(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031230
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】安全弁を有する流体吐出装置
(51)【国際特許分類】
F16K 17/04 20060101AFI20220210BHJP
E03C 1/084 20060101ALI20220210BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F16K17/04 D
F16K17/04 C
F16K17/04 Z
E03C1/084
E03C1/042 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021128906
(22)【出願日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020000019291
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】521346748
【氏名又は名称】ニクレス・インター・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】NIKLES INTER AG
【住所又は居所原語表記】Arlesheimerstrasse, 5, 4147 AESCH - SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ゲールハルト・ニクレス
【テーマコード(参考)】
2D060
3H059
【Fターム(参考)】
2D060BC00
2D060BE15
2D060BF03
2D060CC03
2D060CC12
3H059AA02
3H059BB35
3H059CA05
3H059CA23
3H059CC02
3H059CC06
3H059CC11
3H059CD05
3H059CF04
3H059EE01
3H059FF02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】極端な過剰圧力により、吐出装置又は給水パイプの破損を防止する、安全弁及び吐出装置を提供する。
【解決手段】流体の入口開口部10、前記流体の出口開口部12、前記入口開口部を前記出口開口部に流体接続する前記流体のための主通路、弁座18を通して前記出口開口部と流体連通する少なくとも1つの流体リリーフ開口部16を形成する弁体と、弾性手段によって通常は付勢されて前記弁座を封止的に閉鎖し、前記出口開口部内の前記流体の圧力が前記弾性手段によって加えられる力を超えたときに前記弁座を開放するように、前記弁座と弾性的に協働するシャッタ20と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路からの流体流れの吐出を制御するための安全弁であって、
- 流体の入口開口部、前記流体の出口開口部、前記入口開口部を前記出口開口部に流体接続する前記流体のための主通路、及び弁座を通して前記出口開口部と流体連通する少なくとも1つの流体リリーフ開口部を形成する弁体と、
- 弾性手段によって通常は付勢されて前記弁座を封止的に閉鎖し、前記出口開口部内の前記流体の圧力が前記弾性手段によって加えられる力を超えたときに前記弁座を開放するように、前記弁座と弾性的に協働するシャッタと、
を備える、安全弁。
【請求項2】
前記出口開口部に向かって開放しており、前記少なくとも1つのリリーフ開口部と連通しているシャッタチャンバが前記弁体内にあり、シャッタ挿入部が、前記シャッタと、前記シャッタチャンバに封止連結し、かつ前記シャッタチャンバ内に収容されている前記シャッタのための前記弁座を画定する環状部分とを備える、請求項1に記載の安全弁。
【請求項3】
前記弁体は、
- 前記入口開口部を形成する第1の開放端、前記出口開口部を形成する第2の開放端、及び前記少なくとも1つのリリーフ開口部がある側壁を有する外側管状部分と、
- 前記外側管状部分内に収容されたカートリッジ部分と、
を備え、前記シャッタチャンバ及び前記主通路は前記カートリッジ部分内にある、請求項1又は2に記載の安全弁。
【請求項4】
前記シャッタは、前記弁座の前進閉位置と、前記弁座の後退開位置との間で前記シャッタチャンバ内を移動可能である、請求項2又は3に記載の安全弁。
【請求項5】
前記シャッタは、前記シャッタが前進位置にあるときに前記弁座と封止係合するのに好適なシャッタ部分と、前記シャッタ部分から延在するガイド軸部とを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の安全弁。
【請求項6】
前記シャッタ挿入部は、前記ガイド軸部を摺動して支持するガイド部分を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の安全弁。
【請求項7】
前記弾性手段は、圧縮によって前記シャッタに作用するつる巻きばねである、請求項1~6のいずれか一項に記載の安全弁。
【請求項8】
前記カートリッジ部分は、前記シャッタチャンバがある中央部分と、前記外側管状部分の前記側壁に封止連結した周囲部分とを備え、前記主通路は、前記周囲部分を横断する複数のチャネルによって形成されており、前記弁座をそれぞれのリリーフ開口部と連通状態にする半径方向スリットが、前記周囲部分の軸方向中間部分にある、請求項3~7のいずれか一項に記載の安全弁。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の安全弁と、前記安全弁の前記出口開口部に接続されたエアレータとを備える、液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、導管からの流体流れの、より具体的には、衛生器具、例えば水栓から吐出される水流の吐出を制御するための安全弁に関する。更に、本発明の目的は、安全弁を備えた、液流、例えば水を吐出するための装置である。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本発明は、限定するものではないが、主に、水栓取付け具の分野に該当し、当該分野では、通常「エアレータ」という用語で特定される付属品を吐水開口部に接続することが知られており、このエアレータは、水を空気と混合してより均一かつ滑らかに流れるようにし、またフィルタの役目も果たすことができる。
【0003】
[0003] 例えば、特に鉱水があるなどの特定の場合において、エアレータが、結局は完全に塞がってしまい、その結果、吐出装置(dispensing device)内で水の圧力が予期しないほど、また危険なほど増加する可能性があることがわかっている。極端な過剰圧力により、吐出装置又は給水パイプの破損を招く可能性もある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明の目的は、上述の欠点を取り除くことが可能な安全弁及び吐出装置を提案することである。
【0005】
[0005] かかる目的は、請求項1に記載の安全弁、及び請求項9に記載の吐出装置によって達成される。従属請求項は、安全弁及び吐出装置の好ましい又は有利な実施形態について記載している。
【0006】
[0006] 本発明に係る安全弁及び吐出装置の更なる特徴及び利点については、いずれの場合でも、以下の添付図面を参照して、単に非限定的に示す例として与えられるそれらの好ましい実施形態の下記の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007] 組み立て前の安全弁及びエアレータを備える、本発明に係る吐出装置の斜視図である。
【
図2】[0008] 組み立て前の安全弁及びエアレータの軸方向断面図を示す。
【
図3】[0009] 組み立て済みの吐出装置の上部斜視図である。
【
図4】[0010] 吐出装置の上部平面図である。
【
図5】[0011] 安全弁が閉位置にある状態の吐出装置の軸方向断面図である。
【
図5a】安全弁が開位置にある状態の吐出装置の軸方向断面図である。
【
図6】[0012] 本発明に係る吐出装置を設けた水栓を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0013] 本発明に係る流体の吐出を制御するための安全弁は、上記図面において全体として数字1で示される。
【0009】
[0014] この実施形態では、安全弁1は、エアレータ2と組み合わせて水流の単一の吐出装置3を形成する。
図6に示すように、このような水流の吐出装置3は、水栓4の吐出口に接続するのに好適である。
【0010】
[0015] 当業者には、いずれの場合でも、以下の説明から、安全弁1の下流で流体の圧力の増加が生じる可能性がある場合、他の状況でも安全弁1を使用することができることが明らかである。
【0011】
[0016] 一般的な実施形態において、安全弁1は弁体8を備え、この弁体8は、流体の入口開口部10、流体の出口開口部12、入口開口部10を出口開口部12に流体接続する、流体のための主通路14を形成する。
【0012】
[0017] 弁体8は、弁座18を通して出口開口部12と流体連通する少なくとも1つの流体リリーフ開口部16も形成する。
【0013】
[0018] 安全弁1はシャッタ20を備え、このシャッタ20は、弾性手段22によって通常は付勢されて弁座18を封止的に閉鎖し、出口開口部12内の流体の圧力が、弾性手段22によって加えられる力を超えたときに弁座18を開放するように、弁座18と弾性的に協働する。
【0014】
[0019] 例えば、部分的又は完全に塞がったエアレータ2によって、出口開口部12が何らかの方法で絞られ、又は更には完全に閉鎖されると、出口開口部12内の流体の圧力は増加する。
【0015】
[0020] したがって、安全弁の通常動作時、すなわち、この圧力の増加が、弾性手段22の力によって決まる既定しきい値を超えて生じないときは、シャッタ20は弁座18を閉鎖し、したがって、入口流体は出口開口部12を通って安全弁1を出る。
【0016】
[0021] 出口開口部12内で過剰圧力が発生した場合には、シャッタ20が弁座18を開放し、それによって、加圧流体を、リリーフ開口部16を通して外側に向けて排出することが可能となる。次いで、流体の圧力は直ちに既定しきい値を下回るようになり、流体吐出システムの完全性を損なうリスクを回避する。
【0017】
[0022] 一実施形態では、出口開口部12に向かって開放しており、かつ少なくとも1つのリリーフ開口部16と連通しているシャッタチャンバ24が弁体8内にある。シャッタ20と、シャッタチャンバ24と封止連結し、かつシャッタ20と協働する弁座18を画定する環状部分28とを備えるシャッタ挿入部26が、このシャッタチャンバ24内に収容されている。
【0018】
[0023] 例えば、シャッタチャンバ24は、形状が実質的に円筒状であり、チャンバ開口部24’が安全弁1の出口開口部12に直接面している。環状部分28は、形状がトロイド状とすることができ、「C」状断面が外向きに開放して封止要素28’、例えばOリングを収容しており、この封止要素28’は、チャンバ開口部24’の境界を定めるシャッタチャンバ24の壁と協働する。
【0019】
[0024] 一実施形態では、シャッタ挿入部26は、形状連結及び/又は力連結でシャッタチャンバ24に挿入される。力連結は、封止要素28’とシャッタチャンバ24の壁との間の締め代によって得ることができる。
【0020】
[0025] 更に、一実施形態では、シャッタチャンバ24は、チャンバ開口部24’とは反対側の端部で閉鎖しており、シャッタ挿入部26のためのアバットメント30を形成する。
【0021】
[0026] 図面に示す一実施形態では、弁体8は、外側管状部分80と、外側管状部分80内に封止的に収容されたカートリッジ部分100とによって形成される。
【0022】
[0027] 外側管状部分80は、入口開口部10を形成する第1の開放端82と、出口開口部12を形成する第2の開放端84との間に延在する。外側管状部分80は、少なくとも1つのリリーフ開口部16がある側壁86を有する。
【0023】
[0028] 図示の一実施形態では、外側管状部分80は、本体軸Xを中心として延在する。例えば、外側管状部分80は、形状が実質的に円筒状である。
【0024】
[0029] 第1の端部82は、例えば、環状封止ガスケット90を介在させて水栓4のスパウトの吐出口にねじ込むための外ねじ82を有することができ、第2の端部84は、例えば、エアレータ2をねじ留めするための内ねじ84を有することができる。
【0025】
[0030] 一実施形態では、本体軸Xを中心として均等に分散した、いくつかのリリーフ開口部16が側壁86にある。
【0026】
[0031] シャッタチャンバ24及び主通路14は、カートリッジ部分100内にある。
【0027】
[0032] 一実施形態では、カートリッジ部分100は、シャッタチャンバ24がある中央部分102と、外側管状部分80の側壁86の内面と封止連結する周囲部分104とを備える。
【0028】
[0033] 特に
図4からわかるように、一実施形態では、主通路14は、例えば、本体軸Xを中心として均一に分散して存在する、周囲部分104を横断する複数のチャネル14’によって形成される。したがって、かかるチャネル14’は、中央部分102を取り囲んでいる。
【0029】
[0034] 弁座18をそれぞれのリリーフ開口部16と連通状態にする半径方向スリット106が、周囲部分104の軸方向中間部分にある。
【0030】
[0035] 換言すれば、各半径方向スリット106は、シャッタチャンバ24と連通している。
【0031】
[0036] 次にシャッタ挿入部26に戻ると、一実施形態では、シャッタ20は、弁座18の前進閉位置(
図5)と、弁座18の後退開位置(
図5a)との間でシャッタチャンバ24内を軸方向に並進可能である。
【0032】
[0037] より詳細にいえば、シャッタ20は、シャッタ20が前進位置にあるときに弁座18と封止係合するのに好適なシャッタ部分202と、シャッタ部分202から延在するガイド軸部204とを備える。
【0033】
[0038] 一実施形態では、シャッタ挿入部26は、例えば、環状要素28と一体でつくられたフレーム262を備え、このフレーム262は、ガイド軸部204を摺動して支持するガイド部分264を形成する。
【0034】
[0039] 一実施形態では、弾性手段22は、圧縮によってシャッタ20に作用するつる巻きばねである。つる巻きばねは、例えば、ガイド軸部204を中心として延在し、シャッタ部分202に作用する端部と、フレーム262に当接する他端部とを有することができる。
【0035】
[0040] 上述のように、本発明の目的は、上述の安全弁1と、安全弁1の出口開口部12に接続される既知のタイプのエアレータ2とを使用する、液体、特に水のための吐出装置3である。
【0036】
[0041] エアレータ2には、従来通りに、外側管状部分80の第2の端部84にねじ込まれる雄ねじ付き取付け部分2’を設けることができる。
【0037】
[0042] 一実施形態では、例えば、カートリッジ部分100の周囲部分104に接する環状封止要素5を、エアレータ2とカートリッジ部分100との間に介在させることができる。
【0038】
[0043] 一実施形態では、エアレータ2に面するカートリッジ部分100の端部は、エアレータ自体から離隔しており、それによって液体出口チャンバ6を形成し、この液体出口チャンバ6に、チャネル14’が通じており、また弁座18が面している。
【0039】
[0044] エアレータ2が閉塞した場合、この出口チャンバ6内に収集された液体は、シャッタ20が弁座18の後退開位置(
図5a)に並進することを引き起こす圧力レベルに達し得る。それにより、出口チャンバ6は、半径方向スリット106、したがってリリーフ開口部16と流体連通するようになる。
【0040】
[0045] 他の適用例では、強制的に流体流れが出口開口部12ではなくリリーフ開口部16を通るようにするために、出口開口部12の下流での圧力の増加を、任意の方法で、例えば手動でも出口開口部12に栓をすることによって引き起こすこともできることに留意されたい。
【0041】
[0046] 当業者は、以下の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、本発明に係る安全弁及び吐出装置の実施形態に変更及び改変を加えることができ、又は、要素を機能的に同等な他の要素と置き換えることができる。可能な実施形態に属すると上述したすべての特徴を、記載された他の実施形態に関係なく実現することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
[0003] 例えば、特に鉱水があるなどの特定の場合において、エアレータが、結局は完全に塞がってしまい、その結果、吐出装置(dispensing device)内で水の圧力が予期しないほど、また危険なほど増加する可能性があることがわかっている。極端な過剰圧力により、吐出装置又は給水パイプの破損を招く可能性もある。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 中国特許第102671791号
[特許文献2] 中国特許出願公開第104971834号
[特許文献3] 米国特許出願公開第2018/112380号
[特許文献4] 米国特許第4862913号
[特許文献5] 欧州特許出願公開第0190965号
【外国語明細書】