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特開2022-32015分子の振動回転によるエネルギー放射を利用した発電装置および発電方法
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  • 特開-分子の振動回転によるエネルギー放射を利用した発電装置および発電方法 図1
  • 特開-分子の振動回転によるエネルギー放射を利用した発電装置および発電方法 図2
  • 特開-分子の振動回転によるエネルギー放射を利用した発電装置および発電方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032015
(43)【公開日】2022-02-24
(54)【発明の名称】分子の振動回転によるエネルギー放射を利用した発電装置および発電方法
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20220216BHJP
   F25B 11/02 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
F03B17/06
F25B11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135475
(22)【出願日】2020-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】520302305
【氏名又は名称】株式会社原隆雄分子エネルギー研究所
(71)【出願人】
【識別番号】597015081
【氏名又は名称】原 隆雄
(71)【出願人】
【識別番号】520301238
【氏名又は名称】石川 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】原 隆雄
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA12
3H074BB10
3H074CC12
3H074CC50
(57)【要約】
【課題】従来の発電システムとは全く異なるシステムを用い、優れた発電効率を有する発電装置および発電方法を提供する。
【解決手段】発電装置1は、熱媒体Qを圧縮する圧縮器2と、圧縮器2で圧縮された熱媒体Qを放熱させる熱交換器3と、熱交換器3で放熱した熱媒体Qの分子を振動回転させてエネルギーを放射することにより減圧液化させる螺旋状細管41と、螺旋状細管41で液化した熱媒体Qを蒸発させて気化させる蒸発器4と、熱交換器3と螺旋状細管41との間に設けられた発電ユニット5と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒体を圧縮する圧縮器と、
前記圧縮器で圧縮された前記熱媒体を放熱させる熱交換器と、
前記熱交換器で放熱した前記熱媒体の分子を振動回転させてエネルギーを放射することにより減圧液化させる螺旋状細管と、
前記熱交換器と前記螺旋状細管との間に設けられた発電ユニットと、を有することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記螺旋状細管で減圧液化した前記熱媒体を蒸発させて気化させる蒸発器を有する請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記蒸発器は、前記螺旋細状管よりも内径が大きい螺旋状太管を有する請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記発電ユニットは、前記発電ユニットの前記熱交換器側と前記螺旋状細管側との前記熱媒体の圧力差によって回転する被回転体と、前記被回転体の回転により駆動する発電機と、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記熱交換器と前記螺旋状細管とを接続し、途中に前記発電ユニットが接続された配管を有し、
前記発電ユニットは、前記配管の延在方向の中央部よりも前記螺旋状細管側に偏って配置されている請求項1から4のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
熱媒体を圧縮する圧縮器と、前記圧縮器で圧縮された前記熱媒体を放熱させる熱交換器と、前記熱交換器で放熱した前記熱媒体の分子を振動回転させてエネルギーを放射することにより減圧液化させる螺旋状細管と、を有する熱交換ユニットの前記熱交換器と前記螺旋状細管との間に発電ユニットを配置し、前記発電ユニットの前記熱交換器側と前記螺旋状細管側との前記熱媒体の圧力差を利用して前記発電ユニットを駆動させることを特徴とする発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子の振動回転によるエネルギー放射を利用した発電装置および発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から発電方法として、水の流れる力を利用して水車を回し、この水車に連結された発電機を作動させて発電する水力発電、燃料を燃やす際に発生する蒸気でタービンを回し、このタービンに連結された発電機を作動させて発電する火力発電、核分裂の際に放出される熱を利用して水を蒸気に変え、この蒸気によってタービンを回し、このタービンに連結された発電機を作動させて発電する原子力発電、風のエネルギーで風車を回し、この風車に連結された発電機を作動させて発電する風力発電、太陽光を受けて電気エネルギーを発生させる太陽電池を用いて発電する太陽光発電等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-163711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら水力発電、火力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電は、例えば、大気汚染、地球温暖化、放射能漏れの危険等といった問題や、発電効率が高くないといった問題を抱えている。
【0005】
本発明は、このような従来の発電システムとは全く異なるシステムを用い、優れた発電効率を有する発電装置および発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的は、以下(1)~(6)の本発明により達成される。
【0007】
(1) 熱媒体を圧縮する圧縮器と、
前記圧縮器で圧縮された前記熱媒体を放熱させる熱交換器と、
前記熱交換器で放熱した前記熱媒体の分子を振動回転させてエネルギーを放射することにより減圧液化させる螺旋状細管と、
前記熱交換器と前記螺旋状細管との間に設けられた発電ユニットと、を有することを特徴とする発電装置。
【0008】
(2) 前記螺旋状細管で減圧液化した前記熱媒体を蒸発させて気化させる蒸発器を有する上記(1)に記載の発電装置。
【0009】
(3) 前記蒸発器は、前記螺旋細状管よりも内径が大きい螺旋状太管を有する上記(2)に記載の発電装置。
【0010】
(4) 前記発電ユニットは、前記発電ユニットの前記熱交換器側と前記螺旋状細管側との前記熱媒体の圧力差によって回転する被回転体と、前記被回転体の回転により駆動する発電機と、を有する上記(1)から(3)のいずれかに記載の発電装置。
【0011】
(5) 前記熱交換器と前記螺旋状細管とを接続し、途中に前記発電ユニットが接続された配管を有し、
前記発電ユニットは、前記配管の延在方向の中央部よりも前記螺旋状細管側に偏って配置されている上記(1)から(4)のいずれかに記載の発電装置。
【0012】
(6) 熱媒体を圧縮する圧縮器と、前記圧縮器で圧縮された前記熱媒体を放熱させる熱交換器と、前記熱交換器で放熱した前記熱媒体の分子を振動回転させてエネルギーを放射することにより減圧液化させる螺旋状細管と、を有する熱交換ユニットの前記熱交換器と前記螺旋状細管との間に発電ユニットを配置し、前記発電ユニットの前記熱交換器側と前記螺旋状細管側との前記熱媒体の圧力差を利用して前記発電ユニットを駆動させることを特徴とする発電方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、発電装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、図1の速度-熱変換器の主要部である螺旋管を直管とした場合の溝構造を示す断面図である。
図3図3は、図1の発電装置が有する発電ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、好適な実施形態に係る発電装置の構成を示す。図1に示す発電装置1は、圧縮器2(コンプレッサ)と、熱交換器3(コンデンサ)と、速度-熱変換器4と、発電ユニット5と、を有する。このうち、圧縮器2と、熱交換器3と、速度-熱変換器4とで熱交換ユニット10が構成される。
【0015】
このような発電装置1は、圧縮器2で熱媒体Q(冷媒)を圧縮して高温高圧のガス状とし、圧縮器2から吐出された高温高圧のガス状の熱媒体Qを熱交換器3で放熱、液化させて常温高圧の液状とし、熱交換器3で常温高圧の液状となった熱媒体Qを速度-熱変換器4で気化して低温低圧のガス状とし、速度-熱変換器4で低温低圧のガス状となった熱媒体Qを再び圧縮器2で圧縮して高温高圧のガス状とする熱交換サイクルで作動する。また、発電装置1は、熱交換器3と速度-熱変換器4との間に配置された発電ユニット5を有し、発電ユニット5の熱交換器3側と速度-熱変換器4側との熱媒体Qの圧力差を利用して発電ユニット5を駆動し、発電する。
【0016】
発電装置1で用いる熱媒体Qとしては、特に限定されないが、例えば、吐出圧力が高く、吐出圧力と吸入圧力との圧力差が大きい程好ましい。
【0017】
速度-熱変換器4は、螺旋状細管41と、螺旋状太管42と、螺旋状細管41と螺旋状太管42との間に位置し、これらを結合する中継管43と、を有する。つまり、螺旋状細管41と螺旋状太管42とは、中継管43を介して直列に接続されている。熱交換器3で常温高圧の液状となった熱媒体Qは、螺旋状細管41に導入され、螺旋状細管41内で熱媒体Qの分子が振動回転しエネルギーを放射する。この振動回転によるエネルギー放射によって熱媒体Qが減圧液化され、その下流に位置する中継管43内で熱媒体Qが気化(ガス化)し、湿った状態のガス状となる。中継管43で湿った状態のガス状となった熱媒体Qは、螺旋状太管42に導入され、螺旋状太管42内で熱媒体Qの分子が振動回転しエネルギーを放射する。この振動回転によるエネルギー放射によって熱媒体Qが完全に気化(ガス化)する。螺旋状太管42でガス状となった熱媒体Qは、圧縮器2に導入され、再び高温高圧のガス状となる。このような速度-熱変換器4では、螺旋状細管41が減圧弁の役割を担い、螺旋状太管42が蒸発器の役割を担っている。ただし、蒸発器としては、螺旋状太管42に限定されない。
【0018】
前述のエネルギー放射の現象について、一部推測を交えて簡単に説明すると、熱媒体Qが螺旋状細管41内に導入されると、熱媒体Qの分子同士に摩擦が生じ、分子同士がぶつかったり離れたりを繰り返して分子が振動および回転する。そして、振動および回転した分子に遠心力が加わり、この遠心力が一定以上の大きさになった時点で分子からエネルギーが放射される。螺旋状太管42においても同様である。
【0019】
なお、螺旋状細管41と螺旋状太管42とが中継管43で結合されてなる直列管40は、図示の構成では2本並列に設けられている。ただし、直列管40の本数は、特に限定されず、1本であってもよいし、3本以上並列に設けられていてもよい。直列管40の本数は、例えば、熱媒容量に応じて適宜設定することができる。
【0020】
また、各直列管40の螺旋状細管41側の端部には、これら複数の螺旋状細管41を結合する集合管44が接続されている。また、各直列管40の螺旋状太管42側の端部には、これら複数の螺旋状太管42を結合する集合管45が接続されている。
【0021】
螺旋状細管41の内径は、螺旋状太管42の内径よりも小径である。螺旋状細管41の内径は、螺旋状太管42の内径よりも小径であればよく、熱媒容量等によって適宜設定することができ、例えば、1~5mm程度とすることができる。同様に、螺旋状太管42の内径は、螺旋状細管41の内径よりも大径であればよく、熱媒容量等によって適宜設定することができ、例えば、2~10mm程度とすることができる。
【0022】
また、螺旋状細管41の螺旋径は、螺旋状太管42の螺旋径よりも小径である。螺旋状細管41の螺旋径は、熱媒容量等によって適宜設定することができ、例えば、15~20mm程度とすることができる。同様に、螺旋状太管42の螺旋径は、熱媒容量等によって適宜設定することができ、例えば、35~40mm程度とすることができる。ただし、螺旋状細管41および螺旋状太管42の螺旋径およびその大小関係は、これに限定されない。
【0023】
また、螺旋状細管41の全長は、螺旋状太管42の全長よりも短い。螺旋状細管41の全長は、熱媒容量等によって適宜設定することができ、例えば、500~1000mm程度とすることができる。同様に、螺旋状太管42の全長は、熱媒容量等によって適宜設定することができ、例えば、1500~2000mm程度とすることができる。ただし、螺旋状細管41および螺旋状太管42の全長およびその大小関係は、これに限定されない。
【0024】
以上のような螺旋状細管41および螺旋状太管42は、例えば、以下のような方法により形成される。まず、銅管を準備し、この銅管にピアノ線を入れ込んで、銅管をピアノ線の外径(太さ)まで絞って直管を形成する。さらに、この直管を螺旋状に巻いて螺旋状管とすることにより、螺旋状細管41および螺旋状太管42が形成される。
【0025】
このように銅管を捩じることにより、図2に示すように、螺旋状細管41および螺旋状太管42の内壁に傾斜した溝4aが形成される。この溝4aは、螺旋状太管42側から螺旋状細管41側へ向かって左旋回しながら進むように形成される。さらには、溝4aが形成された直管を螺旋状に巻くことにより、螺旋の外側においては全体として長さ方向へ引っ張られ、溝4aのピッチが直管状態と比べて広がり、これとは反対に、螺旋の内側においては全体として長さ方向へ圧縮され、溝4aのピッチが直管状態と比べて狭くなる。また、直管を螺旋状に巻く過程で、銅管を軸方向に捩じることにより、少なくとも1つの「くびれ」が形成される。なお、溝4aの送り角度およびピッチや「くびれ」の形成位置および数は、螺旋状細管41および螺旋状太管42でそれぞれ適宜設定される。
【0026】
このように、溝4aのピッチが螺旋状管の外側と内側とで異なっていること、さらには、「くびれ」が形成されていることによって、螺旋状細管41および螺旋状太管42で熱媒体Qが振動回転し、速度-熱変換器4における熱変換に特別の好適な影響を与えるものである。言い換えると、螺旋状細管41および螺旋状太管42は、その内部で熱媒体Qが振動回転するように溝4aの送り角度およびピッチや「くびれ」の形成位置および数が設定されている。ただし、これは一例であり、螺旋状細管41および螺旋状太管42の構成や形成方法としては、それぞれ、上述した機能を発揮することができれば特に限定されない。
【0027】
図1に示すように、圧縮器2と熱交換器3とは配管61で接続されており、熱交換器3と集合管44とは配管62で接続されており、集合管45と圧縮器2とは配管63で接続されている。このうち、配管62、63の内径は、螺旋状太管42より大径であることが好ましく、例えば、螺旋状太管42の内径の3倍程度とすることができる。熱交換器3は、圧縮器2で圧縮されて高温高圧のガス状となった熱媒体Qの放熱を行うものでファンにより冷却される。
【0028】
また、熱交換器3と集合管44とを接続する配管62の途中には発電ユニット5が設けられている。発電ユニット5は、図3に示すように、発電機54と、発電機54を駆動するための動力を発生させる動力発生部50と、動力発生部50で発生した動力を発電機54に伝達する動力伝達部55と、を有する。また、動力発生部50は、配管62の途中に接続され内部を熱媒体Qが通過する気密な筐体51と、筐体51内に配置され、筐体51内を流れる熱媒体Qの作用によって回転する羽根車52(被回転体)と、羽根車52の回転を出力する出力軸53と、出力軸53に接続された発電機54と、を有する。以下では、説明の便宜上、配管62の発電ユニット5と熱交換器3との間の部分を第1配管621とも言い、配管62の発電ユニット5と螺旋状細管41との間の部分を第2配管622とも言う。
【0029】
このような発電ユニット5は、筐体51の上流側と下流側の圧力差、つまり、筐体51の上流側に接続された第1配管621内の熱媒体Qの圧力と筐体51の下流側に接続された第2配管622内の熱媒体Qの圧力との差によって筐体51内で羽根車52が回転する機構となっている。
【0030】
具体的には、前述したように、熱媒体Qは、熱交換器3で放熱、液化することで常温高圧の液状となり、螺旋状細管41で減圧液化されて湿った状態の液状となる。このように、熱交換器3で放熱された熱媒体Qがその下流側に位置する螺旋状細管41によって減圧されるため、これらの間に位置する配管62内に熱媒体Qの圧力差が生じ、上流側が下流側よりも高圧となる。そのため、この配管62の途中に発電ユニット5を配置すると、筐体51の上流側が下流側よりも高圧となるため、この圧力差によって筐体51内の羽根車52が回転する。このような原理によって羽根車52が回転すると、その回転が出力軸53から動力として出力され、この動力によって出力軸53に繋がっている発電機54が駆動して発電が開始される。
【0031】
ここで、動力発生部50は、配管62の延在方向の中央部よりも下流端側(螺旋状細管41側)に偏って配置されている。つまり、第2配管622が第1配管621よりも長い。これにより、上述した圧力差をより高めることができ、発電装置1の発電効率が向上する。
【0032】
なお、動力発生部50の構成としては、上述の構成に限定されず、発電機54を駆動させる動力を発生させることができれば、如何なる構成であってもよい。例えば、羽根車52は、軸流ファン、遠心ファン(シロッコファン、ターボファン等)、斜流ファン、横流ファン等を用いることができる。また、動力発生部50として、カーエアコン用の圧縮機(コンプレッサ)を用いることもできる。カーエアコンでは、圧縮機に設けられたプーリーをエンジンの動力によって回転させ、このプーリーの回転によって圧縮機内のピストンを駆動させて熱媒体Qを圧縮するが、これとは逆に、上述した圧力差を利用してピストンを駆動させ、このピストンの駆動によってプーリーを回転させ、プーリーの回転によって発電機54を駆動させる構成であってもよい。
【0033】
また、発電機54も構成としては、その機能を発揮することができれば、特に限定されない。例えば、一対のコイルと、これら一対のコイルの間に配置され、出力軸53に繋がった磁石と、を有し、出力軸53の回転によって磁石を一対のコイルの間で回転させる交流発電機であってもよいし、これとは逆に、一対の磁石と、これら一対の磁石の間に配置され、出力軸53に繋がったコイルと、を有し、出力軸53の回転によってコイルを一対の磁石の間で回転させる直流発電機であってもよい。また、これらとは別の如何なる構造の発電機であってもよい。
【0034】
動力伝達部55は、出力軸53に設けられた滑車551と、発電機54に設けられた滑車552と、これら滑車551、552をつなぐベルト553と、を有する。図示の構成では、滑車551に対して滑車552が小さいため、動力伝達部55は、増速機として機能する。ただし、動力伝達部55の構成は、動力発生部50で発生した動力を発電機54に伝達することができれば、特に限定されず、例えば、減速機、変速機等としての機能を有していてもよい。また、動力伝達部55を省略し、出力軸53を直接、発電機54に接続してもよい。
【0035】
以上、発電装置1の構成について説明した。次に、この発電装置1による発電方法について説明する。発電方法は、発電装置1を図1中の矢印Aで示すサイクルで駆動させるだけである。つまり、圧縮器2で熱媒体Qを圧縮して高温高圧のガス状とする。圧縮器2から吐出された高温高圧のガス状の熱媒体Qは、熱交換器3に導入され、熱交換器3で放熱、液化して常温高圧の液状となる。熱交換器3で常温高圧の液状となった熱媒体Qは、螺旋状細管41に導入され、螺旋状細管41内で熱媒体Qの分子が振動回転しエネルギーを放射する。この熱媒体分子の振動回転によるエネルギー放射によって熱媒体Qが減圧液化され、その下流に位置する中継管43内で熱媒体Qがガス化し、湿った状態のガス状となる。中継管43で湿った状態のガス状となった熱媒体Qは、螺旋状太管42に導入され、螺旋状太管42内で熱媒体Qの分子が振動回転しエネルギーを放射する。この熱媒体分子の振動回転によるエネルギー放射によって熱媒体Qが完全にガス化する。螺旋状太管42でガス状となった熱媒体Qは、圧縮器2に導入され、再び高温高圧のガス状となる。そして、このようなサイクルにより生じる熱媒体Qの圧力差によって、熱交換器3と螺旋状細管41との間に配置された発電ユニット5が駆動し、発電が開始される。なお、螺旋状太管42での気化を十分に行えない場合には、螺旋状太管42の下流側に別の蒸発器を配置し、気化を補助してもよい。
【0036】
本発明に係る発電装置1によれば、螺旋状細管41および螺旋状太管42のそれぞれで熱媒体Qの分子に振動回転がかかり、運動エネルギーの放射が連続して生じるため、発電時に高効率でエネルギー消費の低減を図ることができる。理論的には、コンプレッサ圧を20~40%低減させることが可能であり、電力使用量を60~80%減とすることが可能である。このような発電装置1によれば、理論的には、発電装置1の駆動により消費される電力よりも多くの電力を発電機54で発電することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明に係る発電装置1は、熱媒体Qを圧縮する圧縮器2と、圧縮器2で圧縮された熱媒体Qを放熱させる熱交換器3と、熱交換器3で放熱した熱媒体Qの分子を振動回転させて気化させる螺旋状細管41と、熱交換器3と螺旋状細管41との間に設けられた発電ユニット5と、を有する。そのため、発電装置1の電力使用量を大幅に削減することができる。したがって、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0038】
1 発電装置
10 熱交換ユニット
2 圧縮器
3 熱交換器
4 速度-熱変換器
4a 溝
40 直列管
41 螺旋状細管
42 螺旋状太管
43 中継管
44 集合管
45 集合管
5 発電ユニット
50 動力発生部
51 筐体
52 羽根車
53 出力軸
54 発電機
55 動力伝達部
551 滑車
552 滑車
553 ベルト
61 配管
62 配管
63 配管
621 第1配管
622 第2配管
A 矢印
Q 熱媒体
図1
図2
図3