(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031398
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20220210BHJP
F21V 21/116 20060101ALI20220210BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220210BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20220210BHJP
【FI】
F21S8/08 121
F21V21/116
F21Y115:10
F21Y103:00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209227
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2017198504の分割
【原出願日】2017-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】結城 秀一
(72)【発明者】
【氏名】平井 明
(72)【発明者】
【氏名】外山 和憲
(72)【発明者】
【氏名】大滝 悠
(57)【要約】
【課題】ポール固定時の芯ずれを抑えることができる照明器具を提供すること。
【解決手段】ポール2の先端が挿入される筒状のポール受け部4を有した街路灯1において、ポール受け部4の内側には、前記ポール2が挿入されるポール挿入端4Aの側から順に径が段階的に小さくなり、前記ポール2の先端が係合する複数の段部28-1、28-2、28-3が設けられ、前記ポール受け部4には、ポール固定ねじ30により前記ポール2を固定する複数の固定部24が、前記ポール挿入端4Aに最も近い段部28-3の位置に設けられている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールの先端が挿入される筒状のポール受け部を有した照明器具において、
前記ポール受け部の内側には、前記ポールが挿入されるポール挿入端の側から順に径が段階的に小さくなり、前記ポールの先端が係合する複数の段部が設けられ、
前記ポール受け部には、ねじにより前記ポールを固定する複数の固定部が、前記ポール挿入端に最も近い前記段部の位置に設けられている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
複数の前記固定部は、前記ポール受け部の中心軸の周りに、等間隔に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
複数の前記固定部は、前記ポールの挿入方向に沿って等間隔な3箇所に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記ポールの挿入方向に沿って等間隔な前記3箇所のうちの両端に位置する1組の前記固定部は、前記ポールの挿入方向に延びる同一直線上に設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記ポール受け部は、
第1の径のポールが挿入される円筒状の外殻と、
前記外殻に取付自在に設けられ、前記第1の径よりも小さな複数の径のポールが挿入され、内面に複数の前記段部が設けられたアダプタと、
を備える、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
地面から垂直に立てられたポールの先端に取り付けられる街路灯等の照明器具にあっては、ポールの径は1種類ではなく、数種類の異なった径のポールがそれぞれ広く使用されている。近年、1つで複数種類の径のポールに対応できるような照明器具が求められている。
【0003】
複数種類の径に1つの取付部材で対応させる従来技術として、径が異なる配管が接続される管状本体の内周に、各々異なった径の配管を受け入れるための突出部を設けた技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年では、ポールの先端部が挿入されるポール受部を照明器具に設け、このポール受部の内周に、特許文献1の突出部のような接続構造を設け、共通の照明器具を、径が異なるポールに固定可能にする技術も知られている(例えば、非特許文献1-3、及び特許文献2参照)。この技術によれば、既存のポールの径ごとに、照明器具を用意する必要がなく、また、照明器具の取付現場において、照明器具のポール受部がポールの径に適合せずに施工ができないといった事態を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭56-6984号公報
【特許文献2】特開2017-162685号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】LEDモールライト KAELUMINA“カエルミナ”製品カタログ、[online]、2016年6月、パナソニック株式会社、[平成29年9月14日検索]、インターネット<URL:http://panasonic.icata.net/iportal/CatalogDetail.do?method=initial_screen&type=clcsr&volumeID=PEWJ0001&catalogID=4092690000>
【非特許文献2】モールライトXY7792LE9 商品仕様図、[online]、パナソニック株式会社、[平成29年9月14日検索]、インターネット<URL:http://www2.panasonic.biz/es/catalog/lighting/products/detail/shouhin.php?at=category&ct=shisetsu_catalog&id=S00123121&hinban=XY7792>
【非特許文献3】モールライト 施工説明書 取扱説明書「保存用」 取説No.NNY22650-TA、NNY22650-TB、[online]、パナソニック株式会社、[平成29年9月14日検索]、インターネット<URL:http://www2.panasonic.biz/es/catalog/lighting/products/detail/shouhin.php?at=category&ct=shisetsu_catalog&id=S00123121&hinban=XY7792>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術を照明器具に適用して、ポール受け部に多段凹部を設けた場合、それぞれの径のポールの先端部のみを照明器具で支持することになる。例えば多段凹部を設けた照明器具に適用できる最も細い径のポールをポール受け部に取り付けた場合、このポールの先端は多段凹部の最奥に突き当てられ、多段凹部のうちの最奥の凹部の側面に設けられた固定ねじでポール先端部の周囲を押し付けることでポールにポール受け部が支持される。一方、最も太い径のポールをポール受け部に取り付けた場合、このポールの先端は多段凹部の最も開口部に近い段差面に突き当てられるので、ポールがこの照明器具に入り込む長さが最も短くなる。そして対応する凹部の側面に設けられた固定ねじでポール先端部の周囲を押し付けることでポールにポール受け部が支持される。
【0007】
いずれの場合も固定ねじによる支持箇所とポールの先端が近いため、風が吹いてこの照明器具を傾けようとする力(曲げモーメント)が器具にかかった場合、ポールの固定ねじが当たっている箇所に非常に大きな応力が発生し、ポールを変形させることが考えられる。
また円筒形のポールに円筒状取付部を有する街路灯を取り付ける場合、通常はポール先端部の周囲の少なくとも3箇所(好ましくは120度ごと)に支持部を設ければ、ポールと照明器具の取付部との中心軸を一致させて支持することができる。しかし古いポールではポールが変形することでポールの端面が平面とならず、局部的な凹みが生じていることもあり得る。またポールの端部が変形し、円形が歪んでいることがあり得る。その場合、3点接触の支持構造を採用した街路灯ではポール取付用の支持部にポールが均等に接触せず、芯ずれが生じたり、取付強度が十分でなかったりすることがあり得る。
【0008】
本発明は、複数種類の径に1つで対応できると共に、ポール取付時の照明器具の傾きを抑制し、例えポールの先端部が歪んでいてもポールに固定する際の芯ずれを抑えることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポールの先端が挿入される筒状のポール受け部を有した照明器具において、前記ポール受け部の内側には、前記ポールが挿入されるポール挿入端の側から順に径が段階的に小さくなり、前記ポールの先端が係合する複数の段部が設けられ、前記ポール受け部には、ねじにより前記ポールを固定する複数の固定部が、前記ポール挿入端に最も近い前記段部の位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記照明器具において、複数の前記固定部は、前記ポール受け部の中心軸の周りに、等間隔に配置されている、ことを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記照明器具において、複数の前記固定部は、前記ポールの挿入方向に沿って、等間隔な3箇所に配置されている、ことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記照明器具において、前記ポールの挿入方向に沿って等間隔な前記3箇所のうちの両端に位置する1組の前記固定部は、前記ポールの挿入方向に延びる同一直線上に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記照明器具において、前記ポール受け部は、第1の径のポールが挿入される円筒状の外殻と、前記外殻に取付自在に設けられ、前記第1の径よりも小さな複数の径のポールが挿入され、内面に複数の前記段部が設けられたアダプタと、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポール固定時の芯ずれを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る街路灯の構成を示す斜視図である。
【
図2】街路灯の全体構成を示す三面図であり、(A)は正面図、(B)は上面図、(C)は底面図である。
【
図3】
図2(A)のIII-III線断面図である。
【
図4】ポール受け部の全体構成を示す斜視図である。
【
図7】アダプタの構成を示す図であり、(A)は上面図、(B)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る街路灯1の全体構成を示す斜視図である。
図2は街路灯1の全体構成を示す三面図であり、
図2(A)は正面図、
図2(B)は上面図、
図2(C)は底面図である。
街路灯1は、地面などに立設されたポール2の先端に固定されて使用される照明器具であり、ポール2の先端が挿入される円筒状のポール受け部4と、照明光を放射する器具本体部6と、を備え、ポール受け部4と器具本体部6とが、ねじ8で固定されている。
【0017】
図3は、
図2(A)のIII-III線断面図である。
器具本体部6は、LEDや放電ランプなどの任意の光源10を収める透光性のケース12と、ポール受け部4と、を有している。なお、器具本体部6の形状や構造は任意である。
【0018】
図4はポール受け部4の全体構成を示す斜視図であり、
図5はポール受け部4の側面図である。また
図6は
図5のVI-VI断面線からポール受け部4をみた図である。
ポール受け部4は、先端の径が異なる複数のポール2に固定可能な構造を有し、
図3、及び
図6に示すように、外殻20と、この外殻20の内部に収められたアダプタ22と、ポール2にポール受け部4を固定するための複数の固定部24と、を備え、外殻20、及びアダプタ22は、例えばアルミ合金等を材料とした鋳造によって形成されている。
【0019】
外殻20は、
図6に示すように、内径D4の円筒状の部材であり、その上部20Uには、器具本体部6を上述のねじ8で固定するための部位が一体形成されている。
アダプタ22は、外殻20の内径D4よりも小さな径のポール2に街路灯1を固定する場合に、外殻20の内部に設けられる筒状の部材であり、外殻20に取付自在に設けられている。
図6に示すように、アダプタ22の内面には、ポール挿入端4Aの側から順に内径が内径D3、D2、及びD1と段階的に小さくなる複数の段部28-3、28-2、28-1が設けられている。
【0020】
図7はアダプタ22の構成を示す図であり、
図7(A)は上面図、
図7(B)は背面図である。
図6に示すように、アダプタ22は、内側の段部28-3、28-2、28-1の径に対応して、ポール挿入端4Aから上部22Uにかけて段階的に縮径する多段円筒状を成し、その上部22Uには係合凸部40が形成されている。
図6に示すように、外殻20の先端20Aには、係合凸部40が係合する係合孔42が形成されており、これら係合凸部40、及び係合孔42の係合によって、アダプタ22が外殻20の内側で位置決めされる。また
図7(A)に示すように、係合凸部40には、径方向に突出する突出部40Aが形成されており、当該突出部40Aが係合孔42に引っ掛かることで、外殻20の内側でアダプタ22が中心軸周りに回転不能に位置決めされる。
さらに、
図7(B)に示すように、アダプタ22の外周面には、径方向に突出し、かつポール挿入方向Eに延びる複数の当接凸部44が形成されている。外殻20の内部でアダプタ22が位置決めされると、
図3に示すように、複数の当接凸部44が外殻20の内周面20Bに当接し、外殻20の内部でのアダプタ22のガタ付きが防止される。
【0021】
なお、ポール受け部4においては、
図6に示すように、外殻20の先端20A、及びアダプタ22の各段部28-1、28-2、28-3の先端28A1、28A2、28A3はそれぞれ、上記内径D4、D1、D2、D3に相当する径の円環状の平面に形成されている。また、外殻20の内周面20B、及びアダプタ22の各段部28-1、28-2、28-3の内周面28B1、28B2、28B3のそれぞれは、先端20A、28A1、28A2、28A3からポール挿入端4Aの側にかけて僅かに拡がるテーパー状に形成されている。
【0022】
固定部24は、ポール受け部4をポール2にねじ止め固定するものであり、
図2(C)に示すように、ポール受け部4の中心軸Kの周りに、等間隔(本実施形態では、120度間隔)に設けられている。外殻20の外周面には、それぞれの固定部24の位置に、ポール固定ねじ30に螺合するねじ孔32が形成されており、アダプタ22のねじ孔32と対応する位置に、
図7(A)に示すように、固定部24の位置にポール固定ねじ30を通す貫通孔46が形成されている。各ねじ孔32にポール固定ねじ30が螺合し、それぞれのポール固定ねじ30の先端部30Aがポール2の外周面に当接してポール2の外方向から締め付けることで、ポール受け部4をポール2に固定する。
またアダプタ22にあっては、当接凸部44が固定部24の位置に形成されており、この当接凸部44に貫通孔46が形成されることで、アダプタ22の貫通孔46が外殻20のねじ孔32に略連通状態となり、ポール固定ねじ30のねじ止めが容易となっている。
【0023】
本実施形態では、固定部24のそれぞれは、ポール挿入端4Aの近く、より詳細には、
図6に示すように、ポール挿入端4Aからポール挿入方向Eに沿って所定の高さLの範囲内に設けられている。この高さLの上端Laは、アダプタ22の各段部28-1、28-2、28-3のうち、ポール挿入端4Aに最も近い段部28-3の先端28A3の位置、或いは、その位置よりもポール挿入端4Aの側に設定されている。
【0024】
かかる構成の下、先端が径D4のポール2に街路灯1を固定する場合には、アダプタ22を使用せずに外殻20にポール2を挿入し、また、先端が径D1、D2、D3のいずれかのポール2に街路灯1を固定する場合には、外殻20内側にアダプタ22を設け、このアダプタ22にポール2を挿入する。そして、挿入したポール2の先端を、外殻20またはアダプタ22に突き当て、ポール2の先端の端面が、外殻20の先端20A、またはアダプタ22の各段部28-1、28-2、28-3の先端28A1、28A2、28A3に当接させる。次いで、複数の固定部24の各々のねじ孔32に、ポール固定ねじ30を螺合し、ポール受け部4をポール2に固定することとなる。
【0025】
このポール固定構造では、固定部24が上記高さLの範囲に設けられることで、径が異なるいずれのポール2であっても、上記高さLの範囲に設けられた各固定部24でポール2を固定するので、作業の統一性が図られ、作業性の向上が図られる。
また、ポール2の先端の係合箇所(すなわち、先端20A、28A1、28A2、28A3)から離れた位置で固定するので、例えば固定部24を高さLの上端Laよりも更に高い位置(ポール挿入端4Aから離れた位置)に設ける構成に比べ、安定した固定が実現できる。
さらに、径が最も太いポール2に街路灯1を固定する場合にはアダプタ22を使用しないため、ポール2の先端を外殻20の先端20Aまで進入させて固定できる。従来技術に倣って外殻20の内面に直接段部を設けた場合、最も太いポール2の入込寸法(ポール2の先端が外殻20に入り込む量)が最も小さくなる。ポール2の入込寸法をポール2の直径で割った値「入込比」が大きいほどポール2を安定して支持することができる。すなわち従来技術では最も太いポール2に街路灯を取り付けると「入込比」が最も小さくなり取付が不安定になってしまう。これに対し本発明の構造をとることにより、外殻20の内面に直接段部を設けた場合に比べ、「入込比」を大きくでき、太いポール2への街路灯1の取付を安定させることができる。
【0026】
また、ポール2の先端の歪み等により、ポール受け部4の先端20A、28A1、28A2、28A3にポール2が当接したときに当該ポール2の軸芯が外殻20又はアダプタ22の中心軸C(
図6)からずれる、いわゆる芯ずれが生じる場合でも、本実施形態のポール受け部4の構造をとるならば、ポール2の端面を平面である先端20A、28A1、28A2、28A3のいずれかで受けることで、街路灯1の向きによってポール2の端面との接触状態が変わることなく、安定に支持することができる。また端面周囲の内壁が円筒状側面となっているため、ポール2の端部が完全な円形でなくともポール2と街路灯1の取付部との中心軸ずれを最小限に抑えることができる。
【0027】
ここで、本実施形態のポール受け部4においては、
図3に示すように、固定部24は、ポール挿入方向Eに沿って、略等間隔な3箇所L1、L2、L3に配置されている。なお、外殻20の周方向をみると、これら3箇所L1、L2、L3のうち中央の箇所L2には、周方向に120度ずれた2箇所に固定部24が設けられている。このように、箇所L1上もしくは箇所L3上に設けられた固定部24と、箇所L2上に設けられた2箇所の固定部24とが、ポール受け部4の中心軸周りに、略等間隔な3箇所に設けられることで、それぞれの固定部24のポール固定ねじ30の挿入量を適宜に調整し、上述の芯ずれを精度よく抑えることができる。しかもポール2の先端から十分距離を取った位置にポール固定ねじ30を配置しているため、街路灯1の傾きを抑制しやすい。
【0028】
また3箇所L1、L2、L3に設けられた固定部24のうち、ポール挿入方向Eの両端の箇所L1、L3の1組の固定部24は、
図6に示すように、ポール挿入方向Eにおいて同一直線上に設けられているので、ねじ止めが容易となる。また、箇所L1と箇所L3の中間部に箇所L2が配置されているため、街路灯1をポール2に取り付ける作業時に街路灯1の傾きを調整することが容易となっている。さらに箇所L1と箇所L3の間隔を大きく取っているので、風が吹いてこの街路灯1を傾けようとする力(曲げモーメント)が器具にかかるという前述の技術課題に対し、ポール固定ねじ30が当たっている箇所に発生する応力を軽減することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0030】
ポール受け部4には、ポール2を固定する複数の固定部24を、ポール挿入端4Aに最も近い段部28-3の位置、すなわち高さLの範囲に設けた。
これにより、径が異なるいずれのポール2であっても、同じ固定部24でポール2を固定することとなり、作業の統一性が図られ、作業性の向上が図られる。またポール2の先端の係合箇所から離れた位置で固定するので、安定した固定が実現できる。
またポール2の先端の係合箇所(すなわち、先端20A、28A1、28A2、28A3)から離れた位置で固定するので、例えば固定部24を高さLの上端Laよりも更に高い位置(ポール挿入端4Aから離れた位置)に設ける構成に比べ、安定した固定が実現できる。
さらに、径が最も太いポール2に街路灯1を固定する場合にはポール2の先端を外殻20の先端20Aまで進入させて固定できる。従来技術に倣って外殻20の内面に直接段部を設けた場合、最も太いポール2の入込寸法(ポール2の先端が外殻20に入り込む量)が最も小さくなる。ポール2の入込寸法をポール2の直径で割った値「入込比」が大きいほどポール2を安定して支持することができる。すなわち従来技術では最も太いポール2に街路灯を取り付けると「入込比」が最も小さくなり取付が不安定になってしまう。これに対し本発明の構造をとることにより、外殻20の内面に直接段部を設けた場合に比べ、「入込比」を大きくでき、太いポール2への街路灯1の取付を安定させることができる。
また、ポール2の先端の歪み等により、ポール受け部4の先端20A、28A1、28A2、28A3にポール2が当接したときに当該ポール2の軸芯が外殻20又はアダプタ22の中心軸C(
図6)からずれる、いわゆる芯ずれが生じる場合でも、本実施形態のポール受け部4の構造をとるならば、ポール2の端面を平面である先端20A、28A1、28A2、28A3のいずれかで受けることで、街路灯1の向きによってポール2の端面との接触状態が変わることなく、安定に支持することができる。
また本実施形態では、端面周囲の内壁が円筒状側面となっているため、ポール2の端部が完全な円形でなくともポール2と街路灯1の取付部との中心軸ずれを最小限に抑えることができる。
【0031】
本実施形態では、ポール受け部4の中心軸Kの周りに、固定部24が等間隔に配置されているので、ポール2を周方向から均等に固定することができる。
【0032】
本実施形態では、ポール挿入方向Eに沿って、等間隔な3箇所L1、L2、L3に固定部24が配置されているので、これら固定部24の各々のポール固定ねじ30の挿入量を適宜に調整することで、芯ずれを、より正確に抑えることができる。しかもポール2の先端から十分距離を取った位置にポール固定ねじ30を配置しているため、街路灯1の傾きを抑制しやすい。
【0033】
本実施形態では、これら3箇所L1、L2、L3のうちの両端の箇所L1、L3に位置する1組の固定部24は、ポール挿入方向Eに延びる同一直線上に設けられているので、ねじ止めの作業性を向上させることができる。また、箇所L1と箇所L3の中間部に箇所L2が配置されているため、街路灯1をポール2に取り付ける作業時に街路灯1の傾きを調整することが容易となっている。さらに箇所L1と箇所L3の間隔を大きく取っているので、風が吹いてこの街路灯1を傾けようとする力(曲げモーメント)が器具にかかるという前述の技術課題に対し、ポール固定ねじ30が当たっている箇所に発生する応力を軽減することができる。
【0034】
本実施形態では、ポール受け部4は、先端が径D4のポール2が挿入される円筒状の外殻20と、この外殻20に取付自在に設けられ、先端が径D4よりも小さな複数の径D1、D2、D3のポール2が挿入され、内面に複数の段部28-1、28-2、28-3が設けられたアダプタ22と、を備える構成とした。
この構成では、最も太い径D4のポール2に街路灯1を固定する場合にはアダプタ22を使用しないため、ポール2の先端を外殻20の先端20Aまで進入させて固定できる。これにより、アダプタ22の段部28-1、28-2、28-3で太いポール2を受ける場合に比べ、ポール2の入込寸法(ポール2の先端が外殻20に入り込む量)を大きくでき、径が太いポール2への街路灯1の取付を安定させることができる。
【0035】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、本発明は、ポール2の先端に固定される照明器具であれば、街路灯以外の任意の照明器具に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 街路灯(照明器具)
2 ポール
4 ポール受け部
4A ポール挿入端
6 器具本体部
20 外殻
20A 先端
22 アダプタ
24 固定部
28-1、28-2、28-3 段部
28A1、28A2、28A3 先端
30 ポール固定ねじ(ねじ)
32 ねじ孔
46 貫通孔
C 中心軸
E ポール挿入方向
K ポール受け部の中心軸
L 高さ
D4 内径(径、第1の径)
【手続補正書】
【提出日】2022-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールの先端が挿入される筒状のポール受け部を有した照明器具において、
前記ポール受け部の内側には、前記ポールが挿入されるポール挿入端の側から順に径が段階的に小さくなり、前記ポールの先端が係合する3段以上の段部が設けられ、
前記3段以上の段部が多段円筒状を成し、各段部の先端が円環状の平面であり、
前記ポール受け部には、ねじにより前記ポールを固定する複数の固定部が、前記ポール挿入端に最も近い前記段部の位置に設けられており、
前記3段以上の段部のうち、前記ポール挿入端に位置する段部は、
ポール挿入方向に沿った長さが、その他の全ての段部の当該ポール挿入方向に沿った長さの合計よりも大きい
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記ポール受け部は、
前記段部のそれぞれの径よりも大きな径のポールが挿入可能であり、前記3段以上の段部を内側に収める外殻を更に有する、
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記外殻は、
器具本体に取り付けられ、当該器具本体から全ての前記段部を覆う長さに形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、ポールの先端が挿入される筒状のポール受け部を有した照明器具において、前記ポール受け部の内側には、前記ポールが挿入されるポール挿入端の側から順に径が段階的に小さくなり、前記ポールの先端が係合する3段以上の段部が設けられ、前記3段以上の段部が多段円筒状を成し、各段部の先端が円環状の平面であり、前記ポール受け部には、ねじにより前記ポールを固定する複数の固定部が、前記ポール挿入端に最も近い前記段部の位置に設けられており、前記3段以上の段部のうち、前記ポール挿入端に位置する段部は、ポール挿入方向に沿った長さが、その他の全ての段部の当該ポール挿入方向に沿った長さの合計よりも大きいことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、上記照明器具において、前記ポール受け部は、前記段部のそれぞれの径よりも大きな径のポールが挿入可能であり、前記3段以上の段部を内側に収める外殻を更に有する、ことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明は、上記照明器具において、前記外殻は、器具本体に取り付けられ、当該器具本体から全ての前記段部を覆う長さに形成されている、ことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】