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特開2022-32062ディフューザ、におい制御システム、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032062
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ディフューザ、におい制御システム、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/14 20060101AFI20220217BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A61L9/14
A61L9/01 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135511
(22)【出願日】2020-08-11
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】517372106
【氏名又は名称】株式会社レボーン
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】松岡 広明
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA03
4C180BB06
4C180BB07
4C180BB08
4C180BB09
4C180CB01
4C180HH09
4C180HH14
4C180KK01
4C180KK03
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】空間のにおいに応じて、適切な香料等の物質を当該空間中に拡散することのできるディフューザ、におい制御システム、情報処理装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、物質を拡散するディフューザが提供される。このディフューザは、検出部と、情報保持部と、比較部と、拡散部とを備える。検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成される。情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持する。比較部は、検出部による検出結果と特徴情報とを比較可能に構成される。拡散部は、検出結果と特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を拡散可能に構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を拡散するディフューザであって、
検出部と、情報保持部と、比較部と、拡散部とを備え、
前記検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成され、
前記情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持し、
前記比較部は、前記検出部による検出結果と前記特徴情報とを比較可能に構成され、
前記拡散部は、前記検出結果と前記特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を拡散可能に構成される
ディフューザ。
【請求項2】
請求項1に記載のディフューザにおいて、
操作部を備え、
前記操作部は、前記拡散部の起動指示と、該拡散部により拡散する物質の指定指示とを受け付け可能に構成され、
前記情報保持部は、前記操作部が前記起動指示を受け付けた際の前記検出部による検出結果を前記特徴情報とし、前記指定指示により指定された物質を前記物質情報とし、該特徴情報と該物質情報とを組みにして保持する
ディフューザ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のディフューザにおいて、
前記拡散部は、前記物質情報が示す物質を拡散している際に、該物質情報に対応する特徴情報と前記検出結果とが合致しなくなった場合に、該物質の拡散を停止する
ディフューザ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のディフューザにおいて、
前記物質は、香料である
ディフューザ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のディフューザにおいて、
通信部を備え、
前記通信部は、予め定めた情報処理装置と通信を行い、該情報処理装置の指示に応じて、前記情報保持部が保持する特徴情報と物質情報との組を更新する
ディフューザ。
【請求項6】
空間のにおいを調整するにおい制御システムであって、
ディフューザと、情報処理装置とを備え、
前記ディフューザは、検出部と、通知部と、取得部と、拡散部とを備え、
前記検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成され、
前記通知部は、前記検出部が検出したにおいを示すにおい情報を前記情報処理装置に通知可能に構成され、
前記取得部は、前記情報処理装置から前記におい情報に対する物質情報を取得可能に構成され、
前記拡散部は、前記物質情報が示す物質を拡散可能に構成され、
前記情報処理装置は、受付部と、情報保持部と、比較部と、提供部とを備え、
前記受付部は、前記ディフューザから通知される前記におい情報を受け付け可能に構成され、
前記情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持し、
前記比較部は、前記におい情報と前記特徴情報とを比較可能に構成され、
前記提供部は、前記におい情報と前記特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を前記ディフューザに提供可能に構成される
におい制御システム。
【請求項7】
物質を拡散するディフューザであって、
検出部と、通知部と、取得部と、拡散部とを備え、
前記検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成され、
前記通知部は、前記検出部が検出したにおいを示すにおい情報を情報処理装置に通知可能に構成され、
前記取得部は、前記情報処理装置から前記におい情報に対する物質情報を取得可能に構成され、
前記拡散部は、前記物質情報が示す物質を拡散可能に構成される
ディフューザ。
【請求項8】
ディフューザを制御する情報処理装置であって、
受付部と、情報保持部と、比較部と、提供部とを備え、
前記受付部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能なディフューザからにおいを示すにおい情報を受け付け可能に構成され、
前記情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持し、
前記比較部は、前記におい情報と前記特徴情報とを比較可能に構成され、
前記提供部は、前記におい情報と前記特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を前記ディフューザに提供可能に構成される
情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを情報処理装置として動作させるプログラムであって、
コンピュータを請求項8に記載の情報処理装置として機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディフューザ、におい制御システム、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「におい」に対する関心が高まっており、複数の水晶振動子センサを用いて香り品質を特定するシステムも提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/117099号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、「におい」は、「匂い」又は「臭い」とも記述され、前者は良い意味で使われ、後者は悪い意味で使われることが多い。そして、部屋等の空間においては、「臭い」は、除去すべきものと考えられるのが一般的である。「臭い」の除去には、消臭剤、脱臭剤、防臭剤等を用いる他、香料により「臭い」をマスキングする方法がある。
【0005】
香料により「臭い」を除去する場合には、「臭い」に応じた適切な香料を用いる必要があるが、香料には、多種多様なものが存在するため、適切な香料を用いることが困難な場合もある。
【0006】
本発明では上記事情を鑑み、空間のにおいに応じて、適切な香料等の物質を当該空間中に拡散することのできるディフューザ、におい制御システム、情報処理装置及びプログラムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、物質を拡散するディフューザが提供される。このディフューザは、検出部と、情報保持部と、比較部と、拡散部とを備える。検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成される。情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持する。比較部は、検出部による検出結果と特徴情報とを比較可能に構成される。拡散部は、検出結果と特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を拡散可能に構成される。
【0008】
本発明の一態様によれば、部屋等の空間のにおいの状況に応じて、適切な物質を空間中に拡散することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るディフューザ1の構成の概略を示した図である。
図2】ディフューザ1の構成を示した図である。
図3】ディフューザ1の機能的な構成を示すブロック図である。
図4】ディフューザ1と情報処理装置6との接続構成を示した図である。
図5】それぞれ、ディフューザ1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
図6】それぞれ、ディフューザ1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
図7】それぞれ、ディフューザ1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
図8】情報処理装置8の構成例を示した図である。
図9】情報処理装置8とディフューザ9の機能的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.装置構成
図1は、本発明の実施形態に係るディフューザ1の構成の概略を示した図である。また、図2は、ディフューザ1の構成を示した図である。
図1に示すように、ディフューザ1は、制御部2と、検出部3と、拡散部4と、操作部5とを備える。このディフューザ1は、物質、例えば、香料を拡散するディフューザである。
制御部2は、ディフューザ1の全体を制御するものである。また、制御部2は、図2に示すように、処理部21と、記憶部22と、一時記憶部23と、接続部24と、通信部25とを有しており、これらの構成要素が制御部2の内部において通信バス26を介して電気的に接続されている。
【0015】
処理部21は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)により実現されるもので、記憶部22に記憶された所定のプログラムに従って動作し、種々の機能を実現する。
【0016】
記憶部22は、様々な情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。これは、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスにより実現される。
【0017】
一時記憶部23は、揮発性の記憶媒体である。これは、例えばランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリにより実現され、処理部21が動作する際に一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶する。
【0018】
接続部24は、例えばユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)や高精細度マルチメディアインターフェース(High-Definition Multimedia Interface:HDMI)といった規格に準じた接続部であり、検出部3や拡散部4等を接続可能としている。
【0019】
通信部25は、例えばローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)規格に準じた通信手段であり、ディフューザ1とローカルエリアネットワークやこれを介したインターネット等のネットワークとの間の通信を実現する。
【0020】
検出部3は、水晶振動子センサ群31と、ガスセンサ群32と、変換部33とを備える。
【0021】
水晶振動子センサ群31は、複数の水晶振動子センサにより構成されるもので、各々の水晶振動子センサは、非特異的吸着性を有する薄膜により形成された水晶振動子を有し、それぞれ異なる化合物が蒸着されている。蒸着される化合物は、例えば、Dフェニルアラニン、D-チロシン、DL-セスチジン、Dグルコース、アデニン、ポリエチレン等である。これらは、いずれも、においの成分の付着により、共振周波数が変化するもので、においの成分の付着具合は、化合物によって異なるため、水晶振動子センサの各々が異なる匂いを検知することができる。
【0022】
ガスセンサ群32は、複数のガスセンサにより構成されるものであり、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、ブタン、アンモニア等のガスを検知するセンサである。なお、水晶振動子センサ群31及びガスセンサ群32の詳細については、特許文献1に記載されているため、ここでの説明は省略する。
【0023】
変換部33は、水晶振動子センサ群31及ガスセンサ群32から出力されるアナログの電気信号をディジタルの電気信号に変換する。
【0024】
なお、検出部3は、水晶振動子センサ群31とガスセンサ群32を用いてにおいの検出を行うため、ディフューザ1には、図示しない流入口と流出口とが設けられ、これらを介して、検出部3がディフューザ1の周辺の空気からにおいを検出できるように構成されている。
【0025】
また、検出部3に、温度計、湿度計、気圧計等を配設し、これらから得られた温度、湿度、気圧等を水晶振動子センサ群31及ガスセンサ群32の出力とともに、検出部3の検出結果とするようにしてもよい。
【0026】
拡散部4は、空気中に物質を拡散する。拡散する物質は、例えば、香料、消臭剤、脱臭剤、防臭剤等であり、拡散部4は、これらを噴霧することで、空気中に拡散する。
【0027】
また、拡散部4は、拡散物質格納部41を備える。拡散物質格納部41は、拡散部4が拡散する物質を格納する。
【0028】
操作部5は、表示部51と入力部52とを備える。表示部51は、ディフューザ1の状態を表示するもので、例えば、表示灯や液晶モニタ等である。入力部52は、ディフューザ1に対する操作入力を受け付けるもので、例えば、スイッチである。なお、表示部51と入力部52を併せて、タッチパネルとして操作部5を構成するようにしてもよい。
【0029】
2.ディフューザ1の機能
次に、ディフューザ1の機能について説明する。図3は、ディフューザ1の機能的な構成を示すブロック図である。
【0030】
同図に示すように、ディフューザ1は、検出部3と、検出結果取得部201と、情報保持部203と、比較部202と、拡散制御部205と、拡散部4と、操作部5と、操作制御部204とを備える。
【0031】
検出部3は、図1に示したように、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成される。
【0032】
検出結果取得部201は、検出部3の検出結果を取得し、取得した検出結果を情報保持部203、比較部202へ出力する。ただし、情報保持部203への検出結果の出力は、省略することも可能である。
【0033】
情報保持部203は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持する。特徴情報は、検出部3が特定の「におい」を検出した場合に検出結果として出力すると想定される値であり、例えば、たばこ臭、ペット臭等が相当する。ただし、においの原因となる物質が特定されている必要はない。情報保持部203は、特徴情報として検出部3と同等の装置を用いて予め検出した値を保持する。物質情報は、特徴情報に合致するにおいが検出する際に拡散する物質を示す情報である。この物質は、香料や消臭剤、脱臭剤、防臭剤等であり、特徴情報に合致するにおいを消滅又は低減させる効果のあるものを、特徴情報に対応させたものである。
【0034】
比較部202は、検出部3による検出結果と特徴情報とを比較可能に構成される。比較部202は、情報保持部203に複数の特徴情報が保持されている場合には、各特徴情報との比較を行う。比較部202による比較は、検出結果が特徴情報に合致しているか否かが結果として出力されるが、ここでの合致は、完全一致ではなく、一定の誤差を含め、両者が近似している場合を合致とする。
【0035】
拡散制御部205は、比較部202による比較結果又は操作制御部204からの指示に基づいて、拡散部4を制御する。
【0036】
拡散部4は、比較部202の比較により、検出結果と特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を拡散可能に構成される。拡散する物質は、拡散物質格納部41に格納されているものを用いる。また、拡散部4は、物質情報が示す物質を拡散している際に、該物質情報に対応する特徴情報と検出結果とが合致しなくなった場合に、該物質の拡散を停止するようにしてもよい。
【0037】
操作部5は、ディフューザ1の利用者が手動で操作を行うためのもので、拡散部4の起動指示と、該拡散部4により拡散する物質の指定指示とを受け付け可能に構成される。このとき、情報保持部203は、操作部5が起動指示を受け付けた際の検出部3による検出結果を特徴情報とし、指定指示により指定された物質を物質情報とし、該特徴情報と該物質情報とを組みにして保持するようにすることもできる。この場合、以降は、検出部3が同様のにおいを検出した場合に、自動で拡散部4が起動することとなる。なお、情報保持部203は、操作部5が操作指示を受け付けた場合に、直ちに、特徴情報と該物質情報とを組みにして保持することなく、予め指定された回数だけ、同様の条件での操作指示を受け付けた場合にのみ、特徴情報と該物質情報とを組みにして保持するようにしてもよい。
【0038】
操作制御部204は、操作部5の入力を拡散制御部205に通知し、指定指示により指定された物質を情報保持部203に保持させる。
【0039】
また、図3では省略しているが、図2に示すように、制御部2は、通信部25を有している。つまり、ディフューザ1は、通信部25を備えるものである。この通信部25は、図4に示すように、ネットワーク7を介して予め定めた情報処理装置6と通信を行い、該情報処理装置6の指示に応じて、情報保持部203が保持する特徴情報と物質情報との組を更新するようにすることもできる。図4は、ディフューザ1と情報処理装置6との接続構成を示した図である。
【0040】
3.ディフューザ1の動作
次に、ディフューザ1の動作の流れを数例説明する。図5乃至図7は、それぞれ、ディフューザ1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【0041】
ディフューザ1は、動作を開始すると、まず、検出結果取得部201が検出部3の検出結果を取得し(A101)、比較部202が、取得された検出結果と情報保持部203に保持されている特徴情報とを比較する(A102)。比較の結果、検出結果が特徴情報に合致しなければ、同様の処理を繰り返す。
【0042】
一方、比較部202による比較の結果、検出結果が特徴情報に合致すれば、拡散制御部205が、特徴情報と組にされて情報保持部203に保持されている物質情報に基づいて、拡散する物質を特定し(A103)、拡散部4が特定した物質を拡散する(A104)。
【0043】
また、ディフューザ1は、比較部202が物質を拡散している間も、検出結果取得部201が検出部3の検出結果を取得し(A111)、比較部202が、取得された検出結果と情報保持部203に保持されている特徴情報とを比較する(A112)。比較の結果、検出結果が特徴情報に合致していれば、同様の処理を繰り返す。
【0044】
一方、比較部202による比較の結果、検出結果が特徴情報に合致しなければ、拡散制御部205は、物質の拡散を停止する(A113)。
【0045】
なお、A111からA113の処理を省略し、比較部202が一定時間物質を拡散した場合に、当該物質の拡散を停止するようにしてもよい。
【0046】
また、ディフューザ1が停止している状態で、ディフューザ1の利用者が操作部5を操作してディフューザ1を起動させようとすると、操作制御部204は、操作部5を介して利用者に拡散する物質の指定を要求する(A201)。
【0047】
利用者により、拡散する物質が指定されると、操作制御部204は、その指定に基づいて、物質情報を生成する(A202)。
【0048】
一方で、検出結果取得部201は、検出部3から検出結果を取得し(A203)、取得した検出結果に基づいて、特徴情報を生成する(A204)。
【0049】
そして、生成された物質情報と特徴情報とが組みにされ、情報保持部203に保持される(A205)。続いて、拡散部4が指定された物質を拡散する(A206)。
【0050】
なお、利用者による操作により起動した場合には、ディフューザ1は、一定時間の経過後又は利用者による操作に基づいて、物質の拡散を停止する。
【0051】
4.ネットワークを利用したにおい制御システム
4-1.構成例
ところで、ディフューザ1の機能を分散させ、複数のディフューザと情報処理装置とで、におい制御システムを構成することができる。におい制御システムは、図4に示した情報処理装置6を情報処理装置8に置き換え、ディフューザ1をディフューザ9に置き換えたものとなる。
【0052】
また、情報処理装置8の構成は、例えば、図8に示したものとなる。図8は、情報処理装置8の構成例を示した図である。同図に示すように、情報処理装置8は、処理部81と、記憶部82と,一時記憶部83と、接続部84と、通信部85とを有しており、これらの構成要素が情報処理装置8の内部において通信バス86を介して電気的に接続されている。
【0053】
処理部81は、例えば、中央処理装置により実現されるもので、記憶部82に記憶された所定のプログラムに従って動作し、種々の機能を実現する。
【0054】
記憶部82は、様々な情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。これは、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等のストレージデバイスにより実現される。
【0055】
一時記憶部83は、揮発性の記憶媒体である。これは、例えばランダムアクセスメモリ等のメモリにより実現され、処理部81が動作する際に一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶する。
【0056】
接続部84は、例えばユニバーサルシリアルバスや高精細度マルチメディアインターフェースといった規格に準じた接続部である。
【0057】
通信部85は、例えばローカルエリアネットワーク規格に準じた通信手段であり、ローカルエリアネットワークやこれを介したインターネット等のネットワーク7との間の通信を実現する。
【0058】
また、ディフューザ9の構成は、図1及び図2に示したディフューザ1と同様のものとなる。
【0059】
4-2.におい制御システムの各部の機能
次に、におい制御システムを構成する情報処理装置8とディフューザ9の機能について説明する。図9は、情報処理装置8とディフューザ9の機能的な構成を示すブロック図である。
【0060】
同図に示すように、におい制御システムは、情報処理装置8と、ディフューザとを備える。このにおい制御システムは、空間のにおいを調整するものである。
【0061】
情報処理装置8は、プログラムにしたがって動作することで、後述する各機能部を実現する。このプログラムは、コンピュータを情報処理装置8として動作又は機能させるプログラムである。情報処理装置8は、ディフューザ9を制御するもので、受付部801と、情報保持部802と、比較部803と、提供部804とを備える。
【0062】
受付部801は、ディフューザから通知されるにおい情報を受け付け可能に構成される。なお、におい情報については、後述する。
【0063】
情報保持部802は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持する。特徴情報と物質情報は、情報保持部203が保持するものと同様のものである。
【0064】
比較部803は、におい情報と特徴情報とを比較可能に構成される。比較部803は、情報保持部802に複数の特徴情報が保持されている場合には、各特徴情報との比較を行う。比較部803による比較は、検出結果が特徴情報に合致しているか否かが結果として出力されるが、ここでの合致は、完全一致ではなく、一定の誤差を含め、両者が近似している場合を合致とする。
【0065】
提供部804は、におい情報と特徴情報とが合致した場合に、その特徴情報に対応する物質情報が示す物質をディフューザに提供可能に構成される。
【0066】
また、ディフューザ9は、物質を拡散するもので、検出部901と、検出結果取得部902と、通知部903と、取得部904と、拡散制御部905と、拡散部906と、操作部907と、操作制御部908とを備える。
【0067】
検出部901は、検出部3と同様に少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成される。
【0068】
検出結果取得部902は、検出部901の検出結果を取得する。
【0069】
通知部903は、検出部901が検出し、検出結果取得部902が取得したにおいを示すにおい情報を情報処理装置8に通知可能に構成される。
【0070】
取得部904は、情報処理装置8からにおい情報に対する物質情報を取得可能に構成される。
【0071】
拡散制御部905は、拡散制御部905が取得した物質情報に基づいて拡散部906を制御し、また、操作制御部908からの指示に基づいて、拡散部906を制御する。
【0072】
拡散部906は、物質情報が示す物質を拡散可能に構成される。
【0073】
操作部907は、ディフューザ9の利用者が手動で操作を行うためのもので、拡散部906の起動指示と、拡散部906により拡散する物質の指定指示とを受け付け可能に構成される。
【0074】
操作制御部908は、操作部907の入力を拡散制御部905に通知し、指定指示により指定された物質を検出結果取得部902に通知する。
【0075】
4-3.におい制御システムの動作
におい制御システムは、情報処理装置8とディフューザ9の間で通信を行う以外は、前述したディフューザ1と同様に動作する。また、情報処理装置8とディフューザ9の間の通信は、周知の方法で行う。したがって、情報処理装置8とディフューザ9の動作は、ディフューザ1の動作から類推可能なものでるため、ここでの説明は省略する。
【0076】
5.その他
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記ディフューザにおいて、操作部を備え、前記操作部は、前記拡散部の起動指示と、該拡散部により拡散する物質の指定指示とを受け付け可能に構成され、前記情報保持部は、前記操作部が前記起動指示を受け付けた際の前記検出部による検出結果を前記特徴情報とし、前記指定指示により指定された物質を前記物質情報とし、該特徴情報と該物質情報とを組みにして保持するディフューザ。
前記ディフューザにおいて、前記拡散部は、前記物質情報が示す物質を拡散している際に、該物質情報に対応する特徴情報と前記検出結果とが合致しなくなった場合に、該物質の拡散を停止するディフューザ。
前記ディフューザにおいて、前記物質は、香料であるディフューザ。
前記ディフューザにおいて、通信部を備え、前記通信部は、予め定めた情報処理装置と通信を行い、該情報処理装置の指示に応じて、前記情報保持部が保持する特徴情報と物質情報との組を更新するディフューザ。
空間のにおいを調整するにおい制御システムであって、ディフューザと、情報処理装置とを備え、前記ディフューザは、検出部と、通知部と、取得部と、拡散部とを備え、前記検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成され、前記通知部は、前記検出部が検出したにおいを示すにおい情報を前記情報処理装置に通知可能に構成され、前記取得部は、前記情報処理装置から前記におい情報に対する物質情報を取得可能に構成され、前記拡散部は、前記物質情報が示す物質を拡散可能に構成され、前記情報処理装置は、受付部と、情報保持部と、比較部と、提供部とを備え、前記受付部は、前記ディフューザから通知される前記におい情報を受け付け可能に構成され、前記情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持し、前記比較部は、前記におい情報と前記特徴情報とを比較可能に構成され、前記提供部は、前記におい情報と前記特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を前記ディフューザに提供可能に構成されるにおい制御システム。
物質を拡散するディフューザであって、検出部と、通知部と、取得部と、拡散部とを備え、前記検出部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能に構成され、前記通知部は、前記検出部が検出したにおいを示すにおい情報を情報処理装置に通知可能に構成され、前記取得部は、前記情報処理装置から前記におい情報に対する物質情報を取得可能に構成され、前記拡散部は、前記物質情報が示す物質を拡散可能に構成されるディフューザ。
ディフューザを制御する情報処理装置であって、受付部と、情報保持部と、比較部と、提供部とを備え、前記受付部は、少なくとも水晶振動子センサを含むにおいセンサにより空気中のにおいを検出可能なディフューザからにおいを示すにおい情報を受け付け可能に構成され、前記情報保持部は、対象とするにおいの特徴を示す特徴情報と該においに対応させる物質を示す物質情報との組を、少なくとも1組保持し、前記比較部は、前記におい情報と前記特徴情報とを比較可能に構成され、前記提供部は、前記におい情報と前記特徴情報とが合致した場合に、該特徴情報に対応する物質情報が示す物質を前記ディフューザに提供可能に構成される情報処理装置。
コンピュータを情報処理装置として動作させるプログラムであって、コンピュータを前記情報処理装置として機能させるプログラム。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0077】
1 :ディフューザ
2 :制御部
3 :検出部
4 :拡散部
5 :操作部
6 :情報処理装置
7 :ネットワーク
8 :情報処理装置
9 :ディフューザ
21 :処理部
22 :記憶部
23 :一時記憶部
24 :接続部
25 :通信部
26 :通信バス
31 :水晶振動子センサ群
32 :ガスセンサ群
33 :変換部
41 :拡散物質格納部
51 :表示部
52 :入力部
81 :処理部
82 :記憶部
83 :一時記憶部
84 :接続部
85 :通信部
86 :通信バス
201 :検出結果取得部
202 :比較部
203 :情報保持部
204 :操作制御部
205 :拡散制御部
801 :受付部
802 :情報保持部
803 :比較部
804 :提供部
901 :検出部
902 :検出結果取得部
903 :通知部
904 :取得部
905 :拡散制御部
906 :拡散部
907 :操作部
908 :操作制御部
図1
図2
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図9