(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031793
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】腸管前処置のための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/42 20170101AFI20220215BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20220215BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220215BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20220215BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220215BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220215BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220215BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220215BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220215BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220215BHJP
A61K 31/77 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
A61K47/42
A61K36/185
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/12
A61K47/22
A61K47/02
A61K31/77
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191351
(22)【出願日】2021-11-25
(62)【分割の表示】P 2019173861の分割
【原出願日】2012-12-07
(31)【優先権主張番号】61/568,131
(32)【優先日】2011-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514141592
【氏名又は名称】エムエスエム イノベーションズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ゴールリック、アダム
(72)【発明者】
【氏名】チフマン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オームステッド、メロディ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールリック、スティーブン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】診断の、外科的な、または治療の処置前の患者の胃腸管の洗浄を容易にする方法に使用する組成物を提供する。
【解決手段】患者の胃腸管を洗浄する胃腸管前処理組成物の塩味を軽減する味修正物質含有組成物であって、前記味修正物質含有組成物のpHは約1~約6.9であり、または約1~約6.9に調節され、ミラクリン等の物質を含有し、患者に経口投与される、味修正物質含有組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胃腸管を洗浄する胃腸管前処理組成物の塩味を軽減する味修正物質含有組成物で
あって、
前記胃腸管前処理組成物のpHは約1~約6.9であり、または約1~約6.9に調節
され、
前記胃腸管前処理組成物は、前記味修正物質が前記患者に提供された後で、または提供
されたときに、前記患者に経口投与される、味修正物質含有組成物。
【請求項2】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管が結腸であり、及び前記胃
腸管前処理組成物が腸前処理溶液である、味修正物質含有組成物。
【請求項3】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記患者に対して診察の、治療の、及
び/または外科的な処置を実施する前に、前記胃腸管は洗浄される、味修正物質含有組成
物。
【請求項4】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管は内視鏡検査の前に洗浄さ
れる、味修正物質含有組成物。
【請求項5】
請求項4記載の味修正物質含有組成物において、前記内視鏡検査が、大腸内視鏡検査ま
たはS状結腸鏡検査である、味修正物質含有組成物。
【請求項6】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、バリウム注腸検査、カプセル内視鏡検
査、仮想結腸内視鏡検査、結腸手術、または胃腸管手術の前に、前記胃腸管は洗浄される
、味修正物質含有組成物。
【請求項7】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記味修正物質含有組成物が、ミラク
リン、ソーマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、クルクリン、ネオ
クリン、及びそれらの混合物から成る群から選択される物質を含む、味修正物質含有組成
物。
【請求項8】
請求項7記載の味修正物質含有組成物において、前記ミラクリンが、ミラクルフルーツ
、ミラクルフルーツ果肉、ミラクルフルーツ果粒、ミラクルベリー、ミラクルベリー抽出
物、ミラクルフルーツ錠剤、ミラクルベリー錠剤、または遺伝子改変生物により産生され
たミラクリンである、味修正物質含有組成物。
【請求項9】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記味修正物質含有組成物が、カプセ
ル剤、錠剤、丸薬、粒剤、散剤、小丸剤、固体混合物、溶液、分散体、乳剤、ペースト剤
、エキス剤、または天然源からの単離物の形態で提供される、味修正物質含有組成物。
【請求項10】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記味修正物質含有組成物が、前記胃
腸管前処理組成物が投与される約1分~約1時間前に前記患者に提供される、味修正物質
含有組成物。
【請求項11】
前記胃腸管前処理組成物の塩味が少なくとも約20%減少される、請求項1記載の味修
正物質含有組成物。
【請求項12】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物のpHが、前
記患者に味修正物質含有組成物を提供する前または後に測定される、味修正物質含有組成
物。
【請求項13】
前記pHが約4~約6.4である、請求項1記載の味修正物質含有組成物。
【請求項14】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物のpHが、ク
エン酸、酢酸、アスコルビン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、ギ酸、フマル酸、マレイ
ン酸、またはそれらの混合物によって調節される、味修正物質含有組成物。
【請求項15】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物のpHが、水
酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、二酸化炭素、及
びそれらの混合物の群から選択される化合物によって調節される、味修正物質含有組成物
。
【請求項16】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物が、カリウム
塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの混合物を有する、味
修正物質含有組成物。
【請求項17】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物が、少なくと
も1つのリン酸ナトリウムを有する、味修正物質含有組成物。
【請求項18】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物が、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、及び重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、硫酸ナトリウム
、またはそれらの混合物を有する、味修正物質含有組成物。
【請求項19】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物が溶液であり
、且つ前記胃腸管前処理組成物の容積が約0.1リットル~約5リットルの範囲にわたる
、味修正物質含有組成物。
【請求項20】
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記胃腸管前処理組成物がポリエチレ
ングリコール(PEG)を有する、味修正物質含有組成物。
【請求項21】
患者の胃腸管を洗浄する胃腸管前処理組成物の塩味を軽減する味修正物質含有組成物を
製造するための味修正物質の使用であって、
前記胃腸管前処理組成物のpHは約1~約6.9であり、または約1~約6.9に調節
され、
前記胃腸管前処理組成物は、前記味修正物質が前記患者に提供された後で、または提供
されたときに、前記患者に経口投与される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、米国仮出願第61/568,131号(2011年12月7日出願)に対す
る優先権を主張し、その仮出願全体が本参照により本出願に組み込まれるものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、診断の、外科的な、または治療の処置の前に患者の胃腸管を洗浄するための
方法に関する。特に、本発明は、胃腸管前処理組成物を快い味にする。
【背景技術】
【0003】
大腸がんは、世界中の男女両方において、三番目に最もありふれたがんである。大腸が
んの早期発見は、治癒の可能性を大きく向上させる。大腸内視鏡検査は、大腸がんスクリ
ーニングのための至適基準として広く認識されている。Rex et al., Col
orectal cancer prevention 2000:Screening
recommendations of the American College
of Gastroenterology. Am. J. Gastroenter
ol. 2000;95:868-877。大腸内視鏡検査は、多くのその他の胃腸病理
を診断するのにもまた頻繁に用いられる。
【0004】
大腸内視鏡検査の有効性にもかかわらず、患者の間ではコンプライアンスがしばしば問
題点となる。それは主に、患者が大容量の不快な味の溶液を飲むことを要求される腸の前
処理処置のためである。大腸内視鏡検査が適切に実施されるためには、結腸は固形物のな
い状態でなければいけない。従って、大腸内視鏡検査を受ける前に、患者は腸を空にする
ための腸前処理溶液を飲み込む必要がある。その製剤は、一般に、大量のポリエチレング
リコール及び電解質を含有する(例えば、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び/ま
たは塩化カリウム)。腸を洗浄するためには、大量(例えば、4リットル)の、この塩辛
く不快な味の溶液が経口摂取されなければならない。その腸の前処理処置は、大腸内視鏡
検査の受診者から大変不愉快としばしば評されている。米国特許公開第20090053
304号。
【0005】
不十分な前処理は、不完全な処置全体の最大で三分の一の原因であり、また検査の最大
10%を不可能にし、さらにポリープ及び腺腫の発見率に悪影響を及ぼす。Techno
logy Status Evaluation Report: Colonosco
py Preparation, Gastrointestinal Endosco
py, 2009, 69 (7):1201-1209。結腸の適切な洗浄の重要性ゆ
え、患者コンプライアンスの一要因としての溶液の嗜好性に、更なる焦点があてられるよ
うになってきた。The Prep Is Worse Than The Proce
dure, Harvard Health Newsletters, Jan. 1
, 2010。
【0006】
理想的な腸の前処理は、安全で、有効で、かつ無視できる程度の不快感を伴う患者にと
って許容できるものである。他の前処理溶液に比べより安全でより有効であるため、ポリ
エチレングリコール(PEG)溶液は、大腸内視鏡検査のためのいわゆる「至適基準」と
して用いられてきた。しかしながら、PEG溶液は患者が良く我慢できるにもかかわらず
、患者の5%~15%は、不快な味及び/または大きな容量ゆえに、前処理を完了しない
。RH Hawes et al., Consensus Document on
Bowel Preparation before Colonoscopy, Ga
strointestinal Endoscopy, 2006, 63(7): 8
94-909.香味料の添加により腸の前処理溶液をより快い味にするよう、努力がなさ
れてきた。例えば、PEG溶液は、チェリー、シトラスベリー、レモンライム、オレンジ
、及びパイナップルなどの複数の風味が入手できる。HalfLytely(登録商標)
及びNuLYTELY(登録商標)などの胃腸管前処理溶液からは硫酸塩が除去され、そ
の結果、塩味が減少し、鋭い「腐った卵」臭が減少した。これらの溶液の味を改善するた
めには、水、ジンジャーエール、Gatorade、CrystalLite、及び炭水
化物電解質溶液もまた用いられてきた。しかしながら香味料のパッケージは、塩味及び総
合的な味という点では、嗜好性を著しくは変化させない。さらに、風味が改善されること
は必ずしも許容度が改善されることと同等ではない。実際に、香味添加物が加えられる場
合、製剤のモル浸透圧濃度を変えること、または、爆発性ガスに代謝したり若しくは吸収
される水及び塩の量を変えたりしうる基質を製剤に加えることを避けるために、特別な注
意が払われなければいけない。RH Hawes et al., Consensus
Document on Bowel Preparation before Co
lonoscopy, Gastrointestinal Endoscopy, 2
006, 63(7):894-909。
【0007】
従って、改善された許容度及び軽減された有害作用により有効な洗浄を実現する、快い
味の腸の前処理組成物の開発の必要性がなおも存在する。
【0008】
ミラクリンは、西アフリカのガーナ原産の植物ミラクルフルーツ(Richadell
a dulcifica、 またはSynepalum dulcificum)に由来
する糖タンパク質である。ミラクリンは、それ自身は甘くないが、砂糖または人工甘味料
を加えることなく食物の酸味を甘い味がするように修正する効果を有する。人がそのベリ
ーの果肉を食べた後、または、人の舌の上でミラクリンの凍結乾燥された抽出物が溶解さ
れた後は、レモン及びライムなどの酸味のある物質が甘い味がする。この甘味効果は、最
大1から2時間、またはそれ以上持続しうる。
【0009】
ミラクリンは、甘味受容体を砂糖及び他の甘味物質に対してのみではなく酸に対して更
に敏感にすることによって味の知覚を修正する。RH Cagan, Chemosti
mulatory Protein:A New Type of Taste Sti
mulus, Science, 181(94):32-5(Jul, 6, 197
3)、Ravi Kant, Sweet Proteins - Potential
Replacement for Artificial Low Calorie
Sweetners, Nutrition Journal,2005,4:5。ミラ
クリンは、塩辛い味物質を含む混合物において甘い味を引き起こすのにもまた有効である
。Capitanio et al., Mixing Taste Illusion
s: The Effects of Miraculin on Binary an
d Trinary Mixtures, Journal of Sensory S
tudies, 26 (2011) 54-61。しかしながら、ミラクルフルーツは
酸味のある食品を甘い味がするようにしたが、塩味の度合いなどの他の風味をわずかに高
めたとも報告された。Miracle Fruit Research at Dulc
i Berry Website,2012を参照。
【0010】
本発明は、胃腸管前処理組成物を快い味にするために、例えばミラクリンまたはミラク
ルベリーを用いる方法を提供する。本発明の効用は、結果として腸製剤全部の摂取及びよ
りきれいな結腸粘膜を生じる、より良い患者コンプライアンスを有することと予期される
。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の工程を有する、患者の胃腸管を洗浄するための方法を規定する。(a
)塩味を有する胃腸管前処理組成物のpHを測定し、また必要ならそのpHを約3から約
6.4の範囲になるように調節する工程、(b)患者に味修正物質を提供する工程、及び
(c)その胃腸管前処理組成物を患者に経口投与する工程であって、味修正物質が提供さ
れなかった場合の胃腸管前処理組成物の塩味と比較して、胃腸管調節組成物の塩味が少な
くとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、または少なくとも約70%
軽減されている工程。胃腸管前処理組成物のpHを測定する工程は、患者に味修正物質を
提供する工程の前または後に実施されうる。望ましいpHは、約4から約6.4の範囲に
わたりうる。望ましいpHは、約4.5から約5の範囲にわたりうる。特定の実施形態に
おいては、望ましいpHは4.8である。
【0012】
例えば、本発明は腸(例えば、結腸)を洗浄するための方法を提供する。本願の胃腸管
前処理組成物は、腸前処理溶液であっても良い。
【0013】
胃腸管は、患者に対して診断の、治療の、及び/または、外科的な処置を実施する前に
洗浄されうる。例えば、胃腸管は、大腸内視鏡検査またはS状結腸鏡検査などの内視鏡検
査の前に洗浄される。胃腸管は、バリウム注腸検査、カプセル内視鏡、結腸手術、または
胃腸管手術の前に洗浄されうる。
【0014】
味修正物質の非限定的な例は、ソーマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ペン
タジン、クルクリン、ネオクリン、ミラクリン、及びそれらの混合物を含む。味修正物質
は、カプセル剤、錠剤、丸薬、粒剤、散剤、小丸剤、固体混合物、溶液、分散体、乳剤、
ペースト剤、エキス剤、または天然源からの単離物の形態で提供されうる。
【0015】
味修正物質は、ミラクリンなどの酸味修正剤であっても良い。ミラクリンは、ミラクル
フルーツ、ミラクルフルーツの果肉、ミラクルフルーツ粒剤、ミラクルベリー、ミラクル
ベリーエキス剤、ミラクルベリー錠剤、ミラクルフルーツ錠剤、または遺伝子改変生物に
より産生されるミラクリンなどの、あらゆる適切な形態で与えられうる。
【0016】
味修正物質は、胃腸管前処理組成物が投与される約1分から約2時間、5分から約1時
間、約5分から約30分、約1分から約5分、または約10分から約15分前に患者に提
供されうる。
【0017】
胃腸管前処理組成物のpHは、少なくとも無機酸または有機酸により調節されても良い
。例えば、その酸は、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、
ギ酸、フマル酸、マレイン酸、またはそれらの混合物を含むがこれに限定されない。胃腸
管前処理組成物のpHは、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸
ナトリウム、二酸化炭素、またはそれらの混合物によってもまた調節されうる。
【0018】
胃腸管前処理組成物は、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、
またはそれらの混合物を含有しても良い。例えば、胃腸管前処理組成物は、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、及び重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、硫酸ナトリウム、ま
たはそれらの混合物を有する。胃腸管前処理組成物は、少なくとも1つのリン酸ナトリウ
ムを含んでも良い。胃腸管前処理組成物は、少なくとも1つのアルカリ金属(例えば、ナ
トリウム及びカリウム)塩、及び/または少なくとも1つのアルカリ土類金属(例えば、
マグネシウムまたはカルシウム)塩を含有しても良い。
【0019】
胃腸管前処理組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)を有しても良い。胃腸管前
処理組成物は、溶液であっても良い。胃腸管前処理組成物の容積は、約0.1リットルか
ら約5リットル、または約1リットルから約4リットルの範囲にわたっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、ミラクルベリー錠剤あり及びなしの場合の、被験者にとっての腸前 処理溶液の塩味の平均知覚を示すグラフである。
【
図2】
図2は、風味パックの添加及びミラクルフルーツの使用の前に腸前処理溶液 を試飲した後の、患者調査票の例である。
【
図3】
図3は、ミラクルフルーツの使用及び腸前処理溶液への風味パックの添加と ともに腸前処理溶液を試飲した後の、患者調査票の例である。
【
図4】
図4は、前処理後の患者調査票の例(つまり、前処理完了後に完成させるも の)である。
【
図5】
図5は、4人の被験者がミラクルベリー錠剤なしで6つの試飲試料を試飲し た後の、その各試料に対する、3つのカテゴリー(甘味、塩味、及び総合的な嗜好性 )各々における平均評価を表す。
【
図6】
図6は、4人の被験者がミラクルベリー錠剤ありで6つの試飲試料を試飲し た後の、その各試料に対する、3つのカテゴリー(甘味、塩味、及び総合的な嗜好性 )各々における平均評価を表す。
【
図7】
図7は、ミラクルベリー錠剤あり及びなしの場合の、11人の被験者それぞ れの甘味及び総合的な嗜好性の平均知覚を示す、例4のためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、診断の、外科的な、または治療の処置の前に患者の胃腸管を洗浄するための
方法を提供する。本方法は、患者コンプライアンスを、及びそれゆえ前処理の有効性を改
善させうる。特に、本方法は胃腸管前処理組成物を患者が飲みきるのに快い味にする。例
えば、本方法は、大腸内視鏡検査を受ける準備をしている患者にとって、腸前処理溶液が
塩辛い味がするのを著しく軽減する。
【0022】
本発明は、患者の胃腸管を洗浄するための方法を提供する。本方法は、以下の工程を有
する。(a)胃腸管前処理組成物のpHを測定し、また必要ならそのpHを約3から約6
.4の範囲になるように調節する工程(つまり、前処理組成物のpHが、例えば約3から
約6.4または本明細書開示のその他の範囲などの望ましい範囲の外である場合、そのp
Hが調節される必要がある)、(b)患者に味修正物質を提供する工程、及び(c)その
胃腸管前処理組成物を患者に経口投与する工程。
【0023】
本発明はさらに、患者の胃腸管を洗浄するための方法を提供する。本方法は、以下の工
程を有する。(a)塩味を有する胃腸管前処理組成物のpHを測定し、また必要ならその
pHを約3から約6.4の範囲になるように調節する工程(つまり、前処理組成物のpH
が、 例えば約3から約6.4または本明細書開示のその他の範囲などの望ましい範囲の
外である場合、そのpHが調節される必要がある、)、(b)患者に味修正物質を提供す
る工程、及び(c)その胃腸管前処理組成物を患者に経口投与する工程であって、味修正
物質が提供されなかった場合の胃腸管前処理組成物の塩味と比較して、胃腸管調節組成物
の塩味が少なくとも約20%軽減されている工程。胃腸管前処理組成物のpHを測定する
工程は、患者に味修正物質を提供する工程の前または後に実施されうる。
【0024】
味修正物質は、好ましくはミラクリンである。
【0025】
望ましいpH範囲は、約1から約6.9、約2から約6.4、約2.5から約6.4、
約3から約6.4、約4から約6.4、約5から約6.4、約3から約6、約3から約5
.5、または約3から約5でありうる。
【0026】
好ましい実施形態においては、望ましいpH範囲は約4.5から約5の範囲にわたる。
別の好ましい実施形態においては、望ましいpHは約4.8である。
【0027】
本発明の胃腸管前処理組成物は経口投与され、また、食道、胃、並びに、小腸、及び、
盲腸と結腸と直腸とを含む大腸などの腸を含むがこれに限定されない胃腸管のあらゆる部
位を前処理するのに用いられうる。例えば、本方法は、腸を空にするために用いられうる
。
【0028】
本発明の本方法は、診断の、治療の、及び/または、外科的な処置の前に胃腸管を洗浄
するために用いられうる。外科的な処置の非限定的な例は、結腸手術及び胃腸管手術を含
む。診断の処置の非限定的な例は、バリウム注腸検査、カプセル内視鏡、及び大腸内視鏡
検査またはS状結腸鏡検査などの内視鏡検査を含む。大腸内視鏡検査は、従来型の大腸内
視鏡検査または仮想大腸内視鏡検査であっても良い。Heiken et al., V
irtual colonoscopy for colorectal cancer
screening: current status, November 200
5, Cancer Imaging (International Cancer
Imaging Society), 5(Spec No A): S133-S13
9。本発明の本方法は、例えば細菌性またはウィルス性胃腸炎などの急性胃腸感染の治療
において用いられても良い。結腸洗浄は、大腸の手術後の感染を予防するためにもまた有
用である。
【0029】
味修正物質は、胃腸管前処理組成物が投与される、約1分から約3時間、約1分から約
2時間、約5分から約2時間、約5分から約1.5時間、約5分から約1時間、約5分か
ら約45分、約5分から約30分、約5分から約15分、または約10分から約15分前
に患者に投与されうる。
【0030】
本発明は、液体組成物の味を修正するための方法もまた提供する。本方法は、以下の工
程を有する。(a)望ましくない味を有する液体組成物のpHを測定し、また必要ならそ
のpHを約3から約6.4の範囲になるように調節する工程(つまり、液体組成物のpH
が、約3から約6.4の範囲または本明細書開示のその他の望ましいpH範囲の外である
場合)、(b)対象者に味修正物質を提供する工程、及び(c)その液体組成物を対象者
に提供する工程であって、味修正物質が提供されなかった場合の液体組成物の望ましくな
い味と比較して、液体組成物の望ましくない味が少なくとも約20%軽減されている工程
。液体組成物のpHを測定する工程は、対象者に味修正物質を提供する工程の前または後
に実施されうる。
【0031】
液体組成物は、胃腸管前処理組成物、口腔ケア組成物、及び薬学的組成物を含むがこれ
に限られない。
【0032】
対象者(例えば、患者)による1つまたはそれ以上の味の知覚は、適切な調査票を用い
てまたは個人的な聞き取りにより評価されうる。例えば、対象者が胃腸管前処理組成物(
または他の液体組成物)を飲みきった(または試飲した)直後、彼/彼女は調査票を完成
させるように求められる。調査票において対象者は、例えば0から10の尺度(または、
0から100の尺度、0から5の尺度、0から9の尺度など)を用いて、知覚された組成
物の塩味(または他の望ましくない味)の強度を判定するように要求される。対象者は、
「0」は「強度無し」または「最低強度」(つまり、塩味または他の望ましくない味が無
いまたは最低限)を意味するのに対し、「10」(または「100」など)は「最高強度
」の塩味(または他の望ましくない味)を意味する、と指導される。
【0033】
味とは本質的に主観的なものであるので、上記開示の調査票または聞き取りは、同一の
患者または対象者において比較可能な味評価を提供する。望ましくない味(例えば、塩味
)の軽減は、味修正物質が提供された場合の患者の(または対象者の)味評価を、味修正
物質が提供されなかった場合のそれとを比較することにより評価されうる。例えば、味修
正物質なしの場合の味評価がT1、また味修正物質ありの場合の味評価がT2とすれば、
望ましくない味の軽減百分率は、以下のように算出されうる。
(T1-T2)/T1*100%
【0034】
液体組成物の望ましくない味は、味修正物質が提供されなかった場合の液体組成物の望
ましくない味と比較して、少なくとも約20%、少なくとも30%、少なくとも40%、
少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少
なくとも90%、軽減されうる。
【0035】
いくらかの実施形態においては、胃腸管前処理組成物の塩味は、味修正物質が提供され
なかった場合の胃腸管前処理組成物の塩味と比較して、少なくとも約20%、少なくとも
約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも
約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、軽減されうる。
【0036】
1つまたはそれ以上の味は、サーストン尺度を用いても評価されうる。サーストンモデ
ルは、ある連続的な尺度を離散的でおそらく規則正しい反応のカテゴリーに対応づけるこ
と記述するための、潜在変数モデルである。このモデルでは、その反応のカテゴリーそれ
ぞれが、値が他の反応変数とは独立にかつ一定の分散値を伴いながら正規分布から引き抜
かれる潜在変数に対応する。Lawless et al., (1984), Dir
ect and indirect scaling of sensory diff
erences in simple taste and odor mixture
s, J. Food Sci., 49, 44-51。Durlach, et a
l., (1969) Intensity Perception. I. Prel
iminary Theory of Intensity Resolution,
Journal of the Acoustical Society of Ame
rica, 46 (2): 372-383。Dessirier et al.,
1998, Comparison of d‘ values for the 2-
AFC (paired comparison) and 3-AFC discri
mination methods: Thurstonian models, se
quential sensitivity analysis and power,
Food Quality and Preference, 10 (1): 51
-58。Frijter, J.E.R., (1980) Three-stimul
us procedures in olfactory psychophysics
: an experimental comparison of Thurston
e-Ura and three-alternative forced choic
e models of signal detection theory, Per
ception & Psychophysics, 28 (5): 390-7。G
ridgement, N.T., (1970) A Reexamination
of the Two-Stage Triangle Test for the P
erception of Sensory Differences, Journa
l of Food Science, 35 (1)。Frijters, J.E.
R., (1979) The paradox of discriminatory
nondiscriminators resolved, Chemical Se
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l., Taste-odour interactions in sweet ta
ste perception, In: Spillane WJ, editor,
Optimising sweet taste in foods. Cambri
dge (UK): Woodhead Publishing; 2006: 66-
84.
【0037】
本発明においては、他の評価尺度もまた用いられる。それは、強度尺度、just-a
bout-right (JAR)尺度、及び快不快尺度を含むが、これに限らない。強
度尺度においては、強度評価の設問が回答者に、例えばその塩味などの感覚上の属性の強
度を、「低」から「高」までの尺度で評価するように求める。just-about-r
ight尺度においては、just-about-right設問が回答者に、例えばそ
の塩味などの感覚上の属性のレベルが、「高すぎる」、「ちょうど良い」、または「低す
ぎる」かどうかを評価するように求める。Popper et al., The ef
fect of attribute questions on overall l
iking ratings, Food Quality and Preferen
ce, 15 (2004) 853-858。Peryam et al., Adv
anced taste-test method, Food Eng., 1952
, 24:58-61。Lim et al., Derivation and Ev
aluation of a Labeled Hedonic Scale, Che
m. Senses, 34: 739-751, 2009。Gregson, R.
A.M., A Rating-Scale Method for Determin
ing Absolute Taste Thresholds, Journal o
f Food Science, 1962, 27: 376-380。
【0038】
代表的な強度尺度、及び代表的な5段階制JAR尺度が、表1に示される。
【0039】
【0040】
塩味、甘味、嗜好性、または他の味の強度は、直線的尺度上で評価されうる。例えば、
非体系的もしくは体系的な直線的尺度、または他の適切な直線的尺度である。1つの実施
形態においては、評価尺度は、「無し」及び「非常に強い」という端点を有する10cm
(または、あらゆる他の適切な長さ)の視覚的なアナログ尺度である。視覚的なアナログ
尺度で報告されたすべての評価は、被験者により印がつけられた区分の長さを測定するこ
とにより、次いで100段階制の尺度に変換される。Stevenson et al.
, Confusing tastes and smells: how odour
s can influence the perception of sweet
and sour taste? Chem. Senses, 1999, 24:
624-635。
【0041】
本明細書で用いられる「味」という用語は、5種の基本味(つまり、甘い、酸っぱい、
塩辛い、苦い、及びうま味)、並びに、つんとする、アルカリ性の、渋い、ピリっとする
、乾いた、鋭い、涼味のある、温かい、辛い、燃えるような、酸性の、薬味の効いた、刺
激的な、コク味のある、風味のある、ヒリヒリする、及び/または金属質の味などの、他
の味を含むあらゆる味を指す。そのような味は、あらゆる及び全ての味と同時に、あらゆ
る及び全てのあと味を含むべきである。当業者が認識するであろうように、上記リストは
全部を含んだものではない。
【0042】
本明細書で用いられる「味修正物質」または「味修正剤」という用語は、胃腸管前処理
組成物(または液体組成物)を飲みきる間の少なくとも1種の味の知覚を修正することが
できる、あらゆる物質を指す。それらは、味の知覚を修正するように作用し、または味の
特性に影響しうる。「修正する」という用語は、変える、変更する、調節する、減少させ
る、減らす、軽減する、緩和する、制限する、強化する、補充する、または増強すること
を意味する。例えば、酸味修正剤は酸味の知覚を修正しうる。また、塩味修正剤は塩味の
知覚を修正しうる。味修正物質は、それ自身の味を所有しても、またはしなくても良い。
【0043】
味修正物質は、哺乳類の味覚受容細胞及び/または味覚シグナル経路の活性を修正する
ことで機能を果たしうる。具体的には、味は味蕾に位置する感覚細胞を通じて知覚される
。異なるシグナル機構が、塩辛い、酸っぱい、甘い、苦い、及びうま味の基本味を感知す
る。最終的に、これらの基本味の1つとして感知される神経インパルスが、脳において誘
因される。例えば、味修正物質が甘味受容体などの味覚受容体に結合しうる場合がある。
そして、それにより甘味の知覚を修正する。他の実施形態においては、味修正物質が塩味
受容体などの味覚受容体を遮断しても良い。そして、それが塩味の知覚を抑制する。
【0044】
いくらかの実施形態においては、望ましくない味を遮断することは、他の味をより大き
く感知することを可能にする。例えば、味修正物質の添加による知覚される甘味の感知の
増大は、塩味を減少させうる。
【0045】
味の知覚を修正するという味修正物質の効果は、その濃度に依存するかもしれないし、
またはしないかもしれない。味修正物質は、単独で、または他の味修正物質と組み合わせ
て用いられても良い。2つまたはそれ以上の味修正物質が用いられる場合、それらは相加
的または相乗的に作用しうる。
【0046】
個々人間には、味の知覚に違いが存在しうる。例えば、1つの味について1種以上の知
覚が存在するかもしれない。それは、その味が基本味であろうと、他の味であろうと、で
ある。例えば、いくらかの個々人が気がつくことができる、多くの異なる「塩辛い」味が
あるかもしれない。米国特許第6,015,792号。
【0047】
本発明の味修正物質は、甘味修正剤、酸味修正剤、塩味修正剤、苦味修正剤、うま味修
正剤などでありうる。
【0048】
甘味修正剤の非限定的な例は、以下を含む。
【0049】
(a)タンパク質: ソーマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、
クルクリン、ネオクリン、ミラクリン、及び、卵白リゾチーム。
【0050】
(b)ジヒドロカルコン類、ステビア、ステビオシド類、レバウジオシドA、並びに、
ダルコシド及び/またはルブソシドなどの更なるステビオール配糖体、グリチルリチン、
ジヒドロフラベノールなどの水溶性甘味剤。糖アルコール(または、ソルビトール、マン
ニトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、エリスリトール、ガラクチトー
ル、水素化イソマルツロース、ラクチトール、水素化デンプン加水分解物、L-アミノジ
カルボン酸アミノアルケン酸エステルアミド、及びそれらの混合物などの多価アルコール
類)。グルコース、ガラクトース、及びフルクトースなどの、トリオースで始まるアルド
ース及びケトースを含むがこれに限定されない単糖類。スクロース、マルトース、ラクト
ースなどの、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類を含むがこれに限定されない、一般に砂糖
として知られる化合物。ポリデキストロース及びマルトデキストリンを含むがこれに限定
されない、炭水化物及び多糖類。
【0051】
(c)可溶性サッカリン塩、つまりサッカリンのナトリウムまたはカルシウム塩、シク
ラミン酸塩、3,4-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-
2,2-ジオキシドのナトリウム、アンモニウム、またはカルシウム塩、3,4-ジヒド
ロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド(アセス
ルファム-K)のカリウム塩、並びに、サッカリン、1,6-ジクロロ-1,6-ジデオ
キシ-ベータ-D-フルクトフラノシル-4-クロロ-デオキシ-アルファ-D-ガラク
トピラノシド(スクラロース)、6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)
オン2,2-ジオキシド(アセスルファム)、シクロヘキシルスルファミン酸(シクラミ
ン酸)、N-(L-アスパルチル)-N‘(2,2,5,5,テトラメチルシクロペンタ
ノイル)1,1-ジアミノエタン及びその関連化合物の遊離酸の形、グラニジニウム部類
の甘味料、ジヒドロカルコン部類の甘味料、ステビオシド、及びこれらの生理的に許容可
能な塩、並びにこれらの混合物などの水溶性の人工甘味料。
【0052】
(d)L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、
L-アルファアスパルチル-N-(2,2,4,4-テトラメチル-3-チエタニル)-
D-アラニンアミド水和物(アリテーム)、N--[N-(3,3ージメチルブチル)-
L-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(ネオテーム)、L-ア
スパルチル-L-フェニルグリセリン及びL-アスパルチル-L-2,5ージヒドロフェ
ニル-グリセリンのメチルエステル、L-アスパルチル-2,5ージヒドロ-L-フェニ
ルアラニン、L-アスパルチル-L-(1-シクロヘキセン)-アラニン、及びこれらの
混合物などの、L-アスパラギン酸から誘導される甘味料などのジペプチドを基礎とした
甘味料。
【0053】
(e)通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体などの、天然起源の水溶性甘味料から
誘導される水溶性甘味料。例えば、クロロデオキシスクロースまたは例えば製品名称スク
ラロースで知られるクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体などの、クロロデオキシ
糖の誘導体。クロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体
の例は、1-クロロ-1‘-デオキシスクロース、4-クロロ-4-デオキシ-アルファ
-D-ガラクトピラノシル-アルファ-Dフルクトフラノシド、または4-クロロ-4-
デオキシガラクトスクロース、4-クロロ-4-デオキシ-アルファ-D-ガラクトピラ
ノシル-1-クロロ-1-デオキシ-ベータ-D-フルクト--フラノシド、または4,
1’-ジクロロ-4,1’-ジデオキシガラクトスクロース、1’,6’-ジクロロ-1
’,6’-ジデオキシスクロース、4-クロロ-4-デオキシ-アルファ-D-ガラクト
ピラノシル-1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-ベータ-D--フルクトフラノシ
ド、または4,1’,6’-トリクロロ-4,1’,6’-トリデオキシガラクトスクロ
ース。4,6-ジクロロ-4,6-ジデオキシ-アルファ-D-ガラクトピラノシル-6
-クロロ-6-デオキシ-ベータ-D--フルクトフラノシド、または4,6,6’-ト
リクロロ-4,6,6’-トリデオキシガラクトスクロース、6,1’,6’-トリクロ
ロ-6,1’,6’-トリデオキシスクロース、4,6-ジクロロ-4,6-ジデオキシ
-アルファ-D-ガラクト-ピラノシル-1,6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-ベー
タ-D-フルクトフラノシド、または4,6,1’,6’-テトラクロロ-4,6,1’
,6’-テトラデオキシガラクト-スクロース、及び4,6,1’,6’-テトラデオキ
シ-スクロース、並びにこれらの混合物を含むがこれに限られない。
【0054】
味修正物質のさらなる非限定的な例は、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン、
セリゲアインA、ジヒドロクエルセチンー3-アセテート、ペリラルチン、テロスモシド
A15、ペリアンドリンI-V、プテロカリオシド類、シクロカリオシド類、ムクロジオ
シド類、トランス-アネトール、トランス-シンアムアルデヒド、ブリオシド類、ブリオ
ノシド類、ブリオノダルコシド類、カルノシフロシド類、スカンデノシド類、ギペノシド
類、トリロバチン、フロリドジン、ジヒドロフラバノール類、ヘマトキシリン、シアニン
、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド類、ガウジチャウジオシド、モグロ
シド類、ヘルナンダルシン、グリチルレチン酸、モノアンモニウムグリチルリチン酸、リ
コリスグリチルリチン酸、シトラスアウランチウム、アラピリダイン、アラピリダイン(
N-(1-カルボキシエチル)-6-(ヒドロキシメチル)ピリジニウム-3-オール)
分子内塩、ギムネマ酸、シナリン、グルピリダイン、ピリジニウム-ベタイン化合物、ネ
オヘスペリジンジヒドロカルコン、トレハロース、バニラオレオレジン、バニリン、モナ
チン(2-ヒドロキシ-2-(インドール-3-イルメチル)-4-アミノグルタル酸)
及びその誘導体、Lo han guo(「Lo han kuo」とも呼ばれる)、フ
ラネオール(2,5-ジメチル1-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)及び誘導体
(例えば、ホモフラネオール、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-
フラノン)、ホモフロノール(2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-
フラノン、及び5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マ
ルトール及び誘導体(例えば、エチルマルトール)、クマリン及び誘導体、ガンマ-ラク
トン類(例えば、ガンマ-ウンデカラクトン、ガンマ-ノナラクトン)、デルタ-ラクト
ン類(例えば、4-メチルデルタラクトン、マソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベ
ロラクトン)、メチルソルビン酸、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチ
ル-5(または2)-メチル-3(2H)フラノン2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シ
クロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フルーツ
エステル類及びフルーツラクトン類(例えば、酢酸-n-ブチルエステル、酢酸イソアミ
ルエステル、プロピオン酸エチルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸-n-ブチルエス
テル、酪酸イソアミルエステル、3-メチル-酪酸エチルエステル、n-ヘキサン酸エチ
ルエステル、n-ヘキサン酸アリルエステル、n-ヘキサン酸-n-ブチルエステル、n
-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシド酸、エチル-
2-トランス-4-シス-デカジエン酸)、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタ
ノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル
-5-ヘプテン-1-アル、4-ヒドロキシケイ皮酸、4-メトキシ-3-ヒドロキシケ
イ皮酸、3-メトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸、2-ヒドロキシケイ皮酸、バニリン酸
、ホモバニリン酸、バニロマンデリン酸及びフェニルアセトアルデヒド、モノアンモニウ
ムグリチルリチン酸、リコリスグリチルリチン酸、シトラスアウランチウム、アラピリダ
イン、アラピリダイン(N-(1-カルボキシエチル)-6-(ヒドロキシメチル)ピリ
ジニウム-3-オール)分子内塩、ギムネマ酸、グルピリダイン、ピリジニウム-ベタイ
ン化合物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タガトース、トレハロース
、Gタンパク質共役受容体(T2R系及びT1R系)に反応する化合物、2-ヒドロキシ
安息香酸(2-HB)、3-ヒドロキシ安息香酸(3-HB)、4-ヒドロキシ安息香酸
(4-HB)、2,3-ジヒドロキシ安息香酸(2,3-DHB)、2,4-ジヒドロキ
シ安息香酸(2,4-DHB)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(2,5-DHB)、2
,6-ジヒドロキシ安息香酸(2,6-DHB)、3,4-ジヒドロキシ安息香酸(3,
4-DHB)、3,5-ジヒドロキシ安息香酸(3,5-DHB)、2,3,4-トリヒ
ドロキシ安息香酸(2,3,4-THB)、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸(2,
4,6-THB)、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5-THB)、4-
ヒドロキシフェニル酢酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、3-ヒドロキシケイ皮酸、3
-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせを含む。
【0055】
上記の天然起源の甘味料は、抽出物、またはそれらの抽出物の濃縮された分画の形をも
またとりうる。特に、ソーマトコッカス抽出物(Katemfe bush)、ステビア
亜種(特にStevia rebausiana)の抽出物、スウィングル抽出物(Mo
mordicaまたはSiratia grosvenorii、Lo han guo
)、カンゾウ根の抽出物、またグリセルリチア亜種(特にGlycerrhyzia g
labra)、キイチゴ亜種(特にRubus suavissimus)、柑橘類抽出
物、リッピアダルシスの抽出物、バニラ抽出物、サトウダイコン抽出物、サトウキビ葉エ
ッセンス、同様にこれらの抽出物の濃縮分画である。米国特許第7,851,005号。
米国特許公開第20110076239号。Kant, Sweet proteins
- Potential replacement for artificial
low calorie sweetners, Nutrition Journal
2005, 4:5。I. Faus, Recent developments
in the characterization and biotechnolog
ical production of sweet-tasting protein
s, Appl. Microbiol. Biotechnol. 2000, 53
: 145-151。
【0056】
味修正物質は、水溶性(つまり、実質的または完全に水に溶解可能でありうる)、また
は非水溶性(つまり、水において乏しい溶解性を示すまたは溶解性無し)。いくらかの実
施形態においては、味修正物質の放出速度を制御することが望ましいかもしれない。胃腸
管前処理組成物の種類及びその摂取時間応じて、異なる放出速度が望まれるかもしれない
。いくらかの実施形態においては、放出速度は、味修正物質の水における溶解性に基づき
、または味修正物質を含有する組成物の剤形に基づくかもしれない。
【0057】
味修正物質は、単独でまたは組成物の一部として、また、単体形、噴霧乾燥形、散剤、
ビーズ、液体、固体、溶液、乳剤、分散体、被包形、カプセル剤、錠剤、丸剤、粒剤、小
丸剤、固体混合物、ガム、トローチ剤、液相中の分散体、ペースト剤、エキス剤、または
天然源から得られる分画または単離物、及びこれらの混合物を含むがこれに限られない、
当技術分野で周知のあらゆる適切な形態で用いられうる。
【0058】
味修正物質を含有する組成物は、従来の製薬技術に従えば、少なくとも1つの薬剤担体
を有しうる。その担体は、摂取形態に応じて幅広い種類の形態を取りうる。例えば、懸濁
液、エリキシル剤及び溶液などの液体経口製剤については、適切な担体及び添加剤は、水
、グリコール類、油剤、アルコール類、香味剤、防腐剤、着色剤、及び類似物を含む。散
剤、カプセル剤、及び錠剤などの固体経口製剤については、適切な担体及び添加物は、デ
ンプン類、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、粉末化剤、及び類似物を含む。
【0059】
味修正物質は、味修正物質を含有する組成物に対し、約0.01重量%から約100重
量%、約0.1重量%から約90重量%、約1重量%から約80重量%、約5重量%から
約70重量%、約5重量%から約60重量%、約5重量%から約50重量%、約5重量%
から約40重量%、または約5重量%から約30重量%の範囲の量で存在しうる。
【0060】
味修正物質は、対象者の(例えば、患者の)口内に、約5秒から約30分、約10秒か
ら約20分、約15秒から約10分、約30秒から約5分、約1分から約5分、約2分か
ら約10分、または約1分から約3分の間、入れておいて良い。味修正物質を含有する組
成物は、対象者の口内で分解または溶解しうる。味修正物質は、対象者の舌に適用されて
も良い。味修正物質(または味修正物質を含有する組成物)は、また、咀嚼されても良い
。
【0061】
ミラクリンは、甘味修正剤及び酸味修正剤の両方であると考えられうる。本発明におい
ては、ミラクリンは、ミラクルフルーツ、ミラクルフルーツ果肉、ミラクルフルーツ果粒
、ミラクルベリー、ミラクルベリー抽出物、冷凍ミラクルベリー、冷凍ミラクルベリー抽
出物、脱水ミラクルベリー、粉末状のミラクルフルーツ、ミラクルフルーツ錠剤、ミラク
ルフルーツガム、及びミラクルベリーロリポップからであっても良い。ミラクリンは、ま
た、大腸菌、酵母菌、植物(タバコ、レタス、トマトなど)、昆虫細胞、及び哺乳類細胞
を含むがこれに限定されない、いかなる適切な遺伝子改変細胞または生物から産生されて
も良い。
【0062】
ミラクリンは、米国特許公開第20090205068号、米国特許第5,886,1
55号、Theerasil et al., Complete Purificat
ion and Characterization of the Taste-mo
difying Protein, Miracurin, from Miracle
Fruit, J. Biol. Chem. 1988, Vol. 263, N
o. 23: 11536-11539、Chen et al., The Sour
Taste-Modifying Protein (Miraculin), Ty
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4): 445-50、Sun et al., Functional expres
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. 2006, 580 (2): 620-6、Kato et al., Mole
cular Breeding of Tomato Lines for Mass
Production of Miraculin in a Plant Facto
ry. J. Agric. Food Chem. 2010, 58 (17):
9505-10で開示された方法を用いて前処理されうる。
【0063】
本発明の胃腸管前処理組成物は、経口投与され、また食道、胃、並びに、小腸、及び、
盲腸と結腸と直腸とを含む大腸などの腸を含むがこれに限られない、胃腸管のいかなる部
位を前処理するのに用いられても良い。
【0064】
腸洗浄剤、腸洗浄組成物、下剤、瀉下剤、及び洗浄液とも呼ばれる腸前処理組成物は、
腸を迅速に空にするために配合処方され、短期的な使用を意図したものである。腸前処理
組成物は、例えば結腸瀉下薬、及び結腸洗浄組成物を含む。
【0065】
本発明の胃腸管前処理組成物は、等浸透圧性、または高浸透圧性であっても良い。胃腸
管前処理組成物は、1つまたはそれ以上の電解質を含有しうる。胃腸管前処理組成物は、
1つまたはそれ以上の、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、ま
たはこれらの混合物を含むがこれに限定されない、塩を含有しうる。例えば、塩は、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、硫酸ナトリウム
、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物であっても良い。前処理組成物は、少なくと
も1つのアルカリ金属塩、及び/または少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を有しうる
。そのアルカリ金属は、ナトリウム、カリウムなどでありうる。そのアルカリ土類金属は
、マグネシウム、カルシウムなどでありうる。
【0066】
胃腸管前処理組成物は、少なくても1つのリン酸ナトリウムを含有しうる。その組成物
は、一塩基性及び二塩基性種が様々な割合で、リン酸ナトリウムを有していて良い。
【0067】
本発明の胃腸管前処理組成物における塩濃度は、塩の種類、及び他の要素に応じて変化
しうる。例えば、1リットルの前処理組成物は、約0.2gより多い、約0.5gより多
い、約1gより多い、約2gより多い、約3gより多い、約5gより多い、約10gより
少ない、約9gより少ない、約7.5gより少ない、約7gより少ない、約5gより少な
い、約4gより少ない、約2gより少ない、または約1.5gより少ない塩を含有しうる
。
【0068】
胃腸管前処理組成剤は、ポリエチレングリコール(PEG)を有しても良い。PEGは
、いかなる食品グレード、または医薬品グレードのPEGを有しても良い。PEGの平均
分子量は、約900より大きく、約2000より大きく、約2500より大きく、約45
00より小さく、または約3000と約8000の間でも良い。例えば、PEG 400
0またはPEG 3350であっても良い。PEGは、また、より低分子量のPEGポリ
マー(PEG 400など)であっても良い。本発明の組成物において用いられるPEG
は、1つのPEG種、または2つまたはそれ以上の異なるPEG種を有していても良い。
【0069】
本発明の胃腸管前処理組成物におけるPEG濃度は、様々でありうる。本発明の胃腸管
前処理組成物1リットルは、約90gより多い、約100gより多い、約250gより少
ない、約150gより少ない、約140gより少ない、または約125gより少ないPE
Gを含有しうる。例えば、本発明の組成物は、1リットルあたり100gまたは125g
のPEGを有しうる。
【0070】
胃腸管前処理組成物は、約30分から約3日、約1時間から約24時間、約2時間から
約12時間、または約1時間から約4時間にわたる期間をかけて投与されうる。投与期間
は、連続的な期間、または断続的な期間であっても良い。断続的な投与においては、例え
ば約半分などの組成物の一部が、診断の、治療の、または外科的な処置が実施される前の
夕方に投与され、組成物の残りが処置当日に投与されうる。前処理組成物は、処置、要求
される洗浄の度合い、患者の状態(例えば、便秘などの複雑化させる腸の状態の有無)な
どの様々な要素に応じて、診断の、外科的な、または治療の処置当日、及び/またはその
処置の前日(または複数日前)に、1日あたり1回または数回服用されうる。
【0071】
患者は、胃腸管前処理組成物を服用する前に毎回味修正物質を摂取しても良いし、また
はその前処理組成物のある一部を摂取する前のみに味修正物質を摂取しても良い。
【0072】
胃腸管前処理組成物は、液体、または固体でありうる。
【0073】
液体(例えば、溶液)の場合、投与される胃腸管前処理組成物の用量または容積は、治
療される患者に依存することになる。例えば、小さい子供の治療ではより小さい用量また
は容積の前処理溶液が適切で、また大人の患者ではより大きい容積の前処理溶液が適切で
ある。胃腸管前処理組成物が液体の場合は、投与される前処理組成物の容積は、約0.1
リットルから約5リットル、約0.2リットルから約4.5リットル、約0.5リットル
から約4リットル、約1リットルから約4リットル、約1リットルから約3リットル、ま
たは約1.5リットルから約2リットルの範囲にわたりうる。
【0074】
患者は、胃腸前処理組成物の全部を飲みきるよう要求されるかもしれないし、あるいは
、例えば直腸排出液が透明になるまで、その調節組成物を服用するように求められるかも
しれない。
【0075】
胃腸管前処理組成物が溶液の場合、それは例えば、約330mOsmol/kgより高
い、約350mOsmol/kgより高い、約400mOsmol/kgより高い、約4
60mOsmol/kgより高い、約600mOsmol/kgより低い、約550mO
smol/kgより低い、約500mOsmol/kgより低い、または約470mOs
mol/kgより低いなどの、いかなる適切なモル浸透圧濃度も有しうる。
【0076】
胃腸管前処理組成物は、また、乾燥形(例えば、散剤、錠剤、粒状または他の適切な物
理的形態)、または液体形(例えば、シロップ剤、懸濁液、または乳剤)などの濃縮組成
物であっても良い。重量、容積、保管量、及び輸送費の軽減を可能にすると同時に、希釈
された組成物と比較して濃縮物の貯蔵期間を長くすることを可能にするため、完成状態の
組成物の液体成分の大部分は、濃縮物中には存在しない。最終的な投与できる状態の組成
物を調整するときには、濃縮組成物は、水、茶などのあらゆる適切な液体で希釈されうる
。
【0077】
市販の胃腸管前処理組成物の非限定的な例は、Colyte、GoLYTELY、Nu
Lytely、TriLYTE、Half-Lytely、MoviPrep、及びMi
raLax、GlycoLax、Fleet Phospho-soda、Viscol
、OsmoPrep、Fleet、Fleet Enema、Lo-So Prep、G
lycoPrep C、及びMagnesium Citrateを含むがこれに限定さ
れない。米国特許公開第20100196513号、及び第20040170698号。
Technology Status Evaluation Report: Col
onoscopy Preparation, GASTROINTESTINAL E
NDOSCOPY 2009 69(7):1201-1209。
【0078】
本方法は、患者に追加の作用剤を投与することもまた含みうる。例えば、ある臨床応用
における追加的有効性のために、ビサコジルまたはアスコルビン酸、または便通促進の特
性で知られる他の作用剤などの腸刺激剤が、これらの組成物の投与と併せて適切に摂取さ
れても良い。
【0079】
胃腸管前処理組成物は、従来の製薬技術に従えば、少なくても1つの薬剤担体を含有し
うる。その担体は、投与に望ましい製剤形態に応じて幅広い種類の形態を取りうる。例え
ば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液などの液体経口製剤については、適切な担体及び添加
剤は、水、グリコール類、油剤、アルコール類、香味剤、防腐剤、着色剤、及び類似物を
含む。散剤、カプセル剤、及び錠剤などの固体経口製剤については、適切な担体及び添加
物は、デンプン類、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、粉末化剤、及び類似物を含
む。いくつかの実施形態においては、組成物は、抗酸化剤、アミノ酸、カフェイン、乳化
剤、無機物、微量栄養素、植物化合物(植物栄養素)、安定化剤、増粘剤、薬剤、ビタミ
ン類、またはこれらの混合物などの任意の添加剤を含んでも良い。
【0080】
胃腸管前処理溶液(または液体組成物)のpHは、pHメーター、pHセンサー、pH
指示薬、pH試験紙などの使用などの、従来型の検査技術を用いて測定されうる。一定の
実施形態においては、溶液の成分の知識からpHを計算することもまた可能である。
【0081】
胃腸管前処理溶液は、クエン酸、酢酸及びアスコルビン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク
酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、酪酸、グリコン酸、乳酸、シュウ酸、酒
石酸、及びこれらの混合物、または他の容認される食物酢を含むがこれに限定されない、
少なくとも無機酸または有機酸により酸性化されうる。
【0082】
胃腸管前処理溶液のpHは、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重
炭酸ナトリウム、二酸化炭素、及びこれらの混合物を含むがこれに限定されない化合物に
よってもまた、調節されうる。
【0083】
組成物のpHを調節する際、pHは、少なくとも約0.05pH単位 、少なくとも約
0.1pH単位、少なくとも約0.15pH単位、少なくとも約0.2pH単位、少なく
とも約0.3pH単位、少なくとも約0.4pH単位、または少なくとも約0.5pH単
位上げられ、または下げられても良い。
【0084】
本方法は、哺乳類、好ましくはヒトに用いられうる。哺乳類は、霊長類、類人猿類、並
びに、ネコ科またはイヌ科の動物などの家庭用動物、ウシ属、ウマ科、ヤギ属、ヒツジ、
及びブタの動物などだがこれに限られない家畜、ネズミ、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ
、ブタ、イヌ、ネコなどの研究用動物を含むがこれに限られない。
【0085】
本発明を実施するための特定の様相の以下の例は、例証の目的のみのために提供され、
本発明の範囲を如何ようにも限定することを意図するものではない。
【実施例0086】
11人の被験者が試飲実験に参加した。被験者は全員非喫煙者で、味の知覚に知られて
いる異常はなかった。味の知覚を変化させるであろういかなる投薬を受けている被験者も
いなかった。
【0087】
様々な試飲溶液(下記のNo.1-3)が、市販の結腸用製剤NuLytely(Br
aintree Laboratories Inc.)を用いて調整された。NuLy
tely製剤は、パッケージの添付文書に従い、飲料水を用いて混合された。製造業者の
処方情報によると、NuLytely散剤は、ポリエチレングリコール 3350(PE
G-3350)420g、重炭酸ナトリウム5.72g、塩化ナトリウム11.2g、及
び塩化カリウム1.48gを含有する。水を用いて4リットルに容積を合わせると、その
溶液は、31.3mmol/LのPEG-3350、65mmol/Lのナトリウム、5
3mmol/Lの塩素、17mmol/Lの重炭酸、及び5mmol/Lのカリウムを含
有する。試料No.1は、NuLytely製剤のみを含有した。試料No.2は、Nu
Lytely製剤、及びNuLytely散剤に添付の風味パック中の配合成分(製造業
者により提供)を含有した。
【0088】
各試料32オンスが試飲実験当日に調整され、各試料のpHが測定された。試料は、試
飲実験の開始まで冷蔵された。
【0089】
試料のpHは、デジタル式の防水pHメーターHM Digital pH mete
r PH-200を用いて測定された。pHメーターは、General Hydrop
onicsにより作製された標準pH7.0対照溶液を用いて較正した。装置は測定前に
較正した。
【0090】
各試料のpHを、実験開始の5分前に再び測定した。試料調整時からpHに変化はなか
った。溶液は沈殿物を含有していなかった。
【0091】
試飲試料No.3のpHは、市販の風味パックを用いて4.8に調節された。この風味
パックは、無糖のレモネード風味小包Kool-Aid unsweetened so
ft drink mix(Kraft)であった。製造業者の小包添付文書によると、
風味小包中の粉末は、クエン酸、リン酸カルシウム、マルトデキストリン、塩、並びに、
2%より少ない天然風味及び防腐剤を含有した。レモネードの風味パックに加え、市販の
レモン抽出物(McCormik & Co.)1.8mlが、NuLytely製剤混
合物4リットルに添加された。レモン抽出物は、アルコール、水、及びレモン油を含有し
た。全成分が添加された後にpHを再度調べ、pH4.8のままであることが確認された
。
【0092】
No.1: 本来のNulytely製剤で、風味パックなし pH8.0
No.2: Nulytely製剤で、風味パック添加あり pH8.0
No.3: Nulytely製剤で、レモネード粉末及びレモン抽出物添加あり p
H4.8
【0093】
試飲実験
11人の被験者それぞれが試料2オンスを受け取り、それを試飲した。試料No.1か
ら開始し、次いで残りの試料No.2から3と続けた。
【0094】
試飲試料No.3は、ミラクルベリー錠剤とともに試飲された。被験者は、Mberr
y Miracle Fruit Tablet(1回分あたり400mg、My M
Fruit LLCにより流通)1つを与えられた。Mberry錠剤は、ミラクルフル
ーツ粉末、及びトウモロコシデンプンを含有した。パッケージの使用説明書に従い、錠剤
を被験者の舌に置き、5分間かけて口内で溶解させた。各錠剤が完全に溶解した後、被験
者は試飲試料2オンスを与えられた。
【0095】
試飲試料No.1-3のそれぞれについて、被験者が試料を塩味に関して評価した。各
被験者が自身の対照標準として機能した。各試料を評価するために用いられた尺度は、0
から10であった。塩味について、ゼロは最も塩辛くなく、また10は大変塩辛い。
【0096】
被験者は各試料を2回ずつ試飲し、塩味を毎回評価した。全ての評価は、データ収集シ
ートに記録され、他の被験者に見えないようにした。
データシートは11人の被験者全員から回収された。塩味に対する平均評価が計算され
た。表2及び
図1を参照。
【0097】
【0098】
結果
前処理溶液の塩味は、ミラクルベリーの使用後、著しく減少した。