(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031305
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】蒸気供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220210BHJP
A24F 40/44 20200101ALI20220210BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20220210BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/44
A24F40/70
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021194568
(22)【出願日】2021-11-30
(62)【分割の表示】P 2020506197の分割
【原出願日】2018-08-17
(31)【優先権主張番号】1713681.3
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】エンジェル, テリー リー
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン, アレックス
(57)【要約】
【課題】蒸気供給システムに使用するための新規な気化器アセンブリを提供する。
【解決手段】本発明は、蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリに関するものである。この気化器アセンブリは、綿から形成された液体移送要素と、液体移送要素の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素とを備え、この加熱要素は、1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する。この加熱要素は、1.32オーム超、1.34オーム超、1.36オーム超、及び1.38オーム超からなる群から選択された電気抵抗を有することが好ましい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿から形成された液体移送要素と、
前記液体移送要素の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素と
を備える、蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリであって、
前記加熱要素が1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する、気化器アセンブリ。
【請求項2】
前記加熱要素が、1.32オーム超、1.34オーム超、1.36オーム超、及び1.38オーム超からなる群から選択された電気抵抗を有する、請求項1に記載の気化器アセンブリ。
【請求項3】
前記加熱要素が、1.5オーム未満、1.48オーム未満、1.46オーム未満、1.44オーム未満、1.42オーム未満からなる群から選択された電気抵抗を有する、請求項1又は2に記載の気化器アセンブリ。
【請求項4】
前記コイルが、2.0mm超、2.1mm超、2.2mm超、2.3mm超、及び2.4mm超からなる群から選択された外径を有し、及び/又は前記コイルが、3.0mm未満、2.9mm未満、2.8mm未満、2.7mm未満、及び2.6mm未満からなる群から選択された外径を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項5】
前記加熱要素が前記液体移送要素に沿って、3mm超、3.5mm超、4mm超、及び4.5mm超からなる群から選択された距離だけ延びており、及び/又は、前記加熱要素が前記液体移送要素に沿って、8mm未満、7.5mm未満、7mm未満、6.5mm未満、6mm未満、及び5.5mm未満からなる群から選択された距離だけ延びている、請求項1~4のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項6】
前記液体移送要素が、10mm超、12mm超、14mm超、16mm超、及び18mm超からなる群から選択された長さを有し、及び/又は前記液体移送要素が、30mm未満、28mm未満、26mm未満、24mm未満、及び22mm未満からなる群から選択された長さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項7】
前記コイルを構成する前記抵抗線が、0.15mm超、0.16mm超、0.17mm超、0.18mm超からなる群から選択された直径を有し、及び/又は前記コイルを構成する前記抵抗線が、0.23mm未満、0.22mm未満、0.21mm未満、0.19mm未満からなる群から選択された直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項8】
前記コイルが前記液体移送要素の周囲に6~12回の間の完全ターンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項9】
前記コイルが、0.45mm超、0.45mm超、0.5mm超、及び0.55mm超からなる群から選択されたピッチを有し、及び/又は前記コイルが、0.85mm未満、0.8mm未満、0.75mm未満、0.7mm未満、及び0.65mm未満からなる群から選択されたピッチを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項10】
前記コイルに電気的に接続された第1の接続リード線及び第2の接続リード線をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項11】
前記液体移送要素が綿糸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項12】
前記液体移送要素が、撚り合わされた2本以上の綿糸を含む、請求項11に記載の気化器アセンブリ。
【請求項13】
前記液体移送要素が、2.7mm超、2.8mm超、2.9mm超、3.0mm超、3.1mm超、3.2mm超、3.3mm超、及び3.4mm超からなる群の中から選択された非圧縮直径を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項14】
前記液体移送要素が、4.5mm未満、4.4mm未満、4.3mm未満、4.2mm未満、4.1mm未満、4.0mm未満、3.9mm未満、3.8mm未満、3.7mm未満、及び3.6mm未満からなる群の中から選択された非圧縮直径を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項15】
前記液体移送要素を構成する綿が、15mm超、20mm超、25mm超、及び30mm超からなる群から選択された平均長を有する繊維を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項16】
前記液体移送要素が、0.5g/m超、0.6g/m超、0.7g/m超、0.8g/m超、0.9g/m超、1.0g/m超、1.1g/m超、1.2g/m超、及び1.3g/m超からなる群の中から選択された線質量を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項17】
前記液体移送要素が、2.5g/m未満、2.4g/m未満、2.3g/m未満、2.2g/m未満、2.1g/m未満、2.0g/m未満、1.9g/m未満、1.8g/m未満、1.7g/m未満、1.6g/m未満、及び1.5g/m未満からなる群の中から選択された線質量を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項18】
前記コイル内の前記液体移送要素の前記一部分が前記コイルによって圧縮されるので、その断面積が非圧縮液体移送要素と比較して25%超だけ低減される、請求項1~17のいずれか一項に記載の気化器アセンブリ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の気化器アセンブリと、原料液体のリザーバとを備える装置であって、前記液体移送要素が、原料液体を前記リザーバから、使用者が吸入する蒸気を生成するための加熱用の前記加熱要素まで引き込むように配置されている、装置。
【請求項20】
当該装置が、蒸気供給システムに使用するためのカートリッジである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
当該装置が、蒸気供給システムであり、コントローラ及びバッテリーをさらに備え、前記コントローラが、前記バッテリーから前記気化器アセンブリへの電力の供給を選択的に制御するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
綿から形成された液体移送手段と、
前記液体移送手段の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素と
を備える、蒸気供給手段に使用するための気化器アセンブリ手段であって、
前記加熱要素が1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する、気化器アセンブリ手段。
【請求項23】
液体移送要素を供給するステップと、
前記液体移送要素の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素を形成するステップと
を含む、蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリを製造する方法であって、
前記加熱要素が1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する、気化器アセンブリを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコ及び同様のもの)等の蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)のような電子蒸気供給システムは、一般に、典型的にはニコチンを含む配合物を含有する原料液体(source liquid)のリザーバのような蒸気前駆材料を包含し、この材料から、例えば、熱気化を通じて、蒸気が使用者による吸引のために生成される。それゆえ、蒸気供給システムは、通例、前駆材料の一部分を気化させ、蒸気生成チャンバ内に蒸気を生成するために配置された気化器アセンブリを包含する蒸気生成チャンバを備えることになる。気化器アセンブリは、原料液体をリザーバから気化用のヒータコイルまで移送するように配置されている液体移送要素(毛細管ウィック)の周囲に配置されたヒータコイルを備えることが多い。使用者がデバイスを吸い、電力が気化器アセンブリに供給されると、空気が入口孔を通してデバイスに吸い込まれ、蒸気生成チャンバに入り、そこで、空気は、気化された前駆材料と混合して凝縮エアロゾルを形成する。蒸気生成チャンバとマウスピース内の開口部とを接続する空気チャネルが存在し、これにより、蒸気生成チャンバを通して吸い込まれた空気は、使用者がマウスピースを吸うと、流路に沿ってマウスピース開口部へ進み、使用者による吸引のための蒸気が空気と共に運ばれる。
【0003】
蒸気供給システムの気化器アセンブリに関連する態様の設計は、例えば、漏洩を低減する助けになるという点、所望のレベルの蒸気生成を実現する助けになるという点、並びに、気化液体の補充があまり早くないことに起因して香料が望ましくないものになり得る過熱の可能性を低減する助けになるという点で、システムの全体の動作において重要な役割を果たすことができる。これらの課題のうちの一部への対処を助けることを追求する様々な手法について、以下、本書において説明する。
【発明の概要】
【0004】
特定の実施形態の第1の態様によれば、蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリが提供され、この気化器アセンブリは、綿から形成された液体移送要素と、液体移送要素の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素とを備え、この加熱要素は、1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する。
【0005】
特定の実施形態の第2の態様によれば、特定の実施形態の第1の態様の気化器アセンブリと、原料液体のリザーバとを備える装置が提供され、液体移送要素は、原料液体をリザーバから、使用者が吸入する蒸気を生成するための加熱用の加熱要素まで引き込むように配置されている。
【0006】
特定の実施形態の第3の態様によれば、蒸気供給手段に使用するための気化器アセンブリ手段が提供され、この気化器アセンブリ手段は、綿から形成された液体移送手段と、液体移送手段の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素とを備え、この加熱要素は1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する。
【0007】
特定の実施形態の第4の態様によれば、蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリを製造する方法が提供され、この方法は、液体移送要素を供給するステップと、液体移送要素の一部分の周囲にある抵抗線からなるコイルを含む加熱要素を形成するステップとを含み、この加熱要素は1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する。
【0008】
本開示の様々な態様に関連して本書に記載の本発明の特徴及び態様は、本書に記載の特定の組み合わせだけでなく、必要に応じて別の態様による本開示の実施形態に等しく適用可能であり、それと組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0009】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の特定の実施形態によるカートリッジ及びコントロールユニット(分離して示す)を備える蒸気供給システムを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の蒸気供給システムのカートリッジの構成要素を概略的に示す分解組立斜視図である。
【
図3A】
図1の蒸気供給システムのカートリッジのハウジング部分を概略的に示す断面図である。
【
図3B】
図1の蒸気供給システムのカートリッジのハウジング部分を概略的に示す別の断面図である。
【
図3C】
図1の蒸気供給システムのカートリッジのハウジング部分を概略的に示すさらに別の断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による蒸気供給システムに液体移送要素として使用するための材料を形成する方法のステップを概略的に示すフロー図である。
【
図5】本開示の一実施形態による蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリを形成する方法のステップを概略的に示すフロー図である。
【
図6】本開示の一実施形態による気化器アセンブリを概略的に示す図である。
【
図7】
図1及び
図2に示された種類の蒸気供給システムによって生成された蒸気の量を異なるウィック材料及び異なる様々なコイル抵抗について概略的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について、本書にて論じ説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来どおり実施することができ、これらについては、話を簡潔にする目的で、詳細には論ぜず説明もしない。したがって、本書にて言及するが詳細には説明していない装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の手法によって実施できることを理解されたい。
【0012】
本開示は、eシガレット等の、エアロゾル供給システムとも呼ばれることがある、蒸気供給システムに関する。以下の説明全体にわたって、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は、蒸気供給システム/デバイス及び電子蒸気供給システム/デバイスと互換的に使用することができることを理解されたい。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」、「揮発」及び「エアロゾル化」等の関連の用語は一般に、互換的に使用され得る。
【0013】
蒸気供給システム(eシガレット)は、常にとは限らないが、多くの場合、再使用可能部分(コントロールユニット部分)及び交換可能(使い捨て)カートリッジ部分の両方を含むモジュール式アセンブリを備える。多くの場合、交換可能カートリッジ部分は、蒸気前駆材料及び気化器アセンブリを備え、再使用可能部分は電源(例えば、再充電可能バッテリー)及び制御回路を備える。これらの異なる部分は機能性に応じてさらなる要素を備え得ることは理解されるであろう。例えば、再使用可能デバイス部分は、使用者による入力を受け取り、動作ステータス特性を表示するためのユーザインターフェースを備えることがあり、交換可能カートリッジ部分は、温度の制御を助けるための温度センサを備えることがある。カートリッジは、例えば、適切に係合する電気接点を有するねじ式、ラッチ式又はバヨネット式の固定具を用いて、使用のためにコントロールユニットに電気的且つ機械的に結合される。カートリッジ内の蒸気前駆材料が使い果たされるか、又は使用者が、異なる蒸気前駆材料を有する異なるカートリッジに交換したいと希望した場合、カートリッジがコントロールユニットから取り外され、交換カートリッジがその代わりに取り付けられてもよい。この種の2パートモジュール式の構成に適合するデバイスは、概して、2パートデバイスと称され得る。電子タバコが概して細長い形状を有するのも一般的である。具体例を提供するために、本書において説明される本開示の特定の実施形態は、使い捨てカートリッジを利用するこの種の概して細長い2パートデバイスを含むと理解されたい。しかし、本書において説明される基本原理は、異なる電子タバコ構成、例えば、単一パートデバイス、若しくは二つを超える部分を備えるモジュール式デバイス、詰め替え式デバイス及び一回限りの使い捨てデバイス、並びに例えば、通例、より箱状の形状を有する、いわゆるボックスモッド(box-mod)高性能デバイスに基づく、他の全体形状に適合するデバイスのために等しく採用され得ることは理解されるであろう。より一般的には、本開示の特定の実施形態は、本書に記載の原理による蒸気供給システムの最適な気化器アセンブリ動作を助けようとする手法に基づいていること、並びに本開示の特定の実施形態による手法を実現する他の電子タバコの構造的及び機能的態様は、第一義的に重要なものではなく、例えば、任意の確立された手法によって実現され得ることが理解されよう。
【0014】
図1は、本開示の特定の実施形態による例示的な蒸気供給システム/デバイス(eシガレット)1の概略的な斜視図である。電子タバコの様々な態様の相対位置に関する位置用語(例えば、上方、下方、上、下、上部、下部等の用語)は、本書では、
図1に示された電子タバコの向きを基準として用いられ得る(特にことわらない限り)。しかし、これは単に説明をしやすくするためであり、使用の際に何か必要とされる向きが電子タバコにあることを示すものではないことを理解されたい。
【0015】
eシガレット1は、2つの主要な構成要素、すなわちカートリッジ2及びコントロールユニット4を備える。コントロールユニット4及びカートリッジ2は、
図1では分離して示されているが、使用時に結合される。
【0016】
カートリッジ2とコントロールユニット4は、これらの間に機械的及び電気的接続を確立することによって結合される。機械的及び電気的接続部が確立される特定の方法は、本書に記載の原理には第一義的に重要なものではなく、従来の技法によって、例えば、2つの部分間の電気的接続を必要に応じて確立するための適切に配置された電気接点/電極を有する、ねじ式、バヨネット式、ラッチ式又は摩擦嵌め式の機械的固定手段に基づいて確立することができる。
図1に示された例示的な電子タバコ1では、カートリッジは、マウスピース端52及びインターフェース端54を備え、カートリッジのインターフェース端にてインターフェース端部分6をコントロールユニットの対応するレセプタクル8/受け部に挿入することによって、コントロールユニットに結合される。カートリッジのインターフェース端部分6は、レセプタクル8に対する締まり嵌め部であり、突起56を含み、この突起は、カートリッジとコントロールユニットの間の解除可能な機械的係合部を形成するようにレセプタクル8を画定するレセプタクル壁12の内面の、対応する戻り止め部と係合する。電気的接続が、カートリッジの下部の一対の電気接点(
図1には示されていない)と、レセプタクル8のベースにおける対応のばね式接点ピン(
図1には示されていない)とを介して、コントロールユニットとカートリッジの間に確立される。上記のように、電気的接続が確立される特定の態様は、本書に記載の原理には重要ではなく、実際いくつかの実施態様では、例えば、再使用可能部分からカートリッジへの電力の送出を無線にすることができるので(例えば、電磁誘導技法に基づいて)、カートリッジとコントロールユニットとの間に電気的接続が全くないこともある。
【0017】
電子タバコ1は、長手方向軸線Lに沿って延びる実質的に細長い形状を有する。カートリッジがコントロールユニットに結合されているとき、この例における電子タバコの(長手方向軸線に沿った)全長は約12.5cmになる。コントロールユニットの全長は約9cmであり、カートリッジの全長は約5cmである(すなわち、これらが結合されているとき、カートリッジのインターフェース端部分6とコントロールユニットのレセプタクル8の間に約1.5cmの重なりがある)。電子タバコは、実質的に楕円形の、電子タバコの中間付近で最大である断面を有し、端部に向かって湾曲したように先細になっている。電子タバコの中間付近の断面は、約2.5cmの幅及び約1.7cmの厚さを有する。カートリッジの端部は、約2cmの幅及び約0.6cmの厚さを有するのに対し、電子タバコの他方の端部は、約2cmの幅及び約1.2cmの厚さを有する。電子タバコの外側ハウジングは、この例ではプラスチックから形成されている。電子タバコの特定のサイズ及び形状と、これを作るための材料とは、本書に記載の原理には第一義的に重要なものではなく、別の実施態様では異なり得ることを理解されたい。すなわち、本書に記載の原理は、異なるサイズ、形状及び/又は材料を有する電子タバコにも同様に採用することができる。
【0018】
本開示の特定の実施形態によるコントロールユニット4は、その機能及び一般的な構築技法の点で概して従来型としてもよい。
図1の例では、コントロールユニット4は、レセプタクル壁12を含むプラスチック製の外側ハウジング10を備え、このレセプタクル壁は、上記のようにカートリッジの端部を受けるためのレセプタクル8を画定する。この例のコントロールユニット4の外側ハウジング10は、カートリッジ2の形状及びサイズに一致する実質的に楕円形の断面をそのインターフェース部に、これら2つの部分間が滑らかに遷移するように有する。レセプタクル8とカートリッジ2の端部6が180°回転させたときに対称であるので、カートリッジは、2つの異なる向きでコントロールユニットに挿入することができる。いくつかの実施態様では、カートリッジが1つの向きでしかコントロールユニットと連結可能にならないように、いかなる度合いの回転対称性もあり得ないが、別の実施態様では、カートリッジがより多くの向きでコントロールユニットと連結可能になるように、高い度合いの回転対称性があり得ることを理解されたい。レセプタクル壁12は、2つのコントロールユニット空気入口開口部14(すなわち、壁の孔)を含む。使用の際、使用者がデバイスを吸うと、空気がこれらの孔を通り、カートリッジ部分2と、カートリッジ部分の平坦部7のそばに設けられたレセプタクル壁12との間のそれぞれの隙間に沿って、カートリッジ部分54のインターフェース端に向かって引き込まれ、ここで空気は、カートリッジのベース端の開口部を通ってカートリッジに入る(カートリッジへの空気入口は
図1では見えない)。平坦部7から離れていても、カートリッジ2のインターフェース端部分6がレセプタクル壁12と気密封止を形成していないので、引き込まれたいくらかの空気は、カートリッジとコントロールユニット4の間の隙間を通ってカートリッジに引き込まれることもあると理解されたい。
【0019】
コントロールユニットは、電子タバコに動作電力を供給するバッテリー16、電子タバコの動作を制御し監視するためのコントロール回路18、ユーザ入力ボタン20、インジケータ灯22、及び充電ポート24をさらに備える。
【0020】
この例におけるバッテリー16は再充電可能であり、従来型のもの、例えば、電子タバコ、及び比較的短い期間にわたって比較的高い電流の供給を必要とする他の用途において通常用いられる種類のものとすることができる。バッテリー16は、充電ポート24を介して再充電することができ、この充電ポートは、例えばUSBコネクタを備えることができる。
【0021】
この例における入力ボタン20は、例えば、下層の回路の電気的な接触を行うために使用者によって押圧され得る、ばね取付式の構成要素を備える従来の機械式ボタンである。この点に関して、入力ボタンは、例えば蒸気生成を開始するための使用者による入力を検出する入力デバイスと考えてもよく、ボタンが実装される特定の方法は重要でない。例えば、他の形の機械式ボタン、又はタッチ感知ボタン(例えば、容量式若しくは光学式感知技法に基づく)が、別の実施態様で用いられてもよく、或いはボタンがなくてもよく、デバイスは、蒸気生成を開始するのにパフ検出器に依拠することもできる。
【0022】
インジケータ灯22は、電子タバコに関連する様々な特性の視覚表示、例えば、動作状態(例えば、オン/オフ/スタンバイ)、及びバッテリー寿命又は故障状態等の、他の特性の表示を使用者に与えるために設けられている。様々な特性が、例えば、一般的な従来の技法による、様々な色及び/又は様々な点滅順序によって表示され得る。
【0023】
制御回路18は、電子タバコを制御するための確立された技法に従って従来の動作機能を実現するように電子タバコの動作を制御するために、適切に構成/プログラムされる。制御回路(プロセッサ回路)18は、電子タバコの動作の色々な態様に関連する様々なサブユニット/回路要素を論理的に備えると考えることができる。例えば、異なる実施態様で提供される機能によっては、制御回路18は、使用者による入力に応じてバッテリーからカートリッジへの電力供給を制御するための電源制御回路と、使用者による入力に応じて構成設定(例えば、ユーザ定義電力設定)を確立するためのユーザプログラミング回路と、並びに本書に記載の原理による機能に関連する他の機能ユニット/回路と、インジケータ灯表示駆動回路及びユーザ入力検出回路等の電子タバコの従来の動作態様とを含む。制御回路18の機能は、例えば、適切にプログラムされた一つ以上のプログラム可能コンピュータ、及び/又は所望の機能を提供するように構成されている適切に構成された一つ以上の特定用途向け集積回路/回路/一つ以上のチップ/一つ以上のチップセットを用いて、様々な異なる方法で提供できることを理解されたい。
【0024】
図2は、カートリッジ2の分解斜視図である(長手方向軸線Lに沿って分解されている)。カートリッジ2は、ハウジング部分32と、空気チャネル封止部34と、出口管38と、ヒータ40及び液体移送要素42を含む気化器アセンブリ36と、弾性プラグ44と、コンタクト電極46を有するエンドキャップ48とを備える。
【0025】
図3Aは、ハウジング部分32の、ハウジング部分32が最も薄いところでの、長手方向軸線Lに沿っての概略断面図である。
図3Bは、ハウジング部分32の、ハウジング部分32が最も幅広いところでの、長手方向軸線Lに沿っての概略断面図である。
図3Cは、長手方向軸線Lに沿って見たハウジング部分の、インターフェース端部54からの(すなわち、
図3A及び
図3Bの向きで下から見た)概略図である。
【0026】
この例のハウジング部分32は、この例ではポリプロピレンの単一の成形品から形成されているハウジング外壁64及びハウジング内側管62を備える。ハウジング外壁64はカートリッジ2の外観を画定し、ハウジング内側管62は、空気チャネルがカートリッジを貫通する部分を画定する。ハウジング部分は、カートリッジのインターフェース端54では開いており、カートリッジのマウスピース端52では、ハウジング内側管62と流体連通しているマウスピース開口部/蒸気出口60を除いて閉じている。ハウジング部分32の外壁64は孔を備え、この孔は、カートリッジが組み立てられるときにエンドキャップ48の対応するラッチ突起70を受けて、ハウジング部分に対してエンドキャップを固定するように配置されたラッチ凹部68になる。
【0027】
空気チャネル封止部34は、貫通孔80を有する実質的に管の形のシリコン成形品である。空気チャネル封止部34の外壁は、環状の隆起部84及び上部カラー82を含む。空気チャネル封止部34の内壁も環状の隆起部を含むが、これらは
図2では見えない。カートリッジが組み立てられると、空気チャネル封止部34は、ハウジング内側管62の一端が空気チャネル封止部34の貫通孔80の中に一部延びている状態で、ハウジング内側管62に取り付けられる。空気チャネル封止部の貫通孔80は、その弛緩状態で約5.8mmの直径を有するのに対し、ハウジング内側管62の端部は約6.2mmの直径を有し、それにより、ハウジング内側管62を受け入れるよう空気チャネル封止部34が伸ばされると封止部が形成される。この封止は、空気チャネル封止部34の内面の隆起部によって助長される。
【0028】
出口管38は、内径が約8.6mmで壁厚が約0.2mmであるANSI 304ステンレス鋼の管状セクションを備える。出口管38の下端は、直径方向に互いに対向する一対のスロット88を含み、各スロットの端部は半円形凹部90を有する。カートリッジが組み立てられるとき、出口管38は、空気チャネル封止部34の外面に嵌まる。空気チャネル封止部の外径は、その弛緩状態で約9.0mmであり、それにより、空気チャネル封止部34が圧縮されて出口管38の内部に嵌合すると、封止部が形成される。この封止部は、空気チャネル封止部34の外面の隆起部84によって助長される。空気チャネル封止部34のカラー80は、出口管38のストッパになる。
【0029】
液体移送要素42は毛細管ウィックを含み、ヒータ40は、毛細管ウィックに巻かれた抵抗線を含む。
【0030】
ヒータ40になる、毛細管ウィック42に巻かれた抵抗線の部分に加えて、気化器アセンブリ36は電気リード線41をさらに備え、この電気リード線は、弾性プラグ44の貫通孔を通過してエンドキャップ54に取り付けられたコンタクト電極46に至り、カートリッジがコントロールユニットに連結されたときに確立される電気的インターフェースを介して、電力がヒータ40に供給されることを可能にする。ヒータリード線41は、毛細管ウィックに巻かれてヒータ40を形成する抵抗線と同じ材料を含むものとすることができるが、この例ではヒータリード線41は、毛細管ウィックに巻かれたヒータ抵抗線に接続されている別の材料(低抵抗材料)を含む。この例では、ヒータ40はニッケルクロム(ニクロム)合金線を含み、ウィック42は有機綿を含み、ヒータリード線41は、はんだ接合部43でヒータコイル40のそれぞれの端部にはんだ付けされたN6ニッケル線を含む。本開示の別の実施形態による気化器アセンブリのいくつかのさらなる態様及び特徴については、以下でさらに説明する。
【0031】
カートリッジが組み立てられるとき、ウィック42は出口管38の半円形凹部90で受けられ、その結果、加熱コイルが巻き付けられているウィックの中心部が出口管の内側にあり、ウィックの端部が出口管38の外側にあるようになる。
【0032】
この例の弾性プラグ44は、シリコンの単一の成形品を含む。弾性プラグは、外壁102を有するベース部分100と、ベース部分100から上向きに延びる、且つベース部分100を通る中心貫通孔(
図2では見えない)を取り囲む内壁104とを備える。カートリッジが組み立てられ使用されているとき、エンドキャップ54の開口部を通ってカートリッジに入る空気は、弾性プラグ44の中心貫通孔を通り抜けて気化器アセンブリ36のヒータ40の近傍に引き込まれる。
【0033】
弾性プラグ44の外壁102はハウジング部分32の内面と合致し、それにより、カートリッジが組み立てられると、弾性プラグ44はハウジング部分32と封止部を形成する。弾性プラグ44の内壁104は出口管38の内面と合致し、それにより、カートリッジが組み立てられると、弾性プラグ44は出口管38ともまた封止部を形成する。内壁104は、直径方向に対向する一対のスロット108を含み、各スロットの端部は半円形凹部110を有する。カートリッジが組み立てられたときに、液体移送要素42の一セクションを受けるように形作られたクレードルセクション112が、内壁104の各スロットの下部から外向き(すなわちカートリッジの長手方向軸線から遠ざかる方向)に延びる。弾性プラグ44の内壁に設けられたスロット108及び半円形凹部110と、出口管38のスロット88及び半円形凹部90とが位置合わせされ、それにより、出口管38のスロット88は、クレードル112のそれぞれを出口管及び弾性プラグのそれぞれの半円形凹部と対応させて、液体移送要素42が通過する孔を画定するように協働する。液体移送要素が通る半円形凹部によって形成される孔のサイズは、液体移送要素のサイズ及び形状と緊密に対応するが、わずかに小さいので弾性プラグ44の弾性によってある程度押し縮められる。これにより、液体が毛細管作用によって液体移送要素をたどって移送されることが、毛細管作用によって移送されない液体が開口部を通過できる程度を制限しながら、可能になる。上記のように、弾性プラグ44は、カートリッジが組み立てられたときにヒータコイル40の接触リード線41が通る開口部をベース部分100にさらに含む。この例では、弾性プラグのベース部分の下部は、ベース部分の下部の残りの面とエンドキャップ48との間のオフセットを維持するスペーサ116を含む。これらのスペーサ116は、ヒータコイルの電気接触リード線41が通る開口部を含む。
【0034】
エンドキャップ48は、一対の金メッキ銅電極ポスト46が取り付けられているポリプロピレン成形品を含む。
【0035】
エンドキャップの下部側の電極ポスト46の端部は、エンドキャップ48によって形成されたカートリッジのインターフェース端54とほぼ同一平面にある。これらの端部は、カートリッジが組み立てられコントロールユニットと連結されたときに、対応して位置合わせされたコントロールユニットのばね式接点が接続する電極の部分になる。カートリッジの内側の電極ポストの端部はエンドキャップ48から、接触リード線41が通る弾性プラグ44の孔の中に延びる。電極ポストは、孔に対してわずかに大きくなっており、電極ポストが弾性プラグの弾性によりヒータ40の接触リード線41との加圧接触状態に維持されるところの、弾性プラグ44の孔に挿入しやすくするために、その上端部に面取りを含む。
【0036】
エンドキャップは、ベースセクション124と、ハウジング部分32の内面と合致する直立壁120とを有する。エンドキャップ48の直立壁120はハウジング部分32に挿入されるので、カートリッジが組み立てられたときに、ラッチ突起70はハウジング部分32のラッチ凹部68と係合して、エンドキャップ48がハウジング部分にスナップ嵌めされる。エンドキャップ48の直立壁120の上部は、弾性プラグ44の周辺部分に当接し、弾性プラグのスペーサ116の下面もまた弾性プラグのベースセクション124に当接し、それにより、エンドキャップ48は、ハウジング部分に取り付けられると弾性プラグ44を加圧して、これをわずかに圧縮したまま維持する。
【0037】
エンドキャップ48のベース部分124は、カートリッジのインターフェース端のハウジング部分の外壁の厚さと一致する厚さがある直立壁112のベースを越える、周辺リップを含む。
【0038】
カートリッジが組み立てられると、エンドキャップ54の空気入口からカートリッジを通り抜けて蒸気出口60まで延びる空気チャネルが形成される。エンドキャップの空気入口から空気チャネルの第1の部分が、弾性プラグ44を貫通する中心孔によって形成される。空気チャネルの第2の部分が、弾性プラグ44の内壁104内部領域、及びヒータ40まわりの出口管38によって形成される。この空気チャネルの第2の部分も蒸気生成領域と呼ばれることがあり、使用中に蒸気が生成される主要な領域である。エンドキャップ54のベースの空気入口から蒸気生成領域までの空気チャネルは、空気チャネルの空気入口セクションと呼ばれることがある。空気チャネルの第3の部分は、出口管38の残り部分によって形成される。空気チャネルの第4の部分は、空気チャネルを蒸気出口60につなぐ外側ハウジング内側管62によって形成される。蒸気生成領域から蒸気出口までの空気チャネルは、空気チャネルの蒸気出口セクションと呼ばれることがある。
【0039】
カートリッジが組み立てられると液体のリザーバが、空気チャネルの外側及びハウジング部分32の内側の空間によって形成される。このリザーバは製造中に、例えば、後で封止される充填孔から、又は別の手段によって充填することができる。液体の、例えばその組成に関する特定の性質は、本書に記載の原理には第一義的に重要なものではなく、一般には、電子タバコに通常使用されるタイプの任意の従来の液体が使用されてよい。リザーバは、カートリッジのインターフェース端で弾性プラグ44によって閉じられる。気化器アセンブリ36の液体移送要素(毛細管ウィック)42は、上で論じたように互いに係合する弾性プラグ44及び出口管38の半円形凹部110、90と弾性プラグ44のクレードルセクション112とによって形成される、空気チャネルの壁の開口部を貫通する。したがって、液体移送要素42の端部はリザーバの中に延びており、このリザーバから液体移送要素は、後に続く気化のために、液体を空気チャネルの開口部を通してヒータ40へ引き込む。
【0040】
通常使用の際、カートリッジ2はコントロールユニット4に結合され、コントロールユニットが起動されて電力がカートリッジに、エンドキャップ48のコンタクト電極46を介して供給される。次に、電力は接続リード線41を通ってヒータ40に達する。ヒータは、こうして電気加熱されるので液体移送要素からの液体の一部分をヒータの近傍で気化する。この気化により、空気経路の蒸気生成領域において蒸気が生成される。液体移送要素から気化される液体は、毛細管作用によってリザーバから引き込まれる追加の液体によって後を継ぐ。ヒータが起動され、使用者がカートリッジのマウスピース端52を吸っている間、空気は、エンドキャップ54の空気入口を通ってカートリッジに、且つ弾性プラグ44のベース部分100の孔を通って、ヒータ40を取り囲む蒸気生成領域に引き込まれる。入って来る空気は、ヒータにより生成された蒸気と混合して凝縮エアロゾルを形成し、このエアロゾルは次に、出口管38及びハウジング内側部分62に沿って引き込まれた後に、使用者の吸引のためにマウスピース出口/蒸気出口60から出て行く。いくつかの例示的な実施態様では、空気入口から蒸気出口までの空気チャネルは、弾性プラグの孔を通過するところでその断面積が最も小さくなっている場合がある。すなわち、弾性プラグの孔は、電子タバコを吸うことに対する総抵抗を決定することに第一に関与し得る。
【0041】
上記のように、本開示の特定の実施形態によれば、液体移送要素42は綿、例えば和綿(Japanese cotton)を含み得る。綿が蒸気供給システムのウィック材料として使用されることは知られているが、本発明者らは、これを行う新しい手法により、いくつかのシナリオでは性能を改善できることを確認した。例えば、電子タバコの綿ウィックを得るための知られている手法では、綿の平坦なシートからストリップを切り取り、この綿のストリップを巻いて、前もって作られたヒータコイルの軸線に沿って入れられるウィック要素を形成する。しかし、本発明者らは、改善された性能が様々な方法で、例えば、巻かれた綿のストリップとは対照的に、2本以上の撚られた綿糸を含むウィックを形成することによって、及び/又は、前もって作られたコイルにウィックを挿入するのとは対照的に、ヒータ線をウィックに巻き付けて、ウィックを圧縮するヒータコイルを形成することによって、及び/又は適切なヒータコイル抵抗を選択して綿ウィックを補完することによって、実現され得ることを見出した。これらの様々な新しい手法の態様及び特徴について、以下でさらに説明する。
【0042】
図4は、本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの気化器アセンブリ、例えば上で論じた気化器アセンブリ36の液体移送要素(すなわち、ウィック材料)として使用するための材料を形成する方法を概略的に示すフロー図である。
【0043】
ステップS1で、ウィック材料の原材料が供給される。この例では、原材料はコーマ綿、例えば医療用有機綿を含み、これは、例えば和綿でよい。綿は、比較的長い繊維長、例えば約31mmの平均繊維長を有し得る。これは、1つの特定の実施態様についての単なる1つの例示的な具体的材料及び平均繊維長であり、別の例では、原材料は綿の別の形を含むこと、及び/又は別の平均繊維長、例えば約15mmを超える、例えば約20mmを超える、例えば約25mmを超える、例えば約30mmを超える平均繊維長を有することができると理解されたい。
【0044】
ステップS2で、原材料は、約250kgの質量を有する束に形作られる。これは、1つの特定の実施態様についての単なる1つの例示的な束のサイズであり、別の例では、原材料は別の質量の束、例えば約100kgを超える束質量、例えば約150kgを超える束質量、例えば約200kgを超える束質量になるように束ねることができ、及び/又は束質量は約400kg未満、例えば約350kg未満、例えば300kg未満とすることができると理解されたい。より一般的には、特定の束のサイズは、使用される処理ラインの能力、及び所望のウィック材料の量に応じて選択することができると理解されたい。
【0045】
ステップS3で、原材料の束が精錬される(脱脂され、漂白される)。これは、原材料の4つの束(すなわち約1トン)を、水(精錬液)と、(例えば重量で)約0.5%の医療用NaOH、(例えば重量で)約1.8%の医療用H2O2、及び(例えば重量で)約3.0%の食品用クエン酸一水和物とを収容する洗浄容器内に、約2.5時間入れることによって行われる。これらのパラメータは、1つの特定の実施態様についての単なる例にすぎず、別の実施態様では別のパラメータが使用され得ることを理解されたい。例えば、場合によっては、この精錬処理は、例えば精錬容器の容量及び所望のウィック材料の量を考慮して、もっと多い又は少ない束のバッチに適用することができる。
【0046】
さらに、原材料が精錬液に入っている時間は、別の場合では異なり得る。例えば、より一般的には、原材料が精錬液に入っている時間は、約1時間を超え、例えば約1.5時間を超え、例えば約2時間を超えることがあり、及び/又は原材料が精錬液に入っている時間は、約4時間未満になる、例えば約3.5時間未満、例えば約3時間未満になることがある。
【0047】
さらに、精錬液の特定の組成は、別の実施態様では異なり得る。
【0048】
例えば、場合によって精錬液は、NaOHを別の比率で、例えば重量で約0.1%を超える量、例えば約0.2%を超える、例えば約0.3%を超える、例えば約0.4%を超える量、及び/又は重量で約1%未満の量、例えば約0.9%未満、例えば約0.8%未満、例えば約0.7%未満、例えば約0.6%未満の量を含み得る。さらに、精錬液は代わりに、又は加えて、別の塩基/水酸化アルカリ等の、化学的に適切なNaOHの代替物を含み得る。
【0049】
同様に、場合によって精錬液は、H2O2を別の比率で、例えば重量で約0.5%を超える量、例えば約0.7%を超える、例えば約0.9%を超える、例えば約1.1%を超える、例えば約1.3%を超える、例えば約1.5%を超える量、及び/又は重量で約3%未満の量、例えば約2.8%未満、例えば約2.6%未満、例えば約2.4%未満、例えば約2.2%未満、例えば約2.0%未満の量を含み得る。さらに、精錬液は代わりに、又は加えて、別の酸化剤/漂白剤等の、化学的に適切な代替物を含み得る。
【0050】
さらに、場合によって精錬液は、クエン酸一水和物を別の比率で、例えば重量で約1%を超える量、例えば約1.5%を超える、例えば約2.0%を超える、例えば約2.5%を超える量、及び/又は重量で約5%未満の量、例えば約4.5%未満、例えば約4%未満、例えば約3.5%未満の量を含み得る。さらに、精錬液は代わりに、又は加えて、化学的に適切な代替物を含み得る。
【0051】
ステップS4で、精錬された原材料の束は、精錬容器から取り出され、約30分間休ませる(水気をきる)。これは、1つの特定の実施態様についての単に1つの例示的な休止継続時間にすぎず、別の実施態様では、精錬された束が、もっと長い又は短い休み継続時間、放置され得ることを理解されたい。例えば、より一般的には、休み継続時間は約10分を超えること、例えば約15分を超える、例えば約20分を超える、例えば約25分を超えることがあり、及び/又は休み継続時間は約60分未満になる、例えば約50分未満、例えば約45分未満、例えば約40分未満、例えば約35分未満になることがある。
【0052】
ステップS5で、精錬された原材料の束は、乾燥のために摂氏約120度に約5分間加熱される。これらのパラメータは、1つの特定の実施態様についての単なる例にすぎず、別の実施態様では別のパラメータが使用され得ることを理解されたい。例えば、より一般的には、ステップS5の乾燥時間は約1分を超えること、例えば約2分を超える、例えば約3分を超える、例えば約4分を超えることがあり、及び/又はステップS5の乾燥時間は約20分未満になる、例えば約15分未満、例えば約10分未満、例えば約9分未満、例えば約8分未満、例えば約7分未満、例えば約6分未満になることがある。さらに、より一般的には、ステップS5の乾燥温度は摂氏約90度を超えること、例えば摂氏約95度を超える、例えば摂氏約100度を超える、例えば摂氏約105度を超える、例えば摂氏約110度を超える、例えば摂氏約115度を超えることがあり、及び/又はステップS5の乾燥温度は摂氏約150度未満になる、例えば摂氏約145度未満、例えば摂氏約140度未満、例えば摂氏約135度未満、例えば摂氏約130度未満、例えば摂氏約125度未満になることがある。
【0053】
ステップS6で、乾燥綿は、約0.7g/mの線質量(単位長さ当たり質量)及び約5mm2の断面積を有する綿糸になるように紡がれる。これは、従来の綿糸紡ぎ技法を使用して、例えば、適切に構成された練条機を使用して行うことができる。これは、1つの特定の実施態様についての単なる1つの例示的な糸線質量及び断面積にすぎないことを理解されたい。別の例では、綿は、異なる線質量及び/又は異なる断面積を有する糸を形成するように紡がれることがある。例えば、場合によって糸は約0.3g/mを超える糸線質量、例えば約0.4g/mを超える、例えば約0.5g/mを超える、例えば約0.6g/mを超える糸線質量を有し、及び/又は約1.2g/m未満の糸線質量、例えば約1.1g/m未満、例えば約1.0g/m未満、例えば約0.9g/m未満、例えば約0.8g/m未満の糸線質量を有し得る。さらに、場合によって糸は約1mm2を超える断面積、例えば約2mm2を超える、例えば約3mm2を超える、例えば約4mm2を超える断面積を有し、及び/又は約9mm2未満の断面積、例えば約8mm2未満、例えば約7mm2未満、例えば約6mm2未満の断面積を有し得る。
【0054】
ステップS7で、2本の綿糸が撚り合わされてウィック材料を形成する。この例では、2本の糸は比較的緩く撚られ、すなわち撚り長さが比較的長く、例えば1メートル当たり約22の撚りがある(すなわち、撚りごとに約4.5cmの平均ピッチ)。別の例では、1メートル当たりの巻き/撚りの数が異なるウィック材料を形成するように糸が撚られることがある。例えば、場合によって1メートル当たりの撚りの数は約10を超える、例えば約12を超える、例えば約14を超える、例えば約16を超える、例えば約18を超える、例えば約20を超えることがあり、及び/又は1メートル当たりの撚りの数は約34未満、例えば約32未満、例えば約30未満、例えば約28未満、例えば約26未満、例えば約24未満になることがある。さらに、この例ではウィック材料は2本の撚り綿糸からなるが、別の例では2本の撚り綿糸より多い、例えば3本の撚り綿糸、4本の撚り綿糸、5本の撚り綿糸、又はもっと多い撚り綿糸があり得る。いずれにしても、ステップS7は、従来の綿撚糸技法を使用して、例えば、適切に構成された撚糸機を使用して実行することができる。この例では、2本の綿糸は、結果として得られるウィック材料が約1.4(±10%)g/mの線質量、及び約3.5(+1.0/-0.5)mmの特性直径を有するように撚り合わされる。
【0055】
ウィック材料は一般に、厳密に円形の断面を有することがなく、その関連で、ウィック材料の特性直径は、その長さに垂直な平面においてウィックと同じ断面積を有する円の直径に相当すると解釈できることを理解されたい(すなわち、特性直径=2×(断面積/π)の平方根)。ウィック材料の特性直径は、ウィック材料の長さに沿ってある程度最も変化しやすく、その関連で、特性直径は、長さ平均特性直径であると考えられることも理解されたい(例えば、平均化の対象の長さは、直径の典型的な変化の予想されるスケールよりも長く、例えば2又は3センチメートルにわたる)。したがって、簡単にするために本書では直径という用語が使用されることがあるが、これは、長さ平均特性直径を指すものとして解釈されたい(ウィック材料に関してもウィック材料を構成する糸に関しても)。例えば、ウィック材料を備える気化器アセンブリのウィックの典型的な長さにわたって例えば平均された、同じウィック材料長さ平均断面積を有する円の直径に対応する直径は、例えば、約1cm、2cm、3cm、又はそれ以上にわたって平均されている。その意味で、圧縮されていないウィック材料の断面の直径は、ある点で、圧縮されていないウィック材料と同じ長さ及び体積を有する円筒の直径として特性化することができ、圧縮されたウィック材料の断面についても同様である。
【0056】
ウィック材料の線質量及び特性直径の値は、1つの特定の実施態様の例であることを理解されたい。別の例では、綿糸は撚り合わされて、異なる線質量及び特性直径を有するウィック材料を形成することができる。例えば、場合によってウィック材料は約0.5g/mを超える線質量、例えば約0.6g/mを超える、例えば約0.7g/mを超える、例えば約0.8g/mを超える、例えば約0.9g/mを超える、例えば約1.0g/mを超える、例えば約1.1g/mを超える、例えば約1.2g/mを超える、例えば約1.3g/mを超える線質量を有することがあり、及び/又はウィック材料は約2.5g/m未満の線質量、例えば約2.4g/m未満、例えば約2.3g/m未満、例えば約2.2g/m未満、例えば約2.1g/m未満、例えば約2.0g/m未満、例えば約1.9g/m未満、例えば約1.8g/m未満、例えば約1.7g/m未満、例えば約1.6g/m未満、例えば約1.5g/m未満の線質量を有することがある。さらに、場合によってウィック材料は約2.7mmを超える、例えば約2.8mmを超える特性直径、例えば約2.9mmを超える、例えば約3.0mmを超える、例えば約3.1mmを超える、例えば約3.2mmを超える、例えば約3.3mmを超える、例えば約3.4mmを超える特性直径を有することがあり、及び/又はウィック材料は約4.5mm未満の特性直径、例えば約4.4mm未満、例えば約4.3mm未満、例えば約4.2mm未満、例えば約4.1mm未満、例えば約4.0mm未満、例えば約3.9mm未満、例えば約3.8mm未満、例えば約3.7mm未満、例えば約3.6mm未満の特性直径を有することがある。ウィック材料のパラメータの許容公差は、当面の実施態様によって決まる。この例では、ウィック材料の線質量の許容公差が約±10%であり、ウィック材料の特性直径の許容公差が約+1mm/-0.5mmであると仮定されている。より一般的に、ウィック材料の製造方法には、ウィック材料直径を、目標直径の+5%/-2.5%の公差内の目標直径に適合するように制御することが含まれる。
【0057】
ウィック材料の範囲の軸線に垂直な平面(すなわち、最小断面の平面)における断面積に関して、これらの例示的な範囲のウィック材料直径はウィック材料に対応し、それは5.7m2を超える断面積、例えば約6.2mm2を超える、例えば約6.6mm2を超える、例えば約7.1mm2を超える、例えば約7.5mm2を超える、例えば約8.0mm2を超える、例えば約8.6mm2を超える、例えば約9.1mm2を超える断面積を有することがあり、及び/又はウィック材料は15.9mm2未満の断面積、例えば約15.2mm2未満、例えば約14.5mm2未満、例えば約13.9mm2未満、例えば約13.2mm2未満、例えば約12.6mm2未満、例えば約11.9mm2未満、例えば約11.3mm2未満、例えば約10.8mm2未満、例えば約10.2mm2未満の断面積を有することがある。
【0058】
ステップS7に関して上で論じたように、ウィック材料は、一対の綿糸を撚ることによって形成された後、いくつかの例では、ステップS8に概略的に示されているように、品質管理監視/試験にかけられることがある。品質管理目的に採用できる様々な異なる試験があり、これらの試験は、生産プロセスのバッチ試験の確立された原理に従って、すべてのウィック材料に適用されるか(例えば、外観に関連する試験)、選択された材料試料に適用されてよい(例えば、破壊試験に)。例えば、またステップS8に示されているように、いくつかの例では、以下のうちの一つ以上について要件があり得る。すなわち、(i)ウィック材料は白色であり、異物粒子があってはならない(例えば、汚染の試験をする)、(ii)ウィック材料の例えば5gの試料が、所与の時間以内に、例えば10秒以内に水中に沈まなければならない(例えば、吸収性を試験する)、(iii)試料は約0.3(±0.1)kgfの破断張力を有していなければならない(例えば、強度を試験する)、(iv)平均繊維長は約31mmでなければならない(これは、例えば容量性長さテスタ装置を使用して試験することができる)。
【0059】
ステップS9で、ウィック材料の現在のバッチがステップS8の品質管理試験に合格すると仮定すれば、ウィック材料は、保管及び/又はさらなる処理のために、ロールに形作られる。この例では、ウィック材料の各ロールは、1(±10%)kgのウィック材料を含むと仮定されている。しかし、ロールサイズは別の実施態様では、例えば、気化器アセンブリを形成するためにウィック材料が処理される際の尺度を考慮して、異なり得ることを理解されたい。
【0060】
図4に示された例示的な処理では、さらなるいかなる処理の前(すなわち気化器アセンブリに組み込まれる前)でもウィック材料が保管されていることが仮定されており、ステップS10に示されるように、本書に提案された方法によれば、ウィック材料は、40%~70%の湿度のもとで食品用袋に保管される。
【0061】
このように、
図4は、本開示の特定の実施形態による電子タバコの気化器アセンブリに使用するための、例えば
図1及び
図2に示された電子タバコ1に使用するための、ウィック材料を形成する手法を概略的に表している。
図4に示された方法は、単なる1つの特定の例にすぎず、この手法に対する修正が、本開示の別の実施形態に応じて採用され得ることを理解されたい。例えば、
図4に示されたステップのいくつかは、いくつかの例示的な実施態様では省略されることがある。例えば、
図4にステップS8として示された行に沿った品質管理試験ステップは、いくつかの例では実施されないことがある。さらに、すでに上に記したように、
図4に示された特定の例示的なパラメータは、具体的な例として提示された1つの実施態様に適している値を表しており、他の実施形態では異なる特定の値が使用されうると理解されたい。
図4に関連して上に示された方法の様々なステップは、手作業で、又は適切に構成された機械を用いて自動で形成できることを理解されたい。
【0062】
図5は、本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの気化器アセンブリ、例えば上で論じた気化器アセンブリ36を、
図4に示された原理に従って製造された材料を使用して形成する方法を概略的に示すフロー図である。しかし、別の例では、
図5に示された原理が、
図4に示された原理に従って作られていない液体移送要素を用いる気化器を形成するために、適用され得ることを理解されたい。
【0063】
処理はステップT1で、
図4の処理により得られるウィック材料のロールを用いて開始する(ウィック材料は、任意の保管袋/容器から取り出されている)。
【0064】
ステップT2で、ウィック材料のロールが品質管理試験にかけられる。品質管理目的に採用できる様々な異なる試験があり、これらの一部は、
図4のステップS8を参照して上で論じた品質管理試験手法に対応し得る。試験は、製品バッチ試験の確立された原理に従って、ウィック材料のロールに全体として適用されるか(例えば、外観に関連する試験)、材料の試料に適用されてよい(例えば破壊試験)。例えば、またステップS8に示されているように、いくつかの例では、以下のうちの一つ以上について要件があり得る。すなわち、(i)ウィック材料は白色であり、異物粒子があってはならない(例えば、汚染の試験をする)、(ii)ウィック材料のロールは1(±10%)kgの質量を有していなければならない、(iii)ウィック材料の例えば5gの試料が、所与の時間以内に、例えば10秒以内に水中に沈まなければならない(例えば、吸収性を試験する)、(iv)試料は約0.3(±0.1)kgfの破断張力を有していなければならない(例えば、強度を試験する)、(v)平均繊維長は約31mmでなければならない(これは、例えば容量性長さテスタ装置を使用して試験することができる)、(vi)ウィック材料の直径は、約3.5(+1.0/-0.5)mmでなければならない。これらの特定の品質管理パラメータは、
図4の製造プロセスに関連して上で論じたように、ウィック材料のこれらの所望の特性に基づいていることが当然ながら理解されよう。別の例示的な実施態様では、ウィック材料は、上で論じたように、これらのパラメータの異なる目標値を有することがあり、その場合、品質管理試験はそれに応じて修正されることになる。
【0065】
ステップT3で、ヒータ線のセクションがウィック材料に巻き付けられてヒータコイルが形成される。上記のように、この例では、ヒータ線はニッケルクロム(ニクロム)合金、例えば、80:20のNi:Cr合金を含む。しかし、別の例では異なる材料、例えば電子タバコに以前に使用された種類の別の電気抵抗線が使用され得ることを理解されたい。別の例では、ヒータはコイルを備えないことがあるが、例えば、この例のコイルと同様の全体サイズを有する管状カラーを備えることがある。
【0066】
この例では、線は、約0.188(±0.020)mmの直径を有し、約2.5(±0.2)mmの外径及び約0.60(±0.2)mmの平均ピッチを有する、ウィック材料周囲のコイルに形作られる。この例のコイルは完全な8ターンを備え(すなわち、ウィック材料周囲の線が合計で8.5回転)、ウィック材料周囲のコイルの全長は約5.0(±0.5)mmである。コイルを形成する線の全長は約70(±2.5)mmである。この例でコイルを構成する線は、1.4(±0.1)オームの電気抵抗を有する。本書で論じた例では、ヒータコイルの抵抗が指すのは、コイルが冷えているとき(すなわち、冷えているときよりその抵抗が少し高くなる、加熱されて蒸気を生成しているときではない)に測定された抵抗を指していると解釈されたい。1つの特定の実施態様のコイル例のこれらの様々な特性、及び他の例ではこれらの特性の別の値が採用され得ることを理解されたい。
【0067】
場合によって加熱線の直径は約0.15mmを超える、例えば約0.16mmを超え、例えば約0.17mmを超え、例えば約0.18mmを超えることがあり、及び/又は加熱線の直径は約0.23mm未満になる、例えば約0.22mm未満、例えば約0.21mm未満、例えば約0.19mm未満になることがある。
【0068】
場合によって、加熱線から形成されるコイルは約2.0mmを超える外径、例えば約2.1mmを超える、例えば約2.2mmを超える、例えば約2.3mmを超える、例えば約2.4mmを超える外径を有することがあり、及び/又は加熱線から形成されるコイルは約3.0mm未満の外径、例えば約2.9mm未満、例えば約2.8mm未満、例えば約2.7mm未満、例えば約2.6mm未満の外径を有することがある。
【0069】
コイルの内径(加熱要素によって圧縮されたウィックの部分の外径と一致している)に関しては、場合によって、加熱線から形成されるコイルは約1.6mmを超える内径、例えば約1.7mmを超える、例えば約1.8mmを超える、例えば約1.9mmを超える、例えば約2.0mmを超える内径を有することがあり、及び/又は加熱線から形成されるコイルは約2.6mm未満の内径、例えば約2.5mm未満、例えば約2.4mm未満、例えば約2.3mm未満、例えば約2.1mm未満の内径を有することがある。
【0070】
場合によって、加熱線から形成されるコイルは約0.4mmを超えるピッチ、例えば約0.45mmを超える、例えば約0.5mmを超える、例えば約0.55mmを超えるピッチを有することがあり、及び/又は加熱線から形成されるコイルは約0.85mm未満のピッチ、例えば約0.8mm未満、例えば約0.75mm未満、例えば約0.7mm未満、例えば約0.65mm未満のピッチを有することがある。
【0071】
場合によってコイルは、ウィック材料周囲に5回を超える完全ターンの線、例えばウィック材料周囲に6回を超える完全ターンの線、又は例えばウィック材料周囲に7回を超える完全ターンの線、及び/又はウィック材料周囲に10回未満の完全ターンの線、例えばウィック材料周囲に11回未満の完全ターンの線、例えばウィック材料周囲に12回未満の完全ターンの線を含み得る。いくつかの例では、コイルは、ウィック材料周囲に8又は9回の完全ターンの線を含み得る。
【0072】
場合によって、加熱線から形成されるコイルは、ウィック材料に沿って約3mmを超えるだけ、例えば約3.5mmを超えるだけ、例えば約4mmを超えるだけ、例えば約4.5mmを超えるだけ延びることがあり、及び/又は加熱線から形成されるコイルは、ウィック材料に沿って約8mm未満だけ、例えば約7.5mm未満だけ、例えば約7mm未満だけ、例えば約6mm未満だけ、例えば約5.5mm未満だけ、延びることがある。
【0073】
いくつかの例では、加熱線を含むコイルは、約1.3オームを超える電気抵抗、例えば約1.32オームを超える、例えば約1.34オームを超える、例えば約1.36オームを超える、例えば約1.38オームを超える電気抵抗を有することがあり、及び/又はコイルを構成する加熱線は、約1.5オーム未満の電気抵抗、例えば約1.48オーム未満、例えば約1.46オーム未満、例えば約1.44オーム未満、例えば約1.42オーム未満の電気抵抗を有することがある。この関連で、実際問題として、本書で論じられる例示的な抵抗は、抵抗線自体の両端間で直接測定することも、ヒータコイルをその電源に接続する接続リード線上の箇所間で測定することもできると理解されたい。その理由は、接続リード線自体の付加抵抗がヒータコイルの抵抗と比較して微小になるからである。例えば、
図1及び
図2に示された種類の組み立てられた蒸気供給システムのヒータ抵抗を測定する1つの便利な方法は、カートリッジ部分の電気的インターフェースになる電気コネクタ46間の抵抗を測定することであり得るのに対し、組み立て中はそうではなく、抵抗は、例えばそれぞれの接続リード線41上の点間で測定することができる。コイル抵抗は、線材料及び幾何学的形状(すなわち、長さ及び厚さ)によって決まるので、個々の気化器アセンブリの抵抗を測定してその抵抗を確立する必要がないはずであることを当然ながら理解されたい。すなわち、所望の抵抗を得るための特定のコイル材料及び幾何形状が分かれば、この設計に合わせて作られたコイルは所望の抵抗を有すると見なすことができ、実際に抵抗を測定する必要はない。
【0074】
上に示した例示的なパラメータについては、ウィック材料は、ウィック周囲に巻かれてコイルを形成するヒータ線によって圧縮されることを理解されたい。特に、この例でコイル内のウィック材料の直径は、その最初に製造された約3.5mmの直径(静止直径)から、約2.1mmの直径に圧縮されている(コイルが約2.5mmの外径、及び0.2mmに少し満たない太さの線で形成されるので)。すなわち、この例でウィック材料の直径は、コイルによってその静止状態直径のおよそ60%に圧縮されている。すなわち、ウィック材料の直径は、ウィック材料周囲に巻かれたコイルによって約40%圧縮される。この圧縮は、コイル内のウィックの断面積が約64%(すなわち、圧縮前の約9.6mm2からコイルによる圧縮後の約3.5mm2に)低減することに相当する。本発明者らは、コイルによるこの種のウィックの圧縮が、例えば、生成される蒸気量、及び過熱により望ましくない味になる可能性の低減に関して、既存の手法に比べて全体的に性能が改善された気化器アセンブリを実現できることを明らかにした。異なる圧縮量が、別の例示的な実施態様で採用されてもよいことを理解されたい。例えば、場合によってウィック材料の直径は、加熱コイルによって約20%を超えるだけ、例えば約25%を超える、例えば約30%を超える、例えば約35%を超えるだけ圧縮されることがあり、及び/又はウィック材料の直径は、加熱コイルによって約60%未満だけ、例えば約55%未満、例えば約50%未満、例えば約45%未満だけ圧縮されることがある。
【0075】
上記のように、非円形断面を有する液体移送要素の特性直径が、液体移送要素の断面積と同じ面積を有する円の直径を基準として定義されてよい。その点に関して、ヒータによってウィック材料が圧縮される分量が、ヒータコイルによって生じるウィック材料の断面積(その最長の軸線に対して垂直な平面内)の減少を基準として定義されてもよい。すなわち、いくつかの例でウィック材料の断面は、コイルによって約65%(例えば、上で論じた特定の例におけるように、直径約3.5mmから直径約2.1mmに)圧縮されることがある。より一般的には、いくつかの実施態様によれば、ウィック材料の断面積は、加熱コイルによって約25%を超えて圧縮される、例えば約30%を超えて、例えば約35%を超えて、例えば約40%を超えて、例えば約45%を超えて、例えば約50%を超えて、例えば約55%を超えて、例えば約60%を超えて圧縮されることがあり、及び/又はウィック材料の断面積は、加熱コイルによって約90%未満だけ圧縮される、例えば約85%未満、例えば約80%未満、例えば約75%未満、例えば約70%未満だけ圧縮されることがある。本書では、ウィック材料面積のX%の圧縮とは、圧縮後のウィック材料の断面積が、圧縮前のウィック材料/圧縮されていない場合、の断面積のX%であることを示すものと理解されたい。
【0076】
ステップT4で、約20(±2)mmの長さを有する、且つコイルの中心に置かれるウィック材料のセクションが、例えば機械カッタを用いてウィック材料から切断される。ウィック材料のこの切断長さにより、本開示の特定の実施形態による蒸気供給システムの液体移送要素(ウィック)が得られる。この関連で、ステップT4で切断されるウィック材料の特定の長さは、当面の電子タバコ構成の液体移送要素の所望の長さを考慮して選択することができる。すなわち、この例では約20mmの長さがウィック材料から切断されるのに対し、別の例では、ウィック材料は別の長さに切断されることがある。例えば、場合によってウィック材料の切断長さは約10mmを超える、例えば約12mmを超え、例えば約14mmを超え、例えば約16mmを超え、例えば約18mmを超えることがあり、及び/又はウィック材料の切断長さは約30mm未満になる、例えば約28mm未満、例えば約26mm未満、例えば約24mm未満、例えば約22mm未満になることがある。
【0077】
ステップT5で、接続リード線が、コイルを構成する線の各端部にはんだ付けされる。この例でそれぞれの接続リード線は、直径が約0.25(±0.2)mm及び長さが約30(±2)mmであるN6ニッケル線を含む。この接続リード線は、従来のはんだ付け技法によってコイルにはんだ付けされて、例えば0.8kgfを超えるはんだ付け接合部張力を得る。他の例では、別の接続手段がいくつかのはんだ付け、例えば溶接又は機械的クランプに採用され得ることを理解されたい。さらに、別の例では、線の材料、長さ及び直径の選択が異なり得ることを理解されたい。
【0078】
いくつかの実施形態では、接続リード線直径は約0.15mmを超える、例えば0.17mmを超える、例えば0.19mmを超え、例えば0.21mmを超え、例えば0.23mmを超えることがあり、及び/又は接続リード線直径は約0.35mm未満になる、例えば約0.31mm未満、例えば約0.29mm未満、例えば約0.27mm未満になることがある。
【0079】
いくつかの実施形態では、接続リード線長は約15mmを超え、例えば20mmを超え、例えば25mmを超えることがあり、及び/又は接続リード線長は約50mm未満になる、例えば約45mm未満、例えば約40mm未満、例えば約35mm未満になることがある。
【0080】
このように、
図5は、本開示の特定の実施形態による電子タバコに使用するための、例えば
図1及び
図2に示された電子タバコ1に使用するための、気化器アセンブリを形成する手法を概略的に示す。
図5に示された方法は、単なる1つの特定の例にすぎず、この手法に対する修正が、本開示の別の実施形態に応じて採用され得ることを理解されたい。例えば、
図5に示されたステップのいくつかは、いくつかの例示的な実施態様では省略される、又は別の順序で実行されることがある。例えば、
図5にステップT2として示された行に沿った品質管理試験ステップは、いくつかの例では実施されないことがある。さらに、場合によってウィック材料は、コイルがウィック材料に巻き付けられる(ステップT3)前に、ある長さに切断され(ステップT4)、接続リード線は、ウィック材料がある長さに切断される(ステップT4)前に、コイルにはんだ付けされることがあり(ステップT5)、及び/又はコイルはウィック材料に巻きつけられる(ステップT6)。さらに、すでに上に記したように、
図5に示された特定の例示的なパラメータは、具体的な例として提示された1つの実施態様に適している値を表しており、他の実施形態では異なる特定の値が使用されうると理解されたい。
図5に関連して上に示された方法の様々なステップは、手作業で、又は適切に構成された機械を用いて自動で形成できることを理解されたい。
【0081】
図6は、
図5に示された原理に従って製造された、
図1及び
図2に示された電子タバコの気化器アセンブリ36の側面図(原寸に比例していない)を示す。
【0082】
図7は、
図1及び
図2に示された全体構成を有する蒸気供給システムによって生成された蒸気の量を概略的に、ただしウィック材料とヒータコイル抵抗との異なる組み合わせを備える別々の気化器アセンブリについて、示すグラフである。蒸気供給システムによって生成される蒸気の量は、ミリグラム単位の1パフ(1回の吸引)当たりの質量損失(ML)によって特性化される。この特性は、蒸気供給システムの測定された質量の減少と一致し、これは、固定された特性を有する(例えば、吸引力及び継続時間に関して)、且つ固定された電圧がヒータコイルに印加される機械から得られる。使用者満足の点で、1パフ当たり8mgの質量損失が適切な目標と考えられる。
【0083】
図7は、2つのタイプのウィック材料、すなわち、シリカガラスファイバウィック(実線の近似線のまわりに群を成すデータ点)と、上で論じた種類の、
図4及び
図5について示した原理に従って製造された綿ウィック(破線の近似線のまわりに群を成すデータ点)との結果を示す。組成の違いを除いて、これらの異なるウィックは、その幾何形状に関して構成が同じである。ウィック材料ごとの結果が、異なるヒータコイル抵抗について示されている。特に
図7は、ウィック材料とコイル抵抗の8つの異なる組み合わせ、すなわちシリカウィックでの1.2オーム、1.3オーム、1.4オーム、及び1.6オームのコイル抵抗と、綿ウィックでの1.2オーム、1.4オーム、1.6オーム、及び1.8オームのコイル抵抗とについての結果を示す。ウィック材料と抵抗の各組み合わせについて測定された、1パフ当たりの質量損失の複数の測定値が
図7に示されている。各ヒータコイルに同じ電圧が印加されて異なる測定値になっているので、高いコイル抵抗では、1パフごとに付随する電力(それゆえに使用エネルギー)が少ない。このことは、両タイプのウィックがコイル抵抗と質量損失の間の大まかな直線関係を示している、増大する抵抗に対して概して下向きの質量損失の傾向から明らかである。
【0084】
図7は、綿ウィックを使用すると、シリカウィックを使用することに比較して、
図7の異なる抵抗に対して一定して高い1パフ当たりの質量損失を実現できることを示す。特に、この結果は、綿ウィックを使用すると、同等のシリカウィックを使用することに比較して1パフ当たりおよそ2mg多い蒸気が供給される(すなわち、デバイスは1パフ当たりおよそ2mg多く失う)ことを示す。これは、綿がシリカよりも効率的なウィック材料であることを示す。例えば、1パフ当たり8mgの目標質量損失を達成するために、綿ウィックでは約1.4オームのコイル抵抗を使用できるのに対し、シリカウィックでは約1.2オームのコイル抵抗が必要になる。このことは、綿ウィック及び約1.4オームのコイル抵抗を使用することが、シリカウィックを使用して対応する動作に必要になるはずのものよりも少ない電力/エネルギーで1パフ当たりの所望の目標質量損失を実現する助けになり得ることを示している(その理由は、シリカウィックを使用すると、電流引き込みが大きくなる低抵抗ヒータコイルが必要になるからである)。
【0085】
以下の表(表1)は、
図7に示された、異なるウィック材料の組み合わせについての質量損失の平均値(ミリグラムの単位による標準化された1パフ当たり)、及びコイル抵抗を示す。シリカウィックと1.6オームヒータの組み合わせについては、2つの値が表に提示されており、これらの値は、この組み合わせに使用された蒸気供給システムの2つの異なる構成に対応する。
【表1】
【0086】
すなわち、綿ウィックと1.4オームヒータコイル抵抗の組み合わせにより、(
図5及び
図6について上で論じた特定の例示的な実施態様と同様に)蒸気生成に関する所望の動作を、シリカウィックに基づく手法よりも使用する電力を少なくして実現することができる。特定の実施態様における抵抗は正確に1.4オームである必要はなく、別の実施態様では異なるヒータ抵抗が使用されてもよく、1パフ当たり質量損失に関してわずかに高い、又は低い動作の要望がある場合の例では、例えば、1.3~1.5オームの範囲のコイル抵抗すべてが、綿ウィックと一緒に使用される場合に、受け入れ可能な性能をもたらすことを当然ながら理解されたい。
【0087】
蒸気供給システムの別の重要な動作特性は、原料液体材料がどの程度、舌を焼くような味を生じさせ得る望ましくない温度まで加熱されるかである。これを特性化する1つの方法は、電子タバコからのカルボニルの量を、例えば、使用中にホルムアルデヒド生成の量を測定することによって、測定することである。
【0088】
以下の表(表2)は、上で論じたウィック材料の異なる組み合わせのいくつかの例(通常は5つ又は6つ)についての、平均ホルムアルデヒド放出量(マイクログラムの単位による1日当たり)の測定値を示す。シリカウィックと1.6オームヒータの組み合わせについては、2つの値が表に提示されており、これらの値は、蒸気供給システムの2つの異なる構成に対応する。
【表2】
【0089】
この表は、綿ウィックを使用すると、シリカウィックを使用することに比較して、付随するホルムアルデヒド放出量が、ここで考慮されているコイル抵抗の範囲全体にわたって少なくなっていることを示す。
【0090】
電子タバコのさらに別の動作特性は、保管中及び使用中の漏洩の可能性である。
図1及び
図2に示された蒸気供給システム構成に使用される、上で論じたウィック材料とヒータコイル抵抗の異なる組み合わせについての試験は、これらの組み合わせのどれにも、保管中に、又は通常使用の際に、又は軽くたたかれたときに、測定可能な漏洩をこうむらないことを示している。しかし、シリカウィックの組み合わせにはすべて、輸送中にある程度の漏洩をこうむることが認められ、例えば、シリカウィック試料の約2%に目立った漏洩を輸送中にこうむった。綿ウィック組み合わせの動作は、ほとんどが良好に動作し、綿ウィック試料の約0.3%だけに目立った漏洩をこうむることが輸送中にあった。このことは、シリカウィック材料と比較して綿ウィック材料が、ウィックが空気チャネル壁を通り抜けるところに封止部を形成することに、より勝っていることを示すように見える。
【0091】
したがって、ウィック材料とコイル抵抗の異なる組み合わせに見られた動作特性を考慮すると、綿ウィックと1.3~1.5オームの範囲のコイル抵抗とを使用することが、ある点で、電子タバコ(例えば
図1及び
図2に示された種類の電子タバコ)に使用するための、ウィック材料とヒータ抵抗の最適な組み合わせであると考えられることが明らかである。
【0092】
上の説明では、いくつかの異なる特徴を有する液体移送要素及び/又はヒータのいくつかの異なる態様に注目したが、本開示の別の実施形態による構成体は、これらの特徴のうちのいくつかだけを他の特徴のうちのいくつかとは別個に有し得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施態様では、
図5について本書で論じた原理に従って作られたウィックが、
図6に示されたようにウィックを圧縮するためにウィックに巻き付けられたコイルを含まない気化器アセンブリに実装されてもよい。同様に、綿ウィックと、本書で論じた原理に従って選択された抵抗を有するヒータコイルとを備える気化器アセンブリでは、ウィックは必ずしも、
図4、
図5又は
図6について上で論じた手法に従って作られる、又はそれに従った形状を有する必要がない。その上、例えば
図6に示された、本書で論じた原理によってウィックを圧縮するようにウィックに巻き付けられた加熱コイルを備える気化器アセンブリにおいて、ウィックは必ずしも、
図4に関連して本書で開示されたように製造された綿ウィックを備えるとは限らないことがあるが、異なるプロセス及び/又は別の材料、例えばガラスファイバ等の別の繊維質材料を使用して製造された綿ウィックを備えることがある。
【0093】
このように、蒸気供給システムの液体移送要素として使用するためのウィック材料を製造する方法が説明されたが、この方法は、少なくとも2本の綿糸を提供すること、並びに、これらの綿糸を、ウィック材料が2本以上の綿糸から構成されるように撚ってウィック材料を形成することを含む。
【0094】
蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリについても説明され、この気化器アセンブリは、ヒータ巻き付け部分及びヒータ非巻き付け部分を有する液体移送要素と、ヒータ巻き付け部分に巻き付けられた加熱要素とを備え、液体移送要素のヒータ巻き付け部分が加熱要素によって圧縮されるので、その断面積が、ヒータ非巻き付け部分と比べて25%超だけ低減される。
【0095】
蒸気供給システムに使用するための気化器アセンブリについても説明され、気化器アセンブリは、綿から形成された液体移送要素と、液体移送要素の部分の周囲に配置された加熱コイルとを備え、この加熱コイルは、1.3~1.5オームの間の電気抵抗を有する。
【0096】
上述の実施形態では、一部の特定の例示的な蒸気供給システムにいくつかの点で注目しているが、同じ原理が、他の技術を用いる蒸気供給システムに適用できることを理解されたい。すなわち、蒸気供給システムの様々な態様が機能する特定の方法は、例えば、システムが使用のためにどのように起動されるかと、システムによって実現される機能性とに関して、本明細書に記載の諸例の根源的な原理に直接には関連していない。
【0097】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示では例示によって、特許請求された(1つ又は複数の)本発明を実践できる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、諸実施形態の単なる代表例であり、網羅的及び/又は排他的なものではない。これらの利点及び特徴は、特許請求された(1つ又は複数の)本発明を理解することを助け教示するためにだけ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、又は特許請求の範囲の等価物に対する限定と解釈されるべきものではないこと、並びに、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、また変更を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、本書に特に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段等の様々な組み合わせを適切に含むか、これらからなるか、これらから本質的に成ることができ、したがって、従属項の特徴は、請求項に明示されているもの以外に、独立項の特徴と組み合わせて一緒にされ得ることを理解されたい。本開示は、現在は特許請求されていないが将来は特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。
【符号の説明】
【0098】
36…気化器アセンブリ、40…ヒータコイル、41…ヒータリード線、42…液体移送要素、43…はんだ接合部。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に明細書本文に記載し図面に示した通りの気化器アセンブリ。
【外国語明細書】