(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031691
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】安全注射器用のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20220215BHJP
A61M 5/19 20060101ALI20220215BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A61M5/315 510
A61M5/19
A61M5/32 510H
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021181853
(22)【出願日】2021-11-08
(62)【分割の表示】P 2019522940の分割
【原出願日】2017-11-01
(31)【優先権主張番号】62/416,102
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/431,382
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/480,276
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/542,230
(32)【優先日】2017-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518264424
【氏名又は名称】クリーデンス メドシステムズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Credence MedSystems,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】スティーズ-ブラッドレー ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,スティーヴン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】シュルザス,アラン イー.
(72)【発明者】
【氏名】シャンリー,ジョン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ティラック,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】セイヤー,ダン
(72)【発明者】
【氏名】マーヒッジ,ジョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】医薬品を混合し注射するシステムを提供する。
【解決手段】注射器本体34と、注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材32、36と、プランジャ部材と、注射器本体の遠位ニードルインタフェースに結合されたニードルハブアセンブリを具え、近位および遠位ストッパ部材は、それらの間および遠位ストッパ部材と注射器本体の遠位端との間の遠位薬剤チャンバ42との間に近位薬剤チャンバ40を形成する。プランジャ部材は、ニードル保持構造と、エネルギー貯蔵部材と、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを具え、これらはすべてプランジャ内部に配置されている。近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズは、注射器本体に対する近位および遠位ストッパ部材の移動によって変えることができる。プランジャ部材を操作すると、ニードルは少なくとも部分的にプランジャ内部に引き込まれる。
【選択図】
図6-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品を混合して注射するシステムにおいて:
近位開口部と、その遠位端の遠位ニードルインターフェースを画定する、注射器本体と;
前記注射器本体に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、前記近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、及び前記遠位ストッパ部材と前記注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する、近位及び遠位ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するように手動で操作するように構成したプランジャ部材であって、
前記プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材と、
を具えるプランジャ部材と;
前記注射器本体の前記遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリであって、
ニードル近位端構造を有するニードルと;
ハブと;
前記ニードルを前記ハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材と;
を具えるニードルハブアッセンブリと;
を具え;
前記近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズが、前記注射器本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の移動によって変更可能であり;
前記注射器本体に対して前記プランジャ部材を操作したときに、前記ニードルが前記プランジャ部材内部に少なくとも部分的に格納されて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変えることができる;
ことを特徴とする、医薬品を混合して注射するシステム。
【請求項2】
前記ニードルが、少なくとも前記遠位ストッパ部材を完全に貫通して、前記プランジャ内部に引き込まれるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材が、前記プランジャ部材の内面と前記ニードル保持機構との間に相互連結されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記近位薬剤チャンバおよび遠位薬剤チャンバが、患者に注射する前に互いに混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ収容していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムが:
前記ニードル近位端構造が前記遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成と;
前記ニードル近位端構造が少なくとも部分的に前記遠位ストッパ部材を貫通し、少なくとも部分的に前記近位薬剤チャンバ内に配置されている移送構成と;
前記近位及び遠位ストッパ部材とが互いに接触し、それによって前記第1の薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから遠位薬剤チャンバに移送し、前記第1の薬剤成分を遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成と;
を具えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ニードルが:
遠位端開口部と;
前記システムが輸送、移送、および混合構成にあるときに、前記遠位薬剤チャンバに配置される中央開口部と;
前記システムが輸送および移送構成にあるときに、近位薬剤チャンバに配置される近位開口部と;
を具えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ニードルがさらに複数の近位開口部を具え、前記近位開口部がこれらの複数の近位開口部のうちの1つである、請求項6に記載のシステムにおいて:
前記近位開口部の少なくともいくつかが、前記システムが輸送および移送構成にあるときに、近位薬剤チャンバに配置され;
前記近位開口部の少なくともいくつかが、システムが混合構成にあるときに、前記近位ストッパ部材によって閉塞される;
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記近位ストッパ部材が、前記システムが混合構成にあるときに前記近位開口部の少なくともいくつかを閉塞するように構成されたプラグを具えることを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プラグの長さが、前記複数の近位開口部のうち最も近位側の開口部と、前記複数の近位開口部のうちの最も遠位側の開口部との間の距離よりも長いことを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記注射器本体が、前記システムが混合構成にあるときに、前記遠位ストッパの遠位端に隣接するように構成された位置表示器を具えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記プランジャ部材が、前記システムが混合構成にあり、前記注射器本体に対する前記プランジャ部材の近位方向の移動を防止するときに、前記注射器本体に選択的に連結されるように構成された保持クリップを具えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記保持クリップが、前記注射器本体に選択的に連結されたときに可聴信号を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記近位および遠位ストッパが、それぞれの遠位面および近位面上に第1および第2のポリマーコーティングを具えており、前記近位薬剤チャンバが前記注射器本体と、前記第1および第2のポリマーコーティングによって画定されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記遠位ストッパが:
近位方向にテーパが付いた漏斗と、
当該漏斗のテーパの付いた近位端に配置された空間と、
を具えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
医薬品を混合し注射するシステムにおいて:
近位開口部と、当該開口部の遠位端にある遠位ニードルインターフェースを画定する、カートリッジ本体と;
前記カートリッジ本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、前記近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記カートリッジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する、ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、前記カートリッジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入するように手動で操作するように構成されたプランジャ部材であって、
前記プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材と、
を具えるプランジャ部材と;
前記カートリッジ本体の遠位ニードルインターフェースに取り外し可能に連結されたニードルハブアセンブリであって、
ニードル近位端部構造を有するニードルと;
ハブと、
前記ニードルを前記ハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材と、
を具えるニードルハブアッセンブリと;
を具え、
前記近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズが、前記注射器本体に対する近位および遠位ストッパ部材の移動によって変更可能であり;
前記注射器本体に対して前記プランジャ部材を操作したときに、前記ニードルが前記プランジャ部材内部に少なくとも部分的に格納されて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変えることができる;
ことを特徴とする、医薬品を混合して注射するシステム。
【請求項16】
前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材が、前記プランジャ部材の内面と前記ニードル保持機構との間に相互連結されていることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記近位薬剤チャンバおよび遠位薬剤チャンバが、患者に注射する前に互いに混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ収容していることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムが:
前記ニードル近位端構造が前記遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成と;
前記ニードル近位端構造が少なくとも部分的に前記遠位ストッパ部材を貫通し、少なくとも部分的に前記近位薬剤チャンバ内に配置されている移送構成と;
前記近位及び遠位ストッパ部材とが互いに接触し、それによって前記第1の薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから遠位薬剤チャンバに移送し、前記第1の薬剤成分を遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成と;
を具えることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハブがコレットおよびスリーブを具えており、前記コレットが、前記スリーブが前記コレットの周りに配置されたときに、前記ニードルハブアセンブリを前記カートリッジ本体の遠位ニードルインターフェースに取り外し可能に連結するように構成されたことを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記ハブが、前記ニードルの外側面の周りを取り囲み、液密シールを形成するように構成したシール部材を具えることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記遠位薬剤チャンバ内に配置された移送パイプをさらに具え、前記ニードルハブアセンブリが前記カートリッジ本体の前記遠位ニードルインターフェースに取り外し可能に連結されると、前記ニードルと前記移送パイプが取り外し可能に連結されることを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記移送パイプが、その遠位端に、前記ニードルを固定するように構成された小径部分を具えることを特徴とする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
注射用システムにおいて:
注射器本体であって、近位開口部と、前記注射器本体の遠位端にある遠位ニードルインターフェースを画定する、注射器本体と;
前記注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、前記近位および遠位ストッパ部材の間に薬剤チャンバを形成する、ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するように手動で操作するように構成されたプランジャ部材であって、
前記プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材と、
を具えるプランジャ部材と;
前記注射器本体の遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリであって、
ニードル近位端部構造を有し、前記システムが輸送構成にあるときに前記遠位ストッパの遠位側に配置されたニードルと;
ハブと、
前記ニードルを前記ハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材と、
を具えるニードルハブアッセンブリと;
を具え、
前記システムが注射構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材を前記薬剤チャンバ内に貫通するように構成されたており;
前記注射器本体に対して前記プランジャ部材を操作したときに、前記ニードルが前記プランジャ部材内部に少なくとも部分的に格納されて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変えることができる;
ことを特徴とする、医薬品を混合して注射用システム。
【請求項24】
前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材が、前記プランジャ部材の内面と前記ニードル保持機構との間に相互連結されていることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記薬剤チャンバが、前記ニードルの金属材料との接触による貯蔵中の劣化に敏感な薬剤を収容することを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記システムが、前記ニードル近位端部構造が前記薬剤チャンバの内側に配置されていない輸送構成を具え、
前記ニードル近位端部構造が、前記遠位ストッパを貫通して前記薬剤チャンバ内に配置され、それによって、システムが注射構成にあるときに薬剤を患者に注射するための薬剤出口経路を提供する、ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記ニードルが:
遠位端開口部と;
前記システムが輸送および注射構成にあるとき、前記薬剤チャンバに配置される中央開口部と;
前記システムが注射構成にあるとき、前記薬剤チャンバに配置される、近位端開口部と;
を具えることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記注射器本体が、前記システムが注射構成にあるときに、前記遠位ストッパの遠位端に隣接するように構成された位置表示器を具えることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記プランジャ部材が、前記システムが混合構成にあり、前記注射器本体に対する前記プランジャ部材の近位方向の移動を防止するときに、前記注射器本体に選択的に連結されるように構成された保持クリップを具えることを特徴とする、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記保持クリップが、前記注射器本体に選択的に連結されたときに可聴信号を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記近位および遠位ストッパが、それぞれの遠位面および近位面上に第1および第2のポリマーコーティングを具えており、前記近位薬剤チャンバが前記注射器本体と、前記第1および第2のポリマーコーティングによって画定されることを特徴とする、請求項23に 記載のシステム。
【請求項32】
前記遠位ストッパが:
近位方向にテーパが付いた漏斗と、
当該漏斗のテーパの付いた近位端に配置された空間と、
を具えることを特徴とする、請求項23に記載のシステム。
【請求項33】
薬剤を混合して患者に注射する方法において:
注射器本体であって、近位開口部と、前記注射器本体の遠位端にある遠位ニードルインターフェースを画定する、注射器本体と;
前記注射器本体に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、前記近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを、及び前記遠位ストッパ部材と前記注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する、近位及び遠位ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するように手動で操作するように構成したプランジャ部材と;
遠位ニードル先端と、薬剤経路と、複数の移送開口と、 近位端と、を有するニードル部材と;
を具えるシステムを提供するステップと;
前記プランジャ部材を前進させて前記ニードル部材の近位端を前記遠位ストッパに突き刺して、前記第1薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから前記薬剤通路を介して、前記遠位薬剤チャンバ内に通過させて、前記第1薬剤成分と、前記遠位薬剤チャンバ内の第2薬剤成分と混合させて、混合薬剤を作るステップと;
を具えることを特徴とする、方法。
【請求項34】
前記プランジャー部材を前進させて前記混合薬剤を患者に注射するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記混合薬剤が前記患者に注射されたときに、前記遠位ニードル先端を前記注射器本体内に自動的に引き込むステップをさらに具えることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
薬剤を混合して、患者に注射する方法において:
近位開口部と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを画定するカートリッジ本体と;
前記カートリッジ本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、当該近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記カートリッジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している、ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、手動で操作して前記カートリッジ本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するよう構成されたプランジャ部材と;
遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口と、近位端とを有するニードル部材と;
を具えるシステムを提供するステップと;
前記プランジャ部材を前進させて前記ニードル部材の近位端を前記遠位ストッパに突き刺して、前記第1薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから前記薬剤通路を介して、前記遠位薬剤チャンバ内に通過させて、前記第1薬剤成分と、前記遠位薬剤チャンバ内の第2薬剤成分と混合させて、混合薬剤を作るステップと;
を具えることを特徴とする、方法。
【請求項37】
前記プランジャ部材を前進させて、前記混合薬剤を患者に注射するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記混合薬剤が前記患者に注射されたときに、前記遠位ニードル先を前記カートリッジ本体内に自動的に引き込むステップをさらに具えることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
患者に薬剤を注射する方法において:
近位開口部と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースを画定する、注射器本体と;
前記注射器本体内に配置された近位側および遠位側ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と遠位側ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記注射器本体の遠位端との間の遠位薬剤チャンバを形成する、ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、手動で操作して、前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するように構成されたプランジャ部材と;
遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口と、近位端とを有するニードル部材と;
を具えるシステムを提供するステップと;
前記プランジャ部材を前進させて前記ニードル部材の近位端を前記遠位ストッパに突き刺して、前記第1薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから前記薬剤通路を介して、前記遠位薬剤チャンバ内に通過させるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項40】
前記プランジャ部材を前進させて前記薬剤を患者に注射するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記薬剤が前記患者に注射されたときに、前記遠位ニードル先を前記注射器本体内に自動的に引き込むステップをさらに具えることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
薬剤を混合し注射するシステムにおいて:
近位開口部と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースを画定する、注射器本体と;
前記注射器本体内に配置された近位側および遠位側ストッパ部材であって、前記近位ストッパ部材と遠位側ストッパ部材との間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記注射器本体の遠位端との間の遠位薬剤チャンバを形成する、ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、手動で操作して、前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するように構成されたプランジャ部材であて、
前記プランジャ内部に配置されたニードル保持構造と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材と、
を具えるプランジャ部材と;
前記注射器本体の遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリであって、
ニードル近位端構造を有するニードルと、
ハブと、
前記ニードルを前記ハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材と、
を具えるニードルハブアッセンブリと;
を具え、
前記近位および遠位薬剤チャンバの第1および第2のサイズはそれぞれ、前記注射器本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の移動によって変更可能であり;
前記プランジャ部材を注射器本体に対して操作すると、前記ニードルが、プランジャ内部に少なくとも部分的に格納されて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変え;
前記遠位薬剤チャンバが部分真空を具える;
ことを特徴とするシステム。
【請求項43】
前記遠位ストッパ部材が、近位ゲートであって、前記ニードル近位端構造が前記近位ゲートを通過することができない閉構成と、前記ニードル近位端構造が前記近位ゲートを通過できる開構成とを有する近位ゲートを具えることを特徴とする、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記近位ゲートが、ばね要素対に動作可能に連結された可動アーム対を具えることを特徴とする、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記ばね要素対が、前記閉構成にある前記近位ゲートを付勢することを特徴とする、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記ニードル近位端構造が、閉構成では前記近位ゲートを通過することはできないが、開構成では前記近位ゲートを通過することができる近位肩部を具えることを特徴とする、請求項43に記載のシステム。
【請求項47】
前記ニードルが、閉構成では前記近位ゲートを通過することはできないが、開構成では前記近位ゲートを通過することができる遠位肩部を具え、当該遠位肩部が前記近位肩部の遠位にあることを特徴とする、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記近位ゲートが、自己付勢ヒンジ対に動作可能に連結された可動アーム対を具えることを特徴とする、請求項43に記載のシステム。
【請求項49】
薬剤を混合して患者に注射する方法において:
近位開口部と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを画定する注射器本体と;
前記注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、当該近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、前記遠位ストッパ部材と前記カートリッジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している、ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、手動で操作して前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するよう構成されたプランジャ部材と;
遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口と、近位端とを有するニードル部材と;
を具え、
前記遠位薬剤チャンバが部分真空を含む、
システムを提供するステップと;
前記プランジャ部材を前進させて前記ニードル部材の近位端を前記遠位ストッパに突き刺して、前記遠位薬剤チャンバ内の部分真空が、第1薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから前記薬剤通路を介して、前記遠位薬剤チャンバ内に通過させて、前記第1薬剤成分と、前記遠位薬剤チャンバ内の第2薬剤成分と混合させて、混合薬剤を作るステップと;
を具えることを特徴とする、方法。
【請求項50】
前記遠位ストッパ部材を遠位方向に移動させて前記遠位薬剤チャンバ内の空間を潰して、前記システムをパージすることなく注射をすることができるようしたステップをさらに具えることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記プランジャ部材を前進させて前記薬剤を患者に注射するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記薬剤が前記患者に注射されたときに前記遠位ニードル先端を前記注射器本体内に自動的に引き込むステップをさらに具えることを特徴とする、 請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、注射システム、デバイス、および様々なレベルの過剰な輸液制御を容易にするプロセスに関し、より詳細には、ヘルスケア環境における多室型安全注射器に関連するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1A(2)に示すような注射器が、何百万本も医療環境で毎日消費されている。典型的な注射器(2)は、筒状本体(4)、プランジャ(6)、および注射ニードル(8)を具える。
図1Bに示すように、そのような注射器(2)は、患者に流体を注射するだけでなく、薬瓶、バイアル、バッグ、またはその他の薬剤封入システム(10)などの容器から流体を引き出す、またはその中に流体を排出するのに利用することができる。実際、米国などのいくつかの国では規制上の制約および無菌性維持の懸念があるため、特定の患者の環境に示されているように、注射器(2)を伴う薬瓶(10)の使用する場合、このような薬瓶は一人の患者で使用し、その後処分しなければならず、ボトルからのかなりの医療廃棄物が生じて残りの薬品を処分することになり、さらには特定の重要な薬品の定期的な不足に寄与することになる。
図2Aを参照すると、3本のルアー型注射器(12)が記載されている。これは、それぞれ遠位側に配置されたルアーフィッティング幾何学形状(14)を有しており、
図2Bに示すルアーマニホールドアセンブリ(16)のような、同様の嵌合幾何学形状を有する他の装置と連結させることができる。
図2Bのルアーマニホールドアセンブリは、静脈内輸液バッグを使用して、または使用せずに、患者への薬液の静脈内投与に使用することができる。
図2Aの注射器のルアーフィッティング(14)は「雄」ルアーフィッティングと呼ばれ、
図2B(18)のものは「雌」ルアーフィッティングと呼ばれる。2つの側面が相対回転によって結合されるように ルアーのインターフェースの1つにねじが切られており(この場合、この構成を「ルアーロック」構成と呼ぶことができる)、圧縮荷重と組み合わせることができる。換言すると、ルアーロックの一実施形態では、回転を、場合によっては圧縮と共に利用して、雌型継手(18)のフランジと係合するように構成された雄型継手(14)内のねじ山と係合させて、デバイスを互いに流体密封カップリングすることができる。別の実施形態では、テーパ付のインターフェース形状を利用して、ねじ山や回転させることなく圧縮を用いてルアーを係合させることができる(このような構成は、「スリップオン」または「円錐」ルアー構成と呼ばれる)。このようなルアーカップリングは操作者にとって比較的安全であると考えられているが、ルアーカップリングの組み立て中に薬がこぼれる/漏れる、および部品が破損する危険がある。一方で、ニードル注射構造の使用は、必要のない人または構造に鋭利なニードルが接触するかまたは突き刺さるという危険を伴う。このような理由で、いわゆる「安全注射器」が開発された。
【0003】
安全注射器(20)の一実施形態が
図3に示されており、管状シールド部材(22)が、ロック位置から解放されたときにニードル(8)を覆うように注射器本体(4)に対してばね付勢されている。安全注射器(24)の別の実施形態が
図4A及び4Bに示されている。このような構成では、注射器本体(4)に対してプランジャ(6)を完全に挿入した後に、
図4Bに示すように格納式ニードル(26)が管状本体(4)内の安全な位置に引き戻されるように構成されている(28、26)。それ自体がつぶれるように構成されたこのような構成は、血液の飛散/エアロゾル化の問題、誤動作および望む前に起動する可能性がある事前に負荷がかかったエネルギーの安全貯蔵、ばね圧縮体積内の残りの空間のデッドスペースに起因する全量を注射をする際の正確性の喪失、及び/又は、痛みおよび患者の不安に関連する後退速度制御の喪失、に結び付くことがある。
【0004】
注射器市場をさらに複雑にしているのは、
図5Aおよび
図5Bに示すようなプレフィルド注射器アセンブリに対する需要の高まりであり、これは、通常、注射器本体、または「薬剤封じ込め送達システム」(34)、プランジャ先端部、プラグまたはストッパ(36)、およびルアータイプのインターフェース上に嵌合できる遠位シールまたはキャップ(35) を具える。(
図5Aは、定位置のキャップ35を示しており;
図5Bは、ルアーインターフェース14を示すためにキャップを取り外した状態を示す。)液体の薬剤は、プランジャ先端部(36)の遠位シールと遠位端(37)の間の体積内、または薬剤リザーバ内にある。プランジャ先端部(36)は標準的なブチルゴム材料でできており、生体適合性潤滑コーティング(例えばポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」))などでコーティングして、関連する注射器本体構造及び材料に対して好ましいシーリングと、相対運動特性を容易にしている。
図5Bの注射器本体(34)の近位端は、注射器本体(34)の素材と一体的に形成された従来の一体型注射器フランジ(38)を具える。このフランジ(38)は、注射器本体(34)から半径方向に延在するように構成されており、注射器本体(34)の全周または一部の周囲となるように構成することができる。部分フランジは「クリップ付きフランジ」と呼ばれ、その他は「フルフランジ」と呼ばれる。フランジを使用して、注射器を指で握り、プランジャを押して注射をするための支持を提供する。注射器本体(34)は、好ましくは、ガラスまたはポリマーなどの半透明材料を具える。薬剤チャンバまたはリザーバ(40)内に収容容積を形成し、ニードルを通る関連流体の放出を助けるために、プランジャ先端部(36)を注射器本体(34)内に位置決めすることができる。注射器本体(34)は、実質的に円筒形状(すなわち、円形断面形状を有するプランジャ先端部36が注射器本体(34)に対してシールを確立できる)を画定するか、または楕円形などの他の断面形状を有するように構成してもよい。
【0005】
このようなアセンブリは、充填、包装、および医薬品/薬剤の界面材料の選択とコンポーネント使用についての絶え間なく変化する世界の規制のすべてを満たす余裕があり、世界でも数少ない製造業者によって標準化され、量的に正確に製造することができるため、望ましい。しかしながら、このような単純な構成は、一般に、単回使用、安全性、自動無効化、およびニードル刺し防止に関する新しい世界標準を満たしていないであろう。したがって、特定のサプライヤは、
図5Cに示されているような、より「垂直型」のソリューションに移行している。これは、1つのソリューションですべての基準、または少なくともその一部を満たす試みである。多くの異なるシナリオについてこれらの基準を満たすように試みた結果として、このような製品は大きな制限(
図3乃至4Bを参照して上述したもののうちのいくつかを含む)があり、比較的多くの在庫と利用費用を有する。
【0006】
さらに、多くの注射可能な液体(例えば、薬)が、患者への送達の直前に2つ以上の成分を組み合わせて注射可能な組み合わせまたは溶液を作らなければならないというさらなる要件がある。注射可能な組み合わせを注射器に取り込む前に、複数の成分を別々の開放容器内で混合することができるが、開放容器内での混合および注射器内への引き込みは不正確であり、成分または注射可能な組み合わせの損失につながる。さらに、注射可能な組み合わせを注射器に引き込むことは、使用者をキャップのないニードルに不必要にさらすことにつながる。
【0007】
さらに、多くの注射可能な液体(例えば、薬剤)には、注射可能な液体が金属(例えば、ニードルのステンレス鋼)にさらされる時間を最小にするというさらに別の要件がある。
【0008】
現在利用可能な構成の欠点に対処する注射システムが必要とされている。特に、
図5Aおよび
図5Bを参照して説明したような、従来から供給されているプレフィルド注射器アセンブリの、既存の比較的よく制御されたサプライチェーンを利用することができる多室安全注射システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
注射システムに関する実施形態が記載されている。特に、この実施形態は、偶発的な使用者の怪我や使用済みのニードルによる汚染を最小限にするために、ニードルを保護構造内に移動させる多室型安全注射システムに関する。
【0010】
一実施形態では、医薬品を混合し注射するシステムが、近位開口部を画定している注射器本体と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具えている。このシステムはまた、注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材を具え、この近位および遠位ストッパ部材間に近位薬剤チャンバを、また、遠位ストッパ部材と注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している。このシステムは、さらに、プランジャ内部を画定し、かつ手動で操作して注射器本体に近位ストッパ部材を挿入するように構成されたプランジャ部材を具える。このプランジャ部材は、プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを具える。このシステムは、さらに、注射器本体の遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリを具える。ニードルハブアセンブリは、ニードル近位端機構を有するニードル、ハブ、およびニードルをハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材を具える。近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズは、注射器本体に対する近位および遠位ストッパ部材の移動によって修正することができる。注射器本体に対してプランジャ部材を操作すると、ニードルは少なくとも部分的にプランジャ内部に引き込み可能になり、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変える。
【0011】
別の実施形態では、医薬品を混合し注射するシステムが、近位開口部を画定するカートリッジ本体とその遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具えている。このシステムはまた、カートリッジ本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材を具え、近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とカートリッジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している。このシステムは、さらに、プランジャ内部を画定し、手動で操作して近位ストッパ部材をカートリッジ本体に対して挿入するように構成されたプランジャ部材を具える。プランジャ部材は、プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを具える。このシステムは、さらに、カートリッジ本体の遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリを具える。ニードルハブアセンブリは、ニードル近位端機構を有するニードル、ハブ、およびニードルをハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材を具える。近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズは、近位および遠位ストッパ部材のカートリッジ本体に対する移動によって修正することができる。ニードルは、カートリッジ本体に対してプランジャ部材を操作すると、プランジャ内部に少なくとも部分的に引き込み可能になり、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変える。
【0012】
一又はそれ以上の実施形態では、ニードルは、少なくとも遠位ストッパ部材を完全に貫通してプランジャ内部に引き込まれるように構成されている。エネルギー貯蔵部材ラッチ部材は、プランジャ部材の内側面とニードル保持機構との間に相互連結することができる。近位および遠位薬剤チャンバはそれぞれ、患者に注射する前に一緒に混合するべき薬剤の第1および第2の成分を含んでいてもよい。
【0013】
一又はそれ以上の実施形態では、このシステムが、ニードルの近位端部機構が遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成と、ニードルの近位端部機構が遠位部分ストッパ部材を少なくとも部分的に貫通して、近位薬剤チャンバ内に少なくとも部分的に配置されている移送構成と、近位および遠位ストッパ部材が互いに接触しており、それによって第1の薬剤成分を近位薬剤チャンバから遠位薬剤チャンバに移して第1の薬剤成分を遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤構成要素と混合する混合構成と、を具える。ニードルは、遠位端開口部と、システムが輸送、移送、および混合構成にあるときに遠位薬剤チャンバ内に配置される中間開口部と、システムが輸送、及び移送構成にあるときに近位薬剤チャンバ内に配置される近位開口部と、を具える。
【0014】
一またはそれ以上の実施形態において、ニードルは、複数の近位開口部を具え、この近位開口部が複数の近位開口部のうちの一つである。システムが輸送構成および移送構成にあるときに、少なくともいくつかの近位開口部が近位薬剤チャンバ内に配置され、システムが混合構成にあるときは少なくともいくつかの近位開口部が近位ストッパ部材によって閉塞される。 近位ストッパ部材は、システムが混合構成にあるときに少なくともいくつかの近位開口部を閉塞するように構成されたプラグを具える。このプラグの長さは、複数の近位開口部のうち最も近位側の開口部と、複数の近位開口部のうちの最も遠位側の開口部との間の距離よりも大きい。
【0015】
一またはそれ以上の実施形態では、注射器またはカートリッジ本体が、システムが混合構成にあるときに遠位ストッパの遠位端に隣接するように構成された位置表示器を具えている。プランジャ部材は、システムが混合構成にあるときに注射器またはカートリッジ本体に選択的に結合され、注射器またはカートリッジ本体に対するプランジャ部材の近位方向の移動を防止するように構成された保持クリップを具えていてもよい。この保持クリップは、保持クリップが注射器またはカートリッジ本体に選択的に連結されたときに、可聴信号を生成するように構成してもよい。
【0016】
一またはそれ以上の実施形態では、近位および遠位ストッパは、それぞれ遠位および近位表面上にそれぞれ第1および第2のポリマーコーティングを具えており、近位薬剤チャンバが注射器またはカートリッジ本体と、第1および第2のポリマーコーティングによって画定される。遠位ストッパは、近位方向にテーパがついている漏斗と、この漏斗のテーパ近位端に配置された空間とを有していてもよい。
【0017】
一又はそれ以上の実施形態では、ハブがコレットとスリーブを具えている。コレットは、スリーブがコレットの周りに配置されると、ニードルハブアセンブリをカートリッジ本体の遠位ニードルインターフェースに取り外し可能に連結するように構成することができる。ハブは、ニードルの外側面を囲み、その周囲に液密シールを形成するように構成されたシール部材を具えていてもよい。
【0018】
一又はそれ以上の実施形態において、このシステムはさらに、遠位薬剤チャンバ内に配置された移送パイプを具える。ニードルハブアセンブリがカートリッジ本体の遠位ニードルインターフェースに取り外し可能に連結されると、ニードルと移送パイプとは取り外し可能に連結される。移送パイプは、その遠位端に小径部分を有しており、それにニードルを固定するように構成できる。
【0019】
さらに別の実施形態では、注射用システムが、近位開口部を画定する注射器本体と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具えている。このシステムはまた、注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材を具え、この近位および遠位ストッパ部材の間に薬剤チャンバを形成している。このシステムはさらに、プランジャ内部を画定し、手動で操作して近位ストッパ部材を注射器本体に対して挿入するように構成されたプランジャ部材を具える。このプランジャ部材は、プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを具える。このシステムはさらに、注射器本体の遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリを具える。このニードルハブアセンブリは、ニードル近位端機構を有するニードルと、ハブと、ニードルをハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材とを具える。ニードル近位端機構は、システムが注射構成にあるときに遠位ストッパ部材が薬剤チャンバ内を貫通するように構成されている。注射器本体に対してプランジャ部材を操作するとき、ニードルは少なくとも部分的にプランジャ内部に引き込み可能であり、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変える。
【0020】
一又はそれ以上の実施形態において、薬剤チャンバは、ニードルの金属材料との接触による保管中の劣化に敏感な薬剤を含んでいる。近位および遠位ストッパは、それぞれの遠位面および近位面上にそれぞれ第1および第2のポリマーコーティングを具えており、薬剤チャンバが注射器本体ならびに第1および第2のポリマーコーティングによって画定されている。
【0021】
一又はそれ以上の実施形態では、システムは、ニードル近位端機構が薬剤チャンバの内側に配置されていない輸送構成を具えている。ニードル近位端機構は、遠位ストッパを貫通していてもよく、薬剤チャンバ内に配置され、それによってシステムが注射構成にあるときに薬剤を患者に注射する薬剤出口経路を提供している。
【0022】
一又はそれ以上の実施形態では、ニードルが、遠位端開口部と、システムが輸送および注射構成にあるときに薬剤チャンバ内に配置される中間開口部と、システムが注射構成にあるときに薬剤チャンバ内に配置される近位開口部と、を具える。
【0023】
さらに別の実施形態では、薬を混合して患者に注射する方法が、近位開口部を画定する注射器本体と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具えるシステムを提供するステップを具える。このシステムはまた、注射器本体に配置された近位および遠位ストッパ部材を具え、近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材と注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している。このシステムはさらに、プランジャ内部を画定し、かつ手動で操作して近位ストッパ部材を注射器本体に対して挿入するように構成されたプランジャ部材を具える。さらに、このシステムは、遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口部と、近位端とを具えるニードル部材を具える。この方法はまた、プランジャ部材を前進させてニードル部材の近位端を遠位ストッパに突き刺して、近位薬剤チャンバから第1の薬剤成分を薬剤通路を通って遠位薬剤チャンバ内に送り、遠位薬剤チャンバ内で第1の薬剤成分と第2の薬剤成分とを混合して混合薬剤を形成する、ステップを具える。
【0024】
別の実施形態では、薬剤を混合し患者に注射する方法が、近位開口部を画定するカートリッジ本体と、その遠位端にある遠位ニードルインターフェースとを具えるシステムを提供するステップを具える。このシステムはまた、カートリッジ本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材を具えており、近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材とカートリッジ本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している。このシステムはさらに、プランジャ内部を画定し、手動で操作してカートリッジ本体に対して近位ストッパ部材を挿入するように構成されたプランジャ部材を具える。さらに、このシステムは、遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口部と、近位端とを具えるニードル部材を具える。この方法はまた、プランジャ部材を前進させてニードル部材の近位端を遠位ストッパに突き刺して、近位薬剤チャンバから薬剤通路を通って第1の薬剤成分を通過させ、遠位薬剤チャンバ内で第1の薬剤成分と第2の薬剤成分とを混合して混合薬剤を形成する、ステップを具える。
【0025】
一又はそれ以上の実施形態では、この方法はさらに、プランジャ部材を前進させて混合薬剤を患者に注射するステップを具える。この方法は、混合薬が患者に注射されると、遠位ニードル先を注射器本体内に自動的に引き込むステップを具えていてもよい。
【0026】
さらに別の実施形態では、患者に薬を注射する方法が、近位開口部を画定する注射器本体と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具えるシステムを提供するステップを具える。このシステムはまた、注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材を具え、近位ストッパ部材と遠位ストッパ部材との間に薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材と注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している。このシステムはさらに、プランジャ内部を画定し、手動で操作して近位ストッパ部材を注射器本体に対して挿入するようにしたプランジャ部材を具える。さらに、このシステムは、遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口部と、近位端とを有するニードル部材を具える。この方法はまた、プランジャ部材を前進させてニードル部材の近位端を遠位ストッパに突き刺して、近位薬剤チャンバから薬剤通路を通って遠位薬剤チャンバ内へ薬剤を通過させるステップを具える。
【0027】
一又はそれ以上の実施形態では、この方法はまた、プランジャ部材を前進させて薬を患者に注射するステップを具える。この方法は、混合薬が患者に注射されると、遠位ニードル先を注射器本体内に自動的に引き込むステップをさらに具えている。
【0028】
さらに別の実施形態では、医薬品を混合し注射するシステムが、近位開口部を画定する注射器本体と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具える。このシステムはまた、注射器本体内に配置された近位および遠位ストッパ部材を具えており、近位および遠位ストッパ部材と遠位ストッパ部材と注射器本体の遠位端との間に近位薬剤チャンバを形成している。このシステムはさらに、プランジャ内部を画定し、かつ手動で操作して近位ストッパ部材を注射器本体に対して挿入するように構成されたプランジャ部材を具える。プランジャ部材は、プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材とを具える。さらに、このシステムは、注射器本体の遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリを具える。このニードルアセンブリは、ニードル近位端機構を有するニードル、ハブ、およびニードルをハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材を具える。近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズは、近位および遠位ストッパ部材の注射器本体に対する移動によって修正することができる。注射器本体に対してプランジャ部材を操作すると、ニードルは少なくとも部分的にプランジャ内部に引き込み可能となり、エネルギー貯蔵部材ラッチ部材をラッチ状態からラッチ解除状態に変える。遠位薬剤チャンバは部分真空を具える。
【0029】
一又はそれ以上の実施形態では、遠位ストッパ部材が近位ゲートを具えており、ニードル近位端機構が近位ゲートを通過できない閉構成と、近位ゲートを通過できる開構成とを具える。近位ゲートは、ばね要素対に動作可能に連結された可動アーム対を具えている。このばね要素対は、閉構成で近位ゲートを付勢する。ニードル近位端構造は、閉構成では近位ゲートを通過することはできないが、開構成では近位ゲートを通過することができる近位ショルダを具えていてもよい。ニードルは、閉構成では近位ゲートを通過することはできないが、開構成では近位ゲートを通過することができる遠位ショルダを具えており、この遠位ショルダは近位ショルダの遠位にある。近位ゲートは、自己付勢ヒンジ対に動作可能に連結された可動アーム対を具えていてもよい。
【0030】
別の実施形態では、薬剤を混合し患者に注射する方法が、近位開口部を画定する注射器本体と、その遠位端に遠位ニードルインターフェースとを具えるシステムを提供するステップを具える。このシステムはまた、注射器本体に配置された近位および遠位ストッパ部材を具え、近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、遠位ストッパ部材と注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成している。このシステムは、プランジャ内部を画定し、かつ手動で操作して近位ストッパ部材を注射器本体に対して挿入するように構成されたプランジャ部材をさらに具える。さらに、このシステムは、遠位ニードル先端と、薬剤通路と、複数の移送開口部と、近位端とを有するニードル部材を具える。遠位薬剤チャンバは部分真空を含む。この方法はまた、プランジャ部材を前進させて遠位ストッパ部材を通ってニードル部材の近位に突き刺して、遠位薬剤チャンバ内の部分真空が近位薬剤チャンバから薬剤通路を通って第1の薬剤成分を遠位薬剤チャンバ内に吸引し、遠位薬剤チャンバ内で第1の薬剤成分と第2の薬剤成分とを混合して混合薬剤を形成できるようにするステップを具える。
【0031】
一又はそれ以上の実施形態では、この方法はまた、遠位ストッパ部材を遠位方向に移動させて遠位薬剤チャンバ内の空間を潰し、システムをパージすることなくシステムで注射を行えるようにするステップを具える。この方法はまた、プランジャ部材を前進させて薬剤を患者に注射するステップを具えていてもよい。この方法は、薬剤が患者に注射されると、遠位ニードル先端を注射器本体内に自動的に引き込むステップをさらに具えていてもよい。
【0032】
本発明の前述した実施形態およびその他の実施形態は、以下の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
実施形態の前述した態様および他の態様を、添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。図面中の同じ要素は共通の参照番号を付して説明する。
【
図1】
図1Aは、従来の注射器構成の態様を示す。
図1Bは、従来の注射器構成の態様を示す。
【
図2】
図2Aは、従来の注射器構成の態様を示す。
図2Bは、従来の注射器構成の態様を示す。
【
図4】
図4Aは、従来の注射器構成の態様を示す。
図4Bは、従来の注射器構成の態様を示す。
【
図5】
図5Aは、従来の注射器構成の態様を示す。
図5Bは、従来の注射器構成の態様を示す。
図5Cは、従来の注射器構成の態様を示す。
【
図6】
図6Aは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Bは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Cは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Dは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Eは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Fは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Gは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Hは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Iは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Jは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Kは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Lは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Mは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Nは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Oは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図6Pは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
【
図7】
図7Aは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Bは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Cは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Dは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Eは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Fは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Gは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Hは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Iは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Jは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Kは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Lは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Mは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Nは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Oは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
図7Pは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に後退させることができる注射器ベースの二室式安全注射システムの態様を示す。
【
図8】
図8Aは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、二つの実施形態によるハープーン連結インターフェースを示す。
図8Bは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、二つの実施形態によるハープーン連結インターフェースを示す。
【
図9】
図9Aは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による混合構成ラッチの様々な態様を示す。
図9Bは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による混合構成ラッチの様々な態様を示す。
【
図10】
図10Aは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による混合構成インジケータの様々な態様を示す。
図10Bは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による混合構成インジケータの様々な態様を示す。
【
図11】
図11Aは、システムの様々な態様を実証するために、
図6A乃至
図10Bに示す二室式安全注射システムの様々な態様を詳細に示す図である。
図11Bは、システムの様々な態様を実証するために、
図6A乃至
図10Bに示す二室式安全注射システムの様々な態様を詳細に示す図である。
図11Cは、システムの様々な態様を実証するために、
図6A乃至
図10Bに示す二室式安全注射システムの様々な態様を詳細に示す図である。
図11Dは、システムの様々な態様を実証するために、
図6A乃至
図10Bに示す二室式安全注射システムの様々な態様を詳細に示す図である。
図11Eは、システムの様々な態様を実証するために、
図6A乃至
図10Bに示す二室式安全注射システムの様々な態様を詳細に示す図である。
【
図12】
図12Aは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による遠位ストッパブッシュの様々な態様を示す。
図12Bは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による遠位ストッパブッシュの様々な態様を示す。
図12Cは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による遠位ストッパブッシュの様々な態様を示す。
図12Dは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による遠位ストッパブッシュの様々な態様を示す。
図12Eは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態によるガイドディスクの様々な態様を示す。
図12Fは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態によるガイドディスクの様々な態様を示す。
【
図13】
図13Aは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による近位ストッパねじの様々な態様を示す。
図13Bは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による近位ストッパねじの様々な態様を示す。
図13Cは、様々な実施形態による二室式安全注射システムと共に使用できる、一実施形態による近位ストッパねじの様々な態様を示す。
【
図14】
図14Aは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図14Bは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図14Cは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図14Dは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図14Eは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図15Aは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図15Bは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図15Cは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図15Dは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図15Eは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図15Fは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
【
図16】
図16Aは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Bは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Cは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Dは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Eは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Fは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Gは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図16Hは、様々な実施形態による、使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができるカートリッジ式二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
【
図17】
図17Aは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Bは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Cは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Dは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Eは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Fは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Gは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Hは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Iは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Jは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図17Kは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
【
図18】
図18Aは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図18Bは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図18Cは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図18Dは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図18Eは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図18Fは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
図18Gは、様々な実施形態による、ルアー型カップリングを利用した使用者が取り付け可能なニードルを有するように構成された二室式安全注射システムの様々な態様を示す図である。
【
図19】
図19Aは、IVポートを介してまたは患者への注射を伴わない他の送達方法を介して、患者に薬剤を送達する二室式薬剤混合および送達システムを示す図である。
図19Bは、IVポートを介してまたは患者への注射を伴わない他の送達方法を介して、患者に薬剤を送達する二室式薬剤混合および送達システムを示す図である。
図19Cは、IVポートを介してまたは患者への注射を伴わない他の送達方法を介して、患者に薬剤を送達する二室式薬剤混合および送達システムを示す図である。
図19Dは、IVポートを介してまたは患者への注射を伴わない他の送達方法を介して、患者に薬剤を送達する二室式薬剤混合および送達システムを示す図である。
【
図20】
図20Aは、一実施形態による、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムを示す。
図20Bは、一実施形態による、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムを示す。
図20Cは、一実施形態による、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムを示す。
図20Dは、一実施形態による、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムを示す。
【
図21】
図21Aは、ニードルを外すための調整可能な力を有するニードルラッチ機構を示す。
図21Bは、ニードルを外すための調整可能な力を有するニードルラッチ機構を示す。
図21Cは、ニードルを外すための調整可能な力を有するニードルラッチ機構を示す。
図21Dは、ニードルを外すための調整可能な力を有するニードルラッチ機構を示す。
【
図22】
図22Aは、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムの内部機構の一実施形態を示す。
図22Bは、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムの内部機構の一実施形態を示す。
図22Cは、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムの内部機構の一実施形態を示す。
図22Dは、ステンレス鋼との接触に敏感な薬剤を保存および送達するための安全注射システムの内部機構の一実施形態を示す。
【
図23】
図23は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図24】
図24は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図25】
図25は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。このシステムは例示的な遠位ストッパブッシュを具える。
【
図26】
図26は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。このシステムは例示的な遠位ストッパブッシュを具える。
【
図27】
図27は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図28】
図28は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図29】
図29は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図30】
図30は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図31】
図31は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図32】
図32は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図33】
図33は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。
【
図34】
図34は、様々な実施形態による使用後に遠位ニードル端部/先端部を保護構成に引き出すことができる真空補助二室式安全注射システムの態様を示す図である。このシステムは例示的な遠位ストッパブッシュを具える。
【0034】
様々な実施形態の上記および他の利点および目的をいかにして達成するかをよりよく理解するために、添付の図面を参照しながら実施形態をより詳細に説明する。図面は一定の縮尺で描かれておらず、類似の構造または機能の要素は全体を通して同じ参照番号で表されていることに留意されたい。これらの図面は特定の例示的な実施形態を説明するだけのものであり、実施形態の範囲を限定すると見なされるべきではないことは自明である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
例示的な二室式安全注射器システム
図6A及び6Bを参照すると、内部に従来の近位および遠位ストッパ(32、36)を設けた従来の市販のプレフィルド注射器本体(34)を具える二室式安全注射システムの斜視図および縦断面図が示されている。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、注射器本体(34)と共に、近位および遠位の薬剤チャンバ(40、42)を画定している。近位および遠位ストッパ部材(36、37)は、近位薬剤チャンバ(40)の近位端および遠位端を閉塞している。遠位ストッパ部材(36)は、遠位薬剤チャンバ(42)の近位端を閉塞している。ニードル連結アセンブリ(606)は、保管用に設置されたニードルカバー部材(63)と共に遠位薬剤チャンバ(42)の遠位端に配置されている。二室式安全注射システムは、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への第1の薬剤成分の移送と、ユーザによる様々な程度の注射器本体(34)に対するプランジャアセンブリの連続挿入を受けた遠位薬剤チャンバ(42)からの混合/組み合わせ薬剤の排出と、を制御する。プランジャアセンブリは、近位ストッパ部材(32)、プランジャハウジング部材(69)、およびプランジャ操作インターフェース(128)を具える。近位薬剤チャンバ(40)内に配置されている第1の薬剤成分は、水性またはオイルベースの薬剤溶液、ゲルといった液体であるか、あるいは、第1の薬剤成分は、遠位薬剤チャンバ(42)内で第2の薬剤成分と混合する希釈剤であってもよい。遠位薬剤チャンバ(42)内の第2の薬剤成分は、粉末、ミクロスフェア、乳剤、凍結乾燥薬剤またはフリーズドライ薬剤といった乾燥形態の薬剤であっても、または固形薬剤のようなケーキ状薬剤であってもよい。遠位薬剤チャンバ(42)内の第2の薬剤成分は、近位薬剤チャンバ(40)からの第1の薬剤成分と混合する液体であってもよい。
【0036】
二室式安全注射システムは、ステーキドニードル構成を有し、ユーザに提示すると、ニードル連結アセンブリ(606)、ニードルの遠位端/先端部(48)、ニードル連結部材(83、例えば、
図6E参照)、およびニードルの近位端(50)を具えるニードルアセンブリが、ニードルカバー部材(63)の除去後に注射の準備が整った位置に装着される。カバー部材は、内面にエラストマーシール材料を具えており、保管中にニードルの遠位端(48)または遠位ハウジング部分(610)と接合している。代替的に、ニードルカバー部材(63)は、汚染が注射器本体(34)に入るのを防ぎつつ、薬剤成分の移動および混合から生じる圧力を注射器本体(34)の内側から逃がすための通気口(図示せず)を具えていてもよい。ステーキドニードルは定位置に装着されているように描かれているが、ステーキドニードルはルアーインターフェースを用いて注射器本体(34)に、ルアーインターフェースを通って遠位薬剤チャンバ(42)内に延在するニードル部材の近位端(50)とともに、取り外し可能に連結するようにしてもよい。
図6A乃至
図22Dに示す実施形態では、安全なニードル後退ハードウェアの大部分がプランジャハウジング内にある。
【0037】
図6Cおよび
図6Dを参照すると、最初の組み立て時(すなわち、工場または処理施設内 -「ステーキドニードル」構成の現場ではない)に、近位ハウジングアッセンブリ(608)が、注射器本体の製造時に注射器本体内に形成される注射器本体のわずかに凹んだ半径方向部分(602)上にスナップ嵌合するように構成されている(すなわち、近位ハウジングアセンブリを具えるか、またはそれに連結されたスナップリング要素604を使用して)。
【0038】
図6Eおよび
図6Fを参照すると、ニードルスパインアセンブリ(76)は、遠位ニードル端部(48)と、ニードル接続部材(83)に連結されたニードル近位端部(50)とを有する注射部材を具える。ニードル連結部材(83)は、ラッチ部材(612)と可動ブロック部材(614)と接合するように構成された狭窄または径方向縮小部分(111)を有するように構成されており、注射中に、ニードル遠位端部(48)、ニードル連結部材(83)、およびニードル近位端部(50)が、注射器本体(34)に対して定位置に固定されたままであるが、プランジャアセンブリを小径フランジ(80)に対して完全に挿入した後(33-例えば、
図7N参照)(すなわち、注射器本体34の遠位薬剤チャンバ42内に収容される薬剤の完全放出の前後)に、可動ブロック部材(614)が遠位ハウジング部分(610)に対して前進して、複数の片持ちラッチ部材(616)(2つが図示されている)が可動ハウジングによって邪魔にならないところに押圧される。特に、ニードルスパインアセンブリ(76)は、プランジャアセンブリの完全な前進によって遠位方向に力を受け、可動ブロック部材(614)を前進させて片持ちラッチ部材(616)を移動させる。片持ち式ラッチ部材(616)を動かすことによって、ニードルの遠位端(48)、接続部材(83)、および近位端(50)をそれらの連結部を通して後退させることができ、それによってニードルの遠位端(48)がプランジャハウジング部材(69)内に安全に配置される。代替的に、ニードルの遠位端(48)を、遠位ハウジング部分(610)の外面の下の位置に引っ込めて、鋭利な先端をユーザから安全に保護することができる。換言すると、片持ち式ラッチ部材(616)は、プランジャを完全に挿入した時に可動ブロック部材(614)によって邪魔にならないところに押し出されるまで、注射を行う間、ニードル/注射器アセンブリとニードルの遠位端(48)の位置を保持する。プランジャを完全に挿入した後は、米国特許出願第09 / 099,952号、第14/696,342および第62/416,102号に記載されているように、ニードルスパインアセンブリ(76)のさらなる遠位方向への移動によってトリガされたときに、ニードルが自動的に引き抜くべく自由になる。これらの米国特許出願は、引用により本明細書に組み込まれている。
【0039】
一実施形態では、プランジャアセンブリはプランジャアセンブリ内にギャップを形成する連結部材を具えており、遠位ストッパ部材が注射器本体の遠位端に到達して注射器本体から混合薬剤をほぼすべて排出した後に、プランジャ操作インターフェースを遠位方向に移動し続けることができる。この実施形態では、完全注射後にプランジャ操作インターフェースを遠位方向に少しだけ押して、連結部材およびギャップを崩し、片持ち式ラッチ部材を解放し、ニードルスパインアセンブリをエネルギー貯蔵部材に連結し、エネルギー貯蔵部材を解放して、連結したニードルスパインアセンブリを少なくとも注射器本体内に引き込む。この実施形態は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第62/416、102号さらに詳細に記載されている。
【0040】
図6Eは、ニードル連結アセンブリ(606)のないニードルアセンブリの要素を具えるニードルスパインアセンブリ(76)の態様を示す。ニードルスパインアセンブリ(76)の遠位部(48)は、注射部材(78)上に形成された鋭利な皮下注射ニードル先端を具える。
図6Gおよび6Hに示すように、ニードルの近位端(50)は、遠位部分を形成する連結部材に形成された鋭利な先端部(86)も具えている。ほぼ中空の結合部材(83)が、連結部材を筒状注射部材(78)に連結する。注射部材(78)、ニードルの近位端(50)上の鋭利な先端部(86)、および中空結合部材(83)は、締まり嵌め、溶接、および/または接着剤で共に保持されている。図に示す実施形態におけるニードル近位端(50)の最も近位側端部(84)は、以下にさらに詳細に説明するように、「ハープーン」型の幾何学形状を具えており、これは、ニードルスパインアセンブリ(76)をプランジャハウジング部材(69)内に引き込むために、接合する従属部材に突き刺さって保持されるように構成されている。ニードルの近位端(50)は、例えば、レーザカッティング、エッチング、打ち抜き加工、および/または機械加工技術を用いて薄板金属部品から作ることができる。ニードルスパインアセンブリ(76)の他の態様、例えばそれを通る流路および流れの閉塞は、少なくとも
図6M乃至6Oに示されており、以下に説明する。
【0041】
図6Pは、注射器本体(34)上にスナップ嵌めされたニードル連結アセンブリ(606)の詳細断面図である。
図6I乃至6Lは、ニードル部分(48、83、50、111)に対してラッチ部材(612)および片持ちラッチ部材(616)をより直接的に視覚化した、部分斜視ワイヤフレーム図である。ニードルを引き込んだ状態におけるラッチ部材(612)および片持梁式ラッチ部材(616)の機能は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第14/696,342号および第62/416、102号に記載されている。
【0042】
図6Pは、薬剤容器(例えば、注射器本体(34))中の遠位薬剤チャンバ(42)と、ニードルスパインアセンブリ(76)の外面との間を密封するように構成した遠位シール(620)を示す。好ましくは、この遠位シール(620)は、ニードル連結部材(83)の外側の周りを密封するように構成されている。このシールはさらに、遠位薬剤チャンバ(42)とニードル連結アセンブリ(606)の内面との間を密封するように構成されている。
図6Pはまた、薬剤チャンバの遠位端(例えば注射器本体(34))とニードル連結アセンブリ(606)の近位端との間のスナップ嵌合(630)を示す。
【0043】
図6A及び6Bに戻ると、例えば、二室式安全注射システムは、薬剤の移動とニードルの引き込みを補助する適切な時に、近位ニードル端部(50)が突き刺さるように構成された近位および遠位プランジャ先端部(32、36)を取り付けた従来の注射器本体(34)を具える。この近位プランジャ先端部(32)は、後述するように、アセンブリのその他の様々な部分によって占められる内部容積を画定するプランジャハウジング部材(69)によってプランジャ操作インターフェース(128)に連結され、これらは使用シーケンスにおける適切な時にニードルを後退させるように構成されている。上述したニードル連結アセンブリ(606)は、図に示す実施形態に含まれており、その他の実施形態は、注射器本体(34)に連結するルアー型ニードルアセンブリを具えていてもよい。図に示すバージョンの注射器本体(34)は、従来の一体型注射器フランジ(38)に連結された小径フランジ(33)を具え、これは例えば、操作者の親指がプランジャ操作インタフェース(128)と接合している間に、操作者の人差し指と中指との間で操作または接合しうる幾何学的形状を有する。
図6Aおよび6Bは、遠位ニードル端部(48)を機械的に隔離するために定位置にニードルカバー(63)を有する使用前のアセンブリを示す。ニードルカバー(63)を取り外して、アセンブリの患者への注射の準備を整える。
【0044】
図6Mに示すように、近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、注射器本体(34)と共に、輸送構成にした二室式安全注射システムを伴う近位薬剤チャンバ(40)を画定する。特に、近位ストッパ部材(32)の遠位端および遠位ストッパ部材(36)の近位端は、それぞれ潤滑性ポリマーコーティング(例えば、PTFE)でコーティングされているので、近位及び遠位ストッパ部材(32、36)の第1および第2のポリマーコーティングが、注射器本体(34)と共に、近位薬剤チャンバ(40)を画定する。潤滑性ポリマーコーティングは、近位および遠位ストッパ部材(32、36)のゴムを薬品および薬品成分から隔離するようにも作用する。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、
図6Mに示すように配向してもよく、または遠位ストッパを裏返して、潤滑コーティングが遠位薬剤チャンバ(42)に面するようにして、遠位薬剤チャンバ(42)内の第2の薬剤成分が保存用に潤滑コーティングと接触するようにしてもよい。ストッパが裏返しになっている場合の、ニードルガイドアセンブリが、
図12Fに示されており、以下に説明する、センタリングガイドディスクによって適所に保持することができる。代替の実施形態では、近位および遠位ストッパ部材(32、36)が、潤滑性ポリマーコーティングのないゴムである。
【0045】
近位ストッパ部材(32)がプランジャハウジング部材(69)およびプランジャ操作インターフェース(128)に連結されているので、プランジャ操作インターフェース(128)に加えられた遠位方向の力が近位ストッパ部材(32)を注射器本体(34)に対して遠位方向に動かすことになる。近位薬剤チャンバ(40)は実質的に非圧縮性の液体で予め満たされており、
図6Mに示す輸送構成では非圧縮性液体が近位薬剤チャンバ(40)から逃げる経路がないので、近位ストッパ部材の遠位側への移動(32)が遠位ストッパ部材(36)の遠位側への移動をもたらす。
【0046】
図6Nに示すように、二室式安全注射システムを移送構成にするために、遠位ストッパ部材(36)が注射器本体(34)に対して遠位側に移動した後、ニードル近位端(50)は遠位ストッパ部材(36)を突き刺し、部分的に近位薬剤チャンバ(40)に入る。実際、
図6Nに示す移送構成では、ニードルの近位端(50)の移送パイプ(46)部分が、近位及び遠位薬剤チャンバ(40、42)の間に流体経路を形成する。この移送パイプ(46)は、複数の近位開口部(270)と中間開口部(266)を具える。移送パイプ(46)は中空であり、近位薬剤チャンバ(40)に配置されている最も近位側開口部(270)と遠位薬剤チャンバ(42)に配置されている中央開口部(266)との間に流路を形成する。
図6M乃至6Oに示す移送パイプ(46)は、4つの近位開口部(270)および中間開口部(266)を具えるが、他の実施形態は、より多くのまたはより少ない近位開口部および中間開口部を具えていてもよい。近位開口部と中間開口部の数を増やすと、近位薬剤チャンバと遠位薬剤チャンバ(40、42)との間の開放流路を維持しつつ、遠位ストッパ部材(42)に対する移送パイプ(46)/ニードル近位端(50)の位置決め公差が大きくなる。
【0047】
二室式安全注射システムが
図6Nに示すような移送構成になった後は、より多くの力がプランジャ操作インターフェース(128)に加えられるので、近位ストッパ部材(32)は遠位ストッパ部材(36)に対して近位側に移動することができる。なぜなら、近位薬剤チャンバ(40)内の液体が移送パイプ(46)を介して遠位薬剤チャンバ(42)に移動できるからである。液体が遠位薬剤チャンバ(42)に移送されると、この液体は遠位薬剤チャンバ(42)の内容物と混合される。
図6Aおよび6Bに示す実施形態では、輸送構成(
図6A、
図6B、および
図6M)にある近位薬剤チャンバ(40)内の液体は、最初は、薬剤の第1の液体成分である。遠位薬剤チャンバ(42)の内容物は薬剤の第2の成分である。近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)に液体を移送することで、第1および第2の成分を混合し、注射用薬剤ができる。
【0048】
図6Oに示すように、移送構成からプランジャ操作インターフェース(128)に継続的に加えられる力が、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への液体の移送を完了し、二室式安全注射システムを混合構成にする。混合構成で、第一および第二の成分が混合され、薬剤を患者に注射する準備が整う。混合薬剤は、遠位薬剤チャンバ(42)内に配置される。遠位ストッパ部材(36)に対する近位ストッパ部材(32)の遠位側への移動は、近位及び遠位ストッパ部材(32、36)を接触させ、近位薬剤チャンバ(40)の容積を実質的にゼロに減少させる。したがって、プランジャ操作インターフェース(128)に継続的な力が加わると、近位および遠位ストッパ部材(32、36)が一緒に移動し、移送パイプ(46)の遠位端にある遠位開口/流出ポートを通して混合薬剤が放出され、ニードルを通って遠位薬剤チャンバ(42)から出て、患者の中に入る。移送パイプ(46)はまた、内腔の近位端と遠位端との間に配置された内腔プラグ(268)を具える。この内腔プラグ(268)は、混合薬を患者に注射する間、混合薬がフローチャネルを通って逆行性に強制されるのを阻止する。
【0049】
図7A乃至7Lを参照すると、多剤型薬剤の注射および注射器本体へのニードルの後退を容易にするように設計された構成の様々な態様が示されており、患者に送達する前に2またはそれ以上の薬剤成分が組み合わされて注射剤または溶液を形成する。一変形例では、注射の直前に、液状の第1の医薬成分/希釈剤(252)を、凍結乾燥薬剤またはフリーズドライ薬剤などの粉末形態の薬剤といった実質的に非液体の第2の医薬成分(254)と組み合わせることができる。
図7A乃至7Lを参照して本明細書に記載されている構成は、二室式であり、同じ注射器本体(34)内の2またはそれ以上のチャンバを利用して、注射液を運び、混合し、注射する。
【0050】
図7Aおよび7Bを参照すると、近位および遠位薬剤チャンバ(40、42)は、注射器本体(34)の内部の2つの部分の間の遠位ストッパ部材(36)によって形成され、遠位薬剤チャンバ(42)は、エアまたは気体のギャップ、ならびに非液体薬剤(254)を含む。遠位ストッパ部材(36)の反対側にある近位薬剤チャンバ(40)は、近位ストッパ部材(32)によって近位側に収容される液体希釈剤(252)を収容する。この液体希釈剤(252)は薬剤の第1の成分であり、非液体薬剤(254)は薬剤の第2の成分である。
【0051】
図7C、および
図7Dの関連する断面図を参照すると、ニードル連結アセンブリの様々な構成要素が示されている(ここではいわゆる「ステーキ型」ニードル連結アセンブリ(606)が示されているが、ステーキ型構造のものと同様にルアー型で連結されているものを含めて、以下に記載する他のニードルアセンブリルアーを用いてもよい)。ラグ機構(258)は、例えば
図7Aに示すように、ニードル連結アセンブリ(606)のニードルカバー部材(63)への結合を支援するように構成されている。小さいOリングはニードルシャフトの周りにシール部材(260)として利用することができ、より大きいOリングは注射器本体(34)/ニードル連結アセンブリ(606)インターフェースのシール部材(262)として利用することができる。代替的に、小さいOリング(260)と大きいOリング(262)を組み合わせて、両方のOリングシール機能を果たす単一のシールにしてもよい。また、小さなOリング(260)を使用して、ニードルシャフトの周りと注射器本体(34)の両方をシールすることもできる。
【0052】
ニードルは、液体希釈剤を入れてより遠位に位置する中央開口部/開口(266)から放出するように構成された複数(例えば4つ)の近位開口部/ポート(270)を具え;ルーメンプラグ(268)はニードルルーメンを閉塞して、
図6Nと7Hを参照して上述したような条件下で、近位開口部(270)から中央開口部(266)への流路を形成している。ニードルはまた、中央開口部(266)からルーメンプラグ(268)の反対側にある遠位開口部(264)を具える。遠位開口部(264)は、ニードルを通してニードル遠位端部(48)に流体連結されており、患者に液体を注射する。
【0053】
図7Eを参照すると、近位ハープーンインターフェース(84)は、近位および遠位ストッパ部材(32、36)を順次貫通し、連結機構(例えば、
図7Nおよび7Pに記載されているニードル保持機構、要素712などの)をプランジャロッド内に連結するように構成されている。
図7Fは、近位および遠位ストッパ部材(32、36)の両方を順次貫通し、患者に注射を行った後、プランジャロッド内の連結機構と連結してニードル部材を少なくとも部分的にプランジャロッド内に引き込むように構成されたスパイクスタイルのハープーン結合インタフェース(85)を示す。
【0054】
図7A、
図7B、および
図7G乃至7Pは、上述したような二室式安全注射システムを用いた注射手順の一連の動作を示す。
図7Aおよび
図7Bを参照すると、注射アセンブリは安定した構造にあり、出荷するかまたは注射をする患者の治療シナリオに持ち込むことができる。第1の薬剤成分/液体希釈剤(252)は、第2の非液体薬剤成分(254)から隔離されており、両方とも遠位ストッパ部材(36)の両側にある注射器本体内にある。
【0055】
図7Gおよび
図7Hは、注射器本体(34)に対して遠位のストッパ部材(36)と近位のストッパ部材(32)を一緒に前進させるプランジャアセンブリ(44)の最初の挿入の動きを示す。
図7Hを参照すると、遠位ストッパ部材(36)を横切って十分に前進させて、ニードルアセンブリの近位端(50)を突き刺すことで、注射器本体(34)の2つの予め隔離されたチャンバ(40、42)の間に流体経路が形成される。その結果、近位薬剤チャンバ(40)内の液状第1薬剤成分(252)は、移送パイプ(46)を通って近位開口部(270)の少なくとも1つに流れ込み、より遠位にある中間開口部(266)からでて、遠位薬剤チャンバ(42)内の非液状の第2の薬剤成分(254)に到達する。
【0056】
図7Iおよび7Jは、ストッパ部材(36、32)を互いに直接隣接するまでさらに挿入させて、液状第1の薬剤成分/希釈剤(252)が遠位薬剤チャンバ(42)内に移動して、非液状第二の薬剤成分(254)と合流する状態を示す。
図7Kおよび7Lは、時間および/または手動の攪拌により、液状第1の薬剤成分/希釈剤(252)と液体ではない第2の薬剤成分(254)が混合されて、混合投薬溶液(272)を形成する状態を示す。
【0057】
いくつかの実施形態において、特に凍結乾燥された非液状の第2の薬剤成分を用いて、混合投薬溶液(272)が、最小限の撹拌で、または全く撹拌することなく、または時間の経過により形成することができる。別の実施形態では、特に懸濁液中に保持されている薬剤または乳化薬剤では、混合を容易にするために激しく振盪させることが必要なことがある。激しく振盪させる場合には、プランジャ操作インターフェース(128)から親指を外すことができることが使用者にとって便利である。液状第1の薬剤成分(252)が近位の薬剤チャンバ(40、42)から遠位の薬剤チャンバ(40、42)に移送される間、遠位薬剤チャンバ(42)内に圧力が蓄積することがある。この圧力は、近位および遠位ストッパ部材(32、36)に作用してストッパの動きに抵抗する。圧力上昇は、また、ストッパ部材(32、36)と、ユーザが自分の親指でプランジャアセンブリ(44)を抑えていない場合には、プランジャ操作インターフェース(128)とを、近位側に移動させる。プランジャアセンブリ(44)における混合構成ラッチまたは「混合クリック」(
図9Aおよび9Bに示されており、以下に説明する)を利用して、圧力増大によるプランジャ操作インターフェース(128)の動きに対する抵抗を与え、ユーザが薬剤の振盪または混合のためのプランジャ操作インターフェース(128)から親指を話すことができるようにする。混合クリックはまた、液状の第1の医薬成分(252)の移送が完了したという可聴および/または触覚的な表示を提供するようにしてもよい。遠位薬剤チャンバ(42)が、薬剤成分の混合を支援する攪拌装置を具えていてもよい。
【0058】
混合溶液(272)を注射する準備が整った状態のアッセンブリで、ニードルカバー部材(63)を取り外し、
図7Mおよび7Nに示すように、プランジャアセンブリ(44)と関連するストッパ部材(36、32)を押込み/挿入させて露出したニードル遠位端(48)を患者に注射することができる。
図7Oおよび7Pを参照すると、プランジャアセンブリ(44)および関連するストッパ部材(32、36)を完全に押込み/挿入すると、鋭利なニードルの遠位端/尖端(48)が少なくとも部分的に遠位端および近位端を通って、注射器本体(34)内、ニードル連結アセンブリ(606)内、または少なくとも部分的にプランジャアセンブリ(44)内の安全位置へ自動的に後退する。プランジャ内で少なくとも部分的にニードルを自動的に後退させることは、米国特許出願第14/696,342号におよび第62 / 416,102に記載されている。
【0059】
既存の凍結乾燥製造プロセスは、ストッパーで薬剤近くに封止されている注射器チャンバの内側で溶液(例えば、液体薬剤)の凍結乾燥(フリーズドライ)を行う。注射器の遠位先端は凍結乾燥させる間開いたままであり、注射器の先端の内径(「ID」)を通って薬剤を凍結乾燥プロセスにおく。この既存の方法は、接着剤硬化プロセスがあるため、凍結乾燥の前にニードルを定位置に配置しなければならず、通常、伝統的な接着されたステークドニードルを使用できない。伝統的な25ゲージ乃至34ゲージのステークドニードルのIDは約0.010インチ乃至0.003インチである。この範囲のIDは通常小さすぎて合理的な時間内に薬剤を凍結乾燥することができない。
図6A乃至7Pに示されているステークドニードルアッセンブリは、凍結乾燥ができる約0.040インチの先端IDを有するルアーテーパ先端注射器を使用している。
図6A乃至7Pのステークドニードルは、凍結乾燥が行われた後、スナップ嵌めにより注射器に取り付けて、薬剤容器を密封し、既存の凍結乾燥プロセスを使用できるようにする。
【0060】
図6A乃至7Pに示す実施形態は、移送パイプ(46)を通して液体を移送するが、他の二室式の実施形態では、液体を注射器本体に形成されたバイパスチャネル/通路を通して移送することができる。バイパスチャネルは、注射器形成中にマンドレルを使用してガラス注射器の壁内または壁近傍に形成することができる。バイパスチャネルは、注射器本体への開口部を有しており、これは、近位および遠位ストッパ部材によって選択的に閉塞されて液体移動を制御することができる。このような実施形態は、米国特許出願第14/696,342号にさらに詳細に記載されている。
【0061】
A.例示的なハープーン結合インターフェース
図8Aおよび8Bは、異なる様々なハープーン結合インターフェース(87、88)を有する二室式安全注射器システムの2つの実施形態を示す。
図8Aに示す実施形態は、関節式ニードル連結インターフェース(87)を有する。
図8Bに示す実施形態は、ツリー状のハープーン結合インターフェース(88)を有する。明確にするために、バネは
図8Bから省略されている。これらの結合インターフェース(87、88)、これらの対応するニードル保持機構(712)、および選択的にニードルを引っ込めるためのこれらの使用は、本明細書にあらかじめ記載されている米国特許出願第62/416,102号に記載されている。これらの様々なハープーン結合インターフェース(87、88)は、
図6A乃至7Pに示すものと共に使用することができる。
【0062】
B.混合構成ラッチ
図9Aおよび9Bは、
図6A乃至8Bに示す実施形態と共に使用可能なプランジャアセンブリ(44)上の混合構成ラッチ(300)を示す。混合構成ラッチ(300)は、遠位方向にテーパが付いており、(例えば、ばねによって)プランジャアセンブリ(44)から半径方向に延びるように付勢されている。混合構成ラッチ(300)は、二室型安全注射器システムが混合構成にあるとき(すなわち、近位および遠位ストッパ部材が互いに接触しているとき)、
図9Bに示すように、注射器本体(34)に連結された小径フランジ(33)上の戻り止め(302)を超えて混合構成ラッチ(300)が遠位に移動するように構成されている。その時点で、混合構成ラッチ(300)は、プランジャアセンブリ(44)から半径方向に延在しており、注射器本体(34)に対するプランジャアセンブリ(44)の近位方向への移動を防止している。
【0063】
プランジャアセンブリ(44)の近位方向への移動を防止することにより、ユーザは、液状第1薬剤成分が近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)へ押し込まれるときに、遠位側薬剤チャンバ内に蓄積された圧力によってプランジャアセンブリ(44)を近位側に駆動させることなく、プランジャ操作インターフェース(128)の圧力を解放することができる。
【0064】
戻り止め(302)を通過するテーパ部分による半径方向の圧縮後の混合構成ラッチ(300)の半径方向への伸長が、可聴信号または触覚信号(すなわち、クリック音)を生成する。この可聴または触覚信号は、二室式安全注射器システムが混合構成にあること、およびユーザがプランジャ操作インターフェース(128)上の圧力を解放してもよいことをユーザに表示する。ユーザはまた、可聴信号または触覚信号を聞いた後または感じた後に、二室式安全注射器システムを攪拌および/または反転させて薬剤成分(252、254)を混合できる。
【0065】
C.混合構成インジケータ
図10Aおよび
図10Bは、
図6A乃至9Bに示す二室式安全注射システムの一部を示しており、これは、輸送構成(
図10A)および混合構成(
図10B)のシステムを有する近位および遠位ストッパ部材(32、36)具える。
図10Aと
図10Bを比較すると、輸送構成にあるシステム内の近位薬剤チャンバ(40)が、システムが混合構成になると折り畳まれることがわかる。上述したように、搬送構成にあるシステム内の近位薬剤チャンバ(40)内の液状第1薬剤成分(252)は、少なくとも1つの近位開口部(270)、遠位薬剤チャンバ(42)、搬送パイプ(46)および中央開口部(266)を介して移送される。
【0066】
最適なパフォーマンスのためには、遠位ストッパ部材(36)に対して近位ストッパ部材(32)を遠位に移動させるためのユーザによってプランジャ操作インターフェース(128)に加えられる圧力が、移送パイプ(46)を介して最大速度(「最大移送圧力」)で液体を移送するのに必要な圧力を超えてはならない。最大移送圧力は、移送パイプの断面積、長さおよび液体粘度を含むがこれらに限定されない様々なシステムパラメータによって決定される。加えられた圧力が最大移送圧力を超えると、近位薬剤チャンバ(40)内に残っている非圧縮性液体が、加えられた圧力を遠位ストッパ部材(36)に移行させ、遠位ストッパ部材(36)とそれに連結されたニードルスパインアッセンブリ(76)を注射器本体に対して遠位側に移動させる。
【0067】
混合構成に到達する前に、ニードルスパインアセンブリ(76)に対して遠位ストッパ部材(36)を移動させることで、近位薬剤チャンバ(40)内の薬剤全てが遠位薬剤チャンバ(42)に移送される前に、遠位開口部材(36)を中央開口部(266)を超えて移動させることによる液体の移送を早期に停止することができる。ルーメンプラグ(268)が、近位及び中央開口部(270、266)から遠位開口部(264)への液体の移動を防止するので、遠位ストッパ部材(36)で中間開口部(266)を閉じて、完了前に液体の移送が実質的に停止する。さらにより大きな圧力が加えられると、遠位ストッパ部材(36)はさらに遠位に移動して、液体移送が完了する前に中間開口部(266)を近位薬剤チャンバ(40)内に配置することができる。これもまた完了前に送液を停止する。したがって、最大移送圧力よりも大きい圧力を加えると、液体移送が不完全なものとなり、それは実質的に液体ではない第2の薬剤成分(254)の溶解および/または混合薬剤溶液(272)の濃度に影響を及ぼす。
【0068】
ユーザが最大移送圧力よりも高い圧力を加える問題を解決するために、
図10Aおよび
図10Bに示す実施形態は、注射器本体(34)上に配置した視覚的インジケータである混合構成インジケータ(304)を具えている。
図10Aおよび
図10Bの混合構成インジケータ(304)は、注射器本体(34)上に配置された(例えば、塗装、エッチングなど)リングであり、システムが混合構成にある場合の遠位ストッパ部材(36)の遠位側エッジのおおよその最適位置を表示する。この視覚的表示/合図は、システムがその混合構成に達する前に、ユーザが、遠位ストッパ部材(36)が注射器本体(34)に対して遠位方向にあまりにも遠くに移動しているときを視覚的に検出することができるようにする。ユーザがそのような動きを検出すると、ユーザはプランジャ操作インターフェース(128)にかかる圧力を下げて、遠位ストッパ部材(36)の遠位方向への移動を停止/減速させる。いくつかの実施形態では、混合構成ラッチ(300)からの可聴または触覚信号が、システムが混合構成に達したときと、混合構成インジケータ(304)を越えて遠位ストッパ部材(36)を遠位側に押すことが安全である旨を、ユーザに示す。
【0069】
混合構成インジケータ(304)を有する二室式安全注射システムは、「クリック音が聞こえるまで、前方/遠位ストッパを混合線を通過させない」ようにユーザに指示する使用説明書を具えていてもよい。混合構成インジケータ(304)は、ユーザが印加圧力を変えることができるようにして、遠位ストッパ部材(36)の最小の動きでシステムが液体を移送できるようにする。混合構成表示器(304)は、以前に使用されていた様々な摩擦増大機構の必要性を排除して、混合プロセスの液体移送段階中にストッパの動きを制御することができる。
【0070】
D.遠位ストッパブッシュと近位ストッパねじ
図11Aないし11Eは、システムの様々な特徴を実証するために、
図6A乃至10Bに示されている二室式安全注射システムをより詳細に示している。
図11Eに最もよく示されているように、近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、従来の注射システム用の既製のストッパとして始まっているが、近位および遠位ストッパ部材(32、36)の各々は追加部品で変形して、二室式安全射出システムの性能を最適化するようにしている。
【0071】
図11Eは、遠位ストッパ部材(36)が、ストッパの典型的な向きと反対に注射器本体(34)内に配置されていることを示している。この逆の向きでは、遠位ストッパ部材(36)上の潤滑性コーティング(308)が近位薬剤チャンバ(40)に面し、遠位ストッパ部材(36)の内面上の雌ねじは遠位薬剤チャンバ(42)に面している。一方、近位ストッパ部材(32)は、典型的な向きで注射器本体(34)内に配置されており、その潤滑性コーティング(306)は近位薬剤チャンバ(40)に面し、その雌ねじはプランジャアセンブリ(44)に面している。近位および遠位ストッパ部材(32、36)の各雌ねじは取り付け用に構成されている。 通常、雌ねじはプランジャアセンブリの取り付けに使用される。しかしながら、本明細書に記載の二室式安全射出システムは、追加の構成要素を取り付けて性能を最適化する雌ねじの利点を利用している。潤滑性コーティング(306、308)はPTFEであってもよく、これは(例えばブチルゴムでできた)近位および遠位ストッパ部材(32、36)を近位薬剤チャンバ内の第1の薬剤成分(40)から保護する、またはその逆の流体バリアとして作用する。
【0072】
遠位ストッパブッシュ(310)は、遠位ストッパブッシュ(310)上の雄ねじ(312)と、遠位ストッパ部材(36)上の遠位方向に向いている雌ねじとの間の相互作用を利用して、遠位ストッパ部材(36)に固定されている。遠位ストッパブッシュ(310)は、
図12A乃至12Dに単独で示されている。
図11Eと12Dに示されているように、遠位ストッパブッシュ(310)は、遠位ストッパブッシュ(310)が、二室式安全射出システムに取り付けられている遠位ストッパ部材(36)に取り付けたときに遠位側を向いている整列漏斗(314)を画定している。遠位側を向いている整列漏斗(314)は、二室式安全注射システムを組み立てるときに、ニードルの近位端(50)を定位置に案内するように構成されている。
図11Eおよび12Dにも示されているように、遠位ストッパブッシュ(310)はまた、二室式安全注射システムを輸送構成に組み立てるときに、ニードルの近位端(50)を受けるように構成された収容空間(316)を画定している。この収容空間(316)は、少なくとも1つの近位開口部(270)を近位薬剤チャンバ(40)中に露出させて液体を移動させる、ニードルの近位端(50)が突き刺さるように構成されている、ゴム製の遠位ストッパブッシュ(310)の「貫通」部分に隣接して配置されている。組み立て中、遠位側を向いている整列漏斗(314)が、ニードル近位端(50)を収容空間(316)内に案内し、これが、二室式安全注射システムの輸送および保管中にニードル近位端(50)を固定する。整列漏斗(314)はまた、液体移送および/またはニードルの後退中に、ニードルの近位端(50)を案内して、ニードルの後退のためにニードルの近位端(50)がプランジャロッドの漏斗に確実に入るようにしている(本明細書に引用として組み込まれている米国特許出願第62/ 416,102号)。遠位ストッパブッシング(310)はまた、遠位ストッパ部材(36)の遠位側を向いた面に対してシールするブッシングフランジ(318)を画定して、二室式安全注射システムを移送し保管する間に、遠位薬剤チャンバ(42)内の第2薬剤成分と遠位ストッパ部材(36)の間の接触を制限する。ブッシュフランジ(318)はまた、加圧下での遠位ストッパーブッシュ(310)と遠位ストッパ部材(36)との間の液体の漏れを防ぐ。代替的な実施形態では、遠位ストッパブッシュ(310)と遠位ストッパ部材(36)が、「貫通」セクションと漏斗形状が成形された、中実ゴムストッパ部材に一体化されている。潤滑コーティングは遠位端、遠位ストッパ部材(36)および/または整列漏斗(314)の近位側および/または周方向側面に行うことができる。
【0073】
図12Eおよび
図12Fは、上述の遠位ストッパブッシュ(310)と同様の特徴を有する別の実施形態によるガイドディスク(320)を示す。ガイドディスク(320)も、収容空間(316 ')に向かって近位側にテーパのついた整列漏斗(314')を画定している。ガイドディスク(320)は、半径方向ばねアーム(321)を画定しており、これは注射器本体(34)の内面と接合して、遠位ストッパ部材(36)を貫通してニードルの近位端(50)をプランジャロッドアッセンブリ(44)内に案内する間に、ガイドディスク(320)をセンタリングして、ニードルのラッチを解除および/または後退させる(本明細書中に参考として援用されている、米国特許出願第62 / 416,102号に記載されている)。
図12Eに示すように、ガイドディスク(320)は、従来の方法で(すなわち、遠位方向を向いて)設置された遠位ストッパ部材(36 ')と共に使用することができる。
【0074】
近位ストッパねじ(322)は、近位ストッパねじ(322)上の雄ねじ(324)と近位ストッパ部材(32)上の近位側を向いた雌ねじとの間の相互作用を利用して、近位ストッパ部材(32)に固定されている。近位ストッパねじ(322)は、
図13A乃至13Cに単独で示されている。
図11Eおよび13Cに示されるように、近位ストッパねじ(322)は整列漏斗(326)およびシール空間(328)を画定している。シール空間(328)は、最も近位側の開口部(270)と中間の開口部(266)との間の距離より大きいか、あるいはこの距離と同じ長さを有する(
図6Nおよび6O参照)。
【0075】
整列漏斗(326)は、ニードル近位端(50)が遠位および近位ストッパ部材(36、32)の両方を貫通した後、ニードル近位端(50)をシール空間(328)内に案内するように構成されている。早期の注射段階の間、中間開口部(266)は遠位薬剤チャンバ(42)内に残り、移送パイプ(46)を通ってプランジャアセンブリ(44)への流体経路を提供する。近位ストッパねじ(322)のシール空間(328)は、液体(例えば、混合薬剤溶液(272))が移送パイプ(46)を通って中間開口部(266)内を逆行して近位部から開口部(270)の外へ出るのを防止するように構成されている。近位ストッパねじ(322)は、シールを維持する近位隔壁(330)を具えており、中間開口部(266)が近位ストッパねじ(322)内に配置されそれによってシールされるまで、逆行する液体の移動を防止する。近位ストッパねじ(322)は、硬質プラスチック部分(雄ねじ(324)を具える)と、整列漏斗(326)および封止空間(328)を画定しているゴムまたはエラストマ部分とで作ることができ、近位隔壁(330)を具える。
【0076】
例示的な二室式安全カートリッジシステム
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、同じようなサイズのカートリッジ(134)と注射器本体(34)を示す。カートリッジ(134)と注射器本体(34)は両方ともガラス製であってもよい。注射器本体(34)は注射システムで使用するように構成されているが、カートリッジ(134)は物質(例えば薬剤)を保存するように構成されている。これによって、カートリッジ(134)と注射器本体(34)とにいくつかの違いが生じる。例えば、注射器本体(34)の近位端は従来の一体型注射器フランジ(38)を具えているが、カートリッジ(134)の近位端は一体型フランジを具えていない。さらに、注射器本体(34)の遠位端が、ニードル連結アセンブリ(606)のスナップ係合ができるように構成されたルアー型テーパを具えているが、カートリッジ(134)の遠位端は、従来のカートリッジシール(図示せず)を固定するように構成されたフランジ(102)を具える。従来のカートリッジシールは、弾性的に変形可能なクロージャ(例えば、アルミニウムのリング)によって少なくとも部分的に囲まれた弾性的に圧縮可能なシール部材を具える。
図14Aおよび14Bに示すように、カートリッジ(134)の遠位側開口部は、注射器本体(34)の対応する遠位開口部よりもかなり大きい。これは、上記のように凍結乾燥用により多くの気流を提供する。
【0077】
図14Cおよび14Dは、注射器本体(34)の代わりにカートリッジ(134)の周囲に構築された二室式安全注射システムを示す。注射器本体(34)に代えてカートリッジ(134)を使用すると、二室式安全注射システムに2つの変化が生じる。第1は、小径フランジ(33)が注射器フランジに連結されるのではなくカートリッジ(134)に接着または圧入されることである。
【0078】
カートリッジ(134)の周りに構築された二室式安全注射システムの第2の相違点は、
図14C乃至16Hに示すように、ニードル連結アセンブリ(606)のカートリッジ(134)の遠位端への接続が含まれる。
図14Eに示すように、ニードル連結アセンブリ(606)は、コレット(104)とスリーブ(106)を用いてカートリッジ(134)の遠位端に連結されている。コレット(104)は、ニードル連結アセンブリ(606)のベースプレート上に溶接することができる。
図15Aおよび15Bは、システム組み立て工程を示す図であり、ニードル連結アセンブリ(606)のニードル遠位部分(50)が遠位薬剤チャンバ(42)内に挿入されている。
図15Bおよび
図15Dに示すように、コレット(104)は、カートリッジ(134)の遠位端のフランジ(102)の上を越えて近位側に部分的に通過するように拡張可能である。
図15Dおよび15Eに示すように、コレット(104)の近位端(108)がフランジ(102)の近位側を通過した後、スリーブ(106)をコレット(104)上で近位側にスライドさせてコレット(104)が開いてフランジ(102)から解放されることを防ぐことができる。 フランジ(102)上のコレット(104)を覆うスリーブ(106)を固定することで、ニードル連結アセンブリ(606)をカートリッジ(134)の遠位端に固定する。
【0079】
図16A乃至16Cは、また、カートリッジ(134)の遠位端への連結アセンブリ(606)の取り付けを示す。
図16Aおよび
図16Bもニードル近位端(50)を示しており、二室式安全注射システムの組み立て中に、ニードル近位端を(50)案内して、受け入れ空間(316)内に案内する遠位ストッパブッシュ(310)上の整列漏斗(314)を示す。
図16Dは、小径フランジ(33)のカートリッジ(134)の近位端への取り付けと、プランジャアセンブリ(44)の挿入と、近位ストッパ部材(32)のをカートリッジ(134)への固定を示す。
図16Dに示すカートリッジ(134)を有する二室式安全注射システムは、輸送、保管、保存、および使用(すなわち、混合、注射、及び自動取り出し)の準備ができている。以下の工程は、
図7A乃至7Pにおいて注射器を具える二室式安全注射システムについて示したものと全く同一である。
【0080】
図16Gと16Hは、スリーブ(106G)がない場合(
図16G)とある場合(
図16H)のコレット(104)とフランジ(102)との間の界面を詳細に示す。
図16Gと
図16Hは、ニードル連結アセンブリ(606)内に配置され、カートリッジ(134)の遠位端の開口部の内径とニードルスパインアセンブリ(76)の外径との間の環状空間を流体密封するように構成されたニードルシール(110)を示す。ニードルシール(110)は、ゴムのような弾性的に変形可能な材料から作ることができる。ニードルシール(110)はまた、ニードルシール(110)の内径内に延在するグランド(112)対を具える。このグランド(112)は、ニードルスパインアセンブリ(76)を密封する2つのOリングのように機能する。
【0081】
カートリッジ(134)の周囲に構築された二室式安全注射システムの様々な特徴は、自動注射器またはペン型注射器と共に使用することもできる。これらのシステムのカートリッジには、注射器ベースのシステムで採用されているものと同様の一体型のガラス製またはプラスチック製のフィンガーフランジを組み込んでもよい。
【0082】
例示的なルアーコネクタ付二室式安全注射システム
図17A乃至19Dは、遠位端にルアーコネクタ(114)を有する様々な二室式安全注射システムを示す。
図17A乃至17Hに示すように、カートリッジ(134)と共に使用するために、内ねじを有する雌型ルアーロックコネクタ(114)を、
図14Aに示し上述したようなコレット(104)とスリーブ(106)に取り付けて、ニードルハブ(116)を形成する。コレット(104)とスリーブ(106)は、ニードル連結アセンブリ(606)をカートリッジ(134)に取り付けについて上述したように、
図14A乃至
図16Hに示すカートリッジ(134)の遠位端にニードルハブ(116)の取り付けるに使用できる。雌型ルアーロックコネクタ(114)の遠位端は、取り外し可能なルアーキャップ(118)で一時的に封止される。ニードルハブ(116)がカートリッジ(134)に取り付けられると、ルアーキャップ(118)を取り外すことができ、ルアーニードル(120)を、
図17Eに示すように雌型ルアーロックコネクタ(114)を、ニードルハブ(116)と二室式安全注射システムに取り付けることができる。
【0083】
ルアーニードル(120)をニードルハブ(116)と二室式安全注射システムに取り付けた後は、このシステムは輸送、保存、および使用する準備(すなわち、混合注射および自動後退)ができており、
図7A乃至7Pの注射器を備えた二室式安全注射システムについて示したものと全く同一のステップを行う。
図7A乃至7Pに示したものと同様の混合、注射および後退のステップが、
図17A乃至17Hの、雌型ルアーロックコネクタ(114)を有する二室式安全注射システムについて示されている。
【0084】
雌型ルアーロックコネクタ(114)と交換可能なルアーニードル(120)を使用すると、さらに問題が生じる。ルアーニードル(120)の近位端(122)は、移送パイプ(46)に接続され、ルアーニードル(120)は、ニードルハブ(116)上の雌型ルアーロックコネクタに接続されなければならない。ルアーニードル(120)の取り付け中、ニードルカバー部材(63)は、ルアーニードル(120)をニードルハブ(116)内に案内し、それによってルアーニードル(120)の近位端(122)が移送パイプ(46)に整列し、ルアーニードル(120)と移送パイプ(46)との接続性を向上させる。ニードルカバー部材の案内は、米国特許出願第14/696,342に記載されている。これは、本明細書に引用により組み込まれている。
図17Jと17K、および
図18C乃至
図18Fは、ルアーニードル(120)と移送パイプ(46)との間の接続を示す。これらの図に見られるように、ルアーニードル(120)上の外側にねじ山が付いた雄ルアーのロックコネクタ(124)は、近位端(122)は、この間の接続を確実にするために、ルアーニードル(120)の近位端(122)を移送パイプ(46)に案内する。ルアーロックコネクタ(114、124)のねじ山は、気密圧入またはスナップ嵌合のためにルアーニードル(120)の近位端(122)を移送パイプ(46)に押し込む。移送パイプ(46)の遠位端は、一又はそれ以上の片持ちラッチ部材(616)と相互作用して、取り付け中に移送パイプがカートリッジ(134)内に近位方向に押し込まれるのを防止するように構成したラッチ溝(111)も具えている。
【0085】
図19A乃至19Dは、遠位端に雌型ルアーロックコネクタ(114)を有する二室式安全注射システムを、混合(ルアーキャップ(118)有または無)と、ルアーニードルなしの注射に使用している実施形態を示す。コネクタ(114)は、ルアーテーパ、またはルアースリップでもあり、またはその他の流体コネクタであってもよい。
図19Dに示すように、二室式安全注射システムは、IVパイプおよびIVバッグに接続されているものなど、任意のルアーロックアクセスポート(130)に接続することができる。このような実施形態では、鋭利なニードルがないので後退機構は必要ないため、二室式安全注射システムは後退しない。この場合、移送パイプ(46)が、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への液体の移送を可能にし、次いで、混合した薬剤(272)をIVパイプまたはその他の注射システムへの注射できる。
【0086】
図17A乃至
図19Dに示すルアーコネクタを具える二室式安全注射システムはカートリッジを含むが、ルアーコネクタは注射器および他の二室式安全注射システムと共に使用することもできる。
【0087】
金属感受性医薬品用の例示的な安全注射システム
多くの注射剤(例えば、医薬品)は、ニードルに見られるような金属との接触による保管中の劣化に敏感である。
図20A乃至20Dは、保管中にそのような敏感な医薬品の金属への露出を最小限に抑えるようにした、事前充填した二室式安全注射システムの使用を示す。例えば、二室式安全注射システム用の移送構成を示す、
図20Aに示すように、敏感な薬品(132)をシステム内に予め充填して近位薬剤チャンバ(40)内に保管することができる。したがって、敏感な薬品(132)は、輸送および保管中に、近位および遠位ストッパ部材(32、36)上の注射器本体(34)のガラスと、親水性または潤滑性コーティング(例えば、PTFE)に露出されるのみである。遠位薬剤チャンバ(42)は、 ニードル近位端(50)を具えるのみであり、注射剤を含まない。実際、遠位ストッパ部材(36)は敏感な薬剤(132)を、敏感である金属ニードルの近位端(50)から離す。
【0088】
注射の直前に、ユーザはプランジャ操作インターフェース(128)に圧力を加え、それによって近位および遠位ストッパ部材(32、36)と、それらの間に含まれる敏感な薬剤(132)を遠位側に押す。ニードル近位端(50)は、遠位ストッパ部材(36)が注射器本体(34)の遠位端に位置するときに、
図20Bに示すように、遠位ストッパ部材(36)のすぐ近位に位置する単一の開口部を有するように構成されている。したがって、二室式安全注射システムは、
図20Bに示すように注射する準備ができている。
図20Bに示される構成から、プランジャ操作インターフェース(128)へのユーザの更なる圧力が、
図20Cに示すように、ニードルの遠位端(48)を通って敏感な薬剤(132)を注射し、近位の薬剤チャンバ(42)をつぶす。
図20C乃至20Dに移動すると、本明細書に引用として組み込まれている米国特許出願第14/696,342号および第62/416,102号に記載されているように、ニードルスパインアセンブリ(76)が注射器本体(34)内および少なくとも部分的にプランジャアセンブリ(44)内に引き込まれる。したがって、敏感な薬品(132)がニードルスパインアセンブリ(76)の金属にさらされる時間は、注射を完了するのにかかる時間に最小化される。
【0089】
図20A乃至20Dに示す二室式安全注射システムは、注射器と共に使用するように構成されているが、同様のシステムを敏感な薬を含むカートリッジと共に使用するように構成することができる。
図20A乃至20Dに示されている二室式安全注射システムは近位薬剤チャンバ(40)からの直接注射を具えるが、
図22A乃至22Dに示すように、その他のシステムは、注射前の、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への敏感な薬剤の移動を具えている。
【0090】
ニードルラッチ部材
図21A乃至21Dは、注射が完了する前のニードルスパインアセンブリ(76)(移送パイプ(46)を含む)の近位方向への移動を防止する、移送パイプ(46)の遠位端上のラッチ溝(111)とニードルラッチ部材(612)との間の相互作用を示す。
【0091】
図21Aは、その上にラッチ溝(111)が形成され、中に遠位ニードル端部(48)の近位端が挿入された移送パイプ(46)を示す。一実施形態では、上述したように、遠位ニードル端部(48)の近位端が、ルアーニードルの近位端であってもよい。移送パイプ(46)は、ラッチ部材(612)および可動ブロック部材(614)と相互作用するように構成されたネックダウンまたは半径方向縮小ラッチ溝(111)を有しており、システムの組み立ておよび使用中(例えば、混合や注射)に、移送パイプ(46)を含むニードルスパインアッセンブリ(76)が、注射器本体(34)に対して定位置に固定されたままであるが、プランジャアッセンブリを小径フランジ(33-例えば、
図7N参照)に対して完全に挿入した後(すなわち、注射器本体34の遠位薬剤チャンバ42内に収容される薬剤を完全放出するくらいのときまたはその後)は、ニードルスパインアセンブリ(76)はプランジャの前進によって遠位方向に力を受け、可動ブロック部材(614)を遠位ハウジング部分(610)に対して前進させ、ラッチ部材(612)の複数(2つを図示)の片持ち式ラッチ部材(616)が可動ブロック部材(614)によって邪魔にならないように押され、ニードルスパインアセンブリ(76)(すなわちニードルの遠位端(48)、移送パイプ(46)、および近位端(50))を後退させることができる。それによって、ニードルの遠位端(48)をプランジャアセンブリ(44)内に安全に配置する。代替的に、ニードルの遠位端(48)は、遠位ハウジング部分(610)の外面の下の位置に引っ込められ、使用者から鋭利な先端を安全に保護することができる。換言すると、片持ち式ラッチ部材(616)は、プランジャを完全に挿入した時に、可動ブロック部材(614)によってそれらが邪魔にならないように押されるまで、注射およびニードル/注射器アセンブリの間、ニードルの遠位端(48)の位置を保持する (
図21D参照)。その後、ニードルは、本明細書に引用により組み込まれている米国特許出願第14/696,342および62/416,102に記載されているように、自在に引き抜かれる。
【0092】
可動ブロック部材(614)はより小さい遠位部分(617)とより大きい近位部分(618)を具えており、ニードルスパインアセンブリ(76)のラッチを解除するのに必要な力を増やすようにしている。大きい方の近位部分(618)は、ラッチ(612)の内径(624)と干渉するブロック外径(622)寸法を作り出すように構成され、可動ブロックをスライドさせる力を増やして、ニードルを外す力を大きくしている。
【0093】
片持ち式ラッチ部材(616)に加わるトルクを減少させ、それによってラッチ解除に必要な力を増やす。
【0094】
真空アシスト二室式安全注射システム
図23乃至34は、
図6A乃至10Bに示したものと同様の真空アシスト二室式安全注射システムの様々な態様を示す。二室式安全注射システムは、その中に配置された近位および遠位ストッパ部材(32、36)を有する従来の既製のプレフィルド注射器本体(34)を有する。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、注射器本体(34)と共に、近位および遠位の薬剤チャンバ(40、42)を画定している。近位および遠位ストッパ部材(32、36)は、近位薬剤チャンバ(40)の近位端および遠位端を閉塞する。遠位ストッパ部材(36)は、遠位薬剤チャンバ(42)の近位端を閉塞する。二室式安全注射システムは、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への第1の薬剤成分の移送と、注射器本体(34)に対するプランジャアッセンブリの遠位側へ連続して挿入した遠位薬剤チャンバ(42)からの混合/組み合わせ薬剤の排出とを、使用者による様々な程度に制御する。プランジャアセンブリは、近位ストッパ部材(32)、プランジャハウジング部材(69)、およびプランジャ操作インターフェース(128)を具える。近位薬剤チャンバ(40)内に配置された第1の薬剤成分は、水性または油性の薬剤溶液、ゲルなどの液体、あるいは遠位薬剤チャンバ(42)内の第2の薬剤成分と混合する希釈剤である。遠位薬剤チャンバ(42)内の第2の薬剤成分は、粉末、ミクロスフェア、エマルジョン、凍結乾燥またはフリーズドライなど、または固形薬のようなケーキといった、乾燥形態の薬剤である。遠位側薬剤チャンバ(42)内の第2の薬剤成分はまた、近位側薬剤チャンバ(40)からの第1の薬剤成分と混合する液体であってもよい。
【0095】
上述したように、二室式安全注射システムの近位側および遠位側ストッパ部材(32、36)は、適時に近位側ニードル端部(50)が突き刺さって、薬剤の移動を支援するように構成されている。
図23は、遠位ニードル端部(48)を機械的に離隔するためのニードルカバー(63)を適所に有する使用前のアセンブリを示す。ニードルカバー(63)を取り外して、アセンブリを患者へ注射できるようにする。いくつかの実施形態(図示せず)では、ニードルカバー部材(63)が通気口(図示せず)を具えており、汚染物質が注射器本体(34)に入るのを防ぎつつ、薬剤成分の移動および混合から生じる圧力を注射器本体(34)の内側から逃がすことができる。しかしながら、そのような通気ニードルカバー部材は必ずしも望ましいものではない。
【0096】
第1薬剤成分が加圧下で近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)に移動すると、通気することなく、遠位薬剤チャンバ(42)内に圧力が生じる。遠位薬剤チャンバ(42)内に圧力が生じると、注射前に(例えば、ニードルの遠位端(48)を通って)液体(例えば、混合薬剤)が遠位薬剤チャンバ(42)から放出される。
【0097】
したがって、
図23に示す真空補助二室式安全注射システムは、近位薬剤チャンバ(40)から液体を移送する前に、遠位医療室(42)内を部分真空(例えば、0.1ATMまたは90%真空)にする。部分真空は、近位薬剤チャンバ(40)からの液体の移動を支援する。例えば、移送パイプ(46)の一部が近位ストッパ部材(32)を通って押し込まれて、近位開口部(270、
図29参照)が近位薬剤チャンバ(40)内に配置された後、遠位薬剤チャンバ(42)内の部分真空が、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)内に液体を引き込む。部分真空は、プランジャアセンブリを介して近位ストッパ部材(32)に加えなければならない遠位方向の力の量を減らして、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)に液体を移送する。液体の移送も、遠位薬剤チャンバ(42)内の真空を少なくとも部分的に解放する。
【0098】
図24に示すように、遠位薬剤チャンバ(42)内の部分真空は 、遠位ストッパ部材(36)に力(「Fv 」)を生み、この力は二室式安全注射システムを移送・保管・予混合状態に維持するために一時的に抵抗を受ける必要がある。遠位ストッパ部材(36)上の遠位方向の力(Fv)は、ほぼ、近位薬剤チャンバ(40)内の圧力と、遠位薬剤チャンバ(42)内の圧力に遠位ストッパ部材(36)の面積を掛けたものとの差である。一実施形態では、
近位薬剤チャンバ(40)内の圧力=1ATM=14.7psi
遠位薬剤チャンバ(42)内の圧力=0.1気圧=0.15psi
標準3ccストッパの先端面の面積=0.09in
2
遠位ストッパ部材(36)にかかる力(Fv)=0.09(14.7-0.15)=
1. 31ポンド
ハープーン結合インターフェース(図示せず)による穿刺に対する遠位ストッパ部材(36)の抵抗は、1.31 ポンド の力(Fv)に打ち勝つのに十分である。しかしながら、より鋭いハープーン結合インターフェースまたは、より穿刺抵抗が小さい遠位ストッパ部材(36)では、遠位薬剤チャンバ(42)内の部分真空は、ハープーン結合インターフェースによる遠位ストッパ部材(36)の時期尚早の穿刺や、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への液体の時期尚早の移送をもたらすことがある。
【0099】
図25および
図26は、近位ゲート(332)を具える遠位ストッパブッシュ(310)を示す図である。遠位ストッパブッシュ(310)は、遠位ストッパ部材(36)の遠位端にねじ込むように構成されている。近位ゲート(332)は、それぞればね要素(336)によって互いに対して付勢される可動アーム(334)対を具える。このように、近位ゲート(332)は2つの構成を有する。すなわち、ハープーン結合インターフェースが近位ゲート(332)を通過することができない閉鎖構成と;ハープーン結合インターフェースが近位ゲート(332)を通過することができる開放構成である。解放構成では、可動アーム(334)は互いから離れるような力を受ける(例えば、以下に示すように、ハープーン結合インターフェースと遠位ストッパ部材(36)との相対移動によってゲートを開く)。
【0100】
二重チャンバ注射システムが移送/保管/予混合状態(
図23、24、27、および28を参照)にあるとき、ゲート(332)は閉鎖状態にある。
図27および
図28に示すように、閉鎖部材(322)が、ハープーン結合インターフェースが遠位ストッパ部材(36)に接触するのを防止するため、閉鎖ゲートは、遠位ストッパ部材(36)を貫通することなく、遠位薬剤チャンバ(42)内の部分真空によって発生した力(Fv )をハープーン結合インターフェースおよびニードルスパインアセンブリ(76)に伝達する。ハープーン結合インターフェース(89、
図28参照)は、閉鎖ゲート(322)と干渉する近位肩部(90)を具え、ハープーン結合インターフェース(89)がゲートを通過しないようにする。ハープーン結合インターフェース(89)は、 2017年11月1日に出願された、代理人整理番号CM20015の米国特許出願「安全な注射器のためのシステムおよび方法」に記載されているような、中空3D矢じり形状を有する。この出願は参照により本明細書に組み込まれている。
【0101】
遠位方向の十分な力がプランジャアセンブリに加えられた後、このプランジャに加えられた遠位方向の力が、遠位薬剤チャンバ内(42)内の部分真空から遠位ストッパ部材(36)にかかる力(Fv )と共に、ゲート(332)のアーム(334)内のばね要素(336)の付勢力に打ち勝って、ゲート(332)を閉構成から開構成にする。次いで、
図29に示すように、ハープーン結合インターフェース(89)が遠位ストッパ部材(36)を部分的に貫通し、続いて移送パイプ(46)を貫通する。移送パイプ(46)の外径は、ハープーン結合インターフェース(89)の遠位端よりも小さいため、ハープーン結合インターフェース(89)の近位端が通過した後、ゲート(332)が閉じる。
【0102】
遠位ストッパ部材(36)を通るニードルスパインアセンブリ(76)の移動は、次に、ニードルスパインアセンブリ(76)のニードル接合部材(83)に形成された移送パイプ(46)よりも大きい外径を有する遠位肩部(92)によって一時的に停止する。遠位肩部(92)は閉じたゲート(322)を通過せず、それによってニードルスパインアセンブリ(76)と遠位ストッパ部材(36)を
図29に示す位置に保持する。この位置で移送パイプ(46)が遠位ストッパ部材(36)を跨ぎ、そこを液体が移動できるようにする。遠位側薬剤チャンバ(42)内の部分真空および遠位方向の力がプランジャアセンブリに加わり、液体を近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)に引き寄せたり押したりする。遠位肩部(92)と閉鎖ゲート(322)との間の機械的な干渉が、液体移送中の遠位ストッパ部材(36)の動きを最小にする。
【0103】
図30は、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への液体移送が実質的に完了した後の二室式安全注射システムの構成を示す。近位ストッパ部材(32)は、ハープーン結合インターフェース(89、
図29参照)と移送パイプ(46、
図29参照)の開口部を密封し、液体移送を停止する。遠位薬剤チャンバ(42)内の部分真空は、液体移送後に遠位薬剤チャンバ(42)内に空間を提供して、これらの成分を攪拌することによってユーザが第1および第2の薬剤成分を混合できるようにする。
【0104】
図31は、遠位肩部(92、
図29参照)と閉鎖ゲート(322、
図322参照)との間の機械的干渉に打ち勝つのに十分な遠位方向の力がプランジャアセンブリに加わった後(すなわち、ゲート(322)を開くことによって)の二室式安全注射システムの構成を示す。遠位および近位ストッパ部材(36、32)が遠位肩部(92、
図29参照)および閉鎖ゲート(322、
図29参照)によって遠位方向に移動することがもはや妨げられなくなった後、遠位および近位ストッパ部材(36、32)を移動させることによって、部分真空がこの空間を潰す。プランジャアセンブリに加えられた遠位方向の力もまた、遠位側薬剤チャンバ(42)内の空間を潰すのを支援する(
図30および31を比較されたい)。
【0105】
部分的真空が遠位薬剤チャンバ(42)内の空間を潰した後、遠位薬剤チャンバが注射の前にパージする必要がない小さな気泡を含む。したがって、真空補助二室式安全注射システムは、他の注射システムとは異なり、パージすることなく機能する。したがって、本明細書に記載の真空補助二重チャンバ安全注射システムは、パージすることなく、自動注射器、ペン、および他の「再使用可能」または「使い捨て」のハウジングインターフェースと共に使用することができる。
【0106】
図32は、ニードルラッチ部材(612)がニードルスパインアセンブリ(76)から外れて、ハープーン結合インターフェース(89)が、上述したように、ニードル保持機構に固定された後の二室式安全注射システムの構成を示す。明確にするために、エネルギー貯蔵部材は
図32から省略している。
【0107】
図33は、引き込み機構がトリガされて、上述したように、ニードル遠位端の鋭い端部(34)がニードルハブ内の安全な位置になるまで、注射器本体(34)に対して近位側にニードルスパインアセンブリ(76)を後退させるためた後の、二重チャンバ安全注射システムの構成を示す。明確にするために、エネルギー貯蔵部材は
図33から省略した。
【0108】
図34は、別の実施形態による近位ゲート(332)を具える遠位ストッパブッシュ(310)を示す図である。
図34の遠位ストッパブッシュ(310)と
図25乃至28の遠位ストッパブッシュ(310)の違いは、近位ゲート(332)の設計である。
図34に示す近位ゲート(332)では、遠位肩部(92)が可動アーム(334)を近位方向に押すと、可動アーム(334)対がそれぞれの自己付勢ヒンジ(338)の周りを回転する。可動アーム(334)に対する遠位肩部(92)の力が、アームを互いにより接近させ、それによって移送パイプ(46)を可動アーム(334)に固定する。これにより、移送パイプ(46)は液体移送に最適な位置に固定される。固定位置にある移送パイプ(46)の位置は、自己付勢ヒンジ(338)の軸方向長さを変えることができ、可動アーム(334)から移送パイプ(46)にかかる力を調整することができる。液体移送が完了した後、プランジャアセンブリに対する遠位方向への大きくなった力が、遠位肩部(92)と閉鎖ゲート(322)との間の機械的干渉に打ち勝って、注射が可能になる。
【0109】
図23乃至33に示され、本明細書に記載されている真空補助二室式安全注射システムは、遠位薬剤チャンバ(42)内に引き込むことと、液体移送により遠位薬剤チャンバ(42)内の圧力上昇を最小にすることによって、近位薬剤チャンバ(40)から遠位薬剤チャンバ(42)への液体の移送を容易にする。真空補助二室式安全注射システムはまた、近位ゲート(332)を有する遠位ストッパブッシュ(310)を具えており、遠位薬剤チャンバ(42)内の部分真空によって引き起こされる遠位ストッパ部材(36)の時期尚早の移動を防止している。
【0110】
本発明の様々な例示的実施形態が本明細書に記載されている。これらの実施例は非限定的な意味で参照する。これらの実施例は、本発明のより広い適用可能な態様を説明するために提供されている。本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく記載された本発明に対して様々な変更を加えることができ、均等物を代用することができる。さらに、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセス行為またはステップを本発明の目的、精神または範囲に適合させるために多くの修正を加えることができる。さらに、当業者には明らかなように、本明細書に記載され図示された変形例はそれぞれ、本発明の精神、範囲から逸脱することなく他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離するまたは組み合わすことができる個別の構成要素および特徴を有する。このような修正はすべて、本開示に関連する特許請求の範囲内にあることを意図している。
【0111】
対象の診断または介入処置を実施するために記載されたいずれの装置も、そのような介入を実行する際に使用するパッケージ化された組み合わせで提供できる。これらの供給「キット」は、使用のための説明書をさらに具えており、このような目的のために一般的に使用されるような、滅菌トレイまたは容器に包装することができる。
【0112】
本発明は、本発明の装置を使用して実行することができる方法を含む。この方法は、そのような適切な装置を提供する行為を含む。このような提供は、エンドユーザによって実行される。換言すると、「提供する」行為は、エンドユーザが本方法において必要な装置を提供するために単に取得、アクセス、接近、位置付け、設定、起動、電源投入またはその他の行為を必要とするだけである。本明細書に列挙された方法は、列挙された事象の順序と同様に、論理的に可能である列挙された事象の任意の順序で実施することができる。
【0113】
本発明の例示的な態様は、材料の選択および製造に関する詳細と共に上述されている。本発明のその他の詳細に関しては、上記で参照した特許および刊行物、ならびに当業者によって一般的に知られている、あるいは認識されている事項に関連して認識することができる。例えば、1つ以上の潤滑性コーティング(例えば、ポリビニルピロリドン系組成物などの親水性ポリマー、テトラフルオロエチレンなどのフルオロポリマー、PTFE、親水性ゲルまたはシリコーン)を、必要に応じて、例えば可動結合部品の比較的大きなインターフェース面のような装置の様々な部分に使用して、このような対象物の器具の他の部分または近くの組織構造に対する低摩擦操作や前進を容易にすることは当業者には自明である。一般的にまたは論理的に使用されるような追加の行為という意味で、本発明の方法に基づく態様に関して同じことが当てはまる。
【0114】
さらに、本発明は、様々な特徴を任意に組み込んでいるいくつかの実施例を参照して説明したが、本発明は、本発明の各変形例を意図して説明したあるいは表示したものに限定されない。上述した本発明には様々な変更を加えることができ、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、均等物(本明細書に列挙されているかどうかにかかわらず)を代用することができる。さらに、ある範囲の値が提供されている場合、その範囲の上限と下限と、その記載された範囲内の任意の介在値、またはその範囲にある介在値の間のあらゆる介在値が本発明に包含されると理解される。
【0115】
また、記載された本発明の変形例の任意の特徴は、独立して、または本明細書に記載された特徴のうちの任意の1つまたは複数と組み合わせて説明し、特許を請求することが意図されている。単数形の項目への言及は、複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および本明細書に関連する特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」、および「the」は、特記しない限り複数の指示対象を含む。換言すると、冠詞の使用は、上記の説明ならびに本開示に関連する特許請求の範囲における主題項目の「少なくとも1つ」でありうる。そのような特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草できることにさらに留意されたい。この記述は、クレーム要素の列挙、または「否定的な」制限の使用に関連して「単独で」、「のみ」などのような排他的用語の使用の先行詞として使用できることを意図している。
【0116】
このような排他的な専門用語を使用することなく、本開示に関連する特許請求の範囲における「具える」との用語は、あらゆる追加の要素の包含が、そのような特許請求の範囲において所与の数の要素が列挙されているかどうか、または特徴の追加が、そのような特許請求の範囲に記載されている要素の性質を変換すると見なすことができるかどうかにかかわらず、可能であることを意味する。本明細書で具体的に定義されている場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、請求の有効性を維持しながら、可能な限り広く一般に理解される意味として用いられる。
【0117】
本発明の範囲は、提供された例および/または本明細書に限定されるべきではなく、むしろ本開示に関連する特許請求の範囲の文言の範囲によってのみ限定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品を混合して注射するシステムにおいて:
近位開口部と、その遠位端の遠位ニードルインターフェースを画定する、円筒形の注射器本体と;
円筒形の前記注射器本体に配置された近位および遠位ストッパ部材であって、前記近位および遠位ストッパ部材の間に近位薬剤チャンバを形成し、及び前記遠位ストッパ部材と円筒形の前記注射器本体の遠位端との間に遠位薬剤チャンバを形成する、近位及び遠位ストッパ部材と;
プランジャ内部を画定し、円筒形の前記注射器本体に対して前記近位ストッパ部材を挿入するように構成されたプランジャ部材であって、
前記プランジャ内部に配置されたニードル保持機構と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材と、
前記プランジャ内部に配置されたエネルギー貯蔵部材ラッチ部材と、
を具えるプランジャ部材と;
円筒形の前記注射器本体の前記遠位ニードルインターフェースに連結されたニードルハブアセンブリであって、
ニードル近位端構造を有するニードルと;
ハブと;
前記ニードルを前記ハブに連結するように構成されたニードルラッチ部材と;
を具えるニードルハブアッセンブリと;を具え、
前記近位および遠位薬剤チャンバのそれぞれの第1および第2のサイズが、円筒形の前記注射器本体に対する前記近位および遠位ストッパ部材の移動によって変更可能であり、
円筒形の前記注射器本体に対して前記プランジャ部材を挿入したときに、前記ニードルが前記プランジャ内部に少なくとも部分的に格納されて、前記エネルギー貯蔵部材ラッチ部材がラッチ状態からラッチ解除状態に変わり、
前記遠位ストッパ部材が、その遠位端に配置された漏斗であって、前記漏斗の遠位端の内径が前記漏斗の近位端の内径よりも大きくなるように、近位方向にテーパが付いている漏斗を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ニードルが、少なくとも前記遠位ストッパ部材を完全に貫通して、前記プランジャ内部に引き込まれるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記近位薬剤チャンバおよび遠位薬剤チャンバが、患者に注射する前に互いに混合される薬剤の第1および第2の成分をそれぞれ収容していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが:
前記ニードル近位端構造が前記遠位薬剤チャンバ内に配置されている輸送構成と;
前記ニードル近位端構造が少なくとも部分的に前記遠位ストッパ部材を貫通し、少なくとも部分的に前記近位薬剤チャンバ内に配置されている移送構成と;
前記近位及び遠位ストッパ部材とが互いに接触することによって、前記第1の薬剤成分を前記近位薬剤チャンバから前記遠位薬剤チャンバに移送し、前記第1の薬剤成分を前記遠位薬剤チャンバ内の第2の薬剤成分と混合する混合構成と;
を具えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ニードルが:
遠位端開口部と;
前記システムが前記輸送構成、前記移送構成、および前記混合構成にあるときに、前記遠位薬剤チャンバに配置される中央開口部と;
前記システムが前記移送構成にあるときに、前記近位薬剤チャンバに配置される近位開口部と;
を具えることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ニードルがさらに複数の近位開口部を具え、前記近位開口部がこれらの複数の近位開口部のうちの1つである、請求項5に記載のシステムにおいて:
前記複数の近位開口部の少なくともいくつかが、前記システムが前記移送構成にあるときに、前記近位薬剤チャンバに配置され;
前記複数の近位開口部の少なくともいくつかが、前記システムが前記混合構成にあるときに、前記近位ストッパ部材によって閉塞される;
ことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記近位ストッパ部材が、前記システムが前記混合構成にあるときに前記複数の近位開口部の少なくともいくつかを閉塞するように構成されたプラグを具えることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プラグの長さが、前記複数の近位開口部のうち最も近位側の開口部と、前記複数の近位開口部のうちの最も遠位側の開口部との間の距離よりも長いことを特徴とする、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
円筒形の前記注射器本体が、前記システムが前記混合構成にあるときに、前記遠位ストッパ部材の遠位端に隣接するように構成された位置表示器を具えることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記プランジャ部材が、前記システムが前記混合構成にあるときに、円筒形の前記注射器本体に対する前記プランジャ部材の近位方向の移動を防止するように、選択的に前記円筒形の注射器本体に連結するように構成された保持クリップを具えることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記保持クリップが、円形の前記注射器本体に選択的に連結されたときに可聴信号を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記近位および遠位ストッパ部材のそれぞれが、互いに対向する面を有し、
前記近位ストッパ部材の対向する面は、遠位方向を向いており、
前記遠位ストッパ部材の対向する面は、近位方向を向いており、
前記近位および遠位ストッパ部材が、互いに対向する面にそれぞれ第1および第2のポリマーコーティングを有しており、前記近位薬剤チャンバが、円筒形の前記注射器本体と前記第1および第2のポリマーコーティングによって画定されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記遠位薬剤チャンバが部分真空を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記遠位ストッパ部材が、近位ゲートであって、前記ニードル近位端構造が前記近位ゲートを通過することができない閉構成と、前記ニードル近位端構造が前記近位ゲートを通過できる開構成とを有する近位ゲートを具えることを特徴とする、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記近位ゲートが、ばね要素対に動作可能に連結された可動アーム対を具え、
前記ばね要素対が、前記閉構成にある前記近位ゲートを付勢することを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ニードル近位端構造が、前記閉構成では前記近位ゲートを通過することはできないが、前記開構成では前記近位ゲートを通過することができる近位肩部を具えることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ニードルが、前記閉構成では前記近位ゲートを通過することはできないが、前記開構成では前記近位ゲートを通過することができる遠位肩部を具え、当該遠位肩部が前記近位肩部の遠位にあることを特徴とする、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記近位ゲートが、自己付勢ヒンジ対に動作可能に連結された可動アーム対を具えることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記漏斗は、前記ニードル近位端構造を受容し、前記遠位ストッパ部材と同軸に前記ニードルが位置合わせされるように案内するよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【外国語明細書】