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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032049
(43)【公開日】2022-02-24
(54)【発明の名称】血管封止を試験するバイポーラ鉗子
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220216BHJP
   A61B 17/295 20060101ALI20220216BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/295
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021129904
(22)【出願日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】63/063,505
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジュリアン・バッチェラー
(72)【発明者】
【氏名】アン・トリ・ラ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイア・シャーガス・マンダーロー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG22
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK37
(57)【要約】
【課題】血管を封止するための鉗子システムを提供すること。
【解決手段】血管を封止するための鉗子システムは、第1の顎部および対向する第2の顎部を含むことができる。第1の顎部および第2の顎部のうちの少なくとも一方は、第1の電極部分と第2の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離された第1の電極部分および第2の電極部分を有する第1の電極を少なくとも含み、第1の電極部分および第2の電極部分は、第1の電極部分および第2の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、個別に動作位置指定可能である。このことは、血管の標的封止領域のそれぞれの側部を個別に試験することを可能にする助けになり得る。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管を封止するための鉗子システムであって、前記鉗子システムは、
第1の顎部および対向する第2の顎部を含む鉗子を備え、
前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方が、第1の電極部分および第2の電極部分を有する第1の電極であって、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離された、第1の電極を少なくとも含み、
前記第1の電極部分および前記第2の電極部分が、前記第1の電極部分および前記第2の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能である、鉗子システム。
【請求項2】
横方向に分離された前記第1の電極部分および前記第2の電極部分の少なくとも一部分の間にスロットを備える、請求項1に記載の鉗子システム。
【請求項3】
前記第1の電極部分と前記第2の電極部分との間の前記スロット内に伸長可能な引込式刃をさらに備える、請求項2に記載の鉗子システム。
【請求項4】
前記第1の電極部分と前記第2の電極部分とが、前記スロットによって横方向に分離されている、請求項2に記載の鉗子。
【請求項5】
前記第1の電極部分および前記第2の電極部分がそれぞれ、前記第1の顎部の遠位部分と近位部分との間から延在する、請求項2に記載の鉗子。
【請求項6】
前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの他方が第2の電極を含む、請求項1に記載の鉗子システム。
【請求項7】
前記第1の電極および前記第2の電極が、第1のプレート電極および第2のプレート電極を備える、請求項6に記載の鉗子。
【請求項8】
前記第1の電極および前記第2の電極が、前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方の側方縁部にまたは前記側方縁部の近くに位置する、請求項6に記載の鉗子。
【請求項9】
前記第1の電極および前記第2の電極が、前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方のスロットにまたは前記スロットの近くに位置する、請求項6に記載の鉗子。
【請求項10】
前記第2の電極が、第3の電極部分および第4の電極部分を備え、
前記第3の電極部分と第4の電極部分とが、前記第3の電極部分と前記第4の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離されている、請求項6に記載の鉗子システム。
【請求項11】
前記第3の電極部分および前記第4の電極部分が、前記第3の電極部分および前記第4の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能である、請求項10に記載の鉗子。
【請求項12】
前記第1の電極から電気的に絶縁された1つ以上のセンサ電極をさらに備える、請求項1に記載の鉗子。
【請求項13】
前記1つ以上のセンサ電極が、前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方に離隔部を備える、請求項12に記載の鉗子。
【請求項14】
血管の封止部を試験する方法であって、前記方法は、
個別に動作位置指定可能な第1の電極部分および第2の電極部分を、標的封止領域の対向する側部に設置するステップと、
前記第1の電極部分を使用して、前記標的封止部領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、
前記第2の電極部分を使用して、前記標的封止部領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記第1の組織パラメータおよび前記第2の組織パラメータを個別に試験した後に、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分との間に設置可能な刃を使用して、前記血管の前記標的封止領域を切断するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の組織パラメータおよび前記第2の組織パラメータを試験する前に、前記第1の電極部分および前記第2の電極部分を有する鉗子を用いて前記標的封止領域を少なくとも部分的に封止するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、前記第2の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、が、前記血管の前記標的封止領域に封止エネルギーを印加しながら実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の組織パラメータまたは前記第2の組織パラメータの少なくとも一方に基づいて、前記血管の前記標的封止領域の前記第1の側または第2の側の少なくとも一方に、再封止エネルギーを少なくとも部分的に選択的に印加するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
再封止エネルギーを少なくとも部分的に印加するステップが、前記組織パラメータが目標値を満たすまで、追加の封止エネルギーを段階的に印加し再試験するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、前記第2の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、が同時に実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
血管の封止部を試験する方法であって、前記方法は、
個別に動作位置指定可能な第1の電極部分および第2の電極部分を標的封止領域のそれぞれのサブ領域に設置するステップと、
少なくとも1つの第1の基準が満たされるまで、前記第1の電極部分を使用して第1の前記サブ領域の第1の組織パラメータを個別に反復して封止し試験するステップと、
少なくとも1つの第2の基準が満たされるまで、前記第2の電極部分を使用して第2の前記サブ領域の第2の組織パラメータを個別に反復して封止し試験するステップと、
を含む方法。
【請求項22】
前記第1の基準または前記第2の基準の少なくとも一方が、それぞれの前記第1のサブ領域および前記第2のサブ領域のうちの対応するサブ領域の封止部の完全性を表す、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月10日に出願された米国特許仮出願第63/063,505号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は全体が本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
電気外科とは、外科患者の生体組織に何らかの方法で変化を生じさせるように電気信号(電気療法信号)を印加することである。様々な電気外科技法が、生体組織を切断、凝固、乾燥、または放電治療するために使用される。これらの電気外科技法その他は、たとえば、腹腔鏡手術などの様々な医療処置の間中に実施することができる。これらの医療処置には、盲腸切除術、胆嚢切除術、大腸切除術、膀胱切除術、胃バンド術、胃バイパス術、ヘルニア修復術、腎切除術、噴門形成術、前立腺切除術、スリーブ状胃切除術その他が含まれ得る。これらの医療処置のそれぞれには、たとえば、インテロゲーション段階、加熱段階、乾燥段階、焼灼段階などの、1つ以上の電気治療段階があり得る。
【0003】
このような医療処置の際に使用される電気治療信号は、電子機器ユニットによって生成した後、電子機器ユニットに電気的に接続できる電気外科器具を介して生体組織に供給することができる。電気外科器具は、電気治療信号が供給される生体組織に機械的および電気的に係合するように構成することができる。このような様々なタイプの電気外科器具を、たとえば、様々なタイプの鉗子、導電性スパチュラ、電気パッドなどを含めて、使用することができる。
【0004】
異なる医療処置では、これらの異なる医療処置に特定的な結果が得られるように、異なる電気治療信号を実施することができる。係合された生体組織に供給される電気治療信号の様々な電気的指標が、これらの電気治療信号を特徴付けるために使用され得る。これらの電気的指標には、極性(モノポーラ、バイポーラ)、ACおよび/またはDC、周波数、信号振幅、発作プロファイルおよび衰弱プロファイルなどが含まれ得る。これらの様々な電気治療信号を生成する電子機器ユニットは、これらの電気的指標のうちの1つ以上を制御して、電気外科器具に係合された生体組織に有効な結果をもたらす1つ以上の電気治療信号を供給することができる。
【0005】
バイポーラ鉗子は、血管などの組織を封止および切断するために使用することができる。バイポーラ鉗子は、対象の組織を把持するために使用できる顎部を含むことができ、それぞれの顎部は、1つ以上の電極をホストすることができる。バイポーラ鉗子は、第1の電極から組織を介して第2の電極へ電流を流すことによって、(たとえば、組織を凝固させることによって)血管を封止するために使用することができる。バイポーラ鉗子はまた、封止後に血管を切断するための刃を含むこともできる。
【0006】
本開示では、切断部の両側に対する従来の標準的な測定法とは対照的に、切断部のそれぞれの側の封止部を個別に試験することができる、血管を切断するための鉗子および刃を使用するシステムおよび方法を提示する。少なくとも1つの鉗子顎部は、電極部分の間に横方向の割れ目を含むことができ、それにより、電流を一方の側または他方の側を経由して個別に導き、そちらの側の切断部の組織パラメータ(たとえば、インピーダンス、抵抗、または位相角)を試験して、そちらの側の切断部の封止強度を決定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気外科鉗子はしばしば、(血管などの)組織を封止し、次に、その封止された組織を二等分に切断して2つの封止された組織部分を得るために使用される。組織を封止した後に、しかし切断する前に、封止部は、封止が良好であり破裂しないことを確実にするために試験することができる。しかし、従来の試験技法では、封止を表す1つの標準的な電気的パラメータとして、封止部の、両側を含む全体の各電気的パラメータに依拠している。一旦切断されると、2つに分断されたその封止部には、場合によって良好な1つの封止部とあまり良好ではない1つの封止部とが含まれ得る。この場合には、第2の封止部が破裂するリスクがある。本明細書で論じられる方法およびシステムは、封止部の両側を独立して試験できるようにし、また、切断の前に封止部の片側または両側を修復したり、やり直ししたりする必要があるかどうかをオペレータが理解できるようにする。
【0008】
高周波(「RF」)血管封止はしばしば、様々な組織を封止および切断するために使用される。多くの場合、封止部がHF血管封止デバイスを用いて生成され、その後に切断される。封止が十分ではない場合には、封止された血管の一方の側に不具合が生じることになり得るが、血管の他方の側には強い封止部がある。こうしたことは、組織構造の異常、組織内の堆積物、組織の脆弱性によって生じ得る。封止部は、封止装置から発電機への電気的フィードバックによって試験することができる。しかし、従来の検査方法では、封止部のそれぞれの側を個別に検査せず、代わりに、「完全な封止サイクル」に関する発電機へのフィードバックに依拠しており、それにより、封止部のどちらの側も個別に評価することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書には、封止処理中または封止処理後のある時点に封止部の両側を別々に評価して、封止処置および切断処置の間中に封止部の一方の側に問題があるかどうかについての理解の改善を可能にする方法および関連するシステムが開示されている。これにより、適切に封止されていない血管を切断しないようにすること、および、バイポーラ鉗子を使用する電気外科処置中により高い効率をより少ない出血で可能にすることができる。
【0010】
一例では、血管を封止するための鉗子システムは、第1の顎部および対向する第2の顎部を含む鉗子を含むことができる。第1の顎部および第2の顎部のうちの少なくとも一方は、第1の電極部分と第2の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離された第1の電極部分および第2の電極部分を有する第1の電極を少なくとも含むことができる。第1の電極部分および第2の電極部分は、第1の電極部分および第2の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能(addressable)とすることができる。
【0011】
一例では、血管の封止部を試験する方法は、個別に動作位置指定可能な第1の電極部分および第2の電極部分を、血管の対向する側部に設置するステップと、第1の電極部分を使用して、血管の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、第2の電極部分を使用して、血管の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、を含むことができる。
【0012】
必ずしも原寸に比例して描かれていない図面において、同じ数字が別々の図で同様の構成要素を表していることがある。異なる添え字を有する同じ数字が、同様の構成要素の異なる例を示していることがある。図面は、本明細書で論じられている様々な実施形態を限定するものではなく、例示的なものとして一般的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一例としての、発電機と、バイポーラ電極を有する器具と、を含む、バイポーラ血管封止のための電気外科システムを描く図である。
図2】電気外科手術システムの制御ユニットを描く図である。
図3A】一例としての、バイポーラ電極の概略図である。
図3B】一例としての、バイポーラ電極の概略図である。
図3C】一例としての、バイポーラ電極の概略図である。
図4A】一例としての、バイポーラ電極の概略図である。
図4B】一例としての、バイポーラ電極の概略図である。
図4C】一例としての、バイポーラ電極の概略図である。
図5】一例としての、電極構成の透視図である。
図6】一例としての、複数のセンサ電極を有する電極構成の透視図である。
図7】一例としての、センサ電極として分離電極を有する電極構成の透視図である。
図8】一例としての、プレート上に2つのセンサ電極を持つ電極構成の透視図である。
図9】一例としての、メインプレートの外側にセンサ電極を持つ電極構成の透視図である。
図10】一例としての、複数の電極を持つ電極構成の透視図である。
図11】センサ電極アレイを持つ電極構成の透視図である。
図12】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
図13】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
図14】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
図15】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
図16】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
図17】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
図18】一例としての、封止血管を試験する方法を描いているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示では、特に、血管の封止および切断のための電気外科システムについて説明する。この電気外科システムは、標的封止領域の対向する側部同士を試験するのに独立して動作位置指定できるような横方向に分離され電気的に絶縁された電極を用いて、封止部をより集中的に試験できるようにするのに役立ち得る。
【0015】
電気外科器具に係合された生体組織を電気外科的に封止または凝固させることは、様々な医療処置において用いられる電気外科技法である。係合された生体組織は、係合された生体組織を制御された方法で加熱することによって、電気外科的に封止することができる。いくつかの医療処置では、封止される生物学的組織は血管などの管である。血管を加熱すると、血管壁に見られるコラーゲンを変性させることができる。この変性したコラーゲンは、血管壁の間で接着剤として機能するゲル状の物質を形成することができる。強制的に一緒にして、冷却しながら一緒に維持すると、血管の対向する壁同士が封止部を形成することができる。
【0016】
血管の加熱は、血管に供給されるエネルギーが少なすぎることも多すぎることもないように慎重に制御することができる。供給されるエネルギーが多すぎると、血管壁の炭化および/または燃焼が起こるおそれがある。供給されるエネルギーが少なすぎると、血管の封止品質が悪くなるおそれがある。封止品質の尺度の1つは、封止された血管が破裂せずに耐えることができる圧力差である。低品質の封止部は、閾値を超える印加圧力などの1つ以上の基準を封止部が満たした場合に、危うくなるおそれがある。
【0017】
エネルギーが血管に供給される速度もまた、電気外科処置の迅速な実行を促進するように慎重に制御することができる。電気外科処置を迅速に実行すると、これらの処置の時間および困難性が減少する。しかし、加熱の速度は、生体組織内での制御されない流体の沸騰を引き起こすほどに急速であってはならない。制御されない沸騰により、係合している、または近くにある生体組織が破裂し、かつ/または封止部の品質が損なわれるおそれがある。
【0018】
係合された生体組織を加熱することは、係合された生体組織に供給される、かつ係合された生体組織によって放散される電気治療信号の電力を制御することによって、制御することができる。このような電力は、封止エネルギー印加スケジュールに従って制御することができる。封止スケジュールは、係合された生体組織にわたる電圧差と係合された生体組織によって伝導される電流との積を表すことができる。したがって、封止スケジュールは、電力スケジュールとして提示することができる。
【0019】
バイポーラ血管封止では、結果として得られる封止部は、血管封止サイクルの間中または最後の段階などに、上顎部から下顎部まで試験することができる。この試験は、インピーダンス、抵抗、位相角、温度、供給電力、またはこれらの組み合わせを試験することによって完遂することができる。たとえば、係合された生体組織の電気抵抗が所定の閾値を超えて増加したことを検出することにより、封止が完了していることを示すことができる。指定抵抗変化値を超える電気抵抗のこのような増加は、たとえば、血管を封止するための終了基準として用いることができ、ここで、指定抵抗変化値とは、測定された抵抗(またはインピーダンス)とパルスによって測定された抵抗(またはインピーダンス)の最低値または他のベースライン値との差のことである。
【0020】
しかし、血管封止を試験するための、抵抗またはインピーダンスなどの電気的パラメータの測定結果または検知結果は、1つのアプローチでは、封止鉗子の上顎部から下顎部までの封止部全体にわたる平均値と解釈される。この手法では、2つの電極の間で取得される平均検知データがもたらされて、封止部の両側からの情報を表し、融合することができる。封止後、血管の標的封止領域が2つの部分に切断されて、各部分に1つの封止部が得られる。封止部の一方の側は良好だが、もう一方の側は失敗しているか圧力に耐える能力が低ければ、このような封止部は、切断動作中またはその後に漏洩したり破裂したりするおそれがある。このため、封止部の両側の完全性を個別に試験することが、特に切断の前に実施されると有益である。
【0021】
図1は、発電機と、切断、試験、封止または他の方法で組織に影響を及ぼすためのバイポーラ電極を有する鉗子と、を含むような、バイポーラ血管封止のための電気外科システム10の一部分の一例を描いている。図1では、鉗子は、腹腔鏡鉗子として描かれている。他の例では、鉗子は、開腹鉗子または他の適切なタイプの鉗子とすることができる。図1において、電気外科システム10は、電気外科発電機および制御電子機器ユニット12と、生体組織16に係合していることが示されている鉗子14と、を含むことができる。電子機器ユニット12は、電気治療信号を生成することができ、この電気治療信号は、係合された生体組織16に鉗子14などを介して供給することができる。
【0022】
鉗子14は、バイポーラ鉗子などの電気外科鉗子とすることができる。鉗子14は、血管、生体組織、静脈、動脈、または他の解剖学的特徴もしくは対象を操作、係合、把持、切断、焼灼、封止または他の方法で影響を及ぼすような、開放性および/または腹腔鏡医療処置などの医療関連処置に使用することができる。
【0023】
鉗子14は、ハンドピース18、シャフトアセンブリ20、ナイフ刃アセンブリ22、および把持アセンブリ24を含むことができる。鉗子14は、電子機器ユニット12に電気的に接続することができ、この電子機器ユニットは、電気治療信号を生成し、生成された電気治療信号を鉗子14に供給することができる。この場合、鉗子14は、電気治療信号を把持アセンブリ24まで電気的に伝達することができ、この把持アセンブリは、焼灼、封止その他のこのような電気外科技法など、様々な電気外科技法に使用することができる。
【0024】
ハンドピース18は、ハンドル26、把持レバー28、ナイフトリガ30、電気治療起動ボタン32、および回転ホイール34を含むことができる。把持アセンブリ24は、第1の顎部材36および第2の顎部材38を含むことができる。シャフトアセンブリ20は、近位端においてハンドピース18に連結され、遠位端において把持アセンブリ24に連結される。シャフトアセンブリ20は、ハンドピース18から長手方向40に把持アセンブリ24まで遠位に延在することができる。
【0025】
シャフトアセンブリ20は、鉗子14の一部分(たとえば、把持アセンブリ24およびシャフトアセンブリ20の遠位部分)を、鉗子14の残りの部分(たとえば、ハンドピース18およびシャフトアセンブリ20の残りの近位部分)が患者または他の生体組織の外側にある間に、患者または他の生体組織の中に挿入することを可能にするように機能することができる。シャフトアセンブリ20は、1つ以上の角部、屈曲部、および/または円弧部を含むことができる。シャフトアセンブリ20は、ハンドピース18から把持アセンブリ24まで延在する、円形、楕円形、または他の断面外形を有する円筒、または他の細長い部材とすることができる。シャフトは、屈曲可能、操縦可能、または別様に湾曲可能とすることができる。
【0026】
いくつかの例では、シャフトアセンブリ20は、ナイフ刃アセンブリ22を囲むことができるような細長い中空部材(たとえば、管状の外側シャフト)と、ナイフ刃アセンブリ22をナイフトリガ30に結合するための機械的連結部と、を含むことができる。一般に、シャフトアセンブリは、長手方向40に沿って力を伝達するのに十分な剛性を有する任意の細長い部材とすることができる。シャフトアセンブリ20はまた、ハンドピース18と把持アセンブリ24との間で電気通信を行うためなどの、それによって電気治療信号を伝達するような1つ以上の導電性要素(たとえば、電線、導電性外軸および/または導電性内軸など)を含むこともできる。
【0027】
ハンドピース18の把持レバー28、ナイフトリガ30、電気治療起動ボタン32および回転ホイール34はそれぞれ、シャフトアセンブリ20の遠位端またはその近くなどにおいて様々な駆動をもたらすように構成することができる。たとえば、把持レバー28の起動は、シャフトアセンブリ20の遠位端における把持アセンブリ24の動作を制御するように構成することができる。把持レバー28は、開形態位置(図1に図示)と、把持レバー28がハンドル126に向かって近位に移動する閉形態位置と、の間で移動可能な把持アクチュエータを含むことができる。把持レバー28がハンドル126に向かって閉形態位置まで近位に移動すると、把持アセンブリ24が開形態から閉形態に移行する。把持レバー28が遠位方向に開形態位置まで移動すると(たとえば、把持レバー28を解放すると)、把持アセンブリ24が閉形態から開形態へ移行することができる。
【0028】
把持アセンブリ24の開形態と閉形態との間のこのような移行は、第1の顎部材36と第2の顎部材38が離れている開形態(図1に図示)と、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間の隙間が減少するかなくなっている閉形態と、の間を、第1の顎部材36および第2の顎部材38のうちの1つ以上が移動することによって行うことができる。電気外科システム10では、第1の顎部材36と第2の顎部材38とは互いに対置可能であり、これらの対置可能な第1の顎部材36と第2の顎部材38との間の電気伝達を、生体組織16の試験、切断、封止または他の診断もしくは治療などのために、クランプされた生体組織16を介して可能にするような方法で、生体組織16を顎部材の間でクランプするように構成することができる。
【0029】
シャフトアセンブリ20内の機械的連結部は、把持レバー28の起動などに応じて、第1の顎部材36および第2の顎部材38のうちの1つ以上を開形態と閉形態との間で移動させるように構成することができる。
【0030】
ナイフトリガ30の起動は、シャフトアセンブリ20の遠位端にあるナイフ刃アセンブリ22の動作を制御するように構成することができる。ナイフ刃アセンブリ22は、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間にクランプされた生体組織または他の対象物を切断、切除または他の方法で影響を及ぼすように構成することができる。ナイフトリガ30は、切断刃の後退形態位置と、切断刃の配置または伸長形態位置と、の間で移動可能なナイフ刃アクチュエータを含むことができ、この配置または伸長された形態位置では、ナイフトリガ30がハンドル126に向かって近位に移動して、第1の顎部材36と第2の顎部材38との間にクランプされている生体組織16をナイフ刃アセンブリ22が切断する。ナイフトリガ30が配置形態位置までハンドル126に向かって近位方向に移動すると、ナイフ刃アセンブリ22の切断刃が生体組織16に係合し、それによって生体組織16を切断することができる。ナイフトリガ30が遠位に移動すると、切断刃は、クランプされた生体組織16から後退することができる。
【0031】
回転ホイール34は、シャフトアセンブリ20の遠位端のナイフ刃アセンブリ22および把持アセンブリ24のうちの1つ以上の回転形態を制御し、かつ/またはシャフトアセンブリ20の回転形態を制御するように構成することができる。回転ホイール34を動かすと、シャフトアセンブリ20、ナイフ刃アセンブリ22、および把持アセンブリ24のうちの1つ以上を、長手方向40に延在する軸のまわりに回転させることができる。このように回転制御することにより、把持アセンブリおよび/またはナイフ刃アセンブリと、クランプされた生体組織16との位置合わせが容易になり得る。
【0032】
治療起動ボタン32は、係合した生物学的組織16への電気治療信号の生成および/または送達を制御するように構成することができる。治療起動ボタン32が起動すると、たとえば、電子機器ユニット12から引き出された電気治療信号が第1の顎部材36および第2の顎部材38、遠隔パッド(図示せず)、または鉗子14の他の部分のうちの1つ以上に印加されて、患者または他の生体組織を焼灼、封止または他の方法で電気的に影響を及ぼすことができる。
【0033】
図2は、図1を参照して上で論じたような電子機器ユニット212および鉗子214を含むことができる、電気外科システム200のブロック図を描いている。電子機器ユニット212は、鉗子214が被係合生体組織216へ送出する高周波(「HF」)電気信号などの電気治療信号を生成するように構成することができる。
【0034】
電子機器ユニット212は、機器インターフェース242、電気エネルギー源244、測定回路246、制御回路248、およびユーザインターフェース250を含むことができる。機器インターフェース242は、信号ドライバ、バッファ、増幅器、ESD保護デバイス、および電気コネクタ252を、構成要素の中でもとりわけ含むことができる。電気コネクタ252は、電子機器ユニット212と鉗子214との間の電気伝達を行うために、鉗子214を電子機器ユニット212に電気的に結合するように構成することができる。このような電気伝達を用いて、これらの間で動作電力および電気信号を伝送することができる。鉗子214は、電気コネクタ252とそれが係合された生体組織との間の電気伝達を行うことができる。
【0035】
電気エネルギー源244は、電気的に接続された鉗子214を介して被係合生体組織へ送出されるべき電気治療信号を生成するように構成することができる。生成された電気治療信号は、特定の電気外科処置に関して所望の結果が得られるように制御することができる。たとえば、電気治療信号は、被係合生体組織を封止するなどの外科的影響を及ぼすために、被係合生体組織を抵抗加熱するように構成することができる。
【0036】
測定回路246は、接続された鉗子214に係合された生体組織の1つ以上の電気的パラメータを測定するように構成することができる。測定回路246は、電子機器ユニット212が電気コネクタ252を介して鉗子214に電気的に接続されると、接続された鉗子214と電気通信することができる。測定回路246の様々な例は、様々な電気的パラメータの1つ以上を測定するように構成することができる。たとえば、測定回路246は、被係合生体組織216にわたる電圧差と、被係合生体組織216によって伝導される電流と、を測定するように構成することができる。いくつかの例では、測定回路246は、被係合生体組織にわたって加わる電圧差と、被係合生体組織によって伝導される電流と、の間の位相角を測定するように構成することができる。いくつかの例では、測定回路246は、被係合生体組織の1つ以上のDCおよび/またはACの電気的パラメータを測定するように構成することができる。
【0037】
測定された1つ以上のパラメータを使用して、1つ以上の他の指標を決定することができる。たとえば、被係合生体組織にわたって加わる電圧差、被係合生体組織によって伝導される電流、またはこれらの間の位相角の測定値を使用して電気抵抗、複素インピーダンスを決定することができ、またはさらに、これらを使用して、被係合生体組織に供給される皮相電力(VA)または有効電力(W)を決定することもできる。このような電気的パラメータの測定値は、被係合生体組織への電気治療信号の送出を制御するために使用することができる。
【0038】
制御回路248は、電気エネルギー源244および測定回路246に電気的に接続することができ、その動作を制御するように構成することができる。制御回路248により、電気エネルギー源244は、電気的に接続された鉗子14に係合された生体組織へ電気治療信号を供給することになり得る。制御回路248により、電気エネルギー源244は、生成された電気治療信号が特定の電気外科処置のために制御されるように、電気治療スケジュールに従って電気治療信号を生成することになり得る。このような電気治療スケジュールを使用して、様々な種類の電気治療を実施することができる。いくつかの例では、被係合生体組織に供給される電気治療信号の有効電力(W)、電圧差(V)、電流(A)、または皮相電力(VA)を電力スケジュールに従って制御することができる。
【0039】
制御回路248により、電気エネルギー源244は、被係合生体組織にわたる電圧差と被係合生体組織によって伝導される電流との積が電気治療スケジュールに従って制御されるように、エネルギーを被係合生体組織へ供給することになり得る。制御回路248は、決定された有効電力と電気治療スケジュールとの比較を用いて、ユーザまたは他の装置に情報を提供するために使用されるエラー信号または他のインジケータ信号を生成することができる。このようなインジケータ信号は、電気エネルギー源244を含む閉ループフィードバックシステムにおいて、電気治療スケジュールに従って電気治療信号を生成するように使用することができる。
【0040】
制御回路248は、プロセッサ254およびメモリ256を含むことができる。制御回路248は、タイマまたはクロックを含むことができる。プロセッサ254は、プログラムメモリ256Pに記憶された命令などの、電気外科システム10内で実行するための機能または処理命令を実施するように構成することができる。プロセッサ154は、これらのプログラム命令を実行して、電気エネルギー源244に、指定電気治療スケジュールに従って電気治療信号を生成させることができる。指定電気治療スケジュールは、たとえば、データメモリ256Dから取り出すことができる。プロセッサ254は、測定回路246によって測定された1つ以上の電気的パラメータと取り出された指定電気治療スケジュールとを比較することができる。プロセッサ254は、1つ以上のコマンドを電気エネルギー源244および/または測定回路246へ送信することができる。プロセッサ254はまた、ユーザインターフェース250から情報を送信または受信することもできる。
【0041】
図2は、電子機器ユニットの一部分の概略図の一例を描いている。様々な例において、図1の電子機器ユニット12は、図2の様々な要素、または他の様々な要素を使用して実現することができる。たとえば、プロセッサ254は、マイクロプロセッサ、制御回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他の同等の個別論理回路または集積論理回路のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
【0042】
メモリ256は、動作中に情報を電気外科システム210内に記憶するように構成することができる。メモリ256は、いくつかの例では、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体として記載される。いくつかの例では、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、非一時的な媒体が含まれ得る。用語の「非一時的な」は、記憶媒体が搬送波または伝搬信号として具現化されないことを示し得る。いくつかの例では、非一時的な記憶媒体は、経時的に変化し得るデータを記憶することができる(たとえば、RAMまたはキャッシュに)。いくつかの例では、メモリ256は一時的なメモリであるので、メモリ256の主目的が長期記憶ではないことを意味している。メモリ256は、いくつかの例では、揮発性メモリとして記載されているので、メモリ256が、電気外科システム200への電力がオフになると、記憶されたコンテンツを保持しないことを意味している。揮発性メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、および他の形の揮発性メモリが含まれ得る。いくつかの例では、メモリ256は、プロセッサ254が実行するプログラム命令を記憶するために使用される。メモリ256は、一例では、電気外科システム200上で実行されるソフトウェアまたはアプリケーション(たとえば、電気外科器具に係合された生体組織に供給される電気治療信号の電気的制御を実施するソフトウェアプログラム)によって使用されて、たとえば、データメモリ256Dにおけるように、プログラム実行中に情報を一時的に記憶する。
【0043】
メモリ256はまた、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むこともできる。メモリ256は、揮発性メモリよりも大量の情報を記憶するように構成することができる。メモリ256はさらに、情報を長期記憶するように構成することもできる。いくつかの例では、メモリ256は、不揮発性記憶素子を含む。このような不揮発性記憶要素の例としては、磁気ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、または電気的プログラム可能メモリ(EPROM)もしくは電気的消去可能プログラム可能メモリ(EEPROM)の形を挙げることができる。
【0044】
ユーザインターフェース250は、電気外科システム200とユーザ(たとえば、外科医または技師)との間で情報を伝達するために使用することができる。ユーザインターフェース250は、通信モジュールを含むことができる。ユーザインターフェース250は、様々なユーザ入出力デバイスを含むことができる。たとえば、ユーザインターフェースは、様々な表示装置、可聴信号発生器、ならびにスイッチ、ボタン、タッチスクリーン、マウス、キーボードなどを含むことができる。
【0045】
ユーザインターフェース250は、一例では、通信モジュールを利用して、1つ以上の無線もしくは有線ネットワークまたはその両方などの1つ以上のネットワークを介して、外部デバイスと通信することができる。通信モジュールは、イーサネットカードなどのネットワークインターフェースカード、光トランシーバ、高周波トランシーバ、または情報を送受信できる他のタイプのデバイスを含むことができる。このようなネットワークインターフェースの他の例としては、Bluetooth(登録商標)、3G、4G、およびWi-Fi無線コンピューティングデバイス、ならびにユニバーサルシリアルバス(USB)デバイスを挙げることができる。
【0046】
図3A図3Cは、バイポーラ組織の切断部を切断および封止するように構成できるような鉗子300の概略図の例を示す。鉗子300は、個々に動作位置指定可能な第1の部分314および第2の部分316を含むことができるような、第1の電極312を持つ第1の顎部310を含むことができる。鉗子300はまた、第2の電極322を持つ第2の顎部320を含むこともできる。刃スロット315の一部分は、第1の電極312の第1の部分314と第2の部分316との間などの、第1の顎部310の上に位置し得る。
【0047】
第1の顎部310および第2の顎部320は、鉗子300の対向するアームとすることができ、また、アームの間で血管または他の組織をクランプまたは治療できるように成形、寸法設定、または形成することができる。鉗子顎部310、320は、図1を参照して論じたように、鉗子300の動作中などに、顎部の開閉を可能にできるようなヒンジまたは他の旋回機能によって、近位部分において連結することができる。鉗子300の遠位部分は、第1の電極312および第2の電極322をホストすることができる。第1の顎部310には、刃スロット315の少なくとも一部分を設けることができる。鉗子300は、第1の顎部310および第2の顎部320の各遠位部分が離れている開位置と、第1の顎部310と第2の顎部320とが接近している閉位置と、の間で動かすことができる。
【0048】
任意選択の刃スロット315は、第1の顎部310の少なくとも一部分に沿って長手方向に延在することができる。刃スロット315は、切断を可能にするためにスロット内に伸長できる刃を受け入れるように成形および寸法設定することができる。
【0049】
第1の電極312および第2の電極322は、組織を封止するための高周波(RF)または他の電気治療エネルギーを印加するなどの、電気治療電極として使用することができる。第1の電極312および第2の電極322は、治療のために標的組織部位に電流を供給できる電子機器ユニット12と電気通信することができる。第1の電極312は、鉗子300の第1の顎部310の上に位置することができ、第2の電極322は、鉗子300の第2の顎部320の上に位置することができる。
【0050】
第1の電極312および第2の電極322は、第1の顎部310および第2の顎部320の表面に沿ってそれぞれ延在するプレートのように、または、図5図11を参照して以下で説明するように、必要に応じて他の形状またはサイズに形づくることができる。第1の電極312と第2の電極322とは、同様の形状およびサイズであっても異なる形状およびサイズであってもよい。場合によっては、第1の電極312および第2の電極322のそれぞれは、多電極として機能するように個別に、またはグループで動作位置指定できるような複数の部分を含むことができる。
【0051】
第1の電極312の第1の部分314および第2の部分316は、これらが互いに電気的に絶縁可能になるように、また、検知、封止または他の駆動目的のために別々に駆動されることが可能になるように、独立して動作位置指定可能とすることができる。第1の部分314および第2の部分316は、各部分314、316を別々に起動させることができるように、電気外科発電機および制御電子機器ユニット12に個別または別々に接続することができる。これらの部分314、316とユニット12との間の接続は、たとえば、鉗子300の、それぞれの部分314、316まで延びる別々の、他方とは別の導体を用いて行うことができる。このような別々の導体は電気的に絶縁することができ、それにより、部分314,316のうちの1つだけと電気通信することができる。一例では、別々の導体は、鉗子の顎部を経由して延在してハンドル内のスイッチングマトリクスに戻ることができる。一例では、スイッチング回路は、少なくとも2つの電極部分を独立して動作位置指定できるようにするために、遠位部分に向けて鉗子300に実装することができる。
【0052】
たとえば、第1の電極312は、鉗子300によって生成された標的封止領域の2つの側部の試験を可能にするように、第1の部分314および第2の部分316などの2つ以上の電気的に絶縁可能な部分に分割することができる。こうすることは、標的封止領域のこれらの別々の側部を封止の的確性について、標的封止領域のこれら別々の側部の間で組織を切断する前などに試験するなどの、標的封止領域の2つの側部を独立してインテロゲートすることを可能にするのに役立ち得る。場合によっては、意図された切断ゾーンの2つの側部、または刃スロットの2つの側部を、標的封止領域と同様に試験することができる。たとえば、第1の電極312の第1の部分314と第2の部分316とは、チャネル、ゾーン、または刃スロット315などによって、横方向に分離することができる。こうすることにより、第1の部分314を標的封止領域の第1の側に配置すること、および第2の部分316をその標的封止領域の横方向に対向する側部に配置することが可能になるので、これらの間で組織を切断するより前に、対応する場所の封止特性を個別に試験できるようになる。鉗子300では、第2の電極322は、複数の部分を持たない1つの電極を含むことができ、または第2の電極322は、以下の図4A図4Bを参照して示され説明されるように、第1の電極312のそれぞれの部分に対応するような、複数の部分を含むことができる。
【0053】
図3Aは、血管などの標的封止領域を鉗子300を使用して封止することができる、封止ステップを描いている。図3Aでは、鉗子300は、第1の顎部310と第2の顎部320との間に標的組織330(血管など)の一部分をクランプすることができる。
【0054】
封止段階の間中、第1の電極312と第2の電極322とは、異なる極性に設定することができる。封止信号または封止パルスからの電気エネルギーは、第1の電極312と第2の電極322との間で交互に、組織を通して顎部の側部の間に伝わって、顎部の間の組織を凝固させることができる。これにより、顎部の間に標的組織の標的封止領域340を生成することができる。標的封止領域340は、第1の側342および第2の側344を有し得る。組織は、米国特許仮出願第62/845,647号明細書に記載されているように、封止、乾燥または他の方法で調製することができる。同出願の全体は、較正および調製についてのその記述を含めて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
封止信号または封止パルスの、抵抗、インピーダンス、または位相角などの1つ以上の電気的パラメータは、封止段階の間中またはその後に監視することができる。ある個別の監視電気的パラメータ、または導出複合表示が1つ以上の基準を満たした(たとえば、所定の電気的パラメータが所定の閾値に到達した)場合、システムは、封止段階が完了していること、および所望の封止の終止点に到達したことを示すことができる。このことは、ユーザインターフェース、光、音、触覚表示、または他の適切な信号などの表示を通して、オペレータに伝えることができる。
【0056】
図3Bおよび図3Cにおいて、図3Aで作られた標的封止領域340のそれぞれの横方向側部を個別に試験することができる。最初に、図3Bに示すように、標的封止領域340の第1の側342が試験される。次に、図3Cでは、標的封止領域340の第2の側344が試験される。試験目的のために、第1の顎部310は、手術環境の標的封止領域340内の組織の導電率、固有抵抗、インピーダンス、位相角、リアクタンス、抵抗、キャパシタンス、インダクタンス、またはこれらの1つ以上の組み合わせを測定するためにセンサインターフェース回路に伝達できる電気信号を検出するなどのための電気信号センサとして機能できるような、第1の電極312自体、またはその一部分314、316を含むことができる。場合によって、電気信号は、第1の電極部314、第2の電極部316、または第2の電極322のうちの1つ以上を、互いに組み合わせて、またはセンサインターフェース回路に結合できる1つもしくは複数の他のセンサ電極と組み合わせて、含むことができる。
【0057】
たとえば、選択された電極または電極部分を使用して電気信号を検出することができ、この電気信号からセンサインターフェース回路は、標的組織の実数値または複素数値の電気インピーダンスまたはコンダクタンス(たとえば、導電率、電気固有抵抗、電気インピーダンス、コンダクタンス、位相角、リアクタンス、抵抗、静電容量、インダクタンスなど)の指標を処理および抽出することができる。封止部の凝固レベルは、これらの電気信号および電気特性に影響を及ぼし得る。
【0058】
場合によって、電気信号インターフェース回路には、電気外科信号または別個の電気試験信号を使用して組織に指定の電流または電圧を送出できるようなインピーダンスセンサを設けることができ、このセンサは、リード線または電極の直列インピーダンスを差し引くときなどに、組織インピーダンスを表す応答電圧または電流を測定することができる。3点または4点プローブまたは同様のインピーダンス検出電極構成が、大きい試験信号または電気外科信号の影響から隔離されている高入力インピーダンス検知インターフェース増幅器による応答変量の検出を、このような信号を送出するために使用される電極に接続されたリード線のインピーダンスを通して可能にするなどのために、使用され得る。たとえば、このような3点または4点プローブは、試験信号または電気外科信号を送出するためにバイポーラ電極を使用することができ、また、高入力インピーダンス検知インターフェース増幅器への応答変量を検知するための1つ以上の追加の電極を含むことができる。したがって、インピーダンスセンサは、第1の電極312、追加または別個のインピーダンス検知電極を使用することを含み得る。
【0059】
インピーダンス情報はまた、高周波AC電気外科適用例などにおけるAC回路の電流と電圧との間の位相関係を記述できるような、位相角情報を含み得る。位相角は、組織インピーダンスに印加される電圧と、組織インピーダンスを通して駆動される電流と、の間の位相差を示すことができる。組織インピーダンスが静電容量やインダクタンスなどの無効成分を含み得るので、結果として生じる電流は、印加電圧より遅れるか(たとえば、誘導成分による位相シフト)、印加電圧より先に進むか(たとえば、容量成分による位相シフト)のどちらかになる。位相角は、たとえば、所定の時間における電流と電圧との間で、電流および電圧の検出された各エッジまたは他の各基準値もしくは閾値に対応する時間同士を比較することによって決定することができる。
【0060】
位相角信号処理回路は、離散フーリエ変換(DFT)などの技法を適用するなどして、この比較を遂行することができる。たとえば、解析される信号のサンプルは、正弦関数と余弦関数との両方のそれぞれなどと、ポイントごとに相関させることができる。適宜、余弦部分を実数と呼び、正弦部分を虚数と呼ぶことができる。解析される信号に位相シフトがない場合、DFTの結果は100%実数になる。解析される信号に90度の位相シフトがある場合、DFTの結果は100%虚数になる。DFTの結果に実数成分と虚数成分との両方がある場合、位相角は、虚数値と実数値との比のアークタンジェントとして計算することができる。
【0061】
標的組織の、導電率、固有抵抗、インピーダンス、または位相角などの1つ以上の電気的特性は、電気外科の試験段階全体を通して、または電気外科の試験段階中に断続的に送出できるような1つ以上の「検知パルス」の間中に、検知することができる。
【0062】
たとえば、図3Bにおいて、第1の電極312の第1の部分314は、第2の電極322と反対の極性に設定することができる。第1の部分314とは電気的に絶縁し個別に駆動することができる、第1の電極312の第2の部分316は、第1の電極312の第1の部分314および第2の電極322が、第1の電極312の第1の部分314に最も近い標的封止領域340の側部に対して組織特性を試験するために使用されている間、接地すること、またはフローティング出力部として動作させるように構成することのどちらかができる。この場合、電流が第2の電極322から、標的封止領域340の第1の側342を通って第1の電極312の第1の部分314まで、第1の電極312の第2の部分316を除いて流れる。したがって、第1の電極312の第1の部分314は、局部組織特性センサとして機能して電気信号を供給し、この電気信号からセンサインターフェース回路は、標的封止領域340の電流通過部分に形成された封止部の局部品質を示す、インピーダンス、抵抗、または電流もしくは電力の他の電気的パラメータのうちの1つ以上を検出することができる。制御回路148はそのパラメータを、標的封止領域340の第1の側342の封止の強度が十分であるとみなされるための1つ以上の基準を満たしているかどうかを示すためなどに、閾値などの1つ以上の基準と比較することができる。
【0063】
標的封止領域340の第1の側が試験された後、図3Cに示されるように、標的封止領域340の第2の側344を試験することができる。ここで、第1の電極312の第2の部分316は、第2の電極322の極性と反対の極性に設定することができる。第2の部分316とは電気的に絶縁し個別に駆動することができる、第1の電極312の第1の部分314は、第1の電極312の第2の部分316および第2の電極322が、第1の電極312の第2の部分316に最も近い標的封止領域340の側部に対して組織特性を試験するために使用されている間、接地すること、またはフローティング出力部として動作させるように構成することのどちらかができる。この場合、電流が第2の電極322から、標的封止領域340の第2の側344を通って第1の電極312の第2の部分316まで、第1の電極312の第1の部分314を除いて流れることができる。したがって、第1の電極312の第2の部分316は、局部組織特性センサとして機能して電気信号を供給するなどし、この電気信号からセンサインターフェース回路は、インピーダンス、抵抗、または局部組織にわって生じる電流もしくは電力の他の電気的パラメータのうちの1つ以上を検出することができる。制御回路148はそのパラメータを、標的封止領域340の第2の側344の封止の強度が十分とみなされ得るかどうかを決定するなどのために、閾値などの1つ以上の基準と比較することができる。
【0064】
この検知データ評価は、封止処理の間に、または別の封止後エネルギー印加試験段階などにおいて、試行された封止が完了した後に行うことができる。場合によって、標的封止領域340のそれぞれの側部において封止品質を個別に試験することは、個別に検証されるこれら2つの封止位置の間にある位置において、血管を切断する前に行うことができる。封止部の個々の側の完全性は、制御回路によって決定し、外科医などの鉗子300のオペレータに示すことができる。封止の完全性が、封止部の1つ以上の側では受け入れられないことが判明した場合、システムは、切断を続行しないようにオペレータに警告を示すことができ、再封止を試みること、および再び試験することができ、あるいは切断を中止するか、そうでなければ阻止または動作停止にすることができる。たとえば、標的封止領域340の一方の側部または両方の側部を、さらなる電気治療エネルギーで追加的に処理して、追加的な封止を促進することができる。追加の封止エネルギーが必要であるかどうかを決定する処理の例については、図12図18を参照して以下で論じる。
【0065】
図4A図4Cは、バイポーラ組織切断部を切断および封止するように構成された鉗子400の一部分の概略図の例を示す。鉗子400は、個々に動作位置指定可能な第1の部分414、および第2の部分416を含むことができるような、第1の電極412を持つ第1の顎部410を含むことができる。鉗子400はまた、個々に動作位置指定可能な第3の部分424、および第4の部分426を含むことができるような、第2の電極422を持つ第2の顎部420を含むことができる。刃スロット415の一部分は、第1の電極412の第1の部分414と第2の部分416との間などの、第1の顎部410の上に位置することができる。第2の刃スロット425の一部分は、第3の部分424と第4の部分426との間などの、第2の顎部420の上に位置することができる。鉗子400は、特に注記されている場合を除き、上で論じた鉗子300と同様に機能し、同様の構成要素を含むことができる。
【0066】
第1の電極412および第2の電極422は、第1の顎部410および第2の顎部420の表面に沿ってそれぞれ延在するプレートのように、または、図5図11を参照して以下で説明するように、必要に応じて他の形状またはサイズに形づくることができる。第1の電極412と第2の電極422とは、同様の形状およびサイズであっても異なる形状およびサイズであってもよい。場合によっては、第1の電極412および第2の電極422のそれぞれは、多電極として機能するように個別またはグループで動作位置指定できるような複数の部分を含むことができる。
【0067】
たとえば、鉗子400において、第2の電極422は、鉗子400によって生成された標的封止領域の2つの側部の試験を可能にするように、第3の部分424および第4の部分426などの電気的に絶縁可能な2つ以上の部分に分割することができる。こうすることは、標的封止領域のこれらの別々の側部を封止の的確性について、標的封止領域のこれら2つの別々の側部の間で、組織を切断する前などに試験するなどのために、標的封止領域の2つの側部を独立してインテロゲートおよび封止することを可能にするのに役立ち得る。たとえば、第2の電極422の第3の部分424と第4の部分426とは、チャネル、ゾーン、または刃スロット315などによって、横方向に分離することができる。こうすることにより、第3の部分424を標的封止領域の第1の側に配置すること、および第4の部分426をその標的封止領域の横方向に対向する側部(または、刃スロットの横方向に対向する側部)に配置することが可能になるので、これらの間で組織を切断するより前に、対応する場所の封止特性を独立して試験できるようになる。個別に動作位置指定可能な第3の部分424および第4の部分426を有する鉗子400の第2の電極422は、これらの個別に動作位置指定可能な部分を持たない鉗子300の第2の電極322と比較して、血管の標的部分のより方向性のある試験および封止を可能にすることができる。図4A図4Cの鉗子400は、各電極部分を電気的に接続することができるので、上記の鉗子300と比べて追加の配線を含み得る。
【0068】
図4Aは、血管などの標的封止領域を鉗子400を使用して封止することができる、封止ステップを描いている。図4Aでは、鉗子400は、第1の顎部410と第2の顎部420との間に標的組織430(血管など)の一部分をクランプすることができる。封止段階の間中、第1の電極412と第2の電極422とは、異なる極性に設定することができる。封止信号または封止パルスからの電気エネルギーは、第1の電極412と第2の電極422との間で交互に、組織を通して顎部の側部の間に伝わって、顎部の間の組織を凝固させることができる。これにより、顎部の間に標的組織の標的封止領域440を生成することができる。標的封止領域440は、第1の側442および第2の側444を有し得る。このような封止の前に、システムは較正することができる。封止ステップは、上記の図3Aを参照して説明した方法と同様に行うことができる。図4Bおよび図4Cでは、図4Aで作られた標的封止領域440のそれぞれの横方向側部を独立して試験することができる。最初に、図4Bに示すように、標的封止領域440の第1の側442が試験される。次に、図4Cでは、標的封止領域440の第2の側444が試験される。試験目的のために、手術環境の標的封止領域440内の組織の導電率、固有抵抗、インピーダンス、位相角、リアクタンス、抵抗、キャパシタンス、インダクタンス、またはこれらの1つ以上の組み合わせを測定するためにセンサインターフェース回路に伝達できる電気信号を検出するなどのための電気信号センサとして機能できるような、第1の電極412自体、もしくはその一部分414、416、または第2の電極422自体もしくはその一部分424、426。場合によって、電気信号センサは、第1の電極412、その一部分414、416、第2の電極422、その一部分424、426のうちの1つ以上を、互いに組み合わせて、またはセンサインターフェース回路に結合できる1つもしくは複数の追加のセンサ電極と組み合わせて、含むことができる。
【0069】
たとえば、図4Bにおいて、第1の電極412の第1の部分414は、第2の電極422の第3の部分424と反対の極性に設定することができる。第1の電極412の第2の部分416、および第2の電極422の第4の部分426は、第1の部分414および第3の部分424が、電極部分414、424に最も近い標的封止領域440の側部に対して組織特性を試験するために使用されている間、接地すること、またはフローティング出力部として動作させるように構成することのどちらかができる。この場合、電流が、第2の電極422の第1の部分424から、標的封止領域440の第1の側442を通って第1の電極412の第1の部分414まで、第1の電極412の第2の部分416と第2の電極422の第4の部分426とを除いて流れる。したがって、第1の電極412の第1の部分414は、局部組織特性センサとして機能して電気信号を供給し、この電気信号からセンサインターフェース回路は、標的封止領域440の電流通過部分に形成された封止部の局部品質を示すインピーダンス、抵抗、または電流もしくは電力の他の電気的パラメータのうちの1つ以上を検出することができる。制御回路148はそのパラメータを、標的封止領域440の第1の側442の封止の強度が十分であるとみなされるための1つ以上の基準を満たしているかどうかを示すなどのために、閾値などの1つ以上の基準と比較することができる。
【0070】
標的封止領域440の第1の側が試験された後、図4Cに示されるように、標的封止領域440の第2の側444を試験することができる。ここで、第1の電極412の第2の部分416は、第2の電極422の第3の部分424の極性と反対の極性に設定することができる。第1の電極412の第1の部分414(第2の部分416とは電気的に絶縁し独立して駆動することができる)、および第2の電極422の第4の部分426(第3の部分424とは電気的に絶縁し独立して駆動することができる)は、対向する電極部分416、424が標的封止領域440の第2の側について組織特性を試験するために使用され得る間、接地すること、またはフローティング出力部として機能するように構成することのどちらかができる。この場合、電流が第2の電極422の第4の部分424から、標的封止領域440の第2の側444を通って第1の電極412の第2の部分416まで、第1の電極412の第1の部分414と第2の電極422の第3の部分424とを除いて流れることができる。したがって、第1の電極412の第2の部分416はセンサ電極として機能して、インピーダンス、抵抗、または封止部にわたって生じる電流もしくは電力の他の電気的パラメータを検出することができる。鉗子400において、封止および/または測定は、追加的または代替的に、第3の部分424と第2の部分416との間、または第4の部分426と第1の部分414との間の対角線上で行うこともできる。システム10の制御回路148などの制御回路は、その検知された信号を閾値と比較して、標的封止領域440の強さを第1の側442について示すことができる。
【0071】
この検知データ評価は、封止処理の間に、または別の封止後エネルギー印加試験段階などにおいて、試行された封止が完了した後に行うことができる。追加の封止エネルギーが必要であるかどうかを決定する処理の例については、図12図18を参照して以下で論じる。
【0072】
図5図11は、鉗子300または鉗子400などの鉗子を用いて標的封止領域に作られた封止部の2つの側を試験するために使用できるような、センサ電極構成の様々な例を示す。図5は、第1の顎部500の一例の透視図を示す。電極510は、顎部500の上に存在することができ、また、刃スロット515、および長手方向に位置合わせされたセパレータゾーン518によって分離できるような、少なくとも2つの独立して動作位置指定可能な電極部分514および電極部分516を含むことができる。場合によって、刃スロット515は、顎部500の全長に沿って、顎部500の遠位端などまで延びることができる。この場合、刃スロット515は刃を含むことができ、刃スロット515および刃は、長手方向に位置合わせされたセパレータ518に取って代わることができる。電極510は、電線520および電線522などによって、外部発電機(図示せず)に電気的に接続することができる。
【0073】
電極部分514および電極部分516は、標的組織領域に電流を印加するためのそれぞれのプレートを含み得る。電極部分514と電極部分516とは、これらが独立して動作位置指定可能であること、または互いに電気的に絶縁されることが可能になるように、スロット515、および長手方向に位置合わせされたセパレータゾーン518によって互いに横方向に分離することができる。電極部分514および電極部分516は、標的組織領域に電流を供給するために、選択的かつ独立して動作位置指定可能とすることができる。図5では、電極部分514、516はまた、近位端から顎部500、刃スロット515の遠位端まで延在することもできる。電極部分514、516はまた、電極510を用いて生成される試行封止部のそれぞれの側の局部個別化試験を可能にするために、独立して動作位置指定可能とすることもできる。
【0074】
図6は、複数のセンサ電極610を有する鉗子顎部600の構成の透視図を示す。ここで、センサ電極610は、顎部600の上の1つ以上の電極に隣接もしくはそれと一体化した電極、または追加もしくは代替のセンサ電極とすることができる。たとえば、センサ電極は、封止部の印加中に使用される1つ以上の主電極プレートから電気的に絶縁された離隔部とすることができる。
【0075】
図7は、やはりセンサ電極として使用するための2つの別個の電極710、712を有する顎部700の上の電極構成の透視図を示す。2つの電極710、712は、電極710と電極712との間の隙間713および遠位の長手方向凹部715によって分離することができる。ここで、電極710、712は、標的組織を封止するための電極として使用される。顎部700は、任意選択で、電極710、712から電気的に絶縁されている絶縁検知電極714、716を含み得る。検知電極710、712は、図12図18を参照して以下に説明するような、封止の完全性を検知するために使用することができ、反復的、脈動的、または連続的なサイクルの封止および試験を行うことができる。
【0076】
図8は、2つのセンサ電極814、816が電極プレート810、812に取り付けられている電極構成を持つ顎部800の透視図の一例を示す。ここで、電極プレート810、812は、顎部800の上の標的組織を封止および切断するための電極として機能することができる。ある電気的パラメータを検知し、封止部の1つ以上の側、または刃スロットの対向する側部の封止完全性を決定するためのセンサ電極814、815は、電極810、812と分離できるけれども、その上に取り付けることができる。センサ電極814、816は、作られる封止部のタイプ、およびその封止部の位置に応じて、試験のためにプレートの中央または一方の側もしくは他方の側などの、プレート境界内に取り付けることができる。センサ電極814、816は、封止部の試験が望まれるときに、凝固によって封止部を生成するために供給される電気エネルギーとは別の検知パルスを送出することができる。
【0077】
図9は、センサ電極912、914が主電極板プレート910の外側にある電極構成を持つ顎部900の透視図を示す。センサ電極912、914は、顎部900の外縁部に、または顎部900の内縁部に、またはこれらの組み合わせで取り付けることができる。センサ電極912、914、は、プレート910と別けて駆動することができる。たとえば、プレート910は、血管を封止するために駆動することができ、センサ電極912、914は、試験モード中に、封止の完全性との相関性がある1つ以上の電気的パラメータ追跡用の1つ以上のパルスを送出するためなどに駆動することができる。こうすることにより、プレートによって作られた封止部の縁部の試験を可能にすることができる。顎部900において、センサ電極912、914、は、刃スロットよりも側方縁部の方に近いような、顎部の側方縁部の上または近くに位置することができる。場合によって、センサ電極912、914は、そうしないで側方縁部よりもスロットの方に近く位置するような、刃スロットの上または近くに位置することができる。
【0078】
図10は、複数の電極1010、1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024を持つ電極構成を有する顎部1000の透視図を示す。顎部1000では、電極は互いに離れており、電気的に絶縁されている。顎部1000の周囲に位置する電極1010、1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024は、封止電極と組織特性検知電極の両方として機能することができる。
【0079】
たとえば、電極1010、1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024は、バイポーラ血管封止用のプレートとすることができる。電極1010、1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024は、血管を封止するために、および血管に生成された封止部を試験するために、個別に駆動可能とすることができる。場合によって、電極の一部分は封止用に構成し、他の電極は、封止を試験するためのセンサ電極として構成することができる。多数の電極により、封止部の一部分のより局部的な試験を可能にすることができる。
【0080】
図11は、センサ電極アレイ1110を含む電極構成を持つ顎部1100の透視図を示す。アレイ1110は、封止に使用される電極プレートから分離された離隔センサ電極などの、絶縁されたセンサ電極を含み得る。アレイ1110は、顎部1100の上のそのようなプレートの表面全体にわたって均等に分散させることができる。アレイ1110は、顎部1100の長さおよび幅全体にわたって、封止部の様々な部分の検知を可能にすることができる。アレイ1110の各センサ電極は、顎部1100の領域全体にわたって封止部の表面の全体像を与えるように、かつ、このような封止部についての詳細な情報をもたらすように、個別に明確に区別することができる。
【0081】
図12は、一例としての、封止血管を試験する方法1200を描いているフローチャートを示す。方法1200は、センサ電極信号を1つ以上の既知の値と比較して評価することができる。最初に、ステップ1210において、封止部は、血管などの標的組織に、上で論じた電極構成のいずれかを有するバイポーラ鉗子などを用いて、そのような封止部の正常な終止点に到達するまで生成される(ステップ1212)。
【0082】
次に、ステップ1214において、封止部の第1(左)の側を試験することができる。封止部または切断スロットの第1の側のインピーダンスなどのパラメータをセンサ電極によって収集し、上記鉗子300、および鉗子400に関して上で論じたように評価することができる。インピーダンスなどのパラメータの値は、既知のパラメータ(たとえば、インピーダンス、抵抗、位相角、その他)の値と比較することができる。場合によって、封止部のどちらかの側で検知された値を、閾値などの既知の値と比較することができる。場合によって、封止部の両側からの信号を互いに比較して、封止部の2つの側の間に異常が存在するかどうかを判定することができる。
【0083】
センサ電極によって取得されたパラメータの値が封止品質基準を満たす場合、システムは、封止部の第1の側が「良好」または完全であることを示し(1216)、引き続き封止部の第2(右)の側を試験することができる(ステップ1222)。場合によって、必要に応じて封止部の1つの側を再試験することができる。
【0084】
あるいは、パラメータが十分ではない場合、システムは、封止部の第1の側が「不良」または不完全であることを示すことができる(ステップ1218)。この場合、追加の封止を第1の側に施すことができる(ステップ1220)。次に、封止部の第1の側を再試験することができる(ステップ1214)。この再試験は、必要に応じて繰り返すことができる。
【0085】
封止部が試験されて「良好」とされると、封止部の第2(右)の側も同様に試験することができる(ステップ1222)。封止部の第2の側は、良好として示すことができ(ステップ1224)、または不良として示すことができる(ステップ1226)。第2の側の封止部が不良の場合(ステップ1226)、再封止を施すことができ(ステップ1228)、次に再試験することができる(ステップ1222)。こうすることは、必要に応じて繰り返すことができる。
【0086】
第2の側の封止部が良好である場合(ステップ1224)、システムは、封止が完了したことを示すことができ(ステップ1230)、オペレータは、切断ステップに進むなど、手順を進めることができる。場合によって、封止部の左側と右側とは、同時に試験すること、または逆の順序で試験することができる。
【0087】
図13は、一例としての、封止血管を試験する方法1300を描いているフローチャートを示す。方法1300は、オペレータが、封止部の試験に基づいて、手動で手順を進めるかどうかを選択することを可能にすることができる。
【0088】
方法1300では、ステップ1310において封止部を血管などの標的組織に、上で論じた電極構成のいずれかを有するバイポーラ鉗子などにより作ることができる。封止部は、ステップ1312において、封止のための正常な終止点に到達するまで作ることができる。
【0089】
方法1300では、封止部の第1の側および第2の側は、どちらかの順序で、または場合によって同時に試験することができる。封止部の第1の側は、ステップ1314において試験することができる。封止部の第1の側が不良である場合(ステップ1316)、ステップ1318において、警告をオペレータにユーザインターフェース、テキスト、光、可聴ノイズ、またはその他のインジケータなどによって示すことができる。あるいは、封止部の第1の側が良好である場合(ステップ1320)、第2の側の試験を開始することができる。
【0090】
次に、オペレータは、封止部の第2の側を試験する次のステップにいつ進むかを決定することができる(ステップ1322)。同様に、第2の側が不良であると示された場合(ステップ1324)、システムは、このことをオペレータに示すことができる(ステップ1326)。逆に、封止部の第2の側が良好である場合には(ステップ1328)、完全な封止部であることをオペレータに示すことができる(ステップ1330)。
【0091】
図14は、一例としての、封止血管を試験する方法1400を描いているフローチャートを示す。方法1400は、封止部に通電中に封止部を試験する方法を含み得る。
【0092】
最初に、ステップ1410において、上で論じた電極構成のいずれかを有するバイポーラ鉗子などを用いて、血管などの標的組織に対して封止を開始することができる。方法1400では、封止部の第1の側および第2の側は、どちらかの順序で、または場合によって同時に試験することができる。
【0093】
一例では、封止部の第1の側は、前に論じたように、封止部の第1の側の電気的パラメータを検知し、その検知されたパラメータを既知または閾値のパラメータ値と比較して、封止部の第1の側が完全であるかどうかを決定することなどによって、試験することができる(ステップ1412)。封止部の第1の側が完全ではない場合(ステップ1414)、ステップ1416において封止部の通電を継続することができる。通電が継続されると、ステップ1412において第1の側を再試験することができる。
【0094】
封止部の第1の側が完了とみなされると(ステップ1418)、封止部の第2の側を試験することができる(ステップ1420)。封止部の第2の側は、第1の側と同様の方法で試験することができる。封止部の第2の側が未完了であるとみなされた場合には(ステップ1422)、封止部の通電を継続することができ(ステップ1416)、封止部の両側が完了とみなされるまで(ステップ1424)、試験を再開することができる(ステップ1412、1420)。その後、システムは、封止が完了したことをユーザに示すことができる(ステップ1426)。
【0095】
このようにして、封止部のどちらかの側を検知することは、封止が施されている間に行うことができる。同様に、本明細書で論じられるデバイスは、印加中に封止部のそれぞれの側に独立して通電する場合に、封止された側への圧力は低減させ、封止されていない側への圧力は増大させるように構成することができる。
【0096】
図15は、一例としての、上の図4A図4Cに示されるような2つの封止部システムを使用して封止血管を試験する方法1500を描いているフローチャートを示す。方法1500では、封止波形を駆動することは(ステップ1510)、正常な封止終止点に到達するまでデバイスの両方のセクションにまたがって同時に行って、血管に封止部を生成することができる(ステップ1512)。その後、血管は、2組の電極部分の間で切断することができる(ステップ1514)。
【0097】
同時に、切断封止部のそれぞれの側を試験することができる。第1の側では、第1の側に対向する電極部分(または追加のセンサ電極)を使用して、指定された電気的パラメータについて第1の側の封止部をステップ1516において試験することができる。生成された電気的パラメータに基づいて、第1の側の封止部が「良好」とみなされる場合、第1の側の試験は、第2の側の試験からの信号を待って次に進むことができる(ステップ1518)。場合によって、第2の側の封止試験、追加の封止、および再試験は、第1の側の試験に続いて実行することができる。
【0098】
しかし、生成された電気的パラメータに基づいて、第1の側の封止部が「不良」または不完全であると考えられる場合、追加のエネルギーセットを第1の側の封止部に印加して、そちらの側を再封止することができる(ステップ1520)。たとえば、必要に応じて封止部を再封止または固定するように、封止部の通電を第1の側だけで行うことができる。再封止の後、第1の側の封止部を再試験することができる(ステップ1522)。封止部が「良好」である場合、第1の側の試験は、第2の側の試験からの信号を待って次に進むことができる(ステップ1518)。しかし、第1の側の封止部が依然として「不良」である場合、良好な第1の側の封止部が得られるまで、再封止および再試験を必要に応じて繰り返すことができる。
【0099】
同時に、ステップ1526において第2の側の封止部を試験することができる。他方の側と同様に、第2の側の封止部は、センサ電極として機能する電極を用いて、または追加のセンサ電極を用いて、1つ以上の電気的パラメータについて試験することができる。第2の側の封止部が「良好」である場合、第2の側は、第1の側の試験からの信号を待って次に進むことができる(ステップ1528)。しかし、第2の側の封止部が「不良」または不完全である場合、追加のエネルギーセットを第2の側の封止部に印加して、そちらの側を再封止することができる(ステップ1530)。再封止の後、第2の側の封止部を再試験することができる(ステップ1532)。封止部が「良好」である場合、第2の側の試験は、第1の側の試験からの信号を待って次に進むことができる(ステップ1528)。しかし、第1の側の封止部が依然として「不良」である場合、良好な第2の側の封止部が得られるまで、再封止および再試験を必要に応じて繰り返すことができる。
【0100】
第1の側と第2の側との両方において封止が良好であることが示されると、システムは、封止および切断が全体として完了したことをユーザに示すことができる(ステップ1540)。
【0101】
図16は、一例としての、2つの封止部システムを用いて封止血管を試験する方法1600を描いているフローチャートを示す。この場合、2つの別々の封止部の通電は、ステップ1610およびステップ1620において開始することができる。
【0102】
ステップ1610において、第1の封止部に通電することができ、エネルギーを標的組織に印加してその組織を凝固させ、ステップ1612において正常な終止点に到達するまで封止部を生成することができる。次に、第1の封止部は、インピーダンス、抵抗、位相角、または他のパラメータなどの、封止された標的組織の1つ以上の電気的特性を、センサ電極を使用して監視および記録することなどによって試験することができる。検出された電気的パラメータに基づいて、システムは、封止部が「良好」であるか「不良」であるかを判断することができる。封止部が「不良」である場合、システムは、第1の封止部の継続的な通電または再封止を促した後に、その第1の封止部の追加試験を行うことができる。
【0103】
ステップ1610と同時でもよいステップ1620において、第2の封止部に通電し、エネルギーを標的組織に印加して、ステップ1622において正常な終止点に到達するまでその組織を凝固させ封止部を生成することができる。この場合、システムは、第1の封止部が「良好」であることを示す信号が受信されるまで、第2の封止部に関して機能を一時停止することができる。この時点で、ステップ1624において第2の封止部を試験することができる。第2の封止部が「不良」である場合、システムは、第2の封止部の継続的な通電または再封止を促した後に、その第2の封止部の追加試験を行うことができる。封止部が「良好」である場合、システムは、第1の封止部および第2の封止部の両方が完了したことを示すことができ、オペレータは手順を継続することができる。この処理は、段階的に行って、組織パラメータが目標値を満たすまで、追加の封止エネルギーを印加すること、および再試験することができる。
【0104】
図17は、一例としての、封止血管を試験する方法1700Aおよび方法1700Bを描いているフローチャートを示す。方法1700Aでは、封止段階を起動することができ(ステップ1702)、封止部の両側(または刃スロットの両側の封止部)を試験することができ(ステップ1704)、次に、封止部のそれぞれの側を個別に試験することができ(ステップ1706)、その結果、良好な封止部が得られる(ステップ1708)。方法1700Bでは、封止段階を起動することができ(ステップ1710)、それぞれの側を個別に試験することができ(ステップ1712)、その結果、良好な封止部が得られる(ステップ1714)。本明細書で論じられるシステムは、所定の動作の要件に応じて、必要に応じて封止部のそれぞれの側を同時に、代替的に、または繰り返し試験するために使用することができる。試験は、封止段階の間中、後または合間に、切断の前または後に、必要に応じて2回以上行うことができる。
【0105】
図18は、非典型的なパルス波形を用いる、一例としての封止血管を試験する方法1800を描いているフローチャートを示す。方法1800では、ステップ1810において封止段階を起動することができる。
【0106】
起動が行われると、ステップ1812において第1の側を、ステップ1814における第2の側と同時に、監視することができる。たとえば、1つ以上のセンサ電極を使用して、施される封止の第1の側または第2の側のどちらかで1つ以上の電気的パラメータを監視することができる。検知されたパラメータに応じて、第1の側または第2の側の封止部は、ステップ1816およびステップ1818それぞれにおいて、必要に応じて修正することができる。
【0107】
様々な注釈および例
例1は、血管を封止するための鉗子システムを含むことができ、この鉗子システムは、第1の顎部および対向する第2の顎部を含む鉗子を備え、第1の顎部および第2の顎部のうちの少なくとも一方は、第1の電極部分と第2の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離された第1の電極部分および第2の電極部分を有する第1の電極を少なくとも含み、第1の電極部分および第2の電極部分は、第1の電極部分および第2の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能である。
【0108】
例2は、例1を含むことができ、横方向に分離された第1の電極部分および第2の電極部分の少なくとも一部分の間にスロットを備える。
【0109】
例3は、例1~2のいずれかを含むことができ、第1の電極部分と第2の電極部分との間のスロット内に伸長可能な引き込み式刃をさらに備える。
【0110】
例4は、例1~3のいずれかを含むことができ、第1の電極部分と第2の電極部分とは、スロットによって横方向に分離されている。
【0111】
例5は、例1~4のいずれかを含むことができ、第1の電極部分および第2の電極部分はそれぞれ、第1の顎部の遠位部分と近位部分との間から延在する。
【0112】
例6は、例1~5のいずれかを含むことができ、第1の顎部および第2の顎部のうちの他方は第2の電極を含む。
【0113】
例7は、例1~6のいずれかを含むことができ、第1の電極および第2の電極は、第1のプレート電極および第2のプレート電極を備える。
【0114】
例8は、例1~7のいずれかを含むことができ、第1の電極および第2の電極は、第1の顎部および第2の顎部のうちの少なくとも一方の側方縁部の上または近くに位置する。
【0115】
例9は、例1~8のいずれかを含むことができ、第1の電極および第2の電極は、第1の顎部および第2の顎部のうちの少なくとも一方のスロットの上または近くに位置する。
【0116】
例10は、例1~9のいずれかを含むことができ、第2の電極は、第3の電極部分および第4の電極部分を備え、第3の電極部分および第4の電極部分は、第3の電極部分と第4の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離されている。
【0117】
例11は、例1~10のいずれかを含むことができ、第3の電極部分および第4の電極部分は、第3の電極部分および第4の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能である。
【0118】
例12は、例1~11のいずれかを含むことができ、第1の電極から電気的に絶縁された1つ以上のセンサ電極をさらに備える。
【0119】
例13は、例1~12のいずれかを含むことができ、1つ以上のセンサ電極は、第1の顎部および第2の顎部のうちの少なくとも一方に離隔部を備える。
【0120】
例14は、血管の封止部を試験する方法を含むことができ、この方法は、個別に動作位置指定可能な第1の電極部分および第2の電極部分を、標的封止領域の対向する側部に設置するステップと、第1の電極部分を使用して、標的封止部領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、第2の電極部分を使用して、標的封止部領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、を含む。
【0121】
例15は、例14を含むことができ、第1の組織パラメータおよび第2の組織パラメータを個別に試験した後に、第1の電極部分と第2の電極部分との間に設置可能な刃を使用して、血管の標的封止領域を切断するステップをさらに含む。
【0122】
例16は、例14~15のいずれかを含むことができ、第1の組織パラメータおよび第2の組織パラメータを試験する前に、第1の電極部分および第2の電極部分を有する鉗子を用いて標的封止領域を少なくとも部分的に封止するステップをさらに含む。
【0123】
例17は、例14~16のいずれかを含むことができ、第1の電極部分を使用して血管の標的封止領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、第2の電極部分を使用して血管の標的封止領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、は、血管の標的封止領域に封止エネルギーを印加しながら実行される。
【0124】
例18は、例14~17のいずれかを含むことができ、第1の組織パラメータまたは第2の組織パラメータの少なくとも一方に基づいて、血管の標的封止領域の第1の側または第2の側の少なくとも一方に、再封止エネルギーを少なくとも部分的に選択的に印加するステップをさらに含む。
【0125】
例19は、例14~18のいずれかを含むことができ、再封止エネルギーを少なくとも部分的に印加するステップは、組織パラメータが目標値を満たすまで、追加の封止エネルギーを段階的に印加し再試験するステップを含む。
【0126】
例20は、例14~19のいずれかを含むことができ、第1の電極部分を使用して血管の標的封止領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、第2の電極部分を使用して血管の標的封止領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、は同時に実行される。
【0127】
例21は、血管の封止部を試験する方法を含むことができ、この方法は、個別に動作位置指定可能な第1の電極部分および第2の電極部分を標的封止領域のそれぞれのサブ領域に設置するステップと、少なくとも1つの第1の基準が満たされるまで、第1の電極部分を使用して第1のサブ領域の第1の組織パラメータを個別に反復して封止し試験するステップと、少なくとも1つの第2の基準が満たされるまで、第2の電極部分を使用して第2のサブ領域の第2の組織パラメータを個別に反復して封止し試験するステップと、を含む。
【0128】
例22は、例21を含むことができ、第1の基準または第2の基準の少なくとも一方は、それぞれの第1のサブ領域および第2のサブ領域のうちの対応するものの封止部の完全性を表す。
【0129】
これらの非限定的な例のそれぞれは、それ自体で存立することができ、あるいは1つ以上の他の例と様々な順列または組み合わせで組み合わせることができる。
【0130】
上記の詳細な説明には、詳細な説明の一部を形成する添付の図面を参照することが含まれる。図面は、本発明を実施できる特定の実施形態を例示的に示している。これらの実施形態は、本明細書では”例”とも呼ばれる。このような例には、図示または説明されたものに加えて、諸要素が含まれ得る。しかし、本発明者らは、図示または説明された要素のみが提示される例も企図している。さらに、本発明者らは、特定の例(またはその1つ以上の態様)に関して、または本明細書に図示または記載された他の例(またはその1つ以上の態様)に関して、図示または説明された要素(またはその1つ以上の態様)の任意の組み合わせまたは順列を使用する例も企図している。
【0131】
本明細書と、参照することにより組み込まれる任意の文献と、の間で使用方法が一致しない場合、本明細書における使用方法が優先する。
【0132】
本明細書では、特許文献で一般的なように、用語の「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」のいかなる他の事例または用法とも無関係に、1つ以上を含むべく使用される。本明細書では、用語の「または(or)」は、特にことわらない限り、「AまたはB」が、「BではなくAである」、「AではなくBである」、「AおよびB」を含むように、非排他的な「または」を指すために使用される。本明細書では、用語の「含む(including)」および「ここで(in which)」は、「備える(comprising)」および「ここで(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同義語として使用されている。また、添付の特許請求の範囲では、用語の「含む(including)」および「備える(comprising)」は制限がなく、すなわち、特許請求の範囲でこのような用語の後に列挙された要素に加えて諸要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、または処理は、やはりその特許請求の範囲内に入るとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単なる標識として使用されており、その対象物に数値的な要件を課すものではない。
【0133】
本明細書に記載された方法の諸例は、少なくとも部分的に機械またはコンピュータで実施することができる。いくつかの例では、上記の例に記載された方法を実行するように電子デバイスを構成するために動作可能な命令がコード化された、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。このような方法の一実施態様は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高レベル言語コードなどのコードを含み得る。このようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部分を形成することができる。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時間などに、1つ以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に明白に記憶することができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、取り外し可能磁気ディスク、取り外し可能光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)などを、これらだけに限らないが挙げることができる。
【0134】
上記の説明は例示的なものであり、限定するものではない。たとえば、上述の各例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。他の実施形態は、上記の説明を検討することにより、当業者などが使用することができる。要約書は、読者が技法開示の特質を迅速に確認できるようにするために、37C.F.R.§1.72(b)に準拠して提供されている。要約書は、それが特許請求の範囲または意味を解釈または限定するためには使用されないものと理解して提出されている。また、上記の詳細な説明では、開示を簡素化するために様々な特徴がひとまとめにされていることがある。このことは、特許請求されていない開示された特徴が、いずれかの請求項には必須であるものと解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、ある特定の開示された実施形態のすべての特徴ではないところにあり得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書では発明を実施するための形態に例または実施形態として組み込まれ、各請求項が別個の実施形態としてそれ自体で存立しており、このような実施形態が様々な組み合わせまたは順列で互いに組み合わされ得ることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲が権利を持つ等化物の全範囲とともに参照して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0135】
10 電気外科システム
12 電気外科発電機および制御電子機器ユニット、電子機器ユニット
14 鉗子
16 生体組織
18 ハンドピース
20 シャフトアセンブリ
22 ナイフ刃アセンブリ
24 把持アセンブリ
26 ハンドル
28 把持レバー
30 ナイフトリガ
32 電気治療起動ボタン
34 回転ホイール
36 第1の顎部材
38 第2の顎部材
200 電気外科システム
212 電子機器ユニット
214 鉗子
216 被係合生体組織
242 機器インターフェース
244 電気エネルギー源
246 測定回路
248 制御回路
250 ユーザインターフェース
252 電気コネクタ
254 プロセッサ
256 メモリ
256D データメモリ
256P プログラムメモリ
300 鉗子
310 第1の顎部
312 第1の電極
314 第1の部分
315 刃スロット
316 第2の部分
320 第2の顎部
322 第2の電極
330 標的組織
340 標的封止領域
342 第1の側
344 第2の側
400 鉗子
410 第1の顎部
412 第1の電極
414 第1の部分
415 刃スロット
416 第2の部分
420 第2の顎部
422 第2の電極
424 第3の部分
425 第2の刃スロット
426 第4の部分
430 標的組織
440 標的封止領域
442 第1の側
444 第2の側
500 第1の顎部
510 電極
514 電極部分
515 刃スロット
516 電極部分
518 セパレータゾーン
520 電線
522 電線
600 鉗子顎部
610 センサ電極
700 顎部
710 検知電極
712 検知電極
713 隙間
714 絶縁検知電極
716 絶縁検知電極
800 顎部
810 電極プレート
812 電極プレート
814 センサ電極
816 センサ電極
900 顎部
912 センサ電極
914 センサ電極
910 主電極板プレート
1000 顎部
1010、1012、1014、1016、1018、1020、1022、1024 電極
1100 顎部
1110 センサ電極アレイ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2021-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管を封止するための鉗子システムであって、前記鉗子システムは、
第1の顎部および対向する第2の顎部を含む鉗子を備え、
前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方が、第1の電極部分および第2の電極部分を有する第1の電極であって、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離された、第1の電極を少なくとも含み、
前記第1の電極部分および前記第2の電極部分が、前記第1の電極部分および前記第2の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能である、鉗子システム。
【請求項2】
横方向に分離された前記第1の電極部分および前記第2の電極部分の少なくとも一部分の間にスロットを備える、請求項1に記載の鉗子システム。
【請求項3】
前記第1の電極部分と前記第2の電極部分との間の前記スロット内に伸長可能な引込式刃をさらに備える、請求項2に記載の鉗子システム。
【請求項4】
前記第1の電極部分と前記第2の電極部分とが、前記スロットによって横方向に分離されている、請求項2に記載の鉗子。
【請求項5】
前記第1の電極部分および前記第2の電極部分がそれぞれ、前記第1の顎部の遠位部分と近位部分との間から延在する、請求項2に記載の鉗子。
【請求項6】
前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの他方が第2の電極を含む、請求項1に記載の鉗子システム。
【請求項7】
前記第1の電極および前記第2の電極が、第1のプレート電極および第2のプレート電極を備える、請求項6に記載の鉗子。
【請求項8】
前記第1の電極および前記第2の電極が、前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方の側方縁部にまたは前記側方縁部の近くに位置する、請求項6に記載の鉗子。
【請求項9】
前記第1の電極および前記第2の電極が、前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方のスロットにまたは前記スロットの近くに位置する、請求項6に記載の鉗子。
【請求項10】
前記第2の電極が、第3の電極部分および第4の電極部分を備え、
前記第3の電極部分と第4の電極部分とが、前記第3の電極部分と前記第4の電極部分との間の電気的絶縁を可能にするように横方向に分離されている、請求項6に記載の鉗子システム。
【請求項11】
前記第3の電極部分および前記第4の電極部分が、前記第3の電極部分および前記第4の電極部分によって血管特性を個別に試験することを可能にするために、独立して動作位置指定可能である、請求項10に記載の鉗子。
【請求項12】
前記第1の電極から電気的に絶縁された1つ以上のセンサ電極をさらに備える、請求項1に記載の鉗子。
【請求項13】
前記1つ以上のセンサ電極が、前記第1の顎部および前記第2の顎部のうちの少なくとも一方に離隔部を備える、請求項12に記載の鉗子。
【請求項14】
血管の封止部を試験する方法であって、前記方法は、
個別に動作位置指定可能な第1の電極部分および第2の電極部分を、標的封止領域の対向する側部に設置するステップと、
前記第1の電極部分を使用して、前記標的封止部領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、
前記第2の電極部分を使用して、前記標的封止部領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記第1の組織パラメータおよび前記第2の組織パラメータを個別に試験した後に、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分との間に設置可能な刃を使用して、前記血管の前記標的封止領域を切断するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の組織パラメータおよび前記第2の組織パラメータを試験する前に、前記第1の電極部分および前記第2の電極部分を有する鉗子を用いて前記標的封止領域を少なくとも部分的に封止するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、前記第2の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、が、前記血管の前記標的封止領域に封止エネルギーを印加しながら実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の組織パラメータまたは前記第2の組織パラメータの少なくとも一方に基づいて、前記血管の前記標的封止領域の前記第1の側または第2の側の少なくとも一方に、再封止エネルギーを少なくとも部分的に選択的に印加するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
再封止エネルギーを少なくとも部分的に印加するステップが、前記組織パラメータが目標値を満たすまで、追加の封止エネルギーを段階的に印加し再試験するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第1の側の第1の組織パラメータを個別に試験するステップと、前記第2の電極部分を使用して前記血管の前記標的封止領域の第2の側の第2の組織パラメータを個別に試験するステップと、が同時に実行される、請求項14に記載の方法。
【外国語明細書】