(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022031931
(43)【公開日】2022-02-22
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20220215BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220215BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20220215BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/00 520C
G08B25/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021203101
(22)【出願日】2021-12-15
(62)【分割の表示】P 2018032854の分割
【原出願日】2018-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】菊池 浩生
(72)【発明者】
【氏名】楠見 真希
(57)【要約】
【課題】警報器の設置場所に入ることなく火災検出等のログ情報を簡単且つ容易に収集して利用可能な警報システムを提供する。
【解決手段】階別にグループG1~G4を構成し、グループ内の連動型警報器10間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信する。連動型警報器10は、試験に基づく火災連動信号の出力をログ情報として記憶するログ記憶制御部を備え、グループ間移報装置12-12~12-34は、外部の試験器60から試験信号を受信した場合に、自己のグループの連動型警報器10に試験を指示し、試験器60からログ収集指示信号を受信した場合に、自己のグループの連動型警報器10のログ記憶制御部に記憶されたログ情報を収集して記憶するログ収集部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、前記グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループの警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、前記複数の警報器のいずれかで火災が検出されて火災警報が出力された場合に、火災連動信号を自己のグループの他の警報器及び隣接するグループ間に配置されたグループ間移報装置を介して他のグループの警報器に送信して前記火災警報を出力させる警報システムであって、
前記グループ間移報装置は、外部装置から試験信号を受信した場合に、自己のグループの前記警報器に試験を指示し、当該警報器から当該試験に基づく前記火災連動信号を受信した場合に、ログ情報を生成して記憶するログ収集部を備えたことを特徴とする警報システム。
【請求項2】
複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、前記グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループの警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、前記複数の警報器のいずれかで火災が検出されて火災警報が出力された場合に、火災連動信号を自己のグループの他の警報器及び隣接するグループ間に配置されたグループ間移報装置を介して他のグループの警報器に送信して前記火災警報を出力させる警報システムであって、
前記警報器は、試験に基づく前記火災連動信号の出力をログ情報として記憶するログ記憶制御部を備え、
前記グループ間移報装置は、外部装置から試験信号を受信した場合に、自己のグループの前記警報器に試験を指示し、前記外部装置からログ収集指示信号を受信した場合に、自己のグループの前記警報器に設けられた前記ログ記憶制御部に記憶された前記ログ情報を収集して記憶するログ収集部を備えたことを特徴とする警報システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の警報システムに於いて、
前記ログ収集部は、前記外部装置からログ出力指示信号を受信した場合に、記憶した前記ログ情報を読み出して前記外部装置に出力することを特徴とする警報システム。
【請求項4】
請求項1記載の警報システムに於いて、
前記警報器は、前記試験に基づき前記火災連動信号を出力した場合は、警報に関する出力を行わず、
前記グループ間移報装置は、前記警報器から前記試験に基づく前記火災連動信号を受信した場合に、警報に関する出力を行うことを特徴とする警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検知して警報する複数の警報器をグループ分けにより設置して連動警報を行う警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等における火災を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。例えば、このような住警器にあっては、電池電源で動作し、住警器内に火災を検出するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備え、センサ部の検出信号に基づき火災を検知すると警報部から火災警報音を出力するようにしており、所謂自動火災報知設備のように受信機等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報報知ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0003】
また、複数の住警器間で相互に無線通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる無線連動型の住警器を用いた警報システムも実用化され、普及している。
【0004】
また、火災報知設備の設置義務のない、床面積が300平米未満の特定小規模施設、例えば高齢者や知的障害者の家事支援などを行うグループホーム等に対して、特定小規模施設用自動火災報知設備が導入されている。特定小規模施設用自動火災報知設備は、火災を検出するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備える感知器によって構成され、感知器同士が無線連動することでいずれの感知器で火災を検出した際に施設内の感知器全てが発報して施設全体に火災を報知させるものである。
【0005】
以降、無線連動型の住警器や特定小規模施設用自動火災報知設備に用いられる感知器を連動型警報器と呼称する。
【0006】
このような連動型の警報システムでは、連動型警報器で火災を検出した場合、当該火災を検出した連動元の連動型警報器は、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」といった火災警報音を出力すると共に警報表示用LEDを点灯し、一方、連動先の警報器では例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった火災警報音を出力すると共に警報表示用LEDを点滅するようにしている。
【0007】
しかし、このような従来の無線連動型の警報システムにあっては、ある連動型警報器が他の連動型警報器からの無線信号を受信する際に、同じ通信周波数を使用する複数の無線信号が同時に到来して信号衝突を起こす場合があり、信号衝突の発生頻度は警戒エリアに設置する連動型警報器の台数が増加するほど高くなり、そのため1つの警戒エリアに設置できる連動型警報器の台数が制約される。
【0008】
この問題を解決するため、複数の連動型警報器からなるグループを形成するにあたって、信号衝突の頻度が高くならないよう制限した連動型警報器の最大台数を設定し、このように形成した複数のグループ間に中継器を配置して連動させ、更に、グループ毎に使用する通信周波数を異ならせた警報システムを提案している(特許文献1)。
【0009】
このグループ連動の警報システムにあっては、警戒エリア内で複数のグループを連動させることで全体の連動型警報器の連動台数を増やすことができ、グループが異なると連動型警報器の通信周波数が異なるため、あるグループの連動型警報器に当該グループ内の連動型警報器からの信号と他のグループの連動型警報器からの信号が同時に到来しても、信号衝突は発生せず、信号の送受信を確実に行うことができる。
【0010】
この信号衝突の問題は、無線信号を使用する場合には連動型警報器の親機と子機を区別しないシステムでも、また親機に対し複数の子機を配置する親子方式のシステムでも同様であり、親子方式の場合例えば親機は子機の個別IDを用いて子機を順次呼出し処理しているが、子機の台数が多くなると、信号衝突に伴うリトライ回数増加に起因して全体の通信に時間がかかる。そこで、親機と信号衝突の発生頻度を低減すべく子機を所定の最大台数以下に制限してグループを形成し、各グループの親機に中継機能を持たせて連動し、更に、グループ毎に使用する通信周波数を異ならせた警報システムとする。
【0011】
このため、一般住宅よりも規模が大きく通常の無線連動型の住警器からなる警報システムでは警報器の最大台数の制限により全体をカバーできないが、近年、その活用が期待されている民泊として知られた旅館業法上の簡易宿所営業を行う施設や、特定小規模施設に、グループ連動を行う警報システムを設置することで、信号衝突の問題を回避しつつ施設全体の警報器の連動台数を必要にして十分な数に増やし、実質的に火災報知設備を設置したと同等の火災監視機能を低コストで提供可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011-053751号公報
【特許文献2】特開2011-059997号公報
【特許文献3】特開2018-028841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来のグループ連動を行う警報システムにあっては、複数のグループ間を連動させるために、グループ毎に中継器を配置して移報信号線で接続しており、無線連動型の連動型警報器は市販のものが利用できるが、グループ間を連動させるための中継器を新たに追加しなければならず、民泊施設やグループホーム等は、火災報知設備の設置が法的に義務付けられたビルやマンション等の施設に比べ、その数が少なく、生産数が限られるためにコストが嵩み、普及のネックとなっている。
【0014】
一方、無線連動型の連動型警報器を用いた警報システムにあっては、連動型警報器からの火災連動信号を受信して移報信号を出力する移報アダプタが市販されており、例えば、移報アダプタに火災通報装置を移報信号線により接続し、連動型警報器から火災連動信号を移報アダプタで受信した場合に火災移報信号を火災通報装置に出力して119番に自動通報させること等を可能としている。
【0015】
また、移報アダプタは、テスト送信を可能とするため、移報入力端子を備えており、その結果、連動型警報器との無線通信機能に加え、移報信号の入出力が可能であり、既存の製品であることから、コスト的な問題も少ない。
【0016】
一方、グループ間連動を行う警報システムにあっては、万一、火災が発生した場合や非火災報が出力された場合に、火災原因や非火災要因を調査するためにグループ内の連動型警報器がどのように動作したかを示すログ情報を記憶する機能を設け、必要に応じて試験器等の外部装置により連動型警報器に記憶されているログ情報を読み出して利用することが考えられる。
【0017】
しかしながら、グループ間連動を行う連動型警報器は、例えば客室等の利用者がいる場合には立ち入ることのできない場所に設置されており、連動型警報器に記憶しているログ情報を収集するには手間と時間がかかる問題がある。
【0018】
本発明は、既存の移報アダプタを利用することで、複数の連動型警報器からなる複数のグループ間で火災警報を連動させるシステム構成を簡単且つ低コストで実現可能とする警報システムを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、警報器の設置場所に入ることなく火災検出等のログ情報を簡単且つ容易に収集して利用可能とする警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(第1発明の警報システム)
本発明は、複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループの警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、複数の警報器のいずれかで火災が検出されて火災警報が出力された場合に、火災連動信号を自己のグループの他の警報器及び隣接するグループ間に配置されたグループ間移報装置を介して他のグループの警報器に送信して火災警報を出力させる警報システムであって、
グループ間移報装置は、自己のグループの警報器に試験を指示し、当該警報器から当該試験に基づく火災連動信号を受信した場合に、ログ情報を生成して記憶するログ収集部を備えたことを特徴とする。
【0021】
(第2発明の警報システム)
本発明の別の形態にあっては、複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループの警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、複数の警報器のいずれかで火災が検出されて火災警報が出力された場合に、火災連動信号を自己のグループの他の警報器及び隣接するグループ間に配置されたグループ間移報装置を介して他のグループの警報器に送信して火災警報を出力させる警報システムであって、
警報器は、試験に基づく火災連動信号の出力をログ情報として記憶するログ記憶制御部を備え、
グループ間移報装置は、外部装置から試験信号を受信した場合に、自己のグループの警報器に試験を指示し、外部装置からログ収集指示信号を受信した場合に、自己のグループの警報器に設けられたログ記憶制御部に記憶されたログ情報を収集して記憶するログ収集部を備えたことを特徴とする。
【0022】
(ログ情報の外部出力)
グループ間移報装置に設けられたログ収集部は、外部装置からログ出力指示信号を受信した場合に、記憶したログ情報を読み出して外部装置に出力する。
【0023】
(警報出力)
警報器は、試験に基づき火災連動信号を出力した場合は、警報に関する出力を行わず、
グループ間移報装置は、警報器から試験に基づく火災連動信号を受信した場合に、警報に関する出力を行う。
【発明の効果】
【0024】
(第1発明の基本的な効果)
本発明は、複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループの警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、複数の警報器のいずれかで火災が検出されて火災警報が出力された場合に、火災連動信号を自己のグループの他の警報器及び隣接するグループ間に配置されたグループ間移報装置を介して他のグループの警報器に送信して火災警報を出力させる警報システムであって、グループ間移報装置は、自己のグループの警報器に試験を指示し、当該警報器から当該試験に基づく火災連動信号を受信した場合に、ログ情報を生成して記憶するログ収集部を備えたため、各グループの警報器が簡易宿泊施設の客室等の利用中は立ち入ることのできない場所に設置されていても、グループの警報器のログ情報を収集しているグループ間移報装置は、階段踊り場等の共有スペースに設置されていることから、必要に応じていつでもグループの警報器のログ情報を簡単且つ容易に回収して利用することができる。
【0025】
(第2発明の基本的な効果)
本発明の別の形態にあっては、複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループの警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、複数の警報器のいずれかで火災が検出されて火災警報が出力された場合に、火災連動信号を自己のグループの他の警報器及び隣接するグループ間に配置されたグループ間移報装置を介して他のグループの警報器に送信して火災警報を出力させる警報システムであって、警報器は、試験に基づく火災連動信号の出力をログ情報として記憶するログ記憶制御部を備え、グループ間移報装置は、外部装置から試験信号を受信した場合に、自己のグループの警報器に試験を指示し、外部装置からログ収集指示信号を受信した場合に、自己のグループの警報器に設けられたログ記憶制御部に記憶されたログ情報を収集して記憶するログ収集部を備えたため、ログ情報は立ち入りが制限される場所に設置された警報器に記憶されているが、警報器のログ情報を必要とする場合には、試験器等の外部装置からグループ間移報装置にログ収集指示を行うとグループの警報器に記憶しているログ情報が収集され、グループ間移報装置は、階段踊り場等の共有スペースに設置されてことから、グループの警報器から収集したログ情報を簡単且つ容易に回収して利用することができる。
【0026】
(ログ情報の外部出力による効果)
また、グループ間移報装置に設けられたログ収集部は、通信接続された外部装置からログ出力指示信号を受信した場合に、記憶されたログ情報を読み出して外部装置に出力するようにしたため、試験器等の外部装置を立ち入りの制限がない場所に設置されたグループ間移報装置に通信接続することで、グループの警報器のログ情報を簡単且つ容易に回収して利用することができる。
【0027】
(第1及び第2移報アダプタを備えたグループ間移報装置のログ出力の効果)
また、グループ間移報装置は、自己の一方のグループの第1チャンネル周波数が設定された第1移報アダプタと、自己の他方のグループの第2チャンネル周波数が設定された第2移報アダプタとを備え、第1移報アダプタと第2移報アダプタ何れか一方は、自己のグループの警報器から火災連動信号を受信した際に、第1移報アダプタと第2移報アダプタのうち他方の移報アダプタに火災移報信号を出力して、他方の移報アダプタから火災連動信号を自己のグループの警報器に送信して火災警報出力させ、第1移報アダプタと第2移報アダプタの各々は、ログ収集部を備えたため、前述した第1発明又は第2発明の基本的な効果に加え、警報器との無線通信機能と移報信号の入出力機能を備えた2台のアダプタを組み込んでグループ間移報装置を構成し、このグループ間移報装置をグループ境界等の隣接したグループからの火災連動信号を受信可能な場所に設置することで、あるグループの警報器が火災を検出した場合のグループ内での火災連動警報に加え、グループ間移報装置による火災連動信号の移報により他のグループの警報器の全てから火災連動警報を出力させることができる。
【0028】
また、グループ間移報装置に第1移報アダプタ及び第2移報アダプタとして組み込まれる2台の移報アダプタは、警報器との無線通信機能と移報信号の入出力機能を備えた既存の移報アダプタをそのまま使用することで実現でき、グループ間移報装置の製造が簡単で且つ低コストで実現でき、民泊やグループホーム等の施設に対する特定小規模無線自火報設備として普及を促進可能とする。
【0029】
また、第1移報アダプタ及び第2移報アダプタは、グループ間移報装置に組み込まれていることから、別々に設置して外部配線により移報接続する必要がなく、対象施設における設置場所の選定が1か所で良いことから簡単且つ容易に設置場所を決めることができ、また、相互に外部配線する必要がないことから、設置作業も簡単且つ容易にできる。
【0030】
(第1及び第2移報アダプタの個別ログ出力による効果)
また、第1移報アダプタ又は第2移報アダプタは、外部装置からログ出力指示信号を受信した場合に、記憶しているログ情報を外部装置に出力するようにしたため、グループ間移報装置に対応した隣接する2グループの警報器のログ情報を個別に指定して回収することで利用できる。
【0031】
(第1又は第2移報アダプタの連携したログ出力による効果)
また、第1移報アダプタと第2移報アダプタの何れか一方に通信接続された外部装置からログ出力指示信号を受信した場合、ログ出力指示信号を受信した一方の移報アダプタのログ収集部は、自己が記憶しているログ情報を外部装置に出力すると共に、他の移報アダプタのログ収集部に記憶しているログ情報を読み出して外部装置に出力するようにしたため、第1移報アダプタ又は第2移報アダプタの何れか一方に試験器等の外部装置を通信接続してログ情報を出力させると、外部装置と通信接続された移報アダプタが他方の移報アダプタのログ情報を読み出して外部装置に出力し、このためグループ間移報装置に対応した隣接する2グループの警報器のログ情報を一回のログ出力指示により効率良く回収して利用することができる。
【0032】
(ログ情報の一括出力による効果)
また、警報システムはグループ間移報装置を複数備え、グループ間移報装置の何れかがログ出力指示信号を受信した場合に、グループ間移報装置で通信を行い、ログ出力指示信号を受信したグループ間移報装置から警報システム内の全てのグループのログ情報を出力するようにしたため、全てのグループのログ情報を一回のログ出力指示により効率良く回収して利用することができる。
【0033】
(ログ情報の効果)
また、ログ情報は、警報器の火災検出、警報停止、火災復旧、障害検出を含んでおり、警報器毎に火災検出、警報停止、火災復旧等のログ情報が時系列的に得られることで、火災原因の調査や非火災報の原因調査等に役立てることができる。また、警報器の電池切れ、通信エラー、回路故障といった障害検出のログ情報が得られることで、警報器の障害発生状況が分かり、障害対策や信頼性の向上に役立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】階層構造の建物に配置した警報システムの実施形態を示した説明図
【
図3】グループ間移報装置の第1実施形態を試験器と共に示したブロック図
【
図4】グループ間移報装置に組込まれた移報アダプタ装置の第1実施形態による移報制御動作を示したフローチャート
【
図5】
図4に続く移報制御動作を示したフローチャート
【
図6】連動型警報器の他の実施形態を示したブロック図
【
図7】グループ間移報装置に組込まれた移報アダプタ装置の第2実施形態による移報制御動作を示したフローチャート
【
図8】
図7に続く移報制御動作を示したフローチャート
【
図9】階層構造の建物に配置した警報システムの他の実施形態を示した説明図
【
図10】グループ間移報装置の他の実施形態を示したブロック図
【発明を実施するための形態】
【0035】
[警報システムの概要]
図1は階層構造の建物に配置した警報システムの実施形態を示した説明図である。
図1に示すように、本実施形態の警報システムは、例えば民泊施設等の4階建ての建物11に設置されており、警戒エリアは1F~4Fの階別の警戒エリアであり、階別の警戒エリアの各々に、警報器として機能する例えば5台の無線連動型の連動型警報器10が設置されている。
【0036】
ここで、1F~4Fに設置された5台ずつの連動型警報器10は、建物11の左側に示すように、グループG1,G2,G3,G4を構成しており、グループG1,G2,G3,G4の各々には、異なるチャンネル周波数f1,f2,f3,f4が割り当てられており、各グループG1~G4の連動型警報器10は、自己のグループに割り当てられたチャンネル周波数f1~f4を使用して信号の送受信を行う。
【0037】
グループG1~G4に設けられた連動型警報器10は、火災を検出した場合に連動元を
示す火災警報を出力すると共に、自己のグループ内の他の連動型警報器10に火災連動信号を送信して連動先を示す火災警報を出力させる。また、連動型警報器10は、火災検出が継続している場合、所定周期毎に繰り返し火災連動信号を送信する。
【0038】
更に、連動型警報器10が火災を検出して火災警報を出力し、これに対し利用者が連動型警報器10の設置場所で非火災を確認した場合には、警報停止操作を行うことになるが、この警報停止操作を行うと連動型警報器10は火災警報を停止させると共に、警報停止連動信号を送信し、自己のグループ内の他の連動型警報器からの火災警報を停止させる。
【0039】
建物11の階別の警戒エリアに対応したグループG1~G4の間には、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34が設置される。グループ間移報装置12-12,12-23,12-34は、隣接した階のグループに設けられた両方の連動型警報器10との間で信号の送受信を可能とするため、出入りの制限のない共用スペースとなる例えば各階を結ぶ階段の踊り場の壁面等に設置される。
【0040】
グループ間移報装置12-12,12-23,12-34には、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が組み込まれている。
【0041】
例えば、1階のグループG1と2階のグループG2の間に設置されたグループ間移報装置12-12を例にとると、第1移報アダプタ14には1FのグループG1の連動型警報器10と同じチャンネル周波数f1が設定されており、1階に設置されたグループG1の連動型警報器10との間で火災連動信号を含む各種の信号の送受信を行う。
【0042】
また、第2移報アダプタ16には、2FのグループG2の連動型警報器10と同じチャンネル周波数f2が設定されており、2階に設置されたグループG2の連動型警報器10との間で火災連動信号を含む各種の信号の送受信を行う。
【0043】
グループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16は移報伝送部を備え、第1移報アダプタ14の移報伝送部と第2移報アダプタ16の移報伝送部を内部の伝送路により接続し、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の間で各種の信号やデータの送受信を可能としている。
【0044】
グループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14は、自己のグループG1に属する連動型警報器10からチャンネル周波数f1の火災連動信号を受信した際に、第2移報アダプタ16に火災移報信号を出力する。
【0045】
第1移報アダプタ14からの火災移報信号を入力された第2移報アダプタ16は、チャンネル周波数f2の火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
【0046】
また、グループ間移報装置12-12に組み込まれた第2移報アダプタ16は、自己のグループG2に属する連動型警報器10からチャンネル周波数f2の火災連動信号を受信した際に、第1移報アダプタ14に火災移報信号を出力する。
【0047】
第2移報アダプタ16からの火災移報信号を入力された第1移報アダプタ14は、チャンネル周波数f1の火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
【0048】
また、グループ間移報装置12-12には、ログ収集部の機能が設けられ、自己のグループの連動型警報器10から火災連動信号、警報停止連動信号、火災復旧連動信号、障害
連動信号を含む所定の連動信号を受信した場合に、ログ情報を生成してメモリに記憶している。具体的には、グループ間移報装置12-12に設けられた第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の各々にログ収集部の機能が設けられている。
【0049】
このため第1移報アダプタ14のログ収集部は、自己のグループG1の連動型警報器10から各種の連動信号を受信した場合にログ情報を生成してメモリに記憶し、また、第2移報アダプタ16のログ収集部は、自己のグループG2の連動型警報器10から各種の連動信号を受信した場合にログ情報を生成してメモリに記憶している。
【0050】
また、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16に収集されたログ情報は、外部装置として機能する試験器60により読み出し出力することで回収できる。第1移報アダプタ14のログ収集部は、試験器60からチャンネル周波数f1を使用した無線による通信接続により、グループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のメモリに記憶しているグループG1の連動型警報器10のログ情報を読み出して送信する共に、第2移報アダプタ16に指示し、記憶しているグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出し伝送させ、受信した第2移報アダプタ16で収集されたログ情報を試験器60に送信する。
【0051】
また、第2移報アダプタ16のログ収集部は、外部装置として機能する試験器60からチャンネル周波数f2を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のメモリに記憶しているグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出して送信する共に、第1移報アダプタ14に指示し、記憶しているグループG1の連動型警報器10のログ情報を読み出し伝送させ、受信した第1移報アダプタ14で収集されたログ情報を試験器60に送信する。
【0052】
ここで、試験器60が例えばチャンネル周波数f2を使用したログ出力指示信号を送信した場合、グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16とグループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14の両方で受信されるが、ログ出力指示信号はグループ間移報装置12-12のアドレスを指定していることから、グループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14からログ情報は送信されず、アドレス指定を受けたグループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16のみからログ情報が送信されることになる。
【0053】
また、試験器60は専用装置であっても良いし、スマートフォンや携帯端末等にログ情報の出力用アプリケーションを設けた汎用装置を使用しても良い。
【0054】
このような第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の機能は、グループ間移報装置12-23,12-34についても、使用するチャンネル周波数が相違する以外は同じになる。
【0055】
このため、グループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14にはグループG2のチャンネル周波数f2が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG3のチャンネル周波数f3が設定される。
【0056】
また、グループ間移報装置12-34の第1移報アダプタ14にはグループG3のチャンネル周波数f3が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG4のチャンネル周波数f4が設定される。
【0057】
ここで、グループG1~G4の間の火災連動信号の通信ルートは、例えばグループG1の連動型警報器10で火災を検出した場合を例にとると、グループG1の連動型警報器10、グループ間移報装置12-12、グループG2の連動型警報器10、グループ間移報
装置12-23、グループG3の連動型警報器10、グループ間移報装置12-34及びグループG4の連動型警報器10となる第1ルートと、グループG1の連動型警報器10からグループ間移報装置12-12、12-23、12-34と送られ、グループ間移報装置12-12、12-23、12-34から各グループG2,G3,G4の連動型警報器10に送られる第2ルートがある。
【0058】
図1に示すように、グループ間移報装置12-12、12-23、12-34が階段の踊り場等に配置され、隣接したもの同士での無線による信号の送受信が可能な場合は、第2ルートによる通信が行われる。これに対しグループ間移報装置12-12、12-23、12-34が互いに通信可能エリアから離れている場合には、第1ルートに従った通信となる。また、第1ルートと第2ルートは混在した通信も想定される。
【0059】
[連動型警報器の機能構成]
図2は連動型警報器の機能構成を示したブロック図である。
図2に示すように、連動型警報器10は、連動型警報器制御部18、アンテナ22を備えた通信部20、センサ部24、動作表示灯26、スピーカ28及びテストスイッチ30で構成され、図示しない電池電源で動作する。
【0060】
連動型警報器制御部18は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。
【0061】
通信部20は、初期設定等に基づく連動型警報器制御部18からの指示に基づき例えば400MHz帯の4つのチャンネル周波数f1,f2,f3,f4の内の1つ、例えばチャンネル周波数f1を設定し、同一グループに属する他の連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしている。
【0062】
通信部20としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。もちろん通信部20としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0063】
センサ部24には検煙部が設けられ、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。検煙部以外に、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けても良い。
【0064】
動作表示灯26は、連動型警報器制御部18の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災などの異常を表示する。また、2色LEDや表示色の異なる2つのLEDを設け、連動元の表示と連動先の表示で表示色を異ならせても良い。
【0065】
スピーカ28は、連動型警報器制御部18の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。
【0066】
テストスイッチ30は、点検スイッチとしての機能を兼ねており、スピーカ28の警報音と動作表示灯26の警報表示を行っているときにのみ警報停止指示を入力することができ、通常状態でテストスイッチ30が操作されると機能点検を実施して結果が報知される。
【0067】
連動型警報器制御部18の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。
【0068】
連動型警報器制御部18は、センサ部24に設けた検煙部から煙検出信号に基づいて火災を検出した場合、スピーカ28から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点灯して連動元を示す警報を出力する制御を行う。
【0069】
また、連動型警報器制御部18は、火災検出時に火災連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器に向けて送信させる制御を行う。また、連動型警報器制御部18は、火災検出後に、火災検出状態が継続している場合は、所定の周期毎に火災連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器に向けて繰り返し送信させる制御を行う。
【0070】
また、連動型警報器制御部18は、他の連動型警報器10からのチャンネル周波数f1の火災連動信号を通信部20で受信した場合、スピーカ28から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯26を例えば点滅して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0071】
また、連動型警報器制御部18は、火災警報又は障害警報の出力中にテストスイッチ30の警報停止操作を検出した場合、スピーカ28からの警報音を停止させる警報停止連動信号をグループ内の他の連動型警報器10に送信する制御を行う。
【0072】
また、連動型警報器制御部18は、火災検出後にセンサ部24の信号から火災復旧を検出した場合、連動先を示す火災警報を停止すると共に火災復旧連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器10に向けて送信させて連動先を示す火災警報を停止させる制御を行う。
【0073】
更に、連動型警報器制御部18は、通信テスト、電池電圧の低下による電池切れ監視、回路故障監視を行っており、通信エラー、電池切れ、又は、回路故障を検出すると、スピーカ28から所定の障害警報音を出力させると共に動作表示灯26を点滅して障害警報を出力させ、更に、通信エラー、電池切れ、又は、回路故障を示す障害連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器10に向けて送信させる制御を行う。
【0074】
[グループ間移報装置の第1実施形態]
図3はグループ間移報装置の第1実施形態を試験器と共に示したブロック図であり、
図1の1FのグループG1と2FのグループG2の間に設置されたグループ間移報装置12-12を例にとっているが、他のグループ間移報装置12-23,12-34も同様となる。
【0075】
(グループ間移報装置)
図3に示すように、グループ間移報装置12-12は、1つの装置筐体内に、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16を設けている。第1移報アダプタ14にはグループG1のチャンネル周波数f1が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG2のチャンネル周波数f2が設定されている点で相違するが、それ以外の構成及び機能は、基本的に同じになる。
【0076】
第1移報アダプタ14は、アダプタ制御部32、アンテナ36が接続された通信部34、移報伝送部38、動作表示灯42、スピーカ44、テストスイッチ46で構成され、図示しない電池電源で動作する。第2移報アダプタ16も同様の構成となる。なお、アンテナ36は移報アダプタ筐体内に内蔵されるようにしても良い。
【0077】
グループ間移報装置は、前面に開口した箱形の装置筐体の前面にパネル扉が開閉自在に設けられており、パネル扉を開放することで第1移報アダプタと第2移報アダプタを視認可能な構造としている。
【0078】
第1移報アダプタ14の移報伝送部38は内部の伝送路40により第2移報ダプタ16の移報伝送部38に接続され、各種の信号やログ情報等のデータをシリアル伝送又はパラレル伝送により相互に送受信可能としている。
【0079】
アダプタ制御部32は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。
【0080】
通信部34は、
図2の連動型警報器10に設けられた通信部20と同じであり、初期設定等に基づくグループG1に割り当てられたチャンネル周波数f1を設定し、同じグループG1に属する連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしており、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。
【0081】
動作表示灯42は、アダプタ制御部32の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災移報警報、障害警報等を表示する。スピーカ44は、アダプタ制御部32の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。テストスイッチ46は、警報停止、通信テスト、移報停止、移報停止解除等の操作を行う。
【0082】
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。
【0083】
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1の連動型警報器10から第1チャンネル周波数f1の火災連動信号を受信した際に、移報伝送部38に指示して第2移報アダプタ16へ火災移報信号を送信する制御を行う。
【0084】
第1移報アダプタ14からの火災移報信号の受信を検出した第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、通信部34に指示してグループG2に設定されたチャンネル周波数f2の火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0085】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、第2移報アダプタ16から伝送された火災移報信号の受信を検出すると、通信部34に指示してチャンネル周波数f1の火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0086】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1内の連動型警報器10から火災連動信号を受信した場合、スピーカ44から「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯42を例えば点滅して火災移報警報を出力させる制御を行う。なお、第1移報アダプタ14による火災移報警報は、警報音は出力せず、動作表示灯42による火災移報警報の表示のみとしても良い。
【0087】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、火災移報警報中や障害警報中に、自己のグループG1内の連動型警報器10から警報停止連動信号を受信した場合に、火災移報警報や障害警報を停止させる制御を行う。
【0088】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1内の連動型警報器10で通信エラー、回路故障、又は電池電圧切れを検出して送信された障害連動信号を受信した場合に、スピーカ44から障害内容を示す音声メッセージを出力すると共に、動作表示灯42を所定回数点滅する動作を所定時間置きに繰り返すことで障害警報を出力させる制御を行う。
【0089】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32には、ログ収集部48の機能が設けられる。
【0090】
第1移報アダプタ14のログ収集部48は、自己のグループG1の連動型警報器10から火災連動信号、警報停止連動信号、火災復旧連動信号、又は、通信エラー、回路故障、電池切れ等の障害連動信号を受信した場合に、受信した連動信号に含まれる送信元符号から連動信号を送信した連動型警報器10のアドレスを特定し、連動信号の内容からログ情報を生成し、連動型警報器10のアドレスに対応してログ情報を時系列にメモリに記憶させる制御を行う。
【0091】
また、第1移報アダプタ14のログ収集部48は、試験器60からチャンネル周波数f1を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のメモリに記憶しているグループG1の連動型警報器10のログ情報を読み出して送信する共に、移報伝送部38に指示して第2移報アダプタ16に記憶しているグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出し伝送させ、受信した第2移報アダプタ16で収集されたログ情報を試験器60に送信する制御を行う。
【0092】
第2移報アダプタ16のログ収集部48は、自己のグループG2の連動型警報器10から火災連動信号、警報停止連動信号、火災復旧連動信号、又は、通信エラー、回路故障、電池切れ等の障害連動信号を受信した場合に、受信した連動信号に含まれる送信元符号から連動信号を送信した連動型警報器10のアドレスを特定し、連動信号の内容からログ情報を生成し、連動型警報器10のアドレスに対応してログ情報を時系列にメモリに記憶させる制御を行う。
【0093】
また、第2移報アダプタ16のログ収集部48は、試験器60からチャンネル周波数f2を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のメモリに記憶しているグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出して送信する共に、移報伝送部38に指示して第1移報アダプタ14に記憶しているグループG1の連動型警報器10のログ情報を読み出し伝送させ、受信した第2移報アダプタ16で収集されたログ情報を試験器60に送信する制御を行う。
【0094】
また、自己のグループG1内の連動型警報器10より火災警報連動信号を受信した第1移報アダプタ14は、火災移報警報及び第2移報アダプタ16への火災移報信号出力を行うが、火災移報信号を入力された第2移報アダプタ16は自己のグループG2内の連動型警報器10に対して火災連動信号を送信するが、警報動作を行わないようにしている。
【0095】
このような第1移報アダプタ14の警報動作は、第2移報アダプタ16が自己のグループG2内の連動型警報器より火災警報連動信号を受けた場合も同様となる。
【0096】
第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が同時に警報すると音声が混ざり聞き取りづらくなるが、火災移報信号を入力された側の移報アダプタの警報動作を行わないことで、聞き取りづらくなることを回避する。
【0097】
(試験器)
図3に示すように、試験器60は、制御部62、アンテナ66が接続された通信部64、操作部68及び表示部70で構成され、図示しない電池電源で動作する。
【0098】
通信部64は、
図2の連動型警報器10に設けられた通信部20と同様に、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備え、
図1のグループG1~G4に対応したチャンネル周波数f1~f4を操作部68の指示により選択し、選択したチャンネル周波数の例えばログ出力指示信号を送信する。
【0099】
操作部68はログ回収に必要なグループ間移報装置とグループの選択操作を行い、表示部70は操作部68の操作に対応した表示を行う。
【0100】
制御部62は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成され、プログラムの実行により次の制御を行う。制御部62は、操作部68によるグループG1~G4とグループ間移報装置12-12~12-34の選択操作に基づき、通信部64に指示して選択されたグループに対応したチャンネル周波数を使用し、選択されたグループ間移報装置のアドレスを指定したログ出力指示信号を送信する制御を行う。
【0101】
例えば、グループ間移報装置12-12の第1移報アダプタ14を選択してログ情報を回収したい場合には、操作部68によりグループ間移報装置12-12を選択し、且つグループG1を選択すると、制御部62は、通信部64に指示して、グループ間移報装置12-12のアドレス指定したログ出力指示信号を、グループG1のチャンネル周波数f1を使用して送信する制御を行う。
【0102】
また、グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16を選択してログ情報を回収したい場合には、操作部68によりグループ間移報装置12-12を選択し、且つグループG2を選択すると、制御部62は、通信部64に指示して、グループ間移報装置12-12のアドレス指定したログ出力指示信号を、グループG2のチャンネル周波数f2を使用して送信する制御を行う。この場合、チャンネル周波数f2のログ出力指示信号は、
図1に示したグループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14でも受信されるが、グループ間移報装置12-23のアドレスが指定されていないことから、ログ情報を読み出して試験器60に送信することはない。
【0103】
(第1実施形態による移報アダプタの制御動作)
図4はグループ間移報装置に組込まれた移報アダプタ装置の第1実施形態による移報制御動作を示したフローチャート、
図5は
図4に続く移報制御動作を示したフローチャートであり、
図3のグループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14の制御を例にとって説明すると次のようになる。
【0104】
図4に示すように、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、電池電源の投入に伴うステップS1の初期設定で、所定の登録操作等により自己に割り当てられたグループG1のチャンネル周波数f1が設定される。
【0105】
続いて、アダプタ制御部32はステップS2で自己のグループG1内の連動型警報器10から送信された火災連動信号の受信を判別するとステップS3に進み、受信した火災連動信号の送信元符号から連動型警報器10のアドレスを特定し、ログ情報として「火災検
出」を生成し、アドレスに対応してメモリにログ情報「火災検出」を記憶させる。
【0106】
続いて、アダプタ制御部32はステップS4に進み、移報伝送部38に指示して第2移報アダプタ16に火災移報信号を伝送し、続いて、ステップS5でスピーカ44からの警報音と動作表示灯42の作動により火災移報警報を出力させる。
【0107】
また、アダプタ制御部32は、ステップS6で移報伝送部38による第2移報アダプタ16から伝送された火災移報信号の受信を判別するとステップS7に進み、通信部34に指示して自己のグループG1内に火災連動信号を送信し、続いて、ステップS8で動作表示灯42のみの作動により火災移報警報を出力させる。
【0108】
また、アダプタ制御部32は、ステップS9で通信部34を介して自己のグループの連動型警報器10からの警報停止連動信号の受信を判別するとステップS10に進み、火災移報警報中又は障害警報中にあることを判別するとステップS11に進み、受信した警報停止連動信号の送信元符号から連動型警報器10のアドレスを特定し、ログ情報として「火災警報停止」を生成し、アドレスに対応してメモリにログ情報「火災警報停止」を記憶させ、続いてステップS12で火災移報警報を停止させる。
【0109】
続いて、アダプタ制御部32は、
図5のステップS13に進み、通信部34を介して自己のグループG1の連動型警報器10から障害連動信号の受信を判別するとステップS14に進み、受信した障害連動信号の送信元符号から連動型警報器10のアドレスを特定し、ログ情報として「通信エラー」、「回路故障」又は「電池切れ」を生成し、アドレスに対応してメモリに生成したログ情報を記憶させ、ステップS15で連動先を示す障害警報を出力させる。
【0110】
続いて、アダプタ制御部32は、ステップS16に進み、通信部34を介して外部の試験器60からグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ出力指示信号の受信を判別するとステップS17に進み、自己のメモリに記憶しているグループG1の連動型警報器10のログ情報を読み出して試験器60に送信し、続いてステップS18で移報伝送部38に指示して第2移報アダプタ16で収集して記憶しているグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出し伝送させ、試験器60に送信する。
【0111】
また、アダプタ制御部32は、ステップS19で移報伝送部38により第2移報アダプタ16から伝送されたログ出力指示信号の受信を検出した場合、ステップS20で自己のメモリに記憶しているグループG1の連動型警報器10のログ情報を読み出して第2移報アダプタ16に伝送し、第2移報アダプタ16経由で試験器60に送信させる。
【0112】
なお、
図4及び
図5のフローチャートでは、火災復旧連動信号の受信による火災警報の停止とログ情報「火災復旧」の記憶は省略しているが、アダプタ制御部32は、火災復旧連動信号を受信した場合、受信した火災復旧連動信号の送信元符号から連動型警報器10のアドレスを特定し、ログ情報として「火災復旧」を生成し、アドレスに対応してメモリにログ情報「火災復旧」を記憶させ、更に、火災移報警報を停止させる。
【0113】
(第1及び第2移報アダプタによる個別ログ出力)
図1に示した移報アダプタの第1実施形態にあっては、第1移報アダプタ14又は第2移報アダプタ16の何れか一方でグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のログ情報を読み出し試験器60に送信すると共に、他方の移報アダプタのログ情報も取得して試験器60に送信しているが、ログ出力指示信号を受信した第1移報アダプタ14又は第2移報アダプタ16のみが自己のログ情報を読み出して試験器60に送信するようにしても良い。これによりグループ間移報装置12-12~12-34に設けられた第1移報アダプタ14又は第2移報アダプタ16を指定した個別のログ情報の回収を試験器60により行うことができる。
【0114】
[移報アダプタの第2実施形態]
(連動型警報器と移報アダプタ)
図6は連動型警報器の他の実施形態を示したブロック図であり、移報アダプタの第2実施形態に対応した機能を備える。
【0115】
第2実施形態の移報アダプタは、
図3のグループ間移報装置12-12に設けられた第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16と同じ構成になるが、アダプタ制御部32の機能が異なる。
【0116】
第2実施形態にあっては、
図6に示す連動型警報器10に設けられた連動型警報器制御部18にログ記憶制御部50の機能が設けられており、ログ記憶制御部50は連動型警報器制御部18により火災検出、警報停止、火災復旧、障害検出等の所定の事象が発生した場合にログ情報を生成してメモリに記憶する制御を行う。
【0117】
また、
図3の第1アダプタ14のアダプタ制御部32に設けられたログ収集部48は、試験器60からグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ収集指示信号を受信した場合に、自己のグループG1内の連動型警報器10にログ出力指示信号を送信し、連動型警報器10のログ記憶制御部50により記憶されているログ情報を読み出して送信させることで収集し、自己のグループG1内の連動型警報器10の全てからログ情報を収集した後に、第1移報アダプタ14から試験器60に送信させる制御を行う。
【0118】
更に、
図3の第1アダプタ14のアダプタ制御部32に設けられたログ収集部48は、試験器60からグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ収集指示信号を受信した場合に、移報伝送部38に指示して第2移報アダプタ16にログ収集指示信号を伝送し、第2移報アダプタ16からそのグループG2内の連動型警報器10にログ出力指示信号を送信し、連動型警報器10のログ記憶制御部50により記憶されているログ情報を読み出して送信させることで収集し、グループG2内の連動型警報器10の全てからログ情報を収集した後に、第1移報アダプタ14に伝送し、第1移報アダプタ14から試験器60に送信させる制御を行う。
【0119】
このような第1移報アダプタ14によるログ情報の収集と出力は、第2移報アダプタ16についても同様となる。
【0120】
(第2実施形態による移報アダプタの制御動作)
図7はグループ間移報装置に組込まれた移報アダプタ装置の第2実施形態による移報制御動作を示したフローチャート、
図8は
図7に続く移報制御動作を示したフローチャートであり、
図3のグループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14の制御を例にとって説明すると次のようになる。
【0121】
図7に示す第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32によるステップS21~S32の制御動作は、
図4及び
図5に示した第1実施形態による移報アダプタの制御動作のフローチャートにおけるステップS1~S15の中から、ステップS3,S11及びS14の「ログ情報の記憶」を除いた動作と同じになることから、その説明は省略する。
【0122】
第2実施形態となる第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32による固有の制御動作は、
図8のステップS33~S41の制御動作となる。
【0123】
アダプタ制御部32は、ステップ33で通信部34を介して外部の試験器60からグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ収集指示信号の受信を判別するとステップS34に進み、移報伝送部38に指示して第2移報アダプタ16にログ収集指示信号を伝送し、続いて、ステップS35で通信部34に指示して自己のグループG1の連動型警報器10にログ出力指示信号を送信し、連動型警報器10に記憶されているログ情報を送信させて収集する。
【0124】
ここで、アダプタ制御部32は、グループG1内の複数の連動型警報器10の送信元符号を順次指定したログ出力指示信号を送信してログ情報を収集する。
【0125】
続いて、アダプタ制御部32はステップS36に進み、グループG1内の全ての連動型警報器10からのログ情報の収集が終了した段階で、通信部34に指示して収集したログ情報を試験器60に送信し、続いて、ステップS37で第2移報アダプタ16のログ情報を読み出して試験器60に送信する。
【0126】
また、アダプタ制御部32は、ステップS38で移報伝送部38により第2移報アダプタ16から伝送されたグループ間移報装置12-12のアドレスを指定したログ収集指示信号の受信を検出した場合にステップS39に進み、グループG1内の連動型警報器10にログ収集指示信号を送信してログ情報を収集し、ステップS40で移報伝送部38により第2移報アダプタ16から伝送されたログ出力指示信号の受信を検出した場合にステップS41に進み、移報伝送部38に指示して収集したログ情報を第2移報アダプタ16に伝送し、第2移報アダプタ16から試験器60に送信させる。
【0127】
なお、
図7及び
図8のフローチャートでは、火災復旧連動信号の受信による火災警報の停止は省略しているが、アダプタ制御部32は、火災復旧連動信号を受信した場合、火災移報警報を停止させる。
【0128】
(第1及び第2移報アダプタによる個別ログ出力)
前述した移報アダプタの第2実施形態にあっては、第1移報アダプタ14又は第2移報アダプタ16の何れか一方で自己のグループ内の連動型警報器10のログ情報を収集して試験器60に送信した後に、他方の移報アダプタにより他方のグループ内の連動型警報器10のログ情報を収集して試験器60に送信しているが、ログ出力指示信号を受信した第1移報アダプタ14又は第2移報アダプタ16のみが自己のグループ内の連動型警報器10のログ情報のみを収集して試験器60に送信するようにしても良い。これによりグループ間移報装置12-12~12-34に設けられた第1移報アダプタ14又は第2移報アダプタ16を指定したグループ単位のログ情報の回収を試験器60により行うことができる。
【0129】
[ログ情報の一括出力]
前述した移報アダプタの第1及び第2実施形態によるログ情報の出力の他の実施形態として、グループ間移報装置12-12~12-34のうちいずれかが試験器60からのログ出力指示信号を受信した場合、例えばグループ間移報装置12-12でログ出力指示信号を受信した場合、グループ間移報装置12-1~12-34で通信を行い、ログ出力指示信号を受信したグループ間移報装置12-12から警報システム内の全てのグループのログ情報を試験器60に送信するようにしてもよい。これにより全てのグループのログ情報の回収を試験器60による一回のログ出力指示により効率良く回収して利用することができる。
【0130】
[グループのチャンネル周波数の設定]
図9は階層構造の建物に配置した警報システムの他の実施形態を示した説明図である。
図9に示すように、本実施形態の警報システムは、6階建ての建物11を対象に、1F~6Fの階別にグループ分けして複数の連動型警報器10を配置すると共に、各グループの境界となる階段の踊り場等に、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34,12-45,12-56を配置している。
【0131】
本実施形態の1F~4FのグループG1~G4のチャンネル周波数f1~f4の割り付けは
図1の実施形態と同じであるが、5Fには1Fと同じチャンネル周波数f1が設定されたグループG1が割り付けられ、また、6Fには2Fと同じチャンネル周波数f2が設定されたグループG2が割り付けられている。
【0132】
ここで、各グループに設置されている連動型警報器10はその通信可能距離には限界があり、例えば、1Fに設置された連動型警報器10からの電波は、5Fに設置された連動型警報器10には届かない。
【0133】
このように連動型警報器10の通信可能エリアを超えて離れた警戒エリアとなる1Fと5Fには、同じチャンネル周波数f1を設定した連動型警報器10を設置していても、お互いに信号を送受信できないことから、混信の問題がない。この点は2Fと6Fの間も同様となる。
【0134】
そこで本実施形態にあっては、連動型警報器10の通信可能エリアを超えて離れた1Fと5FをグループG1として同じチャンネル周波数f1を設定し、同様に、2Fと6FをグループG2として同じチャンネル周波数f2を設定しており、連動するグループの数が増えても、混信を起こすことなく、設定するチャンネル周波数の数を低減可能とする。
【0135】
本実施形態においても、グループ間移報装置12-12~12-56の第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16には、前述した第1実施形態又は第2実施形態に示したログ収集部48の機能が設けられ、試験器60により必要とする連動型警報器10のログ情報をグループ単位に収集して利用することができる。
【0136】
[グループ間移報装置の他の実施形態]
(グループ間移報装置の構成)
図10はグループ間移報装置の他の実施形態を示した説明図であり、
図3のように2台の移報アダプタは利用せず、一つの装置として構成している。
【0137】
図10に示すように、本実施形態のグループ間移報装置は、移報制御部100、アンテナ36aが接続された通信部34a、アンテナ36bが接続された通信部34b、動作表示灯42、スピーカ44、テストスイッチ46で構成され、図示しない電池電源で動作する。
【0138】
移報制御部100は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成しており、移報制御部100にはログ収集部102の機能が設けられている。
【0139】
グループ間移報装置12は、例えば
図1のグループG1,G2間に配置されている。この場合、通信部34aは、
図2の連動型警報器10に設けられた通信部20と同じであり、初期設定等に基づくグループG1に割り当てられたチャンネル周波数f1を設定し、同じグループG1に属する連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしている。
【0140】
また、通信部34bは、
図2の連動型警報器10に設けられた通信部20と同じであり、初期設定等に基づくグループG2に割り当てられたチャンネル周波数f2を設定し、同じグループG2に属する連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしている。
【0141】
動作表示灯42は、アダプタ制御部32の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災移報警報、障害警報等を表示する。スピーカ44は、アダプタ制御部32の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。テストスイッチ46は、警報停止、通信テスト、移報停止、移報停止解除等の操作を行う。
【0142】
移報制御部100の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。
【0143】
(第1実施形態及び第2実施形態に共通した移報制御動作)
移報制御部100は、自己の一方のグループG1の連動型警報器10から第1チャンネル周波数f1の火災連動信号を通信部34aを介して受信した際に、火災移報警報を出力すると共に、通信部34bに指示して自己の他方のグループG2の連動型警報器10にチャンネル周波数f2の火災連動信号を送信する制御を行う。
【0144】
また、移報制御部100は、自己の一方のグループG2の連動型警報器10から第1チャンネル周波数f2の火災連動信号を通信部34bを介して受信した際に、表示のみの移報火災警報を出力すると共に、通信部34aに指示して自己の他方のグループG1の連動型警報器10にチャンネル周波数f1の火災連動信号を送信する制御を行う。
【0145】
また、移報制御部100は、火災移報警報中や障害警報中に、自己のグループG1又はG2の連動型警報器10から警報停止連動信号を受信した場合に、火災移報警報や障害警報を停止させる制御を行う。
【0146】
また、移報制御部100は、火災連動信号を受信した後に、自己のグループG1又はG2の連動型警報器10から火災復旧連動信号を受信した場合に、火災移報警報を停止させる制御を行う。
【0147】
また、移報アダプタ制御部100は、自己のグループG1又はG2の連動型警報器10で通信障害、故障、又は電池電圧の低下を検出して送信された障害連動信号を受信した場合に、スピーカ44から障害内容を示す音声メッセージを出力すると共に、動作表示灯42を所定回数点滅する動作を所定時間置きに繰り返すことで障害警報を出力させる制御を行う。
【0148】
(第1実施形態のログ収集動作)
第1実施形態に対応したログ収集部102は、通信部34a及び通信部34bによりグループG1及びグループG2の連動型警報器10から火災連動信号、警報停止連動信号、火災復旧連動信号、又は、通信エラー、回路故障、電池切れ等の障害連動信号を受信した場合に、受信した連動信号に含まれる送信元符号から連動信号を送信した連動型警報器10のグループ及びアドレスを特定し、連動信号の内容からログ情報を生成し、連動型警報器10のグループ及びアドレスに対応してログ情報を時系列にメモリに記憶させる制御を行う。
【0149】
また、ログ収集部102は、通信部34aにより試験器60からチャンネル周波数f1を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のメモリに記憶しているグループG1及びグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出して試験器60に送信する制御を行う。
【0150】
また、ログ収集部102は、通信部34bにより試験器60からチャンネル周波数f2を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合、自己のメモリに記憶しているグループG1及びグループG2の連動型警報器10のログ情報を読み出して試験器60に送信する制御を行う。
【0151】
なお、ログ収集部102は、通信部34aにより試験器60からチャンネル周波数f1を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合に、グループG1のログ情報のみを読み出して試験器60に送信し、また、通信部34bにより試験器60からチャンネル周波数f2を使用した無線による通信接続によりグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ出力指示信号を受信した場合に、グループG1のログ情報のみを読み出して試験器60に送信するようにしても良い。
【0152】
(第2実施形態のログ収集動作)
第2実施形態に対応したログ収集部102は、通信部34a又は通信部34bにより試験器60からグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ収集指示信号を受信した場合に、グループG1及びグループG2の連動型警報器10にログ収集指示信号を送信し、連動型警報器10のログ記憶部50により記憶されているログ情報を読み出して送信させることで収集し、グループG1及びグループG2の連動型警報器10の全てからログ情報を収集した後に、通信部34a又は通信部34bに指示して試験器60へ送信させる制御を行う。
【0153】
なお、第2実施形態に対応したログ収集部102は、通信部34a又は通信部34bにより試験器60からグループ間移報装置12のアドレスを指定したログ収集指示信号を受信した場合に、自己のグループG1又はグループG2の連動型警報器10にログ収集指示信号を送信し、連動型警報器10のログ記憶部50により記憶されているログ情報を読み出して送信させることで収集し、グループG1又はグループG2の連動型警報器10からログ情報を個別に収集した後に、通信部34a又は通信部34bに指示して試験器60へ送信させる制御を行うようにしても良い。
【0154】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、グループ間移報装置の第1移報アダプタ又は第2移報アダプタに試験器を無線により通信接続してログ情報を回収しているが、グループ間移報装置の第1移報アダプタ又は第2移報アダプタに通信ケーブルをコネクタ接続して有線により通信接続してログ情報を回収するようにしても良い。
【0155】
上記の実施形態は連動型警報器の検出した事象をログ情報として収集しているが、グループ間移報装置が収集するログ情報はこれに限らない。グループ間移報装置が他グループへの移報を行ったとき、及び移報を受けたときの情報を移報関連情報としてログとして記憶しても良い。また、グループ間移報装置に備えたテストスイッチ等の操作部の操作履歴をログとして記憶しても良い。
【0156】
上記の実施形態はグループ単位でログ情報を収集しているが、連動型警報器を指定して指定した連動型警報器のログ情報のみ収集するようにしても良い。この場合、第1の実施形態においては、グループ間移報装置のログ収集部でログ収集する際にいずれのアドレスの連動型警報器より出力された連動信号かを含めて記憶しておくことにより、ログ出力指示を受けた連動型警報器より出力された連動信号のログをグループ間移報装置より出力する。第2の実施形態においては、指定された連動型警報器10に対してログ情報を収集する信号をグループ間移報装置が出力してログ情報を収集し、出力するようにしても良い。
【0157】
上記の実施形態に加え、試験器からグループ間移報装置に試験信号を送信して連動型警報器を試験させるようにしても良い。この際、連動型警報器には警報出力させずグループ間移報装置のみ連動警報に関する表示を行うようにしても良い。試験信号に対応する連動型警報器の連動信号をログとして収集し、試験器より出力するようにしても良い。
【0158】
上記の実施形態は親機/子機の区別無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、各チャンネルグループに親機と子機を設け、隣接するグループの親機に入出力接続した2台の移報アダプタをグループ間移報装置に組み込んで内部配線により移報を入出力接続するようにしても良い。
【0159】
また上記の実施形態は火災を検出して警報する連動型警報器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0160】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
【0161】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0162】
10:連動型警報器
11:建物
12-12~12-56:グループ間移報装置
14:第1移報アダプタ
16:第2移報アダプタ
18:連動型警報器制御部
20,34:通信部
24:センサ部
26,42:動作表示灯
28,44:スピーカ
30,46:テストスイッチ
32:アダプタ制御部
38:移報伝送部
40:伝送路
48,102:ログ収集部
50:ログ記憶制御部
100:移報制御部