は、本発明の一実施形態による、事前構成された連続データクラスタの構成を示す。図6に関連して説明したように、FATが連続したデータクラスタの形式で事前構成されている場合、ファイルは図9に示すようにクラスタに順次記憶される。すなわち、例えばセキュアデジタル(SD)カードでは、メモリはN個のセクションに分割され、各セクションは、例えば連続した1000クラスタのデータ空間を有する。ファイルはこれらのN個のセクションに順次書き込まれ、新しいファイルは以前の古いファイルを循環的に上書きする。図9に示す手法は、例えば、一度に1つのビデオファイルのみを記録する単純なアプリケーションにはよく機能するが、製品アプリケーションの複雑さが増すにつれて、例えば、同時に2つ以上のビデオ(または他の種類の)ファイルを記録することができるアプリケーションがますます多くなっている。
【0032】
これに関して、図10は、本発明の一実施形態による、異なるアプリケーションからの複数のファイルをサポートする事前構成された連続データクラスタの構成を示す。例えば、より高い解像度およびより低い解像度のビデオにそれぞれ対応する大/小ファイルの形態の2つのタイプのファイルを、実質的に同時にメモリに記憶することができる。別の例では、例えば、同様にメモリに実質的に同時に記憶された、フロントレンズおよびリアレンズに対応するビデオファイルを含むマルチレンズアプリケーションが実装されてもよい。したがって、図10に示すように、一例では、フロント(F)カメラとリア(R)カメラには、ビデオファイルを記憶するために同じ数のセクション(例えば、N個)が割り当てられる。各ビデオファイルの記録時間が例えば1分間である場合、FファイルXおよびRファイルXは、1分間にわたって同時に書き込まれることとなる。
【0033】
図11Aおよび図11Bは、図10に示すファイル記憶手法の潜在的な欠点を示す概略図である。図11Aでは、SDストレージ1110は、ブートセクタ1120、FAT1130、ディレクトリエントリ1140、および複数のデータクラスタ1150を含み、これらは図11Bでは論理的に1160および1170としても示されている。さらに、2つのビデオファイルを同時に記憶したいという状況では、例えばFファイルXおよびRファイルXを同時にSDストレージ1110に書き込む従来の方法は、図11Bに示すように、FファイルXがクラスタ1100~2099に連続して記憶され、RファイルXがクラスタ20100~21099に連続して記憶される、クラスタによる記憶に依存する。この場合、FAT1130は、異なるファイルを所定のクラスタに記憶するように事前構成される。
【0034】
しかしながら、このように複数のファイルが同時にSDストレージ1110に書き込まれると、連続したSD書き込み動作の効率が低下する望ましくない現象が生じる。より具体的には、SD書き込み動作はクラスタに基づいており、したがって、FファイルXおよびRファイルXが(実質的に)同時にSDストレージ1110に書き込まれるとき、実際の挙動としては、FファイルXがいくつかのクラスタに書き込まれた後、RファイルXをいくつかのクラスタに書き込むようにシステムが切り替わる。システムは、図11Bの番号1~8で示すように、2つのファイルを切り替え続ける。その結果、SDストレージ1110は、次の隣接クラスタで連続的に書き込みを行うことができず、代わりに、別のファイルを書き込むために遠いクラスタに「ジャンプ」する。この現象は、SD書き込み動作効率を低下させる「ランダムライト」または「ランダムジャンプ」と呼ばれることがある。
【0035】
図12Aは、本発明の一実施形態による、インターリーブされたディレクトリファイルおよびFATが構成されている記憶装置の概略図であり、図12Bは、本発明の一実施形態による、インターリーブ手法と一致する複数のクラスタへのデータ記憶方法を示す。図12Aでは、SDストレージ1210は、ブートセクタ1220、FAT1230、ディレクトリエントリ1240、および複数のデータクラスタ1250を含み、これらは図12Bでは論理的に1260としても示されている。
【0036】
図11Aおよび図11Bを参照して説明されたランダムライト問題に対処するために、FAT1230に記憶された関連ビデオファイルのクラスタリストは、インターリーブされるようにフォーマットまたは構成される。重要なことに、クラスタインターリーブでは、ランダムライト現象が排除される。このインターリーブ分布手法は、クラスタ内の各ビデオファイルのビットレートの構成比に基づくことができる。
【0037】
一例として、FファイルXとRファイルXのビットレート比が1:1であるとする。そのような場合、FAT1230は、FファイルXおよびRファイルXの各連続クラスタが互いに等しくインターリーブされ、複数のデータクラスタ1250および1260に示すように記憶されたデータクラスタをもたらすようにフォーマットまたは構成される。
【0038】
もちろん、FファイルとXとRファイルXのビットレート比をK倍に拡大することもでき、一般的にはK:K(例えば、K=2)で表される。そのような場合、2つのビデオファイルのクラスタリストは、図13Aおよび図13Bに示すようにインターリーブすることができ、これは、インターリーブされるクラスタ比が単一クラスタから単一クラスタに限定されないという点で、「修正された」インターリーブされたディレクトリファイルおよびFATと呼ばれることがある。したがって、図13Aは、ブートセクタ1320、FAT1330、ディレクトリエントリ1340、および複数のデータクラスタ1350を含むSDストレージ1310を示し、これらは図13Bでは論理的に1360としても示されており、図示のように、各FファイルX、RファイルXは、インターリーブ方式で2つのクラスタ(K=2)が割り当てられている。したがって、各独立したファイルのための追加のクラスタに対する要求が増大した場合でも、インターリーブされたFAT1330およびデータクラスタ1350は、ランダムライト現象に対処する。
【0039】
図14Aは、本発明の一実施形態による、別の修正された、インターリーブされたFATが構成されている記憶装置の概略図であり、図14Bは、本発明の一実施形態による、別の修正されたインターリーブ手法と一致する複数のクラスにデータが記憶される方法を示す。図14Aは、ブートセクタ1420、FAT1430、ディレクトリエントリ1440、および複数のデータクラスタ1450を含むSDストレージ1410を示し、これらは図14Bでは論理的に1460としても示されている。図14Aおよび図14Bは、FファイルXおよびRファイルXのビットレート比が必ずしも1:1の比を有する必要はなく、代わりに2:1などの不等比を有し得ることを示している。したがって、FAT1430に示すように、RファイルXに割り当てられた1つのクラスタごとに2つのクラスタがFファイルXに割り当てられる。複数のデータクラスタ1450および1460は、この同じ割り当て例を示している。
【0040】
上記から、複数のファイルをファイルごとに、別々であるが連続して割り当てられたクラスタに記憶するときに、望ましくないランダムライト現象が発生する可能性があることが当業者には理解されよう。この現象により、SD書き込み性能が低下する。本明細書に記載のインターリーブ手法は、この欠陥に対処する。さらに、ビデオファイル間のビットレート比に従って、フォーマット中に各(ビデオ)ファイルのクラスタリストインターリーブが構成される。ファイルが記録されると、システムは、ビットレート比に従ってファイル間でSD書き込みを切り替える。そして、有意に、SDランダムライトが回避され、SD書き込み効率を維持することを有効にする連続的なクラスタ書き込みがもたらされる。
【0041】
図4図7の実施形態に関して述べたように、予期せぬ電源異常の場合、完全なデータリンクが存在するため、最後に書き込まれたデータを依然として見つけることができる。また、記録をループする場合、古いファイルは削除されず、ディレクトリエントリ(430、1140、1240、1340、1440)においてファイル名のみが変更されるため、シフトの効率が向上する。これらの利点の両方は、本明細書に記載のインターリーブ手法に関連して残っている。
【0042】
インターリーブ手法はまた、各クラスタの割り当てを構成するために、実質的に同時に記録される(ビデオ)ファイル間のビットレート比を使用することができる。フォーマット段階では、クラスタリストがインターリーブされる。このファイル群(例えば、FファイルXおよびRファイルX)が実質的に同時に記録されると、システムは、構成されたクラスタ数の比に従って、異なるファイルへのSDライトをインターレースする。この組み合わせは、連続的なクラスタ書き込みを達成し、SD書き込みの効率を維持することができる。
【0043】
最後に、記載されたクラスタリストインターリーブ機構は、2つのビデオファイル(例えば、FファイルXおよびRファイルX)のみに限定されず、3つ以上のインターリーブされたビデオファイルクラスタにも適用できることに留意されたい。
【0044】
本発明を例として、また上記の実施形態に関して説明したが、本発明はこれらに限定されないことを理解されたい。逆に、様々な修正ならびに類似の配置および手順を網羅することが意図されており、したがって、添付の特許請求の範囲は、そのような修正ならびに類似の配置および手順をすべて包含するように最も広い解釈が与えられるべきである。
【0045】
本出願は、2017年9月20日に出願された米国特許出願第15/709,813号の一部継続出願であり、2017年6月27日に出願された台湾特許出願第106121373号の利益を主張し、両方の主題は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B