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特開2022-31186操縦可能カテーテル用のねじれ防止先端
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031186
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】操縦可能カテーテル用のねじれ防止先端
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20220210BHJP
   A61B 34/30 20160101ALI20220210BHJP
【FI】
A61B1/01 511
A61B34/30
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021125648
(22)【出願日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】63/062,121
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/152,189
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/362,560
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】シーア ベネディクト
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161FF35
4C161FF40
4C161FF42
4C161HH32
4C161LL02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カメラビューの向きと、ゲームパッドコントローラの向きと、カテーテル先端の向きとの間で適切な相関を維持しながら、カメラ回転の悪影響を防止できる医用連続体ロボットシステムを提供する。
【解決手段】ロボットコントローラによって駆動される操縦可能カテーテルは、近位端から遠位端へ延びるツールチャネルを有するカテーテル体と、イメージングデバイスと結合されるとともにツールチャネルを通してカテーテル体からスライド可能に挿入及び/又は引戻しされるように構成された位置決め機構とを備える。位置決め機構及び/又はカテーテル体は、ツールチャネル内でのイメージングデバイスの回転を防止するように、カテーテル体の遠位端においてカテーテル体をイメージングデバイスに連結するように構成されたねじれ防止特徴を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル体であって、前記カテーテル体の長手方向軸に沿って近位端から遠位端へ延びるツールチャネルを有する、カテーテル体と、
イメージングデバイスと結合されるとともに、前記ツールチャネルを通して前記カテーテル体の前記遠位端からスライド可能に挿入及び/又は引戻しされるように構成された位置決め機構と、
を備える操縦可能カテーテルであって、
前記位置決め機構及び/又は前記カテーテル体は、前記ツールチャネル内での前記イメージングデバイスの回転を防止し、かつ/又は、前記カテーテル体の前記遠位端のねじれを防止するように、前記カテーテル体の前記遠位端において前記カテーテル体と前記イメージングデバイスを連結するように構成されたねじれ防止特徴を有する、
操縦可能カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル体は、アクチュエータユニットに取付け可能な近位部と、解剖学的管腔内に挿入可能な遠位部とを含み、前記カテーテル体は、前記カテーテル体の壁に沿って配置される複数の制御ワイヤを有し、前記複数の制御ワイヤは、前記カテーテル体の前記遠位部の少なくとも一部を操縦するように、前記アクチュエータユニットからの作動力を前記カテーテル体に伝達するように構成される、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル体の前記遠位部が前記作動力によって操縦されるときに、前記位置決め機構に結合された前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きが、前記カテーテル体の前記遠位端に対して実質的に変化しないままであるように、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、前記ねじれ防止特徴と連結されるように構成された1つ以上のキー溝を含む、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項4】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能なハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記ツールチャネルの前記1つ以上のキー溝のうちの少なくとも1つに収まるように構成された1つ以上のキーイングタブを含む、
請求項3に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、前記遠位部を通って長さ方向に延びる円筒状表面を含み、前記1つ以上のキー溝は、前記長さ方向に前記ツールチャネルの前記円筒状表面上に形成された線形キー溝を含み、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記ハウジング部分から径方向に突出するとともに前記ツールチャネルの前記長さ方向に延びる1つ以上の弓形タブを含み、
前記イメージングデバイスに結合された前記位置決め機構が前記ツールチャネルに挿入されたとき、前記ねじれ防止特徴の少なくとも1つの弓形タブは、前記ツールチャネルの前記円筒状表面上に形成された前記線形キー溝のうちの1つに収まり、それにより、前記イメージングデバイスを前記カテーテル体に連結する、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテル体の前記遠位部が前記作動力によって操縦されるとき、前記カテーテル体の前記遠位端は、前記ツールチャネルに対する前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きを変えることなく、前記管腔内で動かされる、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項7】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、インナーライニング又はインナーシースから成る表面を含み、
前記管チャネルの前記1つ以上のキー溝は、前記ツールチャネルの前記表面上に前記長さ方向に形成された1つ以上の鋳抜き溝を含み、
前記1つ以上の鋳抜き溝は、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブと前記ツールチャネルの前記表面との間の係合を容易にするために、前記ツールチャネルの前記遠位端から前記近位端に向かって、前記長さ方向に先細になっており、
前記1つ以上の鋳抜き溝のうちの少なくとも1つと前記1つ以上のキーイングタブのうちの少なくとも1つとの間の前記係合により、前記カテーテル体の前記遠位端と前記イメージングデバイスとの間のレジストレーションが可能となる、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項8】
前記イメージングデバイスが前記ツールチャネルの前記長手方向軸と同心円状に配置されるように、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された前記1つ以上のキー溝のうちの少なくとも1つに収まるように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項9】
前記イメージングデバイスが前記ツールチャネルの前記長手方向軸に対して径方向にオフセットして配置されるように、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された前記1つ以上のキー溝のうちの少なくとも1つに収まるように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項10】
前記ツールチャネルは、前記遠位部を長さ方向に通って延びる円筒状表面を含み、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、前記ツールチャネルの前記円筒状表面の直径よりも小さい第1の断面寸法を有し、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記ハウジング部分から前記ねじれ防止特徴の第2の断面寸法へ外向きに径方向に延びる1つ以上の弓形タブ又はワイヤを含み、
前記ねじれ防止特徴の前記第2の断面寸法は、前記ツールチャネルの前記円筒状表面の前記直径にほぼ等しいか、又は前記円筒状表面の前記直径よりも大きい、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項11】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、所定の直径の円形断面を有し、前記1つ以上のキー溝は、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された線形溝であり、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、円筒状ハイポチューブの一部を含み、前記円筒状ハイポチューブの直径は、前記ツールチャネルの前記円形断面の前記所定の直径よりも小さく、
前記円筒状ハイポチューブは、前記ハウジング部分から径方向に突出する1つ以上の線形タブを提供するレーザカットパターンを含み、前記線形タブは、前記カテーテル体の前記長手方向軸に平行に前記長さ方向に延び、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記レーザカットパターンの前記1つ以上の線形タブを含み、
前記ハイポチューブの前記1つ以上の線形タブは、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された前記線形溝に収まるように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項12】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、内径を画定する円形断面を有し、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、第1の直径及び第2の直径を有する楕円柱を含み、前記第2の直径は、前記ツールチャネルの前記内径よりも小さく、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記楕円柱の前記第1の直径に対応する前記2つの湾曲部分を含み、前記2つの湾曲部分は、前記ツールチャネルの前記内径内に圧入される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項13】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、内径を有する円形断面を有し、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、前記長さ方向に開口を有する半円筒状管を含み、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記半円筒状管のうち、前記半円筒状管から外側に径方向に突出するとともに前記長さ方向に延びる部分によって形成された1つ以上の線形タブを含み、
前記1つ以上の線形タブは、前記ツールチャネルの前記内径内に圧入されるように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項14】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、内径を有する円形断面を有し、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、互いに垂直な長い直径及び短い直径を有する不定形管を含み、前記不定形管は、外向きの湾曲部分及び内向きのくぼみを有し、前記外向きの湾曲部分と前記内向きのくぼみは、前記長い直径に関して対称であるとともに、前記短い直径に関して非対称であり、
前記短い直径は、前記ツールチャネルの前記内径よりも小さく、前記長い直径は、前記ツールチャネルの前記内径にほぼ等しいか、又は前記ツールチャネルの前記内径よりも大きく、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記ツールチャネルの前記内径内に圧入される前記外向きの湾曲部分を含む、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項15】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、内径を有する円形断面を有し、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、長い直径及び短い直径を有する長円形管を含み、前記長円形管の前記短い直径は、前記ツールチャネルの前記内径よりも小さく、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記長円形管の前記長い直径に対応する2つの外向きの湾曲部分を含み、前記2つの外向きの湾曲部分は、前記ツールチャネルの前記内径内に圧入され、
前記長円形管は、前記長手方向軸と実質的に同心円状に前記イメージングデバイスを支持するとともに、前記イメージングデバイスを囲む照明光学系と、照明電子機器と、補助チャネルとのうちの1つ以上を支持するように構成される、
請求項4に記載の操縦可能医用カテーテル。
【請求項16】
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された成形特徴であり、
前記成形特徴は、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブと係合することにより、前記ツールチャネルの内径を縮小する、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項17】
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、前記イメージングデバイスに恒久的に取り付けられ、
前記イメージングデバイスは、軟性ビデオスコープの遠位端に配置されるカメラである、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項18】
前記ねじれ防止特徴は、前記軟性ビデオスコープを前記カテーテル体の前記遠位先端に連結することにより、前記カメラに回転防止安定性を提供する、
請求項17に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項19】
前記ハウジング部分の断面積と、前記ねじれ防止特徴の総体積は、前記軟性ビデオスコープの前記カメラの周りに流体を誘導することにより、前記ツールチャネルを通る流体流量を最適化するために、最小化される、
請求項17に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項20】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能なハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの前記内径内に圧入されるように構成された湾曲表面を有する1つ以上のキーイングタブを含む、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項21】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能なハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの前記内径に圧入されるように構成された直線状エッジを有する1つ以上のキーイングタブを含む、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項22】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能な金属ワイヤの円形又は半円形のリングから成るハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、金属ワイヤの一部から成る1つ以上のキーイングタブを含み、前記金属ワイヤの一部は、前記ハウジング部分から外向きに突出するとともに長さ方向に延びて、前記金属ワイヤの円形又は半円形のリングを接続し、
前記ハウジング部分から外向きに突出するとともに前記金属ワイヤの円形又は半円形のリングを接続している前記金属ワイヤの一部は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの前記内径に対して圧入されるように構成される、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項23】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能な楕円管から成るハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記ツールチャネルの前記表面の周りに組み込まれるとともに前記カテーテル体の前記遠位端から前記近位端に向かう長さ方向に延びる1つ以上の隆起を含み、
前記1つ以上の隆起は、前記カテーテル体のうち、前記ツールチャネルの前記表面から径方向に内向きに突出するとともに、前記カテーテル体の前記遠位端から前記近位端に向かう前記長さ方向に先細になっている成形部分であり、
前記楕円管は、長い直径に沿う2つの湾曲部分と、前記長い直径に垂直な短い直径に沿う2つの実質的に平坦な部分とを含み、前記2つの湾曲部分のうちの第1の湾曲部分は、前記1つ以上の隆起に対して圧入されるように構成され、前記2つの湾曲部分のうちの第2の湾曲部分は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの内表面に対して圧入されるように構成される、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項24】
前記イメージングデバイスに取り付けられた前記ハウジング部分が前記ツールチャネルに挿入されたとき、前記1つ以上の隆起は、前記イメージングデバイスが前記カテーテル体の前記遠位端を越えて突出することを防止するように構成される、
請求項23に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項25】
前記カテーテル体の前記遠位部が前記作動力によって操縦されるときに、前記位置決め機構に結合された前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きが、前記カテーテル体の前記遠位端に対して実質的に変化しないままであるように、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、前記ねじれ防止特徴と連結されるように構成された1つ以上の隆起を含む、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項26】
前記位置決め機構は楕円管を含み、前記楕円管は、その内側に前記イメージングデバイスを所定の向きで収容するように構成され、前記楕円管は、前記ツールチャネルの前記1つ以上の隆起のうちの少なくとも1つに収まるように構成された1つ以上の凹部を含む、
請求項25に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項27】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、前記遠位部を通って長さ方向に延びる円筒状表面を含み、前記1つ以上の隆起は、前記長さ方向に前記ツールチャネルの前記円筒状表面上に形成された、径方向に内向きの線形キーイングタブとして機能し、
前記1つ以上の凹部は、前記楕円管から径方向に外向きに突出するとともに前記ツールチャネルの前記長さ方向に延びる線形キー溝として機能し、
前記イメージングデバイスに結合された前記位置決め機構が前記ツールチャネルに挿入されたとき、前記線形キーイングタブのうちの少なくとも1つは、前記線形キー溝のうちの1つに収まり、それにより、前記イメージングデバイスを前記カテーテル体に連結する、
請求項26に記載の操縦可能カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2020年8月6日に提出された米国仮特許出願第63/062121号と、2021年2月22日に提出された米国仮特許出願第63/152189号に対する優先権を主張し、その開示は、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。優先権の利益は、米国特許法第119条(e)の下に主張される。
【0002】
本開示は、医用デバイスに関する。より詳細には、本開示は、カメラ等の着脱可能なイメージングデバイスを備えたカテーテルや内視鏡等の、操縦可能医用デバイス用のねじれ防止先端の様々な実施形態を対象とする。
【背景技術】
【0003】
カテーテルや内視鏡等の操縦可能な医用デバイスは、金属ワイヤに作動力(引く力又は押す力)を加えて、デバイスの遠位部をロボット制御で関節運動させることにより、遠隔操作される。遠位部の作動は、カメラやビデオスコープ等のイメージングデバイスによって提供される術中画像ガイダンスによって、有利に改善することができる。患者の体内での内視鏡ナビゲーションを制御するための、ユーザとロボットシステムの間の相互作用のためのインタフェースとしては、ハンドヘルドコントローラ(例えばゲームパッドコントローラ)が使用される。コンソールに設けられるか又は壁に取り付けられる液晶ディスプレイ(LDC)モニタ等の表示デバイスは、カメラの視野の画像(FOV画像)を表示して、ユーザが患者内の標的位置に到達するように患者の生体構造を通して内視鏡をナビゲートするのを支援する。
【0004】
ユーザが患者の生体構造内で内視鏡又はカテーテルを操作するとき、カメラは、カメラのFOV画像を表示デバイスに転送して、表示デバイス上の画像の直立軸として表示されるそれ自体の直立軸とともに表示されるようにする。理想的には、これにより、ユーザは、ユーザ自身の目が実際に内視鏡の空洞内部にあるかのように、内視鏡画像と関わることができるはずである。これは、一人称視点(FPV)ナビゲーションとして知られている。しかしながら、操縦可能デバイスの遠位先端がナビゲーション中にねじれる可能性があり、結果として、操縦入力と視覚的ガイダンスの相関にエラーが生じてしまう。ロボットカテーテルの遠位先端のねじれは、米国特許第9572628号(参照により全体として本明細書に組み込まれる)に記載されるように、多くの要因から生じ得る。最先端の技術では、内視鏡がどのように操作されているかに関係なく、内視鏡画像の適切な直立重力レベルの向きを維持できる技術を提案する刊行物が、数多く存在する。表示された画像の回転を制御するための技術としては、内視鏡の向きを測定し、次に内視鏡画像を光学的、機械的又は電子的に回転させて、内視鏡先端の向きの変化又はカメラの回転を補償することが挙げられる。例えば、米国特許出願公開第2011/0026787号及び第2013/0204126号、並びに米国特許第10275899号を参照されたい。
【0005】
更に、米国特許第10376134号には、ファイバベースの形状センサを備えた操縦可能デバイスが記載されており、該デバイスでは、形状センサの向きがデバイスの先端に対して固定されたままであることが求められる。当該特許は、イメージングデバイスの適切な向きを保証するためのねじれ防止特徴を記載している。可視化に用いられるカメラは、デバイスの遠位部に恒久的に固定されるので、この方式でねじれに対処している。米国特許第8864652号には、専用通路を通って挿入される関節運動カメラを有する別の操縦可能医用デバイスが記載されており、関節運動可能な手術器具は、それぞれ別の通路を通って挿入される。当該特許では、カメラは、デバイスの遠位端に恒久的に取り付けられ、また、手術器具の関節運動によってカメラとの衝突が生じることがないように、デバイス先端には、位置及び/又は向きを決定するためのセンサも組み込まれる。
【0006】
新しいタイプの操縦可能医用デバイスは、医用連続体ロボット(MCR)として知られており、従来の操縦可能医用デバイスとは異なる方式で動作する。従来の内視鏡は、デバイスの遠位端に取り付けられた統合カメラを備えるように設計されており、器具へのアクセスを可能にするために、かつ/又は流体の吸引及び灌注を可能にするために、処置中に1つ以上の別個の作業チャネルが使用される。従来の内視鏡とは異なり、ロボットMCRデバイスでは、ナビゲーション中に画像ガイダンスを提供するための軟性ビデオスコープ(カメラ)を挿入する際に通すチャネルの数が少なく(好ましくは単一のチャネル)、器具のアクセスを可能にし、かつ/又は流体の吸引及び灌注を可能にするために、同じチャネルを使用することが多い。イメージングデバイス用とツール用に単一のチャネルを使用すると、カメラがデバイスに統合されるとともにツールと流体へのアクセスを可能にするために別々のチャネルが使用される従来の内視鏡デバイスよりも、全体的な外形を小さくすることができる。連続体ロボットの例は、米国特許第9539726号に記載されている。上記参照した特許の全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0007】
MCRデバイスでは、ビデオスコープ(カメラ)が操縦可能デバイスに固定されないので、カメラと単一チャネルの内径(ID)との間に一定の遊隙を設けることにより、カメラが適所にある状態で吸引及び灌注の機能を実行することができる。ただし、MCRデバイスには複数の湾曲部があり、各湾曲部は、曲がりくねった生体構造を通してMCRデバイスを操縦する複数の制御ワイヤによって操作される。制御ワイヤに対する押し引きにより、MCR内のワイヤの長さの変化(変位)が生じる。このような変化により、個々の湾曲部は、3つ以上の自由度(DOF)で操縦可能器具を偏向させてしまう。引っ張られている制御ワイヤは、内側の曲げ半径を形成するように曲げられ、押されるワイヤは、外側の曲げ半径に沿って曲げられる。
【0008】
遠位の湾曲部の構造により、MCRは、作動入力と、カテーテルの進む生体構造との摩擦に起因して、ねじれてしまうおそれがある。カメラはMCRデバイスの先端に固定されていないので、MCRの先端は、カメラの周りで自由にねじれたり回転したりすることができる。或いは、MCRの先端が曲がり、かつ/又は移動するときに、カテーテル体に対してカメラが回転する場合がある。カテーテル先端がカメラの周りでねじれたり回転したりすると、カメラのビューと、コントローラを通してカテーテルの近位端で提供される操縦入力との間に、食い違いが生じてしまう。したがって、カメラビューの向きと、ゲームパッドコントローラの向きと、カテーテル先端の向きとの間で適切な相関を維持しながら、カメラ回転の悪影響を防止できる改善されたMCRシステムが求められている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に開示される少なくとも1つの実施形態によれば、医用連続体ロボット(MCR)システムコントローラによって駆動される操縦可能医用カテーテルが提供され、該カテーテルは、カテーテル体と、カテーテル体の遠位部に配置されたねじれ防止特徴とを備える。カテーテル体は、ツールチャネルと、ツールチャネルの壁に沿って配置された複数の制御ワイヤとを有する。制御ワイヤは、カテーテル体のうちの少なくとも一部を操縦するように、アクチュエータユニットからの作動力を遠位部に伝達する。ねじれ防止特徴は、ツールチャネルを通して挿入されたイメージングデバイスと結合されるように構成される。カテーテル体の少なくとも一部が作動力によって操縦されるときに、イメージングデバイスの位置及び/又は向きが遠位端に対して実質的に変化しないままであるように、カテーテル体の遠位端は、ねじれ防止特徴と連結されるように構成される。カテーテル体は長手方向に軟性であり、ねじれ防止特徴は、カテーテル先端のねじれに抵抗し、かつ/又は、カテーテルの曲げ及びナビゲーション中のイメージングデバイスの回転を防止する。
【0010】
全ての実施形態において、MCRシステムは、位置決め機構を介してカテーテル体と連結されるように構成された着脱可能なカメラを含む。位置決め機構及び/又はカテーテル体の遠位先端はねじれ防止特徴を有し、ねじれ防止特徴は、カメラの回転を防止し、カテーテル体の遠位先端を強化し、カテーテル遠位先端のねじれを低減する。ねじれ防止特徴により、カメラと遠位先端の向きがより一定に保たれ、また、手順全体を通してカメラビューがナビゲーション入力に更に良好に対応するので(例えば右が右、上が上、等)、より直感的なナビゲーションが可能となる。また、ねじれ防止特徴は、カメラを取り外すことなく吸引及び灌注を実行できるようにするために、カメラとカテーテル内壁の間に隙間を提供する。ねじれ防止特徴により、カメラの外形を大きくし、カテーテル先端を通る開口のサイズを小さくすることができる。そのような増大/低減は、カテーテル体の全体的な外形が可能な限り最小化されるように、本明細書に開示される様々な実施形態において最適化される。このように、画像ガイダンス中、カメラとカテーテル内壁の間の隙間を効率的に用いて、カメラビューを遮っている身体物質(例えば粘液)を除去するための流体(例えば水やガス)を供給/除去することができる。一部の実施形態では、ねじれ防止特徴は、カメラがカテーテルツールチャネルに挿入されたときに着脱可能に係合するキー溝及びキーイングタブを含む。一部の実施形態では、ねじれ防止特徴は、先細のリブ(雄型特徴)の形でカテーテル先端に組み込まれる。当該特徴は、遠位端でサイズが最も大きく、近位方向に向かって先細になる。
【0011】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された特許請求の範囲と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の態様は、添付の図面に照らして以下の詳細な説明を読むことによって、最もよく理解される。なお、標準の慣行に従って、図面の様々な特徴は、縮尺どおりに描かれておらず、実際のコンポーネントを表すものでもない。各種特徴の寸法等のいくつかの詳細は、説明を容易にするために任意に増減される場合がある。更に、同様のコンポーネント及び/又は機能を描写するために、参照番号及び/又は文字が様々な例で繰り返されている。この繰返しは、単純さ及び明確さを目的としており、それ自体が、論じられる同じコンポーネントの各種実施形態及び/又は構成を限定するものではない。
【0013】
図1図1は、ロボット制御操縦可能器具100を動作させるように構成された医用連続体ロボット(MCR)システム1000の実施形態を示す図である。
図2図2A図2B及び図2Cは、本開示の例示の実施形態に係る操縦可能器具100の更なる詳細を示す図である。
図3図3A図3B及び図3Cは、本開示の第1の実施形態に係る、ハウジング部分(151、152)と、弓形タブ(153)として実装されたねじれ防止特徴とを備える位置決め機構150を示す図である。
図4図4A及び図4Bは、2又ワイヤ(163A、163B)として実装されたねじれ防止特徴の第2の実施形態を示す図である。
図5図5A及び図5Bは、3又ワイヤ(163A、163B、163C)として実装された、ねじれ防止特徴の第2の実施形態の変形を示す図である。
図6図6A及び図6Bは、2又板金構造(173A、173B)として実装されたねじれ防止特徴の第3の実施形態を示す図である。
図7図7A及び図7Bは、板金で作られた外向き湾曲表面(183A、183B)及び内向きのくぼみ(184A及び184B)を有する変形管構造によって実装されたねじれ防止特徴の第5の実施形態を示す図である。
図8図8A図8B及び図8Cは、レーザカットされたハイポチューブの2又の線形エッジ(803A及び803B)によって実装されたねじれ防止特徴の第6の実施形態を示す図である。
図9図9A及び図9Bは、ツールチャネルに圧入されるように構成された外向き湾曲表面(903A、903B)を有する楕円管構造によって実装されたねじれ防止特徴15の第7の実施形態を示す図である。
図10図10A図10B及び図10Cは、ツールチャネルの中央に配置されたイメージングデバイスを支持するとともに、イメージングデバイスの周囲の照明光学系(1014)、照明電子機器(1013)及び補助チャネル(1014)のうちの1つ以上を支持するように構成された長円形ハウジング構造の外向き湾曲構造によって実装されたねじれ防止特徴の第8の実施形態を示す図である。
図11図11Aは、カメラ180の回転を防止するように構成された単一の組込み隆起1131を備えた遠位先端120を示す図である。図11Bは、カテーテル100の長さ方向に取った遠位先端120の断面図である。図11Cは、ツールチャネル105が遠位先端120の遠位端に複数の隆起を備え得る実施形態を示す図である。
図12図12Aは、カテーテル100の遠位端から見た正面図であり、図12Bは、カテーテル体のセクションAAに沿って長さ方向に取った断面図である。図12A及び図12Bでは、カテーテル100の遠位先端120には、最大実体状態(maximum material condition)でそのツールチャネルに形成された複数の隆起1131A、1131B、1131C及び1131Dが設けられている。
図13図13Aは、カテーテル100の遠位端から見た正面図であり、図13Bは、カテーテル体のセクションBBに沿って長さ方向に取った断面図である。図13A及び図13Bでは、カテーテル100の遠位先端120には、最小実体状態(minimum material condition)でそのツールチャネルに形成された複数の隆起1131A、1131B、1131C及び1131Dが設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な実施形態が更に詳細に説明される前に、本開示は特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。また、当然のことながら、本明細書において用いられる用語は、例示の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。
【0015】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。更に、同封の図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の範囲から逸脱することなく、説明される例示の実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。図面はいくつかの可能な構成及びアプローチを表すが、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の態様をより分かりやすく図示及び説明するために、特定の特徴が誇張、削除又は部分的に切断される場合がある。本明細書に記載の説明は、網羅的であること、そうでなければ、図面に示され以下の詳細な説明に開示される正確な形態及び構成に特許請求の範囲を限定又は制限することを意図するものではない。
【0016】
当業者には当然のことながら、一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して、“オープン”な用語として意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである、等)。更に、当業者には当然のことながら、導入された請求項記載の具体的な数字が意図されている場合、そのような意図は特許請求の範囲に明示的に記載され、また、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つの」や「1つ以上の」という導入句の使用を含む場合がある。ただし、そのような語句の使用は、同じ請求項に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」との導入句と、“a”又は“an”等の不定冠詞とが含まれている場合でも、不定冠詞“a”又は“an”による請求項記載の導入により、そのような導入された請求項記載を含む特定の請求項が、そのような記載を1つだけ含む請求項に限定されることを意味すると解釈されるべきではない(例えば、“a”及び/又は“an”は、典型的には、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても、同じことが言える。
【0017】
更に、導入された請求項記載の具体的な数字が明示的に記載されている場合であっても、当業者には当然のことながら、そのような記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきである(例えば、他の修飾語を伴わずに「2つの記載」とだけ記載される場合、典型的には、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B及びC等のうちの少なくとも1つ」に類似した規定が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該規定を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。「A、B又はC等のうちの少なくとも1つ」に類似した規定が使用される場合、概して、そのような構文は、当業者が該規定を理解し得るという意味で意図されている(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独で、B単独で、C単独で、AとBを併せて、AとCを併せて、BとCを併せて、かつ/又は、A、B及びCを併せて有するシステム等を含み得る)。更に、当業者には当然のことながら、典型的には、離接語、及び/又は2つ以上の代替用語を表す語句(明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても)は、文脈上別段の指示がない限り、該用語の一方、該用語のいずれか、又は該用語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という表現は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0018】
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上」にあるとして言及されるとき、それは、当該他の特徴又は要素の直上に存在してよく、又は、介在する特徴及び/又は要素も存在してよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直上」にあるとして言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。また、当然のことながら、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続される」、「取り付けられる」、「結合される」等として言及されるとき、それは、当該他の特徴に直接的に接続されてよく、取り付けられてよく、又は結合されてよく、又は、介在する特徴又は要素が存在してもよい。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接的に接続される」、「直接的に取り付けられる」又は「直接的に結合される」として言及されるとき、介在する特徴又は要素は存在しない。一実施形態に関して説明又は図示したが、一実施形態においてそのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。また、当業者であれば理解できるように、別の特徴に「隣接」して配置されている構造又は特徴への言及は、当該隣接する特徴にオーバーラップするかその下にある部分をもつ場合がある。
【0019】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの指定の用語によって限定されない。これらの指定の用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分は、単に区別を目的として、しかし限定をすることなく、また、構造的又は機能的な意味から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又は部分と呼ぶことができる。
【0020】
本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」、「備える」、「成る」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。更に、本開示では、「~から成る」という移行句は、クレームで指定されていないいかなる要素、ステップ又はコンポーネントも除外する。更に、留意すべきこととして、一部のクレーム又はクレームの一部の特徴は、任意の要素を除外するように起草される場合があり、このようなクレームは、クレーム要素の記載に関連して「単独で」、「~のみ」等の排他的な用語を使用する場合があり、又は、「否定的な」限定を使用する場合がある。
【0021】
本明細書で使用される「約」又は「およそ」という用語は、例えば10%以内、5%以内又はそれ未満を意味する。一部の実施形態では、「約」という用語は、測定誤差内を意味することがある。これに関して、説明され又はクレームされる際に、用語が明示的に表示されていなくても、全ての数値は「約」又は「およそ」という語が前置されているかのように読まれてよい。「約」又は「およそ」という語句は、大きさ及び/又は位置を記述するとき、記載の値及び/又は位置が値及び/又は位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用されることがある。例えば、数値は、記述された値(又は値の範囲)の±0.1%、記述された値(又は値の範囲)の±1%、記述された値(又は値の範囲)の±2%、記述された値(又は値の範囲)の±5%、記述された値(又は値の範囲)の±10%等である値を含み得る。本明細書に記載されている場合、あらゆる数値範囲は、具体的に別段の記載がない限り、終了値を含むことを意図しており、そこに属する全ての部分範囲を含む。本明細書で用いられる場合、「実質的に」という用語は、意図された目的に悪影響を及ぼさない、記述子からの逸脱を許容することを意味する。例えば、測定値の限定に由来する逸脱、製造公差内の差異、又は5%未満の変動は、実質的に同じ範囲内にあると見なすことができる。指定された記述子は、絶対値(例えば、実質的に球形、実質的に垂直、実質的に同心等)又は相対語(例えば、実質的に類似、実質的に同じ等)であり得る。
【0022】
具体的に別段の記載がない限り、以下の開示から明らかであるように、本開示を通して、「処理する」、「コンピュータで計算する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」等の用語を用いた議論は、コンピュータシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイス、又は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、同様にコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のそのような情報の記憶、伝送又は表示用のデバイス内の物理量として表される他のデータに変換するデータ処理デバイスの、動作及びプロセスを指すものと理解される。本明細書に記載されているか、若しくは添付の特許請求の範囲に記載されているコンピュータ動作又は電子動作は、文脈上別段の指示がない限り、一般に、任意の順序で実行することができる。また、様々な動作フロー図が順番に提示されているが、当然のことながら、各種動作は、図示又は特許請求されている順序以外の順序で実行することができ、或いは、動作を同時に実行することができる。そのような代替の順序付けの例としては、文脈上別段の指示がない限り、重複、インターリーブ、中断、再順序付け、増分、準備、補足、同時、逆、又は他の変形の順序付けが挙げられる。更に、「~に応答して」、「~に応えて」、「~に関連して」、「~に基づいて」等の用語、又は他の同様の過去形容詞は、文脈上別段の指示がない限り、通常、そのような変形を除外することを意図していない。
【0023】
本開示は、概して医療機器に関し、分光装置(例えば内視鏡)、光干渉断層法(OCT)装置、又はそのような装置の組合せ(例えばマルチモダリティ光プローブ)に適用可能である光プローブの実施形態を例示する。光プローブ及びその部分の実施形態を、三次元空間におけるそれらの状態に関して説明する。本明細書で用いられる場合、「位置」という用語は、3次元空間における物体又は物体の一部の位置(例えばデカルトX、Y、Z座標に沿った3自由度の並進自由度)を指し、「向き」という用語は、物体又は物体の一部の回転配置(回転の3自由度―例えばロール、ピッチ、ヨー)を指し、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度にある物体又は物体の一部の位置と、少なくとも1つの回転自由度にある物体又は一部の物体の向きとを指し(合計で最大6つの自由度)、「形状」という用語は、物体の長尺体に沿って測定された一連の姿勢、位置及び/又は方向を指す。
【0024】
医療機器の分野において既知であるように、「近位」及び「遠位」という用語は、ユーザから手術部位又は診断部位まで延びる器具の端部の操作に関して用いられる。これに関して、「近位」という用語は、器具のユーザに近い部分(例えばハンドル)を指し、「遠位」という用語は、ユーザから離れており外科部位又は診断部位に近い器具の部分(先端)を指す。更に、当然のことながら、便宜上簡潔にするために、本明細書では、図面に関して「垂直」、「平行」、「上」、「下」等の空間用語が用いられる場合がある。ただし、手術器具は多くの向きと位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的かつ/又は絶対的であることを意図していない。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「カテーテル」との用語は、概して、広範囲の医療機能を実行するために、狭い開口を通して解剖学的管腔80(例えば血管)の中に挿入されるように設計された、医療グレードの材料から作られる軟性の薄い管状器具を指す。より具体的な「光学カテーテル」との用語は、医療グレード材料から作られた保護シース内に配置され光学イメージング機能をもつ1つ以上の軟性の光伝導ファイバの細長い束を含む医用器具を指す。光学カテーテルの特定の例は、シース、コイル、プロテクタ、シース及び光学プローブを備える光ファイバカテーテルである。一部の用途では、カテーテルは、シースと同様に機能する「ガイドカテーテル」を含み得る。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「内視鏡」との用語は、光学プローブによって導かれる光を用いて体腔又は臓器の内部を観察する、硬性又は軟性の医用器具を指す。内視鏡が自然開口を通して挿入される医療処置は、内視鏡検査と呼ばれる。専用の内視鏡は、気管支鏡(口)、S状結腸鏡(直腸)、膀胱鏡(膀胱)、腎臓鏡(腎臓)、気管支鏡(気管支)、咽頭鏡(咽頭)、耳鏡(耳)、関節鏡(関節)、腹腔鏡(腹部)及び消化管内視鏡等、一般に、内視鏡の使用方法や使用場所にちなんで名付けられる。
【0027】
本開示では、「光ファイバ」又は単に「ファイバ」等の用語は、全反射として知られる効果によって一端から他端に光を伝導することができる、細長い軟性の光伝導管を指す。「導光コンポーネント」又は「導波管」との用語も、光ファイバを指す場合があり、又は光ファイバの機能をもつ場合がある。「ファイバ」との用語は、1つ以上の光伝導ファイバを指す場合がある。光ファイバは、一般に透明で均質なコアをもち、それを通して光が誘導され、また、コアは均質なクラッディングによって囲まれている。コアの屈折率は、クラッディングの屈折率よりも大きい。設計上の選択に応じて、一部のファイバは、コアを囲む複数のクラッディングをもつことができる。
【0028】
<ねじれ防止特徴を有する医用連続体ロボット(MCR)>
図1及び図2A図2Cを参照して、位置決め機構150を有する連続体ロボットシステム1000の例示の構成を説明する。図1は、ロボット制御操縦可能器具100(操縦可能なカテーテル又は内視鏡)を動作させるように構成された連続体ロボットシステム1000の実施形態を示す。図2A図2Cは、非操縦可能な近位部102、操縦可能な遠位部103及び複数の制御ワイヤ110を含む操縦可能器具100の具体的な構造をより詳細に示す。ロボットシステム1000は、患者の生体構造の解剖学的管腔80内の蛇行進路を通して操縦可能カテーテルをナビゲートするために、操縦可能器具100を湾曲形状に適応させるように構成された連続体又はマルチセグメントのロボットであってよい。操縦可能器具100は、操縦可能カテーテル、小型内視鏡、又は軟性の針ガイド器具として使用することができる。
【0029】
図1に示されるように、連続体ロボットシステム1000の全体構造は、コンピュータシステム400(例えばシステムコンソール)と、ロボット制御システム300と、ハンドル200を介して制御システム300に接続された操縦可能器具100とを含む。代替の用途又は実施形態では、操縦可能器具100は、ハンドル200を介して、ハンドヘルドコントローラ(ゲームパッドコントローラ等)又はポータブル電子デバイス(スマートフォンやタブレットコンピュータ等)に接続することができる。慣例により、ロボットシステム1000は、x,y,z軸の3次元(3D)デカルト座標系によって定義される3D空間で動作する。操縦可能器具100は、非操縦可能な近位部102と、操縦可能な遠位部103とを含み、これらは、z軸方向に平行な長手方向の中心軸Axに沿って配置されている。遠位部103は複数の湾曲セグメント(1、2、3、…N)に分割され、各湾曲セグメントは、1つ以上の制御ワイヤ110によって個々に作動される(曲げられ、かつ/又は回転される)ように構成される。
【0030】
操縦可能器具100の曲げ及び/又は挿入/引戻し(本明細書では概して「操縦」と呼ぶ)は、キネマティック作動システムによって制御され、該システムは、ハンドル200、ロボット制御システム300及びコントローラ(例えばゲームパッドコントローラ又はコンピュータシステム400)から成る。より具体的には、制御システム300は、一般に、ハンドヘルドコントローラ及び/又は制御室コンピュータを含むか、又はそれに接続される。コンピュータシステム400は、中央処理装置(CPU)410の1つ以上のプロセッサによって動作される適切なソフトウェア、ファームウェア及び周辺ハードウェアとともに、操縦可能器具100の操縦を制御するために用いられる汎用コントローラシステムを表す。メモリモジュール409は、全体として連続体ロボットシステム1000を動作させるためのソフトウェアアプリケーション及びコンピュータ実行可能コードを格納する。コンピュータシステム400、ロボット制御システム及びハンドル200は、ネットワークリンク又はケーブル束425によって、互いに動作可能に接続される。一部の実施形態では、制御システム300は、ハンドヘルドコントローラ(ゲームパッド等)又はポータブル処理デバイス(スマートフォンやタブレットコンピュータ等)によって実装されてよい(又は、それに接続されてよい)。他の機能の中でも、制御システム300及び/又はコンピュータシステム400は、外科医又は他のユーザに、画像表示デバイス420(LCD又はOLEDのディスプレイ等)を介して表示画面422及びグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を提供して、ユーザが操縦可能器具100及びシステムと全体としてインタラクションできるようにすることができる。
【0031】
ハンドル200は、操縦可能器具100と制御システム300の間の電気機械インタフェースを提供する。例えば、ハンドル200は、機械接続、電気接続及び/又は光学接続のためのインタフェースと、操縦可能器具100を制御システム300とインタフェース接続するためのデータ又はデジタル取得(DAQ)システムとを提供することができる。また、ハンドル200は、外科医又は操作者がエンドエフェクタツールを挿入する際に使用できる入力ポート250を提供することができる。ハンドル200は、器具100の操縦可能部103を手動操縦するための1つ以上のダイヤル252を含んでもよい。「エンドエフェクタ」との用語は、外科用の器具又はツールの作業部分を指す。内視鏡手術器具としては、当技術分野の当業者に知られているように、検査中又は手術中に身体部分(器官又は組織)を操作するのに役立つクランプ、把持器、はさみ、ステープラ、針、その他の同様のツールが挙げられる。ハンドル200は、操縦可能器具100を直線方向Lに動かすためのロボット支持プラットフォーム600(例えばリニアステージ及び/又はロボットアーム601)に取付け可能である。コントローラシステム300は、ハンドル200及び/又は追加の接続205(ネットワークリンクやケーブル束等)を介して、支持プラットフォーム600及び/又はリニアステージ601に制御信号を送ることができる。
【0032】
ロボット制御システム300は、アクチュエータシステム310及びコントローラ320を含む。コントローラ320は、当業者に既知である適切なソフトウェア、ファームウェア及び周辺ハードウェアとともに、比例・積分・微分(PID)コントローラ又は他のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含んでよい。PID又はDSPベースのコントローラは、概して専用の集積回路であるが、DSP機能は、他の回路によって、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイチップ(FPGA)を用いることによって、実装することもできる。アクチュエータシステム310は、図1にモータ1~モータMとして示される複数の作動モータ(又はアクチュエータ)を含んでよい。一部の実施形態では、Mは、遠位部103の各種セグメントを操縦するのに必要な制御ワイヤ110の数に等しくすることができる。他の実施形態では、1つのモータによって2つ以上(又は全て)の制御ワイヤを作動させることができる。制御ワイヤ110は、典型的には、操縦可能部103の長さに沿ってアンカー部材に固定された金属ワイヤである。また、ロボット制御システム300は、電線112を介して制御ワイヤ110及び/又は操縦可能器具100に動作可能に接続された1つ以上のセンサ304を含む。センサ304は、アクチュエータシステム310によって制御ワイヤ110にかけられた圧縮力又は引張力を検出及び/又は測定するように機能する1つ以上のひずみセンサ及び/又は1つ以上の位置/向きセンサを含んでよい。センサ304は、所与の時点で各制御ワイヤ110に加えられた圧縮力又は引張力の量(ひずみの量)に対応する信号305を出力することができる。各制御ワイヤ110のセンサ304(ひずみセンサ及び/又は位置センサ)からの信号305は、フィードバック制御ループにより各制御ワイヤの作動を制御するために、コントローラ320にフィードバックされる。このように、各制御ワイヤ110は、患者の生体構造の管腔内の蛇行経路を通して操縦可能器具100をナビゲートするために適切なシャフト誘導を実施するように、能動的に制御することができる。
【0033】
操縦可能器具100は、管状スリーブ又は管状ガイド又は管状シースとも呼ばれる細長い管状シャフト(細長い管状体)を有する。シャフトの長さに沿って、管状シャフトに沿って(典型的には、中に)延びる少なくとも1つの作業チャネル105と、管状シャフトの壁に沿って(典型的には、壁内に)延びる複数の制御ワイヤ110とが存在する。作業チャネル105は、単純化するために「ツールチャネル」と呼ぶことにする。ツールチャネル105は、アクセスポート250から操縦可能部103の遠位端まで送達される各種ツール(エンドエフェクタ)のアクセスを可能にする。また、ツールチャネル105は、液体又は気体の物質(例えば空気や水)を標的エリアに送り又は回収するために、或いは、システムを動作させるのに必要な光ファイバ及び/又は電線を通すために、用いることができる。更に、ツールチャネル105を用いて、医用イメージングデバイス180(内視鏡カメラやビデオスコープ、ファイバベースのイメージングプローブ等)を着脱可能に保持することができる。内視鏡カメラの例としては、操縦可能部103の遠位先端120に配置されるように構成されたミニチュアCMOSセンサ及び照明器を備えたカメラ等の、チップ・オン・ティップ(COT)カメラが挙げられるが、これに限定されない。更に、遠位先端120に、かつ/又は操縦可能器具100に沿って、1つ以上の電磁(EM)センサ190を設けることができる。動作中、操縦可能器具100が解剖学的管腔80を通して操縦されるとき、遠位先端120は、キネマティックコントローラによって1つ以上の方向に能動的に曲げられて、曲がりくねった生体構造を前進する。操縦可能部103の残りのセグメントは、個別に制御することもできるし、フォローザリーダー(FFL)アプローチで操作することもできる。ナビゲーション中、イメージングデバイス180は、ツールチャネル105を通してカテーテル体に対して挿入及び/又は引戻しされる。カテーテルの遠位部が能動的に曲げられ、イメージングデバイス180がツールチャネル105の内側に配置されると、カテーテルの先端の先端は、カメラの周りで自由にねじれたり回転したりすることができる。操縦機構はカテーテルを曲げるだけであるが、イメージングデバイスの周りのカテーテルのねじれ又は回転は、曲がりくねった生体構造を通るナビゲーションと、生体構造とカテーテルの外径との間の摩擦の副産物である。イメージングデバイス180が操縦可能器具の遠位先端に対してその適切な位置及び向きを維持することを確実にするために、位置決め機構150は、カテーテルの先端でイメージングデバイス180をツールチャネル105に結合するように構成される。
【0034】
図2A図2B及び図2Cは、本開示の例示の実施形態に係る操縦可能器具100の更なる詳細を示す。図2Aは、非操縦可能な近位部102と操縦可能な遠位部103を備える操縦可能器具100の斜視図であり、その遠位端においてツールチャネル105に位置決め機構150を備える。図2Bは、操縦可能部103のリング状コンポーネントを示す。図2Cは、操縦可能器具100の作動状態を示す。
【0035】
図2Aに示されるように、近位部102は、その中心軸がZ軸方向に延びる管状シャフトとしての形状を有し、管状シャフトの壁に沿って、複数のワイヤコンジットが形成されている。遠位部103は、互いに所定の距離をおいて近位部102に対して遠位に配置された複数のリング状コンポーネント(本明細書ではガイド部材108とも呼ばれる)を含む。遠位部103は、2つの湾曲サブセクション、すなわち変曲点107で結合された第1の湾曲部103a及び第2の湾曲部103bを含む。第1の湾曲部103aは、複数のリング状ガイド部材108aを含み、第2の湾曲部103bは、複数のリング状ガイド部材108bを含む。
【0036】
操縦可能器具100の長さに沿って、複数の制御ワイヤ110が、近位部分102の壁に沿って、遠位部103のリング状ガイド部材108のうちの1つ以上を通って延びる。管状シャフトの近位端では、全ての制御ワイヤ110が、アクチュエータシステム310(図1Aに示される)の個々のモータ又はアクチュエータに結合される。特定の実施形態では、1つ以上のワイヤは、アクチュエータに結合されなくてもよく、代わりに固定構造に取り付けられてよい。遠位部103に沿って、制御ワイヤ110は、z軸に平行なその長さ方向に、1つ以上のガイド部材108の環状壁を通過し、ワイヤ固定コンポーネント109に選択的に固定される。一部の制御ワイヤ110は、変曲点107で第1のアンカー部材109aに固定され、制御ワイヤ110の一部は、操縦可能部103の遠位端で第2のアンカー部材109bに固定される。制御ワイヤ110は、例えばピアノタイプのワイヤ、ステンレス鋼ワイヤ、又はニッケルチタン合金(ニチノール)ワイヤ、形状記憶合金(SMA)ワイヤ、或いはそれらの同様の構造及び/又は組合わせ等の、金属ワイヤであり得る。アンカー部材109a及び109bは、ガイド部材108と同様に、その中心軸がZ軸方向に沿って延びる円環形状を有する。複数の制御ワイヤ110は、例えば接着、ピン止め、溶接又はねじ止めにより、アンカー部材109a及び/又は109bに固定して結合される。
【0037】
図2Bは、代表的なガイド部材108bと代表的なガイド部材108aの斜視図を示す。各ガイド部材108は、z軸方向に沿って延びる中心軸Axをもつ円環形状を有する。各ガイド部材108aは、その環状壁上に6つのワイヤコンジット104a、104b、104c、104d、104e及び104fを有し、それを通して対応する6本の制御ワイヤ110(ワイヤコンジットごとに1本の制御ワイヤ)を通すことができる。各ガイド部材108bは、その環状壁に沿って長さ方向に延びる3つのワイヤコンジット104a、104c及び104eを有し、それを通ってスライドする対応する数の制御ワイヤ110を通すことができる。各ガイド部材108aのワイヤコンジット104a~104fにより、アンカー部材109aに結合される3本の制御ワイヤ110と、アンカー部材109bに結合される3本の制御ワイヤ110を通すことが可能となる。一方、各ガイド部材108bのワイヤコンジット104a、104c及び104eにより、アンカー部材109bに結合される対応する3本のワイヤを通すことが可能となる。
【0038】
次に、制御ワイヤ110が能動的に駆動されて、蛇行進路を通して器具をナビゲートするときの、操縦可能器具100の例示の動作(操縦)を説明する。分かりやすくするために、単一の湾曲セグメントの動きについて説明する。図2Cに示されるように、操縦可能器具100の単一の湾曲部103は、その遠位端から、アンカー部材109と、複数の制御ワイヤ110a、110b及び110cによって近位部分102の管状シャフトに接続された複数のガイド部材108とを含む。複数のワイヤ110a、110b、110cは、それぞれ、管状シャフトの壁に沿って、また、ワイヤコンジット104a、104b、104cを通り各ガイド部材108の壁に沿って、近位端から遠位端へ延びる。器具100の遠位端では、制御ワイヤ110がアンカー部材109に固定して結合され、器具100の近位端では、制御ワイヤ110が、アクチュエータシステム310の対応するモータ又はアクチュエータに動的に結合される。制御ワイヤ110のうちの1つ以上は、対応するアクチュエータ又はモータの作動により、ガイド部材108のうちの1つ以上に対してスライド可能である。3本の制御ワイヤ110のうち1本(例えば図2Cの制御ワイヤ110b)は、ガイド部材108に対して固定(又は機械的に接地)することができ、残りの2本の制御ワイヤ110(例えば図2Cの制御ワイヤ110a及び110c)は、ガイド部材108のワイヤコンジット104に対してスライド可能である。
【0039】
操縦可能器具100を曲げる際、各制御ワイヤ110は、それぞれのアクチュエータ又はモータによって個々に制御される。例えば、図2Cでは、制御ワイヤ110bはアンカー部材109及びガイド部材108に固定又は係留される一方、制御ワイヤ110aは制御力F1で引っ張られ、制御ワイヤ110cは制御力F2で引っ張られる(この例では、制御力F2は制御力F1よりも低い)。このように、制御ワイヤ110a及び110bの線形変位の駆動量の組合せに従って、湾曲部103を所望の方向に曲げることができる。操縦可能器具100の遠位端の姿勢を2自由度内で制御するには、3本の制御ワイヤのうち2本を駆動すれば十分である。
【0040】
図2Cを参照して、単一の湾曲部の遠位端に係留された2本の制御ワイヤを駆動する場合を説明したが、図2Aの全ての湾曲部の制御ワイヤが駆動される場合、各湾曲部の姿勢は、個々の制御ワイヤの駆動量に従って独立して制御することができる。更に、ワイヤ駆動操縦可能器具100をその中心軸Axの周りで能動的に回転させるか又はねじる機構が、追加で設けられてよい。例えば、操縦可能器具の遠位端の回転又はねじれの量を提供するために、まず、1本の制御ワイヤのみを駆動することによって湾曲部を所望の方向に曲げることができ、次に、異なる制御ワイヤを動作させることにより、或いはハンドル200及びそれに含まれる制御ワイヤを回転させることにより、操縦可能器具の本体を回転させることができる。
【0041】
一実施形態によれば、例えば図2A図2Cに示されるように、操縦可能器具100は約0.14インチの外径(OD)を有してよく、遠位部103は長さがおよそ2.0インチであり、器具100の全長は約24インチである。アンカー部材109及びガイド部材108は、ワイヤコンジット104及びツールチャネル105を有し、典型的には、商品名Pebax(登録商標)で入手可能なポリエーテルブロックアミドから構築される。器具100の少なくとも一部を覆うアウターシースと、ツールチャネル105の表面を保護するインナーシース又はコーティングも、Pebaxから作製することができる。ただし、ポリウレタン等、他の医療グレードのプラスチック又は同様の合成物でも実現可能である。また、近位部102の管状シャフトの典型的な材料としては、例えば任意の適切な数の層を含むことができるポリイミド及び/又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。また、他の材料としては、熱可塑性エラストマー(Pebax(登録商標)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)等)、Pellethane(登録商標)等の熱可塑性ポリウレタン、NuSil(商標)等のシリコーン生体材料が挙げられる。このような材料により、寸法が縮小されたカテーテルや内視鏡等の、柔軟でありながらねじり弾性のある操縦可能器具の製造が可能となる。例えば、操縦可能器具100の別のプロトタイプ寸法は、外径(OD)約3.3mm、内径(ID)2.4mm、及び全長約550mmである。
【0042】
別の例示の実施形態では、操縦可能器具100は、操縦可能部103の遠位端で約0.089インチ(2.26mm)の内径(ID)をもつように設計された。流体の吸引及び/又は灌注に十分な間隙を提供するために、イメージングデバイス180(ビデオスコープ又はカメラ)は、約0.061インチ(1.55mm)のODを有する。これは、約0.028インチ(0.71mm)の間隙が存在し得ることを意味する。本開示によれば、カテーテル体の先端及び/又はカメラにねじれ防止特徴を追加して、このようなねじれ防止特徴が、イメージングデバイスとカテーテル体の先端が一緒に動くように機械的に連結する手段として機能するようにすることが、有利である。本明細書で用いられる場合、2つ以上のコンポーネントを連結することは、異なるコンポーネントの機能を連係させるために、該2つ以上のコンポーネントを一緒に機械的に係止することを指す。2つ以上のコンポーネントを連結することは、機械的特徴(突起と凹部、キー溝とキーイングタブ、キーホールとピン又はキー等)を重ね合わせたり嵌め合わせたりすることによって、該コンポーネントを互いに機械的に係合させることを指す。一部の実施形態では、2つ以上のコンポーネントを連結することは、該コンポーネントを圧入することによって達成されてよい。図2A及び図2Cは、ねじれ防止特徴を含む位置決め機構150の図式的な表現を示す。当然のことながら、このようなねじれ防止特徴により、イメージングデバイスとカテーテル体のIDとの間の間隙が狭くなる可能性があり、また、灌注及び/又は吸引中の流体の流量が減少する可能性がある。流量の減少に加えて、ねじれ防止特徴の追加時に考慮すべき別の問題は、該特徴の曲げ安定性である。流量の問題に対処するために、本明細書に開示されるねじれ防止特徴は、細いワイヤ又やファイバ、或いは薄い金属シート及び/又は細い管(例えばハイポチューブ)で作られる。ねじれ防止特徴の材料厚が低く(薄く)なるので、ねじれ防止特徴は、ツールチャネルの断面積を最小限に抑えるのみであるので、流体の流れを最適化することができる。同時に、ねじれ防止特徴の厚みが低下すると、材料厚の不足に起因する剛性の低下により、ねじれ防止特徴の曲げ又は崩壊の可能性が高まる。よって、材料厚が過度に低い(薄すぎる)場合、ねじれ防止特徴が歪んで、カテーテルが多少ねじれてしまうおそれがある。したがって、前述の要因を考慮して、本発明者は、ねじれ防止特徴のいくつかの実施形態の様々なコンピュータ支援設計(CAD)シミュレーションを実施して、様々な標的負荷下での流量最適化と、カテーテル体のねじれに対する適切な抵抗力とを推定した。これらのシミュレーションの詳細を、表1に示す。
【0043】
<第1の実施形態>
図3A図3B及び図3Cは、本開示の第1の実施形態に係るねじれ防止特徴を示す。図3A図3Bは、それぞれ、第1の実施形態に係る位置決め機構150の斜視図と正面図を示す。図3Cは、操縦可能器具100の遠位先端120の長さ方向に(すなわち、中心軸Axに平行に)取った断面図を示す。第1の実施形態によれば、位置決め機構150は、弓形タブ153によって繋がれた1組の円筒部分151、152を含み、弓形タブ153は、径方向に突出し、長さ方向に弓なりに曲がっている。ねじれ防止特徴は、ポリマー及び/又は金属材料で作られた構造であってよい。例えば、少なくともタブ153は、ポリマー材料で覆われた金属ファイバ又は金属タブによって強化されたポリマータブであってよく、円筒部分は、同様の材料で作られても良いし、異なる材料で作られてもよい。円筒部分151及び152のうちの少なくとも1つは、カメラ180をツールチャネル105の遠位端まで導入し固定することができるように、カメラ180に付着するように構成することができる。より具体的には、カテーテル体の遠位先端120は、カメラ180とツールチャネル105の内表面との間に配置されたねじれ特徴と連結されるように構成される。このように、ねじれ防止特徴は、カテーテルシャフトに対するカメラの回転及び横方向の動きを防止することができ、その逆も可能である。そのために、遠位先端120は、遠位先端の内側に成形された係合特徴を備えたインナーシース又はライニング又は内表面を含み、係合特徴は、ねじれ防止特徴をツールチャネル105に係合することができる。第1の実施形態によれば、ねじれ防止特徴は、タブ153によって繋がれた第1の円筒部分151及び第2の円筒部分152を有し、タブ153は、カメラ180を遠位先端120の内表面(すなわちツールチャネル105の表面)に連結できる係合特徴を形成するように、外向きにアーチ状になっている。ツールチャネル105を通る流体の十分な流量範囲を提供するために、ねじれ防止特徴を有する位置決め機構150は、ツールチャネル105の断面寸法(直径)よりも小さい第1の断面寸法155(第1の直径)を有し、また、遠位先端120に対する連結位置にねじれ防止特徴を固定するために、ねじれ防止特徴は、ツールチャネル105の断面寸法(直径)と同じ寸法になる第2の断面寸法156(第2の直径)をもつタブ153を含む。ほとんどの実施形態では、遠位先端120でのツールチャネル105は、ねじれ防止特徴のタブ153(又は複数のタブ)と特定量の圧力で係合する成形特徴を備えたインナーシース又は内表面を有する。
【0044】
図3Bは、遠位端から近位端の方向に見た(すなわち正面図)、遠位先端120、インナーライニング又はインナーシース130、ツールチャネル105、位置決め機構150に結合されたカメラ180を示す。カメラ180は、カメラ体181により、位置決め機構150のハウジング部分(例えば円筒部分151~152の一方又は両方)に固定して取り付けられ、ねじれ防止特徴のタブ153は、カメラ180の所定の方向189(又は向き)と位置合せされる。次に、ツールチャネル105の内表面又はインナーシース130の1つ以上の構造とタブ153を係合することにより、ねじれ防止特徴が、カテーテル体の所定の向きと位置合せされる。例えば、図3Bでは、カメラ180の直立(“UP”)方向189を、ねじれ防止特徴のタブ153と位置合わせすることができ、タブ153は、インナーシース130の内表面に形成されたスロット又は溝131を通して挿入されるか、又はスロット又は溝131と係合される。ここで、ねじれ防止特徴のタブ153は、ツールチャネル105内のカメラ180の回転を防止するためにスロット又は溝131と係合するように構成された係止又はキーイング特徴(キーイングタブ)として機能する。すなわち、スロット又は溝131は、キーイングタブを受けるキー溝として機能する。所定の方向189がUP方向(引力の方向とは逆)であるとき、カメラ180は、カテーテル体の既知の向き(すなわち直立方向)に装着される。このように、ねじれ防止特徴により、カメラと遠位先端の向きがより一定に保たれ、また、手順全体を通してカメラビューがナビゲーション入力により良好に対応するので(例えば、コントローラからの右入力がカテーテル先端の右移動に一致し、上入力が上移動に一致する等)、より直感的なナビゲーションが可能となる。
【0045】
図3Cは、位置決め機構150のハウジング部分内に保持されるとともに、ねじれ防止特徴によってカテーテル体の遠位先端120に連結されたカメラ180の断面図を示す。図3Cに示されるように、位置決め機構150は、長手方向に弓形のタブ153によって繋がれた第1の円筒部分151及び第2の円筒部分152(ハウジング部分)を含む。第1及び第2の円筒部分151、152は、インナーシース130と位置決め機構150の間の間隙を許容するように、ツールチャネル105の内径よりも小さい外径をもつような寸法をもつ。この間隙により、特定の手順中に、ツールチャネル150が流体の灌注及び/又は吸引に十分な流量を維持できることが保証される。タブ153は、一定量の圧力(圧力は、弓形タブ153のばね効果によって供給される)でツールチャネル105の内径(ID)内にぴったりと合うように、第1及び第2の円筒部分151、152から外向きにアーチ状になっているか又は曲げられている。更に、ねじれ防止特徴とツールチャネル105の表面との間の位置合せ及び係合(結合)を容易にするために、インナーシース130の面取り部分やテーパ溝を備えた成形表面等のテーパ特徴が、遠位先端120の内面に形成される。テーパ溝は、溝が遠位端から近位端への方向に先細になるように、ツールチャネルの表面に形成することができる。このように、ねじれ防止特徴の1つ又は複数のタブはテーパ溝と係合することができ、カメラ180は、遠位先端120が曲がりくねった解剖学的管腔を通って操縦及びナビゲートされるときでも、その予め定められた位置及び/又は向きを実質的に変化させることなく維持することになる。
【0046】
引き続き図3Cを参照すると、遠位先端120は、カメラ180に対して所定の位置及び/又は向きに配置された1つ以上電磁(EM)センサ190を含んでよく、その結果、例えば術中イメージング及び/又はEM追跡システム(図示なし)を介した術中追跡により、遠位先端120及び/又はカメラ180の位置及び/又は向きを能動的に追跡することができる。操縦可能器具100の長さに沿って、1つ以上の電気ケーブル112を用いて、カメラ180及び/又はEMセンサ190を、操縦可能器具100の外側(例えばハンドル内)に配置された電子回路に電気的に接続することができる。更に、カメラ180によるイメージング時の管腔80の照明用に、光ファイバ113を用いることができる。したがって、軟性ケーブル束がカメラ体181に取り付けられてよく、ケーブル束は、一緒に配線されてツールチャネル105を通るファイバ11及び/又は電気ケーブル112を包含することができる。カメラ180は、繊細な電気ケーブル112によって電力供給され、繊細な光ファイバ113(例えば照明用)も含み得るので、ツールチャネル内でのカメラ180の回転は非常に望ましくない。しかしながら、軟性ビデオスコープを1つ以上のエンドエフェクタツールと容易に交換するために、カメラ180は、中心軸Axに平行な方向への線形運動L2により、ツールチャネル105を通して迅速に展開及び引戻しできることが有利である。この実施形態によれば、タブ153は溝131と係合し、カメラ180がツールチャネル内で回転するのを防ぐのにちょうど十分な力を提供するので、ねじれ防止特徴は、カメラの位置及び向きを実質的に変えずに維持するだけでなく、ビデオスコープの電気接続及び/又は光接続を損傷及び/又は切断から保護し、カテーテル100の遠位先端120を補強する。更に、テーパ成形特徴により、遠位先端120とビデオスコープカメラの間のレジストレーションが容易になるであろう。
【0047】
<第2の実施形態>
図4A及び図4Bは、2又ワイヤとして実装されたねじれ防止特徴の第2の実施形態を示す。2又ワイヤねじれ防止特徴は、2つの弓形ワイヤ163A及び163Bによって繋がれた第1のリング部分161及び第2のリング部分163から成るワイヤ構造である。第1及び/又は第2のリング部分161、162は第1の寸法155(第1の直径)を有し、これらのワイヤリングの一方又は両方がカメラ180に取付け可能である。また、2つの弓形ワイヤ163A、163Bの少なくとも1つは、操縦可能器具100の遠位先端120の内表面に成形された嵌合特徴と連結する。より具体的には、図4Bに示されるように、第1及び/又は第2のリング部分161、162は、カメラ180のハウジング又はフレーム181に取り付けられ、第1の弓形ワイヤ163Aは、内表面(インナーシース130)に形成された第1の溝131Aと連結し、第2の弓形ワイヤ163Bは、ツールチャネル105の内表面(インナーシース130)に形成された第2の溝131Bと連結する。弓形ワイヤ163A、163Bは、第1及び/又は第2のリング部分161、162の直径155を超えて、径方向に外側に広がる。したがって、弓形ワイヤ163A、163Bは、カテーテル体が管腔80内を進むときにカメラ180が回転しないように、ツールチャネル105の内表面に対して十分な圧力を与えることができる。ここで、弓形ワイヤ163A、163Bは、スロット又は溝131A、131B(キー溝)と係合するように構成された係止又はキーイング特徴として機能して、カメラ回転を防止する。予め定められた向きを維持するために、第1の溝131A及び第2の溝131Bは、互いに所定の角度を成して形成することができ、カメラ180は、遠位先端120に形成された第1及び第2の溝特徴に対して所定の方向(例えば直立方向)に配置することができる。図4Bに示されるように、この実施形態では、カメラ180は、ツールチャネル105の中心軸Axに対してわずかにオフセットされる。とはいえ、カメラ180を中心軸Axからわずかにオフセットして配置することにより、ねじれ防止特徴は、回転防止安定性を提供し、ツールチャネル105のセクション105A、105B及び105Cを通る十分な流体流量範囲を保証する。
【0048】
図5A及び図5Bは、3又ワイヤとして実装された、ねじれ防止特徴の第2の実施形態の変形を示す。図4A及び図4Bのねじれ防止特徴と同様に、2つの金属ワイヤのリングを接続する3又ワイヤ構造によって、ねじれ防止特徴を実装することができる。図5Aは、3つの弓形ワイヤ163A、163B及び163Cによって接続された第1のワイヤリング部分161及び第2のワイヤリング部分162を含む位置決め機構150を示す。図5Bに示されるように、弓形ワイヤ163A、161B及び163Cは、ワイヤリング部分161、162の周りに等距離に分布されてよい。弓形ワイヤ163A、163B及び163Cは、リング部分161、162からほぼ等距離で径方向に外側に突出するので、カメラ180をツールチャネル105の中心に配置することができる。したがって、この設計の利点は、ツールチャネル105の内径において中心軸Axを中心(同心)にカメラ180を保つことができることである。この実施形態では、カメラ180の周りに、ツールチャネル105のセクション105A、105B及び105Cを通して、流体の十分な流量範囲が提供される。比較的細いワイヤ構造を用いる場合、第2の実施形態(2又ワイヤか3又ワイヤのいずれかのねじれ防止特徴)によって提供される流体の流量範囲は、以下の表1に要約されるように、他の実施形態よりも比較的大きくなり得る。
【0049】
<第3の実施形態>
図6A及び図6Bは、2又板金構造として実装されたねじれ防止特徴の第3の実施形態を示す。図6Aに示されるように、位置決め機構150は、1つ以上の係合タブ173A、173Bを有する半円筒状ハウジング173を形成するような形状をもつ板金構造から成るハウジング部分を含む。半円筒状ハウジング173は、板金の矩形片を巻いて第1のリング状エッジ171及び第2のリング状エッジ172を形成し、板金の矩形片の端を外側に曲げて第1の係合タブ173及び第2の係合タブ173Bを形成することによって、作製することができる。板金の2又構造は、図4Aのワイヤ構造と同様である。ただし、ワイヤ形態の代わりに、金属材料1枚の板から2又ねじれ防止特徴の設計を作製することができる。2又板金を備えるねじれ防止特徴は、ワイヤベースのねじれ防止特徴に比べて流体流量が減少する場合があるが、ハウジング部分により、ナビゲーション中のカメラ180に対してより高い安定性を提供することができる。図6Bは、ツールチャネル105内のその遠位端においてツールチャネル105に配置されたねじれ防止特徴の正面図(遠位端から見た)を示す。この実施形態では、第1の係合タブ173Aは、インナーシース130又はツールチャネル105の表面に形成された溝131Aを通して挿入(誘導)され、第2の係合タブ173Bは、溝131Bを通して挿入(誘導)される。カメラ180は、第1のリング状エッジ171及び/又は第2のリング状エッジ172の内側に保持されたカメラ体181によって、半円筒状ハウジング173に配置(固定)される。このように、位置機構150がツールチャネル105に挿入され、ねじれ防止特徴が成形特徴と係合すると、カメラ180は器具中心軸Axからわずかにオフセットされるが、ねじれ防止特徴により、ツールチャネル105のセクション105A、105B及び105Cを通して十分な流体流量範囲が提供される。図6A図6Bのねじれ防止特徴は、図4A図4Bのねじれ防止特徴と同様である。ここで、ねじれ防止特徴用の金属シートは、適切な寸法155をもつ従来のハイポチューブからレーザカットすることができ、次に、係合タブ173A及び173B(キーイングタブ)を形成するように機械的に曲げられる。代替の実装では、半円筒状ハウジング173は、強化ポリマー材料から成形することもできるし、積層造形(3D印刷)によって作製することもできる。
【0050】
<第4の実施形態>
図7A及び図7Bは、変形管構造によって実装されたねじれ防止特徴の第5の実施形態を示す。前の実施形態の中でも、図6Aの2又板金構造は、極薄の金属シート(又は他の代替材料)から成る2つの係合部分(係合タブ)を含む。このような係合タブは、半円筒状ハウジング173から軸方向に外側に突出し、遠位先端120において、特定量の圧力でツールチャネル105の内側の成形特徴と係合する。カテーテル体の過度の使用中、係合タブが弱くなるおそれがあり、かつ/又は、タブの薄い縁がカテーテル壁の内表面を切り裂く傾向がある場合がある。したがって、ねじれ防止特徴の代替設計は、図7Aに示される変形管構造を含む。変形円筒構造は、第1の円形部C1と内向きのくぼみ184A、184Bから成るねじれ防止特徴とによって形成されるハウジング部分と、外側に湾曲しているか又は凸状のタブ183A、183Bとを含む。ハウジング部分C1は、遠位端表面185と近位端表面186の間に所定の長さを有する。近位端及び遠位端の表面断面形状は、管状の長円形の形状を有し、部分的に折り曲げられた側面が内側に曲げられて、凹状のリブ又はくぼみ184A、184Bを形成している。この実施形態では、ハウジング部分は、互いに垂直な長い直径156及び短い直径155を有する不定形管183を含む。不定形管183は、外向きの湾曲部分又は凸状タブ183A、183Bと、内向きのくぼみ184A、184Bとを有する。外向きの湾曲部分と内向きのくぼみは、長い直径156に関して実質的に対称であるとともに、短い直径156に関して非対称である。そのねじれ防止特徴を備えた位置決め機構がカテーテル体の遠位端に配置されると、外向きの湾曲部分と内向きのくぼみは、カテーテル体の長手方向軸に関しても非対称になる。短い直径155は、ツールチャネル105の内径(ID)よりも小さく、長い直径156は、ツールチャネルの内径にほぼ等しいか、又はツールチャネルの内径よりも大きい。ここで、凸状タブ183A、183Bは、ねじれ防止特徴のキーイングタブとして機能する外向きの湾曲部分を含み、これらは、位置決め機構がツールチャネル105にスライド可能に挿入されたときに、ツールチャネル105の内径内に圧入される。
【0051】
一実施形態では、この変形管構造は、図6Aのものと同様にある長さの板金材料から形成することができるが、タブは、径方向の鋭い縁がツールチャネルの内面に接触しないように、互いに向き合うように折り返されてよい。或いは、管構造183は、短い長さの円筒状金属管(例えばニチノールハイポチューブ)を所定の長さにレーザカットし、内向きのくぼみ184A、184Bを形成するように円筒管の両側を押し付けることによって、形成されてよい。更なる代替として、他の実施形態と同様に、ねじれ防止特徴の全体を押出成形又は3D印刷することができる。当業者には当然のことながら、この実施形態のねじれ防止特徴は、ねじれ防止機能を損なうことなく、内向きのくぼみを1つだけ有することもできるし、2つ以上の内向きのくぼみを有することもできる。
【0052】
図7Bは、ねじれ防止特徴が遠位先端120においてツールチャネル105内に配置されている位置決め機構150の正面図を示す。この実施形態によれば、遠位先端120は、溝131A、131B(キー溝)の形態の成形特徴を備えたインナーシース130を含み、溝131A、131Bは、それぞれ、変形円筒管183の外向きの湾曲又は丸形のタブ183A、183B(キーイングタブ)に合うように構成される。言い換えれば、ツールチャネル105は、位置決め機構150の回転を防止する2つの隆起部分133A、133Bを含む。カメラ180は、折り曲げられた管の第1の円形部の内側にカメラ体181を配置することにより、管183のハウジング部分C1内に固定される。第2の円形部C2は、ハウジング部分とツールチャネル105の内表面との間に空間(流量範囲105A、105B、105C)を作り出す内向きのくぼみ184A、184Bを含む。この実施形態では、図3B図4B及び図6Bの実施形態と同様に、カメラ180は中心軸Axからオフセットして装着され、また、カメラは、カテーテル体に対して所望の向き(例えばUP方向)に装着することができる。
【0053】
<第5の実施形態>
図8A図8B及び図8Cは、2又の線形エッジを有するレーザカットされた管によって実装されたねじれ防止特徴の第6の実施形態を示す。図8Aは、レーザカットされたH字型パターン803を有するハイポチューブ800を示す。H字型パターン803は、好ましくは、管の円周方向の2つの平行な円形カットと、2つの平行な円形カットを繋ぐための管の長さ方向の単一の線形カットとによって作られた、レーザカットパターンである。これらの円周方向の2つのカットと長さ方向の1つのカットにより、“H”の2つの長辺が管の曲面を包み込み、“H”の短い水平部分が管軸の長さ方向に平行に走るように、円周方向に描かれたH字型パターンが形成される。図8Bは、1組の線形タブ803A、803Bを作り出すように、管の径方向に外向きに持ち上げられるか又は曲げられたH字型のカットの両側にある、管の2つの部分を示す。この1組の線形タブ803A、803Bは、管の外表面から径方向に突出し、管軸に平行に直線的に延びる。図8Cは遠位先端120の正面図を示し、ここでは、位置決め機構150がツールチャネル105内に配置されており、ねじれ防止特徴は、カメラの回転を防止するように、カメラ180をカテーテル体に係止している。位置決め機構150も遠位先端120の内表面に接触するので、管801とタブ803A~803Bにより、カテーテル先端が強化され、カテーテルの曲げ時のねじれが防止される。ツールチャネル105に対するH字型レーザカット管の適切な係合を容易にするために、遠位先端120は、それぞれ1組の係合タブ803A、803B(キーイングタブ)と係合するように構成された第1の溝131A及び第2の溝131B(キー溝)のような成形特徴を有する。この実施形態によれば、カメラ180はハイポチューブのその遠位端に収容され、タブ803A、803Bはハイポチューブをツールチャネル105に固定し、ハイポチューブの残りの部分は、操作用電子機器、電線及び照明ファイバを収容する。管の壁上にレーザカットされた“H”字パターンを有するハイポチューブにより、結果としてH字パターンの2つの平行なタブが提供され、該タブは、径方向に外向きに曲げられて、カメラ180の回転に抵抗するためにツールチャネル105の成形特徴と係合する2又或いは線形のタブ803A、803Bが形成される。この設計の利点は、カメラチップに近いハイポチューブ内に電子機器及び/又は光ファイバ等の特定のコンポーネントを収容でき、カメラシャフトを通して追加のコンポーネントが導入されないので、流体流量範囲を最大化できることである。追加の利点は、周知の生体適合性コンポーネント(すなわちハイポチューブ)の使用であり、これにより、カメラ回転とカテーテル先端のねじれの問題に対して経済的に実行可能な解決策がもたらされる可能性がある。ただし、当業者には当然のことながら、他の実施形態と同様に、この実施形態のねじれ防止特徴は、他の材料から製造されてもよいし、かつ/又は、既知のポリマーに基づく成形や3D印刷等の他のプロセスによって製造されてもよい。
【0054】
<第6の実施形態>
図9A及び図9Bは、楕円形又は長円形の断面をもつ管(楕円管)によって実装されたねじれ防止特徴の第6の実施形態を示す。図9Aに示されるように、楕円管901は、2つの湾曲部分903A、903B(管901の楕円形断面の長軸D1に沿う両端に対応する)を有する。カメラ体181は、カメラ180が楕円管901の楕円形断面の第1の(長)軸D1と第2の(短)軸D2の交点を中心とするように、管901に取り付けられる。本明細書で用いられる場合、楕円管は、概して楕円形又は長円形の断面をもつ円筒である。ただし、製造及び組立ての目的では、楕円管は、概して長円形又は横長(側面が平らな長円形を含む)の断面を有してよく、断面の第1の軸D1に沿う第1の寸法156は、断面の第2の軸D2に沿う第2の寸法155よりも大きい。ツールチャネル105内に楕円管901を収容し、カメラ180の回転を防止するために、遠位先端120の最端部のツールチャネル105内には、対応するわずかに楕円形又は長円形の管のインナーシース130が一体化され、或いは、湾曲スロットを有する成形構造、又はくぼみ、又は溝131A、131B(キー溝)が一体化される。湾曲スロット、くぼみ又は溝131A、131Bには、それぞれ湾曲部分903A、903B(長軸D1に沿った楕円管901の両端に対応する)が配置されて、それぞれ、カメラ180がツールチャネル105内で回転するのを防止する。楕円管901を用いることにより、遠位先端120が強化され、また、カメラ180をツールチャネル105の中心に保持しながら、カメラ回転が低減される。管901の大まかな長円形又は楕円形の形状は、カメラ体181のハウジングとして機能し、カメラ180及び/又はカメラ体を保持しているハウジングを囲むツールチャネル105の部分105A、105B、105C、105Dを通して、流体の十分な流量範囲を提供することができる。この実施形態では、楕円形円筒901(又は、概して横長の断面を有する管)は、ハイポチューブの直径方向に両側の2つの側面を圧縮して、両側の湾曲部分903A、903Bを形成することによって、作製することができる。他の実施形態では、楕円形円筒901は、周知の生体適合性ポリマー又は強化ポリマー(例えばファイバによって強化されたポリマー)の押出しによって成形することができる(又は3D印刷することができる)。
【0055】
図10A図10B及び図10Cは、長円形ハウジング構造によって実装されたねじれ防止特徴の第6の実施形態の追加の詳細を示す。この実施形態によれば、長円形管がカメラの外表面(シャシ又は本体181)に取り付けられるのではなく、カメラ180と、イメージング光学素子1010と、一部の電子部品は、カメラ体181上又はカメラ体181の周囲で、長円形管ハウジング1011に収容される。ハウジング1011の長円形状は、カメラ体を収容し、更に、図9A図9Bの実施形態と同様のねじれ防止特徴を提供する。長円形管ハウジングは、光ファイバ及び/又は発光ダイオード(LED)のいずれかによって実装される照明光学系のためのスペースを提供する。図10Cは、照明に光ファイバを使用する場合の実際の実施形態の写真を示し、この場合、光ファイバは、カメラ180の周りの1つ以上のエリア1015A、1015B、1015C、1015Dに配置される。この実施形態によれば、チップ・オン・ティップ(COT)構造の周りのカメラ180の隣に、多数の光ファイバ1015を含めることができる。COTカメラは、カテーテル100のツールチャネル105内の遠位先端120に配置されたCMOSチップを含んでよい。ファイバベースの照明の場合、実際の照明源(例えばLEDやレーザ)は、カテーテル体の外側の制御ボックスに収容することができ、光ファイバは、ハウジングシャフトを通して配線することができる。
【0056】
図10Aは、カメラ180に電子機器ベースの照明を使用する場合の実施形態を示す。図10Aにおいて、第1及び第2のLED1013A、1013B(又は一連のLED)は、カメラ体181の周りで正反対に、カメラ180の各側に取り付けることができ、ハウジング1011内に収容される。LEDとカメラ180を接続するための電子配線は、長円形管ハウジング1011の内部に密封することができる。互いに正反対に設けられた2つの光源を用いる場合、ユーザは、ライブビュー画像を用いて、例えばライブビュー画像のより明るいエリアを認識し、2つの光源の位置をカメラの所定の向きと相関させることによって、カメラの向きを特定することができる。例えば、LED1013A、1013Bは、異なるレベルの明るさを有することができ、重力(引力)の方向に位置合せすることができるので、ユーザは、カメラが上方向に適切に位置合せされているかどうかを(ライブビュー画像から)容易に認識することができる。このように、ねじれ防止特徴とカメラ180の組立てをより少ない部品で提供することが可能であり、これは、ツールチャネル105を通る流体の流量範囲が増加することとともに、良好な信頼性及び性能をもたらすであろう。
【0057】
長円形管ハウジング1011を用いることの利点は、このハウジングにより、単純なねじれ防止特徴が得られるだけでなく、ツールチャネル105の遠位端でカメラ180の周りに光ファイバ及び/又は1つ以上の小型LEDのいずれかを配置できることである。カメラの回転を防止するために、ツールチャネル105は、ハウジング1011と同様に、わずかに長円形又は横長の断面を有することができる。
【0058】
図10Bは、ねじれ防止特徴の実施形態の変形を示し、ここでは、長円形ハウジング1011により、照明LED1013用の空間と補助チャネル1014が提供される。この実施形態によれば、長円形管ハウジング1011の長い直径は、ツールチャネル105の直径に合うように設計することができ、一方、長円形管ハウジングの短い直径は、ツールチャネルの直径よりも小さく、灌注及び/又は吸引用の流体を流すためのエリア105A、105Bをツールチャネル内に提供する。補助チャネル1014は、他の流体(例えば造影剤)及び/又は補助ツールを通すために用いることができる。したがって、この構成により、照明、灌注及び吸引、流体流量、並びにねじれ防止の特徴を同時に提供することができる。
【0059】
また、互いに正反対に配置された片側の照明及び補助チャネルにより、ユーザがライブビュー画像を観察することによってカメラ向きを特定できる実施形態が可能になるであろう。より具体的には、カメラの片側のみに照明を当てると、ユーザは、ライブビュー画像を観察し、ライブビュー画像のうちより多くの照明が当てられたエリアを確認することによって、カメラの向きを特定することができる。更に、補助流体チャネル104の位置は、ライブビュー画像(画像の最も明るいエリアの反対側)から特定することができ、灌注、吸引又はツール送達にも直感的に使用することができる。
【0060】
<第6の実施形態の変形>
図11A図11B図11C図12A図12B図13A及び図13Bは、ねじれ防止特徴の第6の実施形態の変形を示し、ねじれ防止特徴は、楕円管901と、カテーテル100の遠位端においてツールチャネル105内に組み込まれた1つ以上の隆起の形をとる係止特徴とによって、実装される。図11Aは、カメラ180の回転及び/又はカテーテル先端のねじれを防止するように構成された単一の組込み隆起1131を備えた遠位先端120を示す。図11Aにおいて、隆起1131は、ツールチャネル105の円形表面の約5~20度のアーク(ARC)の直径を狭めるように、ツールチャネル105の内表面から突出している盛り上がった表面である。隆起1131は、図11Bに示されるように、遠位端から近位端に向かう方向に先細になる上向きの弓形表面の形状をもつ。カメラ180の回転を回避するために、隆起1131は、管901の第1の湾曲部分(部分903A)を受けるように構成された、わずかに湾曲した表面(凹部)を含む。また、管901の第2の湾曲部分(部分903B)は、特定量の圧力でツールチャネル105の表面に接触する。これにより、遠位先端120が強化され、カテーテルの操縦中にそのねじれが防止される。図11Bは、カテーテル100の長さ方向に取った遠位先端120の断面図を示す。図11Bに示されるように、先細の隆起1131は、カメラ180が遠位先端120の遠位端から抜けてしまうのを止めるようにも機能する。具体的には、カメラ180が管901に装着され、ツールチャネル105に挿入されると、管901は、隆起1131の盛り上がった表面とツールチャネル105の表面の正反対の部分との間に係止される。管901の楕円形又は長円形の断面と、ツールチャネルの隆起1131の非対称な配置により、カメラ180をカテーテル中心軸Axからわずかにオフセットして係止することができる。とはいえ、ツールチャネル105には、依然として、管901を囲むチャネル105のエリア105A、105Bを通して流体を流すための十分な間隙がある。
【0061】
図11Cは、ツールチャネル105が遠位先端120の遠位端に複数の隆起を備え得る実施形態を示す。図11Cにおいて、遠位先端120の透視レンダリングは、少なくとも第1の隆起1131A及び第2の隆起1131Bによって楕円形管901を係止できることを示す。この場合、図11Bに示される隆起1131と同様に、隆起1131A、1131Bは、実質的に円筒状(又は半円筒、又は円錐状)のリブを含み、リブは、その直径が中心軸に向かって突出し、遠位端から近位端への長さ方向に先細になっている。管901は楕円形又は長円形の断面を有するので、ツールチャネル105を通る流体の十分な流量範囲を提供するために、位置決め機構150は、ツールチャネル105の断面寸法(直径)よりも小さい第1の断面寸法155(第1の直径)を有し、また、遠位先端120に対する連結位置に管901を固定するために、管901は、ツールチャネル105の断面寸法(直径)と同じ寸法になる第2の断面寸法156(第2の直径)を有する。第2の断面寸法156の両端における管の表面は、2つ以上の隆起1131の間において、ツールチャネルの表面に実質的に接触した状態で配置される。一部の実施形態では、管901の外表面には、隆起1131A又は1131Bのうちの少なくとも1つと位置合せ及び係合されるように構成された少なくとも1つの外向きの湾曲した凹部が設けられてよく、その結果、カメラ180は、カテーテル100の遠位先端120に対して回転しない。
【0062】
図12A図13Bは、第6の実施形態の変形に係るねじれ防止特徴の特定の利点を示し、ここでは、1つ以上の隆起がそれぞれ最大実態状態及び最小実体状態にある。図12Aは、カテーテル100の遠位端から見た正面図であり、図12Bは、カテーテル体のセクションAAに沿って長さ方向に取った断面図である。図12A及び図12Bでは、カテーテル100の遠位先端120には、中心軸Axの周りに非対称に分布されたツールチャネル105の表面の内側に配置された複数の隆起1131A、1131B、1131C及び1131Dが設けられている。この場合、ねじれ防止特徴は、カテーテル体に対して決められた位置及び向きに管901を係止するように構成された第1の隆起1131A、第2の隆起1131B、第3の隆起1131C及び第4の隆起1131Dを含む。各隆起1131は、その最大実態状態にあり、遠位端から近位端に向かう方向に角度β1を成して先細になっている。隆起1131A~1131Dの最大実態状態では、管901は、複数の隆起のうちの1つ以上に対して係止されるように、近位端から挿入される。楕円管901は、挿入中にライブビュー画像を確認しているユーザによって誘導されて、2つ以上の隆起の間で係止されてよい。他の実施形態では、楕円管901には、その外表面上に1つ以上の先細の凹部904が設けられてよく、このような1つ以上の先細の凹部904は、イメージングデバイス180がある位置及び/又は向きに固定されたままであるように、ユーザが隆起1131のうちの1つに管901を係止する際に、使用することができる。挿入後、カメラ180は、カテーテルの遠位端から距離1220だけ離れて、チャネル105内に留まる。図12A図12Bに示される配置では、隆起1131A~1131Dにより、カメラ180が少なくとも120度のFOV画像を取得できることが保証され、また、カメラ180がカテーテルの遠位端を越えて突出することが防止される。
【0063】
図13Aは、カテーテル100の遠位端から見た正面図であり、図13Bは、カテーテル体のセクションBBに沿って長さ方向に取った断面図である。図13A及び図13Bでは、カテーテル100の遠位先端120には、中心軸Axの周りに非対称にツールチャネル105の内側に配置された複数の隆起1131A、1131B、1131C及び1131Dが設けられている。この場合、係止特徴は、第1の隆起1131A、第2の隆起1131B、第3の隆起1131C及び第4の隆起1131Dを含む。各隆起は、その最小実態状態にあり、遠位端から近位端に向かう方向に、β1よりも小さい角度β2を成して先細になっている。隆起1131A~1131Dの最小実体状態では、カメラ180がカテーテルの遠位端から距離1320だけ離れてチャネル105内に留まるように、管901は、複数の隆起のうちの1つ以上に係止されるように、近位端から挿入される。この場合も、隆起1131A~1131Dは、カメラ180がカテーテルの遠位端を越えて突出することを防止するが、特定数の手順の後、カメラ180が隆起1131a~1131Dから外れる場合があり、カテーテルの遠位端を越えて突出するおそれがある。したがって、カメラを回転防止位置に係止し、適切な視野が得られるように、最大と最小の実体状態のバランスをとって隆起1131A~1131Dを設計するために、慎重な検討が必要である。
【0064】
本明細書で用いられる場合、ねじれ防止特徴の最大及び最小の実体状態は、特徴の設計時に使用される材料の硬度又はサイズ、その他の関連パラメータを考慮したものである。特徴がその最大及び最小であるとき、長円形カメラ体に対する特徴の係合は確実なものである必要がある。カメラとカテーテル特徴の間の設計された干渉により、カメラは、最小実体状態ではカテーテル先端の遠位端に最も近くなり、最大実態状態では更に遠くなるであろう。しかしながら、最大実態状態では、カメラはその視野が遮られるほど遠くまで戻ることはできない。また、最大実態状態では、カテーテルと併用されることを意図された全ての器具は、ツールチャネル105の表面の内側に組み込まれた係止特徴を通過しなければならない。
【0065】
<表1:ねじれ防止特徴の比較>
ねじれ防止特徴の重要な設計検討事項としては、蛇行進路を通して器具をナビゲートしている間のカメラの回転安定性、流体の流量範囲の最適化、MCRの変形又は損傷を引き起こすおそれのある鋭いエッジ又は穿刺コンポーネントの回避、コストの最小化、全体サイズの縮小、中心にあるか又はツールチャネル軸から許容可能なオフセット距離内にある実質的に決められた位置/向きにカメラを維持すること等が挙げられる。以下の表1は、上記の考慮事項の1つ以上を満たす際に、各設計/実施形態を他の設計/実施形態と比較する方法の概要を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
MCRは、カテーテル体の全体的な外形を増大させることなくねじれ防止特徴を介してカテーテル先端と連結する、着脱可能なカメラを有する。ねじれ防止特徴により、カメラと遠位先端の向きがより一定に保たれ、また、手順全体を通してカメラ視野がナビゲーション入力により良好に対応するので(すなわち右が右、上が上、等)、より直感的なナビゲーションが可能となる。また、該特徴により、カメラを取り外すことなく吸引及び灌注を実行することができる。また、画像ガイダンス中、カメラとカテーテル内壁の間の隙間を効率的に用いて、カメラビューを遮っている身体物質(例えば粘液)を除去するための流体(例えば水やガス)も供給/除去されるので、この特徴は重要である。
【0068】
本明細書に開示されるねじれ防止特徴の様々な実施形態は、軟性ビデオスコープを含む医用連続体ロボット(MCR)カテーテルシステムに適用可能であるとして記載されている。しかしながら、本開示はこれに限定されない。内視鏡画像を実質的に変化させずに維持する必要のある内視鏡システムは、本明細書に開示されるねじれ防止特徴を実装することができ、その恩恵を受けることができる。
【0069】
本明細書に開示されるねじれ防止特徴の有意な効果を最適化するための一部の検討事項としては、以下が挙げられる:カテーテルの遠位先端が、それに成形され得る特徴を包含し、遠位先端と軟性ビデオスコープの間の連結として機能する;成形特徴がねじれ防止特徴と係合して、遠位先端をビデオスコープと連結する;先端とビデオスコープの間のより簡単なレジストレーション(結合)を可能にするように、成形特徴をテーパ加工/抜き加工することができる;成形特徴は、ツールチャネルのルーメンサイズ/断面積を最小限に抑えるように設計される;ねじれ防止特徴は、ビデオスコープの遠位端に恒久的に取り付けることができる;ビデオスコープ上のねじれ防止特徴は、画像の向きを実質的に変えずに維持するのに十分な回転安定性を提供するのに十分な安定性をもつ;ねじれ防止特徴の断面積及び総体積は、ビデオスコープイメージングデバイスを取り外すことなく流体流量を最適化するように、最小化される。
【0070】
<ソフトウェア関連の開示>
本明細書に開示される例示の実施形態の少なくとも特定の態様は、記憶媒体(「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ばれる場合もある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム又は実行可能コード)を読み出して実行して、前述した1つ以上のブロック図又はフローチャートの機能を実行するシステム又は装置のコンピュータによって実現することができる。コンピュータは、当業者に知られている各種コンポーネントを含んでよい。例えば、コンピュータは、例えば、コンピュータ実行可能命令を記憶媒体から読み出して実行して、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行することにより、かつ/又は、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路を制御することにより、前述した実施形態のうちの1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)や特定用途向け集積回路(ASIC))によって実装される信号プロセッサを含んでよい。コンピュータは、1つ以上のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、マイクロ処理ユニット(MPU))を含んでよく、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばクラウドベースのネットワークから、又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムのストレージ、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はBlu-ray Disc(BD)(商標)等)、フラッシュメモリデバイス、メモリカード等のうち1つ以上を含んでよい。コンピュータは、入出力デバイスに対して通信信号(データ)を送受信するために入出力(I/O)インタフェースを含んでよく、入出力デバイスとしては、キーボード、ディスプレイ、マウス、タッチスクリーン、タッチレスインタフェース(例えばジェスチャー認識デバイス)、印刷デバイス、ライトペン、光学式ストレージデバイス、スキャナ、マイクロフォン、カメラ、ドライブ、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)が挙げられる。
【0071】
<実施形態の変形及び/又は組合せ>
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び回路は、詳細には説明されない。本明細書において別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。その点に関して、本開示の広さ及び範囲は、明細書又は図面によって限定されるのではなく、むしろ、採用される特許請求の範囲の用語の平易な意味によってのみ限定される。
【0072】
図面に示された例示の実施形態を説明する際、分かりやすくするために、具体的な専門用語が使用される。しかしながら、本特許明細書の開示はそのように選択された具体的な専門用語に限定されることを意図するものではなく、当然ながら、具体的な要素の各々は、同様に動作する技術的な均等物を全て含む。
【0073】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。全ての実施形態は、特定の用途に適用可能であるようにねじれ防止特徴を改善及び/又は単純化するために、変更及び/又は組合せすることができる。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル体であって、前記カテーテル体の長手方向軸に沿って近位端から遠位端へ延びるツールチャネルを有する、カテーテル体と、
イメージングデバイスと結合されるとともに、前記ツールチャネルを通して前記カテーテル体の前記遠位端からスライド可能に挿入及び/又は引戻しされるように構成された位置決め機構と、
を備える操縦可能カテーテルであって、
前記位置決め機構及び/又は前記カテーテル体は、前記ツールチャネル内での前記イメージングデバイスの回転を防止し、かつ/又は、前記カテーテル体の前記遠位端のねじれを防止するように、前記カテーテル体の前記遠位端において前記カテーテル体と前記イメージングデバイスを連結するように構成されたねじれ防止特徴を有する、
操縦可能カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテル体は、アクチュエータユニットに取付け可能な近位部と、解剖学的管腔内に挿入可能な遠位部とを含み、前記カテーテル体は、前記カテーテル体の壁に沿って配置される複数の制御ワイヤを有し、前記複数の制御ワイヤは、前記カテーテル体の前記遠位部の少なくとも一部を操縦するように、前記アクチュエータユニットからの作動力を前記カテーテル体に伝達するように構成される、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル体の前記遠位部が前記作動力によって操縦されるときに、前記位置決め機構に結合された前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きが、前記カテーテル体の前記遠位端に対して実質的に変化しないままであるように、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、前記ねじれ防止特徴と連結されるように構成された1つ以上のキー溝を含む、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項4】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能なハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記ツールチャネルの前記1つ以上のキー溝のうちの少なくとも1つに収まるように構成された1つ以上のキーイングタブを含む、
請求項3に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテル体の前記遠位部が前記作動力によって操縦されるとき、前記カテーテル体の前記遠位端は、前記ツールチャネルに対する前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きを変えることなく、前記管腔内で動かされる、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、インナーライニング又はインナーシースから成る表面を含み、
前記管チャネルの前記1つ以上のキー溝は、前記ツールチャネルの前記表面上に前記長さ方向に形成された1つ以上の鋳抜き溝を含み、
前記1つ以上の鋳抜き溝は、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブと前記ツールチャネルの前記表面との間の係合を容易にするために、前記ツールチャネルの前記遠位端から前記近位端に向かって、前記長さ方向に先細になっており、
前記1つ以上の鋳抜き溝のうちの少なくとも1つと前記1つ以上のキーイングタブのうちの少なくとも1つとの間の前記係合により、前記カテーテル体の前記遠位端と前記イメージングデバイスとの間のレジストレーションが可能となる、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項7】
前記イメージングデバイスが前記ツールチャネルの前記長手方向軸と同心円状に配置されるように、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された前記1つ以上のキー溝のうちの少なくとも1つに収まるように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項8】
前記イメージングデバイスが前記ツールチャネルの前記長手方向軸に対して径方向にオフセットして配置されるように、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された前記1つ以上のキー溝のうちの少なくとも1つに収まるように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項9】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、内径を画定する円形断面を有し、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、第1の直径及び第2の直径を有する楕円柱を含み、前記第2の直径は、前記ツールチャネルの前記内径よりも小さく、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記楕円柱の前記第1の直径に対応する2つの湾曲部分を含み、前記2つの湾曲部分は、前記ツールチャネルの前記内径内に圧入される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項10】
前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、内径を有する円形断面を有し、
前記位置決め機構の前記ハウジング部分は、長い直径及び短い直径を有する長円形管を含み、前記長円形管の前記短い直径は、前記ツールチャネルの前記内径よりも小さく、
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記長円形管の前記長い直径に対応する2つの外向きの湾曲部分を含み、前記2つの外向きの湾曲部分は、前記ツールチャネルの前記内径内に圧入され、
前記長円形管は、前記長手方向軸と実質的に同心円状に前記イメージングデバイスを支持するとともに、前記イメージングデバイスを囲む照明光学系と、照明電子機器と、補助チャネルとのうちの1つ以上を支持するように構成される、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項11】
前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブは、前記ツールチャネルの前記表面上に形成された成形特徴であり、
前記成形特徴は、前記ねじれ防止特徴の前記1つ以上のキーイングタブと係合することにより、前記ツールチャネルの内径を縮小する、
請求項4に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項12】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能なハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの前記内径内に圧入されるように構成された湾曲表面を有する1つ以上のキーイングタブを含む、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項13】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能なハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの前記内径に圧入されるように構成された直線状エッジを有する1つ以上のキーイングタブを含む、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項14】
前記位置決め機構は、前記イメージングデバイスに取付け可能な楕円管から成るハウジング部分を含み、前記ねじれ防止特徴は、前記ツールチャネルの前記表面の周りに組み込まれるとともに前記カテーテル体の前記遠位端から前記近位端に向かう長さ方向に延びる1つ以上の隆起を含み、
前記1つ以上の隆起は、前記カテーテル体のうち、前記ツールチャネルの前記表面から径方向に内向きに突出するとともに、前記カテーテル体の前記遠位端から前記近位端に向かう前記長さ方向に先細になっている成形部分であり、
前記楕円管は、長い直径に沿う2つの湾曲部分と、前記長い直径に垂直な短い直径に沿う2つの実質的に平坦な部分とを含み、前記2つの湾曲部分のうちの第1の湾曲部分は、前記1つ以上の隆起に対して圧入されるように構成され、前記2つの湾曲部分のうちの第2の湾曲部分は、前記カテーテル体の前記遠位先端において前記ツールチャネルの内表面に対して圧入されるように構成される、
請求項1に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項15】
前記イメージングデバイスに取り付けられた前記ハウジング部分が前記ツールチャネルに挿入されたとき、前記1つ以上の隆起は、前記イメージングデバイスが前記カテーテル体の前記遠位端を越えて突出することを防止するように構成される、
請求項14に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項16】
前記カテーテル体の前記遠位部が前記作動力によって操縦されるときに、前記位置決め機構に結合された前記イメージングデバイスの位置及び/又は向きが、前記カテーテル体の前記遠位端に対して実質的に変化しないままであるように、前記カテーテル体の前記遠位端において、前記ツールチャネルは、前記ねじれ防止特徴と連結されるように構成された1つ以上の隆起を含む、
請求項2に記載の操縦可能カテーテル。
【請求項17】
前記位置決め機構は楕円管を含み、前記楕円管は、その内側に前記イメージングデバイスを所定の向きで収容するように構成され、前記楕円管は、前記ツールチャネルの前記1つ以上の隆起のうちの少なくとも1つに収まるように構成された1つ以上の凹部を含む、
請求項16に記載の操縦可能カテーテル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
操縦可能器具100は、管状スリーブ又は管状ガイド又は管状シースとも呼ばれる細長い管状シャフト(細長い管状体)を有する。シャフトの長さに沿って、管状シャフトに沿って(典型的には、中に)延びる少なくとも1つの作業チャネル105と、管状シャフトの壁に沿って(典型的には、壁内に)延びる複数の制御ワイヤ110とが存在する。作業チャネル105は、単純化するために「ツールチャネル」と呼ぶことにする。ツールチャネル105は、アクセスポート250から操縦可能部103の遠位端まで送達される各種ツール(エンドエフェクタ)のアクセスを可能にする。また、ツールチャネル105は、液体又は気体の物質(例えば空気や水)を標的エリアに送り又は回収するために、或いは、システムを動作させるのに必要な光ファイバ及び/又は電線を通すために、用いることができる。更に、ツールチャネル105を用いて、医用イメージングデバイス180(内視鏡カメラやビデオスコープ、ファイバベースのイメージングプローブ等)を着脱可能に保持することができる。内視鏡カメラの例としては、操縦可能部103の遠位先端120に配置されるように構成されたミニチュアCMOSセンサ及び照明器を備えたカメラ等の、チップ・オン・ティップ(COT)カメラが挙げられるが、これに限定されない。更に、遠位先端120に、かつ/又は操縦可能器具100に沿って、1つ以上の電磁(EM)センサ190を設けることができる。動作中、操縦可能器具100が解剖学的管腔80を通して操縦されるとき、遠位先端120は、キネマティックコントローラによって1つ以上の方向に能動的に曲げられて、曲がりくねった生体構造を前進する。操縦可能部103の残りのセグメントは、個別に制御することもできるし、フォローザリーダー(FFL)アプローチで操作することもできる。ナビゲーション中、イメージングデバイス180は、ツールチャネル105を通してカテーテル体に対して挿入及び/又は引戻しされる。カテーテルの遠位部が能動的に曲げられ、イメージングデバイス180がツールチャネル105の内側に配置されると、カテーテルの先端は、カメラの周りで自由にねじれたり回転したりすることができる。操縦機構はカテーテルを曲げるだけであるが、イメージングデバイスの周りのカテーテルのねじれ又は回転は、曲がりくねった生体構造を通るナビゲーションと、生体構造とカテーテルの外径との間の摩擦の副産物である。イメージングデバイス180が操縦可能器具の遠位先端に対してその適切な位置及び向きを維持することを確実にするために、位置決め機構150は、カテーテルの先端でイメージングデバイス180をツールチャネル105に結合するように構成される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
<第4の実施形態>
図7A及び図7Bは、変形管構造によって実装されたねじれ防止特徴の第の実施形態を示す。前の実施形態の中でも、図6Aの2又板金構造は、極薄の金属シート(又は他の代替材料)から成る2つの係合部分(係合タブ)を含む。このような係合タブは、半円筒状ハウジング173から軸方向に外側に突出し、遠位先端120において、特定量の圧力でツールチャネル105の内側の成形特徴と係合する。カテーテル体の過度の使用中、係合タブが弱くなるおそれがあり、かつ/又は、タブの薄い縁がカテーテル壁の内表面を切り裂く傾向がある場合がある。したがって、ねじれ防止特徴の代替設計は、図7Aに示される変形管構造を含む。変形円筒構造は、第1の円形部C1と内向きのくぼみ184A、184Bから成るねじれ防止特徴とによって形成されるハウジング部分と、外側に湾曲しているか又は凸状のタブ183A、183Bとを含む。ハウジング部分C1は、遠位端表面185と近位端表面186の間に所定の長さを有する。近位端及び遠位端の表面断面形状は、管状の長円形の形状を有し、部分的に折り曲げられた側面が内側に曲げられて、凹状のリブ又はくぼみ184A、184Bを形成している。この実施形態では、ハウジング部分は、互いに垂直な長い直径156及び短い直径155を有する不定形管183を含む。不定形管183は、外向きの湾曲部分又は凸状タブ183A、183Bと、内向きのくぼみ184A、184Bとを有する。外向きの湾曲部分と内向きのくぼみは、長い直径156に関して実質的に対称であるとともに、短い直径156に関して非対称である。そのねじれ防止特徴を備えた位置決め機構がカテーテル体の遠位端に配置されると、外向きの湾曲部分と内向きのくぼみは、カテーテル体の長手方向軸に関しても非対称になる。短い直径155は、ツールチャネル105の内径(ID)よりも小さく、長い直径156は、ツールチャネルの内径にほぼ等しいか、又はツールチャネルの内径よりも大きい。ここで、凸状タブ183A、183Bは、ねじれ防止特徴のキーイングタブとして機能する外向きの湾曲部分を含み、これらは、位置決め機構がツールチャネル105にスライド可能に挿入されたときに、ツールチャネル105の内径内に圧入される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
<第5の実施形態>
図8A図8B及び図8Cは、2又の線形エッジを有するレーザカットされた管によって実装されたねじれ防止特徴の第の実施形態を示す。図8Aは、レーザカットされたH字型パターン803を有するハイポチューブ800を示す。H字型パターン803は、好ましくは、管の円周方向の2つの平行な円形カットと、2つの平行な円形カットを繋ぐための管の長さ方向の単一の線形カットとによって作られた、レーザカットパターンである。これらの円周方向の2つのカットと長さ方向の1つのカットにより、"H"の2つの長辺が管の曲面を包み込み、"H"の短い水平部分が管軸の長さ方向に平行に走るように、円周方向に描かれたH字型パターンが形成される。図8Bは、1組の線形タブ803A、803Bを作り出すように、管の径方向に外向きに持ち上げられるか又は曲げられたH字型のカットの両側にある、管の2つの部分を示す。この1組の線形タブ803A、803Bは、管の外表面から径方向に突出し、管軸に平行に直線的に延びる。図8Cは遠位先端120の正面図を示し、ここでは、位置決め機構150がツールチャネル105内に配置されており、ねじれ防止特徴は、カメラの回転を防止するように、カメラ180をカテーテル体に係止している。位置決め機構150も遠位先端120の内表面に接触するので、管801とタブ803A~803Bにより、カテーテル先端が強化され、カテーテルの曲げ時のねじれが防止される。ツールチャネル105に対するH字型レーザカット管の適切な係合を容易にするために、遠位先端120は、それぞれ1組の係合タブ803A、803B(キーイングタブ)と係合するように構成された第1の溝131A及び第2の溝131B(キー溝)のような成形特徴を有する。この実施形態によれば、カメラ180はハイポチューブのその遠位端に収容され、タブ803A、803Bはハイポチューブをツールチャネル105に固定し、ハイポチューブの残りの部分は、操作用電子機器、電線及び照明ファイバを収容する。管の壁上にレーザカットされた"H"字パターンを有するハイポチューブにより、結果としてH字パターンの2つの平行なタブが提供され、該タブは、径方向に外向きに曲げられて、カメラ180の回転に抵抗するためにツールチャネル105の成形特徴と係合する2又或いは線形のタブ803A、803Bが形成される。この設計の利点は、カメラチップに近いハイポチューブ内に電子機器及び/又は光ファイバ等の特定のコンポーネントを収容でき、カメラシャフトを通して追加のコンポーネントが導入されないので、流体流量範囲を最大化できることである。追加の利点は、周知の生体適合性コンポーネント(すなわちハイポチューブ)の使用であり、これにより、カメラ回転とカテーテル先端のねじれの問題に対して経済的に実行可能な解決策がもたらされる可能性がある。ただし、当業者には当然のことながら、他の実施形態と同様に、この実施形態のねじれ防止特徴は、他の材料から製造されてもよいし、かつ/又は、既知のポリマーに基づく成形や3D印刷等の他のプロセスによって製造されてもよい。
【外国語明細書】