(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031618
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20220215BHJP
E04D 13/10 20060101ALI20220215BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20220215BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20220215BHJP
E04H 9/16 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
E04D13/00 K
E04D13/10 B ETD
E04D13/18
H02S20/23 B
E04H9/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135468
(22)【出願日】2020-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】512251253
【氏名又は名称】甍エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
【テーマコード(参考)】
2E108
2E139
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108MM04
2E108NN07
2E139AA03
2E139DA58
2E139DB04
(57)【要約】
【課題】本発明は横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造における技術であり、支持金具を取り付けることが出来る屋根は横葺屋根のハゼ部の下側に支持金具の基底部が差し込み可能な横葺き屋根に限定されるという課題があった。
【解決手段】
本発明の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造は、金属屋根材は本体と連結材で構成され、連結材の頭側へ段葺きの際に前記本体の頭見付け部の裏面と当接する支持金具連結部を設け、連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、金属屋根材を設置後に、支持金具を本体の頭見付け部の表面から支持金具連結部に緊結材で固定する構造を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の勾配を有する屋根に段葺きで葺かれる横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、
前記金属屋根材は本体と連結材で構成され、
前記本体の頭側に頭側固定部を設け、
前記本体の尻側に尻側固定部を設け、
前記連結材に屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、
前記連結材の頭側へ支持金具連結部を設け、
段葺きの際に、前記連結材によって下段に位置する前記本体の前記尻側固定部と上段に位置する前記本体の前記頭側固定部とを連結し、
下段に位置する前記支持金具連結部は上段に位置する前記本体の頭見付け部の裏面と当接し、
前記連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、
前記金属屋根材を前記屋根へ設置後に、前記金属屋根材上に載置する積載物を支持する支持金具を前記本体の前記頭見付け部の表面から前記支持金具連結部に緊結材で固定する
ことを特徴とする横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造。
【請求項2】
前記連結材は、前記本体の尻側に設けた本体働き長さ位置決め基準に前記連結材に設けた連結材働き長さ位置決め基準を合わせることで位置決めし、
前記連結材は働き長さを可変させる寸法調整部を有している
ことを特徴とする請求項1記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造。
【請求項3】
前記金属屋根材の働き長さの水平投影寸法が前記建物の設計単位寸法の整数分の一であり、
前記金属屋根材の働き幅寸法が前記金属屋根材の前記働き長さの水平投影寸法の二倍以上の整数倍であり、
前記連結材の前記寸法調整部の長さを前記勾配に合わせて設定することで、
前記金属屋根材の前記働き長さの水平投影寸法を前記建物の前記設計単位寸法の整数分の一とすることを特徴とした請求項1記載または請求項2記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造。
【請求項4】
前記本体働き長さ位置決め基準に前記連結材働き長さ位置決め基準を当て止めすることで前記連結材の位置決めを行うことを特徴とする請求項1から請求項3にいずれか記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造。
【請求項5】
段葺きの際に、下段の前記連結材に設けた上面支持部を上段の前記金属屋根材の頭側上方裏面と当接または近接させる位置に設けたことを特徴とする請求項1から請求項4にいずれか記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、屋根上にソーラーパネルや屋根に積もった雪の落下を防止する雪止アングル部材など、装置や部材を載置するための支持金具を、防水性に優れ、屋根下地への固定強度が高く、かつ施工性良く取り付けるための取り付け構造についての技術である。
建物の勾配を有する屋根に段葺きで葺かれる横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材は本体と連結材で構成され、前記本体の頭側に頭側固定部を設け、前記本体の尻側に尻側固定部を設け、前記連結材に屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、前記連結材の頭側へ支持金具連結部を設け、段葺きの際に、前記連結材によって下段に位置する前記本体の前記尻側固定部と上段に位置する前記本体の前記頭側固定部とを連結し、下段に位置する前記支持金具連結部は上段に位置する前記本体の頭見付け部の裏面と当接し、前記連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、前記金属屋根材を前記屋根へ設置後に、前記金属屋根材上に載置する積載物を支持する支持金具を前記本体の前記頭見付け部の表面から前記支持金具連結部に緊結材で固定するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の特許文献1には、特開2018-091009号の太陽電池パネル取付架台の支持金具がある。この特許文献は、横葺屋根の上に太陽電池パネルを取付ける架台を設置するための太陽電池パネル取付架台の支持金具に関するものである。
横葺屋根のハゼ部に挟着して固定される太陽電池パネル取付架台の支持金具の提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では横葺屋根の上に太陽電池パネルを取付ける架台を設置するための太陽電池パネル取付架台の支持金具に関するものであり、横葺屋根のハゼ部の下側に先端側が差し込み可能な基底部と、該基底部の上方に対向配置した上面が平坦な架台載置部と、該架台載置部に上下方向に貫通形成した螺子孔と、該螺子孔に昇降自在に貫通螺挿した螺子棒と、該螺子棒の下端に空転自在に取付けた前記ハゼ部の上面を押圧可能な押さえ部とから成ることを特徴とするものである。
この該押さえ部で基底部上のハゼ部上面を押圧し、基底部と押さえ部間にハゼ部を簡単にして強固に挟持できる。
しかも、架台を載置可能な架台載置部の上面は常に一様な平坦面を成しているから、架台を安定的に載置でき、従来の様なボルトの締め直しや支持金具の取付け位置を変更する手間が一切なく、従来品に比しその取付け作業を効率的に行うことができるという効果を発揮する。
【0005】
しかし、特許文献1は、支持金具を取り付けることが出来る屋根は横葺屋根のハゼ部の下側に支持金具の基底部が差し込み可能な横葺き屋根に限定されるという課題があった。
また、特許文献1の支持金具の取付構造は、基底部を横葺屋根のハゼ部の下側に差し込み、その後、螺子棒を下方へ螺進させることにより、押さえ部を降下させ、該押さえ部で基底部上のハゼ部上面を押圧し、基底部と押さえ部間にハゼ部を挟持する取付構造であり、施工が煩雑で手間が掛かるという課題があった。
さらに、特許文献1の支持金具の取付構造は、横葺き屋根のハゼ部を挟持して取り付けるだけの構造であり、台風などの強風時に発生する屋根面への負圧に対して支持金具の屋根面に対する固定強度が不足する恐れがあるという課題があった。
【0006】
本発明は、建物の勾配を有する屋根に段葺きで葺かれる横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材は本体と連結材で構成され、前記本体の頭側に頭側固定部を設け、前記本体の尻側に尻側固定部を設け、前記連結材に屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、前記連結材の頭側へ支持金具連結部を設け、段葺きの際に、前記連結材によって下段に位置する前記本体の前記尻側固定部と上段に位置する前記本体の前記頭側固定部とを連結し、下段に位置する前記支持金具連結部は上段に位置する前記本体の頭見付け部の裏面と当接し、前記連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、前記金属屋根材を前記屋根へ設置後に、前記金属屋根材上に載置する積載物を支持する支持金具を前記本体の前記頭見付け部の表面から前記支持金具連結部に緊結材で固定する横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造は、建物の勾配を有する屋根に段葺きで葺かれる横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材は本体と連結材で構成され、前記本体の頭側に頭側固定部を設け、前記本体の尻側に尻側固定部を設け、前記連結材に屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、前記連結材の頭側へ支持金具連結部を設け、段葺きの際に、前記連結材によって下段に位置する前記本体の前記尻側固定部と上段に位置する前記本体の前記頭側固定部とを連結し、下段に位置する前記支持金具連結部は上段に位置する前記本体の頭見付け部の裏面と当接し、前記連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、前記金属屋根材を前記屋根へ設置後に、前記金属屋根材上に載置する積載物を支持する支持金具を前記本体の前記頭見付け部の表面から前記支持金具連結部に緊結材で固定することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記連結材は、前記本体の尻側に設けた本体働き長さ位置決め基準に前記連結材に設けた連結材働き長さ位置決め基準を合わせることで位置決めし、前記連結材は働き長さを可変させる寸法調整部を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材の働き長さの水平投影寸法が前記建物の設計単位寸法の整数分の一であり、前記金属屋根材の働き幅寸法が前記金属屋根材の前記働き長さの水平投影寸法の二倍以上の整数倍であり、前記連結材の前記寸法調整部の長さを前記勾配に合わせて設定することで、前記金属屋根材の前記働き長さの水平投影寸法を前記建物の前記設計単位寸法の整数分の一とすることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3までのいずれか記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記本体働き長さ位置決め基準に前記連結材働き長さ位置決め基準を当て止めすることで前記連結材の位置決めを行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、段葺きの際に、下段の前記連結材に設けた上面支持部を上段の前記金属屋根材の頭側上方裏面と当接または近接させる位置に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造は、建物の勾配を有する屋根に段葺きで葺かれる横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材は本体と連結材で構成され、前記本体の頭側に頭側固定部を設け、前記本体の尻側に尻側固定部を設け、前記連結材に屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、前記連結材の頭側へ支持金具連結部を設け、段葺きの際に、前記連結材によって下段に位置する前記本体の前記尻側固定部と上段に位置する前記本体の前記頭側固定部とを連結し、下段に位置する前記支持金具連結部は上段に位置する前記本体の頭見付け部の裏面と当接し、前記連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、前記金属屋根材を前記屋根へ設置後に、前記金属屋根材上に載置する積載物を支持する支持金具を前記本体の前記頭見付け部の表面から前記支持金具連結部に緊結材で固定することで、防水性に優れた構造で支持金具を屋根面に取り付けることが出来る。
また、横葺き金属屋根材を屋根へ設置した後、支持金具をドリル付きビス等の緊結材を用いて、インパクトドライバーなどの工具を使い、緊結材で支持金具を連結材の支持金具連結部に留め付けることにより、短時間で簡単かつ確実に取り付けることが出来る。
さらに、連結材には屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、屋根下地固定部から緊結材で屋根下地に固定し、かつ支持金具を連結材の支持金具連結部に留め付けることによって、屋根下地への緊結材の固定力が支持金具の屋根下地への固定力になり、台風などの強風時の負圧に対しても耐えられる優れた屋根面への固定強度を発揮することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例による製品図面及び支持金具の施工断面図
【
図2】本発明の実施例による製品本体と連結材の斜視図
【
図3】本発明の実施例による勾配ごとの支持金具の施工断面図
【
図5】本発明の実施例による雪止アングル支持金具及び雪止金具の施工断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態における横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造は、建物の勾配を有する屋根に段葺きで葺かれる横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材は本体と連結材で構成され、前記本体の頭側に頭側固定部を設け、前記本体の尻側に尻側固定部を設け、前記連結材に屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、前記連結材の頭側へ支持金具連結部を設け、段葺きの際に、前記連結材によって下段に位置する前記本体の前記尻側固定部と上段に位置する前記本体の前記頭側固定部とを連結し、下段に位置する前記支持金具連結部は上段に位置する前記本体の頭見付け部の裏面と当接し、前記連結材は前記屋根下地固定部から緊結材で前記屋根下地に固定し、前記金属屋根材を前記屋根へ設置後に、前記金属屋根材上に載置する積載物を支持する支持金具を前記本体の前記頭見付け部の表面から前記支持金具連結部に緊結材で固定するものである。
本実施の形態によれば、防水性に優れた構造で屋根面に支持金具を取り付けることが出来る。
また、横葺き金属屋根材を屋根へ設置した後、支持金具をドリル付きビス等の緊結材を用いて、インパクトドライバーなどの工具を使い、緊結材で支持金具を連結材の支持金具連結部に留め付けることにより、短時間で簡単かつ確実に取り付けることが出来る。
さらに、連結材には屋根下地へ固定する屋根下地固定部を設け、屋根下地固定部から緊結材で屋根下地に固定し、かつ支持金具を連結材の支持金具連結部に留め付けることによって、屋根下地への緊結材の固定力が支持金具の屋根下地への固定力になり、台風などの強風時の負圧に対しても耐えられる優れた屋根面への固定強度を発揮することが出来る。
【0015】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記連結材は、前記本体の尻側に設けた本体働き長さ位置決め基準に前記連結材に設けた連結材働き長さ位置決め基準を合わせることで位置決めし、前記連結材は働き長さを可変させる寸法調整部を有しているものである。
本実施の形態によれば、連結材を本体に取り付ける際に、本体働き長さ位置決め基準に連結材働き長さ位置決め基準を合わせることで所定の働き長さを得ることが出来る。
これにより、現場で働き長さを計測することなく簡単で正確に所定の働き長さを得ることが出来る。
また、連結材には働き長さを可変させる寸法調整部を有しているので、本体の形状を変えることなく働き長さを調整することが出来る。
これにより、すがり部など部分的に働き長さを調整する必要があるときでも、連結材の寸法調整部を変えるだけで働き長さの調整をすることが出来る。
【0016】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記金属屋根材の働き長さの水平投影寸法が前記建物の設計単位寸法の整数分の一であり、前記金属屋根材の働き幅寸法が前記金属屋根材の前記働き長さの水平投影寸法の二倍以上の整数倍であり、前記連結材の前記寸法調整部の長さを前記勾配に合わせて設定することで、前記金属屋根材の前記働き長さの水平投影寸法を前記建物の前記設計単位寸法の整数分の一とするものである。
本実施の形態によれば、建物の設計単位寸法と横葺き金属屋根材の働き長さの水平投影寸法及び働き幅寸法を関係付けることで屋根端部の屋根材の形状を規格化することが出来る。
また、働き長さの水平投影寸法を一定にするためには勾配伸び率を加味して屋根面での働き長さを屋根勾配ごとに変えることが必要になるが、連結部の寸法調整部の長さを勾配ごとに合わせることで、勾配が変わっても働き長さの水平投影寸法を建物の設計単位寸法の整数分の一とすることが出来る。
【0017】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれか実施の形態による横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、前記本体働き長さ位置決め基準に前記連結材働き長さ位置決め基準を当て止めすることで前記連結材の位置決めを行うものである。
本実施の形態によれば、連結材の位置決め基準を簡単で確実に位置決めすることが出来る。
【0018】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれか実施の形態による横葺き金属屋根材における支持金具取り付け構造において、段葺きの際に、下段の前記連結材に設けた上面支持部を上段の前記金属屋根材の頭側上方裏面と当接または近接させる位置に設けたものである。
本実施の形態によれば、支持金具を経由して金属屋根材の頭側に積載物の荷重がかかった場合にも連結部材に設けた上面支持部により面で荷重を受けることにより、積載物の荷重による金属屋根材の頭側の変形を防ぐことが出来る。
【実施例0019】
以下本発明の実施例による横葺き金属屋根材1における支持金具9取り付け構造について説明する。
図1は実施例による製品図面及び支持金具9の施工断面である。
図1の製品における製品設計モジュールは尺モジュールであり、建物の設計単位寸法Pも尺モジュールであり、1P=910mmである。
図1(a)は金属屋根材1の本体3と連結材4をアセンブリした状態での製品図面で投影法による6面図である。
図1(b)は
図1(a)を拡大して幅方向を省略線で省略した3面図である。
図1(c)は
図1(b)を更に拡大して上下段の施工状態をあらわした施工断面図である。
【0020】
図1(a)の製品は建物の勾配21を有する屋根2に段葺きで葺かれる横葺きの金属屋根材1であり、本体3と連結材4がアセンブリされた状態の図面である。
金属屋根材1の働き長さの水平投影寸法Lhは建物の設計単位寸法Pである910mmの四分の一であり、227.5mmである。
図1の製品は、勾配21を2.5寸勾配で設定した寸法であり、働き長さ寸法Lは働き長さの水平投影寸法Lhに2.5寸勾配の勾配伸び率を掛けた寸法である。
2.5寸勾配の勾配伸び率である1.0307を227.5mmに掛けると働き長さ寸法Lは234mmとなる。
金属屋根材1の働き幅寸法Wは1820mmであり、金属屋根材1の働き長さの水平投影寸法Lhである227.5mmの8倍の関係である。
金属屋根材1の全長さLAは285mmであり、縦重なり寸法は51mmである。
金属屋根材1の全幅WAは1900mmであり、横重なり寸法は80mmである。
連結材4の全幅は1820mmであり、金属屋根材1の働き幅Wと同一寸法である。
前記連結材4は、平面図での本体3右端と連結材4右端を合わせた位置に設けるので本体3の左端と連結材4の左端との間に横重なり寸法の80mmが存在する。
正面図では、頭側固定部7の右端下端部を横重なり寸法である80mmと同寸法の頭側切り欠き部が存在する。
金属屋根材1の尻側6に本体3の一方の側端から他方の側端まで連続して一定高さを有した尻側水返しを設ける。
【0021】
図1(b)は
図1(a)を拡大して幅方向を省略線で省略した3面図であり、製品の正面図、平面図、右側面図である。
図1(c)は
図1(b)を更に拡大して上下段の施工状態をあらわした施工断面図である。
図1(b)と
図1(c)の実施例をあわせて説明する。
金属屋根材1は本体3と連結材4で構成され、本体3の頭側5に頭側固定部7と頭見つけ部15を設け、本体3の尻側6に尻側固定部8と本体働き長さ位置決め基準10を設けた構成になっている。
本体働き長さ位置決め基準10は、前記尻側水返しとしても機能する。
本体3の尻側6に連結材4を設け、前記連結材4は連結材働き長さ位置決め基準12を設け、本体働き長さ位置決め基準10と基準位置を合わせた位置に設けた構成となっている。
連結材4には、屋根下地13へ固定する屋根下地固定部14を設ける。
連結材4の頭側5には、段葺きする際に本体3の頭見付け部15の裏面と当接する支持金具連結部16を設ける。
段葺きの際に、前記連結材4によって下段に位置する前記本体3の前記尻側固定部8と上段に位置する前記本体3の前記頭側固定部7とを連結し、前記連結材4は前記屋根下地固定部14から緊結材17で前記屋根下地13に固定する。
金属屋根材1を屋根2へ設置後に、前記金属屋根材1の上に載置する積載物18を支持するための支持金具9を前記本体3の前記頭見付け部15の表面から前記支持金具連結部16に緊結材17で固定する。
連結材4は働き長さ寸法Lを可変させる寸法調整部11を有している。
実施例での連結材4の位置決めは、本体働き長さ位置決め基準10に前記連結材働き長さ位置決め基準12を当て止めすることで前記連結材4の位置決めを行う。
当て止めにより位置決めできるため、簡易で確実に位置決め出来て、所定の働き長さ寸法Lを確保することが出来る。
また、実施例では段葺きの際に、下段の前記連結材4に設けた上面支持部19を上段の前記金属屋根材1の頭側上方裏面20と当接または近接させる位置に設ける。
このことにより、積載物18により荷重がかかった場合でも連結材4の上面支持部19にて支持することが出来る。
実施例の本体3は、表面に塗装を施した塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板の基材厚み寸法で0.35mm~0.6mm程度の薄板鋼板が好ましい。
実施例の連結材4の材質はアルミニウムで厚さ1.5mmの押出成形品としているが、本体3と同じ塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板の薄板を使用しても良い。
薄板鋼板を用いる場合は、基材の厚みを厚くするとか、二重折りで製作するなどの支持金具9を固定するための強度を上げるための工夫が必要となる。
【0022】
図2は
図1の実施例による製品本体と連結材をアッセンブリした斜視図である。
製品全体を頭側5から見て、左上側から見た斜視図である。
連結材4の頭側5には、支持金具連結部16を設けている。
【0023】
図3は実施例による勾配ごとの支持金具の施工断面図である。
図3(a)は、勾配21が2.5寸勾配のときの施工断面図である。
図3(b)は、勾配21が4寸勾配のときの施工断面図である。
図3(a)は、
図1の連結材4を用いている。
連結材4の寸法調整部11における、寸法調整部の長さAは30mmである。
働き長さの水平投影寸法Lhは、設計単位寸法Pの四分の一の227.5mmである。
働き長さ寸法Lは勾配21ごとの勾配伸び率を働き長さの水平投影寸法Lhに掛けて算出する。
2.5寸勾配の勾配伸び率は1.0307であり、227.5mmにかけることで234mmとなる。
支持金具9は頭見付け部15へ緊結材17により留め付ける。
支持金具9を金属屋根材1の頭見付け部15の表面側から緊結材17で頭見付け部15の裏面と当接している連結材4の支持金具連結部16に固定することで、簡易でかつ強固に屋根2へ積載物18を積載することが出来る。
支持金具9には緊結材17用の穴をあらかじめあけておき、頭見付け部15及び連結材4の支持金具連結部16にはドリルで下穴をあけた後にタッピングビスで留めるか、実施例のように緊結材17をセルフドリリングビスにして留め付ける。
連結材4は屋根下地材固定部14から緊結材17により本体3の尻側固定部8を貫通して屋根下地13に留め付ける。
屋根下地は一般的には構造用合板を用いているため、緊結材17はコーススレッドビスを用いることが多い。
【0024】
図3(b)は、
図1の連結材4とは寸法調整部11が異なるものを用いている。
図3(b)では勾配21が4寸勾配であり、4寸勾配に対応した寸法調整部の長さAは19mmとなる。
働き長さの水平投影寸法Lhは、
図3(a)と同じ設計単位寸法Pの四分の一の227.5mmである。
働き長さ寸法Lは勾配21ごとの勾配伸び率を働き長さの水平投影寸法Lhに掛けて算出する。
4寸勾配の勾配伸び率は1.077であり、227.5mmにかけることで245mmとなる。
実際には屋根勾配を考慮し、働き長さ寸法Lを設定することで、働き長さの水平投影寸法Lhを設計単位寸法Pの四分の一にしている。
図3(a)の2.5寸勾配の場合と比べ、連結材4の寸法調整部の長さAを11mm短くすることで、
図3(b)の働き長さ寸法Lを11mm長くし、4寸勾配のときにも働き長さの水平投影寸法Lhが227.5mmになるようにしている。
図3(b)では、支持金具9の上に積載物18としてC型鋼をボルトで留め付けている。
実際には、このC型鋼の上に太陽光発電パネルなどの積載物18が積載されるが、実施例では積載物18はC型鋼のみとしてC型鋼上の積載物18は省略している。
【0025】
図4は実施例による支持金具の施工斜視図である。
金属屋根材1の頭見付け部15の表面側から緊結材17で連結材4に支持金具9を固定する。
支持金具9の取り付けピッチは、桁方向に455mmピッチで金属屋根材1の働き幅寸法Wの四分の一ピッチとしている。
実施例では支持金具9の流れ方向の留め付けピッチは、金属屋根材1の働き長さ寸法Lとしているが、積載物18の積載荷重に応じて留め付けピッチは変更する。
金属屋根材1は桁方向で働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mm分だけずらして配置することから、桁方向で455mmピッチの留め付けをしている支持金具9は、流れ方向では1段飛ばしで直列に配置される。
【0026】
図5は実施例による雪止アングル支持金具及び雪止金具の施工断面図である。
図5(a)は積雪地域における雪止アングルの設置金具の施工断面図である。
支持金具9の設置構造は
図1、
図3と同様の設置構造であり、支持金具9の形状が異なっている。
積雪地域においては、屋根上の雪が落雪しないように雪止部材を設置するが、多雪地域においては、雪止部材としてアングル鋼を用いる。
アングル鋼を桁方向に軒先へ設置することで屋根面の雪の落雪を効果的に止めることが出来る。
屋根2への積載物18としては、直接的にはアングル鋼が積載物18だが、実際には屋根上の雪が積載物18となる。
そのため、積雪量や勾配21を考慮して、荷重計算を行い支持金具9の取り付け個数を決定する。
図5(b)はアングル鋼を用いないタイプの雪止金具の施工断面図である。
雪止金具を屋根面で点在させて、雪止金具のみで雪を屋根上に止めるものである。
雪止金具は図中では支持金具9として記載している。
支持金具9によって屋根面の落雪を防ぎ、屋根上に雪を積載する。
実施例では、1段飛ばしで支持金具9を設置しているが、実際には積雪地域の年間平均積雪量や屋根2の勾配21を考慮して、荷重計算を行い支持金具9の取り付け個数を決定する。
【0027】
図6は実施例による支持金具の斜視図である。
金属屋根材1の頭見付け部15の表面から緊結材17で留め付けられるように下穴があいている。
材質は、屋外に露出されるため高耐久な素材であることが望まれ、ステンレス鋼やガルバリウム鋼などの高耐久メッキ鋼材が用いられる。
積載物18が積載される上面は、C型鋼などをボルトで留め付けるための下穴があけてある。
桁方向で多少の位置ずれがあっても長孔になっていることでボルト固定が可能となる。
本発明は、実施例では金属屋根材1の働き長さの水平投影寸法Lhを設計単位寸法Pの整数分の一にするために働き長さの寸法調整をするとしたが、設計単位寸法Pに関わらず、すがり部などで働き長さ調整がしたい場合にも利用できる。