(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031420
(43)【公開日】2022-02-18
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
C12C 5/02 20060101AFI20220210BHJP
C12C 7/04 20060101ALI20220210BHJP
C12C 12/02 20060101ALI20220210BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220210BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20220210BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20220210BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20220210BHJP
【FI】
C12C5/02
C12C7/04
C12C12/02
A23L2/00 B
A23L2/56
C12G3/06
A23L2/38 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210122
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2020058724の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 高政
(72)【発明者】
【氏名】水口 伊玖磨
(57)【要約】
【課題】新規な高麦芽比率であって低糖質のビールテイスト飲料(例えば、飲みやすく、
後味の収斂味が抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビールテイスト飲料)が求めら
れている。
【解決手段】麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、糖質濃度が0.5g/
100mL以下であり、且つ、テルペン類、ケトン類、及びチオール類から選ばれる少な
くとも1種の成分(X)を含有する、ビールテイスト飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、
糖質濃度が0.5g/100mL以下であり、且つ、
テルペン類、ケトン類、及びチオール類から選ばれる少なくとも1種の成分(X)を含
有する、ビールテイスト飲料。
【請求項2】
下記要件(I)及び(II)の少なくとも一方を満たす、請求項1に記載のビールテイス
ト飲料。
・要件(I):ゲラニオール及びシトロネロールから選ばれる少なくとも1種の成分(A
)を含有し、成分(A)の含有量が2質量ppb以上である。
・要件(II):成分(X)の合計含有量が20質量ppb以上である。
【請求項3】
前記ビールテイスト飲料が、ビールである、請求項1又は2に記載のビールテイスト飲
料。
【請求項4】
原麦汁エキス濃度が、6.0質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
ビールテイスト飲料。
【請求項5】
総ポリフェノールの含有量が、前記ビールテイスト飲料の全量基準で、60質量ppm
以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項6】
アルコール度数が3.0(v/v)%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載
のビールテイスト飲料。
【請求項7】
前記テルペン類が、ピネン、ミルセン、リモネン、β-カリオフィレン、α-フムレン
(α-カリオフィレン)、ファルネセン、セリネン、リナロール、ゲラニオール、シトロ
ネロール、テルピネオール、フムレノール、フムロール、オイデスモール、カジノール、
フムレンエポキシド、及びカリオフィレンエポキシドから選ばれる少なくとも1種であり
、
前記ケトン類が、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ヘキセナール、トランス-4,
5-エポキシ-(E)-2-デセナール、及び(Z)-1,5-オクタジエン-3-オン
から選ばれる少なくとも1種であり、
前記チオール類が、3-メルカプト-4-メチルペンタン-1-オール、3-メルカプ
ト-4-メチルペンタンアセテート、及び4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オ
ンから選ばれる少なくとも1種である、
請求項1~6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項8】
成分(X)が、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、β-リモネン、β-カリオフィレ
ン、α-フムレン、β-ファルネセン、ゲラニオール、シトロネロール、2-ノナノン、
2-デカノン、及び2-ウンデカノンから選ばれる少なくとも1種の成分(X1)である
、請求項1~7のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項9】
前記要件(I)を満たす、請求項2~8のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項10】
前記要件(II)を満たす、請求項2~9のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料を製造する方法であって、
下記工程(1)~(2)を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
【請求項12】
穀物に由来するスピリッツを添加する工程を有しない、請求項11に記載のビールテイ
スト飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、最近の消費者の多様化した好みに応じて、様々なビールテイスト飲料が検討
され、提供されている。その中で、健康面の観点から、低糖質のビールテイスト飲料の需
要が高まってきている。
例えば、特許文献1には、香味の改善されたビールテイスト飲料の提供を目的として、
麦芽および/または未発芽の麦類を原料の一部とし、所定の分子量のペプチド濃度を調製
した低糖質ビールテイスト発酵アルコール飲料に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況において、新規な高麦芽比率であって低糖質のビールテイスト飲料(例
えば、飲みやすく、後味の収斂味が抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビールテイ
スト飲料)が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、麦芽比率、糖質濃度、及び特定の成分の含有量を所定の範囲に調製したビー
ルテイスト飲料を提供する。
すなわち、本発明には、以下の態様の発明が含まれる。
[1]麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、
糖質濃度が0.5g/100mL以下であり、且つ、
テルペン類、ケトン類、及びチオール類から選ばれる少なくとも1種の成分(X)を含
有する、ビールテイスト飲料。
[2]下記要件(I)及び(II)の少なくとも一方を満たす、請求項1に記載のビールテ
イスト飲料。
・要件(I):ゲラニオール及びシトロネロールから選ばれる少なくとも1種の成分(A
)を含有し、成分(A)の含有量が2質量ppb以上である。
・要件(II):成分(X)の合計含有量が20質量ppb以上である。
[3]前記ビールテイスト飲料が、ビールである、上記[1]又は[2]に記載のビール
テイスト飲料。
[4]原麦汁エキス濃度が、6.0質量%以上である、上記[1]~[3]のいずれか一
項に記載のビールテイスト飲料。
[5]総ポリフェノールの含有量が、前記ビールテイスト飲料の全量基準で、60質量p
pm以上である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[6]アルコール度数が3.0(v/v)%以上である、上記[1]~[5]のいずれか
一項に記載のビールテイスト飲料。
[7]前記テルペン類が、ピネン、ミルセン、リモネン、β-カリオフィレン、α-フム
レン(α-カリオフィレン)、ファルネセン、セリネン、リナロール、ゲラニオール、シ
トロネロール、テルピネオール、フムレノール、フムロール、オイデスモール、カジノー
ル、フムレンエポキシド、及びカリオフィレンエポキシドから選ばれる少なくとも1種で
あり、
前記ケトン類が、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ヘキセナール、トランス-4,
5-エポキシ-(E)-2-デセナール、及び(Z)-1,5-オクタジエン-3-オン
から選ばれる少なくとも1種であり、
前記チオール類が、3-メルカプト-4-メチルペンタン-1-オール、3-メルカプ
ト-4-メチルペンタンアセテート、及び4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オ
ンから選ばれる少なくとも1種である、
上記[1]~[6]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[8]成分(X)が、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、β-リモネン、β-カリオフ
ィレン、α-フムレン、β-ファルネセン、ゲラニオール、シトロネロール、2-ノナノ
ン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンから選ばれる少なくとも1種の成分(X1)で
ある、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
[9]前記要件(I)を満たす、上記[2]~[8]のいずれか一項に記載のビールテイ
スト飲料。
[10]前記要件(II)を満たす、上記[2]~[9]のいずれか一項に記載のビールテ
イスト飲料。
[11]上記[1]~[10]のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料を製造する方
法であって、下記工程(1)~(2)を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
[12]穀物に由来するスピリッツを添加する工程を有しない、上記[11]に記載のビ
ールテイスト飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の好適な一態様のビールテイスト飲料は、飲みやすく、後味の収斂味が抑えられ
た、高麦芽比率であって低糖質の飲料となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.ビールテイスト飲料
本発明のビールテイスト飲料は、麦芽比率が50質量%以上100質量%以下であり、
糖質濃度が0.5g/100mL以下である、高麦芽比率且つ低糖質の飲料であって、テ
ルペン類、ケトン類、及びチオール類から選ばれる少なくとも1種の成分(X)を含有す
る。
【0008】
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含
有又はノンアルコールの炭酸飲料をいう。そのため、「ビールテイスト飲料」には、麦芽
、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる麦芽発酵飲
料であるビールだけでなく、エステルや高級アルコール等を含むビール香料が添加され、
ビール風味を有する炭酸飲料をも包含する。
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、酵母を用いて発酵工程を経た発酵ビー
ルテイスト飲料であってもよく、発酵工程を経ない非発酵ビールテイスト飲料であっても
よい。
さらに、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、アルコール度数が1(v/v)%以
上のアルコール含有ビールテイスト飲料であってもよく、アルコール度数が1(v/v)
%未満のノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。
なお、上記のノンアルコールビールテイスト飲料は、発酵工程を経た後、当該発酵工程
で生じたアルコールを除去して製造されたノンアルコール発酵ビールテイスト飲料であっ
てもよく、発酵工程を経ずにビール様の風味をもつように調製したノンアルコール非発酵
ビールテイスト飲料であってもよい。
【0009】
これらの中でも、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、発酵ビールテイスト飲料で
あることが好ましく、アルコール含有発酵ビールテイスト飲料であることがより好ましく
、ビールであることが更に好ましい。
【0010】
上記のとおり、本発明のビールテイスト飲料の麦芽比率は、50質量%以上100質量
%以下であるが、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以
上であってもよく、また、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、又は70
質量%未満であってもよい。
つまり、本発明のビールテイスト飲料の麦芽比率は、例えば、55質量%以上100質
量%以下、60質量%以上100質量%以下、65質量%以上100質量%以下、又は7
0質量%以上100質量%以下であってもよく、また、50質量%以上95質量%以下、
50質量%以上90質量%以下、50質量%以上80質量%以下、50質量%以上70質
量%未満であってもよい。
本明細書において、「麦芽比率」とは、平成30年4月1日が施工日の酒税法および酒
類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
【0011】
本発明のビールテイスト飲料の糖質濃度は、0.5g/100mL以下であるが、0.
5g/100mL未満、0.4g/100mL以下、0.3g/100mL以下、又は0
.2g/100mL以下であってもよい。
【0012】
また、本明細書において、「糖質」とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省
告示第176号、一部改正平成25年9月27日消費者庁告示第8号)に基づく糖質をい
い、具体的には、対象となる食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール
分及び水分を除いたものを意味する。そのため、食品中の糖質の量は、当該食品の重量か
ら、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除することにより算定すること
ができる。
ここで、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量は、栄養表示基準に掲げる方
法により測定することができる。具体的には、タンパク質の量は窒素定量換算法で測定し
、脂質の量はエーテル抽出法で測定し、食物繊維の量はプロスキー法で測定し、灰分の量
は直接灰化法で測定し、水分の量は減圧加熱乾燥法で測定することができる。
【0013】
麦芽比率の高く、糖質が高いビールテイスト飲料は、麦芽由来の味わいが強く感じられ
、ビールらしさを有する飲料であるが、その一方で、飲みにくいと感じる消費者も多い。
また、近年、健康面の観点から、低糖質のビールテイスト飲料の需要が高まってきている
。
このような需要に対して、麦芽比率を下げて、麦芽由来の糖質を少なくすることで低糖
質とした飲料が一般的に広く流通されている。しかしながら、この低麦芽比率であって低
糖質のビールテイスト飲料は、麦芽比率を下げているために麦芽由来の味わいが感じにく
く、ビールらしさが損なわれる結果、飲みにくい飲料となり易い。一方で、低糖質のビー
ルテイスト飲料において、麦芽比率を上げると、麦芽由来の味わいが向上して飲みやすい
飲料とはなり得るが、飲料を口の含んだ際に口の中を締め付けるような感じがする収斂味
(しゅうれんみ)が強い飲料となってしまう。
【0014】
そのため、飲みやすく、後味の収斂味が抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビー
ルテイスト飲料が求められている。この問題点に対して、本発明のビールテイスト飲料で
は、麦芽比率が50%以上100質量%以下であり、糖質濃度が0.5g/100mL以
下である、高麦芽比率及び低糖質のビールテイスト飲料において、テルペン類、ケトン類
、及びチオール類から選ばれる少なくとも1種の成分(X)を含有する飲料となるように
調製した。その結果、このように調製したビールテイスト飲料は、飲みやすく、後味の収
斂味が抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビールテイスト飲料とすることができ、
上記問題が解決されることが分かった。つまり、成分(X)には、後味の収斂味を抑制す
る効果があるものと考えられる。
【0015】
ここで、成分(X)を構成し得る、前記テルペン類は、ピネン(α-ピネン、β-ピネ
ン等)、ミルセン、リモネン(β-リモネン等)、β-カリオフィレン、α-フムレン(
α-カリオフィレン)、ファルネセン(β-ファルネセン等)、セリネン(α-セリネン
、β-セリネン等)、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テルピネオール(α
-テルピネオール等)、フムレノール、フムロール、オイデスモール、カジノール、フム
レンエポキシド(フムレンエポキシドI、フムレンエポキシドII、フムレンエポキシドII
I等)、及びカリオフィレンエポキシドから選ばれる少なくとも1種であることが好まし
い。
【0016】
成分(X)を構成し得る、前記ケトン類は、ノナノン(2-ノナノン等)、デカノン(
2-デカノン等)、ウンデカノン(2-ウンデカノン等)、ヘキセナール(Z-3-ヘキ
セナール等)、トランス-4,5-エポキシ-(E)-2-デセナール、及び(Z)-1
,5-オクタジエン-3-オンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
成分(X)を構成し得る、前記チオール類は、3-メルカプト-4-メチルペンタン-
1-オール、3-メルカプト-4-メチルペンタンアセテート、及び4-メルカプト-4
-メチルペンタン-2-オンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、成分(X)は、α-ピネン、β-ピネ
ン、ミルセン、β-リモネン、β-カリオフィレン、α-フムレン、β-ファルネセン、
ゲラニオール、シトロネロール、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンか
ら選ばれる少なくとも1種の成分(X1)であることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、成分(X)を構成するそれぞれの成分
の含有量としては、それぞれ独立に、好ましくは0.01~150質量ppb、より好ま
しくは0.05~100質量ppb、更に好ましくは0.1~80質量ppbである。
【0020】
さらに、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、下記要件(I)及び(II)の少なく
とも一方を満たす飲料であることが好ましい。
・要件(I):ゲラニオール及びシトロネロールから選ばれる少なくとも1種の成分(A
)を含有し、成分(A)の含有量が2質量ppb以上である。
・要件(II):成分(X)の合計含有量が20質量ppb以上である。
要件(I)のように、成分(X)の特定の成分である成分(A)の含有量を調整するこ
と、及び、要件(II)のように、成分(X)の含有量を調整することで、より飲みやすく
、後味の収斂味がより抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビールテイスト飲料とす
ることができる。
【0021】
要件(I)は、ゲラニオール及びシトロネロールから選ばれる少なくとも1種の成分(
A)を含有し、成分(A)の含有量が2質量ppb以上である旨を規定している。上述の
後味の収斂味が強いという問題は、本発明のように、50質量%以上と高麦芽比率であっ
て、且つ、糖質濃度が0.5g/100mL以下と低糖質のビールテイスト飲料に対して
、特に際立つ問題となり易い。
この後味の収斂味が強いとの問題に対して、本発明の一態様では、麦芽比率が50質量
%以上100質量%以下であり、糖質濃度が0.5g/100mL以下であるビールテイ
スト飲料において、上記要件(I)のとおり、ゲラニオール及びシトロネロールから選ば
れる少なくとも1種の成分(A)の含有量を調整することで、より飲みやすく、後味の収
斂味がより抑えられた飲料となるように調整している。
【0022】
上記観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、要件(I)で規定する
成分(A)の含有量は、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、2質量
ppb以上であるが、好ましくは4質量ppb以上、より好ましくは8質量ppb以上、
更に好ましくは12質量ppb以上、より更に好ましくは16質量ppb以上、特に好ま
しくは20質量ppb以上である。
また、より飲みやすい飲料とする観点から、要件(I)で規定する成分(A)の含有量
は、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは500質量pp
b以下、より好ましくは400質量ppb以下、より好ましくは300質量ppb以下、
更に好ましくは200質量ppb以下、より更に好ましくは100質量ppb以下、特に
好ましくは70質量ppb以下である。
つまり、要件(I)で規定する成分(A)の含有量は、当該ビールテイスト飲料の全量
(100質量%)基準で、好ましくは2~500質量ppb、より好ましくは4~400
質量ppb、より好ましくは8~300質量ppb、更に好ましくは12~200質量p
pb、より更に好ましくは16~100質量ppb、特に好ましくは20~70質量pp
bである。
【0023】
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、成分(A)としては、ゲラニオ
ール又はシトロネロールの一方のみを含有してもよく、ゲラニオール及びシトロネロール
の双方を共に含有してもよい。いずれにしても、要件(I)で規定のとおり、成分(A)
の含有量が2質量ppb以上であればよく、また、上記の好適な範囲内であればよい。
【0024】
なお、成分(A)が、ゲラニオール又はシトロネロールの一方のみを含有している場合
、ゲラニオール又はシトロネロールである成分(A)の含有量は、後味の収斂味がさらに
抑えられたビールテイスト飲料とする観点から、当該ビールテイスト飲料の全量(100
質量%)基準で、上述の好適範囲に加えて、好ましくは22質量ppb以上、より好まし
くは24質量ppb以上、更に好ましくは30質量ppb以上、より更に好ましくは35
質量ppb以上、特に好ましくは40質量ppb以上である。
【0025】
また、成分(A)が、ゲラニオール及びシトロネロールの双方を共に含有している場合
、成分(A)の含有量は、後味の収斂味がさらに抑えられたビールテイスト飲料とする観
点から、該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、上述の好適範囲に加えて
、好ましくは22質量ppb以上、より好ましくは24質量ppb以上である。
さらに、成分(A)が、ゲラニオール及びシトロネロールの双方を共に含有している場
合、後味の収斂味がさらに抑えられたビールテイスト飲料とする観点から、ゲラニオール
とシトロネロールとの含有量比〔ゲラニオール/シトロネロール〕は、質量比で、好まし
くは1/99~99/1、より好ましくは10/90~90/10、より好ましくは20
/80~85/15、更に好ましくは30/70~80/20、より更に好ましくは40
/60~75/25、特に好ましくは51/49~70/30である。
【0026】
要件(II)は、成分(X)の合計含有量が20質量ppb以上である旨を規定している
。
要件(I)を満たさない場合、つまり、成分(A)の含有量が2質量ppb未満である
場合であっても、上記要件(II)で規定するように、ゲラニオール及びシトロネロールを
含む成分(X)の合計含有量が20質量ppb以上であれば、より飲みやすく、後味の収
斂味がより抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビールテイスト飲料とすることがで
きる。
【0027】
なお、より飲みやすく、後味の収斂味をより抑えられた、高麦芽比率であって低糖質の
ビールテイスト飲料とする観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、上記要件
(I)及び(II)を共に満たすビールテイスト飲料であることが好ましい。
【0028】
また、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、上記要件(II)で規定された成
分(X)は、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、β-リモネン、β-カリオフィレン、
α-フムレン、β-ファルネセン、ゲラニオール、シトロネロール、2-ノナノン、2-
デカノン、及び2-ウンデカノンから選ばれる少なくとも1種の成分(X1)であること
が好ましい。
つまり、上記要件(II)で規定された成分(X)が、上述の成分(X1)である場合、
上記要件(II)は、下記要件(II-a)のように言い換えることができる。
・要件(II-a):α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、β-リモネン、β-カリオフィ
レン、α-フムレン、β-ファルネセン、ゲラニオール、シトロネロール、2-ノナノン
、2-デカノン、及び2-ウンデカノンから選ばれる少なくとも1種の成分(X1)を含
有し、成分(X1)の合計含有量が20質量ppb以上である。
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、上記要件(II-a)を満たすことが好ましい
。
なお、要件(II-a)で規定の成分(X1)は、要件(II)で規定の成分(X)をさら
に限定したものである。そのため、要件(II-a)を満たす飲料は、必然的に要件(II)
を満たす飲料であるともいえる。
【0029】
なお、より飲みやすく、後味の収斂味が抑えられた、高麦芽比率であって低糖質のビー
ルテイスト飲料とする観点から、上記要件(II-a)を満たす飲料は、さらに、要件(II
-a)で成分(X1)として規定する、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、β-リモネ
ン、β-カリオフィレン、α-フムレン、β-ファルネセン、ゲラニオール、シトロネロ
ール、2-ノナノン、2-デカノン、及び2-ウンデカノンから選ばれる2種以上を含む
ことが好ましく、これらの3種以上含むことがより好ましく、これらの4種以上含むこと
が更に好ましく、これらの5種以上含むことがより更に好ましく、これらをすべて含むこ
とが特に好ましい。
【0030】
上記観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、要件(II)で規定する
成分(X)の含有量、並びに、要件(II-a)で規定する成分(X1)の含有量は、当該
ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、20質量ppb以上であるが、好ま
しくは30質量ppb以上、より好ましくは35質量ppb以上、更に好ましくは40質
量ppb以上、より更に好ましくは45質量ppb以上、特に好ましくは50質量ppb
以上であり、また、通常1000質量ppb以下であるが、800質量ppb以下、60
0質量ppb以下、400質量ppb以下、又は300質量ppb以下としてもよい。
【0031】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、α-ピネンの含有量は、当該ビールテ
イスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量ppb、より
好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.1~5.0質量ppb、よ
り更に好ましくは0.3~3.0質量ppb、特に好ましくは0.5~2.0質量ppb
である。
【0032】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、β-ピネンの含有量は、当該ビールテ
イスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量ppb、より
好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.07~5.0質量ppb、
より更に好ましくは0.1~2.5質量ppb、特に好ましくは0.2~1.5質量pp
bである。
【0033】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、ミルセンの含有量は、当該ビールテイ
スト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1~20質量ppb、より好ま
しくは0.5~15質量ppb、更に好ましくは1.0~10質量ppb、より更に好ま
しくは1.5~8.0質量ppb、特に好ましくは2.0~6.0質量ppbである。
【0034】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、β-リモネンの含有量は、当該ビール
テイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量ppb、よ
り好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.1~5.0質量ppb、
より更に好ましくは0.3~3.0質量ppb、特に好ましくは0.5~2.0質量pp
bである。
【0035】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、β-カリオフィレンの含有量は、当該
ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量pp
b、より好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.1~5.0質量p
pb、より更に好ましくは0.2~3.0質量ppb、特に好ましくは0.3~2.0質
量ppbである。
【0036】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、α-フムレンの含有量は、当該ビール
テイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量ppb、よ
り好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.1~5.0質量ppb、
より更に好ましくは0.3~4.0質量ppb、特に好ましくは0.5~2.5質量pp
bである。
【0037】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、β-ファルネセンの含有量は、当該ビ
ールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1~50質量ppb、
より好ましくは0.5~40質量ppb、更に好ましくは1.0~30質量ppb、より
更に好ましくは2.0~25質量ppb、特に好ましくは3.5~20質量ppbである
。
【0038】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、2-ノナノンの含有量は、当該ビール
テイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量ppb、よ
り好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.07~5.0質量ppb
、より更に好ましくは0.1~2.5質量ppb、特に好ましくは0.2~1.5質量p
pbである。
【0039】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、2-デカノンの含有量は、当該ビール
テイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01~10質量ppb、よ
り好ましくは0.05~7.0質量ppb、更に好ましくは0.07~5.0質量ppb
、より更に好ましくは0.1~2.5質量ppb、特に好ましくは0.2~1.5質量p
pbである。
【0040】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、2-ウンデカノンの含有量は、当該ビ
ールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、好ましくは1~100質量ppb、よ
り好ましくは3~70質量ppb、更に好ましくは5~50質量ppb、より更に好まし
くは7~40質量ppb、特に好ましくは10~30質量ppbである。
【0041】
なお、要件(I)で規定する成分(A)の含有量、要件(II)で規定する成分(X)の
含有量、及び要件(II-a)で規定する成分(X1)の含有量は、例えば、各成分の添加
量を調整するだけでなく、成分(A)、成分(X)及び成分(X1)を構成する各成分の
含有量の多い原材料(例えばホップ等)の品種やその使用量、及び当該原材料の添加のタ
イミング等を調整することによって制御できる。
【0042】
また、本発明のビールテイスト飲料に含まれる、成分(A)を含む成分(X)を構成す
るテルペン類、ケトン類、及びチオール類のそれぞれの含有量は、J. Agric. Food Chem.
, 2013, 61 (47), pp 11303-1131(Characterization of the Key Aroma Compounds in T
wo Bavarian Wheat Beers by Means of the Sensomics Approach)に記載のガスクロマト
グラフ質量分析装置(GC-MS)を用いて測定することができる。
【0043】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、原麦汁エキス(O-Ex)濃度は、飲
料に軽快な飲み口を付与し、飲みやすさをより良好とする観点から、好ましくは6.0~
20.0質量%、より好ましくは7.0~18.0質量%、更に好ましくは8.0~16
.0質量%、より更に好ましくは8.2~15.0質量%、特に好ましくは8.5~13
.5質量%である。
なお、本明細書における「原麦汁エキス濃度」は、アルコール度数が1(v/v)%以
上であるアルコール含有飲料においては、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温
度15℃の時において原容量100cm3中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。
また、アルコール度数が1(v/v)%未満のノンアルコール飲料においては、脱ガスし
たサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める分析法(BOCJビー
ル分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2013年増補改訂版))に従い測
定したエキス値(質量%)をいう。
【0044】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、総ポリフェノールの含有量は、当該ビ
ールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、良質な味わいを有し、よりビールらし
いビールテイスト飲料とする観点から、好ましくは60質量ppm以上、より好ましくは
70質量ppm以上、更に好ましくは80質量ppm以上、より更に好ましくは90質量
ppm以上であり、また、飲料の混濁安定性を良好とし、飲み口が軽く、飲みやすい飲料
とする観点から、好ましくは200質量ppm以下、より好ましくは170質量ppm以
下、更に好ましくは150質量ppm以下、より更に好ましくは130質量ppm以下で
ある。
【0045】
本明細書において、「総ポリフェノールの含有量」とは、ビールテイスト飲料の全量(
100質量%)に含まれるポリフェノールの総量を意味する。
ポリフェノールとは、芳香族炭化水素の2個以上の水素がヒドロキシル基で置換された
化合物を意味し、具体的には、フラボノール、イソフラボン、タンニン、カテキン、ケル
セチン、アントシアニン等が挙げられる。
【0046】
なお、本明細書において、総ポリフェノールの含有量は、例えば、改訂BCOJビール
分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕
編集2013年増補改訂)に記載されている方法によって測定することができる。
【0047】
総ポリフェノールの含有量は、例えば、大麦麦芽、麦芽のハスク(穀皮)等のポリフェ
ノール含有量の多い原材料の使用量を調整することによって制御できる。
一般的に、ハスク(穀皮)がある麦芽等は、ポリフェノールの含有量が多く、大豆、酵
母エキス、小麦、小麦麦芽等はポリフェノールの含有量が少ない。このような原材料を適
宜選択し、使用量を調整することで、ポリフェノールの含有量を所望の範囲に調整するこ
とは可能である。
【0048】
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、上述のとおり、アルコール含有ビールテイス
ト飲料であってもよく、ノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。
アルコール含有ビールテイスト飲料である場合における、本発明の一態様のビールテイ
スト飲料のアルコール度数としては、爽快な刺激を感じることができる飲料とする観点か
ら、好ましくは3.0(v/v)%以上、より好ましくは4.0(v/v)%以上、より
好ましくは4.6(v/v)%以上、更に好ましくは5.1(v/v)%以上、より更に
好ましくは5.4(v/v)%以上、特に好ましくは5.7(v/v)%以上である。
また、飲みやすいビールテイスト飲料とする観点から、アルコール度数は、好ましくは
20.0(v/v)%以下、より好ましくは15.0(v/v)%以下、更に好ましくは
10.0(v/v)%以下である。
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率((v/v)%
)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっ
ても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
【0049】
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料において、アルコール度数を調製するため
に、アルコール成分として、さらに、穀物に由来するスピリッツを含有し、調整すること
も考えられる。
ここで、スピリッツとは、麦、米、そば、とうもろこし等の穀物を原料として、麦芽又
は必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、更に蒸留して得られる
酒類を意味する。
ただし、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、良質な味わいを有し、ビールらしい
ビールテイスト飲料とする観点から、スピリッツを含有しないことが好ましい。
【0050】
また、上記と同様の観点から、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、ビールである
ことが好ましい。
本明細書において、「ビール」とは、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、
酵母を用いて発酵させて得られる飲料をいい、具体的には、平成30年4月1日が施工日
の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達で定義されたものを意味する。
つまり、本発明の一態様のビールテイスト飲料がビールである場合、上述のアルコール
度数は、酵母を用いた発酵工程によって調整されている。
【0051】
本発明の一態様のビールテイスト飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのよ
うな琥珀色や黄金色、黒ビールのような黒色、又は、無色透明であってもよく、あるいは
着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。ビールテイスト飲料の色は、肉眼でも
判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
【0052】
本発明の一態様のビールテイスト飲料のpHは、特に限定されないが、好ましくは2.
0~4.5、より好ましくは2.5~4.2、更に好ましくは3.0~4.0である。ビ
ールテイスト飲料のpHが4.5以下であれば、微生物の発生を抑制でき、pHが2.0
以上であれば飲料の香味が向上し易い。
【0053】
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、飲料が容器に詰められた態様であればよく、
容器の例としては、例えば、ビン、ペットボトル、缶、又は樽が挙げられるが、特に持ち
運びが容易であるとの観点から、缶、ビン、ペットボトルが好ましい。
【0054】
2.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト飲料の主な原材料は、水及び麦芽であるが、ホップを
用いることが好ましく、その他に、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料又は苦味付与剤、酸
化防止剤、香料、酸味料等を用いてもよい。
【0055】
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種
子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであっても
よい。
本発明の一態様においては、大麦麦芽を用いることが好ましい。大麦麦芽は、日本のビ
ールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二
条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか
、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽
を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
【0056】
また、麦芽と共に、麦芽以外の穀物を用いてもよい。
そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦(大麦、小麦、ライ麦、カラ
ス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん
、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、及びそれらから
得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。
【0057】
本発明の一態様で用いるホップの形態としては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ
、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等の
ホップ加工品を用いてもよい。
ホップの添加量としては、適宜調製されるが、飲料全量に対して、好ましくは0.00
01~1質量%である。
また、原材料としてホップを用いたビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分であ
るイソα酸を含有した飲料となる。ホップを用いたビールテイスト飲料のイソα酸の含有
量としては、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、0.1質量ppm
超であってもよく、1.0質量ppm超であってもよい。
なお、本明細書において、イソα酸の含有量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団
法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増
補改訂)に記載の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法により測定された値を
意味する。
【0058】
甘味料としては、穀物由来のデンプンを酸又は酵素等で分解した市販の糖化液、市販の
水飴等の糖類、三糖類以上の糖、糖アルコール、ステビア等の天然甘味料、人工甘味料等
が挙げられる。
これらの糖類の形態は、溶液等の液体であってもよく、粉末等の固体であってもよい。
また、デンプンの原料穀物の種類、デンプンの精製方法、及び酵素や酸による加水分解
等の処理条件についても特に制限はない。例えば、酵素や酸による加水分解の条件を適宜
設定することにより、マルトースの比率を高めた糖類を用いてもよい。その他、スクロー
ス、フルクトース、グルコース、マルトース、トレハロース、マルトトリオース及びこれ
らの溶液(糖液)等を用いることもできる。
また、人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム(アセ
スルファムK)、スクラロース等が挙げられる。
【0059】
水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グア
ーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラ
ギーナン等が挙げられ、安定性や安全性等の汎用性の観点から、難消化性デキストリン又
はポリデキストロースが好ましい。
【0060】
本発明の一態様のビールテイスト飲料において、苦味は、ホップ等によって付与するこ
とが好ましいが、さらに、苦味料又は苦味付与剤を用いてもよい。
苦味料又は苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に苦味付与剤
として用いられるものが使用でき、例えば、マンネンロウ、レイシ、姫茴香、杜松実、セ
ージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、クワシン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー
抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ
抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物等が挙げら
れる。
【0061】
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒に酸化防止剤として用い
られるものが使用でき、例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、及びカテキン等が挙
げられる。
【0062】
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香
料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が
含まれる。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、発酵工程にて、アルコール発酵により
生じる酢酸エチルを含むものであるが、当該酢酸エチルは、香料としての機能を有する。
そのため、ビールテイスト飲料は、発酵工程を経るためビール香料を別途添加する必要は
特段無いが、所望に応じて、ビール香料を添加してもよい。
酢酸エチル以外のビール香料としては、エステルや高級アルコール等が挙げられ、具体
的には、酢酸イソアミル、n-プロパノール、イソブタノール、及びアセトアルデヒド等
が挙げられる。
【0063】
酸味料としては、酸味を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、リン酸、ク
エン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸、コハク酸、グルコノ
デルタラクトン又はそれらの塩が挙げられる。
これらの酸味料の中でも、リン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、
フィチン酸、酢酸、コハク酸又はそれらの塩が好ましく、リン酸、クエン酸、乳酸、酒石
酸、酢酸又はそれらの塩がより好ましい。
これらの酸味料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
2.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガ
スを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい
。
なお、ビールテイスト飲料の発酵工程にて生じた炭酸ガスをそのまま用いることができ
るが、適宜炭酸水を加えて、炭酸ガスの量を調製してもよい。
【0065】
本発明の一態様のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧に
よって表されるが、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的に
は、飲料の炭酸ガス圧の上限は5.0kg/cm2、4.5kg/cm2、又は4.0k
g/cm2であり、下限は0.20kg/cm2、0.50kg/cm2、又は1.0k
g/cm2であり、これらの上限及び下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料
の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm2以上5.0kg/cm2以下、0.50kg/c
m2以上4.5kg/cm2以下、または、1.0kg/cm2以上4.0kg/cm2
以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固
定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振
り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガ
ス圧測定装置を用いて測定することができる。
【0066】
2.3 その他の添加物
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ
て、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペ
プチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素など
を用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲
料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物
抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、及びペプチド含有物、ウシ血清
アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。
発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母
エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用
することができる。
【0067】
2.4 ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法としては、水および麦芽を含む原料に
、酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程を有する方法であればよく、具体的には、
下記工程(1)~(2)を有する方法が挙げられる。
・工程(1):水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程。
・工程(2):前記発酵原料液に酵母を添加して、アルコール発酵を行う工程。
【0068】
なお、本発明の一態様においては、良質な味わいを有し、ビールらしい飲料を製造する
観点から、穀物に由来するスピリッツを添加する工程を有しないことが好ましい。
【0069】
また、本発明の一態様の製造方法において、成分(X)を含有した飲料となるように調
整する操作を含むことが好ましく、さらに、前記要件(I)及び(II)の少なくとも一方
を満たすように調整する操作を含むことがより好ましい。これらの操作を行うタイミング
としては、工程(1)又は工程(2)と共に行ってもよく、工程(1)と工程(2)の間
に行ってもよく、工程(2)の後に行ってもよい。または、これらのタイミングのうち、
2以上の複数回に分けて行ってもよい。
【0070】
具体的なこれらの操作を行う方法としては、例えば、成分(X)を含有した飲料となる
ように、更には、成分(A)及び(X)の含有量が所望の範囲となるように、成分(A)
も含めた成分(X)を構成する各成分を添加して調整する方法であってもよい。また、成
分(A)も含めた成分(X)を構成する各成分を多く含む原材料(例えばホップ等)の品
種や使用量、及び当該原材料の添加のタイミング等を適宜設定して、成分(X)を含有す
る飲料となるように、更には、成分(A)及び(X)の含有量を所望の範囲となるように
調整してもよい。なお、この場合は、工程(1)と共に行うことが好ましい。
さらに、成分(A)及び(X)の含有量は、ビールテイスト飲料の製造途中でろ過やフ
ィルタリング等を行うことによって調整してもよい。
【0071】
<工程(1)>
工程(1)は、水及び麦芽を含む混合物を糖化処理して発酵原料液を調製する工程であ
る。
前記混合物は、麦芽比率が50質量%以上100質量%以下となるように調整される。
発酵原料液の調製方法としては、水及び麦芽等の原材料を仕込釜又は仕込槽に投入し、
必要に応じてアミラーゼ等の酵素を添加して混合物を調製した後、糖化処理して得る方法
が挙げられる。その後、得られた発酵原料液は、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タ
ンパク等の固形分を取り除くことが好ましい。
【0072】
また、糖化処理を供する混合物には、水及び麦芽以外に、ホップ、食物繊維、甘味料、
酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素等を加えてもよい。
これらは、糖化処理を行う前に加えてもよく、糖化処理の途中で加えてもよく、糖化処
理の終了後に加えてもよい。また、これらは、次工程のアルコール発酵後に加えてもよい
。
【0073】
本工程において、原材料を加えた前記混合物は、加温し、原材料の澱粉質を糖化させる
。
糖化処理の温度及び時間は、使用する麦芽の種類や、麦芽比率、水及び麦芽以外の原材
料、使用する酵素の種類や量等によって適宜調整する。例えば、本発明の一態様において
、ビールテイスト飲料の糖質濃度及びアルコール度数を上述の範囲に調整する観点から、
糖化処理の温度は55~75℃であり、糖化処理の時間は30~240分であることが好
ましい。
【0074】
また、本工程において、ホップ等の成分(A)を含めた成分(X)を構成する各成分を
多く含む原材料を用いることで、成分(A)及び(X)の含有量を調整してもよい。この
ような原材料としては、ホップが好ましい。
そして、成分(A)を含めた成分(X)を構成する各成分を多く含む原材料の品種や使
用量、及び当該原材料の添加のタイミング等を適宜設定することで、成分(A)及び(X
)の含有量を所望の範囲に調整することができる。具体的な手法として、例えば、成分(
A)を含めた成分(X)を構成する各成分を多く含む原材料の添加のタイミングが早いと
、麦汁の調整過程で原材料から抽出されたこれらの香気成分が蒸散して、得られる飲料中
の成分(A)及び(X)の含有量が少なくなる傾向がある。そのため、当該原材料の添加
のタイミングをなるべく後に行うことで、飲料中の成分(A)及び(X)の含有量を多く
調整することができる。
【0075】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で糖化処理して得られた発酵原料液に、酵母を添加し、アル
コール発酵を行う工程である。
本工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件等を考
慮して適宜選択することができ、上面発酵酵母を用いてもよく、下面発酵酵母を用いても
よい。
【0076】
酵母は、酵母懸濁液のまま原料液に添加してもよいし、遠心分離あるいは沈降により酵
母を濃縮したスラリーを原液に添加してもよい。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取
り除いたものを添加してもよい。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5
×106cells/ml~1×108cells/ml程度である。
【0077】
アルコール発酵を行う際の発酵条件は、適宜設定することができるが、ビールテイスト
飲料の糖質濃度及びアルコール度数を上述の範囲に調整する観点から、発酵温度が5~2
5℃であることが好ましい。また、ビールテイスト飲料の糖質濃度及びアルコール度数は
、トランスグルコシダーゼ等の多糖分解酵素について種類、添加量及び添加のタイミング
を適宜設定して調整することができ、また、必要に応じて、発酵工程の途中で発酵液の温
度(昇温又は降温)もしくは圧力を変化させてもよい。
【0078】
アルコール発酵後は、ろ過機等で酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色
素等の添加剤を加えてもよい。
【0079】
このようにして得られたビールテイスト飲料は、所定の容器に充填され、製品として市
場に流通する。
ビールテイスト飲料の容器詰め方法としては、特に限定されず、当業者に周知の容器詰
め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、ビールテイスト飲料は容器に充填
・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例
としては、上述のとおりである。
【実施例0080】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって
は制限されない。
【0081】
実施例1~6、比較例1~3
<飲料の調製>
粉砕した大麦麦芽及び多糖分解酵素を、40~55℃で保持された温水40Lが入った
仕込槽に投入した後、40~55℃の低温領域、55~70℃の中温領域、及び70~8
5℃の高温領域のそれぞれの温度領域で所定時間(1分間~60分間の範囲)保持しなが
ら、段階的に昇温して、糖化液を調製した。例えば、実施例1では、52℃で保持された
温水を用いて、52℃で30分間保持し、続いて65℃で40分間、さらに76℃で5分
間と段階的に昇温した。その後、濾過して麦芽粕を除去し、麦汁を得た。得られた麦汁に
、表1に示す麦芽比率となるようにショ糖を添加し、さらにホップを添加して煮沸を行っ
た。煮沸後の麦汁を固液分離処理し、得られた清澄な麦汁を冷却し、酵母を添加して、発
酵温度及び発酵時間、トランスグルコシダーゼ等の多糖分解酵素の添加量や添加のタイミ
ングを調整して発酵液を調製し、当該発酵液を濾過して、ゲラニオール及びシトロネロー
ルの含有量が表1に示す値となるように、ビールである試験用飲料をそれぞれ調製した。
なお、各実施例及び比較例においては、酵素の種類、添加量及び添加のタイミング、糖
化液を調製する際の各温度領域の設定温度及び保持時間等を適宜設定し、表1に示す糖質
濃度、総ポリフェノール量及びアルコール度数となるようにそれぞれ調整した。また、ゲ
ラニオール及び/又はシトロネロールの適宜添加して、表1に示すゲラニオール及びシト
ロネロールの含有量となるようにそれぞれ調整した。
【0082】
<官能評価>
得られた飲料について、日頃から訓練を受けた5人のパネラーが、各飲料の「飲みやす
さ」及び「後味の収斂味の抑制性」について、下記のスコア基準に基づき、5(最大値)
~1(最小値)の範囲で、0.1刻みのスコアにて評価し、5人のパネラーのスコアの平
均値を算出した。結果を表1に示す。
なお、評価に際しては、下記基準「5」、「4」、「3」、「2」及び「1」に適合す
るサンプルを予め用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、表1のいずれの
官能評価においても、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差
異は確認されなかった。
[飲みやすさ]
・「5」:非常に優れた飲みやすさを有している。
・「4」:優れた飲みやすさを有している。
・「3」:十分な飲みやすさを有している。
・「2」:やや飲みにくさが感じられる。
・「1」:かなり飲みにくい。
[後味の収斂味の抑制性]
・「5」:後味の収斂味を全く感じられず、収斂味はかなり抑えられている。
・「4」:後味の収斂味をほとんど感じられず、収斂味は十分に抑えられている。
・「3」:後味の収斂味を若干感じられるものの、収斂味は抑えられていることが分かる
。
・「2」:後味の収斂味がある程度感じられ、収斂味があまり抑えられていない。
・「1」:後味の収斂味が強く、収斂味がほとんど抑えられていない。
【0083】
【0084】
表1より、実施例1~11で調製したビールは、高麦芽比率であって低糖質の飲料であ
るにも関わらず、飲みやすく、後味の収斂味が抑えられた飲料であった。
一方で、比較例1及び3で調製したビールは、高麦芽比率であり糖質も高い飲料である
ため、飲みにくさが感じられる結果となった。また、比較例2で調製したビールは、高麦
芽比率であって低糖質の飲料であるが、後味の収斂味が感じられ、収斂味の抑制が不十分
である結果となった。
【0085】
実施例7
<飲料の調製>
粉砕した大麦麦芽及び多糖分解酵素を、52℃で保持された温水40Lが入った仕込槽
に投入した後、52℃で30分間保持し、続いて65℃で40分間、さらに76℃で5分
間と段階的に温度を上げて保持して糖化液を調製した。その後、濾過して麦芽粕を除去し
、麦汁を得た。得られた麦汁に、表2に記載の麦芽比率となるようにショ糖を添加し、さ
らにホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の麦汁を固液分離処理し、得られた清澄な麦
汁を冷却し、酵母を添加して、発酵温度及び発酵時間、トランスグルコシダーゼ等の多糖
分解酵素の添加量や添加のタイミングを調整して発酵液を調製し、当該発酵液を濾過して
、表2に示す成分(X1)を構成する各成分の含有量が表2に記載の値となるように、ビ
ールである試験用飲料をそれぞれ調製した。
なお、酵素の種類、添加量及び添加のタイミング、温度や時間等の反応条件等を適宜設
定し、表2に示す糖質濃度及びアルコール度数となるようにそれぞれ調整した。また、ホ
ップの種類や添加量等のホップの添加条件を適宜設定し、さらに必要に応じて成分(X1
)を構成する各成分の適宜添加して、表2に示す成分(X1)を構成する各成分の含有量
が表2に記載の値となるように調整した。
【0086】
<官能評価>
得られた飲料について、実施例1等と同様の上述の官能評価に基づき、「味の落差の有
無」、「飲んだ後の爽快さ」及び「総合評価」の評価を行ったところ、表2に示す結果と
なった。
【表2】
【0087】
表2より、実施例12~13で調製したビールは、高麦芽比率であって低糖質の飲料で
あるにも関わらず、飲みやすく、後味の収斂味が抑えられた飲料であった。