(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031669
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】研磨剤および/または構造化剤としての複合体化された形態の破壊澱粉を含む組成物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20220215BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220215BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220215BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220215BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20220215BHJP
C08F 210/02 20060101ALI20220215BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20220215BHJP
C11D 3/382 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q1/12
C08F210/02
C11D3/37
C11D3/382
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178009
(22)【出願日】2021-10-29
(62)【分割の表示】P 2018537652の分割
【原出願日】2017-01-18
(31)【優先権主張番号】102016000004478
(32)【優先日】2016-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】592081988
【氏名又は名称】ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】マジストラリ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】マリーニ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ペトラクー,イオアンナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来のマイクロビーズと比較して少なくとも同等のコストで、使用時に従来のマイクロビーズを使用して達成可能な性能と全く同じような性能が得られる、化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物中における研磨剤および/または構造化剤を提供する。
【解決手段】化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物中において、研磨剤および/または構造化剤としての、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉を含む微小顆粒の使用であり、前記化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物が、前記配合物合計重量に対して1~20重量%の前記微小顆粒を含むことを特徴とする微小顆粒の使用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物中において、研磨剤および/または構造化剤としての、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉を含む微小顆粒の使用であり、前記化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物が、前記配合物合計重量に対して1~20重量%の前記微小顆粒を含むことを特徴とする微小顆粒の使用。
【請求項2】
前記微小顆粒が、成分i~ivの合計に対して、
i. 30~80%の破壊澱粉;
ii.20~70%の疎水性配列をインターカレートした親水基を含むポリマー;
iii.0~25%の可塑剤;
iv.0~50%の水
を含む請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、
- 10~100%の加水分解度を有するポリビニルアルコール;
- ビニルアルコール/酢酸ビニルブロックコポリマー;
- 乾燥形態および水中で乳化された形態のポリ酢酸ビニル;
- エチレンと、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレートとのコポリマーおよびそれらの混合物;
- 脂肪族6-6、6-9または12ポリアミド、脂肪族ポリウレタン、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリエステル、ポリウレタン/ポリアミド、ポリウレタン/ポリエーテル、ポリウレタン/ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、ポリアミド/ポリエーテル、ポリエステル/ポリエーテル、ポリウレア/ポリエステル、ポリウレア/ポリエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン/ウレタンランダムおよびブロックコポリマーであり、ポリカプロラクトンブロックの分子量が300~3000である
から選択される請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、10~100%の加水分解度を有するポリビニルアルコールである請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、ビニルアルコール/酢酸ビニルブロックコポリマーである請求項3に記載の使用。
【請求項6】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、ポリ酢酸ビニルである請求項3に記載の使用。
【請求項7】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、エチレンとビニルアルコールおよび/またはアクリル酸とのコポリマーである請求項3に記載の使用。
【請求項8】
前記エチレンとビニルアルコールとのコポリマーが、20~50モル%のエチレン単位を含む請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記エチレンとアクリル酸とのコポリマーが、70~99重量%のエチレン単位を含む請求項7に記載の使用。
【請求項10】
研磨剤および/または構造化剤として、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉を含む微小顆粒を配合物の合計重量に対して1~20重量%含み、前記微小顆粒が1~1000μmの直径の回転楕円体粒子の形態である化粧品、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項11】
前記微小顆粒が、成分i~ivの合計重量に対して、
i. 30~80%の破壊澱粉;
ii.20~70%の疎水性配列をインターカレートした親水基を含むポリマー;
iii.0~25%の可塑剤;
iv.0~50%の水
を含む請求項10に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項12】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、
- 10~100%の加水分解度を有するポリビニルアルコール;
- ビニルアルコール/酢酸ビニルブロックコポリマー;
- 乾燥形態および水中で乳化された形態のポリ酢酸ビニル;
- エチレンと、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレートとのコポリマーおよびそれらの混合物;
- 脂肪族6-6、6-9または12ポリアミド、脂肪族ポリウレタン、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリエステル、ポリウレタン/ポリアミド、ポリウレタン/ポリエーテル、ポリウレタン/ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、ポリアミド/ポリエーテル、ポリエステル/ポリエーテル、ポリウレア/ポリエステル、ポリウレア/ポリエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン/ウレタンランダムおよびブロックコポリマーであり、ポリカプロラクトンブロックの分子量が300~3000である
から選択される請求項10または11に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項13】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、10~100%の加水分解度を有するポリビニルアルコールである請求項12に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項14】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、ビニルアルコール/酢酸ビニルブロックコポリマーである請求項12に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項15】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、ポリ酢酸ビニルである請求項12に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項16】
前記疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーが、エチレンとビニルアルコール、酢酸ビニルおよび/またはアクリル酸とのコポリマーである請求項12に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項17】
前記エチレンとビニルアルコールとのコポリマーが、20~50モル%のエチレン単位を含む請求項16に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項18】
前記エチレンとアクリル酸とのコポリマーが、70~99モル%のエチレン単位を含む請求項16に記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【請求項19】
前記微小顆粒が1~100μmの直径の回転楕円体粒子の形態である請求項10~18のいずれか1つに記載の化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物中において、研磨剤および/または構造化剤としての複合体化された形態の破壊(destructurized)澱粉を含む微小顆粒の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨剤および/または構造化剤は、例えば、化粧品、皮膚用、洗剤および洗浄配合物のような産業の様々な分野および広範囲の製品において、研磨効果を達成するために、あるいは美的構造形成機能を有するために長い間使用されてきたプラスチック微小顆粒(別名マイクロビーズ)である。
【0003】
従来のマイクロビーズは、主にポリエチレンおよび/またはポリアミドをベースとしており、これらのポリマーの非常に長い分解時間のために、環境、特に海洋、海、川および湖水中にプラスチック微粒子の蓄積の危険性をもたらす可能性がある。したがって、前記プラスチック微粒子は、「マイクロ汚染」として一般に知られている現象、すなわち、魚類および海洋哺乳類によって摂取され、食物連鎖で徐々に蓄積する非常に長い分解時間を有するプラスチック微小断片の蓄積に寄与する。
【0004】
この現象のますます顕在化する有害性を考慮して、特にその環境上の悪影響に起因して、化粧品を含む様々なタイプの製品における従来のマイクロビーズの使用を阻止し、かつ徐々に排除するための多くの発議が、多くの国々において国家レベルで、同様に国際レベルでも起こっている。
したがって、上記の問題を克服するために、従来のマイクロビーズの代替物を特定することに、業界の様々な分野では特に関心が持たれている。
【発明の概要】
【0005】
この技術的問題から出発して、驚くべきことに、迅速に生分解性であるという利点をも有し、したがってマイクロ汚染を引き起こさない複合体化された形態の破壊澱粉を含む組成物を使用して、従来のマイクロビーズと比較して低くなくても少なくとも同等のコストで、使用時に従来のマイクロビーズを使用して達成可能な全く同じような性能を得ることが可能であることが今や見出された。
【0006】
したがって、本発明は、特に化粧品、皮膚用、洗剤および洗浄配合物に適する、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉を含む微小顆粒の研磨剤および/または構造化剤としての使用に関する。
【0007】
本願において使用される用語「構造化剤」は、エマルションのような水性または親油性配合物に添加されたときに、柔軟性、平滑性、吸収速度および皮膜形成効果を改善することができる成分を意味する。あるいは、本願において使用される用語「構造化剤」は、無水配合物に添加されたときに、滑り効果、滑らかさおよび艶消し効果を改良することができる成分を意味する。これらの特性は、官能分析によって試験される。
【0008】
実際には、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉の使用は、好ましくは1~1000μmの直径の回転楕円体粒子の形態の研磨作用および/または構造化作用を有する微小顆粒を得ることを可能にし、そうでなければ、例えば未だその天然粒状構造を有する澱粉または少なくとも複合体化された形態にない澱粉を使用することによっては得ることができない。
【0009】
本発明の意味において、破壊澱粉とは、実際には天然の粒状構造を失ったあらゆるタイプの澱粉を意味する。澱粉の天然の顆粒構造に関する限り、これは位相差光学顕微鏡法によって有利に同定することができる。本発明の1つの特に好ましい実施形態では、破壊澱粉は、「完全に破壊された澱粉」としても知られている、その天然の粒状構造を完全に失った澱粉である。
【0010】
澱粉の破壊は、澱粉の天然の粒状構造を破壊するのに適した温度、圧力およびせん断力条件を提供することができる任意の装置において有利に実施される。澱粉の完全な破壊を得るのに適した条件は、例えば、特許EP-0 118 240号公報およびEP-0 327 505号公報に記載されている。有利には、澱粉は、110~250℃、好ましくは130~180℃の温度、好ましくは0.1~7MPa、好ましくは0.3~6MPaの圧力での押出法の手段で、好ましくは押出しの間に0.1kWh/kgを超える比エネルギーを提供することにより破壊される。
【0011】
本発明の意味において、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉とは、X線分光分析装置(λ=1.5416Å単位のCuKαX線)において測定することができる、以下に列挙された1つまたはそれ以上の回折ピークと関連する1つまたはそれ以上の結晶形の形態の1つまたはそれ以上の超分子構造を形成している破壊澱粉を意味する。
【0012】
【0013】
好ましい実施形態では、本発明による微小顆粒は、成分i-ivの合計重量に対して、
i. 30~80%の破壊澱粉;
ii.20~70%の疎水性配列をインターカレートした親水基を含むポリマー;
iii.0~25%の可塑剤;
iv.0~50%の水
を含む。
【0014】
本発明による破壊澱粉の調製に使用できる澱粉は、好ましくは天然澱粉(例えば、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉)、酸化澱粉、デキストリン化澱粉、エーテル化澱粉(好ましくは、澱粉エトキシレート、澱粉シリルエーテルなど)、澱粉エステル(好ましくは、ヒドロキシプロピル澱粉、酢酸澱粉など)およびそれらの混合物である。好ましくは、破壊澱粉の調製に使用される澱粉は、天然澱粉である。
【0015】
1つの実施形態では、本発明は、研磨剤および/または構造化剤としての1つまたはそれ以上の「破壊澱粉のシリルエーテル」を含む微小顆粒の使用に関し、この用語は、破壊澱粉の少なくとも1つの酸素原子が少なくとも1つのケイ素原子および/またはケイ素を含む少なくとも1つの化合物に共有結合している破壊澱粉を意味する。
【0016】
ケイ素を含む化合物に関する限り、これらは好ましくは、オルガノジシラン、オルガノトリシラン、オルガノポリシランを含むオルガノシラン、ジ-、トリ-およびポリハロシランを含むハロシラン、ジ-、トリ-およびポリシラノールを含むシラノールならびにジ-、トリ-およびポリシラザンを含むシラザンを含む群から選択される。より好ましくは、ケイ素含有化合物は、オルガノシラン、さらにより好ましくは:
(RO)3SiCnH2n+1 (I)
(RO)3SiCnH2nX (II)
(RO)3SiCnH2nSmY (III)
(RO)3SiCnH2nSmCnH2nSi(OR)3 (IV)
[式中、
Rは、炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは互いに同一でも異なっていてもよく;
「n」は、1~12の整数を表し;
「m」は、1~6の整数を表し;
Xは、メルカプタン基、アミン基、ビニル基、ニトロソ基、イミド基、塩素原子またはエポキシ基を表し;
Yは、シアノ基、N,N-ジメチルチオカルバモイル基、メルカプトベンゾトリアゾール基またはメタクリレート基を表す]
から選択される一般式を有するものから選択される。
硫黄を含まないオルガノシランが特に好ましい。
【0017】
破壊澱粉のシリルエーテルに関する限り、これらは、一段階プロセスまたは数段階で得ることができる。第1の好ましい実施形態では、破壊澱粉のシリルエーテルは、破壊プロセスに関する上記の教示に従って、澱粉の1つ以上のシリルエーテルを、澱粉の天然の粒状構造を破壊するのに適した温度、圧力およびせん断力条件に付すことによって得られる。
【0018】
あるいは、破壊澱粉のシリルエーテルは、好ましくは110~250℃、好ましくは130~180℃の温度で、既に破壊された澱粉を少なくとも1つのケイ素含有化合物と混合することによって得られる。混合は、目的に適した任意の装置、好ましくはスタティックミキサーまたは押出機、より好ましくは押出機で行うことができる。本発明による破壊澱粉のシリルエーテルの調製中に、ケイ素含有化合物は、澱粉に対して過剰に投与されてもよく、または後者と完全に反応しないように投与されてもよく、それにより本発明による破壊澱粉のシリルエーテルが、有利には、ケイ素を含有する少なくとも1つの化合物、好ましくは澱粉の酸素原子に結合していないオルガノシラン、ハロシラン、シラノールおよびシラザンの1~20質量%を含有することができる。より好ましくは、澱粉の酸素原子に結合していないケイ素化合物は、オルガノシランである。
【0019】
疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーに関する限り、これらは有利には:
i. 10~100%、好ましくは70~99%の加水分解度を有するポリビニルアルコール;
ii.ビニルアルコール/酢酸ビニルブロックコポリマー;
iii.乾燥形態および水中で乳化された形態のポリ酢酸ビニル;
iv.エチレンと、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレートとのコポリマーおよびそれらの混合物;
v. 6-6、6-9または12脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリウレタン、脂肪族および脂肪族/芳香族ポリエステル、ポリウレタン/ポリアミド、ポリウレタン/ポリエーテル、ポリウレタン/ポリエステル、ポリアミド/ポリエステル、ポリアミド/ポリエーテル、ポリエステル/ポリエーテル、ポリウレア/ポリエステル、ポリウレア/ポリエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン/ウレタンランダムおよびブロックコポリマーであり、ポリカプロラクトンブロックの分子量が300~3000である
から選択される。
【0020】
前記ポリマーの混合物も使用することができる。
疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーの中で好ましいのは、エチレンとビニルアルコールおよび/またはアクリル酸とのコポリマー、10~100%の加水分解度を有するポリビニルアルコール、乾燥形態または水中で乳化された形態のポリ酢酸ビニル、ビニルアルコール/酢酸ビニルブロックコポリマーならびにそれらの混合物である。
【0021】
これらの中で特に好ましいのは、エチレンとビニルアルコールおよび/またはアクリル酸とのコポリマーならびに10~100%の加水分解度を有するポリビニルアルコールである。さらにより好ましくは、70~99%の加水分解度を有するポリビニルアルコールが、疎水性配列をインターカレートした親水基を含むポリマーとして使用される。
エチレンとビニルアルコールとのコポリマーの場合、後者は好ましくは20~50モル%のエチレン単位を含む。
アクリル酸とのエチレンコポリマーの場合、これらは好ましくは70~99重量%のエチレン単位を含む。
【0022】
可塑剤に関する限り、これらは好ましくは2~22個の炭素原子を有するポリオールから選択される。ポリオールの中で好ましいのは、2~6個の炭素原子を含む1~20個のヒドロキシル基を有するポリオール、それらのエーテル、チオエーテルならびに有機および無機エステルである。ポリオールの例は、グリセリン、ジグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ポリグリセロールエトキシレート、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトールモノアセテート、ソルビトールジアセテート、ソルビトールモノエトキシレート、ソルビトールジエトキシレートおよびそれらの混合物である。好ましい実施形態では、可塑剤は、グリセロールまたはグリセロールを含む可塑剤の混合物を含み、より好ましくは可塑剤の合計重量に対して2~90重量%のグリセロールを含む。
【0023】
水に関する限り、澱粉中に天然に存在するものであってもよい。また、本発明の微小顆粒は、成分i-ivに加えて、他の添加剤、例えば充填剤、分散剤、架橋剤、界面活性剤、消泡剤、懸濁剤、増粘剤、防腐剤、顔料および着色剤を含んでもよい。
【0024】
充填剤に関する限り、これらは無機および/または有機であり得る。特に好ましい無機充填剤の例は、タルク、粘土、シリカ、マイカ、カオリン、二酸化チタンおよびウォラストナイトである。好ましい有機充填剤は、例えばセルロース繊維などの再生可能な原材料由来のものである。
【0025】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤から選択されることが有利である。カチオン性界面活性剤は、一般に長いアルキル鎖をしばしば含む大容積のカチオン(例えば、第4級アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウム塩)を含む。ほとんどの場合、アニオンは塩化物イオン、硫酸イオンまたは硝酸イオンである。アニオン性界面活性剤は、一般にアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アミンおよびアルカノールアミンで中和された、アルキル、アリール、アルキルアリール、スチリル、ジ-またはトリスチリルスルホネート、スルフェート、ホスフェート、ホスホネート、ジチオカルバメートまたはカルボキシレートを含む。
【0026】
非イオン性界面活性剤の例は、ポリエトキシレートエステルおよびエーテル、アルキルポリグルコシド、ソルビトールおよびサッカロース誘導体、脂肪酸エステルまたはアミド、脂肪アミンモノおよびジグリセリド、エトキシル化アルキルフェノール、ジ-またはトリスチリルフェニルエトキシレート、またはエトキシプロポキシレートブロックコポリマーを含む。
消泡剤の例は、シリコーン消泡剤および脂肪酸の塩を含む。
必要に応じて、例えば、二酸化チタン、粘土、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、シリカ、ケイ酸塩、酸化鉄および水酸化鉄、カーボンブラックおよび酸化マグネシウムなどの顔料および着色剤または色安定剤を添加してもよい。
【0027】
本発明による疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉を含む微小顆粒は、成分を混合する1以上の段階を含む方法によって調製することができ、前記混合は好ましくは押出しにより実施される。本発明の混合段階に使用するのに適した押出機は、好ましくは高い混合能力(例えば、「逆回転(reverse)」エレメントの存在)を有するプロファイルを有するスクリューを備えたモノ二軸スクリュー押出機である。
【0028】
第1の実施形態では、本発明による微小顆粒は、成分を混合する単一段階を含み、そこで澱粉の破壊が、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーの存在下で、好ましくは1つまたはそれ以上の上記のような可塑剤および/または水、有利には澱粉中に天然に存在する水の存在下で起こるプロセスにより、好ましくは110~250℃、より好ましくは130~210℃の温度で、かつ押出中に好ましくは0.1kWh/kgより大きい比エネルギーを提供する押出プロセス手段によって調製される。
【0029】
単一の混合段階を含む前記方法の好ましい実施形態では、本発明による微小顆粒は:
a.20~90重量%の少なくとも1種の天然澱粉、10~80重量%の疎水性配列をインターカレートした親水性基を含む少なくとも1種のポリマー、好ましくは可塑剤の全重量に対して少なくとも2~90重量%のグリセロールを含む0~40重量%の1種以上の可塑剤、0~40重量%の水を含む組成物を、110~250℃、好ましくは130~210℃の温度で押出し、好ましくは0.1kWh/kgを超える比エネルギーを与える、1段階の混合を提供する方法によって得ることができる。
【0030】
別の実施形態では、疎水性配列がインターカレートされた親水性基を含むポリマーおよび任意の他の成分を、澱粉の破壊に続いて添加することもできる。この実施形態によれば、次いで、本発明による微小顆粒は:
a.好ましくは、少なくとも1種の天然澱粉を、好ましくは可塑剤の全重量に対して少なくとも2~90重量%のグリセロールを含む1種以上の可塑剤の天然澱粉の重量に対して0~40重量%の存在下、110~250℃、好ましくは130~180℃の温度で、好ましくは0.1kWh/kgを超える比エネルギーを提供して押出し、かつ
b.30~90重量%の段階aで得られた破壊澱粉、10~70重量%の疎水性配列をインターカレートした親水性基を含む少なくとも1つのポリマー、好ましくは可塑剤の全重量に対して少なくとも2~90重量%のグリセロールを含む、0~40重量%の1種以上の可塑剤、0~40重量%の水を含む組成物を、110~250℃、好ましくは130~210℃の温度で、好ましくは0.1kWh/kgを超える比エネルギーを提供して押出す
2段階の混合を提供する方法によって得ることができる。
【0031】
成分が混合された後、好ましくは、本発明による微小顆粒の調製は、1~100μm、好ましくは1~60μmの直径の回転楕円体粒子を得るための粉砕処理を提供する。
前記粉砕処理は、粒子の寸法を1mm未満の直径に予め減少させ、その後、所望のサイズを得るためにジェットミル粉砕するために、複合澱粉の極低温粉砕の工程を提供する。
回転楕円体粒子の直径は、規格ISO13320に準拠したレーザ粒度計を用いて測定される。
好ましくは、本発明による微小顆粒は、化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物中の研磨剤および/または構造化剤として使用される。
【0032】
別の実施形態によれば、本発明は、レーザ焼結用途における微小顆粒の使用に関する。
好ましくは、化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物は、本発明による研磨剤および/または構造化剤としての、疎水性配列をインターカレートした親水性基を含むポリマーと複合体化された形態の破壊澱粉を含む微小顆粒を、20重量%まで、より好ましくは1~10重量%、さらにより好ましくは2~5重量%含む。前記百分率はそれぞれの配合物の合計重量に関する。
【0033】
好ましくは、本発明による微小顆粒の使用の結果、化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物は、流動性、および/または例えば、6ヵ月後でも、pH、粘度、色、においまたは外観に顕著な変化がないという、最適な安定性の点で、最適な官能特性を有する。
好ましくは、本発明による化粧用、皮膚用、洗剤および洗浄配合物は、液体、ゲル、フォーム、スプレー、ローションまたはクリームの形態をとる。好ましくは、前記配合物は、エマルション(例えばベースクリームおよびファンデーション)、溶液または分散液、または無水配合物(例えば口紅)のような水性または脂肪親和性の形態で製剤化される。本発明による配合物は、好ましくは、油中水型および水中油型エマルションの形態である。
【0034】
本発明による微小顆粒は、水性分散液の形態で、当業者に公知の方法のいずれかにおいて、前記配合物に添加することができる。
また、前記配合物は、例えば、油、ワックス、界面活性剤、懸濁剤、防腐剤、乳化剤、共乳化剤、分散剤、界面活性剤、ポリマー、消泡剤、可溶化剤、安定剤、皮膜形成剤、増粘剤、ゲル化剤、皮膚軟化剤、殺菌剤、有効成分、収斂剤、防臭剤、サンフィルター、酸化防止剤、酸化剤、湿潤剤、溶剤、着色剤、顔料、テクスチャリング剤、香料、乳白剤および/またはシリコーンのような適用分野で通常使用される他の添加剤および補助剤を含んでいてもよい。特に、植物健康製品(plant health products)は、1つ以上の生薬(phytopharmaceuticals)をも含む
【0035】
好ましい実施形態では、本発明による微小顆粒は、規格EN13432に従って測定したときに、少なくとも55%、好ましくは60%、より好ましくは70%の生分解性を有する。
別の好ましい実施形態では、本発明による微小顆粒は、規格EN13432の意味で堆肥化されたときに生分解性である。
【実施例0036】
例示的な性質のものであり本発明を限定するものではないと理解すべきいくつかの実施例を用いて本発明を説明する。
【0037】
実施例1
天然トウモロコシ澱粉(水分12重量%含有)49.5部、加水分解度88%のポリビニルアルコール32.2部、グリセリン7部および水11.2部を、以下の操作パラメータ:
熱プロファイル
供給ゾーン(℃):60
押出ゾーン(℃):120-200×4-110-90
スループット(kg/h)=3
SME(比エネルギー)(kWh/kg)=0.267
に従って設定されたTSA二軸押出機に供給した。
【0038】
このようにして得られた組成物を25℃で粉砕し、250μm未満の粒子サイズに篩分けし、λ=1.5416Åを有するCuKα X線および1.6kWの出力を用いたブラッグ-ブレンタノ(Bragg-Brentano)ジオメトリを有するフィリップス社(Philips)エキスパート(X'Pert)θ/2θX線分光計で分析した。使用した角度範囲は、0.03°(2θ)のステップで5~60°(2θ)であり、ステップ当たり2秒の取得時間であった。
スペクトルの分析は、澱粉とポリビニルアルコール(VH型)との間の複合体の形成を示す、2θ=12.7-16.5-18.2-19.4-22.0に回折ピークの存在を示した。
【0039】
この組成物を以下のパラメータ:
倍率400倍
EF40/0.65ファコ2対物レンズ
フェーズリング番号5
に調整したライツ ヴェッツラー(Leitz Wetzlar)オルソプラン(Orthoplan)モデル、位相差光学顕微鏡を用いて分析した。
この組成物は、澱粉に起因すると思われる粒状構造の残留物が存在せず、したがって澱粉の破壊された性質を明らかに示した。
【0040】
次いで、組成物を、液体窒素の存在下、ピンクラッシャー中で粉砕することによって粉砕して、1mm未満の寸法を有する粉末を得た。この粉末をジェットミル技術によりさらに粉砕し、平均直径9ミクロン(Dv90=16ミクロン)および12ミクロン(Dv90=21ミクロン)の回転楕円体粒子の2種類の形態で微粒子を得た。
【0041】
実施例2
天然トウモロコシ澱粉(水分12重量%含有)56.3部、20重量%のアクリル酸を含むポリエチレンアクリル酸24.8部、グリセリン7.9部および水10.1部を、以下の操作パラメータ:
熱プロファイル
供給ゾーン(℃):60
押出ゾーン(℃):145-170-180×4-150×2
スループット(kg/h)=40
SME(比エネルギー)(kWh/kg)=0.232
に従って設定されたOMC二軸スクリュー押出機に供給した。
【0042】
このようにして得られた組成物を25℃で粉砕し、250μm未満の粒子サイズに篩分けし、λ=1.5416Åを有するCuKα X線および1.6kWの出力を用いたブラッグ-ブレンタノジオメトリを有するフィリップス社(Philips)エキスパート(X'Pert)θ/2θX線分光計で分析した。使用した角度範囲は、0.03°(2θ)のステップで5~60°(2θ)であり、ステップ当たり2秒の取得時間であった。
スペクトルの分析は、澱粉とポリエチレンアクリル酸(EHおよびVA形態)との間の複合体の形成を示す、2θ=6.8-11.8-13.1-18.1-20.7に回折ピークの存在を示した。
【0043】
この組成物を以下のパラメータ:
倍率400倍
EF40/0.65ファコ2対物レンズ
フェーズリング番号5
に調整したライツ ヴェッツラー オルソプランモデル、位相差光学顕微鏡を用いて分析した。
この組成物は、澱粉に起因すると思われる粒状構造の残留物が存在せず、したがって澱粉の破壊された性質を明らかに示した。
【0044】
次いで、組成物を、液体窒素の存在下、ピンクラッシャー中で粉砕することによって粉砕して、1mm未満の寸法を有する粉末を得た。この粉末をジェットミル技術によりさらに粉砕し、平均直径9ミクロン(Dv90=16ミクロン)および12ミクロン(Dv90=21ミクロン)の回転楕円体粒子の2種類の形態で微粒子を得た。
続いて、例えば、ベースクリーム(実施例3~6)およびファンデーション(実施例7~10)のいくつかの化粧品配合物を製造するために、従来のマイクロビーズの代わりとして本微小顆粒を使用した。
【0045】
実施例3(比較)、4(比較)、5、6:ベースクリーム配合物
異なるベースクリーム配合物を製造し、それらの組成物を表1に報告する。各化粧品配合物について、INCI命名法に従って成分を列挙し、各成分の量を配合物の合計重量とする。
【0046】
【0047】
製造方法:
相Aおよび相Bの成分を別々に撹拌下、65℃で加熱した。続いて、相Bを混合下で相Aに添加し、この条件下で5分間維持した。室温まで冷却した後、相Cおよび相Dを撹拌下で混合物に添加した。
実施例3~6によるベースクリーム配合物の安定性を25℃で6ヶ月間試験した(表2)。色、臭い、外観、pH、粘度の有意な変化は認められず、したがって、すべての配合物の安定性が確認された。
粘度は、スピンドルNo.4を備えたブルックフィールド粘度計(RV)を用いて、50rpmおよび25℃で測定した。
【0048】
【0049】
実施例3~6により調製した配合物を、20ボランティア(男性および女性の両方)のパネルにより、それらの柔軟性、滑らかさ、油っぽさ、べたつき、皮膜形成および吸収速度に関して試験した。適用から3分後に決定された官能分析は、以下の尺度:
1=絶対に良くない
2=良くない
3=十分に良い
4=良い
5=非常に良い。
に従って分類された。
その結果を表3に報告する。
【0050】
【0051】
適用3分後、本発明のベースクリーム配合物(実施例5~6)は、ナイロン12を含むもの(比較例4)に対して改良された滑らかさおよび皮膜形成効果を示し、基本配合物(比較例3)に対して一般的な改良を示した。
【0052】
実施例7(比較)、8(比較)、9,10:ファンデーション配合物
異なるファンデーション配合物を製造し、それらの組成を表4に報告する。
【0053】
【0054】
製造方法:
相Aを25℃で調製し、一方、相Bを80℃で加熱した。相Cを相Bに添加し、35℃に冷却した。続いて、相Aをターボ乳化機の下で相BおよびCの混合物に非常にゆっくりと加えた。次いで、その混合物を25℃に冷却し、相Dを最終的に添加した。
実施例7~10によるファンデーション配合物の安定性を25℃で6ヶ月間試験した(表5)。色、臭い、外観、粘度の有意な変化は認められず、したがって、すべての配合物の安定性が確認された。
粘度は、スピンドルNo.4を備えたブルックフィールド粘度計(RV)を用いて、50rpmおよび25℃で測定した。
【0055】
【0056】
実施例7~10により調製した配合物を、20ボランティア(男性および女性の両方)のパネルにより、それらの柔軟性、滑らかさ、油っぽさ、べたつき、皮膜形成および吸収速度に関して試験した。適用から3分後に決定された官能分析は、以下の尺度:
1=絶対に良くない
2=良くない
3=十分に良い
4=良い
5=非常に良い。
に従って分類された。
その結果を表6に報告する。
【0057】
【0058】
本発明のファンデーション配合物(実施例9~10)は、ベース配合物(比較例7)およびナイロン12(比較例8)を含むものに対して一般的な改良を示した。
上記の利点に加えて、本発明の微小顆粒を含む配合物は、微小顆粒を含む一般的な配合物に対してより高い生分解性を有する。
本発明による微小顆粒は、従来のマイクロビーズよりも優れた性能を有し、従来のマイクロビーズの代わりとして、化粧品配合物を製造するために効果的に使用された。