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特開2022-31191血液クリアリングを用いる冠動脈内イメージングの装置又はシステムのための自動プルバックトリガ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031191
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】血液クリアリングを用いる冠動脈内イメージングの装置又はシステムのための自動プルバックトリガ方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220210BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220210BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A61B1/00 526
A61B1/045 640
A61B1/045 610
A61B1/12 522
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021126374
(22)【出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】63/062,300
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/343,502
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
2.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】アタナジウ ランプロス
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA22
4C161BB08
4C161CC07
4C161FF40
4C161FF46
4C161MM10
4C161NN01
4C161QQ09
4C161RR01
4C161RR18
4C161RR22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】血液クリアリングを用いた自動プルバックトリガ方法を使用及び/又は制御するための、イメージング(例えばOCT、NIRAF等)の装置、システム、方法及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】自動プルバックの方法又はアルゴリズムは、MMOCTシステムの全速回転中に各フレームを処理し、造影剤注入プロセス中に血管のクリアランス状態(無血液血管)を検出し、自動的にプルバックをトリガする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動プルバックをトリガするためのイメージングデバイスであって、
イメージングプローブと、
1つ以上のプロセッサと、
を備え、前記1つ以上のプロセッサは、
(a)複数のAライン又は画像又は複数の画像をインポートし、
(b)カウンタを初期化し、
(c)前記Aライン又は前記画像又は前記複数の画像を分割し、
(d)分割された前記Aライン又は画像又は複数の画像を、3つ以上の均等な部分に区切り、
(e)血液が存在する場合の前記イメージングプローブの周囲の領域である血液イメージング領域(BIA)を画定し、
(f)分割された前記Aライン又は前記画像又は前記複数の画像の第1のフレーム内の前記BIA内のオブジェクトの数を検出し、
(g)カウントステップを実行し、前記オブジェクトの数が、部分的クリア状態又はクリア状態を定めるオブジェクトの最小受容数であるNよりも小さい場合は、前記カウンタを設定量又は所定量だけ、又は1だけ増加させ、前記オブジェクトの数がN以上である場合は、第2又は後続のフレームを用いてステップ(c)~(g)を繰り返し、
(h)前記カウンタが、所定の値であるX以上であるとき、プルバックをトリガするための信号を終了する、
ように機能する、デバイス。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、
(i)前記フレーム又は画像から前記イメージングプローブ及び血管外ノイズを削除することにより、前記複数のAライン、前記画像又は前記複数の画像を準備するか、或いは、フレーム又は画像の処理又は前処理を実行し、前記カウンタをゼロに設定すること;
(ii)前記フレーム又は画像から前記イメージングプローブ及び/又は血管外ノイズのうちの1つ以上を削除することにより、前記Aライン、画像又は複数の画像にフレーム又は画像の処理又は前処理を実行すること;
(iii)自動二値化を用いて前記Aライン、フレーム、画像又は複数の画像を分割し、前記Aライン、画像又は複数の画像を3つ以上の部分に区切りながら、前記Aライン、フレーム、画像又は複数の画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切ること;
(iv)検出された所定のサイズのオブジェクトを削除し、前記イメージングプローブから特定又は所定の距離を越えているオブジェクトの数をカウントするか、又は、前記BIAと重なっているオブジェクトの数をカウントすること;
(v)少なくとも3つのオブジェクトが前記イメージングプローブ距離を越えて検出されたか、又は前記BIAと重なっていない場合、前記カウンタを1まで増大させるか又は1だけ増大させることによって前記カウントステップを実行し、或いは、少なくとも3つのオブジェクトが前記イメージングプローブ距離を越えて検出されなかったか、又は前記BIAと重なっている場合、前記カウンタを再びゼロに設定し、次のフレーム又は画像に移行して、前記1つ以上のプロセッサが前記ステップ(c)~(g)を繰り返すように機能するようにすること;及び/又は、
(vi)前記カウンタが依然として前記所定の値X未満である場合、次のAラインフレーム又は画像に移行して前記インポートすること及び前記ステップ(c)~(g)を繰り返し、或いは、前記カウンタが前記所定の値X以上である場合、ステップ(h)を介して前記カテーテル又はプローブの前記自動プルバックをトリガすること、
のうちの1つ以上を実行するように更に機能する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
(i)前記所定のサイズの前記オブジェクトは、小さなオブジェクトのうちの少なくとも1つであり、かつ/又は、ノイズ、残留血液及び/又は他のアーチファクトに対応するオブジェクトであること;
(ii)前記イメージングプローブからの前記特定又は所定の距離は、イメージングプローブ距離として定められ、前記1つ以上のプロセッサは、前記オブジェクトを前記イメージングプローブ距離の値と比較して、前記オブジェクトが血液に属するかどうかを決定するように更に機能すること;
(iii)前記イメージングプローブ距離を定義するために、前記1つ以上のプロセッサは、異なる血液状態の画像又はフレームの長さ深さを測定し、前記測定値を平均化するように更に機能すること;及び/又は、
(iv)前記特定又は所定の距離は、血液の存在する画像を用いて定められること、
のうち1つ以上である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
(i)前記1つ以上のプロセッサは、前記イメージングプローブからのオブジェクトの相対位置を計算するように更に機能すること;
(ii)前記1つ以上のプロセッサは、前記イメージングプローブからのオブジェクトの前記相対位置の計算を省略するように更に機能すること;
(iii)前記1つ以上のプロセッサが前記BIAを用いる場合、前記BIAは、前記イメージングプローブの先端から特定の距離を越える領域として示され、又は、前記イメージングプローブの先端を越える円形領域が、前記BIAとして示されること;
(iv)前記BIAは、前記血液が存在している画像を用いて定められるか又は予め定められること;及び/又は、
(v)前記イメージングプローブの先端から特定の高さを越える画素の数が示されること、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
(i)前記複数のAライン、前記画像又は前記複数の画像は、前記イメージングプローブがフルスピードでスピンしているイメージングプローブであるスキャンモードにおいてインポートされること;
(ii)前記カウンタの前記所定の値Xは、1、2、3、4、5、6、3以上のうちの少なくとも1つであり、かつ/又は、手順又はイメージングの間に前記プルバックが要する時間と、前記クリアランス状態が持続する時間とに基づいて、臨床医によって決定される数であること;
(iii)前記1つ以上のプロセッサは、光干渉断層撮影法(OCT)の間に血液イメージングにわたって移動したオブジェクトの数を検出するように更に機能すること;
(iv)前記1つ以上のプロセッサは、処理された前記フレーム、Aライン又は画像のクリアリング状態を決定又は評価するように更に機能すること;
(v)前記イメージングプローブ距離を越えるオブジェクトの数が所定の閾値以上である場合、前記1つ以上のプロセッサは、前記画像又はフレーム内の血管壁又は標的が前記現在の画像又はフレームにおいて可視であると決定すること;及び/又は、
(vi)前記所定の閾値は、2以上、3以上、4以上、5以上、及び/又は、所定の数以上のうちの1つ以上であり、前記所定の数は、前記デバイスのユーザによって設定されるか、又は前記デバイスによって自動的に設定されること、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
(i)前記1つ以上のプロセッサは、血液の存在を除去するために、前記イメージングプローブをフラッシングするように更に機能すること;
(ii)前記1つ以上のプロセッサは、前記フラッシング及び前記自動プルバックが同期されることを保証するように更に機能すること;
(iii)前記1つ以上のプロセッサは、ユーザの労力が削減され、最小化され、かつ/又はより効率的になるように、カテーテル挿入又はイメージングプローブの手順中の前記デバイスの前記ユーザの1つ以上のタスクを削減、統合及び/又は最小化するように更に機能すること;
(iv)前記ユーザの前記タスクは、ライブモード速度の制御、前記ライブモード速度の制御のためのボタンを押すこと、スキャンモード速度の制御、前記スキャンモード速度のためのボタンを押すこと、前記フラッシングを発生させること、前記フラッシングを発生させるためのボタンを押すこと、前記プルバックを発生させること、及び/又は、前記プルバックを発生させるためのボタンを押すことのうちの1つ以上を含むこと;及び/又は、
(v)前記1つ以上のプロセッサは、ユーザインタラクションを伴わずに前記自動プルバックをトリガするように更に機能すること、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
(i)前記Aライン、フレーム又は画像は、Aラインのブロック又はセットによって定められ、デカルト座標に変換されるときに2次元(2D)光干渉断層撮影法(OCT)の画像又はフレームを形成すること;
(ii)画像又はフレームの処理又は前処理中、前記イメージングプローブ、アーチファクト及び/又は血管外組織の領域に対応する画素は、前記1つ以上のプロセッサによってゼロに設定され、前記1つ以上のプロセッサはフィルタリングを適用すること;
(iii)前記フィルタリングは、平均フィルタリング、空間フィルタ、及び/又は、スライドウィンドウ又はカーネル空間フィルタであり、前記スライドウィンドウ又はカーネル空間フィルタは、前記ウィンドウの中央値を、前記ウィンドウに属する前記画素の平均強度値に置換し、画像Iと、N×Nのサイズをもつウィンドウについて、前記ウィンドウの中央画素(i,j)の前記値は、
【数1】
によって置換され、式中、m,nは、前記ウィンドウN×Nに属する画素であること;及び/又は、
(iv)前記フィルタリングは、ガウシアンフィルタリング又はバイラテラルフィルタリングであり、かつ/又は、前記1つ以上のプロセッサは、畳み込みを用いて、マスクの中央画素の強度を、近傍画素の強度の加重平均に置換するように更に機能すること、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
(i)前記1つ以上のプロセッサは、(a)自動二値化を適用し、(b)画像又はフレームのアーチファクトに対応する所定又は設定されたサイズの前記オブジェクトを削除することにより、分割された前記Aライン、画像又は複数の画像を平滑化し、かつ、(c)前記Aライン、画像、複数の画像、又はフレームを前記3つ以上の均等な部分に区切ることにより、画像又はフレームの分割を適用するように更に機能すること;
(ii)前記自動二値化は、Otsuの二値化であること;
(iii)画像Iについての閾値Throtsuは前記Otsu法を用いて計算され、前記画像IのうちThrotsuよりも小さい画素は、動脈壁及び血液が非ゼロオブジェクトによって表された二値画像が生成されるように、ゼロ値に設定されること;
(iv)前記非ゼロオブジェクトが画像又はフレームのアーチファクトに対応しているかどうかを決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、所定の領域よりも小さい前記オブジェクトを検出して、領域の検出に壁領域に対応するオブジェクトのみが用いられることを保証するように更に機能すること;
(v)前記所定の領域は、カテーテル領域全体又は前記プローブ領域であり、或いは、前記画像又はフレーム全体の3%であること;及び/又は、
(vi)前記1つ以上のプロセッサは、大きめのオブジェクトを検出し、前記大きめのオブジェクトよりも小さいオブジェクトを所定の割合だけ削除するように更に機能し、前記所定の割合は、24%、20%、25%、30%、約10%~約50%の範囲の任意の値、10%~50%の範囲の任意の値、約20%~約30%の範囲の任意の値、及び/又は、20%~30%の範囲の任意の値のうちの1つ以上であること、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
(i)前記1つ以上のプロセッサは、並んでいる所定の数のフレーム又は画像について、標的又は動脈壁が可視であるかどうかを決定するように更に機能すること;
(ii)前記並んでいるフレーム又は画像の前記所定の数は、3、4、5及び/又は6のうちの1つ以上であること;
(iii)前記標的又は前記動脈壁が可視である場合、前記1つ以上のプロセッサは前記自動プルバックをトリガすること;
(iv)前記カウンタは、改善された又は最適なクリアリング状態と前記自動プルバックが同期されるのに十分な程度に血液が除去されることを保証するように機能すること;
(v)前記カウンタは、クリアランス状態が検出されるたびに増加されること;及び/又は、
(vi)前記標的又は動脈壁が明らかになっているか又は可視であると決定されるように、かつ、前記血液がフラッシングされてクリアランス状態を示すように、前記1つ以上のプロセッサは、BIAに重なっていないオブジェクトの数が所定の閾値よりも大きいかどうかを検出するように更に機能し、前記所定の閾値は3以上であるか、又は3よりも大きいこと、
のうち1つ以上である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
イメージングプローブを有するイメージングデバイスにおいて自動プルバックをトリガするための方法であって、
(a)複数のAライン又は画像又は複数の画像をインポートするステップと、
(b)カウンタを初期化するステップと、
(c)前記Aライン又は前記画像又は前記複数の画像を分割するステップと、
(d)分割された前記Aライン又は画像又は複数の画像を、3つ以上の均等な部分に区切るステップと、
(e)血液が存在する場合の前記イメージングプローブの周囲の領域である血液イメージング領域(BIA)を画定するステップと、
(f)分割された前記Aライン又は前記画像又は前記複数の画像の第1のフレーム内の前記BIA内のオブジェクトの数を検出するステップと、
(g)カウントステップを実行し、前記オブジェクトの数が、部分的クリア状態又はクリア状態を定めるオブジェクトの最小受容数であるNよりも小さい場合は、前記カウンタを設定量又は所定量だけ、又は1だけ増加させ、前記オブジェクトの数がN以上である場合は、第2又は後続のフレームを用いてステップ(c)~(g)を繰り返すステップと、
(h)前記カウンタが、所定の値であるX以上であるとき、プルバックをトリガするための信号を終了するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
(i)前記フレーム又は画像から前記イメージングプローブ及び血管外ノイズを削除することにより、前記複数のAライン、前記画像又は前記複数の画像を準備するか、或いは、フレーム又は画像の処理又は前処理を実行し、前記カウンタをゼロに設定するステップ;
(ii)前記フレーム又は画像から前記イメージングプローブ及び/又は血管外ノイズのうちの1つ以上を削除することにより、前記Aライン、画像又は複数の画像にフレーム又は画像の処理又は前処理を実行するステップ;
(iii)自動二値化を用いて前記Aライン、フレーム、画像又は複数の画像を分割し、前記Aライン、画像又は複数の画像を3つ以上の部分に区切りながら、前記Aライン、フレーム、画像又は複数の画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切るステップ;
(iv)検出された所定のサイズのオブジェクトを削除し、前記イメージングプローブから特定又は所定の距離を越えているオブジェクトの数をカウントするか、又は、前記BIAと重なっているオブジェクトの数をカウントするステップ;
(v)少なくとも3つのオブジェクトが前記イメージングプローブ距離を越えて検出されたか、又は前記BIAと重なっていない場合、前記カウンタを1まで増大させるか又は1だけ増大させることによって前記カウントステップを実行し、或いは、少なくとも3つのオブジェクトが前記イメージングプローブ距離を越えて検出されなかったか、又は前記BIAと重なっている場合、前記カウンタを再びゼロに設定し、次のフレーム又は画像に移行して、前記ステップ(c)~(g)が繰り返されるようにするステップ;及び/又は、
(vi)前記カウンタが依然として前記所定の値X未満である場合、次のAラインフレーム又は画像に移行して前記インポートすること及び前記ステップ(c)~(g)を繰り返し、或いは、前記カウンタが前記所定の値X以上である場合、ステップ(h)を介して前記カテーテル又はプローブの前記自動プルバックをトリガするステップ、
のうち1つ以上を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(i)前記所定のサイズの前記オブジェクトは、小さなオブジェクトのうちの少なくとも1つであり、かつ/又は、ノイズ、残留血液及び/又は他のアーチファクトに対応するオブジェクトであること;
(ii)前記イメージングプローブからの前記特定又は所定の距離は、イメージングプローブ距離として定められ、前記方法は、前記オブジェクトを前記イメージングプローブ距離の値と比較して、前記オブジェクトが血液に属するかどうかを決定するステップ、を更に含むこと;
(iii)前記イメージングプローブ距離を定義するために、前記方法は、異なる血液状態の画像又はフレームの長さ深さを測定し、前記測定値を平均化するステップ、を更に含むこと;及び/又は、
(iv)前記特定又は所定の距離は、血液の存在する画像を用いて定められること、
のうち1つ以上である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(i)前記方法は、前記イメージングプローブからのオブジェクトの相対位置を計算するステップ、を更に含むこと;
(ii)前記方法は、前記イメージングプローブからのオブジェクトの前記相対位置の計算を省略するステップ、を更に含むこと;
(iii)前記BIAが用いられる場合、前記BIAは、前記イメージングプローブの先端から特定の距離を越える領域として示され、又は、前記イメージングプローブの先端を越える円形領域が、前記BIAとして示されること;
(iv)前記BIAは、前記血液が存在している画像を用いて定められるか又は予め定められること;及び/又は、
(v)前記イメージングプローブの先端から特定の高さを越える画素の数が示されること、
のうち1つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記複数のAライン、前記画像又は前記複数の画像は、前記イメージングプローブがフルスピードでスピンしているイメージングプローブであるスキャンモードにおいてインポートされること;
(ii)前記カウンタの前記所定の値Xは、1、2、3、4、5、6、3以上のうちの少なくとも1つであり、かつ/又は、手順又はイメージングの間に前記プルバックが要する時間と、前記クリアランス状態が持続する時間とに基づいて、臨床医によって決定される数であること;
(iii)前記方法は、光干渉断層撮影法(OCT)の間に血液イメージングにわたって移動したオブジェクトの数を検出するステップ、を更に含むこと;
(iv)前記方法は、処理された前記フレーム、Aライン又は画像のクリアリング状態又はクリアランス状態を決定又は評価するステップ、を更に含むこと;
(v)前記イメージングプローブ距離を越えるオブジェクトの数が所定の閾値以上である場合、前記方法は、前記画像又はフレーム内の血管壁又は標的が現在の画像又はフレームにおいて可視であると決定するステップ、を更に含むこと;及び/又は、
(vi)前記所定の閾値は、2以上、3以上、4以上、5以上、及び/又は、所定の数以上のうちの1つ以上であり、前記所定の数は、前記イメージングプローブのユーザによって設定されるか、又は前記方法によって自動的に設定又はロードされること、
のうち1つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記方法は、血液の存在を除去するために、前記イメージングプローブをフラッシングするステップ、を更に含むこと;
(ii)前記方法は、前記フラッシング及び前記自動プルバックが同期されることを保証するステップ、を更に含み、又は、前記フラッシング及び前記自動プルバックを同期して実行すること;
(iii)前記方法は、ユーザの労力が削減され、最小化され、かつ/又はより効率的になるように、カテーテル挿入又はイメージングプローブの手順中の前記イメージングプローブの前記ユーザの1つ以上のタスクを削減、統合及び/又は最小化するステップ、を更に含むこと;
(iv)前記ユーザの前記タスクは、ライブモード速度の制御、前記ライブモード速度の制御のためのボタンを押すこと、スキャンモード速度の制御、前記スキャンモード速度のためのボタンを押すこと、前記フラッシングを発生させること、前記フラッシングを発生させるためのボタンを押すこと、前記プルバックを発生させること、及び/又は、前記プルバックを発生させるためのボタンを押すことのうちの1つ以上を含むこと;及び/又は、
(v)前記方法は、ユーザインタラクションを伴わずに前記自動プルバックをトリガするステップ、を更に含むこと、
のうち1つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記Aライン、フレーム又は画像は、Aラインのブロック又はセットによって定められ、デカルト座標に変換されるときに2次元(2D)光干渉断層撮影法(OCT)の画像又はフレームを形成すること;
(ii)前記方法は、画像又はフレームの処理又は前処理中、前記イメージングプローブ、アーチファクト及び/又は血管外組織の領域に対応する画素をゼロに設定し、フィルタリングを適用するステップ、を更に含むこと;
(iii)前記フィルタリングは、平均フィルタリング、空間フィルタ、及び/又は、スライドウィンドウ又はカーネル空間フィルタであり、前記スライドウィンドウ又はカーネル空間フィルタは、前記ウィンドウの中央値を、前記ウィンドウに属する前記画素の平均強度値に置換し、画像Iと、N×Nのサイズをもつウィンドウについて、前記ウィンドウの中央画素(i,j)の前記値は、
【数2】
によって置換され、式中、m,nは、前記ウィンドウN×Nに属する画素であること;及び/又は、
(iv)前記フィルタリングは、ガウシアンフィルタリング又はバイラテラルフィルタリングであり、かつ/又は、前記方法は、畳み込みを用いて、マスクの中央画素の強度を、近傍画素の強度の加重平均に置換ステップ、を更に含むこと、
のうち1つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
(i)前記方法は、(a)自動二値化を適用し、(b)画像又はフレームのアーチファクトに対応する所定又は設定されたサイズの前記オブジェクトを削除することにより、分割された前記Aライン、画像又は複数の画像を平滑化し、かつ、(c)前記Aライン、画像、複数の画像、又はフレームを前記3つ以上の均等な部分に区切ることにより、画像又はフレームの分割を適用するステップ、を更に含むこと;
(ii)前記自動二値化は、Otsuの二値化であること;
(iii)画像Iについての閾値Throtsuは前記Otsu法を用いて計算され、前記画像IのうちThrotsuよりも小さい画素は、動脈壁及び血液が非ゼロオブジェクトによって表された二値画像が生成されるように、ゼロ値に設定されること;
(iv)前記非ゼロオブジェクトが画像又はフレームのアーチファクトに対応しているかどうかを決定するために、前記方法は、所定の領域よりも小さい前記オブジェクトを検出して、領域の検出に壁領域に対応するオブジェクトのみが用いられることを保証するステップ、を更に含むこと;
(v)前記所定の領域は、カテーテル領域全体又は前記イメージングプローブ領域であり、或いは、前記画像又はフレーム全体の3%であること;及び/又は、
(vi)前記方法は、大きめのオブジェクトを検出し、前記大きめのオブジェクトよりも小さいオブジェクトを所定の割合だけ削除するステップ、を更に含み、前記所定の割合は、24%、20%、25%、30%、約10%~約50%の範囲の任意の値、10%~50%の範囲の任意の値、約20%~約30%の範囲の任意の値、及び/又は、20%~30%の範囲の任意の値のうちの1つ以上であること、
のうち1つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
(i)前記方法は、並んでいる所定の数のフレーム又は画像について、標的又は動脈壁が可視であるかどうかを決定するステップ、を更に含むこと;
(ii)前記並んでいるフレーム又は画像の前記所定の数は、3、4、5及び/又は6のうちの1つ以上であること;
(iii)前記標的又は前記動脈壁が可視である場合、前記方法は、前記自動プルバックをトリガするステップ、を更に含むこと;
(iv)前記カウンタは、改善された又は最適なクリアリング状態と前記自動プルバックが同期されるのに十分な程度に血液が除去されることを保証するように機能すること;
(v)前記カウンタは、クリアランス状態が検出されるたびに増加されること;及び/又は、
(vi)前記標的又は動脈壁が明らかになっているか又は可視であると決定されるように、かつ、前記血液がフラッシングされてクリアランス状態を示すように、前記方法は、BIAに重なっていないオブジェクトの数が所定の閾値よりも大きいかどうかを検出するステップ、を更に含み、前記所定の閾値は3以上であるか、又は3よりも大きいこと、
のうち1つ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
自動プルバックをトリガするための方法をコンピュータに実行させるための少なくとも1つのプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記方法は、
(a)複数のAライン又は画像又は複数の画像をインポートするステップと、
(b)カウンタを初期化するステップと、
(c)前記Aライン又は前記画像又は前記複数の画像を分割するステップと、
(d)分割された前記Aライン又は画像又は複数の画像を、3つ以上の均等な部分に区切るステップと、
(e)血液が存在する場合の前記イメージングプローブの周囲の領域である血液イメージング領域(BIA)を画定するステップと、
(f)分割された前記Aライン又は前記画像又は前記複数の画像の第1のフレーム内の前記BIA内のオブジェクトの数を検出するステップと、
(g)カウントステップを実行し、前記オブジェクトの数が、部分的クリア状態又はクリア状態を定めるオブジェクトの最小受容数であるNよりも小さい場合は、前記カウンタを設定量又は所定量だけ、又は1だけ増加させ、前記オブジェクトの数がN以上である場合は、第2又は後続のフレームを用いてステップ(c)~(g)を繰り返すステップと、
(h)前記カウンタが、所定の値であるX以上であるとき、プルバックをトリガするための信号を終了するステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2020年8月6日に提出された米国特許出願第63/062,300号に関連し、それに対する優先権を主張し、その開示全体は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概してコンピュータイメージング及び/又は光学イメージングの分野に関し、特に、複数のイメージングモダリティ(光干渉断層撮影法(OCT)、マルチモードOCT(MMO-OCT)、近赤外蛍光(NIRAF)等)を用いるためのデバイス、システム、方法及び記憶媒体に関する。OCT用途の例として、胃腸、心臓及び/又は眼での用途等、生体(biological object)のイメージング、評価及び診断と、1つ以上の光学機器(1つ以上の光学プローブ、1つ以上のカテーテル、1つ以上の内視鏡、1つ以上のカプセル、1つ以上の針(例えば生検針)等)による取得が挙げられる。本明細書では、自動プルバックトリガを実行するための1つ以上のデバイス、システム、方法及び記憶媒体を論じる。
【背景技術】
【0003】
光干渉断層撮影法(OCT)は、高解像度の冠動脈内イメージングの選択肢の方法として導入されたイメージングモダリティである。該技術の概念は、冠動脈内超音波検査と同様であるが、後方散乱音波信号を測定する代わりに後方散乱光の遅延を測定する。しかしながら、光は軟部組織や血液を貫通できないので、放射線造影剤を用いた血液フラッシングが必要となる。血液フラッシングは、プルバック前に発生し、十分に訓練された経験豊富な専門家によって制御される必要がある。
【0004】
光ファイバのカテーテル及び内視鏡は、内臓にアクセスするために開発された。例えば心臓病学では、カテーテルを用いて管の深さ分解画像を確認するために、OCTが開発された。カテーテル(シース、コイル及び光学プローブを含み得る)を、冠動脈へとナビゲートすることができる。よって、OCTは、高解像度の冠動脈内イメージングに使用することができる。
【0005】
OCTは、組織や材料の高解像度の断面画像を取得する技術であり、リアルタイムの可視化を可能にする。OCT技術の目的は、フーリエ変換やマイケルソン干渉計等の干渉光学系や干渉法を用いて、光の時間遅延を測定することである。光源からの光は、スプリッタ(例えばビームスプリッタ)によって分離され、参照アームとサンプル(又は測定)アームに送られる。参照ビームは、参照アームの参照ミラー(部分反射要素又は他の反射要素)から反射され、サンプルビームは、サンプルアームのサンプルから反射又は散乱される。両ビームは、スプリッタで結合(又は再結合)され、干渉縞を生成する。干渉計の出力は、分光計(例えばフーリエ変換赤外分光計)等の1つ以上のデバイスにおいて、フォトダイオードやマルチアレイカメラ等の1つ以上の検出器によって検出される。干渉縞は、サンプルアームの経路長が参照アームの経路長と光源のコヒーレンス長の範囲内で一致する場合に、生成される。出力ビームを評価することにより、入力放射線のスペクトルを周波数の関数として導出することができる。干渉縞の周波数は、サンプルアームと参照アームの間の距離に対応する。周波数が高いほど、経路長の差が大きくなる。
【0006】
OCTは、後方散乱光の遅延を測定する。しかしながら、光は軟部組織や血液を貫通できないので、放射線造影剤を用いた血液フラッシングが使用される場合がある。血液フラッシングは、プルバック前に発生し、十分に訓練された経験豊富な専門家によって制御される。OCTプルバック速度は非常に速いので(~2秒/~62:100mmプルバック)、確実に標的血管全体をイメージングするには、血液が除去された直後にプルバックを開始することが重要である。多くの場合、フラッシングとプルバックが同期されないと、血管の一部のイメージングが失われてしまい、2回目のプルバックが必要になる場合がある。更に、血液クリアリング用の造影剤は特定の投与量レベル未満でなければならないので、1回目のフラッシングが同期されていないことが原因で2回目のプルバックが必要になる可能性は、患者に対して有害であるか、臨床的リスクをもたらすおそれがあり、医師その他の専門臨床医にとって負担になるおそれがある。したがって、血液の非存在を検出して自動プルバックをトリガする方法が導入された。しかしながら、この方法は複雑であり(例えば、フラッシュクリアリング状態の挙動を調整するためにユーザによって変更される必要のあるパラメータを多数含む)、ユーザが様々な閾値を更新することが必要となる。
【0007】
よって、血管又は標的領域における血液のクリアリング状態を検出し、ユーザインタラクションを伴わずにプルバックを自動的にトリガする方法が求められている。実際、OCTプルバック全体に関して信頼性が高く効率的な測定を提供する必要がある。
【0008】
したがって、例えば、血液クリアリングを用いた自動プルバックをトリガし、かつ/又は、OCTプルバック全体に関して信頼性が高く効率的な測定及びイメージングを提供する1つ又は複数の方法を用いて、1つ以上の複数イメージングモダリティを使用、制御及び/又は強調するための、少なくとも1つのイメージング又は光学デバイス、システム、方法及び記憶媒体を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0009】
したがって、本開示の広範な目的は、1つ以上の装置又はシステム(例えば冠動脈内イメージングの装置又はシステム)において、血液クリアリングを用いた自動プルバックトリガ方法を使用及び/又は制御するための、イメージング(例えばOCT、NIRAF等)の装置、システム、方法及び記憶媒体を提供することである。また、干渉計等の干渉光学系を用いたOCTデバイス、システム、方法及び記憶媒体(例えばSD-OCT、SS-OCT、MM-OCT等)を提供することも、本開示の広範な目的である。
【0010】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの方法は、標的となる物体、サンプル又は領域(例えば血管)における血液のクリアリング状態を検出することができ、また、自動的にプルバックをトリガすることができる(例えば、ユーザインタラクションを伴わずに、ユーザインタラクションを必要としない、等)。よって、1つ以上の実施形態では、造影剤の過剰投与のリスクを最小限に抑えながら、対象となる物体、サンプル又は領域全体(例えば血管)をイメージングすることができる(例えば、造影剤の使用を制限、最小化又は回避することにより、放射線造影剤の過剰投与が低減、回避又は最小化される)。
【0011】
本開示の1つ以上の実施形態は、前述の問題を克服し、ユーザインタラクションを必要としない自動プルバック方法を提供する。1つ以上の自動プルバック方法の実施形態は、以下を含んでよい:(a)複数のAライン又は画像又は複数の画像をインポートするステップ;(b)カウンタを初期化するステップ;(c)Aライン又は画像又は複数の画像を分割するステップ;(d)分割されたAライン又は画像又は複数の画像を、3つ以上の均等な部分に区切るステップ;(e)血液が存在する場合のイメージングプローブの周囲の領域である血液イメージング領域(BIA)を画定するステップ;(f)分割されたAライン又は画像又は複数の画像の第1のフレーム内のBIA内のオブジェクトの数を検出するステップ;(g)カウントステップを実行し、オブジェクトの数が、部分的クリア状態又はクリア状態を定めるオブジェクトの最小受容数(minimum acceptance number)であるNよりも小さい場合は、カウンタを設定量又は所定量だけ、又は1だけ増加させ、オブジェクトの数がN以上である場合は、第2又は後続のフレームを用いてステップ(c)~(g)を繰り返すステップ;及び、(h)カウンタが、所定の値であるX以上であるとき、プルバックをトリガするための信号を終了すること。1つ以上の追加の自動プルバック方法の実施形態は、以下を含んでよい:(i)スキャンモード(例えばフルスピードでスピンしているカテーテル又はプローブの)において現在のフレームのAライン(極性画像(polar image))をインポートし、カテーテル又はプローブ及び血管外ノイズを削除することによって次のステップ用のフレームを準備し、カウンタをゼロに設定するステップ;(ii)自動二値化を用いて各画像を分割し、画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切るステップ;(iii)ノイズ、残留血液又は他のアーチファクトに対応し得る検出されたオブジェクト(例えば小さなオブジェクト、所定のサイズのオブジェクト等)を削除し、血液イメージング領域(BIA)(血液イメージング深さ(BID)領域とも呼ばれる)と重なっているオブジェクトの数をカウントするステップ(BIAは、血液の存在する画像を用いて予め定められたカテーテル先端からの特定の距離を越える領域として定められ、又は示される);(iv)少なくとも3つのオブジェクトがBIAと重なっていない場合は、カウンタを1に増加させ、そうでない場合は、次のフレームに移行するステップ;及び、(v)カウンタが3、5等(又は別の所定又は設定された数)に等しい場合、自動プルバックをトリガするステップ。
【0012】
1つ以上の実施形態は、以下の利点又は利益のうちの1つ以上を提供することができる:(i)画像を3つ以上(例えば4つ)の部分/象限に分け、各部分のフラッシング状態を調べることにより、本方法では、小径の血管であっても確実にフラッシング状態を検出することができる(例えば、血管の直径が小さい場合、血液と管腔とカテーテル又はプローブのオブジェクトとを区別することが難しい(カテーテル又はプローブが管腔又は血管の壁に触れていることが多い));(ii)少なくとも1つの方法実施形態においてカウンタを適用することにより、最適なプルバック-フラッシング同期を達成することができる(例えば、プルバックの開始前に一連のフレームをクリアとして検出することができ、イメージング損失が回避される);及び/又は、(iii)本開示の1つ以上の特徴を適用することにより、自動二値化が実行されるので、ユーザインタラクションは不要となり、或いは任意とすることができる。
【0013】
本開示の1つ以上の実施形態は、イメージング(例えば血管内イメージング)中に自動プルバックをトリガするための方法を含んでよく、以下を含んでよい:イメージング(例えばOCTイメージング)において、フラッシングとカテーテル又はプローブのプルバックの状態とを同期すること;血管内イメージング中の医療専門家のタスクを削減又は最小化すること;遅い又は早いプルバックトリガによって生じるプルバックイメージング損失を低減又は最小化すること;及び、患者に対するリスクが低減又は最小化されるように、2回目のフラッシングの使用を防止するか、又は2回目のフラッシングを回避すること。
【0014】
1つ以上の実施形態では、3つ以上又は4つの部分/象限においてクリアな管腔状態が検出され得る。1つ以上の実施形態では、小径の血管であっても、フラッシング状態を検出することができる。小径の血管において4つの象限の移動しているバイナリオブジェクトを検出することは、半径/リング(動脈の直径が小さいことから非常に近い場合がある)を比較するよりも堅牢である。
【0015】
1つ以上の実施形態は、カウンタを包含してよい。血液クリア状態にある並んでいるフレームの数を測定することは、最適なプルバック-フラッシング同期を確実に達成するための少なくとも1つの方法である。1つ以上の実施形態において、カウンタにより、連続するフレームにおいて同じ又は類似のクリアランス状態があるという特徴が達成される。
【0016】
ユーザインタラクションのない1つ以上の実施形態において、その1つ以上の方法では、(例えばアルゴリズム又は方法が失敗したときに)フラッシュクリアリング状態の挙動を調整するために、パラメータがユーザによって変更される必要がない。実際、ユーザインタラクションの低減又は回避により、効率性が改善され、エラーが低減される。
【0017】
1つ以上の実施形態では、1つ以上のAライン及び/又はリアルタイム管腔距離の計算は、米国特許出願第63/046,495号(2020年6月30日出願、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられているように、処理することができる。
【0018】
OCTイメージングにおける管腔エッジ検出は、ステントストラット、ガイドワイヤ、イメージング角度による画像明度の変動、シース反射、血管断面の不規則な形状等を含む多くの特徴に対応するアーチファクトの影響を受けやすい場合がある。OCTの特定の用途(マルチモダリティOCT(MMOCT)システム/装置等)は、管腔エッジ検出を用いて、近赤外自家蛍光(NIRAF)信号又は近赤外蛍光(NIRF)信号の距離減衰を修正することができる。好ましくは、正確なリアルタイムのNIRAF又はNIRFイメージングでは、OCT画像の単一フレームに基づくリアルタイムの正確な管腔エッジ検出が用いられる。例えば、米国特許公開第2019/0298174号、米国特許出願第16/131,662号及び米国特許出願第62/925,655号を参照(各々が、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。単一のOCTフレームを用いて管腔エッジを正確に検出することにより、後処理を含む、血管等のオブジェクト又は標的の全体の測定精度を改善することができる。
【0019】
本開示は、OCTユーザが関心領域に集中し、かつ/又は、全てのイメージングモダリティ(断層撮影画像、カーペットビューでの近赤外蛍光(NIRAF)情報、半管表示での冠状血管の3次元(3D)レンダリング、管腔径表示、長手方向ビュー、血管造影ビュー等)において自動プルバックトリガを実行することを可能にする手段を記載する。これにより、ユーザは1つ又は複数のモダリティを用いて構造的管情報の全体ビューを得ることができ、また、高速で効率の良いAライン管腔セグメンテーションを提供する場合、より的を絞ったフォーカスのための機能の設定可能性が与えられる。
【0020】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、自動プルバックトリガのための装置及びシステム、並びに方法及び記憶媒体は、血液や粘液、組織等の生体を特性評価するように機能することができる。
【0021】
なお、本開示の自動プルバックトリガ方法の1つ以上の実施形態は、走査型プローブを用いて組織サンプル内の信号の反射及び散乱から画像が形成される他のイメージングシステム、装置又はデバイスにおいて用いることができる。例えば、OCT画像に加えて、又はOCT画像の代わりに、IVUS画像を処理することができる。
【0022】
本開示の1つ以上の実施形態は、脈管間イメージング、血管内イメージング、動脈硬化プラークの評価、心臓ステントの評価、血液クリアリングを用いた冠動脈内イメージング、バルーン副鼻腔形成術(balloon sinuplasty)、副鼻腔ステント留置、関節鏡検査、眼科、耳の研究、獣医学での使用及び研究等、臨床用途で用いることができる。
【0023】
本開示の少なくとも別の態様によれば、本明細書に記載の1つ以上の技術は、光学コンポーネント及び/又は処理コンポーネントの数を削減又は最小化することにより、また、そのような装置、デバイス、システム及び記憶媒体の使用/製造のコストを削減するための効率的な技術のおかげで、1つ以上の装置、デバイス、システム及び記憶媒体の製造及び保守のうちの少なくとも1つのコストを低減する特徴として、又はそのような特徴とともに、採用されてよい。
【0024】
以下の段落では、特定の説明的な実施形態を記載する。他の実施形態は、代替、均等物及び変更を含む場合がある。加えて、説明的な実施形態はいくつかの新規の特徴を含む場合があり、特定の特徴は、本明細書に記載のデバイス、システム及び方法の一部の実施形態には必須ではない場合がある。
【0025】
本開示の他の態様によれば、本明細書では、OCT及び/又は他のイメージングモダリティ技術を用いる1つ以上の追加のデバイス、1つ以上のシステム、1つ以上の方法及び1つ以上の記憶媒体が論じられる。本開示の更なる特徴は、以下の説明から、かつ添付の図面を参照して、一部は理解可能であり、一部は明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の様々な態様を図示する目的で(同様の数字は同様の要素を示す)、図面には、採用され得る単純化された形態が示されている。しかし、当然のことながら、本開示は、図示されている精確な配置及び手段によって限定されず、又はそれに限定されない。当業者が本明細書の主題を作製及び使用することを支援するために、添付の図面及び図を参照する。
【0027】
図1図1は、本開示の1つ以上の態様に係る、3DのAライン信号データに基づくリアルタイム管腔距離計算方法の1つ以上の実施形態を実行するために用いることのできるシステムの少なくとも1つの実施形態を示す概略図である。
図2図2は、本開示の1つ以上の態様に係るAライン管腔距離計算技術を実行するための装置、方法又はシステムの少なくとも1つの実施形態と併用できるカテーテル又はプローブの実施形態の図である。
図3図3は、本開示の1つ以上の態様に係る、フラッシング-プルバック同期の少なくとも1つの実施形態の概略記述である(点Aと点Bは、それぞれ標的セグメントの先頭と終端を表す)。
図4図4は、本開示の1つ以上の態様に係る、自動プルバックのアルゴリズム又は方法の実施形態例の前(図4の上部)と後(図4の下部)のユーザタスクの少なくとも1つの実施形態の概略記述である(例えば、自動プルバックのアルゴリズム又は方法の実施形態は、ユーザの労力を低減又は最小化するために、3つのタスクを1つに統合することができる)。
図5図5は、本開示の1つ以上の態様に係る自動プルバックトリガ方法の少なくとも1つの実施形態のフローチャートである。
図6図6は、本開示の1つ以上の態様に係る、OCTデバイス又はシステムのスキャンモード設定の少なくとも1つの実施形態例と、現在のフレームの前処理の少なくとも1つの実施形態とを示す図である。
図7図7は、本開示の1つ以上の態様に係るオブジェクト検出、並びにAラインとOCT画像との象限対応の少なくとも1つの実施形態例である。
図8図8は、本開示の1つ以上の態様に係る、血液を含む画像(上のパネル)とフラッシュ後画像(下のパネル)についての自動プルバック方法の少なくとも1つの実施形態の概略記述である。
図9図9は、本開示の1つ以上の態様に係るオブジェクト削除率閾値について実施された感度解析を示す図である。
図10図10は、本開示の1つ以上の態様に係る、血液のOCTイメージング(図10の左側)と、画像又はイメージングされた血液の大部分を含む円形領域(図10の右側)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図11図11は、本開示の1つ以上の態様に係る、血液フラッシングが発生する前の血液イメージングの長さ(=Tdis)の少なくとも1つの実施形態例を示す図である(例えば、OCTにより、血液が存在するときに特定又は所定のイメージング深さが可能となる―本明細書では血液イメージング領域(BIA)とも呼ばれる)。
図12図12は、本開示の1つ以上の態様に係る、2つの適用例のそれぞれの少なくとも1つの実施形態例を示す図であり、一方は未フラッシングフレーム(図12の左側)であり、一方はフラッシュ後フレーム(図12の右側)である(例えば、1つ以上の実施形態では、フラッシング後画像上で検出された移動しているオブジェクトは4つであり、未フラッシングではゼロ(0)であり得る)。
図13図13は、本開示の1つ以上の態様に従って実施された実験で用いられたMMOCTプルバックの概要である。
図14図14A図14Bは、本開示の1つ以上の態様に係る、実施された実験において専門家1及び専門家2によって得られた結果間の差(プルバック数に対するフレーム数の差)(図14A)と、使用されたアルゴリズム又は方法の実施形態と専門家との差(図14B)を示すグラフである。
図15図15A図15Bは、本開示の1つ以上の態様に係る、2つの異なるプルバックにおける自動プルバックの方法又はアルゴリズムの少なくとも1つの実施形態の定性的評価の実施形態例を示す、グラフとそれぞれの長手方向ビューである。
図16-1】図16A図16Dは、本開示の1つ以上の態様に係る自動プルバックの方法又はアルゴリズムを用いた実験で実行された17通りのプルバックの長手方向ビューに関する定性的結果である。
図16-2】図16E図16Hは、本開示の1つ以上の態様に係る自動プルバックの方法又はアルゴリズムを用いた実験で実行された17通りのプルバックの長手方向ビューに関する定性的結果である。
図16-3】図16I図16Lは、本開示の1つ以上の態様に係る自動プルバックの方法又はアルゴリズムを用いた実験で実行された17通りのプルバックの長手方向ビューに関する定性的結果である。
図16-4】図16M図16Pは、本開示の1つ以上の態様に係る自動プルバックの方法又はアルゴリズムを用いた実験で実行された17通りのプルバックの長手方向ビューに関する定性的結果である。
図16-5】図16Qは、本開示の1つ以上の態様に係る自動プルバックの方法又はアルゴリズムを用いた実験で実行された17通りのプルバックの長手方向ビューに関する定性的結果である。
図17図17は、本開示の1つ以上の態様に係る、少なくとも1つの自動プルバックの方法又はアルゴリズムの実施形態の、2500個のフレームを処理する際の時間計算量を示すグラフである。
図18図18は、本開示の1つ以上の態様に係る、自動プルバックトリガの方法及び/又は技術の1つ以上の実施形態を利用するためのOCT装置又はシステムの少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図19図19は、本開示の1つ以上の態様に係る、自動プルバックトリガの方法及び/又は技術の1つ以上の実施形態を利用するためのOCT装置又はシステムの少なくとも別の実施形態を示す図である。
図20図20は、本開示の1つ以上の態様に係る、自動プルバックトリガの方法及び/又は技術の1つ以上の実施形態を利用するためのOCT装置又はシステムの少なくとも更なる実施形態を示す図である。
図21図21は、本開示の1つ以上の態様に係るイメージングの特徴、機能又は技術を実行する方法を示すフローチャートである。
図22図22は、本開示の1つ以上の態様に係る、本明細書で論じられる装置若しくはシステムの1つ以上の実施形態又は1つ以上の方法と併用できるコンピュータの実施形態の概略図である。
図23図23は、本開示の1つ以上の態様に係る、本明細書で論じられるイメージング装置又はシステム又は方法の1つ以上の実施形態と併用できるコンピュータの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書には、1つ以上のイメージング及び/又は計算の技術或いはモダリティ(OCT、NIRA等)を用いて組織、或いは物体又はサンプルを特性評価するための、1つ以上のデバイス、システム、方法及び記憶媒体が開示される。図1図23には、本開示のいくつかの実施形態(本開示の装置、システム、方法及び/又はコンピュータ可読記憶媒体の1つ以上の実施形態によって実施され得る)が図式的かつ視覚的に記載される。
【0029】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの方法は、標的となる物体、サンプル又は領域(例えば血管)における血液のクリアリング状態を検出することができ、また、自動的にプルバックをトリガすることができる(例えば、ユーザインタラクションを伴わずに、ユーザインタラクションを必要としない、等)。よって、1つ以上の実施形態では、造影剤の過剰投与のリスクを最小限に抑えながら、対象となる物体、サンプル又は領域全体(例えば血管)をイメージングすることができる(例えば、放射線造影剤の過剰投与が低減、回避又は最小化される)。
【0030】
本開示の1つ以上の実施形態は、イメージング(例えば血管内イメージング)中に自動プルバックをトリガするための方法を含んでよく、以下を含んでよい:イメージング(例えばOCTイメージング)において、フラッシングとカテーテル又はプローブのプルバックの状態を同期すること;血管内イメージング中の医療専門家のタスクを削減又は最小化すること;遅い又は早いプルバックトリガによって生じるプルバックイメージング損失を低減又は最小化すること;及び、患者に対するリスクが低減又は最小化されるように、2回目のフラッシングの使用を防止するか、又は2回目のフラッシングを回避すること。
【0031】
1つ以上の実施形態は、以下の利点又は利益のうちの1つ以上を提供することができる:(i)画像を4つの部分/象限に分け、各部分のフラッシング状態を調べることにより、本方法では、小径の血管であっても確実にフラッシング状態を検出することができる(例えば、血管の直径が小さい場合、血液と管腔とカテーテル又はプローブのオブジェクトを区別することが難しい(カテーテル又はプローブが管腔又は血管の壁に触れていることが多い));(ii)少なくとも1つの方法実施形態においてカウンタを適用することにより、最適なプルバック-フラッシング同期を達成することができる(例えば、プルバックの開始前に一連のフレームをクリアとして検出することができ、イメージング損失が回避される);及び/又は、(iii)本開示の1つ以上の特徴を適用することにより、自動二値化が実行されるので、ユーザインタラクションは不要となり、或いは任意とすることができる。
【0032】
本開示の1つ以上の実施形態は、前述の問題を克服することができ、ユーザインタラクションを必要としない自動プルバック方法を提供することができる。1つ以上の自動プルバック方法の実施形態は、以下を含んでよい:(i)スキャンモード(例えばフルスピードでスピンしているカテーテル又はプローブの)において現在のフレームのAライン(極性画像)をインポートし、カテーテル又はプローブ及び血管外ノイズを削除することによって次のステップ用のフレームを準備し、カウンタをゼロに設定するステップ;(ii)自動二値化を用いて各画像を分割し、画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切るステップ;(iii)ノイズ、残留血液又は他のアーチファクトに対応し得る検出されたオブジェクト(例えば小さなオブジェクト、所定のサイズのオブジェクト等)を削除し、血液イメージング領域(BIA)と重なっているオブジェクトの数をカウントするステップ(BIAは、血液の存在する画像を用いて予め定められたカテーテル先端からの特定の距離を越える領域として示すことができ、又は定めることができる);(iv)少なくとも3つのオブジェクトがBIAと重なっていない場合は、カウンタを1に又は1だけ増加させ、そうでない場合は、次のフレームに移行するステップ;及び、(v)カウンタが3、5等(又は別の所定又は設定された数)に等しい場合、自動プルバックをトリガするステップ。
【0033】
1つ以上の実施形態では、4つの部分/象限においてクリアな管腔状態が検出され得る。1つ以上の実施形態では、小径の血管であっても、フラッシング状態を検出することができる。小径の血管において4つの象限の移動しているバイナリオブジェクトを検出することは、半径/リング(動脈の直径が小さいことから非常に近い場合がある)を比較するよりも堅牢である。
【0034】
1つ以上の実施形態は、カウンタを包含してよい。血液クリア状態にある並んでいるフレームの数を測定することは、最適なプルバック-フラッシング同期を確実に達成するための少なくとも1つの方法である。1つ以上の実施形態において、カウンタにより、連続するフレームにおいて同じ又は類似のクリアランス状態があることが保証される。
【0035】
ユーザインタラクションのない1つ以上の実施形態において、その1つ以上の方法では、(例えばアルゴリズム又は方法が失敗したときに)フラッシュクリアリング状態の挙動を調整するために、パラメータがユーザによって変更される必要がない。実際、ユーザインタラクションの低減又は回避により、効率性が改善され、エラーが低減される。
【0036】
血管内光干渉断層撮影法(IV-OCT)は、ヒトの動脈の表面と、部分的に動脈壁をイメージングするために用いられるイメージング技術である。IV-OCTは、動脈をイメージングするために、後方散乱光の遅延を測定する。OCTは、一般にインターベンショナル心臓学において用いられるが、冠動脈疾患のイメージング等の多くの用途で選択される方法になっている。冠動脈をイメージングするために、カテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)は、大腿動脈を通して挿入される場合があり、ガイドワイヤを用いて、カテーテル又はプローブが標的冠動脈内に配置される場合がある。カテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)は発光しながら自身を回転させることができ、次いで、標的血管その他の標的、物体又はサンプル(例えば、標的、物体又はサンプル106)に沿ったプルバックが実行され得る。カテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)のプルバック中、反射された光信号を保存し(例えばAライン画像(例えば極座標のOCT画像、極座標の画像、特定のイメージングモダリティの極座標の画像等))、デカルト座標(2D OCTフレーム)に変換し、ユーザに示し、かつ/又は表示画面上に表示することができる。
【0037】
ここで、図の詳細に戻ると、血管内イメージングデータの処理及び/又は自動プルバックトリガ方法の実行は、本明細書に記載の1つ以上の方法で実行することができる。本明細書に記載の1つ以上のディスプレイは、1つ以上のディスプレイのユーザが、1つ以上のイメージング及び/又は計算技術又はモダリティ(例えばOCT、NIRAF等)を使用、制御及び/又は強調することを可能にすることができ、また、ユーザが1つ以上のイメージング技術又はモダリティを同時に使用、制御及び/又は強調することを可能にすることができ、かつ/又は、ユーザが自動プルバックトリガ方法(血液クリアリングに関与する方法を含む)を実行し、かつ/又は血管内イメージングデータを処理することを可能にすることができる。
【0038】
図1に図示されるように、1つ以上のイメージングモダリティの可視化、強調及び/又は制御のための、かつ/又は、自動プルバックトリガ方法(血液クリアリングに関与する方法を含む)を実行するための、かつ/又は、血管内イメージングデータを処理するための本開示のシステム又は装置の1つ以上の実施形態は、1つ以上の所定又は所望の手順(医療処置のプランニング及び実行等)と関連することができる。
【0039】
図1はOCTシステム100(本明細書では「システム100」と呼ばれる)を示し、OCTシステム100は、本開示の1つ以上の態様に係る光学プローブ用途により、ユーザが1つ以上のイメージングの技術又はモダリティを同時に使用、制御及び/又は強調できるようにする1つ以上の実施形態、及び/又は、本明細書に記載の自動プルバックトリガ方法(血液クリアリングを伴う方法を含む)の実施及び/又は血管内イメージングデータを処理する技術を可能にする1つ以上の実施形態等の、OCT技術を利用するように機能する。システム100は、光源101、参照アーム102、サンプルアーム103、スプリッタ104(本明細書では「ビームスプリッタ」とも呼ばれる)、参照ミラー(本明細書では「参照反射」とも呼ばれる)105及び1つ以上の検出器107を備える。システム100は移相デバイス又はユニット130を含んでよく、1つ以上の実施形態では、移相デバイス又はユニットは省略することができる。1つ以上の実施形態では、システム100は、患者インタフェースデバイス又はユニット(「PIU」)110及びカテーテル又はプローブ120(図1図2に図式的に示される)を含んでよく、システム100は、サンプル又は標的106とインタラクトすることができる(例えばカテーテル/プローブ120及び/又はPIU110を介して)。1つ以上の実施形態では、システム100は干渉計を含み、又は、干渉計は、少なくとも光源101、参照アーム102、サンプルアーム103、スプリッタ104及び参照ミラー105等の、システム100の1つ以上のコンポーネントによって画成される。
【0040】
光源101はスプリッタ104への光を生じるように動作し、スプリッタ104は、光源101からの光を、参照アーム102に入る参照ビームとサンプルアーム103に入るサンプルビームとに分離する。ビームスプリッタ104は、参照ミラー105、1つ以上の検出器107及びサンプル又は標的106に対して、角度を成して位置付け又は配置される。参照ビームは移相ユニット130(システムに含まれる場合、システム100に示される)を通過し、参照ビームは参照アーム102の参照ミラー105に反射される。一方、サンプルビームは、サンプルアーム103のPIU(患者インタフェースユニット;本明細書では患者インタフェースコンポーネント(PIC)とも呼ばれる)110及びカテーテル又はプローブ120を通して、サンプル106から反射又は散乱される。参照ビームとサンプルビームの両方は、スプリッタ104で結合(又は再結合)し、干渉縞を生成する。システム100及び/又はその干渉計の出力は、1つ以上の検出器107(例えばフォトダイオードやマルチアレイカメラ等)で連続的に取得される。1つ以上の検出器107は、結合又は再結合された2つの放射線又は光ビーム間の干渉又は干渉縞を測定する。1つ以上の実施形態では、フリンジ効果が作り出され、1つ以上の検出器107によって測定することができるように、参照ビームとサンプルビームは、異なる光路長を進む。システム100及び/又はその干渉計の出力から得られる電気アナログ信号は、デジタル信号に変換されて、コンピュータ1200、1200'(それぞれ後述される図22又は図23に示される)等のコンピュータによって解析される。1つ以上の実施形態では、光源101は、放射線源、又は広帯域の波長で放射される広帯域光源であってよい。1つ以上の実施形態では、ソフトウェア及び電子機器を含むフーリエ解析器を用いて、電気アナログ信号を光スペクトルに変換することができる。
【0041】
光源101は、複数の光源を含んでもよいし、単一の光源であってもよい。光源101は、1つ以上の実施形態において、広帯域レーザ光を発生する。光源101は、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱灯、レーザによって励起される超連続光源、及び/又は蛍光灯のうち1つ以上を含んでよい。光源101は、少なくとも3つのバンドに分離することのできる光を提供する任意の光源であってよく、各バンドは更に分散されて、空間情報のスペクトル符号化に用いられる光を提供する。光源101は、本明細書で論じられる1つ又は複数のシステム(システム100、システム100'、システム100''、システム100'''等)の他のコンポーネントにファイバ結合されてもよいし、自由空間結合されてもよい。
【0042】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、OCTシステムの機能は、光ファイバを用いて実装される。前述したように、本開示のOCT技術の1つの用途は、図1図2に概略的に示されるように、カテーテル又はプローブ120とともにOCTを使用することである。
【0043】
図2は、シース121、コイル122、プロテクタ123及び光学プローブ124を含むカテーテル120の実施形態を示す。図1図2に概略的に示されるように、カテーテル120は、プルバックでコイル122をスピンさせるために、PIU110に接続されることが好ましい(例えば、PIU110の少なくとも1つの実施形態は、プルバックでコイル122をスピンさせるように動作する)。コイル122は、その近位端から遠位端へ(例えば、PIU110の回転モータを介して、又はそれによって)トルクを送達する。1つ以上の実施形態では、評価されている生体器官、サンプル又は物質(血管や心臓等の中空器官等)の全方向ビューを見るために光学プローブ124の遠位端もスピンするように、コイル122は光学プローブ124とともに/光学プローブ124に固定される。例えば、光ファイバのカテーテル及び内視鏡は、アクセスするのが困難な内臓器官(血管内画像や消化管、その他の狭域等)へのアクセスを提供するために、OCT干渉計のサンプルアーム(図1に示されるサンプルアーム103等)内に存在してよい。カテーテル120又は内視鏡の内部の光学プローブ124を通る光のビームが関心表面にわたって回転すると、1つ以上のサンプルの断面画像が得られる。3次元データを取得するために、光学プローブ124は、回転スピン中に長手方向に同時に並進されて、らせん状のスキャンパターンをもたらす。この並進は、プローブ124の先端を近位端に向かって引き戻すことによって行うことができるので、プルバックと呼ばれる。
【0044】
1つ以上の実施形態では、患者ユーザインタフェース110は、1つ以上のコンポーネント(プローブ(例えばカテーテル120(例えば図1図2)を参照)、針、カプセル、患者インタフェースユニット又はコンポーネント(例えば患者インタフェースユニット又はコンポーネント110)等のうち1つ以上のコンポーネント)を、1つ以上の他のコンポーネント(光学コンポーネント、光源(例えば光源101)、偏向部(例えば、光源からの光を干渉光学系へ偏向し、次に干渉光学系から受け取った光を少なくとも1つの検出器に向けて送るように動作するコンポーネントである偏向部又は被偏向部;1つ以上の干渉計、サーキュレータ、ビームスプリッタ、アイソレータ、カプラ、溶融ファイバカプラ、穴のある部分切断ミラー、及びタップ付き部分切断ミラー等のうち少なくとも1つを含む偏向部又は被偏向部、等)、サンプルアーム102、接続コンポーネント及び/又は患者ユーザインタフェース110に電力を供給するように動作するモータ等)に接続するために、回転接合部等の接続コンポーネント(又はインタフェースモジュール)を備える又は含むことができる。例えば、接続部材又はインタフェースモジュールが回転接合部である場合、回転接合部は後述するように動作することが好ましい。1つ以上の他の実施形態では、回転接合部は、接触型回転接合部、レンズレス回転接合部、レンズベース回転接合部、又は当業者に既知の他の回転接合部のうち少なくとも1つであってよい。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、PIU110は、光ファイバ回転接合部(FORJ)と、回転モータ及び並進電動ステージ(例えばPIU110の一部)と、カテーテルコネクタ(例えばPIU110の一部)とを含んでよい。FORJにより、ファイバをファイバ軸に沿って回転させながら、光信号を途切れることなく伝送することができる。FORJは、回転子及び固定子を含む自由空間光ビームコンバイナを有してよい。
【0046】
システム100'に存在し既に先に説明した(システム100について等)同番号の要素の説明は繰り返さないものとし、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0047】
少なくとも1つの実施形態では、コンソール1200,1200'は、モータ及び並進電動ステージ(以降、「モータ」又は「モータ及びステージ」と呼ぶ)の動きを制御し、少なくとも1つの検出器107から強度データを取得し、スキャンされた画像を表示する(例えば、以下で更に論じられる図22のコンソール1200及び/又は図23のコンソール1200'に示されるディスプレイ、スクリーン又はモニタ1209等のモニタ又はスクリーンに)ように動作する。1つ以上の実施形態では、コンソール1200,1200'は、モータの速度を変更し、かつ/又はモータを停止するように機能する。モータは、速度を制御して位置の精度を高めるために、ステッピング又はDCサーボモータであってよい。
【0048】
1つ以上の実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200、1200'は、システム100(及び後述されるシステム100'、システム100''、システム100'''等の他のシステム)、カテーテル120、及び/又はシステム100の1つ以上の他の前述されたコンポーネントを制御するように機能する。少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200、1200'は、OCTシステム/デバイス/装置の少なくとも1つの検出器107から強度データを取得するように機能し、画像を表示する(例えば、ディスプレイ等のモニタ又はスクリーン上や、後述する図22のコンソール1200及び/又は図23のコンソール1200'に示されるスクリーン又はモニタ1209上に)。システム100(及び後述されるシステム100'、システム100''、システム100'''等の他のシステム)の1つ以上のコンポーネントの出力は、OCTシステム/デバイス/装置の少なくとも1つの検出器107によって取得される(例えばフォトダイオード、光電子増倍管(PMT)、ラインスキャンカメラ、又はマルチアレイカメラ等)。システム100(及び/又は後述されるシステム100'、システム100''、システム100'''等の他のシステム)又はその1つ以上のコンポーネントの出力から得られる電気アナログ信号は、デジタル信号に変換されて、コンピュータ1200,1200'(例えば図1図18図20及び図22図23に示される)等のコンピュータによって解析される。1つ以上の実施形態では、光源101は、放射線源、又は広帯域の波長で放射される広帯域光源であってよい。1つ以上の実施形態では、ソフトウェア及び電子機器を含むフーリエ解析器を用いて、電気アナログ信号を光スペクトルに変換することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの検出器107は、3つの異なる帯域の光を検出するように構成された3つの検出器を含む。
【0049】
本開示の1つ以上の特徴は、任意のOCT装置及び/又はシステムを用いて採用又は実施することができ、また、参照アームにわずかな変更を加えるだけで実現することができ、その場合、装置及び/又はシステムは、単一の参照アーム経路を使用し、本開示の方法又は技術の1つ以上の実施形態は、2つの参照アーム経路を使用することができ、又は、イメージングFOVを調整して、メインサンプルのイメージング位置かシステムの最遠位点(嵌合位置)付近のいずれかに配置するように、参照アームの遅延を十分に調整する機能を使用することができる。
【0050】
イメージング深さ範囲を増大させるためのシステムの1つ以上の実施形態は、以下を含んでよい:OCTシステム;システム嵌合コネクタからの反射がイメージング視野において可視であるように調整された参照反射;及び、カテーテル/プローブがシステム嵌合コネクタと嵌合したかどうかを決定するように機能する1つ以上のプロセッサ。
【0051】
前述したように、OCTは、後方散乱光の遅延を測定する。しかしながら、光は軟部組織や血液を貫通できないので、放射線造影剤を用いた血液フラッシングが使用される場合がある。
【0052】
1つ以上の実施形態では、血液クリアランス状態をカテーテルプルバックと同期して、動脈セグメント全体をイメージングできることを保証することができる。血液クリアランス状態がカテーテル又はプローブのプルバックと同期されない1つ以上の実施形態では、1つ又は2つのシナリオが生じ得る:(i)早いプルバックの場合、カテーテル又はプローブの先端部に対して遠位がイメージングされない場合がある;及び/又は(ii)遅いプルバックの場合、1つ以上の実施形態において、カテーテル又はプローブの近位部がイメージングされない場合がある。図3に、プルバック-フラッシング同期の問題と、起こり得るイメージング損失の概略記述を示す(例えば、点Aと点Bは、それぞれ、標的セグメントの先頭と終端を表す)。
【0053】
本開示の1つ以上の方法実施形態は、フラッシング-プルバック同期を保証し、カテーテル挿入手順中のユーザ(例えば医療専門家、専門家、臨床医、施術者等)のタスクを最小限に抑える。図4に示されるように、血管内イメージング中、現在は、連続実行でユーザが必要とする4つの手動タスクが存在する(例えば、4つの別々のボタンを押して、ライブモードの速度を制御し、スキャンモードの速度を制御し、フラッシュを発生させ、プルバックを発生させる等)(例えば図4上部のユーザタスクを参照)。1つ以上の方法実施形態は、少なくとも3つのタスク(例えば、スキャンモード速度の制御と、フフラッシングを発生させることと、プルバックを発生させること等)を1つのタスク(例えば図4下部のユーザタスクを参照)に統合して、ユーザの労力を低減又は最小化する。よって、ユーザは、1つ以上の方法において非常に多くの変数を制御又は更新する必要がない。例えば、ユーザは、4つの別々のボタンを押す代わりに、1つ又は2つのボタンを押して4つのタスクを達成することができる。1つ以上の実施形態では、ユーザは、ボタンを押す必要がないか、或いはシステム又はデバイスと全くインタラクションする必要がない場合があり、デバイス又はシステムは、ユーザインタラクションを伴わずに、プルバックを自動的にトリガするように機能することができる。
【0054】
1つ以上の自動プルバック方法の実施形態は、以下を含んでよい:(a)複数のAライン又は画像又は複数の画像をインポートするステップ;(b)カウンタを初期化するステップ;(c)Aライン又は画像又は複数の画像を分割するステップ;(d)分割されたAライン又は画像又は複数の画像を、3つ以上の均等な部分に区切るステップ;(e)血液が存在する場合のイメージングプローブの周囲の領域である血液イメージング領域(BIA)を画定するステップ;(f)分割されたAライン又は画像又は複数の画像の第1のフレーム内のBIA内のオブジェクトの数を検出するステップ;(g)カウントステップを実行し、オブジェクトの数が、部分的クリア状態又はクリア状態を定めるオブジェクトの最小受容数であるNよりも小さい場合は、カウンタを設定量又は所定量だけ、又は1だけ増加させ、オブジェクトの数がN以上である場合は、第2又は後続のフレームを用いてステップ(c)~(g)を繰り返すステップ;及び、(h)カウンタが、所定の値であるX以上であるとき、プルバックをトリガするための信号を終了するステップ。ここで図5の詳細に戻ると、自動プルバックトリガ方法の少なくとも1つの実施形態例が示されており、本方法の全体的なワークフローの少なくとも1つの実施形態は、以下を含んでよい:(i)スキャンモード(例えばフルスピードでスピンしているカテーテル又はプローブの)において画像の現在のフレームのAライン(極性画像)をインポートし、カテーテル又はプローブ及び血管外ノイズを削除することによって次のステップ用のフレームを準備し、そうでなければフレーム前処理を実行し、カウンタをゼロに設定するステップ(例えば図5のステップS100、S102、S104をそれぞれ参照);(ii)自動二値化を用いて画像を分割し、画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切るステップ(例えば図5のステップS106を参照);(iii)血液イメージング領域(BIA)領域に対するオブジェクトの相対位置を計算するステップであって、BIAは、カテーテル又はプローブの先端から特定の距離を越える領域として示される(血液の存在する画像を用いて予め定められる)(例えば図5のステップS108を参照);(iv)ノイズ、残留血液又は他のアーチファクトに対応し得る検出されたオブジェクト(例えば小さなオブジェクト、所定のサイズのオブジェクト等)を削除し、BIA領域から特定の距離を越えるオブジェクト又はBIAと重なっていないオブジェクトの数をカウントし、或いは、血液イメージング領域(BIA)と重なっているオブジェクトの数をカウントするステップ(例えば図5のステップS110を参照);(v)2つ以上のオブジェクト(又は3つ以上のオブジェクト)がBIAと重なっていない場合は、カウンタを1に又は1だけ増加させ(例えば図5のステップS112を参照)、そうでない場合は、カウンタを再びゼロに設定し、かつ/又は、次のフレームに移行して(例えば図5のステップS116を参照)、ステップS104~S110を繰り返すステップ;及び、(vi)カウンタが3、5等(又は別の所定又は設定された数)に等しい場合、自動プルバックをトリガし(例えば図5のステップS114及びS118を参照)、カウンタが依然として3、5等(又は、1、2、4等、別の所定又は設定された数)に等しくない場合、次のAラインフレームに移行し、ステップS104~S110を繰り返すステップ。
【0055】
1つ以上の実施形態では、カテーテル又はプローブからのオブジェクトの相対位置を計算するステップ(例えば図5のステップS108を参照)は、省略されてよい。BIAを用いる1つ以上の実施形態では、BIAは、カテーテル又はプローブの先端からの特定の距離を超える領域として示される(血液が存在する画像を用いて事前に定められる)(例えば、図5について前述したステップS108を参照)。
【0056】
1つ以上の実施形態では、冠動脈内又はイメージングシステム(例えばステップS100を参照)は、スキャンモード(フルスキャン速度)に設定することができ、カウンタは、ゼロに設定することができる。次に、Aラインの現在のブロック(本実施形態では、デカルト座標に変換されたときに2D OCTフレームを形成するAライン画像/フレームと呼ばれる)が選択され(例えばステップS102を参照)、処理に向けて準備することができる。処理準備又はフレーム前処理(例えばステップS104を参照)中に、カテーテル若しくはプローブ及びアーチファクト、並びに/又は血管外組織の領域に対応する画素をゼロに設定することができ(例えば図6を参照)、平均フィルタリング(7×7)を適用することができる。図6は、本開示のOCTシステムのスキャンモード設定の少なくとも1つの実施形態例と、現在のフレームの前処理の少なくとも1つの実施形態を示す。例えば、Aライン画像(図6の右上の画像)を平滑化することができ、カテーテル/プローブ及びアーチファクトの領域を除去することができる。
【0057】
平均フィルタリング:
【0058】
平均フィルタは、空間フィルタとして適用することができる。1つ以上の実施形態では、平均フィルタは、スライドウィンドウ(カーネル)空間フィルタであってよく、これは、ウィンドウの中央値を、ウィンドウに属する画素の平均強度値に置き換える。画像I及びN×Nのサイズをもつウィンドウの場合、ウィンドウの中央画素(i,j)の値は、
【数1】
によって置き換えられ、式中、m,nは、ウィンドウN×Nに属する画素であり、式中、m,nは、ウィンドウN×Nに属する画素である。
【0059】
本方法の次のステップ(S106)では、フィルタリングされた画像は、以下のように処理される:i)Otsuの自動二値化を適用する;ii)画像アーチファクトに対応する小さなオブジェクトを削除することにより、分割された画像を平滑化する;及び、iii)画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切る。このステップ(画像二値化から、Aライン及びOCT画像の象限対応まで)を、図5に詳細に示す。このステップは4つの均等な部分によって可視化されているが、本開示は、2、3、5、6、7又は8つの均等な部分への分割を提供する。更に、該部分の面積は実質的に等しくなければならないが、均等な部分では、様々な部分の正確な画素数又はAラインに、わずかなばらつきがある場合がある。
【0060】
1つ以上の実施形態では、ガウシアンフィルタリングやバイラテラルフィルタリング等の他のタイプのフィルタリングが用いられてよい。例えば、ガウシアンフィルタと同様に、バイラテラルフィルタは非線形平滑化フィルタである。基本的な違いは、バイラテラルフィルタは画素強度の違いを考慮に入れることであり、これにより、ノイズ低減と同時にエッジのメンテナンスが達成される。畳み込みを使用すると、近傍画素の強度の加重平均により、マスクの中央画素の強度を置換することができる。1つ以上の実施形態では、画像Iのバイラテラルフィルタと、ウィンドウマスクWは、
【数2】
として定義することができ、正規化因子
【数3】
を有し、式中、xは、マスクの中央画素の座標であり、パラメータfr及びgsは、強度の差を平滑化するためのガウシアンカーネルと、座標の差を平滑化するための空間ガウシアンカーネルである。
【0061】
ステップS106(例えば図5等を参照)の1つ以上の実施形態では、フィルタリングされた画像を処理することができ、以下のように画像分割を適用することができる:(i)Otsuの自動二値化等の自動二値化を適用すること;(ii)画像アーチファクトに対応する小さなオブジェクトを削除することにより、分割された画像を平滑化すること;及び、(iii)画像を、4つのデカルト象限に対応する4つの均等な部分に区切ること。ステップS106の少なくとも1つの実施形態(画像二値化から、Aライン及びOCT画像の象限対応まで)を、図7に詳細に示す。図7は、オブジェクト検出と、Aライン及びOCT画像の象限対応の少なくとも1つの実施形態例を示す。オブジェクトが血液に属するかどうかを決定するために、オブジェクトをTdis値と比較することができる。
【0062】
図8図8の上部及び下部のパネルの部分A~Dを含む)は、血液を含む画像(上のパネル)とフラッシング後画像(下のパネル)についての自動プルバック方法の少なくとも1つの実施形態の概略記述を示す。図8の部分Aは、カテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)から除去されたAライン画像と、血管外背景を示す。図8の部分Bは、二値化され、均等に分けられ、小さなオブジェクトが除去された画像を示す。図8の部分Cは、バイナリオブジェクト及びBIA領域を示す。部分Dは、対応するデカルト画像においてカウントされた重なっていないオブジェクトを示す。
【0063】
Otsuの二値化:
【0064】
1つ以上の実施形態では、Aライン画像を自動的に二値化するために、例えば、画像Iの閾値ThrotsuをOtsu法を用いて計算することができ、画像IのうちThrotsuよりも小さい画素は、ゼロ値に設定することができる。その結果は、動脈壁と血液が非ゼロオブジェクトによって表された二値画像である。非ゼロオブジェクトは画像アーチファクトにも対応する場合があるので、1つ以上の実施形態では、追加のステップを適用することができる:所定の領域(カテーテル又はプローブ領域全体や、画像全体の3%等)よりも小さいオブジェクトを検出する。この追加のステップを用いた場合、1つ以上の実施形態は、壁領域に対応するオブジェクトのみが境界の検出に用いられることを保証する。1つ以上の実施形態では、追加のステップは、以下のステップを含んでよく、或いは以下のステップであってよい:大きめのオブジェクトを検出し、該大きめのオブジェクトよりも小さいオブジェクトを所定の割合だけ(例えば24%、20%、25%、30%、約10%~約50%の範囲の任意の値、10%~50%の範囲の任意の値、約20%~約30%の範囲の任意の値、20%~30%の範囲の任意の値等)削除すること。削除率について実行された感度解析を、図9に示す。図9の左部分は、1つ以上の実施形態について、0.1~0.5(10~50%)の範囲内でオブジェクト削除閾値0.2(24%)及び0.3(30%)を用いた場合に達成される理想又は最適なフレーム差を示す箱ひげ図を示す(図9の左部分に、0.1(91)、0.2(92)、0.3(93)、0.4(94)、0.5(95)の重なり閾値が、それぞれ左から右へ示されている)。図9の右部分は、0.2~0.3(20~30%)の範囲内でオブジェクト削除閾値0.24(24%)を用いた場合に達成される理想又は最適なフレーム差を示す箱ひげ図を示す(図9の右部分に、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3の重なり閾値が、それぞれ左から右へ示されている)。
【0065】
ステップS108の1つ以上の実施形態では、バイナリオブジェクトの相対位置を考慮することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、検出された各バイナリオブジェクトの、血液イメージング領域(BIA)に対する相対位置を計算することができる。BIAとして、カテーテル又はプローブ先端を越える円形領域を示すことができる。この概念は、フラッシングが発生して管腔の境界が明らかになる前は、血液が特定の距離をおいてカテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)を取り囲んでいるという事実に由来する。フラッシング前画像のBIA領域の例は図10に示されており、図10は、血液のOCT画像(図10の左側)と、画像又はイメージングされた血液の大部分を含む円形領域(図10の右側)とを示す。BIAを参照領域として用いると、BIAに対して重なっているバイナリオブジェクトと重なっていないバイナリオブジェクトを計算することができる(例えば図8の部分Cを参照)。
【0066】
追加又は代替として、ステップS108の1つ以上の実施形態では、各オブジェクトの相対位置は、カテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)から特定の距離(Tdis)を越えているバイナリオブジェクトの数をカウントすることとして、計算することができる。カテーテル又はプローブ距離を意味し、特定の高さを越える画素の数は、1つ以上の実施形態では、カテーテル又はプローブの先端を形成する。カテーテル又はプローブを挿入する距離の概念は、フラッシングによって血液が除去され管腔境界が明らかになる前は、血液が特定の距離をおいてカテーテル又はプローブ(例えばカテーテル又はプローブ120)を取り囲んでいるという事実に由来する。なぜなら、OCTにより、血液が存在するときに特定のイメージング深さが可能となるからである(図11に示される例示の画像を参照;血液フラッシングが発生する前の血液イメージング領域(BIA)の長さ。OCTにより、血液が存在するときに特定のイメージング深さが可能となる)。BIAを定めるために、異なる血液状態画像で長さ深さが測定され、測定値が平均化された。アルゴリズム又は方法の実施形態のうちの1つ以上は、OCTの血液イメージングにわたって移動したオブジェクトの数を検出することを目的とする。
【0067】
各バイナリオブジェクトの相対位置に応じて、アルゴリズム又は方法の実施形態は、次に、処理されたフレームのクリアリング状態を決定する(例えばステップS110を参照)。BIAに重なっていないオブジェクトの数が所定の閾値(例えば3)以上である場合(1つ以上の実施形態では、閾値は、2以上、3以上、4以上、5以上、所定の数以上等のうちの少なくとも1つ以上に設定されてよい)、これは、現在のフレームにおいて血管壁が可視になっていることを意味する。ただし、壁の可視性は、フレームによって変化し得る(例えば、1つのフレームで壁が可視であっても、次のフレームでは壁が可視ではない場合がある)。これは、収縮期及び拡張期の心臓と血管の動きと、ユーザによって制御されるフラッシング圧力の変動によるものである。したがって、1つ以上の実施形態では、カウンタが包含され、アルゴリズム又は方法の開始時からゼロに設定される。現在のフレームにおいて壁が可視である場合、カウンタに1が追加され(例えばステップS112を参照)、そうでなければ、カウンタは再びゼロに設定される(例えばS116を参照)。例えば、図12には、BIAと重なっているオブジェクト又はBIAと重なっていないオブジェクトを含む少なくとも1つの実施形態が示されている。
【0068】
カウンタに1が追加された場合(S112)、次のステップは、並んでいる所定の数(例えば3、4、5、6等)のフレームについて(例えばカウンタが5又は設定された所定の数に等しいとき)、動脈壁が可視であったかどうかをチェックする(例えばステップS114を参照)。“no”の場合、アルゴリズムは次のフレームに進む。“yes”の場合、プルバックがトリガされる(例えばステップS114を参照)。カウンタを有することにより、血液が十分に除去されることが保証されるので、改善された又は最適なクリアリング状態とプルバックを同期することができる。2つの適用例:フラッシングされていないフレームの1つとフラッシングされたフレームの1つを図12に示す。フラッシングされていないフレームで検出されたオブジェクトはゼロであり(図12の左側を参照)、フラッシングされたフレームでは、検出されたオブジェクトは4である(図12の右側を参照)。1つ以上の実施形態では、各バイナリオブジェクトの相対位置に応じて、本方法は、処理されたフレームのクリアリング状態を決定する。BIAに重なっていないオブジェクトの数が3(又は別の設定されたか所定の閾値)よりも大きい場合、これは、動脈壁が明らかになっているか又は可視であることを示し、また、血液がフラッシングされたことを示すことができる(例えば、クリアランス状態を示す)。ただし、血液クリアランスは1つのフレームに存在するが次のフレームでは存在しない場合があり、クリアランス状態の検出エラーを最小限に抑えるために、カウンタを追加することができる。カウンタ(初期はゼロに設定される)は、クリアランス状態が検出されるたびに1ずつ増加することができ、カウンタが所定の数(例えば、3、4、5等)に達すると、プルバックを開始することができる(例えば図3図8D等を参照)。
【0069】
1つ以上の実施形態は、以下の利点又は利益のうちの1つ以上を提供することができる:(i)画像を4つの部分/象限に分け、各部分のフラッシング状態を調べることにより、本方法では、小径の血管であっても確実にフラッシング状態を検出することができる(例えば、血管の直径が小さい場合、血液と管腔とカテーテル又はプローブのオブジェクトを区別することが難しい(カテーテル又はプローブが管腔又は血管の壁に触れていることが多い));(ii)少なくとも1つの方法実施形態においてカウンタを適用することにより、最適なプルバック-フラッシング同期を達成することができる(例えば、プルバックの開始前に一連のフレームをクリアとして検出することができ、イメージング損失が回避される);及び/又は、(iii)本開示の1つ以上の特徴を適用することにより、自動二値化が実行されるので、ユーザインタラクションは不要となり、或いは任意とすることができる。
【0070】
本開示は以下の特徴に限定されないが、本開示の1つ以上の特徴を以下に要約する。
【表1】
【0071】
前述したように、本開示の1つ以上の方法実施形態により、OCTイメージング手順中の(例えば専門家、医療関係者、臨床医等の)タスクが削減され、同期されてないフラッシング-プルバックが発生する可能性が低減され、また、標的血管(又は他の所定の標的)全体がイメージングされることが保証される。
【0072】
本開示の1つ以上の実施形態は、イメージング(例えば血管内イメージング)中に自動プルバックをトリガするための方法を含んでよく、以下を含んでよい:イメージング(例えばOCTイメージング)において、フラッシングとカテーテル又はプローブのプルバックの状態を同期すること;血管内イメージング中の医療専門家のタスクを削減又は最小化すること;遅い又は早いプルバックトリガによって生じるプルバックイメージング損失を低減又は最小化すること;及び、患者に対するリスクが低減又は最小化されるように、2回目のフラッシングの使用を防止するか、又は2回目のフラッシングを回避すること。
【0073】
本開示の方法の1つ以上を用いて、生体内(in vivo)動物データを用いた自動プルバック方法を適用した。自動プルバック方法の1つ以上は、1つ以上のイメージングモダリティ(MM-OCT、NIRAF、IV-OCT等)と併用することができる。1つ以上の実施形態では、使用されたMM-OCTカテーテル又はプローブには、デュアルモード、光ファイバ、血管内イメージングのカテーテル又はプローブが含まれた。MATLABを用いて、計算を実行し、かつ/又は自動プルバック方法の1つ以上の特徴を処理した。
【0074】
本発明は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本発明は、開示された例示の実施形態に限定されない。特許請求の範囲は、全ての変更並びに均等の構造及び機能を包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【0075】
追加の詳細と、実施された自動プルバック実験:
【0076】
これらの実験/レポート部分の少なくとも1つの目的は、少なくとも1つの自動プルバックアルゴリズムを提示し、遡及的実験データを用いて少なくとも1つのアルゴリズムを試験し、結果を解釈することである。このアルゴリズムにより、OCTイメージング手順中の専門家のタスクが削減され、同期されていないフラッシング-プルバックが発生する可能性が低減され、標的血管全体がイメージングされることが保証される。この範囲には、in vivo動物データを使用した自動プルバックアルゴリズムの適用が含まれる。
【表2】
【0077】
データセット
【0078】
アルゴリズム及び/又は方法の少なくとも1つの実施形態は、EP1-3(HORL-ENG-00250)及びEP2-1(HORL-ENG-00665)システムの動物(豚)テスト中に生成された2つの異なる生体外(ex vivo)データセットを用いて、遡及的画像データについて検証された。データは、それぞれEP1-3システムとEP2-1システムを使用した研究について、HORL-RPT-00038とHORL-RPT-00070にそれぞれ記載されている特定のプロトコルの下で取得された。フラッシング前フレームを含む17回のプルバックが取得され、現在のアルゴリズム及び/又は方法の実施形態を開発及びテストするために使用された。血液クリアランスは、プルバックの大部分において造影剤を用いて実行され(1回のプルバックでは生理食塩水を用いた)、注入は手動又は自動のいずれかであり、各システムにおいて2つの異なるカテーテル又はプローブが使用された。実験で使用されたMMOCTプルバックの要約を、図13に詳細に示す。
【0079】
結果
【0080】
ゴールドスタンダード又はグラウンドトゥルース
【0081】
2人の専門家(そのうちの1人は発明者)1と2は、現在のデータセットを個別に調べ、各プルバックにおけるクリアランスフレームを検出した。クリアランスフレームは、血管の壁構造の少なくとも4分の3(270°)を示すフレームとして定義された。観察者間の変動の許容限界を定めるために、手動プルバック中の専門家間の時間遅延が考慮された。手動プルバック手順中、プルバックボタンを押すことに関して専門家の間で不一致/遅延が発生する可能性があり、これは約0.5秒で許容可能である。プルバックは400フレームであり、2秒間続く。したがって、0.5秒は100フレームに等しく、変動許容限界として使用された。専門家1と専門家2によって得られた結果の差(プルバック数に対するフレーム数の差)を、図14Aに示す(観察者間の差)。
【0082】
アルゴリズム評価メトリック
【0083】
実験で自動プルバックのアルゴリズム又は方法の実施形態を評価するために、定量的測定及び定性的測定が使用された。定量的測定には、アルゴリズム又は方法と専門家との間のフレームの差、すなわち、アルゴリズムによって検出されたフレームクリアランスから専門家によって観察されたフレームクリアランス(平均)を引いたものが含まれる。結果を図14Bに示す(アルゴリズム又は方法と2人の専門家(平均)との差)。自動プルバックのアルゴリズム又は方法の実施形態の目標は、プルバックを自動的に開始し、全てのプルバックフレームをクリアランス状態にすることであるので、第2の定性的評価測定が追加された:長手方向ビュー(垂直及び水平)の目視検査。定性的測定を用いて、(i)全てのアルゴリズム又は方法のクリアランスフレーム検出がクリアなプルバックを提供するかどうかを視覚的に検査することによって、第2のチェックポイントを実行し、(ii)プルバックの品質を評価した。
【0084】
定性的評価の2つの例を図15A図15Bに示し、残りを図16A図16Qに提示する(長手方向ビューについての定性的結果)。2つの異なる方向(2D直交切断面)の長手方向ビューを視覚的に検査することにより、2つのプルバックの品質の違いに気付くことができる:プルバックAはプルバックBよりも優れた品質である。プルバックAは、専門家(図14B)との優れた一致があるプルバック#14に対応し(図13及び図16N図16A図16Qは、それぞれプルバック#1~プルバック#17を示し、それらは図13で概説されている)、プルバックBは、専門家(図14B)との中程度の一致があるプルバック#2(図13及び図16B)に対応する。イメージング品質に関係なく、両方のプルバックは、1つ以上の実施形態について、0.5秒(100フレーム)の許容限界をパスしている。2つの異なるプルバック(前述したプルバックA:図13及び図16Nに示される#14と、プルバックB:図13及び図16Bに示される#2)において、本開示の自動プルバックのアルゴリズム又は方法の少なくとも1つの実施形態の定性的評価の少なくとも2つの実験例が実施された。直交切断面の2つの異なる長手方向ビューを視覚的に検査して、(i)クリアランス検出フレームの後に続くフレームにクリアランス状態が存在したかどうか(垂直線1500―例えば図15A及び図15Bを参照)と、(ii)フラッシング品質とをチェックした。図15Aに示されるように、イメージング品質は非常に良好であり、アルゴリズム又は方法の実施形態は、優れた一致でクリアランスフレームを検出することに成功した(アルゴリズムフレーム40対専門家フレーム43)。図15Bに示されるように、イメージング品質はインターベンションの誘導には適しておらず、アルゴリズム又は方法の実施形態は、中程度の一致でクリアランスフレームを検出することに成功した(アルゴリズムフレーム372対専門家フレーム334)。
【0085】
時間計算量
【0086】
実験で使用されたアルゴリズム又は方法の時間計算量を評価するために、アルゴリズム又は方法の最初との最後にタイマーがセットされた。図17は、2500フレームに適用された場合の自動プルバックアルゴリズム又は方法の実施形態の時間計算量を示す。単一のフレームの処理にかかる平均時間は、0.029秒であった。本方法はMatlabに実装され、以下の特性を備えたラップトップで実行された:AMD Ryzen PRO 2500U、Radeon Vega Mobile Gfx 2.00GHzプロセッサ、8.00GB RAMメモリ、及び64ビットWindows10オペレーティングシステム。
【0087】
実験の考察
少なくとも、実験で使用された自動プルバックの方法又はアルゴリズムは、MMOCTシステムの全速回転中に各フレームを処理し、造影剤注入プロセス中に血管のクリアランス状態(無血液血管)を検出し、自動的にプルバックをトリガすることを目的とした。
【0088】
全体的なパフォーマンス
【0089】
少なくとも1つのアルゴリズム又は方法は、事前に記録されたイメージングデータについて評価され、第1のクリアランスフレームに関する専門家の推定が、前述の「ゴールドスタンダード」又は比較の基礎として使用された。実験データセット(17回のプルバック)は実行された数が少ないと見なされる場合があるが、その結果から、実験に使用された方法又はアルゴリズムの実施形態が様々な品質のプルバックにおいて堅牢であり得ることが示唆される。良質のプルバックは、クリアランス状態がすぐに開始され、プルバック全体についてクリアなイメージングを可能にするプルバックとみなされる(例えば図13及び図16Cに記載又は図示されるプルバック#3)。低品質のプルバックは、クリアランス状態の発生に時間がかかり、血管壁が完全に明らかになっておらず、クリアランス状態が長く続かないプルバックとみなされる(例えば図13及び図16Bに記載又は図示されるプルバック#2)。実験に使用されたアルゴリズム又は方法は、17のプルバック全てで第1のクリアランス状態フレームを検出することができ、15のプルバックにおいて専門家の推定と非常によく一致し、2つのプルバックで中程度の一致であった(図13及び図16A図16Bに記載又は図示されるプルバック#1,2)。なお、中程度の一致は、品質が低い(図13及び図16Bに記載又は図示されるプルバック#2)プルバックか、ノイズの多いプルバックであった(残留血液:図13及び図16Aに記載又は図示されるプルバック#1)。
【0090】
リアルタイム適用
【0091】
アルゴリズム又は方法の1つ以上の実施形態はリアルタイムで適用することができるので、時間性能は非常に重要である。実験結果により、実験に使用されたアルゴリズム又は方法が画像を処理するために平均0.029秒を使用したことが報告された。フルスピードのMMOCTシステム又はデバイスは、2秒あたり400フレームを取得するので、リアルタイム適用のために設計された本開示の任意のアルゴリズム又は方法の実施形態は、0.005秒の平均処理速度を使用することができる。Matlabで実装されたアルゴリズム又は方法の実施形態の実験的実装は、実際には6番目のフレームごとに処理することができる。ただし、最終的な実装はC++で行うことができ、これは、Matlabよりも少なくとも10倍高速である可能性があり、1つ以上の実施形態で使用できるフレームあたり0.005秒のリアルタイムメトリックをカバー又は達成できるはずである。
【0092】
OCT(例えばIV-OCT、MM-OCT等)システムは、本明細書に記載の任意のシステム又は装置(システム100、システム100'、システム100''、システム100'''等)であってよい。実際、当該デバイス又はシステムの1つ以上は、本開示の1つ以上の特徴に係る自動プルバックの方法又はアルゴリズムの1つ以上の実施形態を実行するように機能することができる。
【0093】
コンピュータ(コンソール又はコンピュータ1200、1200'等)は、製造又は使用されている任意の装置及び/又はシステム(装置又はシステム100、装置又はシステム100'、装置又はシステム100''、装置又はシステム100'''、図1図23に示される実施形態のいずれか、本明細書に記載のその他の装置又はシステム等)について本明細書に記載されているステップ、プロセス及び/又は技術のいずれかを実行することができる。
【0094】
本開示の1つ以上の更なる態様によれば、本明細書で開示される自動プルバック技術等の技術とともに、ベンチトップシステムを利用することができる。図18は、眼科用途等のベンチトップ用の、管腔距離計算技術を利用することのできるシステムの例を示す。光源101からの光は、偏向部108により、参照アーム102とサンプルアーム103へ送達及び分割される。参照アーム102では、参照ビームが長さ調整部904(1つ以上の実施形態では任意である)を通過し、参照ミラー(図1に示される参照ミラー又は参照反射105等)から反射され、サンプルアーム103では、サンプルビームが、サンプル、標的、患者(例えば患者の血管)又は物体106等から反射又は散乱される(例えばPIU110及びカテーテル120を介して)。一実施形態では、両ビームは偏向部108で結合し、干渉縞を生成する。1つ以上の実施形態では、ビームはコンバイナ903へ進み、コンバイナ903は、サーキュレータ901及び偏向部108を介してビームを結合する。結合されたビームは、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器へ送られることが好ましい。ビームスプリッタ(例えば図1のビームスプリッタ104参照)、偏向部108及び/又は干渉計の出力は、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器によって連続的に取得される。電気アナログ信号はデジタル信号に変換されて、コンピュータ(コンピュータ1200(図1を参照;以下で更に論じられる図18~20及び図22にも示されている)、コンピュータ1200'(例えば以下で更に論じられる図23を参照)等)によって解析される。追加又は代替として、本明細書で論じられるコンピュータ、CPU、プロセッサ等のうち1つ以上を用いて、複数のイメージングモダリティのうち1つ以上を処理、制御、更新、強調及び/又は変更し、かつ/又は、関連する技術、機能又は方法(例えば自動プルバックの方法又はアルゴリズム)を処理することができ、又は、前述のように電気信号を処理することができる。
【0095】
1つ以上の実施形態では、サンプルアーム103は、図19のシステム100''に示されるベンチトップシステムでは、移相ユニット130を含んでよい。サンプル106は、移相ユニット130と併用されるミラー105の場所に配置することができる(例えば図1に示されるように)。光源101からの光は、スプリッタ104により、参照アーム102とサンプルアーム103へ送達及び分割される。参照アーム102では、参照ビームが長さ調整部904を通過し、参照ミラー(図18図20に示される参照ミラー105等)から反射され、サンプルアーム103では、サンプルビームが移相ユニット(移相ユニット130等)を通って、サンプル、標的及び/又は物体106から反射又は散乱される。一実施形態では、両ビームはスプリッタ104で結合し、干渉縞を生成する。1つ以上の実施形態では、ビームはコンバイナ903に進み、コンバイナ903は、サーキュレータ901及びスプリッタ104を介して両ビームを結合し、結合されたビームは1つ以上の検出器(1つ以上の検出器107等)に送られる。ビームスプリッタ104及び/又は干渉計の出力は、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器によって連続的に取得される。電気アナログ信号はデジタル信号に変換され、コンピュータで分析される。
【0096】
回転、強度、管腔距離、又は本明細書で論じられるその他の測定値を計算し、自動プルバック方法又はアルゴリズムを実行し、かつ/又はMMOCTデバイス/装置、システム及び/又は記憶媒体を制御及び/又は製造する方法は、デジタルでもアナログでも多数存在する。少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200,1200'等のコンピュータは、本明細書に記載のOCTデバイス、システム、方法及び/又はそれと併用される記憶媒体を制御及び/又は使用するための専用であってよい。
【0097】
本開示の1つ以上の更なる態様によれば、本明細書に開示される管腔距離計算技術とともに、1つ以上の他のシステムを利用することができる。図20は、眼科用途等の自動プルバック技術を利用することのできるシステム100'''の例を示す。光源101からの光は、OCTイメージングエンジン150内部に位置する偏向部108(例えばビームスプリッタ又は本明細書で論じられる他の偏向部又は被偏向部)によって分離され、参照アーム102及びサンプルアーム103に送られる。OCTイメージングエンジン150は、1つ以上の実施形態では、OCT干渉計151(偏向部108を収納又は包含してもよい)及び波長掃引型エンジン152を含んでもよい。参照ビームは、長さ調整部904(参照ミラー(参照ミラー又は参照反射105等;図1にも示される)の距離を変化させるように機能し得る)を通過し、参照アーム102の参照反射105から反射され、一方、サンプルビームは、サンプルアーム103においてサンプル、標的又は物体106から反射又は散乱される。一実施形態では、両ビームは偏向部108で結合し、干渉縞を生成する。1つ以上の実施形態では、結合されたビームは、1つ以上の検出器に送られる。干渉計151の出力は、1つ以上の検出器107等の1つ以上の検出器によって連続的に取得される。電気アナログ信号はデジタル信号に変換されて、コンピュータ(コンピュータ1200(例えば図1を参照;以下で更に論じられる図18図20及び図22にも示されている)、コンピュータ1200'(例えば以下で更に論じられる図23を参照)等)によって解析される。1つ以上の実施形態では、サンプルアーム103は、サンプルビームが本明細書で論じられるサンプル、標的又は物体106から反射又は散乱されるように、PIU110及びカテーテル120を含む。1つ以上の実施形態では、PIU110は、カテーテル120(又はその1つ以上のコンポーネント)のプルバック動作を制御し、かつ/又は、カテーテル120(又はその1つ以上のコンポーネント)の回転又はスピンを制御するために、1つ以上のモータを含んでよい。例えば、PIU110は、プルバックモータ(PM)及びスピンモータ(SM)を含んでよく、かつ/又は、プルバックモータPM及び/又はスピンモータSMを用いてプルバック機能及び/又は回転機能を実行するように動作する運動制御ユニット112を含んでよい。本明細書で論じられるように、PIU110は、回転接合部(例えば図18及び図20に示されるような回転接合部RJ)を含んでよい。回転接合部RJは、カテーテル120がサンプル106の1つ以上のビュー又は画像を取得することができるように、スピンモータSMに接続することができる。コンピュータ1200(又はコンピュータ1200')を用いて、プルバックモータPM、スピンモータSM及び/又は運動制御ユニット112のうち1つ以上を制御することができる。OCTシステムは、OCTエンジン150、コンピュータ(例えばコンピュータ1200、コンピュータ1200'等)、PIU110、カテーテル120、モニタ等のうち1つ以上を含んでよい。OCTシステムの1つ以上の実施形態は、アンギオシステム、外部ディスプレイ、1つ以上の病院ネットワーク、外部記憶媒体、電源、ベッドサイドコントローラ(例えばBluetooth(登録商標)技術や、無線通信で既知の他の方法を用いてOCTシステムに接続されてよい)等の、1つ以上の外部システムと相互作用することができる。
【0098】
好ましくは、偏向又は被偏向部108を含む1つ以上の実施形態(図18図20で最もよく分かる)では、被偏向部108は、光源101からの光を参照アーム102及び/又はサンプルアーム103に偏向し、次いで、参照アーム102及び/又はサンプルアーム103から受け取った光を少なくとも1つの検出器107(例えば分光計、分光計の1つ以上のコンポーネント、別のタイプの検出器等)に向けて送るように動作する。1つ以上の実施形態では、被偏向部(例えばシステム100、100'、100''、100'''、本明細書で論じられるその他のシステム等の被偏向部108)は、本明細書に記載されるように動作する1つ以上の干渉計又は光学干渉系(サーキュレータ、ビームスプリッタ、アイソレータ、カプラ(例えば融着ファイバカプラ)、穴を有する部分切断ミラー、タップを有する部分切断ミラー等)を含んでよく、又は備えてよい。1つ以上の実施形態では、干渉計又は光学干渉系は、システム100(又は本明細書で論じられるその他のシステム)の1つ以上のコンポーネント(例えば光源101、被偏向部108、回転接合部RJ、PIU110、カテーテル120等のうち1つ以上)を含んでよい。少なくとも図1図23の前述の構成の1つ以上の特徴は、本明細書で論じられるシステム100、100'、100''、100'''等のシステムのうちの1つ以上に組み込むことができる。
【0099】
そのような配置、構成、デバイス又はシステムに限定されないが、本明細書で論じられるデバイス、装置、システム、方法、記憶媒体、GUI等の1つ以上の実施形態は、前述のような装置又はシステム、例えばシステム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のデバイス、装置又はシステム、本明細書で論じられるその他のデバイス、装置又はシステム等とともに用いることができる。1つ以上の実施形態では、1人のユーザが、本明細書で論じられる方法を実行することができる。1つ以上の実施形態では、1人以上のユーザが、本明細書で論じられる方法を実行することができる。1つ以上の実施形態では、本明細書で論じられるコンピュータ、CPU、プロセッサ等のうち1つ以上を用いて、複数のイメージングモダリティのうち1つ以上を処理、制御、更新、強調及び/又は変更し、管腔距離を計算し、自動プルバックの方法又はアルゴリズムを実行し、かつ/又は、関連する技術、機能又は方法を処理することができ、又は、前述のように電気信号を処理することができる。
【0100】
光源101は、複数の光源を含んでもよいし、単一の光源であってもよい。光源101は、広帯域光源であってよく、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱灯、レーザによって励起される超連続光源、及び/又は蛍光灯のうち1つ以上を含んでよい。光源101は、分散された後にイメージング、1つ以上のイメージングモダリティの制御、表示、変更、強調の方法の実行、及び/又は本明細書で論じられるその他の方法に用いられる光を提供する任意の光源であってよい。光源101は、装置及び/若しくはシステム100、100'、100''、100'''、図1図23のデバイス、装置若しくはシステム、又は本明細書で論じられるその他の実施形態の他のコンポーネントに、ファイバ結合されてもよいし、又は自由空間結合されてもよい。前述のように、光源101は、波長掃引型(SS)光源であってよい。
【0101】
追加又は代替として、1つ以上の検出器107は、線形アレイ、電荷結合素子(CCD)、複数のフォトダイオード、又は光を電気信号に変換する他の何らかの方法であってよい。検出器107は、アナログ・デジタル変換器(ADC)を含んでよい。1つ以上の検出器は、前述のような、図1図23のうち1つ以上に示された構造を有する検出器であってよい。
【0102】
1つ以上の検出器107は、デジタル信号又はアナログ信号をプロセッサ又はコンピュータ(画像プロセッサ、プロセッサ又はコンピュータ1200、1200'(例えば図1図18図20及び図22図23を参照)、それらの組合せ等)に送信することができる。画像プロセッサは、専用の画像プロセッサであってもよいし、画像を処理するように構成された汎用プロセッサであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、コンピュータ1200、1200'を、画像プロセッサの代わりに、又は画像プロセッサに加えて用いることができる。代替実施形態では、画像プロセッサは、ADCを含み、1つ以上の検出器107からアナログ信号を受信してよい。画像プロセッサは、CPU、DSP、FPGA、ASIC又は何らかの他の処理回路のうちの1つ以上を含んでよい。画像プロセッサは、画像、データ及び命令を格納するためのメモリを含んでよい。画像プロセッサは、1つ以上の検出器107によって提供される情報に基づいて、1つ以上の画像を生成してよい。本明細書で論じられるコンピュータ又はプロセッサ(図1図23のデバイス、装置又はシステムのプロセッサ、コンピュータ1200、コンピュータ1200'、画像プロセッサ等)は、本明細書で更に後述される1つ以上のコンポーネントを含んでもよい(例えば図22図23を参照)。
【0103】
少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200、1200'は、運動制御ユニット(MCU)112又はモータMを介してRJの動きを制御し、1つ以上の検出器107の検出器から強度データを取得し、スキャンされた画像を表示する(例えば図18図20及び図22のいずれかのコンソール又はコンピュータ1200及び/又は以下で更に論じられる図23のコンソール1200'等に示されるディスプレイ、スクリーン又はモニタ1209等のモニタ又はスクリーンに)ように動作する。1つ以上の実施形態では、MCU112又はモータMは、RJのモータ及び/又はRJの速度を変更するように動作する。モータは、速度を制御し位置精度を高めるためのステッピングモータ又はDCサーボモータであってよい(例えば、モータを使用しない場合と比較して、自動化又は制御された速度及び/又は位置変更デバイスを使用しない場合と比較して、手動制御と比較して、等)。
【0104】
本明細書で論じられるシステムのうちいずれかの1つ以上のコンポーネントの出力は、例えばフォトダイオード、光電子増倍管(PMT)、ラインスキャンカメラ又はマルチアレイカメラ等の少なくとも1つの検出器107によって取得することができる。システム100、100'、100''、100'''及び/又はその検出器107の出力から、かつ/又は図1図23のデバイス、装置又はシステムから得られる電気アナログ信号は、デジタル信号に変換されて、コンピュータ1200、1200'等のコンピュータによって解析される。1つ以上の実施形態では、光源101は、放射線源、又は広帯域の波長で放射される広帯域光源であってよい。1つ以上の実施形態では、ソフトウェア及び電子機器を含むフーリエ解析器を用いて、電気アナログ信号を光スペクトルに変換することができる。
【0105】
本明細書に別段の記載がない限り、同様の数字は同様の要素を示す。例えば、システム間/装置間(システム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のシステム/装置等)には変形又は差異が存在するが(例えば、用いるOCTシステム又は方法に応じた参照反射105(及び/又は参照アーム102)の位置の差)、それらの1つ以上の特徴は、その光源101、偏向部108又は他のコンポーネント(例えばコンソール1200、コンソール1200'等)等、互いに同じ又は同様であってよい。当業者には当然のことながら、光源101、少なくとも1つの検出器107、及び/又はシステム100の1つ以上の他の要素は、1つ以上の他のシステム(本明細書で論じられるシステム100、システム100'、システム100''、システム100'''等)の同様の番号の要素と同じ又は類似の方式で機能してよい。当業者には当然のことながら、システム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のシステム/装置、及び/又は、そのようなシステムのうち1つの1つ以上の同様の番号の要素の代替実施形態は、本明細書で論じられるように他の変形を含むが、本明細書で論じられる他のシステム(又はそのコンポーネント)のうちいずれかの同様の番号の要素と同じ又は類似の方式で機能してよい。実際、本明細書で論じられるシステム100、システム100'、システム100''及びシステム100'''、図1図23のシステム/装置、その他の実施形態等の間には特定の違いが存在するが、本明細書で論じられる装置/システムの間には類似点がある。同様に、1つ以上のシステム(例えばシステム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のシステム/装置等)においてコンソール又はコンピュータ1200を用いることができるが、1つ以上の他のコンソール又はコンピュータ(コンソール又はコンピュータ1200'等)を追加又は代替として用いることができる。
【0106】
本開示の1つ以上の態様によれば、光学接続を検出及び誘導するための1つ以上の方法がここに提供され、イメージングを実行するための1つ以上の方法がここに提供される。図21は、イメージングを実行するための方法の少なくとも1つの実施形態のフローチャートを示す。好ましくは、本方法は、以下のうち1つ以上を含んでよい:(i)光を第1の光と第2の参照光に分離又は分割させること(図21のステップS4000を参照);(ii)第1の光がサンプルアームに沿って進み、物体又はサンプルを照射した後に、第1の光の反射光又は散乱光を受け取ること(図21のステップS4001を参照);(iii)第2の参照光が参照アームに沿って進み、参照反射で反射した後に、第2の参照光を受け取ること(図21のステップS4002を参照);及び、(iv)第1の光の反射光又は散乱光と反射された第2の参照光とを互いに干渉させることにより(例えば、結合又は再結合してから干渉することにより、干渉することにより、等)、1つ以上の干渉縞を生成する干渉光を生成すること(図21のステップS4003を参照)。1つ以上の方法は、低周波モニタを用いて高周波コンテンツを更新又は制御し、画質を改善することを、更に含むことができる。例えば、1つ以上の実施形態は、平衡検出、偏光ダイバーシティ、自動偏光制御、管腔距離の計算、自動プルバックの方法又はアルゴリズム等を用いて、改善された画質を達成することができる。1つ以上の実施形態では、イメージングプローブは、接続部材又はインタフェースモジュールにより、1つ以上のシステム(例えばシステム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のデバイス、装置又はシステム、本明細書で論じられるその他のシステム又は装置等)に接続することができる。例えば、接続部材又はインタフェースモジュールがイメージングプローブの回転接合部であるとき、回転接合部は、接触型回転接合部、レンズレス回転接合部、レンズベース回転接合部、又は当業者に既知の他の回転接合部のうち少なくとも1つであってよい。回転接合部は、1チャネル回転接合部又は2チャネル回転接合部であってよい。1つ以上の実施形態では、イメージングプローブの照明部は、イメージングプローブの検出部から分離することができる。例えば、1つ以上の用途では、プローブは、照明ファイバ(例えばシングルモードファイバ、GRINレンズ、スペーサ、スペーサの研磨面の回折格子等)を含む照明アセンブリを指す場合がある。1つ以上の実施形態では、スコープは、例えば、駆動ケーブル、シース及びシース周りの検出ファイバ(例えばマルチモードファイバ(MMF))によって囲まれ保護され得る照明部を指すことがある。回折格子カバレッジは、1つ以上の用途について検出ファイバ(例えばMMF)では任意である。照明部は、回転継手に接続されてもよく、ビデオレートで連続的に回転してもよい。1つ以上の実施形態では、検出部は、検出ファイバ、検出器(例えば1つ以上の検出器107、分光計等)、コンピュータ1200、コンピュータ1200'等のうち1つ以上を含んでよい。検出ファイバは照明ファイバを囲んでよく、検出ファイバは、回折格子、スペーサ、レンズ、プローブ又はカテーテルの端等によって覆われても覆われなくてもよい。
【0107】
電力を計算し、かつ/又は管腔エッジ及びアーチファクトを検出し、かつ/又は自動プルバックの方法又はアルゴリズムを実行する方法は、デジタルでもアナログでも多く存在する。少なくとも1つの実施形態では、コンソール又はコンピュータ1200、1200'等のコンピュータは、本明細書に記載のOCTデバイス、システム、方法及び/又は記憶媒体の制御及びモニタリングの専用であってよい。
【0108】
イメージングに用いられる電気信号は、ケーブル又はワイヤ(ケーブル又はワイヤ113(図22を参照)等)を介して、1つ以上のプロセッサ(コンピュータ1200(例えば図1図18図20及び図22を参照)、以下で更に論じられるコンピュータ1200'(例えば図23を参照)等)に送信することができる。追加又は代替として、本明細書に記載のコンピュータ又はプロセッサは、交換可能であり、本明細書に記載の特徴及び方法のいずれかを実行するように機能することができる。
【0109】
図22には、コンピュータシステム1200(例えば図1及び図18~20に示されるコンソール又はコンピュータ1200を参照)の様々なコンポーネントが提供されている。コンピュータシステム1200は、中央処理装置(「CPU」)1201、ROM1202、RAM1203、通信インタフェース1205、ハードディスク(及び/又は他の記憶装置)1204、スクリーン(又はモニタインタフェース)1209、キーボード(又は入力インタフェース;キーボードに加えてマウス又は他の入力デバイスを含んでもよい)1210、及び、前述のコンポーネント(例えば図22に示される)のうち1つ以上の間のBUS(又は「バス」)又は他の接続線(例えば接続線1213)を含んでよい。加えて、コンピュータシステム1200は、前述のコンポーネントのうち1つ以上を備えてよい。例えば、コンピュータシステム1200は、CPU1201、RAM1203、入出力(I/O)インタフェース(通信インタフェース1205等)及びバスを含んでよく(コンピュータシステム1200のコンポーネント間の通信システムとして1つ以上の配線1213を含んでよい;1つ以上の実施形態では、コンピュータシステム1200と少なくともそのCPU1201は、1つ以上の配線1213を介して、FORJ又はそれを用いるデバイス若しくはシステム(システム100、システム100'、システム100''、システム100'''、及び/又は図1図23のシステム/装置等)の1つ以上の前述のコンポーネントと通信してよい)、1つ以上の他のコンピュータシステム1200は、他の前述のコンポーネントの1つ以上の組合せを含んでよい(例えば、コンピュータ1200の1つ以上の線1213は、線113を介して他のコンポーネントに接続することができる)。CPU1201は、記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を読み取って実行するように構成される。コンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載の方法及び/又は計算の実行のための命令を含んでよい。コンピュータシステム1200は、CPU1201に加えて1つ以上の追加のプロセッサを含んでよく、CPU1201を含む当該プロセッサは、それと併用されるか、又は任意の管腔検出、ステント検出、アーチファクト検出及び/又は管腔距離計算の技術と併用され、かつ/又は、本明細書に記載の自動プルバック技術と併用されるデバイス、システム又は記憶媒体の制御及び/又は製造に用いることができる。システム1200は、ネットワーク接続を介して(例えばネットワーク1206を介して)接続された1つ以上のプロセッサを更に含んでよい。CPU1201と、システム1200によって用いられている追加のプロセッサは、同じテレコムネットワーク内に配置されてもよいし、異なるテレコムネットワークに配置されてもよい(例えば、技術の実行、製造、制御、計算及び/又は使用は、リモートで制御することができる)。
【0110】
I/Oインタフェース又は通信インタフェース1205は、入出力デバイス(光源101、RJ、PM、SM、ユニット150、ユニット112、マイク、通信ケーブル及びネットワーク(有線又は無線)、キーボード1210、マウス(例えば図23に示されるマウス1211を参照)、タッチスクリーン又はスクリーン1209、ライトペン等を含んでよい)に通信インタフェースを提供する。コンピュータ1200の通信インタフェースは、配線113を介して、本明細書で論じられる他のコンポーネントに接続することができる(図22に図式的に示されるように)。モニタインタフェース又はスクリーン1209は、それに対する通信インタフェースを提供する。
【0111】
本明細書で論じられるような、デバイス、システム又はそれと併用される記憶媒体を使用及び/又は製造するための方法、並びに/又は、イメージング、組織又はサンプルの特性評価又は分析の実行、診断、プランニング及び/又は検査の実行、OCT画像に含まれる管腔エッジ、ステント及び/又はアーチファクトの検出、及び/又は自動プルバック技術の実行のための方法等、本開示の任意の方法及び/又はデータは、コンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。本明細書に開示される方法のステップをプロセッサ(前述のコンピュータシステム1200のプロセッサ又はCPU1201等)に実行させるために、一般に使用されるコンピュータ可読及び/又は書込み可能な記憶媒体を用いることができる(例えば、ハードディスク(例えばハードディスク1204、磁気ディスク等)、フラッシュメモリ、CD、光ディスク(例えばコンパクトディスク(「CD」)、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、Blu-ray(商標)ディスク等)、光磁気ディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(RAM1203等)、DRAM、リードオンリーメモリ(「ROM」)、分散コンピュータシステムのストレージ、メモリカード又は類似のもの(例えば不揮発性メモリカード、ソリッドステートドライブ(SSD)(図23のSSD1207を参照)、SRAM等の他の半導体メモリ)、それらの任意の組合せ、サーバ/データベース等のうち1つ以上)。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体であってよく、かつ/又は、コンピュータ可読媒体は、1つ以上の実施形態において一時的であり信号を伝搬していることを唯一の例外として、全てのコンピュータ可読媒体を含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ等、所定の期間、限定された期間又は短期間に、かつ/又は電源の存在下でのみ、情報を格納するメディアを含んでよい。本開示の実施形態は、記憶媒体(より完全には「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶこともできる)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つ以上のプログラム)を読み出し実行して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行し、かつ/又は、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行するための1つ以上の回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステム又は装置のコンピュータによって実現することもできるし、また、システム又は装置のコンピュータが、記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出し実行して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行すること、及び/又は1つ以上の回路を制御して、前述の実施形態のうち1つ以上の機能を実行することによって実行される方法によって実現することもできる。
【0112】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、前述の方法、デバイス、システム、及びプロセッサ(前述のコンピュータ1200のプロセッサ、コンピュータ1200'のプロセッサ等)に関連付けられたコンピュータ可読記憶媒体は、図に例示されるような適切なハードウェアを利用して達成することができる。本開示の1つ以上の態様の機能は、図22に示されているような適切なハードウェアを利用して達成することができる。そのようなハードウェアは、標準のデジタル回路、ソフトウェア及び/又はファームウェアプログラムを実行するように動作可能な既知のプロセッサのいずれか、1つ以上のプログラム可能なデジタルデバイス又はシステム(プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、プログラマブルアレイロジックデバイス(PAL)等)のような、既知の技術を利用して実装することができる。CPU1201(図22又は図23に示される)は、1つ以上のマイクロプロセッサ、ナノプロセッサ、1つ以上のグラフィックスプロセシングユニット(「GPU」、ビジュアルプロセシングユニット(「VPU」)ともよればれる)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(「PPG」)、又は他のタイプの処理コンポーネント(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含んでもよく、かつ/又はそれから成ってもよい。更に、本開示の様々な態様は、適切な記憶媒体(例えばコンピュータ可読記憶媒体、ハードドライブ等)又は輸送性及び/又は配布のための媒体(フロッピーディスク、メモリチップ等)に格納することのできるソフトウェア及び/又はプログラムによって実装することができる。コンピュータは、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行するための別個のコンピュータ又は別個のプロセッサのネットワークを含んでよい。コンピュータ実行可能命令は、例えばネットワークク又は記憶媒体から、コンピュータに提供することができる。コンピュータ又はプロセッサ(例えば2、1200、1200'等)は、前述のCPU構造を含んでよく、又は、それらとの通信のためにそのようなCPU構造に接続することができる。
【0113】
前述のように、図23には、コンピュータ又はコンソール1200'の代替実施形態のハードウェア構造が示されている。コンピュータ1200'は、中央処理装置(CPU)1201、グラフィックスプロセシングユニット(GPU)1215、ランダムアクセスメモリ(RAM)1203、ネットワークインタフェースデバイス1212、操作インタフェース1214(ユニバーサルシリアルバス(USB)等)及びメモリ(ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ(SSD)1207等)を含む。好ましくは、コンピュータ又はコンソール1200'は、ディスプレイ1209を含む。コンピュータ1200'は、操作インタフェース1214又はネットワークインタフェース1212を介して、回転接合部(例えば図18のRJ、図20のRJ等)、モータPM、モータSM、及び/又はシステム(例えばシステム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のシステム/装置等)の1つ以上の他のコンポーネントと接続することができる。コンピュータ1200、1200'等のコンピュータは、1つ以上の実施形態では、RJ、PM及び/又はSMを含んでよい。操作インタフェース1214は、マウスデバイス1211、キーボード1210又はタッチパネルデバイス等の操作ユニットと接続される。コンピュータ1200'は、各コンポーネントの2つ以上を含んでよい。或いは、CPU1201又はGPU1215は、コンピュータ(コンピュータ1200、コンピュータ1200'等)の設計に応じて、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の処理ユニットによって置換することができる。
【0114】
少なくとも1つのコンピュータプログラムはSSD1207に格納されており、CPU1201は、少なくとも1つのプログラムをRAM1203にロードし、少なくとも1つのプログラムの命令を実行して、基本的な入力、出力、計算、メモリ書込み及びメモリ読取りのプロセスだけでなく、本明細書に記載の1つ以上のプロセスを実行する。
【0115】
コンピュータ(コンピュータ1200、1200'等)は、PIU110、回転接合部(例えばRJ等)、モータPM、モータSM、MCU112、カテーテル120、及び/又はシステム(システム100、100'、100''、100'''等)の1つ以上の他のコンポーネントと通信してイメージングを実行し、取得された強度データから画像を再構成する。モニタ又はディスプレイ1209は、再構成された画像を表示し、また、イメージング条件又はイメージング対象の物体に関する他の情報を表示することができる。また、モニタ1209は、例えばOCT又は他のイメージング技術(管腔エッジ及び/又はアーチファクトの検出等)の実行時、及び/又は自動プルバック技術の実行時に、ユーザがシステム(例えばシステム100システム100'、システム100''、システム100'''等)を操作するために、グラフィカルユーザインタフェースを提供する。操作信号は、操作ユニット(例えばマウスデバイス1211、キーボード1210、タッチパネルデバイス等)からコンピュータ1200'の操作インタフェース1214に入力され、操作信号に対応して、コンピュータ1200'は、システム(例えばシステム100、システム100'、システム100''、システム100'''、図1図23のシステム/装置等)に、イメージング条件を設定又は変更し、イメージングを開始又は終了し、かつ/又は、管腔検出、ステント検出、アーチファクト検出、血液クリアランス検出、及び/又は自動プルバック技術の実行を開始又は終了するように命令する。上記OCTシステムのレーザ源101は、ステータス情報及び制御信号を送受信するために、コンピュータ1200、1200'と通信するインタフェースを有してよい。
【0116】
同様に、本開示並びに/又はそのデバイス、システム及び記憶媒体及び/若しくは方法の1つ以上のコンポーネントは、光干渉断層撮影プローブと併せて用いることもできる。
【0117】
そのようなプローブは、米国特許第6,763,261号、第7,366,376号、第7,843,572号、第7,872,759号、第8,289,522号、第8,676,013号、第8,928,889号、第9,087,368号、第9,557,154号;並びに米国特許公開第2014/0276011号及び第2017/0135584号;並びにTearneyらに対するWO2016/015052に開示されるOCTイメージングシステムと、フォトルミネセンスイメージングを促進する構成及び方法(Tearneyらに対する米国特許第7,889,348号に開示されているもの等)と、米国特許第9,332,942号、米国特許公開第2010/0092389号、第2011/0292400号、第2012/0101374号、第2016/0228097号、第2018/0045501号及び第2018/0003481号に開示されたマルチモダリティイメージングを対象とする開示(特許及び特許公報の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)等を含む。前述したように、本開示の特徴又は態様はいずれも、WO2016/144878(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示された特徴と併用されてよい。前述したように、本開示の特徴又は態様はいずれも、米国特許公開第2019/0298174号;米国特許出願第16/131,662号;米国特許出願第16/414,222号(2019年5月16日出願);米国特許出願第62/901,472号;米国特許出願第62/925,655号;及び米国特許出願第62/944,064号(2019年12月5日出願)(各特許、公開及び出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたOCTイメージングシステム、装置、方法、記憶媒体及び他の態様又は特徴と併用されてよい。
【0118】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当然のことながら、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎず(それに限定されない)、本発明は開示の実施形態に限定されない。したがって、当然のことながら、例示の実施形態には多くの変更を加えることができ、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができる。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
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【外国語明細書】