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特開2022-31211ガス発生マイクロビーズを有するアーク抑制ヒューズ
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  • 特開-ガス発生マイクロビーズを有するアーク抑制ヒューズ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031211
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ガス発生マイクロビーズを有するアーク抑制ヒューズ
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/38 20060101AFI20220210BHJP
   H01H 85/42 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
H01H85/38
H01H85/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021127868
(22)【出願日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】63/062,595
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519226506
【氏名又は名称】リテルフューズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イルマ ヴァレリアーノ サントス
(72)【発明者】
【氏名】トッド ゴードン ディーチュ
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA05
5G502BA02
5G502BB04
5G502BB12
5G502BB14
5G502BC04
5G502BD04
5G502BE02
5G502BE03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】過電流状態下での電気アークを効果的に防止または抑制する。
【解決手段】ヒューズ本体12と、ヒューズ本体12の第1端部を覆う第1エンドキャップ18およびヒューズ本体12の第2端部を覆う第2エンドキャップ20と、ヒューズ本体12内に配置され、第1エンドキャップ18と、第2エンドキャップ20との間で延在することで、その間に導電性経路を提供する可融性要素24と、可融性要素24を囲んでヒューズ本体12内に配置された複数のガス発生マイクロビーズ28とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズ本体と、
前記ヒューズ本体の第1端部を覆う第1エンドキャップおよび前記ヒューズ本体の第2端部を覆う第2エンドキャップと、
前記ヒューズ本体内に配置され、前記第1エンドキャップと、前記第2エンドキャップとの間で延在することで、その間に導電性経路を提供する可融性要素と、
前記可融性要素を囲んで前記ヒューズ本体内に配置された複数のガス発生マイクロビーズと
を備える、アーク抑制ヒューズ。
【請求項2】
前記複数のガス発生マイクロビーズは、前記ヒューズ本体内での熱または圧力が増加すると破裂するように適合される、請求項1に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項3】
前記複数のガス発生マイクロビーズには、アーク消去ガスが充填される、請求項1または2に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項4】
前記アーク消去ガスは、窒素、二酸化炭素、および六フッ化硫黄のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項5】
前記複数のガス発生マイクロビーズには、蒸発時にアーク消去ガスを生成するガス発生材料が充填される、請求項1または2に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項6】
前記ガス発生材料は、メラミン、ジシアンジアミド、およびヘキサメチレンテトラミンのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項7】
前記複数のガス発生マイクロビーズは球状で、その最大寸法が最大1ミリメートルと測定される、請求項1から6のいずれか一項に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項8】
前記複数のガス発生マイクロビーズは、石油化学系プラスチックから形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項9】
前記可融性要素は、ヒューズワイヤ、波状ストリップ、および絶縁性コアに巻かれたヒューズワイヤの1つである、請求項1から8のいずれか一項に記載のアーク抑制ヒューズ。
【請求項10】
前記ヒューズ本体は、セラミックとガラスのうちの1つから形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のアーク抑制ヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年8月7日出願の米国仮特許出願第63/062,595号の利益を主張し、これらの仮特許出願は両方とも、その全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、回路保護デバイスの分野に関し、より具体的には、アーク抑制ヒューズに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒューズは、一般的に使用される回路保護デバイスであり、典型的には、電力源と、回路内の保護すべきコンポーネントとの間に設置される。一般的に「筒形ヒューズ」または「チューブヒューズ」呼ばれる、ヒューズの一種は、中空、電気絶縁性ヒューズ本体内に配置された、可融性要素を含む。過電流状態など、特定の故障条件が発生すると、可融性要素は溶ける、またはその他方法で開放し、電力源と、保護対象コンポーネントとの間に電流が流れるのを妨げる。
【0004】
過電流状態下でヒューズの可融性要素が溶けると、場合によっては可融性要素の分離部分間に電気アークが伝搬する可能性がある(例えば、溶けた可融性要素の蒸発粒子を介する)。この電気アークは、消さない限り、保護対象コンポーネントに、大量の続流が流れることを可能にし得る。その結果、可融性要素が物理的に開放しているにも関わらず、コンポーネントが損傷し得る。したがって、過電流状態下での電気アークを効果的に防止または抑制するヒューズを提供することが望ましい。
【0005】
これらおよび他の問題に関して本改善は有用であり得る。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の選択を簡単な形式で紹介するために提供されている。この概要には、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定する意図はなく、また特許請求される主題の範囲を決定するにあたり、その支援を行う意図もない。
【0007】
本開示に係るアーク抑制ヒューズの例示的実施形態は、ヒューズ本体と、上記ヒューズ本体の第1端部を覆う第1エンドキャップおよび上記ヒューズ本体の第2端部を覆う第2エンドキャップと、上記ヒューズ本体内に配置され、上記第1エンドキャップと、上記第2エンドキャップとの間で延在することで、その間に導電性経路を提供する可融性要素と、上記可融性要素を囲んで上記ヒューズ本体内に配置された複数のガス発生マイクロビーズとを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の例示的実施形態に係る、アーク抑制ヒューズを示す、等身大切欠き図である。
【0009】
図面は、必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる図示表現であり、本開示の特有のパラメータを表現することは意図されていない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことを意図しており、したがって範囲を限定するものと解されるべきではない。図面において、同様の番号は、同様の要素を表す。
【0010】
さらに、図の一部における特定の要素は、説明の明確さのために省略されてもよい、または縮尺通りに図示されない場合がある。断面図は、「スライス」の形態、または「近目で見た」断面図であってよく、説明の明確さのために、そうでなければ「本来の」断面図では見ることができる特定の背景線を省略している。さらに、明確さのために、一部の参照番号は、特定の図面では省略される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示によるアーク抑制ヒューズの実施形態が、ここで、添付図面を参照してより十分に説明される。添付図面には、本開示の好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本開示のアーク抑制ヒューズは、多数の異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではないことが理解されるであろう。むしろこれら実施形態は、本開示が包括的かつ完全となるようにし、当業者に対してアーク抑制ヒューズの範囲を十分に伝えるように提供されるものである。これらの図面では、特記しない限り、全体を通して類似の番号が類似の要素を指している。
【0012】
図1を参照すると、本開示の例示的実施形態に係るアーク抑制ヒューズ10(以下、「ヒューズ10」)を示す等身大切欠き図が示されている。ヒューズ10は、電気絶縁材料から形成された管状のヒューズ本体12を有する筒形ヒューズであり得る。本開示は、この点について限定されない。各種別の実施形態において、ヒューズ10は、表面実装ヒューズ、または全体的に中空のヒューズ本体を通じて延在する可融性要素を有するその他種類のヒューズであり得る。ヒューズ本体12は図1に示すように円筒形であり得るが、これは必須ではない。ヒューズ10の別の実施形態は、四角柱、楕円柱、三角柱などのヒューズ本体を含み得る。本開示は、この点について限定されない。ヒューズ10のヒューズ本体12は、セラミックまたはガラスを含むが、これに限定されない、電気絶縁性、および好ましくは耐熱性材料で形成され得る。
【0013】
ヒューズ本体12の両端に、一対の導電性エンドキャップ18、20が配置され得る。可融性要素24は、ヒューズ本体12の中空内部25を通じて延在し得、エンドキャップ18,20と、はんだなどにより、電気通信接続され得る。エンドキャップ18,20は、銅またはその合金の1つを含むが、これに限定されない導電性材料により形成され得、ニッケルまたはその他導電性耐食性コーティングでめっきされ得る。可融性要素24は、錫または銅を含むがこれに限定されない導電性材料より形成され得、予め定められた最大電流を超える電流量が可融性要素24を通じて流れる過電流状態などの、所定の故障条件発生時に、溶けて分離するように構成され得る。可融性要素24は、ヒューズワイヤ、波状ストリップ、絶縁性コアに巻かれたヒューズワイヤなどを含むがこれに限定されない、所望の用途に適した任意の種類の可融性要素であり得る。いくつかの実施形態において、可融性要素24は、ヒューズ本体12の中空内部25を通じて、斜めに延在し得る。本開示は、この点について限定されない。
【0014】
ヒューズ本体12の中空内部25には、多数のガス発生マイクロビーズ28(以下「マイクロビーズ28」)が、部分的または全体的に充填され得る。マイクロビーズ28は、その最大寸法が、1ミリメートル以下と測定される、略球状粒子であり得る。マイクロビーズ28は、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレンなどの石油化学系プラスチック、あるいはヒューズ10内での過電流状態の発生による熱および/または圧力を受けると破裂する、溶ける、またはその他方法で崩壊するように選択された同様のその他材料から形成され得る。本開示は、この点について限定されない。マイクロビーズ28には、アーク消去ガス(例えば、窒素、二酸化炭素、六フッ化硫黄など)、または蒸発時にアーク消去ガスを生成するガス発生材料(例えば、メラミン、ジシアンジアミド、ヘキサメチレンテトラミンなど)が充填され得る。
【0015】
ヒューズ10内に過電流状態が発生すると、可融性要素24は溶けて分離し得、その際に、ヒューズ本体12内で熱と圧力が増加し得る。この熱と圧力の増加が、マイクロビーズ28を破裂、溶かす、またはその他方法で崩壊させ得、これによりマイクロビーズ28内のアーク消去ガス(または蒸発時にアーク消去ガスを生成するガス発生材料)が放出可能となる。アーク消去ガスは、可融性要素24の分離端およびその間に跨る任意の電気アークから即座に熱を奪い得る。これにより、電気アークが消去され、このアークが伝搬または残存可能であった場合に、接続された電気コンポーネントに生じ得る損傷が防止または抑制される。
【0016】
本明細書で使用する場合、単数で記載され、「a」または「an」という語に続く要素または段階は、複数の要素または段階を除外するものと明示的に記載されない限り、複数の要素または段階を除外しないものと理解されたい。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、挙げられた特徴も組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図していない。
【0017】
本開示は特定の実施形態に言及しているが、添付の特許請求の範囲に定義される通り、記述した実施形態に対して多数の変形、代替および変更が本開示の範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本開示は記述した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される完全な範囲を持つことが意図される。
図1
【外国語明細書】