(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032040
(43)【公開日】2022-02-24
(54)【発明の名称】近接性に基づくナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
G01S 19/46 20100101AFI20220216BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20220216BHJP
G01C 21/28 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
G01S19/46
G01C21/26 P
G01C21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021127655
(22)【出願日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】2012414.5
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】521342751
【氏名又は名称】ヴェーライド ジオ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ティロシュ,エフド
(72)【発明者】
【氏名】ラピドット,ツヴィ
【テーマコード(参考)】
2F129
5J062
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129BB15
2F129BB33
2F129CC15
2F129EE78
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF19
2F129FF62
5J062AA09
5J062BB05
5J062CC07
5J062DD23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】標的とされていないローミングデバイスの測位精度を向上する。
【解決手段】標的とされていない歩行者デバイスの、未加工のGPS測位の精度を改善するための方法であって、ここで、歩行者デバイスは、近傍の車両デバイスから、車両の未加工のGPS位置と、車両の修正位置との間の、計算されたオフセットを含むメッセージを受信し、受信メッセージは、歩行者デバイスの直接の結果として受信され、該車両デバイスは、2つのデバイス間のペアリングの必要無しに近距離無線プロトコルの相互通信範囲に入り込む、方法を提供する。計算されたオフセットは、歩行者デバイスの未加工のGPS測位に適用されて、それによって、歩行者デバイスのより正確な位置が取得される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的とされていない歩行者デバイスの、未加工のGPS測位の精度を改善するための方法であって、前記方法は、
(a)前記歩行者デバイスによって、短距離無線プロトコル通信、随意にBluetooth(登録商標)、の通信範囲中の近傍の車両デバイスから、前記車両の未加工のGPS位置と、前記車両の修正位置との間の、計算されたオフセットを含むメッセージを受信する工程であって、前記メッセージが、前記計算されたオフセットを含有し、そして2つのデバイス間のペアリングの必要無しに受信される、ポップアップ通知である、工程と、
(b)前記歩行者デバイスによって、前記車両が前記歩行者デバイスの十分に狭い範囲内に存在することと、受信オフセットが、前記歩行者デバイスにとって利用可能であることとを確実にする工程であって、前記受信オフセットは、相互通信を前記狭い範囲内でのみ可能にするBluetooth(登録商標)プロトコルを利用することによって、または、測定シグナル強度が既定の閾値を超える通過車両からのシグナルのみに関連することによって、のいずれかで利用可能である、工程と、
(c)前記歩行者デバイスによって、前記計算されたオフセットを抽出するために前記メッセージを復号する工程と、
(d)前記計算されたオフセットを、前記歩行者デバイスの前記未加工のGPS測位に適用する工程であって、それによって、前記歩行者デバイスのより正確な位置を取得する、工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記メッセージが、前記歩行者デバイスによって送信されるBluetooth(登録商標)の問い合わせに対する応答として、Bluetooth(登録商標)を使用する車両によって送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算されたオフセットが、前記メッセージのBluetooth(登録商標)記述フィールドに含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両デバイスが、
(a)前記車両の粗位置を取得し、
(b)前記車両の修正位置を取得し、
(c)前記オフセットを計算し、そして、
(d)前記歩行者デバイスが前記車両デバイスの通信範囲中に存在する時に、前記車両デバイスのBluetooth(登録商標)記述フィールドメッセージ中の前記オフセットを、前記歩行者デバイによって復号するために、符号化する、ように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記メッセージが、Bluetooth(登録商標)Low Energy(BLE)アドバタイジングを使用する車両によって送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記車両デバイスが、
(a)前記車両の粗位置を取得し、
(b)前記車両の修正位置を取得し、
(c)前記オフセットを計算し、そして、
(d)前記歩行者デバイスが前記車両デバイスの放送範囲中に存在する時に、前記車両デバイスによって放送されるBLEビーコンメッセージ中の前記オフセットを、前記歩行者デバイスによる検出のために、符号化する、ように構成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記歩行者デバイスによって実行される、
(a)前記歩行者の通信範囲に存在する異なる車両から、複数のそれぞれのシグナルを受信する操作であって、各シグナルが、それぞれのオフセット{ΔX,ΔY}を含む、操作と、
(b)各受信シグナルに対して、それぞれのシグナル強度(受信シグナル強度指示、RSSI)を決定する操作と、
(c)前記シグナルの最大RSSIを有する方から、それぞれのオフセット{ΔX,ΔY}を使用する操作と、さらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
車両が歩行者を位置特定できるように、前記方法が、
(a)前記歩行者デバイスから、修正位置を受信する工程と、
(b)受信修正位置に基づいて、歩行者を位置特定する工程と、をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記歩行者デバイスと前記車両デバイスの少なくとも1つが、
(a)少なくとも4つの人工衛星から、送信の時間を識別するそれぞれのGPSシグナルを受信し、
(b)前記GPSシグナルの受信の時間を決定し、
(c)送信の有効時間、および、前記人工衛星と前記歩行者デバイスおよび/または前記車両デバイスとの間の疑似範囲を計算し、
(d)連続シグナルのために(a)~(c)を繰り返し、それによって、各人工衛星と前記歩行者デバイスおよび/または前記車両デバイスとの間の前記疑似範囲の連続値を取得し、
(e)各人工衛星に対する前記疑似範囲の前記連続値の間の変動を計算し、そして、
(f)所与の人工衛星の変動の振幅またはその関数が既定の閾値を超えている間、前記衛星からのシグナルを無視する、ことによって、変動する衛星シグナルをフィルタリングによって除去する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
変動するシグナルを無視することが、前記シグナルのシグナルSNRを、シグナルが前記歩行者デバイスと前記車両デバイスのGPS測位ソフトウェアによって無視される閾値を下回る既定値に設定することによって達成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令は、車両ナビゲーションデバイスによって実行される時に、デバイスに請求項4、5、6、8、9、および10のいずれか1項に記載の方法を遂行させる、コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
コンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令は、歩行者測位デバイスによって実行される時に、デバイスに請求項1~3、7、9、および10のいずれか1項に記載の方法を遂行させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歩行者による使用のための、ナビゲーションシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン使用の普及が進む中、GPSは、ナビゲーションの主要な方法として、歩行者や運転者によって広く使用されるようになった。非常に重要なのは、スマートフォンのGPSが、市街地の歩行者によって、ナビゲーションの補助として従来の紙のマップの代わりに使用されることである。しかし、歩行者によるGPSの使用は、主に市街地において、携帯電話のGPSシステムの測位精度の低さのために、不便であり、困難であり、そして時に不可能である。市街地におけるGPSシステムの低精度の主な理由は、高い建物が原因で衛星への視線が遮断されることである。さらに、場合によっては、高い建物によって反射された、人工衛星からのシグナルは、歩行者GPS受信器によって誤って解釈され、測位読み取り時に大きなエラーをもたらす結果となる。この現象は「多重経路反射(multiple path reflection)」と呼ばれる。位置エラーはしたがって、位置と時間とに依存し、人工衛星の配置に関係する。
【0003】
多重経路反射は動力車両ならびに歩行者に影響を与えるが、そのことは動力車両においてはあまり問題にならない、とうのも、動力車両は、歩行者よりも有意に高速で常に移動しているため、それらのそれぞれの衛星視認性は、常に高速で変化しており、エラーはしたがって、平滑化され得るからである。また、車と他の路上走行車両の位置が道路に制限されるため、「マップへのスナップ(snap to map)」などの技術や、IMUデータおよび他の情報の活用が使用される。
【0004】
同様に、先進運転支援システム(ADAS)による使用のために開発されている、カメラ、レーダー(RADAR)、ライダー(LIDAR)などのセンサー、および他の機能増強物も、車両位置精度を改善するために使用される。
【0005】
さらに、サブレーン測位精度が不可欠である自律車両の開発は、車両測位精度を改善するための継続的な取り組みを必要としている。
【0006】
車両測位精度が改善し続ける一方で、歩行者測位エラーは未だに顕著である場合があり、歩行者ナビゲーションシステムの有用性を制限している。
【0007】
この欠点は、運転者による乗客のピックアップの成功が、乗客のGPSによって報告される位置精度に高度に依存するウーバー(Uber)やリフト(Lyft)のような会社にとって、主要な問題となっている。運転者とクライアントは、クライアントが道の向こう側にいたり、ジャンクションの向こう側にいたりするだけで、互いに出会えない場合がある。この制限は、自律車両のタクシーを使用することになる将来において、いっそう重大なものとなるだろう。
【0008】
GPS測位エラーを改善する試みがなされており、例えば、多重反射を有する衛星を無視するための周囲の建物の3Dモデリング、位相分析、そして統計的手法が挙げられる。
【0009】
豊富な先行技術が、自律車両の位置特定や自律車両によって使用される位置特定戦略の最適化に関連し、それらは、例えば、自律車両が走行している地理的領域、時刻、自律車両の速度などの運転内容に基づいている。従来のシステムでは、マップデータベースを使用して、ナビゲーション人工衛星システムデータから計算された位置を、道路などの物理的な地理的オブジェクトにスナップし、ナビゲーションデバイスによって表示される最終的な、より正確な出力を作成することができる。そのような手段は、例えば特許文献1に開示されており、ここでは、GPS人工衛星によって提供される粗位置が著しく改善され得、その結果、改善位置が、自律車両か人による運転車両かにかかわらず車両を導くのに十分なものとなる。
【0010】
また、車両と歩行者との間の短距離通信の使用も当該技術分野で知られており、これによって、車両は歩行者の位置データを決定することができる。
【0011】
例えば、特許文献2は、車両の近辺に位置する標的となる人のモバイル端末と無線で通信する、車載デバイスを開示する。測位シグナルは、測位人工衛星によって送信され、モバイル端末と車載デバイスの両方によって受信される。車載デバイスはまた、モバイル端末から、モバイル端末の持ち主の取得した位置を受信する。標的となる人が取得した位置と共に、車載デバイスによって受信される修正シグナルを使用することによって、車載デバイスは、それによって、車両とモバイル端末の絶対位置を、修正測位シグナルに基づいて、高精度で計算することができる。車載デバイスは、モバイル端末に、修正端末位置情報と共に車両位置情報を送信し、そのため、モバイル端末は車両の相対位置を検出することができる。車載デバイスは、モバイル端末に、修正された車両位置情報と端末位置情報の両方を返してもよい。代替的に、車載デバイスは、モバイル端末に、車両位置情報と端末位置情報から計算された、車両と端末所有者との間の相対距離を返すことができる。
【0012】
原理的に、そのようなアプローチでは、歩行者が自分の粗位置を車載デバイスに送信している限り、車載デバイスが歩行者の位置を正確に修正することをできる。これは、タクシー運転者や自律車両が待機中の乗客の位置を正確に特定するのに有用である。それによって歩行者の修正位置を歩行者に伝えることもできるが、これは車両と歩行者の主導によって能動的になされる必要がある。換言すると、歩行者の位置の正確な特定は、常に特定の車両、一般に、特定の歩行者に対するタクシーによって実行され、該歩行者のGPSによって取得された該歩行者の粗位置は、車載デバイスによって共有されている。
【0013】
そのようなアプローチでは、標的となる歩行者は、自分自身の正確な位置を特定することができるだろう。しかし、自分自身の粗位置を共有していない標的とされていない歩行者が、同様の特定を行うことはできない。
【0014】
特許文献3は、同様にあるシステムを開示し、ここでは、互いに近接する2つのポータブルデバイスが、Bluetooth Low Energyプロトコルを使用してそれぞれの測位データを共有する。第1のデバイスはWi-Fi受信器を含み、そして、該デバイスによって検出可能な一連のWi-Fiアクセスポイントの測定を行う。一般に、デバイスによって行われるWi-Fi測定は、各アクセスポイントのBSSIDやRSSI(受信シグナル強度指示)を含む。計測データは第2のデバイスと共有されてもよく、該第2のデバイスはまた、Wi-Fi受信器は有するが、ローカルエリアにおけるアクセスポイントの位置を特定するデータセットへのアクセスを有しておらず、そのため、デバイスそれ自体が自分自身の位置を特定することはできない。同様の技術によって、両方のデバイスでそれらの位置推定を改善することができたり、どちらか1セットの測位データを使用するのみでは不可能な、それらの位置を特定することができたりする。測位データの共有によって、デバイスが誤った位置推定を検出および/または修正することができるようになる。
【0015】
このシステムでは、デバイスは、通信範囲内、一般にLow Energy Bluetoothプロトコルに準拠する50m内に入ると、自律的に通信する。ただし、妨害されていないデバイスから、それ自体が一連のWi-Fiアクセスポイントと通信していない妨害されたデバイスで、そのためその位置を正確に特定できないデバイスに対して測位データを伝えるのに使用される場合には、そのような妨害されたデバイスは、せいぜい、妨害されていないデバイスの受信データに基づいてその位置を推定することができる程度である。デバイスが離れられるのが最大50mであるため、エラーは小さいと想定することができるが、それでも妨害されたデバイスの位置は不正確である。代替的に、デバイスが両方とも妨害されていない場合、それらのそれぞれの測位データを共有することによって、それらのデータの共有がより多くのWi-Fiアクセスポイントからのデータへのアクセスを有することになるのであれば、両デバイスはより正確な測定値を計算することができる。
【0016】
また、https://www.bluetooth.com/blog/bluetooth-positioning-systems/を参照すると、デバイスの物理的位置を特定するためのBluetooth技術の使用を記載している。慣例的に、これらのシステムは、システムの一部であるBluetoothデバイス間の距離を推定する、受信シグナル強度(RSSI)測定の使用に依存してきた。この技術を使用すると、測位システムは、特定のデバイスの位置を特定する際に、メートルレベルの精度を達成することができる。これはさらに、システムがデバイスの位置を特定する際にシグナル強度と方向の両方を使用できるようにする、方向探知機能を追加することによって、さらに向上させることができ、その結果、センチメートルレベルまでのより高度な精度を達成することができる。そのような技術は、リアルタイム位置特定システムおよび屋内測位システムで使用され、そこでは、ローミングデバイスの位置が、ある固定デバイスに対して確立され得、該固定デバイスはその位置が既知であり、そして、ローミングデバイスは該固定デバイスを使用してBluetooth通信に影響を与えてそれ自体の位置を確立することができる。
【0017】
しかし、これらの向上は、固定のBluetooth(登録商標)パイロンの放送範囲内に存在しない歩行者ナビゲーションシステムなどのローミングデバイスの位置を特定するのには役立たない。
【0018】
特許文献4は、歩行者によって保持されるモバイルデバイスの精度を改善するための方法を開示する。通過車両は、歩行者デバイスに、車両の粗いGPS位置と修正位置との間の差異である修正シグナルを送信し、該修正位置は、車両のナビゲーションシステムによって、またはその正確な位置が既知である固定の参照ポイントを使用することによって、特定されてもよい。GPSによって特定される粗い測位を改善することが知られている位置を有する、固定のランドマークの使用は周知であり、慣例的に、D-GPS(ディファレンシャルGPS)と呼ばれる。D-GPSはまた、特許文献5に記載されている。移動車両とモバイル基地局の相対位置を改善するD-GPSの使用は、特許文献6に開示されている。全地球ディファレンシャル測位のためのシステムと方法は、特許文献7に開示されている。
【0019】
特許文献8は、セルラーネットワーク測位システムのための完全性モニターを開示しており、これは、モバイルステーション、そのユーザー、または測定品質のネットワークに、GPS衛星が故障しかけていることおよび故障していることを、それらをその故障による影響から隔離することによって、通知かつ警告する。不健全な人工衛星が検出されると、それに対応する支援データは、配信または位置特定用としては除外される。
【0020】
特許文献9は、慣性基準とGPS受信装置の加速度シグナルから、加速度シグナルの比較によってGPS人工衛星シグナルの故障を特定し、新規に取得されたGPS人工衛星信号をモニタリングして、取得前に人工衛星ドリフトが存在したか否かを特定するシステムを開示する。信頼性の低い人工衛星信号に遭遇してそれを検出し、良好な配置で少なくとも6つの人工衛星が視野に存在する時には、選択解除シグナル(deselect signal)が提示され、その場合、5つの人工衛星シグナルの群を比較して、故障があるとすればそれらのうちのどれにあるのかを特定することができる。1つがそのように特定されると、この情報はその後、故障がある人工衛星を除去する、人工衛星選択機能に受け渡される。
【0021】
特許文献10は、変則のGPS人工衛星からのシグナルを除去することによる、疑似範囲の修正のための方法を開示する。
【0022】
特許文献11は、素早くユーザーの位置を特定するために距離変化率を使用する、粗位置を推定するための方法とデバイスを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】US20110257885
【特許文献2】US20180208140
【特許文献3】米国特許9,213,081
【特許文献4】DE102011051100
【特許文献5】US2008/0052000
【特許文献6】US2013/0116908
【特許文献7】US2009/0115656
【特許文献8】米国特許6,429,808
【特許文献9】米国特許5,969,672
【特許文献10】KR101092914
【特許文献11】KR102134862
【発明の概要】
【0024】
したがって、本発明の目的は、標的とされていないローミングデバイスの測位精度を向上させることである。
【0025】
本発明の具体的な目的は、歩行者の測位精度を向上させる必要性に対処する方法を提供することであり、動力車両の高められた測位精度を活用して、より有用な歩行者ナビゲーションシステムを可能にする。
【0026】
本発明の別の目的は、運転者-乗員の遭遇の有効性を向上させることである。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、GPS測位システムのGPS測位デバイスに人工衛星によって送信される、変動している人工衛星シグナルをフィルタリングによって除去することである。
【0028】
これらの目的は、本発明の異なる態様に従って、それぞれの独立請求項に係る方法によって達成される。
【0029】
具体的には、本発明の1つの態様に従って、標的とされていない歩行者デバイスの未加工のGPS測位の精度を改善するための方法が提供され、該方法は、
(a)歩行者デバイスによって、Bluetooth(登録商標)通信範囲中の近傍の車両デバイスから、車両の未加工のGPS位置と、車両の修正位置との間の、計算されたオフセットを含むメッセージを受信する工程であって、該メッセージが、計算されたオフセットを含有し、そして2つのデバイス間のペアリングの必要無しに受信される、ポップアップ通知である、工程と、
(b)歩行者デバイスによって、車両が歩行者デバイスの十分に狭い範囲内に存在することと、受信オフセットが、歩行者デバイスにとって利用可能であることとを確実にする工程であって、該受信オフセットは、相互通信を上述の狭い範囲内でのみ可能にするBluetooth(登録商標)プロトコルを利用することによって利用可能である、工程と、
(c)歩行者デバイスによって、計算されたオフセットを抽出するために前記メッセージを復号する工程と、
(d)計算されたオフセットを、歩行者デバイスの未加工のGPS測位に適用する工程であって、それによって、歩行者デバイスのより正確な位置を取得する、工程と、を含む。
【0030】
本発明の別の関連態様に従って、標的とされていない歩行者デバイスの未加工のGPS測位の精度を改善するための方法が提供され、該方法は、
(a)歩行者デバイスによって、短距離無線プロトコル通信範囲中の近傍の車両デバイスから、車両の未加工のGPS位置と、車両の修正位置との間の、計算されたオフセットを含むメッセージを受信する工程であって、該メッセージが、計算されたオフセットを含有し、そして2つのデバイス間のペアリングの必要無しに受信される、ポップアップ通知である、工程と、
(b)歩行者デバイスによって、車両が前記歩行者デバイスの十分に狭い範囲内に存在することと、受信オフセットが、歩行者デバイスにとって利用可能であることとを確実にする工程であって、該受信オフセットは、測定シグナル強度が既定の閾値を超える通過車両からのシグナルのみに関連することによって利用可能である、工程と、
(c)歩行者デバイスによって、計算されたオフセットを抽出するためにメッセージを復号する工程と、
(d)計算されたオフセットを、歩行者デバイスの未加工のGPS測位に適用する工程であって、それによって、歩行者デバイスのより正確な位置を取得する、工程と、を含む。
【0031】
スマートフォンなどのほとんどのモバイル通信デバイスは、近接の他のデバイスと通信することを目的とするBluetooth(登録商標)およびLow Energy Bluetooth(BLE)などの、短距離無線通信を備えている。第1のそのようなデバイスがBluetooth(登録商標)またはBLEを備えた第2の類似のデバイスの放送範囲中にもたらされると、第1のデバイスは第2のデバイスによって検出され、そして、それら両方が、Bluetooth(登録商標)の場合には、48-ビットの固有のデバイスID(Mac-Add)と、(「Samsung S8」などの)追加的な48バイトのフリーフォーマットのデバイス記述とを含むメッセージを交換する。
【0032】
本発明は、車両の未加工のGPS測位由来のGPS測位エラーと、近傍の動力車両から該車両の近辺に位置する標的とされていない歩行者への修正測位、すなわち{ΔX,ΔY}とを伝えるために、この通信を利用する。修正データ、{ΔX,ΔY}は、フリーフォーマットのデバイス記述を使用して、歩行者の電話スキャニングに対する応答として伝えられ得る。エラーがどのようにナビゲーションシステムによって計算されるかは本来周知であり、特に本発明の特徴ではない。目的としては、車両ナビゲーションシステムが空間における粗い位置に対応する未加工のGPSデータを受信し、これは、地球システム(Earth system)全体の質量中心などの、既定の原点に対する座標{x,y,z}によって表わされる得ることが理解されれば十分である。これらの座標は緯度、経度、および高度に相当する。実際は、歩行者が車両との短距離通信内にいる場合には、いずれの高度差異も無視できる程度であると見なさすことができるため、高度は無視することができる。したがって、受信緯度および受信経度座標の座標と、対応するする正確な座標との差異が、エラー{ΔX,ΔY}を構成する。
【0033】
そのような方法で、道路の近くに立つ歩行者がBluetoothスキャングを開始し、それによって、彼の近辺を通過する任意の車両が問い合わせを受信し、そして、本発明に係る適用によって、車両GPSの未加工の測位と修正位置とから決定されるGPS位置エラーを返信する。一旦、歩行者デバイスによって受信されると、{ΔX,ΔY}修正は、本発明に係る適用によって、歩行者GPS測位に適用され得る。これは、標準のBluetooth通信またはBLE(Low Energy Bluetooth)通信によって行うことができる。両方の場合において、以下に説明されるように、歩行者BTデバイスと車両BTデバイスとの間にペアリングは必要無い。
【0034】
本説明および添付の特許請求の内容において、「標的とされていない(untargeted)」という用語は、歩行者デバイスが車両デバイスによって特に対応先であるとみなされていないことを意味するために使用される。より正確に言えば、利用される無線プロトコルに応じて車両デバイスはその計算エラーを送信し、それが通信範囲中の歩行者デバイスによって受信される。受信前には、歩行者デバイスは車両デバイスにとって未知、またはその逆である。受信後に、車両のアイデンティティーが歩行者デバイスにとって既知、またその逆となるが、いずれの場合にも、2つのデバイス間でのペアリングは開始されない。
【0035】
一実施形態では、標準のBluetooth通信が使用される。この場合、車両BTは常に可視的に設定され、そして歩行者のBTデバイスは利用可能なBT送信機をサーチする。車両デバイスのソフトウェアアプリケーションは、修正{ΔX,ΔY})を、車両デバイス名の一部としてコード化する。Bluetooth標準メッセージは通常、48ビットの車両デバイスアドレス(BD_ADDR)と最大248バイトの別のアドレスとを含み、これらは通常、車両デバイス名を含む。これらのバイトは車両デバイスアプリケーションによって{ΔX,ΔY}修正を含むように修正され、つまり、該アプリケーションが、248ビットのBTのメッセージのいくつかを、継続的に修正データに置き換える。一旦車両Bluetoothデバイスが歩行者によって検出されれば、歩行者デバイスのソフトウェアアプリケーションが、車両デバイスの受信名から修正{ΔX,ΔY}を抽出する。大切なのは、Bluetoothプロトコルによって、歩行者デバイスが範囲内の任意のBluetoothデバイスの名前を、データ交換の必要無く識別することができるため、ペアリングが必要無いということである。逆に歩行者デバイスの名前は車両デバイスに既知となるが、その位置が既知となるわけではない。
【0036】
同様の方法で、Low Energy Bluetooth(BLE)を使用することができる。車両はアドバタイザー(Advertiser)として機能し、現在の位置に関係する{ΔX,ΔY}の測位修正を、周期的に送信する。歩行者は、スキャニングしながら、応答として{ΔX,ΔY}修正を取得する。
【0037】
車両が実際に歩行者の近辺に存在することを確認するために、両方の場合において、受信シグナル強度(受信シグナル強度指示、RSSI)が、歩行者の受信器によって、車両と歩行者との間の距離の指示として使用されてもよい。そのような方法で、最大のRSSIに対応する、従って最小距離に対応する、{ΔX,ΔY}が使用されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明を理解し、かつ実際にそれがどのように実行され得るかを理解するために、ここで、実施形態が非限定的な例示のみによって、添付の図面を参照して説明される。
【
図1】本発明に係るシステムの、図による描写である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る、向上した車両位置システムと歩行者位置システムの適用によって実行される主要な操作を示す、組み合わせフローチャートである。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る、向上した車両位置システムと歩行者位置システムの適用によって実行される主要な操作を示す、組み合わせフローチャートである。
【
図4】GPS位置システムにおけるエラーの共通ソースを示す、図による描写である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明に係る一実施形態のシステム(10)の、図による描写である。システム(10)は、対象の領域に位置して、内蔵GPSモジュールを有するスマートフォン(12)を保持する、歩行者(11)を示し、該内蔵GPSモジュールは、少なくとも4つの人工衛星(13)、(13’)、(13’’)、および(13’’’)からGPSシグナルを受信する。GPSシグナルは、シグナルが人工衛星によって送信される時の時間を含む。受信器は、シグナルが受信される時の時間を記録し、そして、送信の時間と受信の時間との間の差異は、人工衛星から受信器への飛行時間を反映し、該飛行時間に光の速度を乗じると、人工衛星と受信器との間の疑似範囲が導かれる。これは、受信器のクロックが人工衛星の高度に正確な原子クロックと異なり、それほど正確ではないことから、「疑似範囲」と呼ばれる。したがって、少なくとも4つの人工衛星が、受信器の粗位置の値を既知の方法で求めるのに必要である。本説明と添付の特許請求の範囲全体にわたって、この粗位置を、GPSデバイスのGPS座標と呼ぶ。対象の領域にわたって無作為に走る車両(14)、(14’)は、人工衛星から同様にGPSのデータを受信し、そして車両のそれぞれの粗位置を決定する。明瞭さを目的として、車両の各々が単一の人工衛星だけに接続されているように示されるが、実際は、各々の車両が少なくとも4つの人工衛星からシグナルを受信し、該人工衛星は、他の車両のものと同じものかもしれず、または同じものではないかもしれず、かつ、スマートフォン(12)が受信するGPSシグナル源の人工衛星と同じかもしれず、または異なるかもしれない。同様に、
図1はスマートフォン(12)と1以上の車両との間の通信を描写するが、実際は、該通信は、スマートフォン(12)と各車両の適切な通信デバイスとの間で確立され、該適切な通信デバイスは、WAZE(商標)やSATNAV(商標)などの車両ナビゲーションシステムに連結されるか、あるいはそれらと一体化され、これらによってGPS座標の精度が向上し、各車両の正しい、または真の位置が既知となる。明瞭さを目的として、「真の」、「正しい」とは、修正位置が絶対的な意味において精確であることを意図してはおらず、むしろ、上記で説明された粗位置よりも有意により正確であることを意図している。WAZE(商標)などのナビゲーションシステムを使用する人は誰でも、次のジャンクションを左に曲がるように前もって指示され、そしてジャンクションに進入を開始すると「左に曲がりなさい」と指示されることをよく理解している。ナビゲーションシステムを非常に信頼性が高く、かつユーザーフレンドリーなものにするのは、このレベルの正確さである。
【0040】
完全性のために、
図1は、通信が第2の歩行者(11’)によって持ち運ばれるスマートフォン(12’)と車両(14’)との間で確立されるように、車両(14’)の放送範囲に位置する第2の歩行者(11’)を示す。他方、スマートフォン(12’)を持ち運ぶ第3の歩行者(11’’)は、いずれの車両の通信範囲中にも存在せず、そのため、車両デバイスとスマートフォン(12’)との間には通信が確立されない。しかし、全ての歩行者のスマートフォン(12)、(12’)、および(12’’)は、粗いGPS人工衛星データを受信することになるだろうが、簡素化を目的として、人工衛星接続の全てが図に示されているわけではない。
【0041】
車両のナビゲーションシステムは、人工衛星シグナルのみに基づいて、事前にコンパイルされ、かつ、マップへのスナップ技術などの既知の技術を使用して車両の位置を修正することを可能にする、例えば正確なマップに基づく補助データを使用して、粗位置に対する精度を向上させる。
【0042】
同様に、先進運転支援システム(ADAS)による使用のために開発されている、レーダー、ライダー、および他の機能増強物などの技術が、向上した位置精度を決定するために使用される。
【0043】
図には2台の車両しか示されていないが、実際は、時間の経過とともに、高速道、道路、道、およびオフロードの経路を走る、何千もの車両が存在し、これらの車両の位置は、正確にマッピングされており、そしてマップデータが事前にロードされているか、またはオンラインで、つまり通常インターネット(15)を通じてマップデータにアクセスできるかのいずれかのために、車両ナビゲーションシステムによってアクセス可能である。本発明は、任意の時点で、歩行者の近辺に少なくとも1台の車両が確実に近くを通過するような十分な交通の流れが存在し、そして車両ナビゲーションシステムから歩行者の位置デバイスへ、十分に短い時間間隔で、位置修正データを転送することを促進するとの仮定に基づいている。
【0044】
本発明は、車両のナビゲーションシステムと、近接の歩行者位置デバイスとの間の、無作為でアドホックな接続に基づき、車両のナビゲーションシステムによって決定された通りの、未加工の位置データ中のエラーを、歩行者位置デバイスへ伝達する。車両の歩行者に対する近接性(一般に50メートル未満)のせいで、エラーは等しく適用可能、または実質的に適用可能であると想定されてもよく、その結果、歩行者位置デバイスが同じエラーをその未加工の位置決定に適用し、それによってはるかに正確な位置の測定を確立できるようになる。
【0045】
スマートフォン(12)と該スマートフォンと通信範囲に存在する車両との間に必要な近接性は、スマートフォン(12)と車両デバイスとを、互いに通信中の2つのデバイスが近接していなければならないように限定されている無線プロトコル(つまり、近距離無線プロトコルの)によって通信するように構成することによって、あるいは、デバイスが短距離に限定されない無線プロトコルによって通信するように配置し、そして、デバイスが互いに確実に近接に存在するように、デバイス間の受信シグナル強度をモニタリングするように歩行者デバイスを構成することによって、達成される。例えば、歩行者デバイス上に存在するソフトウェアアプリケーションは、他のデバイスからのシグナルが既定のレベルを上回るシグナル強度で受信される場合にのみ、別のデバイスの測位エラーを使用するように構成され得る。
【0046】
適切な近距離無線プロトコルは、Bluetooth、またはBluetooth Low Energyである。Bluetoothは、クラス1デバイス(Class 1 device)に対して約10メートル、クラス2デバイス(Class 2 device)に対して約100メートルの、戸外で典型的な最大範囲を有している。Bluetooth Low Energyは、約50メートルの、戸外で典型的な最大範囲を有している。
【0047】
通常のBluetooth(登録商標)プロトコルと同様に、BLEも、国際的に、テレコミュニケーション以外の産業、科学、そして医療(ISM)用の目的のために準備されている、2.4GHzのISM帯域で機能する。BLEは40チャネルを有し、そのうち37がデータチャネルで3つはアドバタイジングチャネル(advertising channel)であり、各チャネルの帯域幅は2MHzで、これらのチャネル間で送信されるデータパケットは、アドバタイジングイベントと接続イベントの、2種類のイベントに配置される。
【0048】
Bluetoothアドバタイジングは許可ベースのアドバタイジングであり、つまり、モバイルデバイスがBluetoothメッセージを受信する時に、メッセージを受理するか拒否するかのいずれかの選択権を有する。これは、インターネットサーチに応じて現われる、ポップアップ広告に類似している。受信者は、広告をクリックするか、またはそれを無視するかの選択権を有する。しかし、ユーザーがどのように応答するかにかかわらず、ウェブブラウザは広告を受信かつ表示し、そして広告のコンテンツについて明らかに理解している。BLEアドバタイジングでも同様に、車両デバイスは、一般に、クラス2のBluetoothを有効化したモバイルデバイスで15~40メートルの放送範囲に存在する任意の歩行者デバイスによって受信されるアドバタイジングを、送信する。車両デバイスからアドバタイジングを受信すると、歩行者デバイスは、エラー{ΔX,ΔY}を抽出するためだけにその情報を処理し、その後、該抽出エラーデータを歩行者デバイス自身の粗い測位に適用して、より正確な位置を計算する。アドバタイジングパケットが使用可能なのは、31データバイトである。これはエラーメッセージを送信するのに十分であろうが、そうでない場合には、歩行者スマートフォンは、スキャンリクエストを通じた接続を形成することなく、アドバタイジングデバイスからより多くの情報をリクエストすることができる。BLE車両デバイスは、スキャンリクエストを受信し、そしてスキャンリクエストに応答する。
【0049】
それぞれのソフトウェアプログラムが、車両ナビゲーションシステムと歩行者ナビゲーションシステムとにインストールされている。
【0050】
したがって、
図2を参照すると、車両プログラムは、GPS位置エラーを、即時的なGPSの未加工の測位とナビゲーションシステムの修正済み測位とに基づいて継続的に計算し、そしてBLEアドバタイズメントとして放送されるエラーメッセージ{ΔX,ΔY}を生成する。車両Bluetoothが近傍の歩行者スマートフォンからの問い合わせを検出すると、車両プログラムは応答としてエラーメッセージを送信する。歩行者ソフトウェアプログラムは、Bluetoothスキャニングに対する応答としてエラーメッセージを検出し、そしてそれを歩行者スマートフォンによって取得された未加工のGPS測位に適用し、その結果、測位が修正される。
【0051】
歩行者スマートフォンに存在するソフトウェアプログラムは、BLEアドバタイジングをスキャンする。そのようなアドバタイジングが近接のデバイスから検出されると、アドバタイザーエラーメッセージ(Advertiser error message)が修正{ΔX,ΔY}を抽出するために復号され、該修正が歩行者測位を修正するために適用される。多くの都市の状況において、いくつかの車両は、異なるエラーメッセージを短い連続で、歩行者デバイスへ放送してもよい。そのような場合、歩行者デバイスは、受信メッセージのどれが最も重要であるかを知り、かつ他のメッセージを廃棄する必要がある。これは、放送シグナル上でRSSI(受信シグナル強度指標)分析を実行して、どのシグナルが最も強いか決定することによって達成される。この時、最も強いシグナルは最も近い車両によって放送されたものであると想定され、それ故に、エラーシグナルが最も関連性の高いものとなる。しかし、放送範囲が、例えばクラス2デバイスに対して10メートルといった低い値に制限されて、いずれの受信エラーメッセージも十分に信頼性が高い場合があり、このような場合には、そのような区別は不要である。
【0052】
代替的に、
図3に示されるように、BLEを使用する代わりに、標準Bluetooth通信を使用してもよい。この場合、車両BTを継続的に可視的に起動させ、そして歩行者BTは利用可能なBTデバイスをサーチする。知られているように、別の可視的デバイスの範囲に存在する可視的BTデバイスは、送信デバイスを識別する基本情報を含む、標準メッセージを送信する。この情報は通常、48ビットのデバイスアドレス(BD_ADDR)と、別の、最大で248バイトの、通常はデバイス名を含んでいるフリーテキストとを含む。実行中の車両デバイスアプリケーションは、オンザフライ(on-the-fly)で、{ΔX,ΔY}修正を含むように名前を変更し、つまり、該アプリケーションが、248ビットのBTのメッセージのいくつかを、継続的に修正データに置き換える。一旦、車両Bluetoothデバイスが歩行者デバイスに可視的になれば、修正{ΔX,ΔY}は歩行者デバイスによって受信され、そして、上述されるように抽出かつ処理されてもよい。ここでも、ペアリングは必要無い。
【0053】
明らかに、車両デバイスと歩行者デバイスの両方のアプリケーションソフトウェアは、修正{ΔX,ΔY}を相補的な方法で符号化および復号化しなくてはならない。したがって、修正{ΔX,ΔY}が車両デバイスの名前に添付されると想定すると、値ΔXを名前から分離するために、かつ、ΔXとΔYとの間を分離するために、デリミター(delimiter)が使用され得る。代替的に、バイトの一定数を、名前に割り当ててもよく、また、成分エラーΔXとΔYの各々とに割り当ててもよい。
【0054】
デバイス名をこの情報を含むように変更する方法は、それ自体は既知であり、そして一般には、車両デバイスのオペレーティングシステムに依存するだろう。例えば、https://stackoverflow.com/questions/8377558/change-the-android-bluetooth-device-nameを参照すると、発見モード(discovery mode)でデバイスを識別するのに使用されるローカルBluetooth名が、プログラム的にBluetoothAdapterタイプのsetName(String Name)を使用して、どのように変更され得るかが説明されている、例えば、
【0055】
【0056】
図4は、疑似範囲測定の正確性とGPS測位の正確性に対して考えられる、建物と他のオブジェクトの影響を示す。理想的状態はGPS#1で示され、ここでは、人工衛星と受信器との間には直接的な視線のみが存在する。この場合、人工衛星間と受信器との間の疑似範囲の測定は大気の影響のみにさらされて信頼性が高く、そして、全ての他の疑似範囲もこれと同じくらい信頼性が高いと想定すると、結果として得られる計算位置も信頼性が高いものとなるだろう。
【0057】
GPS#2の場合、人工衛星と受信器との間に直接的な視線は存在せず、そして反射シグナルのみが受信される。この場合、安定的ではあるが過大に見積もられた疑似範囲が測定され、その結果、最終計算位置にエラーをもたらすことになるかもしれない。
【0058】
GPS#3の場合、直接シグナルと反射シグナルの両方が受信される。これらの2つのシグナルは、0°と180°との間の任意の無作為の位相差で足し合わされ、したがって、結果として生じる疑似範囲は過大に見積もられるか、または過小に見積もられる。また、直接シグナルまたは反射シグナルのいずれかにおける小さな変化は相対位相を変化させるかもしれず、そこではそれらが足し合わされ、したがって、先の場合と異なり、小さな変化ですら疑似範囲における読み取りに大きな差異を引き起こすかもしれない。その結果、結果として生じる疑似範囲は不安定になり、無作為かつ高速の変動にさらされる。
【0059】
上述される実施形態では、情報がモバイル端末と車載デバイスとの間で、BluetoothまたはBLE基準に準拠する無線通信によって共有される。BTとBLEの使用が、そのアクセスの良さのために説明されてきたが、WiFiまたは恐らくはZigBeeなどの他の近距離無線プロトコルが使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0060】
本発明の別の態様によると、
図4のGPS#3の場合のように、直接シグナルと反射シグナルとの間の干渉によって生じたGPSシグナルを、フィルタリングによって除去するための新規方法が提供される。この場合、GPS#1やGPS#2とは異なり、直接シグナルと反射シグナルとの間の干渉は、予期しない、変動する疑似範囲値を作り出す。したがって、車両アプリケーションと歩行者アプリケーションの両方で、そのようなシグナルをフィルタリングによって除去することが必要である。このことは、全ての人工衛星の疑似範囲を経時的に分析し、そして経時的に変動するものをフィルタリングによって除去することによってなされ得る。この分析は全ての人工衛星に対して継続的に進行し、フィルタリングによって除去された人工衛星のシグナルは、そのシグナルが変動を止めるとすぐに復元される。「フィルタリングによって除去すること」は、例えば、変動する人工衛星シグナルのシグナル対ノイズ比(SNR)を0に設定し、位置処理にそれらのシグナルを無視させることによって達成され得る。
【0061】
この接続では、GPS人工衛星シグナルが未加工のデータの一部としてSNRを含むことに留意が必要であろう、したがって、この情報は、歩行者GPSシステムと車両GPSシステムの両方に既に利用可能であり、そして実際に、SNRがゼロである人工衛星シグナル、または他の公称の既定の閾値を下回る人工衛星シグナルは無視するために、GPS測位システムによって使用されている。したがって、両方のデバイスでソフトウェアをプログラムして、着信人工衛星シグナルのSNRを既定のSNR閾値に設定し、それを下回ると、シグナルは無視されるように設定し、同時に、着信シグナルを監視して、以前に「無視された」人工衛星からのシグナル変動が既定のSNR閾値を上回る時には、既定の閾値を超えているのであればもちろん、この人工衛星からのシグナルをこれ以上無視せずに使用することが可能である。
【0062】
完全性のために、変動の測定は、標準偏差またはその任意の適切な関数などの、該変動に関する測定振幅または測定強度に基づき得ることが理解されるであろう。
【0063】
そのような方法は、車両ナビゲーションデバイスと歩行者デバイスの両方によって、標的とされていない歩行者デバイスの未加工のGPS測位の精度を改善するための上記方法と併用して、またはその様な方法とは無関係に、のいずれかによって、実施することができる。
【0064】
また、本発明に係るシステムは、適切にプログラムされたコンピュータであってもよいことが理解されるであろう。同様に、本発明は、本発明の方法を実行するための処理ユニットによって読み取り可能であるコンピュータプログラムを企図する。本発明はさらに、本発明の方法を実行するための処理ユニットによって実行可能な命令のプログラムを具体的に具現化する機械可読メモリを企図する。
【外国語明細書】