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特開2022-31225水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法
<図1>
  • 特開-水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法 図1
  • 特開-水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法 図2
  • 特開-水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法 図3
  • 特開-水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法 図4
  • 特開-水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法 図5
  • 特開-水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031225
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/10 20170101AFI20220210BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
A01K61/10
A61B6/03 360D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021128746
(22)【出願日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】202010781091.2
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PHOTOSHOP
(71)【出願人】
【識別番号】515236732
【氏名又は名称】曁南大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】許 忠能
(72)【発明者】
【氏名】塗 倩
(72)【発明者】
【氏名】林 小涛
(72)【発明者】
【氏名】喩 永輝
(72)【発明者】
【氏名】李 凌云
(72)【発明者】
【氏名】何 広斌
(72)【発明者】
【氏名】鍾 平
(72)【発明者】
【氏名】叶 錦韶
【テーマコード(参考)】
2B104
4C093
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104GA01
4C093FD08
4C093FF22
4C093FF23
4C093FF24
4C093FF28
4C093FF37
4C093FF42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法を提供すること。
【解決手段】水生動物の行動動画を取得し、CT断層走査時に動物の姿勢を決める際の使用に供するために、撮影した動物の行動動画を複数枚の写真に分解し、実際の動物の解剖とCT透視により、ある筋肉の特徴点を精確に抽出し、初歩的な筋肉特徴点方程式群を確立し、野外動画における水生動物の姿勢調整方程式のパラメータによって水生動物の運動過程においてその筋肉の3次元構造変化、筋肉形態の連続的な変形などの情報を取得し、写真中の動物の大きさと姿勢に基づき、筋肉特徴点方程式群を用いて、1つ又は複数の筋肉の空間形態構造を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法であって、
水生動物の行動動画を取得し、CT断層走査時に動物の姿勢を決める際の使用に供するために、撮影した動物の行動動画を複数枚の写真に分解するステップと、
CT断層走査写真を取得するステップと、
更に動画撮影とCT断層走査を行った動物の解剖を行い筋肉の形態構造分析を行うステップと、
筋肉の解剖構造に基づいてCT断層走査データ中の筋肉境界を決定し、異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行うステップと、
標識されたCT断層走査データの筋肉境界によって筋肉データを分離し、動物の特定の姿勢においてある筋肉の空間形態構造を記述できるだけでなく、同時に動物の運動過程においてある筋肉の空間形態構造変化過程を記述することもできる筋肉特徴点方程式群を構築するステップと、
個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析し、その個体の大きさと筋肉の大きさの関係の方程式群を用いて特定の大きさの動物のある筋肉の空間形態構造を計算するステップと、
現場や野外で撮影した動画中の動物の運動過程の筋肉の形態変化過程を分析し、現場や野外で撮影した動画を複数枚の写真に分解し、写真中の動物の大きさと姿勢に基づき、筋肉特徴点方程式群を用いて、1つ又は複数の筋肉の空間形態構造を算出するステップとを含むことを特徴とする、水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【請求項2】
動物の行動動画を取得する方法として、
複数台のカメラを用いて、異なる角度から1つの動物の行動動画を撮影し、動物の運動過程の身体の各点の空間動態データを取得することを特徴とする、
請求項1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【請求項3】
CT断層走査として、
動物の各活動関節のそれぞれの最大活動制限姿勢でCT断層走査を行う限界走査と、
動物の行動動画での動物の異なる姿勢でCT断層走査を行う動画姿勢走査とを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【請求項4】
筋肉境界を決定する際に、CT写真で研究されているある筋肉の境界がぼやけていて境界が全く写っていない場合、このとき、その筋肉の解剖学的構造の大きさと、隣接する断層写真に標識されている筋肉境界データに基づいて境界を分割することを特徴とする、
請求項1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【請求項5】
筋肉特徴点方程式群を構築する具体的な方法として、
CT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離してから、データを簡素化して、筋肉の三次元の細かい構造を描ける主要な特徴点データを残し、
これらの主要な特徴点データの空間距離及び/又は空間角度で筋肉の空間形態を走査し、
異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行い、
筋肉の異なる特徴点の空間距離/又は空間角度と動物姿勢パラメータとの間の関係式を確立し、筋肉特徴点方程式群を形成することを特徴とする、
請求項1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【請求項6】
前記個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析することは、具体的には、
同種動物の異なる大きさの個体を取り、同じ姿勢でそれぞれCT断層走査を行い、更にこれらの動物をそれぞれ解剖して、研究対象筋肉の空間サイズを取得し、更にCT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離し、特徴点を簡素化し、筋肉の異なる特徴点の空間距離及び/又は空間角度と動物の大きさとの関係式を確立し、個体の大きさと筋肉の大きさの関係を分析する方程式群を形成することを特徴とする、
請求項1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【請求項7】
筋肉透視効果動画を取得することを更に含み、具体的には、
特定の空間形態構造を持つ筋肉の透視図を写真に重ね合わせ、これらの写真を動画に繋ぎ合わせると、筋肉活動の透視効果のある動物運動動画が得られることを特徴とする、
請求項1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物運動力学の技術分野に属し、具体的には水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筋肉の活動は、動物の関連器官の活動を牽引し、動物の各種運動機能を完成させる。筋肉の形態変化は、筋肉の活動を反映する特徴であり、動物の運動力学の研究、運動系疾患の診療の重要な指標であり、また、関連するデータは、動物及び人の動きに関連するビデオ広告の特技効果を高めるために使用することができる。
【0003】
解剖により動物の筋肉の構造を観察・測定することができ、生体動物に対して、CT、核磁気共鳴、生体筋肉蛍光、偏光などの技術を利用して筋肉の静的透視図を得ることができる(呉佳君、2014;朱雨など,2019;Olszewskiなど,2009;Campなど,2018)。大型動物の結合境界が明らかな完全な筋肉は、区別できるかもしれないが、小型動物の筋肉及び大型動物の結合境界が明らかでない筋肉については、これらの図では区別できない。特定の装置内で動物を拘束する条件下で、超音波技術、生体筋蛍光などを用いて、ある動物の生体筋肉群の輪郭の変化を検出することができる(Wakelingなど,1999;Campなど,2018)。しかし、動物の運動過程においてある完全な筋肉のはっきりした境界の連続変化を測定した報告はまだ見られない。動物を拘束せず、特に野外で撮影した動物の運動動画において、現在、筋肉の連続的な変化を測定する方法はない。ビデオ広告作品の中には、動物の運動動画に筋肉の運動のカートゥーンを付けるものがあるが、リアルさは粗い。
【0004】
そのため、動物の運動における筋肉変化の測定では、現在解決されていない問題には、1)結合境界が明らかでないある完全な筋肉の形態変化を測定することが困難であること、2)野外で撮影した動画中の動物の筋肉の形態変化を測定することが困難であること、3)水生動物が水中で運動する場合、これらの問題の解決がより困難になることを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、従来技術の欠点と不足を克服し、具体的にある筋肉の3次元形態構造が動物の運動過程によって変化するデータを正確に測定することができる、水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法を開示し、水生動物の行動動画を取得し、CT断層走査時に動物の姿勢を決める際の使用に供するために、撮影した動物の行動動画を複数枚の写真に分解するステップと、CT断層走査写真を取得するステップと、更に動画撮影とCT断層走査を行った動物の解剖を行い筋肉の形態構造分析を行うステップと、筋肉の解剖構造に基づいてCT断層走査データ中の筋肉境界を決定し、異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行うステップと、標識されたCT断層走査データの筋肉境界によって筋肉データを分離し、動物の特定の姿勢においてある筋肉の空間形態構造を記述できるだけでなく、同時に動物の運動過程においてある筋肉の空間形態構造変化過程を記述することもできる筋肉特徴点方程式群を構築するステップと、個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析し、その個体の大きさと筋肉の大きさの関係の方程式群を用いて特定の大きさの動物のある筋肉の空間形態構造を計算するステップと、現場や野外で撮影した動画中の動物の運動過程の筋肉の形態変化過程を分析し、現場や野外で撮影した動画を複数枚の写真に分解し、写真中の動物の大きさと姿勢に基づき、筋肉特徴点方程式群を用いて、1つ又は複数の筋肉の空間形態構造を算出するステップとを含む。
【0007】
好ましくは、動物の行動動画を取得する方法として、複数台のカメラを用いて、異なる角度から1つの動物の行動動画を撮影し、動物の運動過程の身体の各点の空間動態データを取得する。
【0008】
好ましくは、CT断層走査として、動物の各活動関節のそれぞれの最大活動制限姿勢でCT断層走査を行う限界走査と、動物の行動動画での動物の異なる姿勢でCT断層走査を行う動画姿勢走査とを含む。
【0009】
好ましくは、筋肉境界を決定する際に、CT写真で研究されているある筋肉の境界がぼやけていて境界が全く写っていない場合、このとき、その筋肉の解剖学的構造の大きさと、隣接する断層写真に標識されている筋肉境界データに基づいて境界を分割する。
【0010】
好ましくは、筋肉特徴点方程式群を構築する具体的な方法として、CT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離してから、データを簡素化して、筋肉の三次元の細かい構造を描ける主要な特徴点データを残し、これらの主要な特徴点データの空間距離及び/又は空間角度で筋肉の空間形態を走査し、異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行い、筋肉の異なる特徴点の空間距離/又は空間角度と動物姿勢パラメータとの間の関係式を確立し、筋肉特徴点方程式群を形成する。
【0011】
好ましくは、前記個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析することは、具体的には、同種動物の異なる大きさの個体を取り、同じ姿勢でそれぞれCT断層走査を行い、更にこれらの動物をそれぞれ解剖して、研究対象筋肉の空間サイズを取得し、更にCT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離し、特徴点を簡素化し、筋肉の異なる特徴点の空間距離及び/又は空間角度と動物の大きさとの関係式を確立し、個体の大きさと筋肉の大きさの関係を分析する方程式群を形成する。
【0012】
好ましくは、筋肉透視効果動画を取得することを更に含み、具体的には、特定の空間形態構造を持つ筋肉の透視図を写真に重ね合わせ、これらの写真を動画に繋ぎ合わせると、筋肉活動の透視効果のある動物運動動画が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、従来の生体水生動物の運動における筋肉形態変化の測定及び表示技術と比較して、実動物の解剖と動物の運動姿勢による断層CT透視により、具体的にある筋肉の3次元形態構造が動物の運動過程によって変化するデータを正確に測定することができる。これらの筋肉形態の連続変形などの情報は、生物学・医学研究にとって極めて大きな参考価値を持つ。また、動物の動画や写真から筋肉の3次元構造モデルを算出することができ、このデジタル化された筋肉を実際の撮影動画や写真に重ね合わせることで、透視感がリアルである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法のフローチャートである。
図2】(a)~(c)は、本実施例の部分CT断層走査画像である。
図3】本実施例のティラピアの大側筋の解剖図である。
図4】本実施例の特徴データ点を60000個含むティラピア大側筋精細3Dモデルである。
図5】本実施例の特徴データ点を400個含むティラピア大側筋精細3Dモデルである。
図6】(a)及び(b)は、それぞれティラピア大側筋3Dモデルを一般図、骨格透視図に重ね合わせたものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の態様を当業者により良く理解させるために、本願の実施例の技術的解決手段を、本願の実施例の図面に関連して以下に明確かつ完全に説明する。記載された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施形態ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得られる他の全ての実施例は、全て本願の保護範囲内である。
【0016】
(実施例)
図1に示すように、本実施例は、水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法であって、動物の運動過程における具体的に1又は複数の筋肉の形態変化の様子を呈示するものであり、筋肉の形態の連続的な変形などのデータは、生物学・医学研究にとって極めて大きな参考価値を持つ。また、野外で撮影した動画や写真からこのデジタル化された筋肉の3次元モデルを算出でき、更に、実際に撮影された動画又は写真に重ね合わせ、分析データを有する透視効果を取得する。この測定及び表示方法は、以下のステップを含む。
【0017】
(1)動物の運動動画を取得する。動物の運動過程の身体の各点の空間動態データを取得するために、まず複数台のカメラを用いて、1つの動物の行動動画を異なる角度から撮影する。動画は、連続した写真で連続的に表示されてなるため、CT断層走査時に動物の姿勢を決める際の使用に供するために、撮影した動物の行動動画を複数枚の写真に分解する。
【0018】
より具体的には、本実施例では、ediusなどのソフトウェアを用いて、撮影された実験動物の行動動画を簡単動作動画セグメントに分割し、次に、Photoshopなどのソフトウェアを用いて、動作動画を1フレームの姿勢画像に分割する。
【0019】
(2)情報豊富なCT断層走査画像を取得する。CT断層走査として、動物の各活動関節のそれぞれの最大活動制限姿勢でCT断層走査を行う限界走査と、動物の行動動画での動物の異なる姿勢でCT断層走査を行う動画姿勢走査との両部分に分けられる。
【0020】
より具体的には、本実施例では、1フレームの姿勢画像と関節可動域に基づいて実験動物の姿勢を決め、CT断層走査を行う。
【0021】
(3)動画撮影とCT断層走査を行った動物の解剖を行って筋肉の形態構造分析を行う。動物のある筋肉を研究すれば、その筋肉を解剖して分離し、筋肉の境界を測定し、特徴部位を分析する。動物の複数の筋肉、更には各筋肉の解剖学的研究も可能である。
【0022】
(4)筋肉の解剖構造に基づいてCT断層走査データ中の筋肉境界を決定する。1つの姿勢のCT走査写真は、1000~2000枚あり、それ以上の場合もあり、研究対象筋肉を含むCT写真において、筋肉の境界を標識する。CT写真で研究対象となるある筋肉の境界がぼやけていて境界が全く写っていない場合、このとき、その筋肉の解剖学的構造の大きさと、隣接する断層写真に標識されている筋肉境界データに基づいて境界を分割する。異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行う。
【0023】
(5)標識されたCT断層走査データの筋肉境界によって筋肉データを分離し、筋肉特徴点方程式群を構築する。まず、CT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離してから、データを簡素化して、筋肉の三次元の細かい構造を描ける主要な特徴点データを残し、これらの主要な特徴点データの空間距離(場合によって空間角度を加えてもよい)で筋肉の空間形態を走査する。異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行う。筋肉の異なる特徴点の空間距離(場合によって空間角度を加えてもよい)と動物姿勢パラメータ(関節運動角度、脊椎の主軸の曲げ角度など)との間の関係式を確立し、筋肉特徴点方程式群を形成する。筋肉特徴点方程式群を利用して、動物の特定の姿勢においてある筋肉の空間形態構造を記述できるだけでなく、同時に動物の運動過程においてある筋肉の空間形態構造変化過程を記述することもできる。
【0024】
より具体的には、本実施例における具体的な実施形態では、Mimicsソフトウェアを利用して3Dイメージングを実現する→3DイメージングデータをCADソフトウェアに導入する→筋肉解剖境界データに基づいて精細なデータ点を使用する3Dデジタルモデルを決定する→データ点を減らしてより少ない特徴データ点を含む3Dデジタルモデルを形成する→特徴点パラメータと動物姿勢パラメータとの関係を分析して筋肉特徴点方程式群を形成する。
【0025】
(6)個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析する。研究対象の同種動物の異なる大きさの個体を取り、同じ姿勢でそれぞれCT断層走査を行い、更にこれらの動物をそれぞれ解剖して、研究対象筋肉の空間サイズを取得し、更に上記のステップに従ってCT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離し、特徴点を簡素化し、筋肉の異なる特徴点の空間距離(場合によって空間角度を加えてもよい)と動物の大きさとの関係式を確立し、個体の大きさと筋肉の大きさの関係を分析する方程式群を形成する。この個体の大きさと筋肉の大きさの関係の方程式群を利用して、特定の大きさの動物のある筋肉の空間形態構造を計算する。
【0026】
(7)現場や野外で撮影した動画中の動物の運動過程の筋肉の形態変化過程を分析する。現場や野外で撮影した動画を複数枚の写真に分解し、写真中の動物の大きさと姿勢に基づき、筋肉特徴点方程式群を用いて、ある(1つ又は複数の)筋肉の空間形態構造を算出する。筋肉透視効果動画の取得を希望する場合、特定の空間形態構造を持つ筋肉の透視図を写真に重ね合わせ、これらの写真を動画に繋ぎ合わせると、筋肉活動の透視効果のある動物運動動画が得られる。
【0027】
より具体的には、筋肉特徴点方程式群を用いて、現場又は野外の動物の運動動画を分析し、動物の運動過程における筋肉の3次元構造変化過程のデータを取得し、同時に筋肉の3次元構造変化を動画に重ね合わせて、筋肉活動透視効果を有する動物運動動画を形成する。
【0028】
以下、本実施例の技術的解決手段について、ティラピアを例にして更に説明する。
【0029】
研究目的:ティラピアの遊泳過程の大側筋の形態変化過程を理解し、養殖、動画特技作成、魚類運動力学研究の参考にする。
【0030】
プロセス:
まず複数台のカメラで異なる角度からティラピアの行動動画を撮影する→動画姿勢及び関節可動域に基づいてティラピアの姿勢を取りCT断層走査を行う→CT走査画像を取得する(図2(a)―図2(c)に示す)→Mimicsソフトウェアを用いてCT走査画像データを3Dイメージングする→3DイメージングデータをCADソフトウェアに導入する→姿勢ごとのデータのうち、筋肉解剖データ(図3に示す)及び骨格参照系に基づいて60000個の特徴データ点が含まれるティラピア大側筋精細3Dデジタルモデルを選別する(図4に示す)→400個の特徴データ点を含むティラピア大側筋粗輪郭の3Dデジタルモデルを選別する(図5に示す)→特定の大きさのティラピアの特定姿勢の大側筋形態変化を分析可能な筋肉特徴点方程式群を確立する。
【0031】
健康なティラピアと筋肉損傷ティラピアが体を曲げて起動する過程をティラピア大側筋特徴点方程式群を用いて分析した。その結果、健康なティラピアは、起動の過程で筋肉形態(各特徴点間の距離など)の変化幅が大きく明らかであったが、筋肉損傷の魚体は、筋肉形態の変化幅が小さかった。また、ティラピア大側筋3Dモデルを一般的な写真に重ね合わせることができ、図6(a)及び図6(b)に示すように、筋肉3Dモデルを重ね合わせた運動動画フレーム画像を、筋肉の3次元構造が動的に変化する透視効果を有するティラピア運動動画に連結することができる。
【0032】
上記実施例は、本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の精神及び原理から逸脱することなく行われる他の任意の変更、変更、置換、組み合わせ、簡略化は、本発明の範囲内に含まれる等価な置換であるべきである。
【0033】
[付記]
[付記1]
水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法であって、
水生動物の行動動画を取得し、CT断層走査時に動物の姿勢を決める際の使用に供するために、撮影した動物の行動動画を複数枚の写真に分解するステップと、
CT断層走査写真を取得するステップと、
更に動画撮影とCT断層走査を行った動物の解剖を行い筋肉の形態構造分析を行うステップと、
筋肉の解剖構造に基づいてCT断層走査データ中の筋肉境界を決定し、異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行うステップと、
標識されたCT断層走査データの筋肉境界によって筋肉データを分離し、動物の特定の姿勢においてある筋肉の空間形態構造を記述できるだけでなく、同時に動物の運動過程においてある筋肉の空間形態構造変化過程を記述することもできる筋肉特徴点方程式群を構築するステップと、
個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析し、その個体の大きさと筋肉の大きさの関係の方程式群を用いて特定の大きさの動物のある筋肉の空間形態構造を計算するステップと、
現場や野外で撮影した動画中の動物の運動過程の筋肉の形態変化過程を分析し、現場や野外で撮影した動画を複数枚の写真に分解し、写真中の動物の大きさと姿勢に基づき、筋肉特徴点方程式群を用いて、1つ又は複数の筋肉の空間形態構造を算出するステップとを含むことを特徴とする、水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【0034】
[付記2]
動物の行動動画を取得する方法として、
複数台のカメラを用いて、異なる角度から1つの動物の行動動画を撮影し、動物の運動過程の身体の各点の空間動態データを取得することを特徴とする、
付記1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【0035】
[付記3]
CT断層走査として、
動物の各活動関節のそれぞれの最大活動制限姿勢でCT断層走査を行う限界走査と、
動物の行動動画での動物の異なる姿勢でCT断層走査を行う動画姿勢走査とを含むことを特徴とする、
付記1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【0036】
[付記4]
筋肉境界を決定する際に、CT写真で研究されているある筋肉の境界がぼやけていて境界が全く写っていない場合、このとき、その筋肉の解剖学的構造の大きさと、隣接する断層写真に標識されている筋肉境界データに基づいて境界を分割することを特徴とする、
付記1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【0037】
[付記5]
筋肉特徴点方程式群を構築する具体的な方法として、
CT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離してから、データを簡素化して、筋肉の三次元の細かい構造を描ける主要な特徴点データを残し、
これらの主要な特徴点データの空間距離及び/又は空間角度で筋肉の空間形態を走査し、
異なる姿勢でのCT断層走査データに対してすべて同じ処理を行い、
筋肉の異なる特徴点の空間距離/又は空間角度と動物姿勢パラメータとの間の関係式を確立し、筋肉特徴点方程式群を形成することを特徴とする、
付記1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【0038】
[付記6]
前記個体の大きさと筋肉の大きさの数量関係を分析することは、具体的には、
同種動物の異なる大きさの個体を取り、同じ姿勢でそれぞれCT断層走査を行い、更にこれらの動物をそれぞれ解剖して、研究対象筋肉の空間サイズを取得し、更にCT断層走査データのうち筋肉境界内のすべての3次元データ点をすべて分離し、特徴点を簡素化し、筋肉の異なる特徴点の空間距離及び/又は空間角度と動物の大きさとの関係式を確立し、個体の大きさと筋肉の大きさの関係を分析する方程式群を形成することを特徴とする、
付記1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
【0039】
[付記7]
筋肉透視効果動画を取得することを更に含み、具体的には、
特定の空間形態構造を持つ筋肉の透視図を写真に重ね合わせ、これらの写真を動画に繋ぎ合わせると、筋肉活動の透視効果のある動物運動動画が得られることを特徴とする、
付記1に記載の水生動物の運動過程における筋肉変形の測定及び表示方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6