IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニクレス・インター・アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031231
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】配水用の連結システム
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/24 20060101AFI20220210BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20220210BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20220210BHJP
【FI】
F16L33/24
E03C1/02
F16L33/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021128907
(22)【出願日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】202020000004645
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】521346748
【氏名又は名称】ニクレス・インター・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】NIKLES INTER AG
【住所又は居所原語表記】Arlesheimerstrasse, 5, 4147 AESCH - SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ゲールハルト・ニクレス
【テーマコード(参考)】
2D060
3H017
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AB00
2D060AC00
2D060AC03
3H017BA01
3H017KA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クランプ中に加えられる力に耐えるのに好適な機械的特性を有する連結システムを提供する。
【解決手段】家庭用システムにおける配水のための連結システムであって、水圧コネクタへの連結に好適な少なくとも1つの端部を有する可撓性パイプ2と、前記可撓性パイプ2の前記端部に軸方向に係合する少なくとも1つの中空挿入部3、6と、ここにおいて、前記中空挿入部3、6は、前記パイプ2の前記端部の自由端に当接するフランジ形状のヘッド部分31、61と、前記ヘッド部分31、61から前記パイプ2の前記端部内に延在する補強部分32、62とを備え、前記パイプ2の前記端部上に機械的にクランプされた少なくとも1つの環状ブッシング4と、前記パイプ2の前記端部上に取り付けられ、前記水圧コネクタへの連結のための手段を備える少なくとも1つの連結要素5と、を備える、連結システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用システムにおける配水のための連結システム(1)であって、
i)水圧コネクタへの連結に好適な少なくとも1つの端部を有する可撓性のパイプ(2)と、
ii)前記パイプ(2)の前記端部に軸方向に係合する少なくとも1つの中空挿入部(3、6)と、ここで、前記中空挿入部(3、6)は、
-前記パイプ(2)の前記端部の自由端に当接するフランジ形状のヘッド部分(31、61)と、
-前記ヘッド部分(31、61)から前記可撓性のパイプ(2)の前記端部内に延在する補強部分(32、62)と、を備えており、
iii)前記パイプ(2)の前記端部上に機械的にクランプされた少なくとも1つの環状ブッシング(4)と、
iv)前記パイプ(2)の前記端部上に取り付けられ、前記水圧コネクタへの連結のための手段を備える少なくとも1つの連結要素(5)と、
を備える、連結システム(1)。
【請求項2】
前記中空挿入部(6)は、前記補強部分(62)とは反対の方向に前記ヘッド部分(61)から延在する中空ピン(63)を備え、回転可能な環状要素(7)が、回転が可能な状態で前記中空ピン(63)の周りに取り付けられており、前記連結要素(5)が前記水圧コネクタと一体であるときに、回転している前記パイプ(2)を前記連結要素(5)から分離するのに好適である、請求項1に記載の連結システム(1)。
【請求項3】
前記パイプ(2)は、内側PVC層と、外側PVC層と、長手方向のねじれ繊維を備える中間層とを備え、銀色塗装を備える、請求項1又は2に記載の連結システム(1)。
【請求項4】
前記パイプ(2)は、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られている、請求項1~3のいずれか一項に記載の連結システム(1)。
【請求項5】
前記中空挿入部(3、6)は、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られている、請求項1~4のいずれか一項に記載の連結システム(1)。
【請求項6】
前記回転可能な環状要素(7)は、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られている、請求項2に記載の連結システム(1)。
【請求項7】
前記回転可能な環状要素(7)は、例えばOリングなどの水圧封止要素(71)を収容している、請求項2又は6に記載の連結システム(1)。
【請求項8】
前記連結要素(5)は、回転可能な環状要素(7)のための台座を内部に備える、請求項2~7のいずれか一項に記載の連結システム(1)。
【請求項9】
前記中空挿入部(3、6)は、前記補強部分(32、62)に沿って互いに軸方向に離隔した1つ又は複数の環状歯部(35、65)を備え、前記環状歯部は、前記パイプ(2)の内壁に係合する、請求項1~8のいずれか一項に記載の連結システム(1)。
【請求項10】
家庭用システムにおける配水のための連結システム(1)であって、
i)水圧コネクタへの連結に好適な少なくとも1つの端部を有する可撓性のパイプ(2)と、ここで、前記端部は、前記パイプ(2)と共成形された末端部(8)を備え、前記末端部(8)及び前記パイプ(2)は、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られており、
ii)前記末端部(8)が設けられた前記パイプの前記端部上に取り付けられ、前記水圧コネクタへの連結のための手段を備える少なくとも1つの連結要素(5)と、
を備える、連結システム(1)。
【請求項11】
DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られた回転ブッシング(9)が、前記末端部(8)内に挿入されるガイド部分(91)と、前記末端部(8)の縁部に当接するフランジ付きヘッド(92)とを有し、前記共成形された末端部(8)内に挿入されている、請求項10に記載の連結システム(1)。
【請求項12】
逆止め弁(11)又はフローリミッタ(10)が、前記共成形された末端部(8)内に挿入されている、請求項11に記載の連結システム(1)。
【請求項13】
前記連結要素(5)は、例えばOリングなどの少なくとも1つの水圧シールを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の連結システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、家庭用システムにおける配水のための連結システムに関する。
【0002】
[0002] 本発明は、家庭用配管システムの技術分野に該当する。
【0003】
[0003] 配管システムという用語は、蛇口又は他の水圧コネクタによって配水及び水の利用を可能にする家庭用システムを意味する。
【背景技術】
【0004】
[0004] 家庭用配水システムへの連結を可能にする様々な材料で作られたパイプのソリューションが、先行技術から知られている。
【0005】
[0005] 最も一般的なモデルの中では、金網で作られたパイプが知られており、他のソリューションよりもコストが高いことを特徴とするが、スケーリングの蓄積に関連する欠点を有し、シャワーヘッド及び/又は蛇口の破損が生じる可能性がある。
【0006】
[0006] 更に、金属パイプのソリューションは、酸化する傾向にあり、結果として表面光沢が失われたりさびが発生したりするため、比較的頻繁なメンテナンス及び交換が必要となる。
【0007】
[0007] したがって、例えばABS又はPVCなどのプラスチック材料で作られた様々なモデルのパイプが先行技術から知られており、それらは、上述の欠点を部分的に解決するが、クランプ圧に対して可撓性及び抵抗性があまりないので、最終的には時間が経つと突然故障することになる。
【0008】
[0008] 更に、このようなプラスチップパイプは、時間が経つと水の局所的蓄積による汚れが出てくる傾向にあり、最終的にあまり衛生的でなくなり、したがって飲料水と接触するには好適でなくなり、また見た目も悪くなる。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 本発明の目的は、上記技術分野に該当し、クランプ中に加えられる力に耐えるのに好適な機械的特性を有する連結システムを提供することである。
【0010】
[00010] 本発明の更なる目的は、上述の機械的特性と、長期にわたり水と接触するのに好適な衛生特徴を組み合わせることである。
【0011】
[00011] かかる目的は、請求項1及び請求項11に記載の連結システムによって達成される。それらに従属する請求項は、追加の特徴の保護を求め、追加の技術的利点を暗示するものである。
【0012】
[00012] 更に、本発明の更なる特徴及び利点については、以下の添付図面を参照して、非限定的な例として与えられる好ましい実施形態の下記の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】[00013] 一実施形態における、本発明に係る連結システムの構成部品の分解図を示す。
図1b】一実施形態における、本発明に係る当該構成部品のアセンブリ構成を示す。
図2】[00014] 一実施形態における、組立て済みの連結システムの一端の詳細を示す。
図3a】[00015] 一実施形態における、本発明に係る連結システムの一部の構成部品の分解斜視図を示す。
図3b】一実施形態における、本発明に係る連結システムの一部の構成部品の、部品が組立てられた状態の斜視図を示す。
図3c】一実施形態における、本発明に係る連結システムの一部の構成部品の軸方向断面図を示す。
図4a】[00016] 一実施形態における連結システムの端部の軸方向断面図を示す。
図4b】一実施形態における連結システムの端部の軸方向断面図を示す。
図5a】[00017] 構造上の変形例における、連結システムの構成部品の軸方向断面図である。
図5b】構造上の変形例における、連結システムの構成部品の軸方向断面図である。
図5c】構造上の変形例における、連結システムの構成部品の軸方向断面図である。
図5d】構造上の変形例における、連結システムの構成部品の軸方向断面図である。
図5e】構造上の変形例における、連結システムの構成部品の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[00018] 図1a及び図1bを参照すると、参照番号1は、本発明に係る連結システム全体を示す。
【0015】
[00019] 本発明によれば、連結システム1は、図示していない水圧コネクタへの連結に好適である少なくとも1つの端部を有する可撓性パイプ2を備える。
【0016】
[00020] 例えば、本発明に係る連結システムは、シャワーの壁掛け水圧コネクタにシャワーヘッドを連結することができ、又は、例えばキッチンシンクなどのシンクの蛇口のスパウトを家庭用配管システムに連結することができる。
【0017】
[00021] 本発明の一実施形態によれば、パイプ2は、内側PVC層と、外側PVC層と、長手方向のねじれ繊維を備える中間層とを備え、銀色塗装を備える。
【0018】
[00022] 更に、本発明の一実施形態では、当該パイプ2は、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られている。
【0019】
[00023] 換言すれば、パイプ2は、水を長期にわたり人間が消費するのに好適なものにする特性を変えることのない、配管システムによって供給される飲料水と接触するのに好適な材料で作られている。
【0020】
[00024] 本発明の図のいずれか1つを参照すると、連結システム1は、可撓性パイプ2の2つの両端部の少なくとも1つに軸方向に係合する、少なくとも1つの中空挿入部3、6を備える。
【0021】
[00025] 一実施形態によれば、中空挿入部3、6は、パイプ2の自由端に当接する、フランジのような形状を有するヘッド部分31、61を備える。補強部分32、62が、ヘッド部分31、61から延在しており、パイプ2の端部内部に収容される。
【0022】
[00026] 挿入部3、6は、好ましくは、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で一体に作られている。
【0023】
[00027] 換言すれば、挿入部3、6は、水を長期にわたり人間が消費するのに好適なものにする特性を変えることのない、配管システムによって供給される飲料水と接触するのに好適な材料で作られている。
【0024】
[00028] 図1及び図2を参照すると、連結システム1は、パイプ2の端部上に機械的にクランプされた環状ブッシング4を備え、この環状ブッシング4は、挿入部3、6の補強部分32、62を収容する。
【0025】
[00029] 換言すれば、クランプ動作後、環状ブッシング4は、パイプ2の端部及び中空挿入部3、6を互いに一体にする。これにより、中空挿入部3、6は、パイプ2に対して軸方向に並進できない。
【0026】
[00030] 一実施形態によれば、特に図1図4a、及び図4bを参照すると、中空挿入部3、6は、補強部分32、62に沿って互いに軸方向に離隔した1つ又は複数の環状歯部35、65を備える。
【0027】
[00031] クランプ後、これらの環状歯部35、65は、パイプ2の内壁に係合して、内壁と相互に貫入する。更に、パイプ2内に存在する加圧水によって中空挿入部に加えられる推力が更に、環状歯部35、65をパイプ2の壁に貫入させる一因となるように、環状歯部35、65の向きを選択することができる。
【0028】
[00032] 本発明によれば、特に図1を参照すると、連結システム1は少なくとも1つの連結要素5を備え、この連結要素5は、例えば切頭円錐形状を有し、パイプ2の端部上に取り付けられ、水圧コネクタへの連結のための手段を備える。
【0029】
[00033] 連結要素5により、家庭用システムの水圧コネクタに連結システムを実際に連結することが可能となる。
【0030】
[00034] 一実施形態では、連結手段は、ねじ付きの連結手段である。例えば、連結手段は、連結要素5の側壁の内面にあるねじ55を備える。
【0031】
[00035] 特に図4bに示す更なる実施形態では、挿入部6は、補強部分62とは反対の方向にヘッド部分61から延在する中空ピン63を備える。例えば、中空ピン63は、中空挿入部6と一体に作られている。
【0032】
[00036] かかる実施形態によれば、図3a、図3b、及び図3cを参照すると、回転可能な環状要素7が、回転が可能な状態で中空ピン63の周りに取り付けられており、連結要素5が水圧コネクタと一体であるときに、回転しているパイプ2を連結要素5から分離するのに好適である。
【0033】
[00037] 換言すれば、回転可能な環状要素7があることにより、連結システムを使用しているときの連結要素5に対するパイプ2の角度位置を変化させることが可能となる。
【0034】
[00038] 好ましくは、回転可能な環状要素7もまた、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られている。
【0035】
[00039] 一実施形態によれば、回転可能な環状要素7は、例えばOリングなどの水圧封止要素71を収容しており、この水圧封止要素71は、中空ピン63の側壁と協働する。
【0036】
[00040] 換言すれば、水圧封止要素71により、挿入部6と、それが挿入されるパイプ2の端部との間の水圧連続性を達成する。
【0037】
[00041] 一実施形態では、連結要素5は、環状要素7のための台座を内部に形成する。
【0038】
[00042] 図5a、図5b、図5cに示す構造上の変形例では、パイプ2の端部は、パイプ2と共成形された末端部を備える。
【0039】
[00043] 末端部8及びパイプ2は、好ましくは、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られている。
【0040】
[00044] 図5aに示す一実施形態によれば、例えばDVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られた回転ブッシング9が、共成形された末端部8内に挿入される。
【0041】
[00045] かかる回転ブッシング9は、好ましくは、共成形された末端部8内に挿入されるガイド部分91と、共成形された末端部8の縁部に当接するフランジ付きヘッド92とを備える。
【0042】
[00046] 図5bに示す本発明の一実施形態によれば、逆止め弁11が、共成形された末端部8内に挿入される。
【0043】
[00047] 図5cに示す本発明の一実施形態によれば、フローリミッタ10が、共成形された末端部8内に挿入される。
【0044】
[00048] 本発明の好ましい実施形態によれば、連結要素5は、例えばOリングなどの少なくとも1つの水圧シールを備える。
【0045】
[00049] 上記から、考案された連結システムが、先行技術の典型的な欠点を克服することによって、対象とする目的を広く果たすことが明らかである。
【0046】
[00050] 関係するプラスチックが、加えられた圧力により曲がることも損傷を受けることもないので、中空挿入部により最適なクランプが可能となり、したがって、パイプが突然故障するリスクが減少する。
【0047】
[00051] 有利なことに、クランプ後、中空挿入部の歯部も、局所的にパイプの内壁に相互に貫入し、したがって、内圧により挿入部が軸方向に外れるリスクを回避する。
【0048】
[00052] 有利なことに、いくつかの実施形態では、連結システムは、自由に正逆回転できる要素を装備した端部を有し、パイプが絡まるのを防止する。
【0049】
[00053] 有利なことに、本発明に記載の連結システムもまた、DVGW W270:2007規格に準拠する材料で作られており、それにより、長い期間にわたる長期使用でも飲料水と接触するのに特に好適である。
【0050】
[00054] 更に有利なことに、連結システムは、プラスチック材料で作られたパイプを備え、したがって、あまり高価でなく、同時に可撓性及び耐久性がある。
【0051】
[00055] いくつかの実施形態では、パイプは、スケーリングによって腐食されない耐久性のある銀色塗料で塗装されているので、見た目がよくなる。
【0052】
[00056] あり得る必要性を満たすために、当業者が、上述の発明に変更を加えることができることは明らかであり、そのすべてが、以下の特許請求の範囲によって規定される保護範囲内に含まれる。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
【外国語明細書】